JP2011057494A - 脆性材料の割断方法および装置 - Google Patents

脆性材料の割断方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスを、割断予定線から外れることなく良好な割断面を得られるように割断する。
【解決手段】
脆性材料11に想定された割断予定線12に沿って加熱した後冷却し、加熱および冷却する位置を脆性材料11に対して相対的に移動させて割断する割断装置であって、脆性材料11が無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラス基板のいずれかであり、割断予定線12上に幅広く形成される弱加熱領域60を形成するEr−YAGレーザ50と、割断予定線12上に弱加熱領域60よりも狭い幅でかつ強く加熱される強加熱領域14を形成するCOレーザ25と、割断予定線12上の位置に冷媒を噴射する冷却装置30とを備え、冷却装置30が脆性材料11との相対移動に伴い弱加熱領域60と強加熱領域14による加熱が重ね合わさった重層加熱領域74、76を冷却する。
【選択図】 図2

Description

本発明は脆性材料、特に、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラス基板のいずれかをEr−YAGレーザを利用して割断する脆性材料の割断方法および装置に関する。
ガラスを割断する方法としては、従来、ダイヤモンド等を刃先に使用したガラスカッターにより、ガラスの表面にけがき線を入れ、そのけがき線に沿って分割する方法がある。このようなガラスカッターによって切断されたガラスには、ガラスに形成される微細な亀裂であるマイクロクラックが発生しやすいので、加工後のガラスは曲げ強度等が弱くなる傾向がある。しかし、近年においては、ガラスカッターでけがき線を入れる方法に代わって、レーザを用いてガラスの表面に亀裂溝を形成する方法が実現されている。その方法はレーザスクライブ法と呼ばれる。レーザスクライブ法によって加工されたガラスには、加工時の切削小片であるカレットが発生しないことから、ガラスの割断面にマイクロクラックが形成されない。そのため、レーザスクライブ法によって加工されたガラスの方が曲げ強度等が遙かに強いなどの利点がある。
レーザスクライブ法においては主にCOレーザが用いられ、レーザスクライブ法によって、ブラインドクラックという浅い亀裂溝をガラスの表面に形成することができる。レーザスクライブ法を用いたスクライブ工程を経ると、浅い亀裂溝は得られるが、その亀裂溝はガラスの表面に深さ0.1mm程度しか形成されない。つまり、レーザスクライブ法だけでは、ガラスを完全に分割することはできないため、ブレイクという後工程が行われるのが通常である。従って、従来技術としてのレーザスクライブ法は、ガラスを分断するために、前工程としてのスクライブと、後行程としてのブレイクという2つの工程が併用されている。
このような従来技術に対して、レーザを利用することで、ガラス表面に亀裂溝を形成するのではなく、ガラスを厚さ方向に完全に分離加工する技術の開発も行われている。この技術はフルカット技術と呼ばれており、フルカット技術を用いると、ブレイク工程無しでガラスを分割できるという利点がある。しかし、今までのフルカット技術にはいくつかの欠点もあり、工業的な利用という観点からは現実化に向けていくつかの課題があった。
上述したような、レーザスクライブの技術、あるいはレーザによるフルカット技術については、いくつかの技術が開示されている。例えば、レーザスクライブ法については特許文献1、2、3が、フルカット技術については特許文献4および5がある。
特許文献1は、脆性非金属材料の表面に沿う所望方向で表面から内部に至る亀裂を形成することによって分断する際に、脆性非金属材料と入射エネルギビームとを所望の亀裂形成方向に沿って相対的な移動を行わせ、入射ビームによって脆性非金属材料をその軟化点よりも低い温度に加熱し、加熱された領域から後方に所定の距離だけ離れた位置に流体冷媒により冷却するレーザスクライブ法について示されている。
特許文献2は、レーザビームをガラス基板上に照射し、ガラス基板の走査方向に沿ってY軸方向に長くなった楕円形状のレーザスポットLS1と、X軸方向に沿って長くなった楕円形状のレーザスポットLS2とを、予め設定された所定の距離だけ離れて形成することが記されている。しかし、特許文献2に記載の発明の目的もガラスを分離分割することを目的としたものでは全くなく、あくまでも安定したレーザスクライブを行うことを目的としている。
特許文献3には、ガラス板に照射したレーザビームがガラス板を繰返し往復することによってガラス板に局部的に熱応力を生じるようにしたレーザによるガラス切断方法が示されている。このガラス切断方法は、局所的な熱応力を得るために、1つのレーザビームのみを使い、そのレーザビームがガラスの内部で焦点を結ぶような光学系を用いている。
特許文献4には、紫外線レーザと赤外線レーザとを利用して基板を分割するフルカットレーザ切断方法が開示されている。この方法は、特許文献4の明細書の第0023段落に記してあるように、紫外線レーザによって基板の表面にくさび状断面の空間を形成する。つまり、加工時に破片が発生する加工方法であるので、基板断面の品質を高品位に保つことができない。
特許文献5には、脆性材料の割断予定位置を面熱源により予備加熱して熱応力による引張り応力を与えて割断直前の状態に保持し、予備加熱されている割断予定位置に局所熱源を走査して引張り応力を増加させるフルボディ割断方法が開示されている。
特許第3027768号 再表WO−2003/008168号公報 特開2007−261915号公報 特開2006−175487号公報 特開2009−84133号公報
前述したように、ガラスを分割する目的のためにレーザスクライブ法を用いると、後行程としてブレイク工程が必須になるので、レーザスクライブ法だけではガラスを完全に分断することができない。一方において、従来技術としてのフルカット技術を用いると、特許文献4に記載されているように割断面の面精度が劣ったりしていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、液晶テレビやプラズマテレビなどのフラットディスプレイパネル(FDP)に使用されている無アルカリガラス、あるいは、各種の光学用ミラーや光学用フィルタなどの光学部品用ガラスや耐熱性ガラスとして使用されるパイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスのいずれかを割断する際に、熱応力の分布を適正化することにより、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスのいずれかの割断時に、良好な割断面を得られるような脆性材料の割断方法および装置を提供することを目的とする。
本発明による脆性材料の割断方法は、脆性材料に想定された割断予定線に対して、その割断予定線の端部位置に形成された初亀裂の側から前記割断予定線に沿って加熱した後冷却して、その加熱および冷却する位置を前記脆性材料に対して相対的に移動させて割断する脆性材料の割断方法であって、前記脆性材料が無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスのいずれかであり、前記割断予定線上に幅広く形成される弱加熱領域を形成するEr−YAGレーザビーム照射手段と、割断予定線上に前記弱加熱領域よりも狭い幅で、弱加熱領域よりも強く加熱される強加熱領域を形成するCOレーザビーム照射手段と、割断予定線上の位置に冷媒を噴射して局所的に冷却する冷却手段とを備え、この冷却手段が脆性材料との相対移動に伴い弱加熱領域による加熱と強加熱領域による加熱とが重ね合わされて形成される重層加熱領域を冷却するものである。
上記構成によれば、脆性材料としての無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラス上に別々に形成される弱加熱領域と強加熱領域とが、加熱および冷却位置と脆性材料との相対移動に伴って2つの領域が重ね合わされて重層加熱領域が形成され、その重層加熱領域を冷媒を噴射する冷却手段で冷却するので、弱加熱領域と強加熱領域とを同時に局所的に冷却することができる。また、Er−YAGレーザビームは、脆性材料としての無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスを透過するのに伴ってEr−YAGレーザビームの一部が脆性材料に吸収され、かつ、一部が脆性材料を透過するレーザビームであるので、Er−YAGレーザビームが脆性材料に照射されることで、弱加熱領域においては脆性材料の表面から裏面までの全厚さ方向に対して加熱される領域が形成される。
その結果、割断予定線上にある強加熱領域では、弱加熱領域よりも強く加熱されているので、強く加熱されている部分を冷却することで脆性材料内部に強い引張り応力が発生する。局所的に冷却される位置の相対的な移動に伴って、割断予定線の端部位置に形成された初亀裂を割断予定線上に亀裂を伸展させることができる。
また、同時に、強加熱領域よりも弱く加熱される弱加熱領域も、弱く加熱されている部分を冷却することで脆性材料内部に弱い引張り応力が発生する。弱加熱領域は、強加熱領域と重ね合わされて形成されるので、弱加熱領域も強加熱領域と同時に冷却され、割断予定線に沿って、幅広く弱い引張り応力を発生する。弱加熱領域を冷却することで発生する弱い引張り応力により、割断予定線上に伸展された亀裂は、脆性材料の厚さ方向に深く伸展し、脆性材料を厚さ方向に分断することができる。
また、本発明による脆性材料の割断方法は、Er−YAGレーザビームのレーザパワーをCOレーザビームよりも大きくしたものである。
上記構成によれば、弱加熱領域に大きなパワーが供給され、亀裂を脆性材料の厚さ方向に深く伸展させるのに十分な熱エネルギーを供給することができる。
また、本発明による脆性材料の割断方法は、Er−YAGレーザビームの脆性材料上でのレーザパワー密度をCOレーザビームの脆性材料上でのレーザパワー密度よりも少なくしたものである。
上記構成によれば、弱加熱領域には、強加熱領域よりも少ないレーザパワー密度のビームが照射されるので、脆性材料の表面が溶解することなく、良好な割断面の面品質を保ちつつ熱エネルギーを供給することができる。
また、本発明による脆性材料の割断方法は、Er−YAGレーザビームの一部分がCOレーザビームと重なり、脆性材料をEr−YAGレーザビームおよびCOレーザビームで同時に加熱する領域があるようにしたものである。
上記構成によれば、Er−YAGレーザビームによる加熱領域とCOレーザビームによる加熱領域とが重なり、加熱領域の割断予定線に沿った方向の距離が短くできるので、脆性材料の割断の開始端側において、加熱してから冷却が開始されるまでの時間が短くなる。その結果、脆性材料の割断の開始端側で、加熱だけが先行して行われている時間が短くなり、割断の開始側で亀裂が急速に発生することなく、割断予定線に沿った割断を行うことができる。
また、本発明による脆性材料割断装置は、脆性材料に想定された割断予定線に対して、その割断予定線の端部位置に形成された初亀裂の側から前記割断予定線に沿って加熱した後冷却して、その加熱および冷却する位置を前記脆性材料に対して相対的に移動させて割断する脆性材料の割断装置であって、割断予定線に沿って脆性材料に形成される加熱部分を生成するレーザビームを照射するレーザビーム照射手段と、割断予定線に沿って加熱部分の後方の位置で脆性材料を冷却する冷却手段とを有し、レーザビーム照射手段は、加熱部分にて割断予定線に沿って帯状で加熱の弱い領域を形成するEr−YAGレーザビームを照射するEr−YAGレーザビーム照射部と、加熱部分にて割断予定線に沿った方向が直角方向よりも細長い形状で加熱の強い領域を形成するCOレーザビームを照射するCOレーザビーム照射部とを含むものである。
上記構成によれば、Er−YAGレーザビームが脆性材料の内部まで浸透して吸収されるので、脆性材料の板厚が厚くなっても、脆性材料の表面から裏面に至るまで脆性材料の内部の加熱が行われ、割断面を深く伸展させるための熱エネルギーを脆性材料に与えることができる。
また、本発明による脆性材料の割断装置は、Er−YAGレーザビーム照射部が脆性材料を透過したEr−YAGレーザビームを脆性材料の裏面から脆性材料に向けて少なくとも1回反射させる反射手段を備えているものである。
上記構成によれば、脆性材料の内部で吸収されずに透過したレーザビームを、少なくとも1回、脆性材料内部に入射できるので、吸収効率を高めることができる。
また、本発明による脆性材料の割断装置は、Er−YAGレーザビーム照射部が脆性材料の表裏を挟んでEr−YAGレーザビームを2回以上反射させる多重反射手段を備えているものである。
上記構成によれば、脆性材料の内部で吸収されずに透過したレーザビームを、脆性材料内部に多重に入射できるので、Er−YAGレーザビームの吸収効率をより高めることができる。
また、本発明による脆性材料の割断装置は、Er−YAGレーザビーム照射部が脆性材料にEr−YAGレーザビームを導くフッ化アルミニウム系フッ化物ガラス光ファイバーを備えている。
上記構成によれば、Er:YAGレーザの発振波長2.94μmに対して透過損約0.03dB/mと小さく、かつ、柔軟に設置できるフッ化アルミニウム系フッ化物ガラス光ファイバーを使用するので、部品配置の制約を少なくしてEr−YAGレーザビームを脆性材料上に小さい透過損で導いて照射することができる。Er:YAGレーザの発振波長2940nmに対して透過損約0.03dB/mの得られるフッ化物ガラス光ファイバーは市場で容易に入手可能である。
また、本発明による脆性材料割断方法は、脆性材料に想定された割断予定線に対して、その割断予定線の端部位置に形成された初亀裂の側から前記割断予定線に沿って加熱した後冷却して、その加熱および冷却する位置を前記脆性材料に対して相対的に移動させて割断する脆性材料の割断方法であって、割断予定線に沿って脆性材料の内部まで浸透して吸収される波長のレーザビームにより帯状で加熱の弱い領域を形成するEr−YAGレーザビームを照射する工程と、Er−YAGレーザビームの後方に、脆性材料の表面で吸収される波長のレーザビームにより割断予定線に沿った方向がその直角方向よりも細長い形状で加熱の強い領域を形成するCOレーザビームを照射する工程と、加熱の弱い領域および加熱の強い領域の後方の位置で脆性材料を冷却する工程を含むものである。
上記構成によれば、Er−YAGレーザビームが脆性材料の内部まで浸透して吸収されるので、脆性材料の板厚が厚くなっても、脆性材料の表面から裏面に至るまで脆性材料の内部の加熱が行われ、割断面を深く進展させるための熱エネルギーを脆性材料に与えることができる。
本発明によれば、液晶テレビやプラズマテレビなどのフラットディスプレイパネル(FDP)に使用されている無アルカリガラス、あるいは、各種の光学用ミラーや光学用フィルタなどの光学部品用ガラスや耐熱性ガラスとして使用されるパイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスのいずれかを割断する際に、熱応力の分布を適正化することにより、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスのいずれかの割断時に、良好な割断面を得られるような脆性材料の割断方法および装置を提供することができる。
本発明の実施例1に係る脆性材料割断装置の概略図 本発明の実施例1に係る脆性材料割断装置を用いて、割断している最中のガラスの様子を模式的に示した斜視図 本発明の実施例を説明するための、ガラスに対して半透過性を示すレーザビームをガラスに照射した場合の熱吸収の様子を模式的に示した断面図 本発明の実施例を説明するための、割断している最中のガラス内部の熱分布の様子を、割断予定線に沿って表したガラスの断面模式図 本発明の実施例を説明するための、ガラスを割断する場合に発生しやすい割断不良の様子を示した外観図 本発明の実施例におけるガラスのフルカット加工が開始されるタイミングで、その時間の経過を示す概念図で、(a)(b)(c)は時間順に並べて示した図 本発明の実施例を説明するための、ガラスを加熱する領域が割断予定線に沿って長い場合と短い場合との相違点を表す図で、(a)はガラスを加熱する領域が割断予定線に沿って長い場合、(b)はガラスを加熱する領域が割断予定線に沿って短い場合を示す概念図 本発明の実施例2に係る光ファイバーを備えた脆性材料割断装置の主要部を示す斜視図 本発明の実施例3に係るビーム反射部材を備えた脆性材料割断装置の主要部を示す斜視図 本発明の実施例4に係るビーム多重反射部材を備えた脆性材料割断装置の主要部を示す斜視図 脆性材料としての代表的なガラスの光波長に対する透過特性を示す図
本発明においては、熱応力の分布を適正化するために、脆性材料に想定された割断予定線の端部位置に形成された初亀裂の側から割断予定線に沿って加熱した後冷却し、加熱および冷却する位置を脆性材料に対して相対的に移動させる構成において、前記脆性材料が無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスのいずれかであり、Er−YAGレーザビームにより割断予定線に沿って幅広く形成される弱加熱領域を形成し、さらに、COレーザビームにより割断予定線上に弱加熱領域よりも強く加熱される強加熱領域を形成し、割断予定線上の位置に冷媒を噴射して局所的に冷却し、脆性材料の移動に伴い弱加熱領域による加熱と強加熱領域による加熱とが重ね合わされて形成される重層加熱領域を冷却する。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では脆性材料として無アルカリガラス基板を例に説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る脆性材料割断装置の概略図を示す図である。無アルカリガラス基板11は可動式テーブル32上に載置され、可動式テーブル32はX−Y駆動装置によりX−Y平面内を前後左右に移動する。図においては、無アルカリガラス基板11の移動方向であるY軸駆動用のサーボモータ33とシャフト軸34のみが示されており、X軸駆動系は図示省略されている。
無アルカリガラス基板11を加熱するためのレーザ発振器は、本実施例においてはEr−YAGレーザ50とCOレーザ25の2台が用いられている。Er−YAGレーザ50としては発振波長が2.94μmのものが使用される。発振波長が2.94μmのEr−YAGレーザ50は通常出力が4W程度と小さいので、たとえば特開2007−194369号公報に記載されているような構成の高出力化を図ったものや、複数の単体Er−YAGレーザ発振器を複数台使用し、それらの出力の各々を光ファイバーに入射してこの光ファイバーの出力端を束ねて高出力化を図ったものが使用される。
Er−YAGレーザ50から出射されるEr−YAGレーザビーム52は、反射鏡54により鉛直下方に反射され、例えば弗化カルシウムあるいはジンクセレンの材質からなる凹レンズ56を通して所定のビーム径になるように整形される。凹レンズ56を通過したEr−YAGレーザビーム52は、そのまま無アルカリガラス基板11の表面に照射される。その結果、Er−YAGレーザビーム52によって、無アルカリガラス基板11上にEr−YAGレーザビームによる照射領域が形成される。
一方、COレーザ25から出射されるレーザビーム26は、ビームエキスパンダ27を経由した後、反射鏡28により鉛直下方に反射される。COレーザ25は、ガス封じ切り型で、最大出力100Wが得られるCOレーザ発振器である。ビーム径φ4mmのレーザビーム26が、ビームエキスパンダ27を通過することでビーム径が約4倍に拡大されφ16mmのビームとなる。拡大されたビームは、ビーム整形手段80を通過することで、細長いビームに整形され、無アルカリガラス基板11上で第2のレーザビームによる照射領域を形成する。
ビーム整形手段80としては、具体的に回折光学素子(DOE)あるいはシリンドリカルレンズのような光学部品を利用できるが、本実施例においては、矩形アパーチャとシリンドリカルレンズとを組み合わせて用いている。また、本実施例においては、Er−YAGレーザビームによる照射領域と、COレーザビームによる照射領域とが無アルカリガラス基板11の表面で一部分が重なるようなビーム伝送方式になっている。
COレーザビームによる照射領域の後方には、冷却装置30が設置される。冷却装置30としては、2筒管式の冷却ノズルを使用し、内円筒管から水を、外円筒管から空気を噴射させる。水と空気の混合媒体が無アルカリガラス基板11に向かって噴射されることにより、無アルカリガラス基板11上に冷却点が形成される。
Er−YAGレーザビームの照射領域の前方には、初亀裂形成装置31が設けられる。初亀裂形成装置31は、下端部にダイアモンドカッタを備え、そのダイアモンドカッタを上下する上下機構を有している。上下機構とY軸駆動用のサーボモータ33との連動により、無アルカリガラス基板11の端部に初亀裂を形成することができる。
本実施例においては、割断予定線に沿って、無アルカリガラス基板11上のEr−YAGレーザビームによる照射領域と、COレーザビームによる照射領域と、冷却装置30により形成される冷却点とが一直線上に並ぶように配置される。無アルカリガラス基板11上のEr−YAGレーザビームによる照射領域と、COレーザビームによる照射領域と、冷却装置30により形成される冷却点とを一直線上に並べることにより、無アルカリガラス基板11がY軸方向に移動するのに伴って、無アルカリガラス基板11の割断予定線上では、割断予定線を中心として、左右均等バランス良く熱応力を発生させることができる。
次に図2を用いてフルカットを達成するための構成及び動作を説明する。図2では、図1に示した無アルカリガラス基板11をその中央位置まで割断加工している最中の状態を示している。つまり、図2はフルカットが既に開始された後の状態を示しているので、以下の説明では、時間を遡って初亀裂16を形成する最初の段階から説明する。
ガラスを割断するために、まず、無アルカリガラス基板11の割断予定線12の端部に初亀裂形成装置31(図1参照)により初亀裂16を形成する。この初亀裂16が無アルカリガラス基板11の割断の出発位置となる。次に、可動式テーブル32(図1参照)の上に載置された無アルカリガラス基板11をサーボモータ33(図1参照)によりY方向に移動させる。Y方向に移動させるにあたっては、初亀裂16を形成した後、まず、可動式テーブル32を図1における−Y方向に一旦移動させ、Er−YAGレーザビーム52を照射してもその下方にガラスが無い位置まで退避させる。
次に、Er−YAGレーザ50とCOレーザ25とを各々所定のレーザパワー指令値で発振させ、Er−YAGレーザビーム52とCOレーザビーム26とを出射する。出射されたEr−YAGレーザビーム52は、例えば弗化カルシウムあるいはジンクセレンの材質からなる凹レンズ56で大きな直径のビームに整形され、無アルカリガラス基板11の上に照射されて、Er−YAGレーザビーム照射領域60を形成する。一方、COレーザ25から出射されたCOレーザビーム26は、矩形アパーチャ(図示省略)とシリンドリカルレンズ48によって、割断予定線12に沿った細長い形状のビームに整形され、COレーザビーム照射領域14を形成する。
シリンドリカルレンズ48の後方には、冷却装置30が配置され、その冷却装置30からは水と空気の混合媒体が下方に噴射される。その結果、無アルカリガラス基板11の上には冷却点15が形成される。そして、可動式テーブル32を図1における+Y方向に一定速度で移動させる。
Er−YAGレーザビーム52による略円形のEr−YAGレーザビーム照射領域60によって、無アルカリガラス基板11は割断予定線12を中心に幅広い領域を弱いパワー密度で加熱される。更に、無アルカリガラス基板11は、COレーザビーム26による細長いCOレーザビーム照射領域14によって、割断予定線12に沿って、強いパワー密度で加熱される。冷却装置30の真下の位置では、無アルカリガラス基板11が移動することにより2つの加熱領域が加算された加熱領域が形成される。すなわち、無アルカリガラス基板11の上には、Er−YAGレーザビーム照射領域60とCOレーザビーム照射領域14とが重ね合わされた加算領域としての重層加熱領域が形成されている。その重層加熱領域に対して、冷却装置30は冷媒を噴射し、冷却点15を形成する。
すると、図2に示すように、冷却点直下で初亀裂16から進展した亀裂が無アルカリガラス基板11の板厚方向に発生する。初亀裂16の付近で板厚方向に進展した亀裂は、Er−YAGレーザビーム照射領域60とCOレーザビーム照射領域14および冷却点15の組み合わせが無アルカリガラス基板11に対して相対的に移送するのに伴って、割断予定線12の前方方向に亀裂を進展させることができる。この結果、無アルカリガラス基板11の全板厚に亘って割断面17が拡張される。
次に、図3を用いてEr−YAGレーザビーム52が無アルカリガラス基板11を加熱するEr−YAGレーザビーム照射領域の状態を詳細に説明する。図3は、Er−YAGレーザビーム52が無アルカリガラス基板11に照射される部分を断面図として示した図で、図2に示したB−B’線の断面を示している。
Er−YAGレーザビーム521は無アルカリガラス基板11の上方からほぼ垂直に照射されている。入射されたEr−YAGレーザビーム521は一部が無アルカリガラス基板11に吸収され、一部が無アルカリガラス基板11の裏面から透過光522として透過する。なお、図示しないが入射されたEr−YAGレーザビーム521は吸収、透過のほかに一部が無アルカリガラス基板11の表裏面から反射する。
Er−YAGレーザビーム521の無アルカリガラス基板11による吸収は、無アルカリガラス基板11の表面だけで吸収されるわけではなく、Er−YAGレーザビーム照射領域60において無アルカリガラス基板11中を厚さ方向に通過する途中でその内部においても吸収される。
図11はガラス基板に対する光の波長λと透過率との関係を示す図で、縦軸は透過率(%)、横軸は入射した光の波長(μm)である。曲線Aは厚さ1mmのソーダガラスの透過特性、曲線Bは厚さ0.7mmの無アルカリガラスの透過特性、曲線Cは厚さ1mmのパイレックス(登録商標)ガラスの透過特性、曲線Dは厚さ2mmの石英ガラスの透過特性、曲線Eは厚さ5mmのBK7ガラスの透過特性である。
一般に、脆性材料にレーザ光を入射した場合、一部が脆性材料の表面から反射された後脆性材料中を透過して脆性材料の裏面から外部に透過する。このとき、脆性材料中を透過する入射光の一部が脆性材料で吸収され、かつ、一部が脆性材料の裏面から反射される。すなわち、入射されたレーザ光は脆性材料に吸収される光量、脆性材料に吸収される光量および脆性材料の表面と裏面から反射される光量に分割される。この関係を脆性材料に対する一般式で示すと、脆性材料の表面および裏面からの反射率をR、脆性材料の吸収係数をα、脆性材料の厚さをtとすると、入射光Iに対する脆性材料を通過した透過光Iの比である縦軸の透過率は(1)式
I/I =(1−R)−αt (1)
で表される。
図11に示す脆性材料の波長透過特性において、ほぼ100%透過する波長2μm付近の透過率が90%前後であり100%になっていない。これは入射光の10%ほどが脆性材料の表裏面から反射しているためであり、波長λが2.94μmのEr−YAGレーザビーム521においても数%が表裏面から反射している。すなわち、図11の透過特性図は脆性材料の表裏面からの反射分も含んだものになっている。
図11において、Er−YAGレーザビーム521は発振波長λが2.94μmであるので、曲線Bに見られるように、厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板11に照射されたEr−YAGレーザビーム521は、約53%が無アルカリガラス基板11の裏面から透過され、残余の約47%が無アルカリガラス基板11の内部に吸収される光量と、無アルカリガラス基板11の表面および裏面から反射される光量となる。このうち後者のガラス表裏面で反射される光量は図11においてガラスの吸収のない波長2μmにおける透過率約0.9より約10%となる。したがって、無アルカリガラス基板11の内部に吸収される光量は約37%となる。無アルカリガラス基板11の内部に吸収されたこの約37%のEr−YAGレーザビーム521は無アルカリガラス基板11を加熱させる。
このように、無アルカリガラス基板11の内部においては、表面から入射されるレーザビーム521のレーザパワーはEr−YAGレーザビーム521がその厚さ方向に進行してガラスの深部に到達するのに従いそのレーザパワーが無アルカリガラス基板11に約37%が吸収されて光エネルギーから熱エネルギーに変換されていく。無アルカリガラス基板11に吸収されず無アルカリガラス基板11の表裏面で反射されなかった残りの約53%のビームはガラスの裏面からの透過光522として放出される。よって、Er−YAGレーザビーム52によって形成されるEr−YAGレーザビーム照射領域60は、図3に示すように無アルカリガラス基板11の表面と裏面とに挟まれた立体的な空間となる。
Er−YAGレーザビーム52を照射した場合に発生するこのような半透過性の現象は、COレーザビームを照射した場合の現象とは大きく異なっている。COレーザビームであれば、無アルカリガラス基板11の表面でほぼ100%が吸収されるので、無アルカリガラス基板11の表面で光エネルギーが熱エネルギーに変換される。従って、COレーザビームを照射した場合に、無アルカリガラス基板11の内部が加熱されるのは、表面で発生した熱エネルギーが熱伝導によって伝わっていくプロセスしかないため、この点はEr−YAGレーザビーム照射の場合と異なっている。
Er−YAGレーザビーム52を照射した場合の無アルカリガラス基板11内部の様子を図4を用いて更に詳述する。図4(a)において、無アルカリガラス基板11は、Er−YAGレーザビーム照射領域60、COレーザビーム照射領域14によって加熱されるが、まず最初に第1ビーム照射領域60で略円形に加熱される。無アルカリガラス基板11はY方向に相対移動するので、Er−YAGレーザビーム照射領域60によって加熱される部分は帯状になり、加熱領域160が形成される。次に、無アルカリガラス基板11は第2ビーム照射領域14で加熱される。その加熱による熱はY方向への相対移動に伴って、無アルカリガラス基板11の裏面方向に熱伝導して無アルカリガラス基板11内に加熱領域140が形成される。冷却点15における冷却は、無アルカリガラス基板11のY方向への相対移動に伴って、その裏面方向に同様に熱伝導するので、無アルカリガラス基板11内に冷却領域150が形成される。
この結果、冷却点15の真下における無アルカリガラス基板11の熱分布は、図4(b)のようになる。すなわち、無アルカリガラス基板11に対して、Er−YAGレーザビーム52により無アルカリガラス基板11の厚さに依らず裏面まで加熱されている加熱領域160と、それに続く第2ビーム照射領域14により加熱されている加熱領域140が形成される。2つの加熱領域160、140の重層部分に対して、冷却点15による冷却が作用することで、冷却点直下で亀裂が無アルカリガラス基板11の深さ方向に進行し、無アルカリガラス基板11の裏面にまで達して全板厚方向に亘って割断される。この割断面は、最初、初亀裂16の部分に形成され、その直後から無アルカリガラス基板11の相対移動に伴って割断予定線12に沿って進行し、割断予定線12に沿ったフルカットが実現される。
前述したように、厚さ0.7mmの無アルカリガラスに波長λ=2.94μmのEr−YAGレーザを入射角0°で照射したところ、吸収率は約37%であることがわかった。したがって、厚さ0.7mmの無アルカリガラスにレーザスクライブを入れられる条件を探して、その条件のもとで、COレーザビーム26と重なるようにEr−YAGレーザビーム521を照射すればフルカットが可能となる。この場合、Er−YAGレーザビーム521によるEr−YAGレーザビーム照射領域60は直径約20mmの略円形の形状とし、Er−YAGレーザビーム照射領域60のほぼ中心にCOレーザビーム26による細長いCO2レーザビーム照射領域14の先端部が位置するような合成ビームプロファイルを形成して、Er−YAGレーザビーム照射領域60と細長いCO2レーザビーム照射領域26とを重ならせる。
注目すべきことは、Er−YAGレーザビーム52は無アルカリガラス基板11に対して半透過性の性質を示すので、Er−YAGレーザビーム52を照射するエリアで、無アルカリガラス基板11の表面と裏面とで囲まれる立体的な加熱領域60が形成される点である。これは、無アルカリガラス基板11の板厚が厚くなっても同様であるので、無アルカリガラス基板11の内側からレーザビームで直接に加熱できる。また、Er−YAGレーザビーム52は光速で無アルカリガラス基板11を透過するので、立体的な加熱領域60は、Er−YAGレーザビーム52の照射と同時に生成されるといってよい。
なお、実験ではEr−YAGレーザビームとして波長λ=2.94μmのEr−YAGレーザビーム52、脆性材料として厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板11を用いたが、(1)式から理解されるように、無アルカリガラス基板11の厚さを変えると波長λ=2.94μmのEr−YAGレーザビーム52の透過率は変化する。したがって、無アルカリガラス基板11を割断するには、無アルカリガラス基板11の厚さを選択しなければならない。
上述したように、無アルカリガラスにレーザスクライブを入れられる条件を探して、その条件のもとで、COレーザビーム26と重なるようにEr−YAGレーザビーム52を照射すればフルカットが可能となる。この場合の条件は、Er−YAGレーザビーム52が無アルカリガラス基板11を透過するのに伴って一部が吸収され、一部が透過することが必要で、実用的には透過率が約40%〜60%の範囲になることが好ましい。無アルカリガラス基板11の透過率が約40%〜60%の範囲になるようにするには、図11の曲線Bから透過係数を求めそれに基づいて無アルカリガラスの厚さを求めると、無アルカリガラスの厚さが0.5〜1.1mmであれば透過率が約40%〜60%の範囲になりフルカットが可能になる。
無アルカリガラスの透過率が約40%〜60%以外の場合も割断は可能であるが、透過率が40%より小さい場合は吸収分が大きいので無アルカリガラスの内部で吸収されて発生した熱エネルギーが熱伝導によって無アルカリガラスの裏面に伝わっていくプロセスが必要となるため割断速度が小さくなる。一方、透過率が60%より大きい場合は無アルカリガラスの内部で吸収される熱エネルギーが小さいので、入射されるEr−YAGレーザビーム52のパワーを大きくする必要がある。
図11の曲線Cに示すように、脆性材料として厚さ1mmのパイレックス(登録商標)ガラスを使用した場合にも、無アルカリガラスと同様に約53%のEr−YAGレーザパワーが透過し、残余の約(47−R)%のEr−YAGレーザパワーが吸収・反射することを確認のでフルカットが可能である。
また、BK7ガラスは、曲線Eに示すように厚さが5mmと厚い場合は透過率が約21%と小さいので、大部分が表面付近で吸収されるため厚さ方向への吸収量が小さく不適である。しかし、厚さが2.2mm程度と薄い場合は透過率が無アルカリガラスとほぼ同等の約50%前後でありフルカットが可能である。
さらに、曲線Aに示すように、厚さ1mmのソーダガラスも約60%のEr−YAGレーザパワーが透過し、残余の約40%のEr−YAGレーザパワーが吸収・反射するので、吸収率がやや小さいものの使用可能であることが確認された。
なお、石英ガラスは波長λ=2.94μmのEr−YAGレーザビームに対して約80%の透過率で大部分が透過してしまいEr−YAGレーザビームの吸収による加熱が小さいので不適である。
次に、無アルカリガラス基板11をレーザで割断する場合に発生しやすい加工不良について詳細に説明する。図5は、レーザを用いてガラスを割断する場合に発生しやすい割断不良の様子を示した平面図である。無アルカリガラス基板11の上に想定された直線形状の割断予定線12をレーザ割断加工した後の状態を示している。図示したように、初亀裂16からフルカットの割断面になっているが、その割断面64は、割断予定線12から外れた軌跡となり湾曲している。このような亀裂は、初亀裂側からの亀裂の生成速度が非常に大きく、亀裂が破裂するように一気に進行する場合に発生してしまう。湾曲した亀裂が形成されると直線性精度が著しく劣化するため、このような加工不良が発生する割断方法では工業的に利用することができなかった。以下に、このような割断不良が発生する理由とその割断不良の解決手段について、図6および図7を用いて説明する。
前述したように、本実施例においては、割断予定線12の前方に照射されるレーザビームとしてEr−YAGレーザビーム60を使用している。前述したように、Er−YAGレーザビーム60は、無アルカリガラスに対して半透過性の性質を示すので、図3で説明したように、無アルカリガラス基板11を内部から加熱できるという特徴がある。
ところで、割断予定線12の前方に照射されるレーザビームとして、Er−YAGレーザに変えてCOレーザを使用することも考えられる。COレーザを使用した場合には、無アルカリガラス基板11の表面でほぼ100%のレーザパワーが吸収される。そのため、無アルカリガラス基板11の内部を加熱するためには、表面で吸収されたレーザビームが熱に変換され、ガラスの裏面方向に向かって熱伝導される必要がある。従って、COレーザを前方に照射する場合には、無アルカリガラス基板11の裏面に熱伝導するまでの時間をかせぐために、冷却点15とCOレーザビームの前方照射位置との間に距離を設ける必要がある。その離隔距離は、無アルカリガラス基板11の板厚及びガラスの加工速度に依存した最小許容値がある。無アルカリガラス基板11が厚くなると、離隔距離を所定の最小許容値よりも大きく設定する方が良好な割断面を得る上で好ましい。そのため、COレーザビームを使用する場合は、厚さが厚い無アルカリガラス基板11をフルカットしようとすると、離隔距離を大きく設定しなければならない。
他方において、Er−YAGレーザビームを用いる場合には、冷却点15とEr−YAGレーザビーム照射位置60との離隔距離を大きくする必要がない。前述したように、Er−YAGレーザビームレーザのビームが無アルカリガラス基板11に対して半透過の特性を示すために、無アルカリガラス基板11の厚さ方向に均一に加熱することができるためである。距離を離す必要がないので、冷却点15とEr−YAGレーザビーム照射位置60の離隔距離は短い。このことは、無アルカリガラス基板11をフルカット割断する場合に、無アルカリガラス基板11に初亀裂16を入れた開始端側において、次のような作用効果をもたらす。その作用効果を図6(a)、図6(b)および図6(c)を用いて説明する。
図6(a)、図6(b)および図6(c)は、無アルカリガラス基板11のフルカットが開始されるタイミングで、その時間の経過の順番に(a)(b)(c)と並べて示した図である。無アルカリガラス基板11が移動することで、初亀裂16側からフルカットが開始される瞬間を、3つのタイミングを切り出して(a)(b)(c)と並べて示している。無アルカリガラス基板11が+Y軸方向に移動するので、ガラス前端線11aの位置は、(a)から(b)への経過に伴い距離y1だけ右に移動している。また、(b)から(c)への経過に伴い、ガラス前端線11aの位置は、距離y2だけ右に移動している。無アルカリガラス基板11が移動するのに対して、それ以外の構成部分は動いておらず、Er−YAGレーザビームの第1ビーム照射領域60と、第2ビーム照射領域14と、冷却点15については、図6(a)、図6(b)、図6(c)のいずれでも固定された同じ位置にある。
図6(a)に示すように、まだ、ガラス前端線11aにEr−YAGレーザビームが照射されていないタイミングにおいては、無アルカリガラス基板11は一切加熱されていない。図6(b)は、図6(a)よりも時間が経過した状態を示しており、無アルカリガラス基板11が+Y方向にy1だけ移動している。図6(b)に示すように、このタイミングにおいては、Er−YAGレーザビームの全部とCOレーザビームのほぼ全部が無アルカリガラス基板11に照射される。冷却点15は、まだ無アルカリガラス基板11の上にない。従って、図6(b)のタイミングにおいては、図6(b)に帯状のハッチング領域として示した重層加熱領域74が加熱されるエリアとなる。ここで、仮に、Er−YAGレーザビームの照射領域60の前端から、ガラス前端線11aまでの長さをd1とすると、この長さd1がガラスに注入される熱量の大きさを表す目安となる。図6(c)には、図6(b)よりも時間が経過した状態を示しており、無アルカリガラス基板11が更にy2だけ移動している。このタイミングでは、冷却点15が無アルカリガラス基板11の上にあり、ちょうど初亀裂16の位置に冷却点15が形成されている。
ガラスをフルカットする場合に、COレーザを用いた場合には、図6(c)に示すように冷却点15がガラス前端線11aに達したタイミングで、小さな初亀裂が進展し、破裂するように大きな亀裂に成長することが多い。初亀裂から一気に成長するこのような亀裂は加工不良になる。冷却点15が無アルカリガラス基板11に達した途端に大きな亀裂が発生してしまう要因の一つは、冷却が行われるまでに無アルカリガラス基板11に注入される熱エネルギーが大きくなり過ぎてしまうことである。つまり、帯状に加熱される重層加熱領域74の割断方向への長さが長くなると、無アルカリガラス基板11に過大な熱エネルギーを与えてしまう。そのことを、図7を用いて説明する。
図7は、無アルカリガラス基板11を加熱する領域が割断予定線12に沿って長い場合と短い場合との相違点を表す概念図である。図7(a)、図7(b)のいずれも、前方加熱レーザビームとしてEr−YAGレーザビームを照射し、後方加熱レーザビームとしてCOレーザビームを照射する。図7(a)、(b)に示すように、帯状に加熱された無アルカリガラス基板11が平面的に膨張することに伴って、割断予定線12に沿って無アルカリガラス基板11を左右に開こうとする力が発生する。図7(a)に示すように、加熱領域74の長さ、すなわち、Er−YAGレーザビームの照射領域60の前端からガラス前端線11aまでの長さd2が長くなると、比較的大きな引張り応力F1,F2が発生する。この引張り応力F1,F2は割断予定線12の向きに直角な方向に、左右対称に発生するので、初亀裂(図示省略)の位置でガラスを左右に開いて亀裂を生じさせようとする力として作用する。この引張り応力F1,F2の大きさは加熱領域74の長さに依存するので、図7(b)に示すようにその長さd3が短いと(d3<d2)、無アルカリガラス基板11を左右に開こうとする力F3、F4は小さくなる(F3<F1、|F3|=|F4|、|F1|=|F2|)。
初亀裂の位置に熱衝撃が加わった場合に、割断予定線12から外れた亀裂が一挙に発生するのは、帯状の加熱によって図7(a)に示すような大きな引張り応力F1,F2がかかっている状態といえる。よって、割断予定線12から外れるような亀裂が発生しないようにするためには、図7(b)に示すように帯状の加熱領域74の長さd3を短くすることが必要となる。長さd3を短くするために、本実施例においては、Er−YAGレーザビーム56の照射領域60とCOレーザビーム26の照射領域14とを重ね合わせている。そのため、図7(b)に示すように、無アルカリガラス基板11を左右に開こうとする力F3、F4を小さくできるため、亀裂が一気に発生せず、割断不良の発生が防止される。
COレーザであれば、ガラス表面で吸収された熱が熱伝導によりガラス裏面にまで伝導する時間が必要となるため、図7(a)のように加熱領域の長さd2をある程度長く設けなければならないという制約がある。しかし、加熱領域の長さd2を長く設けると、初亀裂の位置が冷却される直前までに帯状に蓄えられる熱エネルギーが過大になるため、制御不能な亀裂が発生し加工不良となる。すなわち、前方加熱レーザビームとしてCOレーザを用いた場合には、無アルカリガラス基板11を裏面まで加熱することと、前方照射位置と冷却点との距離d2を短くすることを両立できないのである。しかし、Er−YAGレーザビームのような半透過性のレーザビームであれば、レーザビームが無アルカリガラス基板11に直接吸収されるので、距離d2を短くできる。このように、Er−YAGレーザビームとして無アルカリガラス基板11に対して半透過性の性質を示すレーザビームを用いることにより、COレーザビームでは対応できないフルカット加工が可能となり、特に厚板ガラスのフルカットが可能となる。
従来までのフルカット技術では、割断面の品質に問題があり、マイクロクラックが無い良好な面質の割断面を出すことができなかった。あるいは、従来までのフルカット技術では、サイズ効果の課題を克服できないため、割断線が湾曲したり、大きなサイズの無アルカリガラス基板11の中央部分の割断が困難であったりした。しかし、本発明によれば、上記の課題や問題点を全て解決することができる。
更に、従来までのレーザスクライブ技術では、無アルカリガラス基板11の表面に深さ0.1mm未満の亀裂溝を発生させることしかできなかった。しかし、本発明によれば、割断面の深さを単純に数値比較すれば、従来技術の数10倍の亀裂深さを達成している。その結果として、従来では必須の工程であったブレイク行程が不要となるという顕著な効果を得られた。
ブレイク行程が不要になることのメリットを具体的に表す。一例として、従来の方法では、レーザスクライブを行う機械とブレイクを行う機械を別々に製造し、無アルカリガラス基板11をスクライブした後に、無アルカリガラス基板11をスクライブの機械から取り出し、ブレイクの機械に搬送して無アルカリガラス基板11を分割するということが行われていた。場合によっては、無アルカリガラス基板11を上方から押してブレイクするために、搬送の途中で、無アルカリガラス基板11をひっくり返す反転工程が付加されることもある。本発明に係る脆性材料割断装置を用いると、ブレイクを行う機械が不要となり、無アルカリガラス基板11の搬送工程も反転工程も省けるので著しい工数低減の効果を得られる。また、ブレイクを行う機械一台が不要になるので、設備購入のための費用削減という意味でも、その効果は極めて大きい。
図8は、本発明の実施例2に係る脆性材料割断装置の概略図を示す図である。図2と同じ構成部品については、同じ符号を付し、その説明を省略する。前方照射レーザビームとしてのEr−YAGレーザビームをEr−YAGレーザの発振波長2.94μmに対して透過損約0.03dB/mと小さく、かつ、柔軟に設置できるフッ化アルミニウム系フッ化物ガラス光ファイバー82を用いて、後方ビーム照射領域14の前方に直接導いていることに特徴がある。すなわち、大出力のEr−YAGレーザビームを低損失で伝送でき、しかも設置位置に柔軟性を有するフッ化アルミニウム系フッ化物ガラス光ファイバーを設置位置に使用できるという点に特徴がある。
図8に示す無アルカリガラス基板11は、アルマイト処理された平面のアルミ製のテーブル(図示せず)の上に載置される。よって、無アルカリガラス基板11を透過したEr−YAGレーザビームは、アルミ製のテーブルの表面で吸収あるいは乱反射されて、透過したパワーが減衰される。光ファイバー82を用いることにより、Er−YAGレーザ発振器等を加工テーブルとは離れた位置に設置することができる。また、光ファイバー82は電気ケーブルと同等の柔軟な取扱いでEr−YAGレーザビームを導くことができ、所望の角度でレーザビームを無アルカリガラス基板11に照射することができるため、無アルカリガラス基板11を載置するテーブルの上方のスペースを有効に活用することができる。
図9は、本発明の実施例3に係る脆性材料割断装置の概略図を示す図である。ガラスを載置するテーブルは、ガラスが割断される予定の割断線に沿って、帯状にその表面を鏡面研磨されたアルミ製の鏡面テーブルを用いる。無アルカリガラス基板11の下に置かれる鏡面テーブルには、Er−YAGレーザビームの反射率を高めるために金メッキ処理を施してもよい。シリンドリカルレンズ48の横の位置には、全反射ミラー49がミラーホルダ機構部(図示省略)に保持されて、鏡面テーブルの上方に所定の設置角度を保ちながら固定されている。割断予定線上に、平行光にコリメート処理されたEr−YAGレーザビーム53が直接入射されている。Er−YAGレーザビーム53は、割断予定線に対して斜めの角度を持って入射している。割断予定線の下の位置には、金メッキされた鏡面プレートが置かれる。Er−YAGレーザビーム53は一部が無アルカリガラス基板11を透過するが、無アルカリガラス基板11の裏面を透過後、鏡面テーブルで反射されて再度無アルカリガラス基板11の内部に入射される。無アルカリガラス基板11を透過したビームは、全反射ミラー49に照射され、反射されて再度無アルカリガラス基板11に入射される。
このようにEr−YAGレーザビーム53のビームパスは、前述したアルミ製の鏡面テーブルと全反射ミラー49との間においてビームが反射するように形成され、その結果、無アルカリガラス基板11の上方で“V字形”となるように形成される。COレーザビームを集光するためのシリンドリカルレンズ48は、Er−YAGレーザビーム53と干渉することなく、Er−YAGレーザビーム53と不用意に接触しないようにするためにV字形の間の隙間のスペースに設置される。ちなみに、図9においてはシリンドリカルレンズ48を通過するCOレーザビームが無アルカリガラス基板11に対して垂直に照射されているが、COレーザビームが斜めに照射できるようにシリンドリカルレンズ48の配置を変更してもよい。つまり、割断予定線の前方向を基準とした場合に、COレーザビームの照射方向が成す角度が鋭角(例えば60°〜80°)になるように、シリンドリカルレンズ48を割断予定線の前方に配置してもよい。
本構成であれば、割断予定線に対して垂直の平面内において、Er−YAGレーザビーム53の入射経路を斜めに設置することでV字形のビームパスが形成されるので、シリンドリカルレンズ48に干渉することなく、細長いCOレーザビームの照射エリアと矩形型のLD照射エリアとを重ねて照射することができる。また、V字形の隙間のスペースをさらに有効に活用するために、シリンドリカルレンズ48やDOE等に例示される強加熱領域を形成するCOレーザビーム集光手段を、割断予定線の前方に配置させることで、割断予定線と並行な鉛直面の平面内において、COレーザビームを無アルカリガラス基板11に対して斜めに照射することができる。さらに、一旦無アルカリガラス基板11に照射されて吸収されずに無アルカリガラス基板11上方に反射してきたEr−YAGレーザビーム53を再度無アルカリガラス基板11に向けて照射することができるので、Er−YAGレーザビーム53の吸収効率を高めることができる。
図10は、本発明の実施例4に係る脆性材料割断装置の概略図を示す図である。割断予定線の下方の位置には、実施例2、3と同様に、金メッキされた鏡面プレートが置かれる。割断予定線の上方の位置には、長方形の全反射ミラー88を配置している。この全反射ミラー88は、その反射面が鏡面プレートと対向する向きに置かれ、さらに反射面は鏡面プレートと平行に設置される。Er−YAGレーザビーム52は、無アルカリガラス基板11を1回透過した後に、最初に金メッキの鏡面プレートに入射される。その後は、上方の長方形の全反射ミラー88で全反射される。このように、鏡面プレートと長方形の全反射ミラー88との間でジグサク経路の多重反射が行われ、その多重反射が行われる度に、Er−YAGレーザビーム52のレーザパワーは効率よく無アルカリガラス基板11に吸収される。本実施例によれば、Er−YAGレーザビーム52に対する無アルカリガラス基板11が薄くて吸収光量が低い場合でも、多重反射することで無アルカリガラス基板11に吸収される熱の吸収率を統合的に高めることができる。
本発明による脆性材料の割断装置および脆性割断方法は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイや携帯電話、携帯端末などの表示装置用に用いるガラスの割断、光学用ミラーや光学用フィルタなどの光学部品用ガラスや耐熱性ガラスとして使用されるパイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスなどの各種の脆性材料の割断に適用して好適である。
11 ガラス基板
12 割断予定線
14 CO2レーザビーム照射領域
15 冷却点
16 初亀裂
17 割断面
23 反射鏡
24 凹レンズ
25 COレーザ
26 COレーザビーム
27 ビームエキスパンダ
28 反射鏡
29 回折光学素子
30 冷却装置
31 初亀裂形成装置
32 可動式テーブル
33 サーボモータ
34 シャフト軸
60 Er−YAGレーザビーム照射領域
50 Er−YAGレーザ
52、53 Er−YAGレーザビーム
54 反射鏡
56 凹レンズ
48 シリンドリカルレンズ
49 全反射ミラー
64 割断面
74 重層加熱領域
76 重層加熱領域
80 ビーム整形手段
88 全反射ミラー

Claims (9)

  1. 脆性材料に想定された割断予定線に対して、その割断予定線の端部位置に形成された初亀裂の側から前記割断予定線に沿って加熱した後冷却して、その加熱および冷却する位置を前記脆性材料に対して相対的に移動させて割断する脆性材料の割断方法であって、前記脆性材料が無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスのいずれかであり、前記割断予定線上に幅広く形成される弱加熱領域を形成するEr−YAGレーザビーム照射手段と、割断予定線上に前記弱加熱領域よりも狭い幅で、弱加熱領域よりも強く加熱される強加熱領域を形成するCO2レーザビーム照射手段と、割断予定線上の位置に冷媒を噴射して局所的に冷却する冷却手段とを備え、この冷却手段が脆性材料との相対移動に伴い弱加熱領域による加熱と強加熱領域による加熱とが重ね合わされて形成される重層加熱領域を冷却することを特徴とする脆性材料の割断方法。
  2. Er−YAGレーザビーム照射手段により供給されて弱加熱領域に照射されるEr−YAGレーザビームのレーザパワーは、COレーザビーム照射手段で供給される強加熱領域に照射されるCOレーザビームのレーザパワーよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の脆性材料の割断方法。
  3. 弱加熱領域に照射されるEr−YAGレーザビームの脆性材料上でのレーザパワー密度は、強加熱領域に照射されるCOレーザビームの脆性材料上でのレーザパワー密度よりも低いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脆性材料の割断方法。
  4. Er−YAGレーザビーム照射手段によって照射されるEr−YAGレーザビームの一部分が、COレーザビーム照射手段によって照射されるCOレーザビームと重なり、脆性材料上の一部分をEr−YAGレーザビームおよびCOレーザビームで同時に加熱する領域を有することを特徴とする請求項1に記載の脆性材料の割断方法。
  5. 脆性材料に想定された割断予定線に対して、その割断予定線の端部位置に形成された初亀裂の側から前記割断予定線に沿って加熱した後冷却して、その加熱および冷却する位置を前記脆性材料に対して相対的に移動させて割断する脆性材料の割断装置であって、前記脆性材料が無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスのいずれかであり、前記割断予定線に沿って、前記無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスに形成される加熱部分を生成するレーザビームを照射するレーザビーム照射手段と、前記割断予定線に沿って、前記加熱部分の後方の位置で前記脆性材料を冷却する冷却手段とを有し、前記レーザビーム照射手段は、前記加熱部分にて、前記割断予定線に沿って帯状で加熱の弱い領域を形成するEr−YAGレーザビームを照射するEr−YAGレーザビーム照射部と、前記加熱部分にて、前記割断予定線に沿った方向が直角方向よりも細長い形状で加熱の強い領域を形成するCOレーザビームを照射するCOレーザビーム照射部とを含むことを特徴とする脆性材料の割断装置。
  6. Er−YAGレーザビーム照射部は、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスを透過したEr−YAGレーザビームを前記無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスの裏面から前記無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスに向けて少なくとも1回反射させる反射手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載の脆性材料の割断装置。
  7. Er−YAGレーザビーム照射部は、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスの表裏を挟んでEr−YAGレーザビームを2回以上反射させる多重反射手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載の脆性材料の割断装置。
  8. Er−YAGレーザビーム照射部は、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスに前記Er−YAGレーザビームを導くフッ化アルミニウム系フッ化物ガラス光ファイバーを備えていることを特徴とする請求項5に記載の脆性材料の割断装置。
  9. 脆性材料に想定された割断予定線に対して、その割断予定線の端部位置に形成された初亀裂の側から前記割断予定線に沿って加熱した後冷却して、その加熱および冷却する位置を前記脆性材料に対して相対的に移動させて割断する脆性材料の割断方法であって、前記脆性材料が無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスであり、前記割断予定線に沿ってEr−YAGレーザビームを照射して前記割断予定線上に幅広く形成される加熱の弱い領域を形成する工程と、前記Er−YAGレーザビームの後方に、COレーザビームを照射して前記割断予定線に沿った方向が直角方向よりも細長い形状の加熱の強い領域を形成する工程と、前記加熱の弱い領域および加熱の強い領域の後方の位置で前記無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラスまたはBK7ガラスを冷却する工程を含むことを特徴とする脆性材料の割断方法。
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