JP2010037140A - ガラス板の切断方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 貼り合わせガラスを構成する2枚のガラス板を簡単な工程で切断することができ、しかも切断に際してパーティクルが発生、飛散したり、切断面にマイクロクラックが発生することがない、ガラス板の切断方法及び装置を提供すること。
【解決手段】 出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する第1のレーザビームの照射により、第1のガラス板と第2のガラス板との間に介在された層間物質を帯状に蒸散除去して帯状空隙を形成し、出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビームを帯状空隙に照射することにより、それら2枚のガラス板の双方を同時に分断する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、レーザビームを使用したガラス板の切断方法及び装置に係り、特に、貼り合わせガラスの切断に好適なガラス板の切断方法及び装置に関する。
従来、一般的なガラス板の切断方法としては、図8に示されるように、ダイヤモンド刃あるいは超硬刃等のホイールカッタ202によりガラス板201の表面にスクライブ線(切り込み線)203を刻み入れ、その後、ガラス板201にブレイク力204を加えてこれを撓ませることにより、スクライブ線203に沿ってガラス板201をブレイクすると言った方法がとられてきた。ダイヤモンド刃又は超硬合金刃等からなるホイールについては、切断に適した形状が工夫されている(例えば、特許文献1参照)。
また、図9に示されるように、ガラス板301を透過しないCO2レーザ等の赤外線レーザ302をガラス板301の表面に照射しつつこれを走査し、レーザ照射部の後方近傍を純水などの冷却剤303によって急冷することで、ガラス板301の表面に熱応力を発生させてスクライブ線304を形成し、その後、ガラス301にブレイク力305を加えてこれを撓ませることにより、スクライブ線304に沿ってガラス板301をブレイクすると言った方法が考案され一部で実用化されてきた。
特許第3074143号公報
ダイヤモンド刃あるいは超硬刃等のホイールカッタ202による切断方法は、刃をガラスに接触させて、その圧力で亀裂(スクライブ線203)を生じさせ、このスクライブ線203に力を加えて撓ませることで、ガラス板201を完全分断(ブレイク)させるものであるが、その際に、刃がガラス板201に接触した切断部にマイクロクラックが発生してガラス強度を低下させる欠点や、ブレイク時にパーティクルが発生、飛散する等の欠点があった。
また、CO2などの赤外線レーザ302による切断は、レーザによるガラス表面の温度上昇と直後の冷却による温度差で生じる熱応力で、ガラス板301の表面にスクライブ線304を生成後、このスクライブ線304に力を加えて撓ませ、これをブレイクさせるものであるが、やはり、このブレイク時にパーティクルが発生、飛散する欠点があった。
加えて、上述のホイールカッタ202による切断やび赤外線レーザ302による切断は、ブレイク力を加えるに先立って、ガラス板の表面にスクライブ線を形成することを必須とするものであるから、貼り合わされた2枚のガラス板を切断するためには、表のガラス板と裏のガラス板のそれぞれに別々にスクライブ線を刻み入れる必要があり、スクライブ線形成→ガラス反転→ブレイク→スクライブ線形成→ガラス反転→ブレイクといった手順を踏まなくてはならず、工程が煩雑であった。
この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、貼り合わせガラスを構成する2枚のガラス板を簡単な工程で切断することができ、しかも切断に際してパーティクルが発生、飛散したり、切断面にマイクロクラックが発生することがない、ガラス板の切断方法及び装置を提供することにある。
上述の技術的課題は、以下の構成を有するガラス板の切断方法及装置により解決することができる。
すなわち、この発明のガラス板の切断方法は、例えば、液晶ディスプレイパネル等のフラットディスプレイパネルに使用されるガラス板のように、第1のガラス板と第2のガラス板との間に、導電性の薄膜、電極等の金属、あるいは、接着剤等の有機物と言った層間物質が介在された貼り合わせガラスを切断するための方法である。
そして、この方法は、出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する第1のレーザビームを用意する第1のステップと、出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビームを用意する第2のステップと、前記貼り合わせガラスに対して、第1のガラス板側の面から、前記第1のレーザビームを照射しつつ、第1のレーザビームと貼り合わせガラスとを所定の切断予定線に沿って相対的に移動させることにより、第1のガラス板と第2のガラス板との間に介在された層間物質を前記移動軌跡に沿って帯状に蒸散させて、その跡に帯状空隙を残す第3のステップと、前記貼り合わせガラスに対して、第1のガラス板側の面から、又は第2のガラス板側の面から、第2のレーザビームを照射しつつ、第2のレーザビームと貼り合わせガラスとをレーザビームの照射点が前記帯状空隙に追従するように相対的に移動させることにより、第1のガラス板と第2のガラス板との双方を前記帯状空隙を介して透過する第2のレーザビームによって急加熱、直後放熱させ、その際の熱応力により生ずる亀裂によって、それら2枚のガラス板の双方を前記移動軌跡に沿って同時に分断する第4のステップとを包含する、ことを特徴とするものである。
フラットパネルディスプレイに使用されるガラス板に対して、300〜1100nm程度の波長を有するレーザを照射すると、その90%程度は透過し、数%程度は反射し、数%程度は吸収される。同様に、フラットパネルディスプレイに使用されるガラス板に対して、800〜2500nmの波長を有するレーザを照射すると、その90〜50%程度は透過し、数%〜50%程度は吸収される。
ガラスがレーザを吸収すると、その吸収部位では発熱が起こり、温度の低い周辺部位との熱膨張差から応力(以下、これを「熱応力」と言う)が発生する。レーザビームの走査により熱源が移動すると、移動方向に対して対称的に熱応力が発生し、ある部位では引張応力が発生する。この引張応力がガラスの強度を超えると、その部位で亀裂が生成される。レーザの波長がガラスを透過するものであれば、ガラス内部でも熱応力が発生するため、ガラス板の厚みに関係なく、ガラス板の厚み方向全域に亘って亀裂が進行し、ブレイク力を加えずとも、ガラス板は完全に分断される。
液晶ディスプレイパネル等のフラットディスプレイパネルに使用されるガラス板のように、第1のガラス板と第2のガラス板との間に、導電性の薄膜、電極等の金属、あるいは、接着剤等の有機物と言った層間物質が介在された貼り合わせガラスを、上述のレーザ照射の発熱による亀裂発生作用を利用して分断するためには、ガラスに吸収され易いと言う性質を有する800〜2500nmの波長を有するレーザを、第1のガラス板と第2のガラス板との双方に吸収させねばならない。
しかし、第1のガラス板を透過した800〜2500nmの波長を有するレーザは、層間物質に吸収され易いため、第2のガラス板には殆ど届かない。第2のガラス板まで届かせようとして、レーザのパワーを上げると、層間物質は炎を出して燃え上がり、周囲の回路を損傷させ、或いは多量の煤の発生によりガラス板を汚損してしまう。
ここにおいて、本発明者は、出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する短パルスかつ高ピークパワーのレーザであれば、これを貼り合わせガラスに照射した場合、第1のガラス板を透過したレーザは、層間物質に吸収されるものの、これを燃焼させることなく蒸散させて、レーザ照射部位の周辺に押し退け堆積させ、これによりガラス板間に層間物質の存在しない空隙を形成できるとの知見を得た。
上述の本発明の切断方法によれば、ガラスに吸収され易いと言う性質を有する、出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビームの照射に先立って、出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する、短パルスかつ高ピークパワーの第1のレーザビームの照射が行われて、層間物質は炎を上げて燃焼することなく瞬時に蒸散除去されることから、第1のガラス板を透過する第2のレーザビームは、層間物質に阻止されることなく、そのまま第2のガラス板をも透過することとなるため、上述の熱応力による亀裂発生作用を利用して、第1のガラス板と第2のガラス板とを同時に分断することにより、ブレイク力による割断処理を使用することのない貼り合わせガラスの切断が可能となるのである。
そして、このガラスの切断方法によれば、ブレイク力による割断処理を使用することが不要であることから、マイクロクラックやカレットの発生の虞がなくなり、また切断されたガラスの端面強度は、無欠陥のガラスのそれとほぼ同等にまで強化される。
また、第1のレーザビームと第2のレーザビームとを同じ方向から照射するようにすれば、ガラス板を反転することが不要となるため、スクライブ線形成→ガラス板反転→ブレイク→スクライブ線形成→ガラス板反転→ブレイクと言った煩雑な作業が必要であった従来方法に比べて、処理工程を簡素化して、切断処理に要する時間を大幅に短縮することができる。
しかも、Qスイッチパルスレーザである短パルスかつ高ピークパワーの第1のレーザビームの照射により除去された薄膜等の層間物質は、レーザ照射部位の周囲に堆積はするものの、その堆積厚さは十分に薄いため、液晶ディスプレイパネルに適用した場合にも、駆動素子等を含む回路領域に悪影響を与えることもない。
なお、上述の切断方法において、層間物質の蒸散除去をは殆ど瞬時に行われるものであるから、第3のステップである第1のレーザビーム照射と第4のステップである第2のレーザービームの照射とは、両ビームを同軸配置してビーム径を異ならせる(第1のビーム径を大径、第2のビーム径を小径)ことにより、時間的にほぼ同時に行なわれるようにしてもよい。
また、第1のレーザビームの照射点におけるビーム幅を、第2のレーザビームの照射点におけるビーム幅よりもやや幅広とすれば、第1のレーザビームの照射により生じた空所を第2のレーザビームが通り抜けやすくなり、第2のレーザビームによる2枚のガラス板の切断処理をより一層確実なものとすることができる。
別の一面から見た本発明は、貼り合わせガラスの切断に好適な幾つかの態様を有するガラス板の切断装置として把握することもできる。
すなわち、第1の態様によるガラス板の切断装置は、出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する短パルスかつ高ピークパワーの第1のレーザビームを発生する第1のレーザ発振器と、出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビームを発生する第2のレーザ発振器と、前記第1のレーザ発振器から発せられる第1のレーザビームと前記第2のレーザ発振器から発せられる第2のレーザビームとを、互いに異なる光軸をもって、切断対象となるガラス板にそれぞれ所定の照射角度で照射させるための異軸照射光学系と、切断対象となるガラス板の切断予定線上において、前記第2のレーザビームの照射点が前記第1のレーザビームの照射点を追尾するように、前記異軸照射光学系と前記ガラス板とを相対的に移動させるための相対移動機構とを有する、ことを特徴とするものである。
このような構成によれば、両レーザビームの光軸は異なるものではあるものの、切断対象となるガラス板の切断予定線上においては、第1のレーザビームの照射点を第2のレーザビームの照射点が距離をおいて追尾することとなることから、第1のレーザビームの照射により層間物質が蒸散除去されて生じた空所を第2のレーザビームが通り抜けることにより、第2のレーザビームによる2枚のガラス板の同時分断が行われ、これにより貼り合わせガラスの切断が可能となる他、この装置によれば、両レーザビームの光学系を独立に設計できるため、設計自由度が高いと言う利点もある。
このとき、第1のレーザビームの照射点におけるビーム径を、第2のレーザビームの照射点におけるビーム径よりもやや大径とすれば、第1のレーザビームの照射により生じた空所を第2のレーザビームが通り抜けやすくなり、第2のレーザビームによる2枚のガラス板の切断処理をより一層確実なものとすることができる。
第2の態様によるガラス板の切断装置は、出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する短パルスかつ高ピークパワーの第1のレーザビームを発生する第1のレーザ発振器と、出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビームを発生する第2のレーザ発振器と、前記第1のレーザ発振器から発せられる第1のレーザビームと前記第2のレーザ発振器から発せられる第2のレーザビームとを、同一の光軸かつ第1のビーム径の方が第2のビーム径よりも大径をもって、切断対象となるガラス板にそれぞれ所定の照射角度で照射させるための同軸照射光学系と、前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームとの共通照射点が、切断対象となるガラス板の切断予定線上を移動するように、前記同軸照射光学系と前記ガラス板とを相対的に移動させるための相対移動機構とを有する、ことを特徴とするものである。
このような構成によれば、両レーザビームの光軸が同軸であることから、切断対象となるガラス板の切断予定線上においては、第1のレーザビームの照射点を第2のレーザビームの照射点が独りでに追尾することとなって、追尾のための特別な構成が不要となるほか、第1のビーム径の方が第2のビーム径よりも大径であるから、第1のレーザビームの照射により層間物質が蒸散除去されて生じた空所を第2のレーザビームはより一層確実に通り抜けることができ、第2のレーザビームによる2枚のガラス板の同時分断の信頼性が高いという利点がある。
本発明によれば、貼り合わせガラスを構成する2枚のガラス板を簡単な工程で切断することができ、しかも切断に際してパーティクルが発生、飛散したり、切断面にマイクロクラックが発生することがない、ガラス板の切断方法及び装置を提供することができる。
以下に、この発明に係るガラス板の切断方法、及び装置の好適な実施の一形態を添付図面にしたがって詳細に説明する。
先に説明したように、本発明に係るガラス板の切断方法は、図1に示されるように、第1のガラス板1aと第2のガラス板1bとの間に、導電性の薄膜、電極等の金属、あるいは、接着剤等の有機物と言った層間物質1cが介在された貼り合わせガラス1を切断するためのものである。
このような貼り合わせガラス1としては、例えば、液晶テレビ用、携帯電話用、ゲーム機用等々のディスプレイパネルを挙げることができる。このようなディスプレイパネルには、製造段階で複数台分のディスプレイ領域が一括して作り込まれており、製造の最終段階において、個々のディスプレイ領域毎に分断する作業が必要とされる。
個々のディスプレイ領域の外周縁部には、回路領域の存在しない切り取り代部分が額縁状に残されており、ここに切断予定線を位置決めすることで、本発明方法及び装置による切断処理が施される。
そして、先に説明したように、本発明のガラス板の切断方法は、図2に示される2種レーザの異軸照射による貼り合わせガラスの切断方法、あるいは、図3に示される2種レーザの同軸照射による貼り合わせガラスの切断方法として具現化することができ、それぞれの方法は、複数のステップから構成されている。
第1のステップにおいては、出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する短パルスかつ高ピークパワー(例えば、パルス幅数10ナノ秒でピーク出力数10kWであり、短時間で高パワー出力のレーザ)の第1のレーザビーム2を用意する(図2及び図3参照)。第2のステップにおいては、出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビーム3を用意する(図2及び図3参照)。ここで、第1、第2とは、単にステップを識別するための便宜上の命名であって、処理の時間的な前後関係を意味するものではない。
図2及び図3に示されるように、異軸照射又は同軸照射のいずれにあっても、レーザビームの照射点におけるビーム径は、第1のレーザビーム2の方が第2のレーザビーム3よりも大径とされている。また、図3に示されるように、同軸照射の場合には、第1のレーザビーム2の中心部分に第2のレーザビーム3が重ねて存在するように配置されている。
もちろん、第1のレーザビーム2を筒状ビームとして、中心部分は空所として、この空所部分に第2のレーザビーム3が存在するようにすれば、第1のレーザビーム2のパワーを節減できる。
第3のステップにおいては、前記貼り合わせガラス1に対して、第1のガラス板1a側の面から、前記第1のレーザビーム2を照射しつつ、第1のレーザビーム2と貼り合わせガラス1とを所定の切断予定線に沿って相対的に移動させることにより、第1のガラス板1aと第2のガラス板1bとの間に介在された層間物質1cを前記移動軌跡に沿って帯状に蒸散させて、その跡に帯状空隙を残す(図2及び図3参照)。
第4のステップにおいては、前記貼り合わせガラス1に対して、第1のガラス板1a側の面から、又は第2のガラス板1b側の面から(図2及び図3では、第1のガラス板1a側の面から)、第2のレーザビーム3を照射しつつ、第2のレーザビーム3と貼り合わせガラス1とをレーザビームの照射点が帯状空隙1dに追従するように相対的に移動させることにより、第1のガラス板1aと第2のガラス板1bとの双方を前記帯状空隙1dを介して透過する第2のレーザビーム3によって急加熱、直後放熱させ、その際の熱応力により生ずる亀裂によって、それら2枚のガラス板1a,1bの双方を前記移動軌跡に沿って同時に分断する(図2及び図3参照)。
ところで、フラットパネルディスプレイに使用されるガラス板に対して、300〜1100nm程度の波長を有するレーザを照射すると、その90%程度は透過し、数%程度は反射し、数%程度は吸収される。同様に、フラットパネルディスプレイに使用されるガラス板に対して、800〜2500nmの波長を有するレーザを照射すると、その90〜50%程度は透過し、数%〜50%程度は吸収される。
ガラスがレーザを吸収すると、その吸収部位では発熱が起こり、温度の低い周辺部位との熱膨張差から応力(以下、これを「熱応力」と言う)が発生する。レーザビームの走査により熱源が移動すると、移動方向に対して対称的に熱応力が発生し、ある部位では引張応力が発生する。この引張応力がガラスの強度を超えると、その部位で亀裂が生成される。レーザの波長がガラスを透過するものであれば、ガラス内部でも熱応力が発生するため、ガラス板の厚みに関係なく、ガラス板の厚み方向全域に亘って亀裂が進行し、ブレイク力を加えずとも、ガラス板は完全に分断される。
液晶ディスプレイパネル等のフラットディスプレイパネルのように、第1のガラス板1aと第2のガラス板1bとの間に、導電性の薄膜、電極等の金属、あるいは、接着剤等の有機物と言った層間物質1cが介在された貼り合わせガラス1を、上述の発熱による亀裂発生作用を利用して分断するためには、ガラスに吸収され易いと言う性質を有する800〜2500nmの波長を有するレーザを、第1のガラス板と第2のガラス板との双方に十分に吸収させねばならない。
しかし、第1のガラス板1aを透過した800〜2500nmの波長を有するレーザは、層間物質に吸収され易いため、第2のガラス板1bには殆ど届かない。第2のガラス板1bまで届かせようとして、レーザのパワーを上げると、層間物質は炎を出して燃え上がり、周囲の回路を損傷させ、或いは多量の煤の発生によりガラス板を汚損してしまう。
ここにおいて、本発明者は、出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する短パルスかつ高ピークパワーのレーザであれば、これを貼り合わせガラスに照射した場合、第1のガラス板1aを透過したレーザは、層間物質1cに吸収されるものの、これを燃焼させることなく蒸散させて、レーザ照射部位の周辺に押し退け堆積させ、これによりガラス板1a,1b間に層間物質1cの存在しない空隙1dを形成できるとの知見を得た。
上述の本発明の切断方法によれば、ガラスに吸収され易いと言う性質を有する、出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビーム3の照射に先立って、出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する、短パルスかつ高ピークパワーの第1のレーザビーム2の照射が行われて、層間物質1cは炎を上げて燃焼することなく瞬時に蒸散除去されることから、第1のガラス板1aを透過する第2のレーザビーム3は、層間物質1cに阻止されることなく、そのまま第2のガラス板1bをも透過することとなるため、上述の熱応力による亀裂発生作用を利用して、第1のガラス板1aと第2のガラス板1bとを同時に分断することにより、ブレイク力による割断処理を使用することのない貼り合わせガラス1の切断が可能となるのである。
そして、このガラスの切断方法によれば、ブレイク力による割断処理を使用することが不要であることから、マイクロクラックやカレットの発生の虞がなくなり、また切断されたガラスの端面強度は、無欠陥のガラスのそれとほぼ同等にまで強化される。
また、第1のレーザビーム2と第2のレーザビーム3とを、図2及び図3に示されるように、同じ方向から照射するようにすれば、ガラス板1を反転することが不要となるため、スクライブ線形成→ガラス板反転→ブレイク→スクライブ線形成→ガラス板反転→ブレイクと言った煩雑な作業が必要であった従来方法に比べて、処理工程を簡素化して、切断処理に要する時間を大幅に短縮することができる。
しかも、Qスイッチパルスレーザである短パルスかつ高ピークパワーの第1のレーザビーム2の照射により除去された薄膜等の層間物質1cは、レーザ照射部位の周囲に堆積はするものの、その堆積厚さは十分に薄いため、液晶ディスプレイパネルに適用した場合にも、駆動素子等を含む回路領域に悪影響を与えることもない。
なお、上述の切断方法において、層間物質1cの蒸散除去は殆ど瞬時に行われるものであるから、図3に示されるように、第3のステップである第1のレーザビーム2の照射と第4のステップである第2のレーザービーム3の照射とは、両ビーム2,3を同軸配置してビーム径を異ならせる(第1のビーム径を大径、第2のビーム径を小径)ことにより、時間的にほぼ同時に行なうようにしても何ら問題は生じない。
また、図2及び図3に示されるように、第1のレーザビーム2の照射点におけるビーム径を、第2のレーザビーム3の照射点におけるビーム径よりもやや大径とすれば、第1のレーザビーム2の照射により生じた空所1dを第2のレーザビーム3が通り抜けやすくなり、第2のレーザビーム3による2枚のガラス板1a,1bの切断処理をより一層確実なものとすることができる。
次に、貼り合わせガラスの切断に好適な幾つかの態様を有するガラス板の切断装置について、図4〜図7を参照して詳述する。
第1の態様(2種レーザの異軸照射)によるガラス板の切断装置の第1の例が、図4に示されている。同図に示されるように、このガラス板の切断装置100は、出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する短パルスかつ高ピークパワーの第1のレーザビーム2を発生する第1のレーザ発振器(図中、Qスイッチパルスレーザ発振器と記す)4と、出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビーム(例えば、パルス幅数10ナノ秒でピーク出力数10kWであり、短時間で高パワー出力のレーザ)3を発生する第2のレーザ発振器(図中、IRレーザ発振器と記す)5と、第1のレーザ発振器4から発せられる第1のレーザビーム2と第2のレーザ発振器5から発せられる第2のレーザビーム3とを、互いに異なる光軸をもって、切断対象となるガラス板1にそれぞれ所定の照射角度(この例では、垂直入射)で照射させるための異軸照射光学系(この例では、反射ミラー7,8と集束レンズ14,15で構成される)と、切断対象となる貼り合わせガラス1の切断予定線上において、第2のレーザビーム3の照射点が第1のレーザビーム2の照射点を追尾するように、異軸照射光学系と貼り合わせガラス板1とを相対的に移動させるための相対移動機構(この例では、XYテーブル11で構成される)とを有する。
より具体的には、IRレーザ発振器5から出射されたレーザビーム3は誘電体多層膜が施された反射ミラー8によって被加工物である貼り合わせガラス1の方向に反射される。反射ミラー8によって反射されたレーザビーム3はIR集束レンズ10によって貼り合わせガラス1上に集束される。一方、Qスイッチパルスレーザ発振器4から出射されたレーザビーム2は、誘電体多層膜が施された反射ミラー7によって被加工物である貼り合わせガラス1の方向に反射される。
反射ミラー7によって反射されたレーザ1はQスイッチパルスレーザ集束レンズ9によって貼り合わせガラス1上に集束される。これによりQスイッチパルスレーザビーム2とIRレーザビーム3はオフセットされた位置に照射される。貼り合わせガラス1はXYテーブル11に搭載されており、XYテーブル11の移動により貼り合わせガラスの切断処理が可能となる。
第1の態様(2種レーザの異軸照射)によるガラス板の切断装置の第2の例が、図5に示されている。なお、図において、図4と同一構成部分については、同符号を付するものとする。
同図に示されるように、この例にあっては、第1のレーザ発振器4から発せられる第1のレーザビーム2と第2のレーザ発振器5から発せられる第2のレーザビーム3とを、互いに異なる光軸をもって、切断対象となるガラス板1にそれぞれ所定の照射角度(この例では、垂直入射)で照射させるための異軸照射光学系として、反射ミラー7,8の替わりに、光ファイバ12,13が採用されており、その他の構成は、図4に示されるものと同一である。
より具体的には、IRレーザ発振器5から出射されたレーザビーム3は、光ファイバ13で導かれ、IR集束レンズ10によって貼り合わせガラス1上に集束される。Qスイッチパルスレーザ発振器4から出射されたレーザ2は、光ファイバ12で導かれ、Qスイッチパルスレーザ集束レンズ9によって貼り合わせガラス1上に集束される。
そして、図4及び図5に示される第1の態様(2種レーザの異軸照射)によるガラス板の切断装置によれば、両レーザビーム2,3の光軸は異なるものではあるものの、切断対象となるガラス板1の切断予定線上においては、第1のレーザビーム2の照射点を第2のレーザビーム3の照射点が距離をおいて追尾することとなることから、第1のレーザビーム2の照射により層間物質1c(図1参照)が蒸散除去されて生じた空所1d(図1参照)を第2のレーザビーム3が通り抜けることにより、第2のレーザビーム3による2枚のガラス板1a,1bの同時分断が行われ、これにより貼り合わせガラス1の切断が可能となる他、この装置100によれば、両レーザビーム2,3の光学系を独立に設計できるため、設計自由度が高いと言う利点もある。
このとき、第1のレーザビーム2の照射点におけるビーム径を、第2のレーザビーム3の照射点におけるビーム径よりもやや大径とすれば、第1のレーザビーム2の照射により生じた空所1dを第2のレーザビーム3が通り抜けやすくなり、第2のレーザビーム3による2枚のガラス板1a,1bの切断処理をより一層確実なものとすることができる。
次に、第2の態様(2種レーザの同軸照射)によるガラス板の切断装置の第1の例が、図6に示されている。同図に示されるように、このガラス板の切断装置100は、出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する短パルスかつ高ピークパワーの第1のレーザビームを発生する第1のレーザ発振器4と、出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビームを発生する第2のレーザ発振器5と、第1のレーザ発振器4から発せられる第1のレーザビーム2と第2のレーザ発振器5から発せられる第2のレーザビーム3とを、同一の光軸かつ第1のビーム径の方が第2のビーム径よりも大径をもって、切断対象となるガラス板1にそれぞれ所定の照射角度(この例では垂直入射)で照射させるための同軸照射光学系(この例では、反射ミラー14,15及び収束レンズ16で構成される)と、第1のレーザビーム2と第2のレーザビーム3との共通照射点が、切断対象となるガラス板1の切断予定線上を移動するように、同軸照射光学系とガラス板1とを相対的に移動させるための相対移動機構(この例では、XYテーブル11で構成される)とを有する。
より具体的には、800nm〜2500nm程度の波長のレーザ(通称「IRレーザ」)の発振器5から出射されたレーザビーム3とQスイッチパルス動作の高ピークパワー発振する300nm〜1100nm程度の波長のレーザ(通称「Qスイッチパルスレーザ」)の発振器4から出射されたレーザビーム2は、それぞれ誘電体多層膜が施された反射ミラー14,15によって被加工物である貼り合わせガラス1の方向に反射される。反射ミラー14はQスイッチパルスレーザ2を全反射させながら、裏面から進入してくるIRレーザ3は透過するように、誘電体多層膜が施されている。
これによりIRレーザ3とQスイッチパルスレーザ2は合成される。なお、反射ミラー14,15の位置の調整により、Qスイッチパルスレーザ4とIRレーザ3は同軸あるいはオフセットした位置に調整可能である。Qスイッチパルスレーザ1とIRレーザ2はレンズ16によりガラス1上に集束できる。
ガラス1はXYテーブル11に搭載されており、XYテーブル11の移動によりガラス1へのレーザ照射位置を調整でき、直線あるいは任意曲線の加工が可能となる。なお、発振器からレンズまでを移動させガラスを移動させない方法(図省略)、折返しミラー14あるいは15を使用せず、レーザを直進させる方法(図省略)も可能である。
第2の態様(2種レーザの同軸照射)によるガラス板の切断装置の第2の例が、図7に示されている。なお、図において、図6と同一構成部分については、同符号を付するものとする。
同図に示されるように、この例にあっては、第1のレーザ発振器4から発せられる第1のレーザビーム2と第2のレーザ発振器5から発せられる第2のレーザビーム3とを、同一の光軸かつ第1のビーム径の方が第2のビーム径よりも大径をもって、切断対象となるガラス板1にそれぞれ所定の照射角度(この例では、垂直入射)で照射させるための同軸照射光学系として、反射ミラー14,15の替わりに、光ファイバ17,18及び集束レンズ19,20が採用されており、その他の構成は、図6に示されるものと同一である。
より具体的には、第1のレーザ発振器であるQスイッチパルスレーザ発振器4および第2のレーザ発振器であるIRレーザ発振器5から出射されたレーザ2およびレーザ3をそれぞれファイバ17およびファイバ18に導入し、所望の場所にファイバ出口を設置する。ファイバ18から出射されたIRレーザ3はコリメートレンズ20でコリメートされ、反射ミラー14の裏面から進入する。ファイバ17から出射されたQスイッチパルスレーザ2はコリメートレンズ19でコリメートされ、反射ミラー14の反射面に照射される。反射ミラー14はQスイッチパルスレーザ2を全反射させながら、裏面から進入してくるIRレーザ3は透過するように誘電体多層膜が施されている。これによりIRレーザ3とQスイッチパルスレーザ2は合成される。
そして、図6及び図7に示される第2の態様(2種レーザの同軸照射)によるガラス板の切断装置によれば、両レーザビーム2,3の光軸が同軸であることから、切断対象となるガラス板1の切断予定線上においては、第1のレーザビーム2の照射点を第2のレーザビーム3の照射点が独りでに追尾することとなって、追尾のための特別な構成が不要となるほか、第1のビームの径の方が第2のビームの径よりも大径であるから、第1のレーザビーム2の照射により層間物質4が蒸散除去されて生じた空所1dを第2のレーザビーム3はより一層確実に通り抜けることができ、第2のレーザビーム3による2枚のガラス板1a,1bの同時分断の信頼性が高いという利点がある。
なお、以上の各実施形態にあっては、第1のレーザビーム2と第2のレーザビーム3とを貼り合わせガラス1の同一面側(具体的には、第1のガラス板側)から照射したが、第1のレーザビーム2と第2のレーザビーム3とを互いに反対側の面から照射することもできることは言うまでもない。
また、以上の実施形態では、照射光学系側における光軸は固定されていたが、例えばガルバノメータ等の走査手段を使用することにより、光軸それ自体を首振り制御することでも、光軸とガラス板との相対的な移動を行い得ることは勿論である。
また、以上の実施形態では、貼り合わせガラスの貼り合わせ枚数は2枚であったが、第1のビームの照射を一方の面から又は双方の面から繰り返すことにより、3枚以上の貼り合わせガラスにも適用できることは勿論である。
また、以上の実施形態では、貼り合わせガラスは全て平面ガラスとされたが、本発明はスクライブ線の刻み入れ、ブレイク力の付与が不要であるから、表面が多少湾曲するような曲面貼り合わせガラスであっても、何ら問題なくこれを切断することができる。
本発明は、プラズマディスプレイパネルや液晶ディプレイパネル等のフラットディスプレイパネル等のガラス基板分断工程において、ガラス分断品質の向上と高精度化及び分断工程の簡略化に有益である。
切断対象となる貼り合わせガラスの断面図である。 2種レーザの異軸照射による貼り合わせガラスの切断方法の説明図である。 2種レーザの同軸照射による貼り合わせガラスの切断方法の説明図である。 2種レーザの異軸照射による貼り合わせガラスの切断装置の説明図(その1)である。 2種レーザの異軸照射による貼り合わせガラスの切断装置の説明図(その2)である。 2種レーザの同軸照射による貼り合わせガラスの切断装置の説明図(その1)である。 2種レーザの同軸照射による貼り合わせガラスの切断装置の説明図(その2)である。 ホイールカッタを使用したガラス板の切断方法の説明図である。 CO2レーザを使用したガラス板の切断方法の説明図である。
符号の説明
1 貼り合わせガラス
1a 第1のガラス板
1b 第2のガラス板
1c 層間物質
1d 帯状空隙
2 第1のレーザビーム
3 第2のレーザビーム
4 Qスイッチパルスレーザ発振器(第1のレーザ発振器)
5 IRレーザ発振器(第2のレーザ発振器)

7 反射ミラー
8 反射ミラー
9 収束レンズ
10 集束レンズ
11 XYテーブル(相対移動機構)
12 光ファイバ
13 光ファイバ
14 ハーフミラー
15 反射ミラー
16 収束レンズ
17 光ファイバ
18 光ファイバ
19 コリメートレンズ
20 コリメートレンズ
100 ガラス板の切断装置
201 ガラス板
202 ホイールカッタ
203 スクライブ線
204 ブレイク力
301 ガラス板
302 赤外線レーザ
303 冷却剤
304 スクライブ線
305 ブレイク力

Claims (7)

  1. 第1のガラス板と第2のガラス板との間に、導電性の薄膜、電極等の金属、あるいは、接着剤等の有機物と言った層間物質が介在された貼り合わせガラスを切断するための方法であって、
    出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する第1のレーザビームを用意する第1のステップと、
    出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビームを用意する第2のステップと、
    前記貼り合わせガラスに対して、第1のガラス板側の面から、前記第1のレーザビームを照射しつつ、第1のレーザビームと貼り合わせガラスとを所定の切断予定線に沿って相対的に移動させることにより、第1のガラス板と第2のガラス板との間に介在された層間物質を前記移動軌跡に沿って帯状に蒸散させて、その跡に帯状空隙を残す第3のステップと、
    前記貼り合わせガラスに対して、第1のガラス板側の面から、又は第2のガラス板側の面から、第2のレーザビームを照射しつつ、第2のレーザビームと貼り合わせガラスとをレーザビームの照射点が前記帯状空隙に追従するように相対的に移動させることにより、第1のガラス板と第2のガラス板との双方を前記帯状空隙を介して透過する第2のレーザビームによって急加熱、直後放熱させ、その際の熱応力により生ずる亀裂によって、それら2枚のガラス板の双方を前記移動軌跡に沿って同時に分断する第4のステップとを包含する、ことを特徴とするガラス板の切断方法。
  2. 前記第3のステップと前記第4のステップとは、時間的にほぼ同時に行われる、ことを特徴とする請求項1に記載のガラス板の切断方法。
  3. 前記第1のレーザビームの照射点におけるビーム幅は、前記第2のレーザビームの照射点におけるビーム幅よりも幅広とされている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板の切断方法。
  4. 出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する第1のレーザビームを発生する第1のレーザ発振器と、
    出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビームを発生する第2のレーザ発振器と、
    前記第1のレーザ発振器から発せられる第1のレーザビームと前記第2のレーザ発振器から発せられる第2のレーザビームとを、互いに異なる光軸をもって、切断対象となるガラス板にそれぞれ所定の照射角度で照射させるための異軸照射光学系と、
    切断対象となるガラス板の切断予定線上において、前記第2のレーザビームの照射点が前記第1のレーザビームの照射点を追尾するように、前記異軸照射光学系と前記ガラス板とを相対的に移動させるための相対移動機構とを有する、ことを特徴とするガラス板の切断装置。
  5. 出力形態がQスイッチパルス発振であり、かつ300nm〜1100nmの範囲の波長を有する第1のレーザビームを発生する第1のレーザ発振器と、
    出力形態が連続発振であり、かつ800nm〜2500nmの範囲の波長を有する第2のレーザビームを発生する第2のレーザ発振器と、
    前記第1のレーザ発振器から発せられる第1のレーザビームと前記第2のレーザ発振器から発せられる第2のレーザビームとを、同一の光軸かつ第1のビーム径の方が第2のビーム径よりも大径をもって、切断対象となるガラス板にそれぞれ所定の照射角度で照射させるための同軸照射光学系と、
    前記第1のレーザビームと前記第2のレーザビームとの共通照射点が、切断対象となるガラス板の切断予定線上を移動するように、前記同軸照射光学系と前記ガラス板とを相対的に移動させるための相対移動機構とを有する、ことを特徴とするガラス板の切断装置。
  6. 前記第1のレーザビームの照射点におけるビーム幅は、前記第2のレーザビームの照射点におけるビーム幅よりも幅広とされている、ことを特徴とする請求項4に記載のガラス板の切断装置。
  7. 前記ガラス板が、第1のガラス板と第2のガラス板との間に、導電性の薄膜、電極等の金属、あるいは、接着剤等の有機物と言った層間物質が介在された貼り合わせガラスである、ことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のガラス板の切断装置。
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