JP2011056596A - 研削加工用芯出し治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構成でもって、短時間で高精度な芯出しが可能な研削加工用芯出し治具を提供する。
【解決手段】研削対象物3を把持するチャック1と、チャック1を回転させる回転軸2との間に介在する研削加工用芯出し治具であって、チャック1に固定されるチャック固定部11と、回転軸2の中心線CLに対するチャック固定部11の傾き角度を調整可能にチャック固定部11と連結する面振れ調整部12と、回転軸2の径方向における面振れ調整部12の位置を調整可能に面振れ調整部12と連結するとともに回転軸2に固定される芯ズレ調整部13とを備え、チャック固定部11、面振れ調整部12および芯ズレ調整部13は、チャック1から回転軸2に向かって、チャック固定部11、面振れ調整部12および芯ズレ調整部13の順に配置されている。
【選択図】図2
【解決手段】研削対象物3を把持するチャック1と、チャック1を回転させる回転軸2との間に介在する研削加工用芯出し治具であって、チャック1に固定されるチャック固定部11と、回転軸2の中心線CLに対するチャック固定部11の傾き角度を調整可能にチャック固定部11と連結する面振れ調整部12と、回転軸2の径方向における面振れ調整部12の位置を調整可能に面振れ調整部12と連結するとともに回転軸2に固定される芯ズレ調整部13とを備え、チャック固定部11、面振れ調整部12および芯ズレ調整部13は、チャック1から回転軸2に向かって、チャック固定部11、面振れ調整部12および芯ズレ調整部13の順に配置されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、研削対象物の芯出しを行う研削加工用芯出し治具に関する。
従来、汎用研削盤等における研削対象物の芯出しは、非常に時間がかかり、芯出し精度にもばらつきが発生しやすいという、やりにくい作業となっている。
具体的には、(1)研削対象物をチャックに取り付ける。(2)チャックを回転させながら研削対象物の端面の振れ(面振れ)をダイヤルゲージで確認し研削対象物をハンマーで微妙に叩いて面振れを許容範囲内に修正する。(3)チャックを回転させながら研削対象物の外周または内周の振れ(芯ズレ)をダイヤルゲージで確認し、研削対象物をハンマーで微妙に叩いて芯ズレを許容範囲内に修正する。(4)上記(2)および(3)の作業を繰り返して面振れおよび芯ズレを許容範囲内に修正する。
このように、研削対象物の芯出しは、研削対象物をハンマーで微妙に叩くという熟練(カン・コツ)を要する作業を繰り返し行う必要があるので、非常に時間がかかり、芯出し精度にもばらつきが発生しやすい。
一方、特許文献1には、短時間で高精度な芯出しが可能な三次元調芯把持装置が記載されている。この従来技術は、研削対象物を把持する把持機構と、研削対象物の多自由度の調芯が可能な調芯装置と、研削対象物を計測する計測装置と、計測装置の計測結果に基づいて調芯装置を制御する制御装置とを備えている。
調芯装置は、研削対象物を対向して挟む2つのピストンを同方向に同距離移動させることで研削対象物を1自由度偏心させる機構を基本機構とし、この基本機構を複数組み合わせることで研削対象物の多自由度の調芯が可能となるように構成されている。
そして、計測装置による研削対象物の計測結果に基づいて制御装置が研削対象物の形状、軸の倒れ、変形、アンバランス等を演算し、制御装置が演算によって仮想の加工基準面を求め、これらを基に制御装置が調芯装置の調芯方向・距離、倒れを制御することによって三次元方向の調芯を行う。
しかしながら、上記特許文献1の従来技術では、研削対象物の多自由度の調芯を行う調芯装置の構成が、対向する2つのピストンで構成される基本機構を多数個組み合わせるといった非常に複雑な構成になっている。
このため、調芯装置の体格が大型化してしまい、例えば外径が15mm程度の小さな研削対象物に対しては適用が困難になってしまうという問題や、装置が高額になってしまうという問題がある。
本発明は上記点に鑑みて、簡素な構成でもって、短時間で高精度な芯出しが可能な研削加工用芯出し治具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、研削対象物(3)を把持するチャック(1)と、チャック(1)を回転させる回転軸(2)との間に介在する研削加工用芯出し治具であって、
チャック(1)に固定されるチャック固定部(11)と、
回転軸(2)の中心線(CL)に対するチャック固定部(11)の傾き角度を調整可能にチャック固定部(11)と連結する面振れ調整部(12)と、
回転軸(2)の径方向における面振れ調整部(12)の位置を調整可能に面振れ調整部(12)と連結するとともに回転軸(2)に固定される芯ズレ調整部(13)とを備え、
チャック固定部(11)、面振れ調整部(12)および芯ズレ調整部(13)は、チャック(1)から回転軸(2)に向かって、チャック固定部(11)、面振れ調整部(12)および芯ズレ調整部(13)の順に配置されていることを特徴とする研削加工用芯出し治具。
チャック(1)に固定されるチャック固定部(11)と、
回転軸(2)の中心線(CL)に対するチャック固定部(11)の傾き角度を調整可能にチャック固定部(11)と連結する面振れ調整部(12)と、
回転軸(2)の径方向における面振れ調整部(12)の位置を調整可能に面振れ調整部(12)と連結するとともに回転軸(2)に固定される芯ズレ調整部(13)とを備え、
チャック固定部(11)、面振れ調整部(12)および芯ズレ調整部(13)は、チャック(1)から回転軸(2)に向かって、チャック固定部(11)、面振れ調整部(12)および芯ズレ調整部(13)の順に配置されていることを特徴とする研削加工用芯出し治具。
これによると、回転軸(2)の中心線(CL)に対するチャック固定部(11)の傾き角度を面振れ調整部(12)で調整することによって研削対象物(3)の面振れを修正でき、回転軸(2)の径方向における面振れ調整部(12)の位置を芯ズレ調整部(13)で調整することによって研削対象物(3)の芯ズレを修正できるので、短時間で高精度な芯出しを行うことができる。
しかも、チャック(1)から回転軸(2)に向かって、チャック固定部(11)、面振れ調整部(12)および芯ズレ調整部(13)を順に配置して連結するという簡素な構成になっている。したがって、簡素な構成でもって、短時間で高精度な芯出しを行うことができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の研削加工用芯出し治具において、チャック固定部(11)は、面振れ調整部(12)側を向いた凹球面(112b)を有し、
面振れ調整部(12)は、凹球面(112b)に当接する凸球面(121b)を有し、
凹球面(112b)および凸球面(121b)によって、面振れ調整部(12)に対するチャック固定部(11)の位置が規制されることを特徴とする。
面振れ調整部(12)は、凹球面(112b)に当接する凸球面(121b)を有し、
凹球面(112b)および凸球面(121b)によって、面振れ調整部(12)に対するチャック固定部(11)の位置が規制されることを特徴とする。
これによると、凹球面(112b)と凸球面(121b)とによって、チャック固定部(11)と面振れ調整部(12)とが球面接触することとなるので、回転軸の中心線(CL)に対するチャック固定部(11)の傾き角度を面振れ調整部(12)によって良好に調整することができる。このため、研削対象物(3)の面振れ調整を良好に行うことができる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の研削加工用芯出し治具において、面振れ調整部(12)は、チャック固定部(11)を連結するための連結ボルト(122、123)と、連結ボルト(122、123)が挿入されるボルト孔(121c、121g)とを有し、
チャック固定部(11)は、連結ボルト(122、123)が螺合する雌ネジ穴(112d)を有し、
ボルト孔(121c、121g)の内径は連結ボルト(122、123)の外径よりも大きく設定され、
連結ボルト(122、123)に対して、チャック固定部(11)を面振れ調整部(12)側へ引っ張る力を作用させる弾性部材(126、127)を備えることを特徴とする。
チャック固定部(11)は、連結ボルト(122、123)が螺合する雌ネジ穴(112d)を有し、
ボルト孔(121c、121g)の内径は連結ボルト(122、123)の外径よりも大きく設定され、
連結ボルト(122、123)に対して、チャック固定部(11)を面振れ調整部(12)側へ引っ張る力を作用させる弾性部材(126、127)を備えることを特徴とする。
これによると、チャック固定部(11)と面振れ調整部(12)との連結を弾性的に行うことができるので、チャック固定部(11)の傾き角度の調整を容易に行うことができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の研削加工用芯出し治具において、面振れ調整部(12)は、チャック固定部(11)の傾き角度を調整するための多数個の傾斜調整用ボルト(124)を有し、
多数個の傾斜調整用ボルト(124)は互いに、回転軸(2)の周方向に離間配置され、
多数個の傾斜調整用ボルト(124)は、中心線(CL)と平行に突出してチャック固定部(11)に当接する突出部(124a)と、突出部(124a)の突出量を調整するための調整機構(124c)とを有し、
多数個の傾斜調整用ボルト(124)の突出部(124a)の突出量に応じてチャック固定部(11)の傾き角度が変化することを特徴とする。
多数個の傾斜調整用ボルト(124)は互いに、回転軸(2)の周方向に離間配置され、
多数個の傾斜調整用ボルト(124)は、中心線(CL)と平行に突出してチャック固定部(11)に当接する突出部(124a)と、突出部(124a)の突出量を調整するための調整機構(124c)とを有し、
多数個の傾斜調整用ボルト(124)の突出部(124a)の突出量に応じてチャック固定部(11)の傾き角度が変化することを特徴とする。
これによると、多数個の傾斜調整用ボルト(124)を調整するといった簡単な作業でチャック固定部(11)の傾き角度を調整することができる。しかも、多数個の傾斜調整用ボルト(124)は、突出部(124a)の突出量を調整機構(124c)で調整可能にしたという簡素な構成になっている。したがって、簡素な構成でもって、研削対象物(3)の面振れ調整を容易に行うことができる。
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の研削加工用芯出し治具において、傾斜調整用ボルト(124)には、突出量を表示する目盛り(124d)が付されていることを特徴とする。
これによると、目盛り(124d)を用いることによって、突出部(124a)の突出量の調整を定量的に行うことができるので、研削対象物(3)の面振れ調整を短時間で高精度に行うことができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。本実施形態における研削加工用芯出し治具10は、汎用研磨機や汎用研削機等に取り付けられ、具体的には、図1に示すようにチャック1と回転軸2との間に介在するように取り付けられる。
本例では、チャック1として三爪の生爪チャックを用いているが、四爪のチャックや硬爪チャック等を用いてもよい。また、図1の例では、チャック1が円筒状の研削対象物3を把持している。
図2は、研削加工用芯出し治具10の断面図である。研削加工用芯出し治具10は、チャック1に固定されるチャック固定部11と、研削対象物3の面振れ(端面の振れ)を調整する面振れ調整部12と、回転軸に固定され、研削対象物3の芯ズレ(同軸度)を調整する芯ズレ調整部13とに大別される。
チャック固定部11は、回転軸中心線CL(仮想線)に対する傾き角度を調整可能に面振れ調整部12に連結されている。面振れ調整部12によってチャック固定部11の傾き角度を調整することにより研削対象物3の面振れを調整することができる。
面振れ調整部12は、回転軸2の径方向(回転軸中心線CLと直交する方向)の位置を調整可能に芯ズレ調整部13に連結されている。芯ズレ調整部13によって面振れ調整部12の位置を調整することにより研削対象物3の芯ズレを調整することができる。
チャック固定部11は、チャック1側(図2の右方側)に配置されたチャックベース111と、面振れ調整部12側(図2の左方側)に配置された凹球面ベース112とに分割形成されている。チャックベース111は、炭素工具鋼により円盤状に形成されており、凹球面ベース112が嵌る凹部111aを有している。
凹球面ベース112は、炭素工具鋼により円盤状に形成されており、凹球面ベース112に嵌る凸部112aと、面振れ調整部12に当接する凹球面112bとを有している。凹球面ベース112の外径は、チャックベース111の外径よりも小さく設定されている。
図3は凹球面ベース112の単体図である。凹球面ベース112には、チャックベース111との締結固定用のボルト孔112cが複数個(図3の例では3個)形成されている。
図2に示すように、面振れ調整部12は、炭素工具鋼により円盤状に形成された凸球面ベース121と、凸球面ベース121に配置された第1、第2連結ボルト122、123と、傾斜調整用ボルト124とを有している。凸球面ベース121の外径はチャックベース111の外径と略同一に設定されている。
図4は凸球面ベース121の単体図である。凸球面ベース121は、凹球面ベース112の凹球面112bに向かって突出する円形凸部121aを有している。円形凸部121aの突出先端面には、凹球面112bに当接する凸球面121bが形成されている。
凹球面112bおよび凸球面121bの球面接触によって、面振れ調整部12に対するチャック固定部11の位置が規制されるようになっている。本例では、図2に示すように、凹球面112bの曲率半径と凸球面121bの曲率半径とを同一に設定している。
図2に示すように、円形凸部121aの外径は、チャックベース111の外径よりも小さく設定されている。本例では、円形凸部121aの外径を凹球面ベース112の外径と同一に設定している。
第1連結ボルト122は、凸球面ベース121の中心部に形成されたボルト孔121c(図2、図4)に凹球面ベース112と反対側(図2の左方側)から挿入され、凹球面ベース112の中心部に形成された雌ネジ穴112d(図2、図3)に螺合している。本例では、第1連結ボルト122としてストリッパボルトを用いている。
ボルト孔121cの内径は第1連結ボルト122の外径よりも所定寸法だけ大きく設定されている。このため、第1連結ボルト122の外周面とボルト孔121cの内周面との間に所定寸法の隙間が確保されている。
凸球面ベース121には、第1連結ボルト122の頭部を逃がすための凹部121dが形成されている。第1連結ボルト122の外周部には、球面ワッシャ125が嵌められている。
図5は球面ワッシャ125の単体図である。球面ワッシャ125は、炭素工具鋼により円筒状に形成され、第1連結ボルト122の先端側に向かって球面状に膨らむ凸球面125aを有している。
図2、図4に示すように、凸球面ベース121には、球面ワッシャ125が凹球面ベース112と反対側(図2の左方側)から挿入される穴部121eが形成されている。穴部121eの最奥部には、球面ワッシャ125の凸球面125aに当接する凹球面121fが形成されている。本例では、凸球面125aの曲率半径と凹球面121fの曲率半径とを同一に設定している。
穴部121eの内径は球面ワッシャ125の外径よりも所定寸法だけ大きく設定されている。このため、球面ワッシャ125の外周面と穴部121eの内周面との間に所定寸法の隙間が確保されている。
図2に示すように、第1連結ボルト122の座面と球面ワッシャ125との間には、締め付けトルクを保持するための弾性部材126が配置されている。本例では、弾性部材として皿バネ126が用いられている。なお、皿バネ126の代わりにコイルバネ等を用いてもよい。
第2連結ボルト123は、凸球面ベース121の外周側部位に形成されたボルト孔121g(図2、図4)に凹球面ベース112と反対側(図2の左方側)から挿入され、チャックベース111の外周側部位に形成された雌ネジ穴111b(図2)に螺合している。
ボルト孔121gおよび雌ネジ穴111bは、複数個ずつ(図4の例では3個ずつ)回転軸2の周方向に等間隔に形成されており、第2連結ボルト123が3本用いられている。本例では、第2連結ボルト123としてストリッパボルトを用いている。
ボルト孔121gの内径は第2連結ボルト123の外径よりも所定寸法だけ大きく設定されている。このため、第2連結ボルト123の外周面とボルト孔121gの内周面との間に所定寸法の隙間が確保されている。
凸球面ベース121には、第2連結ボルト123の頭部を逃がすための凹部121hが形成されている。図2に示すように、第2連結ボルト123の座面と凸球面ベース121の座面との間には、締め付けトルクを調整するための弾性部材127が配置されている。
本例では、弾性部材127として皿バネ127が用いられている。
図2の例では、皿バネ127を1箇所につき4枚用いている。具体的には、2枚重ね1セットの皿バネ127を2セット用い、2セットの皿バネ127を互いに逆向きに連結して配置している。なお、皿バネ127の代わりにコイルバネ等を用いてもよい。
第1、第2連結ボルト122、123、ボルト孔121c、121gおよび皿バネ126、127を上述のように構成することにより、チャック固定部11と面振れ調整部12との連結が弾性的に行われることとなる。
傾斜調整用ボルト124は、凸球面ベース121のうち円形凸部121aよりも外周側部位に形成されたボルト孔121i(図2、図4)に凹球面ベース112側(図2の右方側)から挿入されて螺合固定されている。
ボルト孔121iおよび傾斜調整用ボルト124は、回転軸2の周方向に多数個、離間配置されている。本例では、図4に示すように、ボルト孔121iが6個、回転軸2の周方向に等間隔に配置されており、傾斜調整用ボルト124が6本、回転軸2の周方向に等間隔に配置されている。
凸球面ベース121の中心からボルト孔121iおよび傾斜調整用ボルト124の中心までの寸法(回転軸2の径方向における寸法)は、研削対象物3の外径よりも大きく設定されている。本例では、凸球面ベース121の中心からボルト孔121iおよび傾斜調整用ボルト124の中心までの距離は、研削対象物3の外径の約10倍に設定されている。
傾斜調整用ボルト124は、マイクロメーターの基本構造を転用して構成されている。具体的には、図2に示すように、傾斜調整用ボルト124は、凸球面ベース121側に向かって回転軸中心線CLと平行に突出する突出部を構成するスピンドル124aと、スピンドル124aを収容するスリーブ124bと、スリーブ124bに対して回転可能に支持されたシンブル124cとを有しており、シンブル124cを回転させるとスピンドル124aの突出量が変化するように構成されている。すなわち、シンブル124cは、スピンドル124aの突出量を調整するための調整機構を構成している。
スピンドル124aの突出先端部は、チャックベース111のうち凸球面ベース121側の端面(図2では左端面)に当接する。上述のごとく、チャックベース111(チャック固定部11)と面振れ調整部12との連結は弾性的に行われている。したがって、スピンドル124aの突出量を調整することでチャックベース111(チャック固定部11)の傾き角度が調整される。
傾斜調整用ボルト124には、マイクロメーターと同様の目盛りが付されている。具体的には、スリーブ124bに、スピンドル124aの突出量を表示する目盛り124dが付されており、この目盛り124dを読むことでスピンドル124aの突出量の調整を定量的に行うことができる。
芯ズレ調整部13は、炭素工具鋼により円盤状に形成された芯ズレ調整ベース131と、芯ズレ調整ベース131に配置された連結ボルト132と、芯ズレ調整用ボルト133とを有している。芯ズレ調整ベース131の外径は凸球面ベース121の外径よりも大きく設定されている。
図6は芯ズレ調整ベース131の単体図である。図2、図6に示すように、芯ズレ調整ベース131は、凸球面ベース121が嵌る円形凹部131aを有している。
連結ボルト132は、芯ズレ調整ベース131の外周側部位に形成されたボルト孔131bに凸球面ベース121と反対側(図2の左方側)から挿入され、凸球面ベース121の外周側部位に形成された雌ネジ穴121k(図4)に螺合している。
ボルト孔131bおよび雌ネジ穴121kは、複数個ずつ(図4、図6の例では3個ずつ)回転軸2の周方向に等間隔に形成されており、連結ボルト132が3本用いられている。本例では、連結ボルト132としてソケットボルトを用いている。連結ボルト132の座面にはスプリングワッシャ134が配置されている。
芯ズレ調整ベース131には、連結ボルト132の頭部を逃がすための凹部131cが形成されている。芯ズレ調整ベース131の外周面には、芯ズレ調整用ボルト133が螺合するボルト孔131dが、円形凹部131aの内周面に貫通するように形成されている。ボルト孔131dは、回転軸2の周方向に等間隔に4個形成されており、芯ズレ調整用ボルト133が4本用いられている。
図2に示すように、芯ズレ調整用ボルト133の先端部は、ボルト孔131dから円形凹部131aに突出して凸球面ベース121の外周面に当接している。したがって、芯ズレ調整用ボルト133の突出量を調整することで、回転軸2の径方向(回転軸中心線CLと直交する方向)における凸球面ベース121(面振れ調整部12)の位置が調整される。
図6に示すように、芯ズレ調整ベース131の中心部には、回転軸2の端部(図示せず)が嵌る回転軸孔131eが形成されている。芯ズレ調整ベース131には、回転軸2との締結固定用のボルト孔131fが複数個(図6の例では4個)形成されている。
次に、上記構成における研削対象物3の芯出し手順を図1、図7に基づいて説明する。図7では、図示の都合上、研削加工用芯出し治具10の一部を断面図として示している。本例では、研削対象物3が燃料噴射インジェクタのボデー部であり、円筒状のボデー部に対して内径の仕上げ加工を行う場合について説明する。
まず、図1、図7(a)に示すように、研削対象物3をチャック1の爪1aで把持する。次いで、図1に示すように、研削対象物3の端面(図1では右端面)にダイヤルゲージ4を当て、研削対象物3の内周面にダイヤルゲージ5を当てる。図7(a)の例では、このときの研削対象物3の傾き(面振れ)が0.05mmになっている。因みに、図7(a)の例では、仕上げ加工の対象となる研削対象物3の内径の寸法が15mmになっている。
次いで、回転軸2を低速で回転させて研削対象物3を回転させ、一方のダイヤルゲージ4で研削対象物3の面振れを測定し、他方のダイヤルゲージ5で研削対象物3の内径の芯ズレを測定する。
そしてダイヤルゲージ4の測定結果に基づいて、まず研削対象物3の面振れを許容範囲内に修正する。具体的には、図7(b)に示すように、6つの傾斜調整用ボルト124のスピンドル124aの突出量を適宜調整してチャック固定部11の傾き角度を調整することによって、研削対象物3の面振れを許容範囲内(図7(b)の例では0.01mm以内)に納める。
ここで、6つの傾斜調整用ボルト124に目盛り124dが付されているので、スピンドル124aの突出量を定量的に調整することができる。このため、ダイヤルゲージ4の測定結果に基づいて、研削対象物3の面振れを短時間で高精度に修正することができる。
本例では、面振れ調整部12(凸球面ベース121)の中心から傾斜調整用ボルト124の中心までの距離は、研削対象物3の外径の約10倍に設定されている。このため、例えば、ダイヤルゲージ4の測定結果による研削対象物3の面振れが0.05mmであれば、傾斜調整用ボルト124を、その約10倍の0.5mm程度修正すれば、研削対象物3の面振れをほぼ確実に許容範囲内に納めることができる。
このようにして研削対象物3の面振れを修正した後に、ダイヤルゲージ5の測定結果に基づいて、研削対象物3の芯ズレを修正する。具体的には、図7(c)に示すように4つの芯ズレ調整用ボルト133を適宜調整して回転軸2の径方向における面振れ調整部12(凸球面ベース121)の位置を調整する。これにより、研削対象物3の芯ズレを許容範囲内(図7(c)の例では0.05mm以内)に納める。
因みに、本例では、連結ボルト132(図2)の締結力を適度に設定することによって、連結ボルト132の緩め、締め付けを行うことなく面振れ調整部12の位置を調整できるようにしている。すなわち、回転時(加工時)には面振れ調整部12が動かず、かつ芯ズレ調整用ボルト133を調整すると面振れ調整部12が動く程度に連結ボルト132の締結力が設定されている。
このようにして研削対象物3の面振れおよび芯ズレの両方を許容範囲内に修正することによって研削対象物3の芯出しが完了する。そして、研削対象物3の芯出しの完了後に回転軸2を所定の回転数で回転させて研削対象物3の内径の仕上げ加工を開始する。
ここで、図2に示すように、第1、第2連結ボルト122、123の座面に皿バネ126、127を配置しているので、チャック固定部11(チャックベース111)に対して、面振れ調整部12側(凸球面ベース121側)に引っ張る力を作用させることができる。このため、加工時に汎用研磨機の回転軸2を所定の回転数で回転させても、回転の遠心力によってチャック固定部11(チャックベース111)の傾き角度および芯出し軸が狂うことなく、研削対象物3の芯出し状態を維持できる。
但し、チャックベース111に作用させる引っ張り力が強すぎると、傾斜調整用ボルト124によるチャック固定部11(チャックベース111)の傾き角度の調整ができなくなる。このため、回転軸2を回転させたときにチャック固定部11(チャックベース111)の傾き角度が狂わないことと、傾斜調整用ボルト124によってチャック固定部11(チャックベース111)の傾き角度を調整できることとを両立できるように皿バネ126、127の荷重や枚数等が設定されている。
本実施形態によると、上述のごとく、傾斜調整用ボルト124および芯ズレ調整用ボルト133の突出量を調整するといった簡単な作業によって研削対象物3の芯出しを行うことができる。
特に、本実施形態では、チャック固定部11の凹球面ベース112に凹球面112bを形成し、面振れ調整部12の凸球面ベース121に凸球面121bを形成することによって、チャック固定部11と面振れ調整部12とを球面接触させている。このため、回転軸中心線CLに対するチャック固定部11の傾き角度を面振れ調整部12によって良好に調整することができるので、研削対象物3の面振れを良好に修正することができる。
さらに、傾斜調整用ボルト124に目盛り124dを付しているので、傾斜調整用ボルト124をカンやコツに頼ることなく定量的に調整することができる。このため、傾斜調整用ボルト124による面振れの修正を短時間で高精度に行うことができる。
さらに、凸球面ベース121の中心から傾斜調整用ボルト124の中心までの寸法を、研削対象物3の半径よりも大きく設定しているので、傾斜調整用ボルト124の調整量を研削対象物3の面振れ量よりも大きくすることができる。このため、研削対象物3の面振れの微妙な調整を容易に行うことができる。以上のことから、研削対象物3の芯出しを短時間で高精度に行うことができる。
しかも、研削加工用芯出し治具10は、チャック固定部11、面振れ調整部12および芯ズレ調整部13をチャック1から回転軸に向かって順に配置して連結するといった簡素な構成になっている。
より具体的には、研削加工用芯出し治具10は、円盤状のベース112、121、131を連結ボルト122、123、132によって連結し、ベース相互の連結位置を調整用ボルト124、133によって調整可能にしているといった非常に簡素な構成になっている。したがって、簡素な構成の研削加工用芯出し治具10でもって、短時間で高精度な芯出しを行うことができる。
特に、本実施形態によると、研削加工用芯出し治具10が非常に簡素な構成であるので、研削加工用芯出し治具10の体格を非常に小型化できる。このため、研削加工用芯出し治具10を汎用の研磨機や研削機等に広く適用できるとともに、燃料噴射インジェクタのボデー部のような外径が15mm程度の小さな研削対象物であっても良好に適用できる。
(他の実施形態)
なお、上記一実施形態は、研削加工用芯出し治具10の具体的構成の一例を示したものに過ぎず、研削加工用芯出し治具10の具体的構成を種々変形可能である。例えば、上記一実施形態では、チャック固定部11をチャック1と別体に形成してチャック固定部11をチャック1に固定しているが、チャック固定部11をチャック1と一体に形成してもよい。
なお、上記一実施形態は、研削加工用芯出し治具10の具体的構成の一例を示したものに過ぎず、研削加工用芯出し治具10の具体的構成を種々変形可能である。例えば、上記一実施形態では、チャック固定部11をチャック1と別体に形成してチャック固定部11をチャック1に固定しているが、チャック固定部11をチャック1と一体に形成してもよい。
また、上記一実施形態では、本発明の研削加工用芯出し治具が適用される研削対象物3の形状、加工部位の一例を示したに過ぎず、例えば、円柱状の研削対象物3の外径を加工する場合等にも本発明の研削加工用芯出し治具を適用可能である。
また、上記一実施形態では、ダイヤルゲージ4、5の当て方の一例を示したに過ぎず、例えば、研削対象物3の外径を加工する場合にはダイヤルゲージ5を研削対象物3の外周面に当てるようにすればよい。
1 チャック
2 回転軸
3 研削対象物
11 チャック固定部
12 面振れ調整部
13 芯ズレ調整部
112b 凹球面
112d 雌ネジ穴
121b 凸球面
121c、121g ボルト孔
122、123 連結ボルト
124 傾斜調整用ボルト
124a スピンドル(突出部)
124c シンブル(調整機構)
124d 目盛り
126、127 弾性部材
2 回転軸
3 研削対象物
11 チャック固定部
12 面振れ調整部
13 芯ズレ調整部
112b 凹球面
112d 雌ネジ穴
121b 凸球面
121c、121g ボルト孔
122、123 連結ボルト
124 傾斜調整用ボルト
124a スピンドル(突出部)
124c シンブル(調整機構)
124d 目盛り
126、127 弾性部材
Claims (5)
- 研削対象物(3)を把持するチャック(1)と、前記チャック(1)を回転させる回転軸(2)との間に介在する研削加工用芯出し治具であって、
前記チャック(1)に固定されるチャック固定部(11)と、
前記回転軸(2)の中心線(CL)に対する前記チャック固定部(11)の傾き角度を調整可能に前記チャック固定部(11)と連結する面振れ調整部(12)と、
前記回転軸(2)の径方向における前記面振れ調整部(12)の位置を調整可能に前記面振れ調整部(12)と連結するとともに前記回転軸(2)に固定される芯ズレ調整部(13)とを備え、
前記チャック固定部(11)、前記面振れ調整部(12)および前記芯ズレ調整部(13)は、前記チャック(1)から前記回転軸(2)に向かって、前記チャック固定部(11)、前記面振れ調整部(12)および前記芯ズレ調整部(13)の順に配置されていることを特徴とする研削加工用芯出し治具。 - 前記チャック固定部(11)は、前記面振れ調整部(12)側を向いた凹球面(112b)を有し、
前記面振れ調整部(12)は、前記凹球面(112b)に当接する凸球面(121b)を有し、
前記凹球面(112b)および前記凸球面(121b)によって、前記面振れ調整部(12)に対する前記チャック固定部(11)の位置が規制されることを特徴とする請求項1に記載の研削加工用芯出し治具。 - 前記面振れ調整部(12)は、前記チャック固定部(11)を連結するための連結ボルト(122、123)と、前記連結ボルト(122、123)が挿入されるボルト孔(121c、121g)とを有し、
前記チャック固定部(11)は、前記連結ボルト(122、123)が螺合する雌ネジ穴(112d)を有し、
前記ボルト孔(121c、121g)の内径は前記連結ボルト(122、123)の外径よりも大きく設定され、
前記連結ボルト(122、123)に対して、前記チャック固定部(11)を前記面振れ調整部(12)側へ引っ張る力を作用させる弾性部材(126、127)を備えることを特徴とする請求項2に記載の研削加工用芯出し治具。 - 前記面振れ調整部(12)は、前記チャック固定部(11)の傾き角度を調整するための多数個の傾斜調整用ボルト(124)を有し、
前記多数個の傾斜調整用ボルト(124)は互いに、前記回転軸(2)の周方向に離間配置され、
前記多数個の傾斜調整用ボルト(124)は、前記中心線(CL)と平行に突出して前記チャック固定部(11)に当接する突出部(124a)と、前記突出部(124a)の突出量を調整するための調整機構(124c)とを有し、
前記突出部(124a)の突出量に応じて前記チャック固定部(11)の傾き角度が変化することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の研削加工用芯出し治具。 - 前記傾斜調整用ボルト(124)には、前記突出量を表示する目盛り(124d)が付されていることを特徴とする請求項4に記載の研削加工用芯出し治具。
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JP2009205840A JP2011056596A (ja) | 2009-09-07 | 2009-09-07 | 研削加工用芯出し治具 |
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JP2009205840A Withdrawn JP2011056596A (ja) | 2009-09-07 | 2009-09-07 | 研削加工用芯出し治具 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2009
- 2009-09-07 JP JP2009205840A patent/JP2011056596A/ja not_active Withdrawn
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