JP2011056533A - 焼結部品接合用鑞材 - Google Patents
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Abstract
【課題】チップ化された焼結鑞材を、作業性を低下させることなく鑞材セット孔に正確に挿入できるようにすることを課題としている。
【解決手段】焼結部品を構成する部材を上下に重ね合わせて焼結炉に導入して接合するときに上側の部材に設けられた鑞材セット孔に挿入して用いるチップ化された焼結鑞材の上下面2,3の外周の角に面取り部5を備えさせた。
【選択図】図2
【解決手段】焼結部品を構成する部材を上下に重ね合わせて焼結炉に導入して接合するときに上側の部材に設けられた鑞材セット孔に挿入して用いるチップ化された焼結鑞材の上下面2,3の外周の角に面取り部5を備えさせた。
【選択図】図2
Description
この発明は、複数の部材が接合された構造の焼結部品を製造するときに用いる接合用の鑞材、詳しくは、接合対象の部材に設けられた鑞材セット孔に挿入して使用する粉末冶金法で製造された鑞材に関する。
複数の部材が組み合わされた構造の焼結部品は、金属粉(鉄系粉末など)をプレス機で圧粉成形し、得られた成形体を接合して製造される。その製造過程において別加工された成形体を接合する方法のひとつに、鑞付け接合法がある。その鑞付け接合法は、例えば、下記特許文献1,2に記載されている。
その方法による鑞付け接合は、接合対象の2つの成形体を上下に重ね合わせ、上側の成形体に設けた鑞材セット孔(以下では単にセット孔とも言う)にチップ化された鑞材を挿入し、この状態で、重ね合わせた成形体を焼結炉に導入する方法でなされる。セット孔に挿入された鑞材は、焼結炉内で加熱されて溶融し、セット孔から流れ出て成形体の接合面の隙間に浸透する。
上記の鑞付け接合では、粉末冶金法で製造された焼結鑞材が使用されることがある。その焼結鑞材は、接合される面積によってその大きさが決定され、場合によっては径が非常に小さくて、しかも高さの低いもの(厚み寸法が小さいもの)が要求される。
チップ化されたこの種の鑞材は、加熱溶融させて使用することからその形状は特に工夫されておらず、また、粉末成形用金型のパンチとして端面を軸心と直角な平坦面で形成したものが一般的に使用されることもあって、扁平で外周の角(上下面と側面が交差してできるコーナ部)が90°に成形された単純形状のものが提供されている。
部品のセット孔に対する鑞材の挿入は、作業者が鑞材を指先でつまんでセット孔に落とし込む方法でなされているが、単純形状で小さくて高さの低い鑞材は、正確にセット孔に落とし込むのが容易でなく、投入条件がばらつきやすい。また、孔面によるガイドも良好になされないことから、セット孔の中で横を向いたり、セット孔の途中に引っかかったりすることがある。このような状況では、鑞材がセット孔の底から浮き上がるなどして炉内で加熱された成形体から鑞材への熱伝導が良好に行われず、そのために、鑞材の溶融が不完全になって接合不良が発生することがある。鑞材はその量が管理されているので、完全に溶けなければ接合面の全域に浸透せず、接合不良が起る。
また、焼結鑞材、中でも、合金の焼結鑞材は、溶製金属からなる鑞材に比べて密度が低くて強度が十分でないことから、保管・運搬時に外周の角が欠けることがある。作業者がセット孔に落とし込むとき外周の角が孔縁などに引っかかり、それが原因で外周の角が欠けることもある。その欠けが生じたことに気づかなければ、このケースでも鑞材の量の不足の問題が起こる。
この発明は、チップ化された焼結鑞材を、作業性を低下させることなく鑞材セット孔に正常な姿勢で正常な状態に挿入できるようにすることを課題としている。
上記の課題を解決するため、この発明においては、焼結部品を構成する部材を上下に重ね合わせて焼結炉に導入して接合するときに上側の部材に設けられた鑞材セット孔に挿入して用いるチップ化された鑞材に以下の改善策を施した。即ち、その鑞材を、上下面の外周の角(上下面が側面と交差したコーナ)に面取り部を有しているものにした。
前記面取り部は、鑞材の側面に対して90°±10°程度の角度で交差するランド部を含ませたものが好ましい。面取り部の形状は、C面の面取り、R面の面取りを問わない。
また、この発明の鑞材の厚み寸法をY、厚み方向と直角な横方向寸法をXとして、X>Yの関係を満たす形状に成形されたものが好ましい。また、この発明は、厚み寸法が10mm以下、より好ましくは5mm以下の鑞材に適用するときにその有効性が特に顕著に発揮される。
この発明の鑞材は、上下面の外周の角に面取り部を設けたので、セット孔の内面に挿入するときの孔縁や孔面に対する外周の角の「引っかかり」が起こらず、鑞材セット孔の底に安定した姿勢で確実に入り込む。
また、原料粉末をプレス成形する際に面取り部を形成することで鑞材の外周の角の密度が向上してその部分の強度が高まる。そのために、外周の角の保管・運搬時の欠けも減少し、欠けが生じた鑞材を使用することによる鑞材の量の不足の問題も回避可能になる。
なお、前記面取り部に、鑞材の側面に対して90°±10°の角度で交わるランド部を含ませることで、鑞材成形用パンチの先端が尖鋭になることを防止することができ、パンチの耐久性低下を招かずに済む。
鑞材の外周の角の面取りは、切削加工や研磨加工を施して形成することもできるが、小サイズ鑞材の面取りを切削や研磨で行なうのは生産性が悪くて実用的でないので、原料粉末をプレス成形するときに面取り部も金型成形して生じさせる。そのときに使用する金型(上下のパンチ)の先端に尖鋭な部分ができると金型の耐久性確保が難しくなる。その不具合を面取り部に上記ランド部を含ませることで解決することができる。
また、鑞材がセット孔内で横を向いたり、孔の途中に引っかかったりする現象は、鑞材の厚み寸法をY、厚み方向と直角な横方向寸法をXとして、X>Yの関係を満たす形状に成形された鑞材や、厚み寸法が10mm以下、中でも、5mm以下の指先でつかみづらい鑞材を使用するときに発生し易いので、このような鑞材にこの発明を適用すると発明の有効性が顕著に現われる。
以下、添付図面の図1〜図3に基づいてこの発明の鑞材の実施の形態を説明する。図1、図2は、第1形態である。この第1形態の焼結鑞材1は、原料の金属粉末をプレス成形後に焼結して製造されたものである。Mn−Ni−Cu系の鑞材であり、鉄系粉末の成形体を重ねて焼結炉内で鑞付け接合するときに用いられる。
この焼結鑞材1は、各々が平坦で平行に配置される上面2と下面3、及び、上下面に対して直角な側面(外周面)4を有する丸くて薄いチップであり、上面2と下面3の外周の角にコーナの直角なエッジを除去する面取り部5を備えている。この焼結鑞材1は、上面2と下面3が共通の面として構成されており、上下を反転させると、図2に示した上面2が下面3となり、下面3が上面2となる。
第1形態の焼結鑞材1に設けられた面取り部5は、45°の角度で傾斜したC面を基本にしたものであり、側面4に対して直角に交わる平坦なランド部6が含まれている。C面は、図2に示す設置範囲hが0.5mm程度の大きさでよい。ランド部6も、幅wが、例えば0.1mm程度あれば足りる。そのランド部6を形成したことによって、上面2と下面3を、ランド部6も含めて成形する粉末成形装置の金型(対向配置されたパンチ)の先端にランド部成形用のフラット面が形成され、パンチの先端が尖鋭部のない形状になる。
原料の金属粉末のプレス機による圧縮・成形は、ダイ(図示せず)の成形穴にパンチを対向させて挿入してキャビティに充填された金属粉末を加圧する方法でなされる。このとき、上面2、下面3の成形と併せてランド部6の成形もなされる。
成形対象が粉末であっても、パンチは先端に尖鋭部ができると長寿命を確保することができないので、面取り部5は、その問題に対応したランド部6を含むものがよい。
図3は、この発明の焼結鑞材の第2形態である。上面2と下面3の外周の角に設ける面取り部5は、側面4に対して必ずしも45°の傾きを持つ面でなくてもよい。図3に示すように、側面4に対して30°程度の角度で傾く面にしても構わない。斜面の面取り部が上下面及び側面と交差する部分は曲面で形成してもよい。また、面取り部そのものをR面を基本形にしたものにしてもよい。第2形態の焼結鑞材1も、面取り部5を金型成形して設けており、そのために、その面取り部5に、第1形態と同様のランド部6を含ませている。R面を基本形にした面取り部についても同様のランド部を含ませるのがよい。
なお、ランド部6は、10°程度の傾斜角を有していてもよい。ここで言う傾斜角は、側面4に対して直角に交わる面の傾斜角を0°と考えたときの角度であって、その傾斜角が+10°〜−10°程度であれば、金型の先端を鈍くする目的は損なわれない。
また、既に述べたように、鑞材がセット孔内で横を向いたり、孔の途中に引っかかったりする現象は、鑞材の厚み寸法Yと横方向寸法Xが、X>Yの関係になっている鑞材や、厚み寸法Yが10mm以下、中でも、5mm以下の指先でつまみ辛くて扱い難い鑞材を使用するときに発生し易いので、上述した面取り部5は、このような鑞材に設けると効果的である。
図4に示す部材A,B(どちらも粉末の成形体)を作製し、その2者を鑞付け接合した。部材A,Bは、共に鉄系粉末をプレス成形して作られている。この部材A,Bを図5に示すように上下に重ね合わせ、図6に示すように、上にした部材Aに設けられている鑞材セット孔13に焼結鑞材1を挿入した。鑞材セット孔13は直径:φ7.14mm、深さ:6.60mmである。また、その鑞材セット孔13に挿入した焼結鑞材1は、直径(横方向寸法X):φ6.80mm、厚みY:2.44mmである。また、15wt%Mn−40wt%Ni−40wt%Cu−1.7wt%Si−1.5wt%Bの組成の密度5.5g/cm3の鑞材である。
ここでの鑞付けは、面取り部のある焼結鑞材(発明品)とその面取り部の無い焼結鑞材(比較品)を使用して行った。発明品に設けた面取り部は、C面の面取りにフラットなランドを含ませた図2の形状とし、ランドの幅wは0.1mm、C面の設置範囲hは0.5mmとした。
この実施例での評価試験は、部材B上に部材Aを載せ、部材Aに設けられた3箇所の鑞材セット孔13にそれぞれ焼結鑞材をセットするまでを組み立て時間とし、発明品と比較品の鑞材を使用したときの製品1個当たりの組み立て時間を比較した。
その結果、比較品使用時の組み立て時間は12.75秒/個であったのに対し、発明品
使用時の組み立て時間は9.75秒/個であり、製品1個当たりの組み立て時間を3秒短縮することができた。また、セット孔に挿入するときの孔縁への引っかかりによる外周の角の欠けも起こらなかった。
使用時の組み立て時間は9.75秒/個であり、製品1個当たりの組み立て時間を3秒短縮することができた。また、セット孔に挿入するときの孔縁への引っかかりによる外周の角の欠けも起こらなかった。
組み立てる製品が量産品で、1ヶ月当たりの総生産個数が仮に15000個あったとすると、例示のケースでは1個当たりの組み立て時間の短縮が3秒であるので、1ヶ月間の短縮時間を合計すると12.5時間となる。これから分かるように、この発明によれば作業能率向上に関して多大の改善効果が期待できる。
また保管・運搬時やセット孔に挿入するときの孔縁への引っかかりによる外周の角の欠けが起こりにくくなるので、鑞材の量の不足による鑞付け品質の低下や鑞付け不良を減少させることも可能になる。
1 鑞材
2 上面
3 下面
4 側面
5 面取り部
6 ランド部
13 鑞材セット孔
A,B 接合対象の部材
h 面取り部の設置範囲
w ランドの幅
X 鑞材の横方向寸法
Y 鑞材の厚み寸法
2 上面
3 下面
4 側面
5 面取り部
6 ランド部
13 鑞材セット孔
A,B 接合対象の部材
h 面取り部の設置範囲
w ランドの幅
X 鑞材の横方向寸法
Y 鑞材の厚み寸法
Claims (4)
- 焼結部品を構成する部材(A,B)を上下に重ね合わせて焼結炉に導入して接合するときに上側の部材(A)に設けられた鑞材セット孔(13)に挿入して用いる鑞材であって、
上下面(2,3)の外周の角に、面取り部(5)を有している焼結部品接合用鑞材。 - 前記面取り部(5)に、鑞材の側面(4)に対して90°±10°の角度で交わるランド部(6)を含ませた請求項1に記載の焼結部品接合用鑞材。
- 前記鑞材の厚み寸法をY、厚み方向と直角な横方向寸法をXとして、X>Yの関係を満たす形状に成形した請求項1又は2に記載の焼結部品接合用鑞材。
- 前記鑞材の厚み寸法Yが10mm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の焼結部品接合用鑞材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009208041A JP2011056533A (ja) | 2009-09-09 | 2009-09-09 | 焼結部品接合用鑞材 |
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-
2009
- 2009-09-09 JP JP2009208041A patent/JP2011056533A/ja active Pending
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