JP2011053661A - 眼鏡用偏光レンズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な方向から入射する異なる偏光方向を有する光を遮断することが可能な眼鏡用偏光レンズの製造方法を提供すること。
【解決手段】基板上に配列層を形成する工程と、擦過部材を前記配列層に接触させた状態で該配列層上で摺動させることにより、前記配列層の表面に曲線状の擦過痕を形成する工程と、前記配列層上に二色性色素を配列堆積させることにより偏光層を形成する工程と、前記偏光層に対し、該層中の二色性色素の固定化処理を施す工程と、を含む眼鏡用偏光レンズの製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、屋外等において特定の偏光方向を有する反射光等の光を遮光する目的で、特定の偏光方向の光を吸収又は透過する機能を有する眼鏡用偏光レンズの製造方法に関する。
入射光の偏光成分のうち特定方向の偏光成分のみを透過させたり、遮断したりする偏光素子は、従来より様々なタイプのものが用いられてきた。例えば光ピックアップにおいては多層膜を含むガラス素子や、有機複屈折材料からなる回折格子等がある。また、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置においてはコントラスト向上のために、二色性の偏光素子も用いられる。これはフィルムにヨウ素などの二色性材料で染色を行った後、架橋剤を用いて架橋を行い、一軸延伸する方法によって製造される。
また他にも、偏光素子の製造方法としては、二色性色素を基板上の配列層に塗布する方法がある。この方法は、水溶性の二色性色素が水溶媒中に溶解すると濃度によって液晶性を示すことを利用したものである。液晶性を発現した二色性色素を含む塗布材料を配列層上に塗布すると、液晶の配向方向が統一され、塗布膜内で二色性色素が一軸配向する。こうした一軸配向した二色性色素を含む薄膜は、偏光機能を発現するため偏光素子として利用できる。
配列層を利用する偏光素子の製造方法に関して、例えば特許文献1では、透明基板の表面上に偏光層及び保護層を有する偏光用品において、透明基板と偏光層との間に配列層として無機中間層を配置することが開示されている。上記特許文献1には、上記無機中間層は偏光層と基板との密着を強化する機能を有すること、および該無機中間層を形成する材料としてはシリカ(SiO2)が好適であること、が記載されている。
また偏光素子は、上記電子機器等における利用以外にも、装用品にも用いられている。例えば特許文献2においては、偏光フィルタを組み込んだ眼鏡用偏光レンズが提案されている。
ここで偏光について説明すると、いわゆるBrewsterの法則により、平面で反射された光はその入射面(入射方向と入射位置の法線方向を含む面)に垂直な偏光方向であるs偏光成分を多く含むことが知られている。したがって、自然光が建物の垂直反射表面により反射されると、その反射光の多くは入射面に垂直な方向、すなわち建物の面に対して平行な方向の偏光となって周囲に広がっていることになる。上記特許文献2においては、こうした反射光によるまぶしさからレンズ装用者の目を保護するために、レンズをいくつかのゾーンに分割し、これらゾーン毎に偏光軸方向の異なる偏光フィルタを配置する。また、特許文献2には、レンズ装用者が環境の探索中に自分の目を動かすタイプなのか、それとも頭を動かすタイプなのか判別を行い、これに合わせてゾーンの大きさを変えてカスタマイズする工程を含む偏光レンズの製造方法も開示されている。
国際公開第06/081006号 特表2009−510504号公報
上記特許文献2において提案された偏光レンズは、装用者の真横からは偏光方向が鉛直方向の偏光がレンズに入射し、上方からは偏光方向が水平方向の偏光が入射することを想定している。しかし、反射光の偏光方向が鉛直方向となるのは朝夕など太陽高度が低い時に建物等の側面によって反射される場合である。また、上方から偏光方法が水平方向の偏光が装用者に入射するのは、反射面に対して垂直な方向に装用者と太陽の位置が並んだ場合である。
このような状況は、日常においてむしろ特殊な場面であり、太陽からの自然光は一日の大部分において装用者の斜め上方(前後方向も含む)から地表に向かって降り注ぐことが多い。したがってこうした光が建物のガラスやパネル等によって反射されると、多くの反射光は斜め上方向からレンズに入射することになる。すなわち、眼鏡レンズに入射する反射光の多くは、眼鏡の基準線方向(水平方向)や子午線方向のいずれとも異なる斜め方向に偏光した光となる。
すると、上記特許文献2における偏光レンズでは、こうした斜め方向から入射する斜め方向に偏光した光を完全に遮断することができず、その多くを透過させてしまうことになる。また我々が生活する環境には、建物のガラスやパネル等の平面による反射面だけでなく、例えば車等の湾曲した光沢面が存在するが、こうした面によって反射される複雑な偏光方向を含む光を遮断することはできない。
また、ゾーン毎に偏光軸方向を変化させる場合には、遮断できる光の偏光方向が限られ、装用者の用途に応じて多くのバリエーションを準備しなければ顧客の要求に応えることが困難になってしまうことも予想される。さらには、こうした全てのバリエーションを装用者が持ち歩き、必要に応じて掛け替えるのは不便であるため好ましい偏光レンズとは言い難い。
上記課題を鑑みて本発明は、様々な方向から入射する異なる偏光方向を有する光を遮断することが可能な眼鏡用偏光レンズの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
基板上に配列層を形成する工程と、
擦過部材を前記配列層に接触させた状態で該配列層上で摺動させることにより、前記配列層の表面に曲線状の擦過痕を形成する工程と、
前記配列層上に二色性色素を配列堆積させることにより偏光層を形成する工程と、
前記偏光層に対し、該層中の二色性色素の固定化処理を施す工程と、
を含む眼鏡用偏光レンズ(以下、単に「偏光レンズ」ともいう)の製造方法
に関する。なお、上記配列層表面に擦過痕を形成する工程は、配列層表面の全面で曲線状の擦過痕を形成するのみでなく、一部に直線状の部分が含まれる擦過痕を形成するものでもよく、少なくとも部分的に曲線状の擦過痕を形成するものであればよい。
上記曲線状の擦過痕を形成する工程は、前記擦過部材を前記配列層に接触させた状態で、前記擦過部材又は前記基板のうち一方を固定し、他方を任意の位置の移動基準を回旋中心として摺動させることによって行うことができる。
このように本発明の一態様では、基板、もしくはこの基板上の配列層表面に擦過痕を筋付けする擦過部材のどちらか一方を、任意の位置の移動基準を中心として回旋運動、更には等距離運動させて摺動することにより擦過痕を形成する。すなわち、本発明の一態様では、上記摺動によって配列層上に円弧や同心円等の曲線状の擦過痕を形成することができ、上記擦過痕を有する配列層上に二色性色素を配列堆積させることにより、少なくとも一部が曲線状である偏光軸を有する偏光層を形成することができる。また、上記態様において移動基準を基板上以外に設定する場合には、基板と擦過部材のどちらを回旋させても、配列層表面には円弧状の擦過痕を形成することができる。一方、移動基準を基板上に配置すると、配列層表面には、その移動基準を中心とした同心円状の擦過痕を形成することができる。
また、上記曲線状の擦過痕を形成する工程は、前記擦過部材を前記配列層上に接触させた状態で、前記擦過部材及び前記基板の少なくとも一方を、異なる方向(例えば二方向以上)に相対的に移動(直線移動も含むことができる)させて摺動させることによって行うこともできる。例えば、前記擦過部材及び前記基板の一方を固定して他方を二軸アクチュエータ等によって異なる二方向に移動してもよく、又は、一方を一軸方向に直線移動させ、他方を例えば直交する方向に直線移動させることで、円弧状や同心円状の擦過痕を形成することができる。
これら円弧や同心円等の曲線状の擦過痕が形成された配列層表面に二色性色素を含有する塗布液を塗工すると、その擦過痕に沿って上記曲線状の偏光軸を有する偏光層を形成することができる。上記曲線状の偏光軸は、連続的に偏光軸方向が変化しているため、その偏光軸方向の変化に応じて様々な偏光方向の光を遮断することができる。
また特に、上記移動基準を基板上に設定して擦過痕の形成を行う場合には、同心円状の閉曲線による偏光軸を形成することができるため、360度あらゆる方向から入射する反射光に対応することが可能となる。
本発明によれば、連続的に偏光軸方向の変化する偏光層を形成することができるので、様々な方向から入射する異なる偏光方向の光を遮断することが可能な眼鏡用偏光レンズを提供することができる。
図1A〜Eは本発明による偏光レンズの製造方法を示す工程図である。 図2は本発明の第1の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法における擦過痕形成工程を示す図であり、Aはその上面図、Bはその側面図である。 図3は本発明の第1の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法により製造した偏光レンズの一例の偏光軸を示す平面図である。 図4は本発明は第1の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法により製造した偏光レンズの他の例の偏光軸を示す平面図である。 図5は本発明の第1の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法の第1の変形例における擦過痕形成工程を示す図であり、Aはその上面図、Bは側面図である。 図6は本発明の第1の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法の第2の変形例における擦過痕形成工程を示す図である。 図7は本発明の第1の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法の第3の変形例における擦過痕形成工程を示す図であり、Aはその上面図、Bは側面図である。 図8は本発明の第2の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法における擦過痕形成工程を示す図であり、Aはその上面図、Bは図8AのII線上の断面図である。 図9は第2の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法により製造した偏光レンズの一例の偏光軸を示す平面図である。 図10は本発明の第3の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法における擦過痕形成工程を示す図であり、Aはその上面図、Bは側面図である。 図11は擦過痕形成装置の一例を示すブロック図である。 図12は擦過痕形成装置の他の例を示すブロック図である。 図13は本発明の第3の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法における擦過痕と偏光軸の配置例を示す。 図14は本発明の第3の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法における擦過痕と偏光軸の配置例を示す。
以下本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.偏光レンズの材料構成
2.擦過痕形成工程以外の製造工程
3.第1の実施の形態(円弧状の擦過痕を形成する形態)
(3−1)基本例
(3−2)第1の変形例
(3−3)第2の変形例
(3−4)第3の変形例
4.第2の実施の形態(閉曲線状の擦過痕を形成する形態)
5.第3の実施の形態(基板と擦過部材とを相対的に二方向に移動する形態)
6.擦過痕形成装置の例
(6−1)円弧状の擦過痕を形成する装置の例
(6−2)同心円状の擦過痕を形成する装置の例
1.偏光レンズの材料構成
本発明により製造される偏光レンズは、眼鏡用のレンズであって、プラスチックやガラス等の透明部材より成る基板上に、必要に応じて密着性、耐衝撃性を向上させるプライマー層が形成され、その上にハードコート層が形成される。そしてその上にまた必要に応じて新たなプライマー層を形成し、そのプライマー層上に配列層と、二色性色素を配列堆積させて成る偏光層を順次設ける。また更に、その上に反射防止膜や、必要に応じて撥水膜等の機能性膜を形成して構成してもよい。
偏光レンズに用いる基板としては、特に限定されず、プラスチック基板、無機ガラス基板等が挙げられる。プラスチック基板の材質は、例えば、メチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エピチオ基を有する化合物を材料とする重合体、スルフィド結合を有するモノマーの単独重合体、スルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリジスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。
上記基板としては、メニスカスや凸レンズ状等の基板を用いることができる。また基板の表面形状は、特に限定されず、平面状、凹面状、又は凸面状等の任意の形状とすることができる。基板には例えば処方の度数が付与されていてもよく、または度数が付与されないレンズ基板でもよい。
基板上に形成される配列層は、二色性色素を配列堆積させるために設けられる。配列層としては、シリコン酸化物や金属酸化物、またはこれらの複合体や化合物を用いることができる。好ましくは、Si、Al、Zr、Ti、Ge、Sn、In、Zn、Sb、Ta、Nb、V、Yから選ばれる材料の酸化物や、これら材料の複合体、化合物を用いることができる。また、これらの中でも特にSiOやSiO2を用いることが好適である。配列層は、例えば、上記材料を用いて蒸着等の成膜工程により形成することができる。なお、配列層の膜厚の範囲としては、この上に形成する偏光層に偏光機能を付与するに十分な擦過痕が形成可能な厚さであればよい。また必要以上に厚すぎると蒸着時間が長くかかってしまう。以上の観点から、配列層の厚さは、例えば85nm以上500nm以下とすることができる。
また、配列層を形成する材料としては、基板に対してある程度密着性を有し、上層の偏光層における偏光軸方向を容易に規定できる材料であれば、有機物を含む材料も利用可能である。例えば配列層は、ゾル−ゲル法によって有機材料を用いて形成することもできる。この場合に使用される材料は特に限定されるものではない。有機材料から形成される好ましい配列層としては、例えば無機酸化物ゾルと、下記一般式(1)で表わされるアルコキシシラン、下記一般式(2)で表わされるヘキサアルコキシジシロキサンとを少なくとも含有し、さらに必要に応じて下記一般式(3)で表わされる官能基含有アルコキシシランを含有する材料を用いて製膜されるゾル−ゲル膜を挙げることができる。なお、アルコキシシランとヘキサアルコキシジシロキサンについては両方を含むことは必須ではなく、どちらか一方を含有したものでも構わない。
Si(OR1)a(R24-a ・・・(1)
(R3O)3Si−O−Si(OR43 ・・・(2)
5−Si(OR6b(R73-b ・・・(3)
ここで、上記一般式(1)におけるR1、上記一般式(2)におけるR3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。この中で、メチル基、及びエチル基が好ましい。
上記一般式(1)におけるR2は、炭素数1〜10のアルキル基であり、上記で例示した炭素数1〜5のアルキル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、及び2−エチルヘキシル基等が挙げられる。この中では、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。上記一般式(1)におけるaは、3又は4である。
上記一般式(3)におけるR5は、グリシドキシ基、エポキシ基、アミノ基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1以上の官能基を有する有機基であり、R6及びR7は、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、bは2又は3である。
本発明における偏光層は、1種または2種以上の二色性色素を含有するものであればよい。ここで、「二色性」とは、媒質が光に対して選択吸収の異方性を有するために、透過光の色が伝播方向によって異なる性質を意味し、二色性色素は、偏光光に対して色素分子のある特定の方向で光吸収が強くなり、これと直交する方向では光吸収が小さくなる性質を有する。また、二色性色素の中には、水を溶媒とした時、ある濃度・温度範囲で液晶状態を発現するものが知られている。このような液晶状態のことをリオトロピック液晶という。この二色性色素の液晶状態を利用して特定の一方向に色素分子を配列させることができれば、より強い二色性を発現することが可能となる。
本発明に使用される二色性色素としては、特に限定されず、偏光素子に通常使用されるものとして知られているものを用いることができる。例えば、アゾ系、アントラキノン系、メロシアニン系、スチリル系、アゾメチン系、キノン系、キノフタロン系、ペリレン系、インジゴ系、テトラジン系、スチルベン系、ベンジジン系等が挙げられる。また、米国特許2400877号明細書、特表2002−527786号公報明細書に記載されているもの等も用いることができる。
また、本発明により得られる偏光レンズは、基板上に配列層が形成される。配列層は、基板上に直接積層されていてもよく、前記基板と配列層との間に、ハードコート層やプライマー層を有していてもよい。この場合のハードコート層の材料は特に限定されず、公知の有機ケイ素化合物及び無機酸化物コロイド粒子よりなるコーティング組成物を使用することができる。
また、プライマー層には、密着性を向上させる観点から、ポリウレタン等の公知の各種樹脂を用いることができる。
2.擦過痕の形成工程以外の製造工程
次に、図1の工程図を参照して本発明の各実施の形態に共通する製造工程について説明する。
本発明の偏光レンズの製造方法は、好ましくは下記の第1〜第4の工程を含む。
第1の工程においては、基板上に配列層を形成する。なお上記の通り、この第1の工程の前に、眼鏡レンズ等の場合によってはハードコート層やプライマー層を形成する工程を追加してもよい。
第2の工程においては、配列層に擦過部材を接触させて摺動させ、曲線状の擦過痕を形成する。この工程については、後で詳細に説明する。
第3の工程においては、擦過痕を形成した配列層の上に、二色性色素を配列堆積させて偏光層を形成する。
第4の工程においては、配列層上に形成した偏光層に対し、該層中の二色性色素の固定化処理を施す。固定化処理は、上記偏光層上に保護層を形成することにより行うことができる。なお後述するように、上記保護層は、通常偏光層と一体化した層となる。その後、必要に応じて反射防止膜や撥水膜等の機能性膜を形成する工程を追加してもよい。
図1A〜Eは、上記第1〜第4の工程を含む偏光レンズの製造方法の工程図である。
まず第1の工程は、図1Aに示すように、基板1上に必要に応じてハードコート層2やプライマー層3を形成し、その後配列層4を形成する。ハードコート層2を基板上に形成する方法としては、上記コーティング組成物を基板に塗布する方法が挙げられる。塗布手段としてはディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法等の通常行われる方法が適用できるが、面精度の面からディッピング法、スピンコーティング法が特に好ましい。
また、プライマー層3も同様の方法により塗布することができる。
またこれらの層をコーティングする前に酸、アルカリ、各種有機溶剤による化学的処理、プラズマ、紫外線などによる物理的処理、各種洗剤を用いる洗剤処理、サンドブラスト処理、さらには各種樹脂を用いたプライマー処理を基板表面に施すことによって、基板1との密着性等を向上させることができる。なお、ハードコート層2、プライマー層3を設けない場合は、この上に形成する配列層4との密着性を向上させることができる。
配列層4を上述したシリコン酸化物や金属酸化物又はこれらの複合体や化合物を用いて形成する場合は、蒸着等により形成することができる。前述のゾル−ゲル膜として配列層を形成する場合は、上記材料を含むコート液をスピンコート等によって塗布して形成することができる。このコート液を調製する際の溶媒や、加水分解反応を促進させる触媒等は特に限定されず、後の工程で擦過痕を形成する際に不都合の生じないものであればよい。
このコート液を基板1上にスピンコート等により塗工し、続いて熱処理することでゾル−ゲル膜を形成することができる。ゾル−ゲル膜の厚みは、例えば0.02〜5μm、より好ましくは0.05〜0.5μmである。この厚みが0.02μm以上であれば、後の擦過痕形成の際に膜全体の剥離が生じることなく、形成されるゾル−ゲル膜を配列層として機能させることができ、5μm以下であればクラックの発生を低減することができる。
塗工及び熱処理の条件には、特に制限はなく、良好な遮光効果をもたらし得る偏光層を形成可能な膜厚均一性、表面平滑性を有する配列層を形成可能な条件とすればよい。このような塗工条件としては、例えばスピンコートによる場合はスピンコータの回転数200〜2000rpm、処理時間0.5分〜3分とすることが好ましい。また熱処理条件は、50〜120℃、0.5〜3時間とすることが好ましい。
前述のように、配列層4は、上述したSiO2等の無機物質から蒸着等により形成される薄膜であってもよく、前記したゾル−ゲル膜であってもよい。無機物質から形成された薄膜は比較的硬いため、例えば平均粒径が2μm以上の研磨剤を使用した加工が必要となる場合がある。そのような場合には、擦過痕が粗くなり、曇り等の問題を生じることがある。
一方ゾル−ゲル膜は、通常、無機物質から形成される薄膜と比べて硬度は低いので、例えば平均粒径が2μm未満の研磨剤を使用する微細な擦過痕形成処理を容易に行うことができる。また、上記一般式(1)〜(3)に示す材料を含む場合は更に微細な粒子の研磨剤を使用することもできる。このため、後述するような曲線状の加工を行う場合に、よりきめ細かな加工が可能となり、例えば部分的に接触圧が高くなった場合や、一箇所において擦過部材を集中的に摺動させたような場合でも、加工痕(擦り傷)による曇りの発生を抑えることができる。したがって、不良品の発生を減らすことにつながり、歩留まりの向上、コスト高の抑制を図ることができる。
更にゾル−ゲル膜の形成には、SiO2のような無機物質による層を形成する際に必要となる大掛かりな真空蒸着設備を利用する必要がないため、製造作業の煩雑さを解消し、製造工程を簡略化することができる。
第2の工程では、図1Bに示すように、第1の工程によって形成した配列層4に対して後述する方法によって円弧状や同心円状等の曲線状に擦過痕形成処理を行い、曲線状の擦過痕5を形成する。この擦過痕形成処理は、擦過痕5の幅及び深さをある程度揃えるために、研磨剤を用いて行うことが好ましい。また擦過痕5の断面形状は図示の例のように鋸歯状に限定されるものではなく、偏光作用にばらつきが生じない程度に揃っていればよい。
ところで、液晶ディスプレイ(LCD)製造において、液晶をセル内で配列するために、基板上に取り付けた配列膜(ポリイミドなど)を一方向に擦る、いわゆるラビング工程が行われることはよく知られている。二色性色素を含む溶液を一方向研磨した基板上にコートし、この色素を配列させその二色性を利用する技術は、例えば、米国特許2400877号明細書や米国特許4865668号明細書等に開示されている。
本発明においても、液晶ディスプレイ(LCD)製造における液晶の場合と同様に、基板上に形成した配列層(例えば上記ゾル−ゲル膜)上で擦過部材を摺動させる、もしくは基板を摺動させることにより、二色性色素を特定の方向に配列させることが可能な擦過痕を形成することができる。
擦過痕形成に使用される研磨剤としては、特に制限はないが、例えば、研磨剤粒子を含むスラリーをウレタンフォーム等の発泡材料に浸漬させたものを用いることができる。研磨剤粒子としては、Al23、ZrO2、TiO2等が挙げられる。この中で、形成した配列層4に対する硬度(容易さ、仕上がり)、および化学的安定性の観点から、Al23が好ましい。これらは1種単独でも、又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、研磨剤粒子を含むスラリーには、粘度改質剤、pH調整剤等を含有していてもよい。
研磨剤粒子の平均粒径としては、微細な擦過痕形成処理を行うためには、7μm未満であることが好ましい。特に0.05〜6.7μmがより好ましく、1.5〜3.0μmがさらに好ましい。
また加工条件は特に限定されず、回転速度、接触圧、及び加工時間等を適宜調整することができる。擦過回数を多くしても得られる偏光作用に大きな違いはないため、擦過回数は1回以上数回程度であればよい。
次に第3の工程では、図1Cに示すように第2の工程で形成した曲線状の擦過痕5を有する配列層4上に、二色性色素を配列堆積させて偏光層6を形成する。まず偏光層6を形成する前に、加工した配列層の表面を完全に洗浄し、乾燥させることが好ましい。次に、二色性色素を含有する水溶液あるいは懸濁液(好ましくは水溶液)を、擦過痕5を有する配列層4上に塗布、さらに好ましくは二色性色素の非水溶化処理を行うことで、偏光層6を形成することができる。
二色性色素の塗布方法としては、特に限定はなく、スピンコート、ディップコート、フローコート、スプレーコート等の公知の方法が挙げられる。
また、二色性色素を含有する水溶液あるいは懸濁液に、さらに上記以外の色素などを、本発明の効果を損なわない限り配合することで、例えば所望の色相を有する眼鏡用偏光レンズを製造することができる。更に、塗布性等を向上させる観点から、必要に応じてレオロジー改質剤、接着性促進剤、可塑剤、レベリング剤等の添加剤を配合してもよい。
非水溶化処理としては、配列層上に塗布した二色性色素を金属塩水溶液に浸漬する方法が好ましい。使用できる金属塩としては、特に限定されてないが、AlCl3、BaCl2、CdCl2、ZnCl2、FeCl2及びSnCl3等が挙げられる。この中で、安全性の観点から、AlCl3及びZnCl2が好ましい。なお非水溶化処理後、二色性色素の表面をさらに乾燥させてもよい。
また偏光層の厚さは特に限定されないが、目的とする偏光効果(不要光の遮光効果)を良好に得るために、0.05〜0.5μmの範囲であると好ましい。
既述のように、液晶性を発現した二色性色素を含む塗布材料を配列層4上に塗布すると、液晶の配向方向が配列層4に形成された擦過痕5に沿って統一され、塗布膜内で二色性色素が一軸配向する。このように二色性色素の配向構造を形成することにより、擦過痕5に沿った偏光軸を有する偏光層6を形成することができる。なお、二色性色素には擦過痕5の方向に対して垂直方向に配向するものと、擦過痕5の方向に沿って配向するものとがある。本発明においてはいずれの二色性色素も利用可能であるが、円弧や同心円状の偏光方向の分布を形成するには、擦過痕に沿って配向する性質を有する材料を用いるほうがより好ましい。
第4の工程では、配列層上に形成した偏光層に対し、該層中の二色性色素の固定化処理を施す。本工程は、図1Dに示すように、第3の工程で形成した偏光層6上に色素を固定するための保護層7を形成することにより行うことができる。その後、図1Eに示すように、必要に応じて保護層7上に撥水膜等の機能性膜8を形成してもよい。
この保護層7の形成に用いられる材料としては、有機ケイ素化合物を挙げることができる。例えば、偏光層6上に有機ケイ素化合物を含む液をディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法等の公知の手段によって塗布、次いで熱硬化により製膜することで、保護層7を形成することができる。この際、上記有機ケイ素化合物は偏光層6に浸透し、実質的に保護層7と偏光層6とが一体化した層が形成される。保護層7と偏光層6が一体化した層の膜厚は、特に限定されないが、0.05〜1μmの範囲であると好ましい。
また、上記工程を経て得られた眼鏡用偏光レンズに対しては、耐擦傷性を向上させるハードコート膜、反射防止膜、撥水膜、UV吸収膜、赤外線吸収膜、フォトクロミック膜、静電防止膜等の機能性膜を公知の方法により形成してもよい。
例えば反射防止膜の材質及び形成方法は特には限定されず、公知の無機酸化物よりなる単層、多層膜として反射防止膜を形成することができる。この無機酸化物としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ニオブ(Nb25)酸化イットリウム(Y23)等が挙げられる。
3.第1の実施の形態(円弧状の擦過痕を形成する形態)
(3−1)基本例
次に、第1の実施の形態に係る偏光レンズの製造方法における上述の第2の工程である擦過痕形成工程についてより詳細に説明する。
図2は本実施の形態における擦過痕形成工程を示す図であり、図2Aは加工時の上面図、図2Bはその側面図を示す。ここでの例は基板を固定し、擦過部材を移動基準を中心として回旋させて、特に円弧運動させるものである。
図2Aに示すように、配列層(図示せず)を形成した基板10を、配列層側の面を上側にして冶具13に設置し、固定する。
そして、基板1の上方に擦過用のヘッド14を配置する。ヘッド14は、例えば棒状のシャフト16の一端に固定され、ヘッド14から所定の長さの位置(シャフト16の他端)が移動基準17とされる。この移動基準17において、シャフト16は、図2Aにおいて矢印r1で示すように、この移動基準17を中心とした回旋が可能となるように、図示しない支柱等に保持される。またヘッド14の下部には図2Bに示すように擦過部材15が取り付けられる。この擦過部材15にスポンジやゴム、風袋等の弾性体を用いることにより、擦過部材が基板10の凸面や凹面等様々な表面形状に追従することが可能となる。
図2に示す例は、シャフト16の移動基準17が、基板10の幾何中心から離れた位置に配置され、且つ基板10の外側に配置された例であり、これにより擦過部材15は基板10の表面上を円弧状の軌跡を描きながら往復する回旋移動(揺動)を行う。擦過部材15を基板10上の配列層表面に接触させ、必要に応じて図2Bに矢印fで示すように基板10に向かって圧力を加えて回旋移動させることで、配列層に円弧状の擦過痕が形成される。また、この際には既述の研磨剤と溶媒(純水、油性溶媒、又は純水と添加剤等を混ぜたもの)を混合したものをスラリーとして用いてもよい。スラリーの代わりにAl23等の研磨剤を含浸させたシートを用いてドライ加工してもよく、又は必要に応じて純水又は油などを供給してウェット加工により擦過痕形成を行ってもよい。
また、擦過部材15のサイズが基板よりも小さい場合、すなわち基板10の表面上の異なる領域を摺動させる必要がある場合には、シャフト16の移動基準17を図2A中矢印hで示すようにシャフト16の延長方向に沿って直線移動させてから、同様の回旋移動を行って円弧状の擦過痕を形成すればよい。これを繰り返すことによって基板10の表面全面に渡って擦過痕を形成することができる。
また、シャフト16の位置を変えず、基板10を移動させて同様に基板10上の別の位置に擦過痕を形成してもよい。
また、例えば移動基準17においてシャフト16をNC(数値制御)装置等に接続し、ヘッド14を回旋移動すると共に、例えばシャフト16の延長方向に沿って直線移動させることで、より複雑な自由曲線を描くことも可能である。ヘッド14から移動基準17に至るシャフト16の長さを可変とする構造であれば、回旋移動の半径を任意の大きさに変化させることができ、曲線の曲率を変化させた擦過痕を形成することも可能となる。この場合には、擦過痕の形成領域や所望する擦過痕の曲率によっては、移動基準17が基板10上に位置するようにしてもよい。
一態様では、前記基板の幾何中心よりも、眼鏡の装用状態における鉛直下方側の位置にシャフト16の移動基準17を配置することが好ましい。このように移動基準を設定することにより、装用状態における鉛直上方側に円弧の山が向いた擦過痕を形成することができる。また逆に、前記基板の幾何中心よりも、装用状態における鉛直上方側にシャフト16の移動基準17を配置すると、装用状態における鉛直下方に円弧の山が向いた擦過痕を形成することができる。なお、特記しない限り、本発明における基板ないしレンズ上の位置および方向は、レンズ装用状態における位置および方向を意味するものとする。
特に、移動基準18を基板の幾何中心を通る鉛直方向の直線上に配置する場合には、円弧頂点の位置も鉛直方向に揃うこととなる。上記基板の幾何中心は、即ち得られる偏光レンズの幾何中心である。なお、ここでレンズについて幾何中心とは、偏光レンズが単焦点レンズの場合は光学中心であり、累進屈折力レンズの場合は、例えばプリズム測定基準点である。
このようにして製造された偏光レンズの一例の平面図を図3及び図4に示す。図3に示す偏光レンズ60は、その表面に上向きに凸の円弧状の偏光軸61を有する偏光層を備える。すなわちこの場合、円弧を形成する円の中心が鉛直方向下方側にあり、レンズ面内において上方向への眼球の回旋または回転による上方向への視線方向の変化に対応可能な偏光軸(吸収軸)を形成することができる。したがって、本実施の形態による方法によって製造された偏光レンズは、装用者の正面から入射する垂直面又は水平面からの反射光に対し、レンズの正面の領域ではその偏光方向に沿った偏光軸(すなわち吸収軸)が形成されているので、これらを良好に遮光することができる。一方、前述したように建物の外壁等において斜め上方向から入射した光の偏光方向は斜め方向となるが、このような光についても、レンズの偏光軸を円弧状とすることで斜め右上又は左上の領域で、偏光軸方向が斜めとなるので、このような斜め方向の偏光光をも良好に遮光することができる。なお、本発明において偏光軸方向とは、曲線状の偏光軸については、その接線方向を指す。また、偏光層は、通常2本以上の複数の偏光軸を含むが、その本数および間隔は特に限定されるものではなく、所望の偏光機能に基づき設定されるものである。同一面内の複数の偏光軸は、通常平行に配置されるが、交差しない程度に方向が揃っていればよく完全に平行であることは必須ではない。
図4は、図2において説明した擦過痕の形成の際に、移動基準17を、前記基板の幾何中心よりも装用時における鉛直上方側に配置した場合に形成される偏光レンズの一例を示す図である。この場合、偏光レンズ70には、鉛直方向下向きに凸の円弧状の偏光軸71が形成される。このレンズ70では、レンズ面内において下方向への眼球の回旋による視線方向の変化に対応可能な偏光軸(吸収軸)を形成することができるので、斜め下方向から入射する斜め方向に偏光した光を遮光することができる。この場合、例えば水辺において、装用者の正面及び斜め方向から太陽が照りつける場合の水面からの反射光を良好に遮光することができる偏光レンズを提供することができる。
なお、前述の特許文献2に記載された偏光レンズにおいては、偏光軸の方向がゾーン毎において切り替わる。このため、その境界を越えて眼球が回旋すると、突然まぶしくなったり、または暗くなったりすることとなり、不自然な視界となってしまうことが懸念される。これに対して本発明の製造方法によれば、偏光軸の方向が連続的に変化する偏光レンズを製造することができるため、自然で良好な視界を得ることができる。また偏光軸の方向が連続的に変化することにより、様々な偏光方向の光に対応することが可能となる。
また、図2A及びBに示すように、擦過部材15を移動基準17を中心として円弧状に移動させて擦過痕を形成することで、円弧にぶれが生じることなく、連続的な曲線を形成することが可能となる。ここで連続的とは、その曲線を関数で表した場合に、その二次微分が定数となるように滑らかな連続性をもつことが好ましい。ただしここで連続的とは、人の視力で認識可能なスケールにおいて連続的であればよく、分子サイズ等の微視的なスケールで連続である必要はない。また例えば偏光軸方向が直線の領域と曲線の領域を含む場合、その接続部分が滑らかに変化することが好ましいが、上述したように図2に示す例において、移動基準17を中心とした回旋移動に加え、直線移動することで十分滑らかに擦過痕を形成することができる。
(3−2)第1の変形例
この例においては、擦過部材を固定して、基板を回旋移動する例を示す。図5はこの例の擦過痕形成工程を示す図である。図5Aは擦過痕形成時の上面図、図5Bは側面図である。本変形例においては、図5を用いて説明する擦過痕の形成工程以外は、前述した図1に示す工程と同様の工程を経て偏光レンズを製造することができる。
図5Aに示すように、この例では、擦過用ヘッド24を固定し、基板20はその上に形成された配列層(図示せず)を上向きとして、治具23に固定する。治具23には棒状のシャフト26が接続されており、シャフト26上の治具23から任意の長さの位置に移動基準27が設けられ、図示しない支持部に固定される。図5Bに示すようにヘッド24の下部には擦過部材25が備え付けられており、この擦過部材25はスポンジやゴム、風袋等の弾性体によって構成され、基板20の表面形状に追従して擦過痕の形成を行うことができる。そしてシャフト26を、この移動基準27を中心として任意の半径で回旋移動することで、先端の治具23が矢印r2で示すように回旋移動し、これにより基板20が回旋移動する。この状態で、擦過部材25を基板20上の配列層表面に接触させ、必要に応じて図5Bに矢印fで示すように所定の圧力で押し付けることで、配列層に円弧状の擦過痕を形成することができる。
この加工時には、上述の基本例と同様に既述の研磨剤と溶媒を混合したものをスラリーとして供給することが好ましい。また本変形例においてもスラリーの代わりにAl23を含浸させたシートを用いてドライ加工してもよく、または純水もしくは油を供給してウェット加工を行ってもよい。
擦過部材25を基板20上の異なる領域において摺動させる時には、ヘッド24の位置を変えるか、もしくはシャフト26の移動基準27を図5A中矢印hで示すように、その延長方向に沿って移動させるか、または治具23から移動基準27までの長さを変えて円弧状の擦過痕の半径を変化させることにより、基板20の全面に渡って加工を行う。またこの場合も、治具23を移動基準27を中心として回旋移動しながらシャフト26を直線移動することで、より複雑な曲線の擦過痕を連続的に形成することもできる。
また、この例においても、前記基板の幾何中心よりも装用状態における鉛直下方側の位置にシャフト26の移動基準27を配置するか、逆に、前記基板の幾何中心よりも装用状態における鉛直上方側の位置にシャフト26の移動基準27を配置することで、上記と同様の効果が得られる。また基板幾何中心を通る鉛直方向の直線上に移動基準27を配置することにより、前述と同様に擦過痕の円弧頂点位置を鉛直方向に揃えることができる。
このように本変形例においても、円弧状の擦過痕を有する配列層が形成されるので、この上に二色性色素を含む塗布液を塗布することにより、円弧状に連続的に偏光軸方向が変化する偏光層を形成することができる。したがって、本変形例による方法によって製造した偏光レンズも、装用者の斜め上方や斜め下方から入射する、斜め方向に偏光した反射光を遮断することが可能である。また円弧頂点位置を鉛直方向に揃えることで、正面方向からの反射光も遮断する効果が得られる。
(3−3)第2の変形例
本変形例は、ヘッドに擦過部材を固定する代わりに定盤を用い、この定盤を擦過部材として回転させることによって基板上の配列層に擦過痕を形成するものである。本変形例において説明する擦過痕の形成工程以外の工程は、図1を参照して説明した製造工程を経て同様に製造することができる。
図6は、この例における擦過痕の形成工程を示す上面図である。図6に示すように、任意の大きさの、例えば円形状の定盤31上に、配列層を形成した基板30を、その配列層の表面を摺動面として定盤31側に向けて、定盤31と共に回転しないように別体の支持体(図示せず)に固定して、定盤31の中心からずらした位置に配置する。
定盤31は、基板30との接触面にスポンジやゴム、風袋等の弾性体が取り付けられた構造とし、基板30の摺動面の形状に追従するようにすることが好ましい。そして、スラリー供給部32から研磨剤と溶媒を混ぜたスラリーを供給し、定盤31の、例えば中央に配置される移動基準C1を中心として矢印R1の方向に定盤31を回転させる。またこの例においても、スラリー供給を行わずに、定盤31の表面に研磨シート等を設ける構成としてドライ加工してもよく、または純水もしくは油を供給してウェット加工により擦過痕の形成を行ってもよい。
これにより基板30上に形成されたゾル−ゲル膜やSiO2膜等より成る配列層の表面が擦過されるが、本変形例においては移動基準C1が基板30から離れた位置に配置されるので、基板30上の配列層に円弧状の擦過痕を形成することができる。研磨剤や溶媒は上述の基本例と同様のものを用いることができる。
また、基板30の固定の態様については特に限定されないが、定盤31の移動基準C1から任意の距離に基板30を固定し、任意の半径の円弧状の擦過痕を形成できるようにすることが好ましい。
この第2の変形例の場合には、装用時における鉛直下側に定盤31の移動基準C1が位置するように基板30を配置すると、円弧状の擦過痕は鉛直方向上側に凸状として形成される。また逆に、装用時における鉛直上側に定盤31の移動基準C1が位置するように基板30を配置する場合には、円弧状の擦過痕が鉛直方向下向きとなった配列層が形成される。これらの偏光レンズの場合、前述の図3及び図4を用いて説明した例と同様の遮光機能をもつ構成とすることができる。
このように本変形例においても同様に、連続的に偏光軸の方向が変化する偏光層を形成することができるので、様々な方向から入射し、様々な偏光方向を有する光を遮断することが可能である。
(3−4)第3の変形例
本変形例は、定盤を固定し、基板をこの基板から離れた位置の移動基準を中心軸として回旋移動させることによって加工を行い、円弧状の擦過痕を備えた配列層を形成するものである。なお、図7を用いて説明する擦過痕の形成工程以外の工程は、上記各変形例と同様に、図1において説明した製造工程を経て同様に製造することができる。
図7は、本変形例における擦過痕形成工程を示す上面図である。ゾル−ゲル膜又はSiO2層等より成る配列層が形成された基板40は、その配列層の形成された面を定盤41側に向けて治具43に固定される。治具43には、例えば棒状のシャフト46が接続されており、移動基準47を中心軸として基板40を回旋移動させる。定盤41の基板40側の面はスポンジやゴム、風袋等の弾性体によって構成され、基板40の表面形状に追従するようになっていることが好ましい。
そしてスラリー供給部42から研磨剤と溶媒を混ぜたスラリーを供給し、基板40を必要に応じて任意の圧力で押し付けて定盤41に接触させながら、移動基準47を中心軸として基板40を回旋移動させることにより、基板40は定盤41上で円弧状の軌跡を描いて摺動する。またこの例においても、スラリー供給を行わずに、定盤41の表面に研磨シート等を設ける構成としてドライ加工してもよく、または純水もしくは油を供給してウェット加工により擦過痕の形成行ってもよい。これにより基板40上の配列層に円弧状の擦過痕を形成することができる。したがって、この配列層上に二色性色素を含む塗布液を塗工することにより、擦過痕に沿って円弧状の偏光軸を有する偏光層を形成することができる。
また本変形例の場合においても、装用時における鉛直下側に移動基準47が位置するように基板40を配置すると、円弧状の偏光軸が装用時における鉛直上側に凸状となる偏光レンズを製造することができる。逆に、装用時における鉛直上方側に移動基準47が位置するように基板40を配置した場合には、円弧状の偏光軸が装用時における鉛直下側に凸状とされた偏光レンズを製造することができる。これらの場合も、図3及び図4において説明した例と同様の遮光効果を得ることができる。
このように、円弧状に連続的に偏光軸の方向が変化する偏光層を形成することで、この偏光層を備えた偏光レンズは多様な偏光方向の光を遮断することが可能となる。偏光軸の方向が連続的に変化しているため視野内の明るさの変化が自然であり、良好な視界を得ることができる。
4.第2の実施の形態(閉曲線状の擦過痕を形成する形態)
本実施の形態による偏光レンズの製造方法は移動基準を基板上に配置するものである。これにより閉曲線状の擦過痕が配列層上に形成され、この上に二色性色素を配列堆積することにより、閉曲線状の偏光軸を備えた偏光層を形成することができる。また、擦過痕の形成工程以外の工程においては第1の実施の形態と同様の工程、方法によって製造することができる。
図8は、本実施の形態における擦過痕の形成工程を示す図である。図8Aは擦過痕の形成時の上面図、図8BはそのII線上の断面図である。
図8Aに示すように、定盤51は、例えばその中心に配置される回転軸である移動基準C2を中心として、矢印R2の方向に回転する。また、図8Bに、図8Aにおける移動基準C2を横切る断面を示すように、定盤51には、その移動基準C2を中心とした、例えば平面円形で定盤51を貫通する穴58が設けられる。そしてゾル−ゲル膜又はSiO2膜等の配列層を形成した基板50を、配列層表面が摺動面となるように定盤51側に向けて治具53に固定する。なお図8Bに示すように、この際には定盤51の移動基準C2の位置が基板50の摺動面内に対向するように基板を配置する。好ましくは、基板の幾何中心、即ち眼鏡レンズの幾何中心(単焦点レンズの場合は光学中心、累進屈折力レンズの場合はプリズム基準測定点等)と移動基準C2をほぼ一致させる。
そして図8Aに示すスラリー供給部52により研磨剤と溶媒を混ぜたスラリーを供給し、基板50を定盤51に任意の圧力で接触させながら、定盤51もしくは基板50を固定した治具53を、移動基準C2を中心軸として回転させる。なおこの例においても、定盤51の基板50側の面はスポンジやゴム、風袋等の弾性体によって構成され、基板50の面形状に追従する構成とすることが好ましい。
これにより基板50上の配列層の表面が擦過され、この場合、同心円状の閉曲線による擦過痕が形成される。また、配列層表面において、定盤51の穴58上に位置していた領域には擦過痕が形成されない。眼鏡用偏光レンズでは、視界の中心付近に偏光方向の急激な変化があると、大きな明るさの変化が目に付きやすく装用者に不快感を与える場合がある。このような状況を回避するためには、基板の幾何中心を含む領域、即ち眼鏡レンズの幾何中心(単焦点レンズの場合は光学中心、累進屈折力レンズの場合はプリズム基準測定点等)には偏光軸を配置しないことが好ましい。上記のように中心部分に偏光軸を持たない偏光レンズを得るためには、擦過痕跡形成工程において、基板の幾何中心を含む中央部分に、配列層表面と擦過部材が接触しない領域(非接触領域)を設けることが好ましい。例えば、上記の中心部に穴を有する定盤を使用することにより配列層表面に擦過部材と接触しない領域(非接触領域)を設けることができる。図8に示す態様によれば、移動基準C2を含む中央部分(移動基準の近傍)に非接触領域を形成することができる。
上記非接触領域は、例えば円形領域とすることができ、その直径は良好な装用感を得るためには4mm以上であることが好ましい。ただし、上記領域が大きくなるほど偏光機能を発揮する領域は小さくなるため、良好な偏光機能を発揮する偏光レンズを得る観点からは、上記領域の直径は15mm以下であることが好ましい。即ち、形成される偏光レンズは、幾何中心を含む直径4〜15mmの領域が偏光軸を含まない領域であることが好ましい。また、図8に示す態様では、穴58の直径が非接触領域の直径に相当するため、該直径は4〜15mmであることが好ましい。
図8に示すように擦過痕形成工程を行った後、配列層上に二色性色素を含む塗布液を塗工すると、擦過痕に沿って色素が配向され、図9に示すように同心円状の偏光軸81を有する偏光層を備えた偏光レンズ80を形成することができる。
本実施の形態による方法では、このように連続的に偏光軸方向が変化し、レンズの幾何中心、例えば光学中心を囲む閉曲線状の偏光軸を有する偏光レンズを製造することができる。こうして得られた偏光レンズによれば、360度あらゆる方向から入射する偏光を遮断することができる。
また、定盤51の穴58によって定盤51と接触しなかった領域には擦過痕が形成されないので、この部分は偏光軸を有さない無偏光領域82となる。
また、本実施の形態では、擦過部材である定盤上に移動基準を設定し、該移動基準を中心として定盤又は基板を回転させるが、基板上に設定した移動基準を中心として基板を回転させることによっても、同様に同心円状の偏光軸を有する偏光レンズを製造することができる。
5.第3の実施の形態(基板と擦過部材の少なくとも一方を相対的に二方向に移動する例)
本実施の形態による偏光レンズの製造方法では、基板又は擦過部材の少なくともどちらか一方を相対的に二方向に移動させることにより配列層の表面を摺動して擦過痕を形成する。以下に説明する擦過痕の形成方法以外は、第1の実施の形態において説明した方法により偏光レンズを製造することができる。
図10に本実施の形態による擦過痕の形成工程を示す。図10Aは擦過痕形成時の上面図であり、図10Bは側面図である。
図10Aに示すように、基板110は治具113に固定される。また図10Bに示すように、レンズ用の基板110の配列層が形成された側には擦過部材115が擦過用のヘッド114に固定される。なお擦過部材115はスポンジやゴム、風袋等の弾性体によって構成され、基板110の表面形状に追随するようになっている。
擦過用のヘッド114はシャフト116に接続され、シャフト116上の移動基準117において、支柱によって、例えば二軸アクチュエータ等の二方向駆動部118にシャフト116が接続される。すなわちこの場合、二方向駆動部118によって擦過部材115を、例えばシャフト116に平行なy1方向、及びy1方向に垂直で擦過部材115の表面に沿うx1方向に移動可能とする。
したがって、擦過痕の形成時には、図10Bに示すように必要に応じて擦過部材115を所望の圧力fで基板110に接触させ、二方向駆動部118を駆動させることにより、擦過部材115を基板110上で自由に摺動させることが可能となる。つまりこの形態では、基板110の配列層上に自由曲線による擦過痕を形成することが可能であり、上記第1の実施の形態や第2の実施の形態に示したような円弧状の擦過痕や同心円状の擦過痕も形成することができる。
なお、この際には既述の研磨剤と溶媒(純水、油性溶媒、又は純水と添加剤等を混ぜたもの)を混合したものをスラリーとして用いてよい。またスラリーの代わりにAl23等の研磨剤を含浸させたシートを用いてドライ加工してもよく、又は純水もしくは油などを供給してウェット加工により擦過痕形成を行ってもよい。
このように、本実施の形態による偏光レンズの製造方法では自由曲線による擦過痕を形成することが可能なため、所望の自由な軸方向の偏光軸を備えた偏光レンズを形成することができる。特に本実施の形態では、自由曲線による偏光軸を形成することができるため、複雑な曲面によって反射された光などを遮光するように、周囲の環境に合わせた偏光レンズを製造することが可能である。
また、特にこの形態は、配列層に形成する擦過痕に対し直交する方向に、偏光軸が形成される二色性色素を用いる場合に好適である。このような二色性色素を用いて、例えば円弧状や同心円状等の偏光軸を形成する際に、円弧の中心を移動基準として放射状に擦過部材を移動することで、円弧や同心円状の偏光軸方向をもつ偏光層を形成することが可能となる。また、楕円状等の特殊な曲線、閉曲線とする場合も、それらの曲線に対し直交する軌跡を描くように擦過部材を移動することで、同様にこれらの形状の偏光軸方向の分布をもつ偏光層を形成することができる。
本形態における擦過痕と偏光軸の配置例を、図13および図14に示す。図13に示す偏光レンズ30は、破線eで示すように、正面の垂直方向を対称軸として下から上に向かって左右に広がる曲線状の軌跡を描くように擦過痕を形成した配列層上に、擦過痕に対して直交する方向に偏光軸が形成される性質を有する二色性色素を配列堆積することにより、偏光軸31の分布を実現したものである。図14に示す偏光レンズ40は、図14において破線fで示すように、所望の偏光軸方向に対して直交する方向に、幾何中心を通る垂直方向を対称軸として左右に凸となる曲線状の軌跡となるように擦過したうえで、上記と同様の性質を有する二色性色素を用いることで、目的とする楕円状分布の偏光軸41を形成したものである。
6.擦過痕形成装置の例
次に、本発明の偏光レンズの製造方法に適用可能な擦過痕形成装置の各例について以下に説明する。
(6−1)擦過痕形成装置の第1の例
図11は、本例における擦過痕形成装置100を示すブロック図である。
この装置100には、偏光レンズ用の基板160を支持する治具110が、ゴム等の弾性体により構成される擦過部材120と対向して配置される。治具110上には、擦過部材120に向けて配列層表面を上向きにして基板160が固定されている。擦過部材120はシャフト121の先端に固定され、このシャフト121は、例えばその他端が移動基準C3とされて、この位置においてモータ130の軸130aに接続される。ドライバ142の制御によりモータ130を回転又は回旋させ、移動基準C3を中心に擦過部材120を回旋させることによって、この擦過部材120を基板160上で円弧状に移動させる。このとき、シャフト121をモータ130の軸130a上で固定する位置、もしくは基板160を保持する治具110の位置(高さ)を調整する昇降機構(図示せず)等を設けることで、擦過工程時に擦過部材120に適度な圧力を加えることができる。また擦過部材120のヘッドには、図示しないが圧力センサを設けてもよい。
またこの例では、モータ130の回転数や回旋角を検出し、中央演算処理装置(CPU)140によりモータ130のフィードバック制御を行う構成としてもよい。この場合はエンコーダ141がモータ130及びドライバ142に接続される。またドライバ142にカウンタ143及びD/A変換器144が接続されて、これらがそれぞれCPU140に接続される。この構成において、モータ130の回転数や回旋角がエンコーダ141によって検出され、またカウンタ143はエンコーダによって検出されたモータ130の回転数や回旋角をカウントし、CPU140へ送信する。またドライバ142への制御信号は、D/A変換器144を介してCPU140から送られる。
なお、CPU140によってスラリー供給部150の制御を行うようにしてもよい。この場合、スラリー供給部150とスラリーが貯蔵されているタンク152との間に弁151を設け、CPU140によりこの弁151を制御する構成としてもよい。
このような構成の装置100において、擦過痕の形成を開始する際には、CPU140により弁151を開け、タンク152に貯蔵されているスラリーをスラリー供給部150から基板160上に供給する。そして図示しない昇降駆動部及び圧力センサにより擦過部材120を基板160の配列層に任意の圧力で接触させる。またこの際に、モータ130を任意の回転数で回転させることによって、擦過部材120を矢印r3で示すように回旋させ、基板160上の配列層表面を摺動させる。これにより基板160上の配列層に円弧状の擦過痕を形成することができる。
なお、この装置において、モータ130に加えてシャフト121の延在方向に沿う方向に直線移動するリニアモータ131を設けてもよい。この場合には、リニアモータ131により移動基準C3をy軸方向に移動させることによって、基板160の全面を摺動させることが可能である。このy軸は、治具110上の基板160の幾何中心を通る方向となるように、擦過部材120と治具110との位置を設定することが好ましい。
また、モータ131の移動方向と直交する他のリニアモータ132を設けて、モータ131による移動方向と直交するx軸方向に移動基準C3を移動させるようにしてもよい。
この場合は円弧状の擦過痕のみだけでなく、自由曲線による擦過痕を形成することができる。なお、リニアモータ131及び132も同様に図示しないエンコーダによってその位置が検出され、その検出信号に基づいてドライバによりフィードバック制御を行う構成としてもよい。
また、リニアモータ131及び132を両方設けて移動基準c3を移動させる場合には、回転用のモータ130を備えていなくても、円弧状、閉曲線状を含む種々の曲線状の擦過を行うことが可能である。または、モータ130と、リニアモータ131又は132のいずれかのみによって擦過痕の形状を制御しても構わない。
このように、図11に示す擦過痕形成装置100では、擦過部材120を移動基準C3を中心として回旋させることによって、円弧状の擦過痕を形成することができる。さらには、リニアモータ131及び132によって移動基準位置を移動させながら擦過部材120を移動させることで、所望の曲線の擦過痕を自由に形成することも可能である。したがって、用途に合わせて様々な偏光方向の偏光軸を備えた偏光レンズを容易に製造することができる。
(6−2)擦過痕形成装置の第2の例
図12は、擦過痕形成装置の第2の例を示すブロック図である。
本例における擦過痕形成装置200は、基板260を下向きに保持する治具210と、治具210を支える棒状等のシャフト270と、シャフト270を矢印Dで示すようにその延長方向に位置調整可能に支持する支持部271とを有する。支持部271は、図示しないが昇降駆動部に接続され、また治具210には圧力センサが接続されていてもよい。一方、治具210に対向して定盤220が上向きに配置され、この定盤220には定盤220を回転させるモータ230が接続される。この例においても、モータ230の回転数を検出するエンコーダ241と、ドライバ242とを設けて、エンコーダ241によって検出した信号に基づいてモータ230の回転をフィードバック制御する構成としてもよい。
この場合、エンコーダ241で検出されたモータ230の回転数をカウントするカウンタ243及びD/A変換器244がそれぞれドライバ242を制御するCPU240に接続される。
この例においても、第1の例と同様に、CPU240によってスラリー供給を制御する構成としてもよい。その場合は、例えばスラリー供給部250が弁251を介してタンク252に接続され、CPU240により弁251を制御する構成とする。
この装置200において、擦過処理を行うには、先ず基板260がその配列層側の面を定盤220側に向けて治具210に固定される。また、治具210を保持するシャフト270の長さを調整することで、基板260を定盤220に対して任意の位置、例えば定盤220の回転中心、もしくは回転中心から所定距離ずれた位置に固定する。
タンク252に貯蔵されているスラリーは、CPU240からの信号によって弁251が開かれることによりスラリー供給部250から定盤220上に供給される。そして図示しない昇降駆動部と圧力センサにより基板260を下降させ、定盤220へ任意の圧力で接触させる。
定盤220の表面は、ゴム、風袋等の弾性体によって構成され、基板260との接触面(摺動面)が凹面状とされることにより、基板260全面に渡ってムラなく均一な圧力で接触する。このようにムラなく均一な圧力を加えて面内全域にわたって均一な擦過処理を行うためには、図12およびその他図面に示すように、基板表面、即ち配列層表面が凸面を含む場合には、擦過部材表面(配列層表面との摺動面)は凹面状であることが好ましい。更には、擦過部材として、配列層との摺動面が凹面状である弾性部材を用いることが、より好ましい。また定盤221には、その回転軸である移動基準C4を含む領域に穴221が設けられて、この領域においては基板260と接触しない構成としてもよい。これにより、先に説明したように中央部分に無偏光領域を含む偏光レンズを得ることができる。
そしてこの定盤220はモータ230により移動基準C4を中心に回転することで、基板260の配列層に擦過痕を形成する。基板260との接触面が穴221の領域を含む場合には同心円状の擦過痕が形成される。逆に基板260を移動基準C4から離れた位置に固定し、定盤220との接触面に穴221の領域が含まれない場合には、円弧状の擦過痕が形成される。またさらには、移動基準C4に対する基板260の距離を変えることによって円弧状の擦過痕の曲率を自由に選択することが可能である。
なお、基板260の幾何中心を移動基準C4と一致させる場合には、穴221により基板260の幾何中心付近の領域には擦過痕が形成されない。
この場合においても、モータ230の回転数はエンコーダ241によって検出され、ドライバ242はこの検出された信号に基づいてモータ230のフィードバック制御を行う。またカウンタ243はモータ230の回転数をカウントし、CPU240へと送信する。そしてドライバ242への制御信号は、D/A変換器244を介してCPU240より送られる。
このように、本例における擦過痕形成装置200は、定盤の移動基準位置に対する基板の距離を変えることによって同心円状の擦過痕や円弧状の擦過痕を一度の工程で容易に、また制御性よく形成することができる。したがって、様々な方向の偏光軸を有する偏光レンズを容易に製造することが可能である。
なお、同心円状の擦過痕を形成する場合には、定盤を固定し、治具210にモータ231を接続して、このモータ231によって基板260を矢印R4の方向に回転させるようにしても構わない。
また、シャフト270にリニアモータをとりつけ、NC制御によって基板260を矢印Dで示すようにシャフト270の延長方向に沿って移動させるようにしてもよい。
次に、実施例を用いてより具体的に発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価項目は下記の通りである。
(1)偏光効率
(2)透明性(ヘイズ値)
(3)密着性
以下これらについて説明する。
(1)偏光効率
偏光効率(Peff)は、ISO8980−3の規定に従い、平行透過率(T//)及び垂直透過率(T⊥)を求め、下記一般式(5)により算出することで評価した。平行透過率及び垂直透過率は、可視分光光度計と偏光子を用いて測定した。
Peff(%)=〔(T//−T⊥)/(T//+T⊥)〕×100・・・(5)
(2)透明性(ヘイズ値)
作製した偏光レンズに対して、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、製品名MH−150)によりヘイズ値を測定し、曇りの有無を判断した。なお評価基準は以下のとおりとした。
○:曇りなし(ヘイズ値≦0.4%)
×:曇りあり(ヘイズ値>0.4%)
(3)密着性
沸騰水に3時間浸漬処理する前後の偏光レンズに対して、硬化膜に1.5mm間隔で100目クロスカットし、このクロスカットしたところに粘着テープを強く貼り付ける。そして粘着テープを急速に剥がし、硬化膜の100目中の剥離マス目数を調べた。
判断基準は以下の通りである。
◎:剥離マス目数0/100(膜剥離なし)
○:剥離マス目数1〜2/100
△:剥離マス目数3〜5/100
×:剥離マス目数6以上/100
次に、実施例及び比較例について説明する。
[1]実施例1(円弧状の偏光軸を形成する例)
(i)配列層形成用コート液の製造
まずシリカゾル(メタノール溶媒、固形分30質量%、平均一次粒径12nm)4.9gに、エタノール29.2g、テトラエトキシシラン(TEOS)(分子量208.3)10.4g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(γ−GPS)2.1gを順に添加して撹拌した。
次いで、0.01mol/L塩酸2.9g(コート液全量の18.4mol%)を添加して撹拌し、さらにアルミニウム触媒(アルミニウムアセチルアセトナート)を0.5g(コート液全量の0.18mol%)を添加して充分に撹拌した。そしてこの混合液を0.5μmフィルタでろ過することにより配列層形成用のコート液を得た。
(ii)配列層の形成
レンズ用基板として、ポリウレタンウレアレンズ(HOYA株式会社製商品名フェニックス、屈折率1.53、ハードコート付き、直径70mm、ベースカーブ4)を用い、基板凹面に上記配列層形成用コート液をスピンコート(800rpmで供給、60秒保持)により塗布した。続いて85℃、1時間の熱処理を施し硬化させ、厚さ約150nmの配列膜(ゾル−ゲル膜)を成膜した。
(iii)擦過痕の形成
そして得られた配列膜に、研磨剤含有ウレタンフォーム(研磨剤:平均粒径0.1〜5μmアルミナAl23粒子、ウレタンフォーム:球面レンズの凹面の曲率とほぼ同形状)を用いて、擦過痕の形成処理を行った。
擦過痕の形成処理は、接触圧50g/cm2の条件で30秒間施した。第1の実施の形態(図2)において示したように、ヘッドの移動基準を装用時における鉛直下側に配置し、擦過部材を基板上(配列層表面上)にて円弧状に揺動させ、円弧状の擦過痕を配列層表面に形成した。擦過痕の形成処理を施した基板は、純水により洗浄、乾燥を行った。
(iv)偏光層の形成
基板を乾燥させた後、二色性色素の約5質量%水溶液2〜3gを擦過痕の形成面(配列層表面)上にスピンコートし、偏光層を形成した。スピンコートは、色素水溶液を回転数300rpmで供給し、8秒間保持、次に回転数400rpmで供給し45秒間保持、さらに1000rpmで供給し12秒間保持することで行った。なお、この段階での偏光レンズは、偏光効率99%,透過率30.5%を示した。ここで使用した二色性色素は、擦過痕に沿って偏光軸を形成する性質を有するものであったため、形成された偏光層における偏光軸方向の分布は、図3に示す円弧状となる。
次いで、塩化鉄濃度が0.15M、水酸化カルシウム濃度が0.2MであるpH3.5の水溶液を調製し、この水溶液に上記で得られたレンズをおよそ30秒間浸漬し、その後引き上げ、純水にて充分に洗浄を施した。この工程により、水溶性であった色素は難溶性に変換される。
(v)色素保護膜の形成(二色性色素の固定化処理)
その後、レンズをγ−アミノプロピルトリエトキシシラン10質量%水溶液に15分間浸漬し、その後純水で3回洗浄し、85℃で30分間熱硬化した。さらに、冷却後、レンズを空気中にてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2質量%水溶液に30分浸漬した後、100℃の炉で30分間熱硬化、硬化後冷却して色素保護膜を形成した。
(vi)機能性膜の形成
色素保護膜を形成したレンズに、研磨剤(平均粒径0.8μm)で研磨処理を施し充分洗浄した。次に紫外線硬化性樹脂をスピンコート(500rpmで供給,45秒保持)により塗布した。塗布後、紫外線照射装置によりUV照射光量600mJ/cm2で硬化し、保護膜を形成した面にハードコートを形成した。
[2]実施例2(閉曲線状の偏光軸を形成する例)
基板として実施例1で使用したポリウレタンウレアレンズを用い、これに基板温度約50℃、真空度約10-5.5MPaの条件でSiO2の電子銃蒸着を行い、SiO2蒸着膜(膜厚250nm)による配列層を形成した。
そして第2の実施の形態(図8)のように、レンズの幾何中心を定盤の回転軸上に配置して定盤を回転させ、配列層に同心円状の擦過痕を形成したこと以外は実施例1と同様の方法にて加工を行った。なお定盤の回転数は350rpmとした。これにより、図9に示すように同心円状の偏光軸を有する偏光レンズを得た。
[3]比較例
基板として実施例1で使用したポリウレタンウレアレンズを用い、これに基板温度約50℃、真空度 約10-5.5MPaの条件で電子銃蒸着を行い、SiO2蒸着膜(膜厚250nm)による配列層を形成した基板を作製した。
次に、この基板に研磨剤(平均粒径0.8μm、1.3μm又は3μmのAl23粒子)を用いて擦過痕の形成処理を行った。この処理を、研磨圧50g/cm2の条件で30秒間施し擦過用のパッドを1軸方向(装用時の鉛直方向に固定された方向)へ直線移動させることによって行ったこと以外は実施例1と同様にして加工を行った。したがって比較例の偏光レンズにおける偏光軸は、形成した擦過痕と同様、1軸方向に揃った直線となる。
下記の表1に各実施例、及び比較例における評価結果を示す。
光学中心偏光効率については、実施例1、2、比較例とも98%と高い値を示し、偏光レンズとしての一般的なガイドラインである偏光効率50%を満たしている。また、実施例1、2、比較例の全てにおいて、十分な透明性と密着性を確保することができた。
ところが、45度方向に偏光した光を45度の斜め上方向(1時半または10時半の方向)から入射させた場合には、比較例においては偏光効率が49%と、光学中心偏光効率の二分の一にまで低下してしまい、ガイドラインである50%の値を下回ってしまっている。
これに対して実施例1、2では、上記方向における偏光効率も98%であり、光学中心における場合と同等の遮断能力を有していることがわかる。
比較例の偏光レンズは水平方向の偏光軸しか有していないため、斜め45度上から入射する45度偏光した光を完全に遮断することができず、その半分程度しか防ぐことができない。これに対し、実施例1および実施例2の偏光レンズは、連続的に軸方向の変化する偏光軸を有しているため、斜め45度上から入射する45度偏光した光も十分に遮断することができる。このため、実施例1および実施例2のレンズを用いた眼鏡は、例えば太陽が斜め上から照らす場合に周囲の建物によって反射される光も遮断することができ、反射光によって感じるまぶしさの原因の多くを取り除くことができる。
また実施例1における摺動の移動基準を、装用時における鉛直上方に配置すれば、形成された偏光層における偏光軸方向の分布は、図4に示す円弧状となる。これにより、斜め45度下から入射する45度偏光した光を遮断することができる。また連続して軸方向が変化する偏光軸を有しているので、この角度以外の下方向からの偏光も、当然のことながら遮断できる。したがって、例えば水面からの反射を防ぐために好適であり、例えば水辺でのレジャー等における眼鏡レンズとして用いると、眩しさを防ぐために非常に有効である。
以上、本発明による偏光レンズの製造方法について説明したが、本発明は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、なお考えられる種々の形態を含むものであることは言うまでもない。
1,10,20,30,40,50・・・基板、2・・・ハードコート層、3・・・プライマー層、4・・・ゾル−ゲル膜、5・・・配列層、6・・・偏光層、7・・・保護層、8・・・機能性膜、31,41,51・・・定盤、32,42,52・・・スラリー供給部、13,23,43,53・・・治具、14,24・・・ヘッド、15,25・・・擦過部材、16,26,46・・・シャフト、17,27,47・・・移動基準、58・・・穴、60,70,80・・・偏光レンズ、61,71,81・・・偏光軸

Claims (12)

  1. 基板上に配列層を形成する工程と、
    擦過部材を前記配列層に接触させた状態で該配列層上で摺動させることにより、前記配列層の表面に曲線状の擦過痕を形成する工程と、
    前記配列層上に二色性色素を配列堆積させることにより偏光層を形成する工程と、
    前記偏光層に対し、該層中の二色性色素の固定化処理を施す工程と、
    を含む眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  2. 前記曲線状の擦過痕を形成する工程を、前記擦過部材を前記配列層に接触させた状態で、前記擦過部材又は前記基板のうち一方を固定し、他方を任意の位置の移動基準を回旋中心として摺動させることによって行う、請求項1に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  3. 前記擦過部材又は前記基板のうち一方が、前記移動基準を回旋中心として円弧状の軌跡を描きながら摺動する請求項2に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  4. 前記擦過部材又は前記基板のうち一方が、前記移動基準を回旋中心として回転することにより摺動する請求項2に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  5. 前記移動基準を、前記基板の幾何中心よりも装用状態における鉛直下方側に配置する請求項2〜4のいずれか1項に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  6. 前記移動基準を、前記基板の幾何中心よりも装用状態における鉛直上方側に配置する請求項2〜4のいずれか1項に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  7. 前記移動基準を、前記基板の幾何中心を通る鉛直方向の直線上に配置する請求項5又は6に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  8. 前記基板の幾何中心を含む領域に、前記擦過部材と前記配列層とが接触しない非接触領域を設ける請求項1〜7のいずれか1項に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  9. 前記非接触領域の外径を4mm以上15mm以下とする請求項8に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  10. 前記曲線状の擦過痕を形成する工程を、前記擦過部材を前記配列層上に接触させた状態で、前記擦過部材及び前記基板の少なくとも一方を、二方向以上の異なる方向に相対的に移動させて摺動させることによって行う、請求項1に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  11. 前記配列層をゾル−ゲル膜により形成する請求項1〜10のいずれか1項に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
  12. 前記擦過部材は前記配列層との摺動面が凹面状である弾性部材である請求項1〜11のいずれか1項に記載の眼鏡用偏光レンズの製造方法。
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