JP2011053415A - 液晶露光装置 - Google Patents

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成夫 渡部
Junichi Mori
順一 森
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Abstract

【課題】液晶露光用の波長を選択的に反射する平面鏡の温度を、効率的に保持板に伝熱して変形や破損を防止する。
【解決手段】液晶露光用の波長を選択的に反射する第1平面鏡117は、保持板201に面接触で保持されている。その保持板201側の接触面には、全面に亘って負圧発生用の穴が形成され、真空ポンプ407からリザーブタンク403を介して真空吸引することで、第1平面鏡117の背面を保持板201に密着させ、その伝熱効果を高めている。水ポンプ401は、パイプ203に冷却媒体を流すことで、第1平面鏡117等の温度も制御可能としている。
【選択図】図7

Description

本発明は、液晶表示用パネルの製造装置に係り、特にマスクに描かれたパターンをガラス基板上に露光する液晶露光装置に関する。
液晶パネルの製造では、フォトレジスト膜などが形成されたガラス基板とマスクとを1mm以下に近づけ、露光用ランプからの光を平行光にしてマスクに照射し、マスクパターンをガラス基板に転写するプロキシミティ方式の露光装置が用いられている。
このような液晶用の露光装置において、近年は表示用パネルの大型化が進み、露光用ランプの輝度も高いものが要求されるようになった。このため、露光用に複数のランプを用いることで、高輝度化に対応することも提案されている。
例えば、特許文献1もその1つで、ここでは複数のランプを用いた場合に、隣接するランプの温度差が与える影響を分析し、その表面温度を均一化することで、露光光の照明を安定化することが記載されている。具体的には、各ランプ及び集光鏡間に隔壁を設け、この隔壁に冷却水を流すとともに、その後段の平面鏡をも含めてランプハウスに入れて空気を還流させることで、均一に冷やすことが提案されている。
特開2008−83586号公報
しかしながら、上記特許文献1には、特に平面鏡の保持構造、更にはそのことによる温度の影響については考慮されていない。
図12は、最近考えられている液晶露光装置の概略図であって、露光用ランプ121は、その発光を安定させるため鉛直方向上方向きに設置し、これから出た光は、集光鏡119で集め、上方に設置した第1平面鏡117に向かう。第1平面鏡117では、露光に利用する波長365nmのi線、波長405nmのh線、波長436nmのg線の光を選択的に反射し、他の光は透過し、保持板200(図13)でそのエネルギーを吸収する。第1平面鏡117は、鉛直方向下向きで、反射した光が次のフライアレイレンズ115に向かうよう、45度斜めに設置する。第1平面鏡117で反射した光は、フライアレイレンズ115を透過して強度分布が一様化し、凹面鏡113で平行光に変換する。平行光は、第2平面鏡111で鉛直方向下向きに曲げられ、マスク109のパターンをこれに接近して設置したガラス基板107上に投影する。投影終了後、ガラス基板107を搭載したステージ105は、ステージ103とともにステップ移動し、ガラス基板107にマスク109のパターンを複数転写する。
マスクパターンの転写を短時間に終了させれば、液晶パネルを効率良く生産することができる。このため、ランプ121には、高輝度のもの、あるいは特許文献1のように複数のランプを使うことになる。
図14は本発明に適用する高圧水銀ランプの発光波長強度特性の一例、図15は本発明に適用する第1平面鏡117の光透過率特性の一例を示す。
前記第1平面鏡117は、波長500nmまでを反射、波長500nmより長波長は透過している。図15より、波長500nmよりも長波長では、光の透過率が90%程度であり、残りの10%の光は第1平面鏡117で反射、または、吸収している。第1平面鏡117が光を吸収すると、その温度は上昇する。
図13は、図12を構成する部品のうち、第1平面鏡117とこれを保持する保持板200を示している。第1平面鏡117は、周辺に配置した複数箇所のフック207で保持板200に固定されている。保持板200には、冷却水を通すパイプ203を設置し、第1平面鏡117を透過した光のエネルギーを吸収し温度上昇を防止する。第1平面鏡117が光を吸収して温度が上昇すると、第1平面鏡117が熱膨張により大きくなり、周辺をフック207で拘束していると、第1平面鏡117の表面が凸に盛り上がる変形が発生する。変形が大きくなると、これで反射した光がフライアレイレンズ115から外れてこれに入射する光が少なくなり、マスクパターンが転写できなくなる。更に、変形が大きくなると、第1平面鏡117が破壊してしまう。
これを避けるために、フック207の拘束を弱くして第1平面鏡117の変形をそのまま伸縮できるようにすると、45度斜め下向きに設置したため重力に引かれて位置が変わり、入射する光の全てをフライアレイレンズ115に向けて反射できず、マスクパターンを鮮明に転写できなくなる。
また、第1平面鏡117は、フック207により保持板200に接しており、この接触面の伝熱によりエネルギーが保持板200側に移動し、第1平面鏡117の温度上昇を抑える効果がある。しかし、第1平面鏡117が45度斜め下向きに設置されると、フック207から離れた部分では、重力に引かれて保持板200との間にすき間が生じ、輻射によるエネルギーが保持板200側に僅かに移動するだけとなり、この部分での温度上昇が大きくなる。このすき間を小さくする、又は無くすために、接着剤で第1平面鏡117裏面と保持板200を接着する方法もあるが、第1平面鏡117の温度変化による伸縮で、接着がはがれてしまうことがあった。
更には、ランプ点灯時の前後、あるいはランプ消灯時の前後では、第1平面鏡と保持板との間の温度差、それによる伸縮率の差によっても、前記すき間、或いは接着のはがれ等を生じ、更に強固に接触固定すると第1平面鏡を破損する恐れがある。
そこで、本発明の第一の目的は、液晶露光用の波長を選択的に反射する平面鏡の温度を保持板に効率的に伝熱し、安定した露光が可能な液晶露光装置を提供するにある。
本発明の第二の目的は、上記平面鏡の温度変化、或いは保持板との伸縮率の差にも強い、信頼性の高い液晶露光装置を提供するにある。
本発明のその他の目的については、以下述べる実施例で詳述する。
上記第一の目的達成するため、本発明の第一の特徴は、上記平面鏡の背面と面接触して当該平面鏡を保持する保持板を設け、この保持板の上記平面鏡背面との接触面に負圧部を形成することにより、この負圧を利用して平面鏡背面を保持板に密着して固定可能にしたところにある。
上記第二の目的を達成するため、本発明の第二の特徴は、前記保持板の接触面を冷却する冷却通路と、この冷却通路に冷却媒体を流すポンプと、上記冷却媒体の温度を変化させる熱変換機と、この熱交換器を作動して上記冷却媒体の温度を制御する温度コントローラとを備え、上記冷却媒体の温度を目的に応じて制御可能にしたところにある。
本発明のその他の特徴は、以下述べる実施例で詳述する。
本発明の第一の特徴によれば、負圧を利用して平面鏡の裏面を保持板に密着させることができるので、平面鏡のエネルギーを高い伝熱効果で保持板に移動させることができ、平面鏡の温度上昇或いは変形を小さくして、平面鏡に入射する光をフライアレイレンズを介して効率的に利用することのできる、安定した液晶露光を実現することが可能となる。
本発明の第二の特徴によれば、温度コントローラにより、冷却媒体の温度、即ち保持板の温度、更には平面鏡の温度を、状況に合わせて制御することができるので、平面鏡背面と保持板とが密着していても、温度変化に強い信頼性の高い液晶露光装置を実現することができる。
その他の効果については、以下述べる実施例の中で詳述する。
本発明による液晶露光装置の一実施例の概要図。 図1のランプウスとミラーハウスの内部を説明する概要図。 本発明の一実施例に係る第1平面鏡の設置例の概要図。 本発明の一実施例に係る保持板の構成図。 本発明の他の実施例に係る保持板の構成図。 本発明の更に他の実施例に係る保持板の構成図。 本発明の一実施例に係る負圧部の負圧制御ブロック図。 本発明の他の実施例に係る負圧部の負圧制御ブロック図。 図8における圧力コントローラの制御フローチャート。 本発明の他の実施例に係る液晶露光装置の概要図。 図10における第1平面鏡と冷却媒体との温度変化の説明図。 最近考えられている液晶露光装置の概要図。 図12を構成する第1平面鏡の取付け図。 本発明に適用する高圧水銀ランプの発光波長強度を示す一特性図。 本発明に適用する平面鏡の光透過率を示す一特性図。
以下、本発明の実施の形態について、図示する実施例を用いて詳細に説明する。
なお、本発明の対象となる平面鏡は、集光鏡からの光の波長を選択して反射する平面鏡であって、以下述べる実施例では第1平面鏡が該当する。
図1は、本発明による液晶露光装置の一実施を示す。テーブル101上にステージ103を設置し、ステージ103上にステージ105を設置することで、ガラス基板107をXY方向にステップ状に移動し、位置決めする。ランプハウス110の光は、ミラーハウス108を通して、マスクに描かれたパターンをガラス基板107に転写する。ステージ103とステージ105は、1000ミリ毎秒以上の速度で高速に移動し、ガラス基板107を一ヶ月あたり数万枚処理することができる。
図2は、ランプハウス110とミラーハウス108の内部を説明する概要図である。ランプ121には高圧水銀ランプを用い、これの放電発光を安定させるため、鉛直方向に設置する。ランプ121から出た光は、周辺に設置した集光鏡119で集める。集光鏡119は、ランプ121に接近して設置し高温になるため、その開口を鉛直方向上向きにして、放熱を行う。この集光鏡119は、図15に示す短波長反射、長波長透過のコールドミラーの機能を備えることが多い。集光鏡119で集めた光は、直上に設置した第1平面鏡117で、波長500nmまでを反射、波長500nmより長波長は透過する。第1平面鏡117で反射した光は、フライアレイレンズ115を透過し強度分布が一様化し、凹面鏡113で平行光に変換する。平行光は、第2平面鏡111で鉛直方向下向きに曲げられ、マスク109のパターンをこれに接近して設置したガラス基板107上に投影する。ガラス基板107を一ヶ月あたり数万枚処理するには、投影時間は数秒になることが多く、マスク109のサイズが大きくなり65インチを超える液晶パネルを製造するためには、ランプ121の出力を数10キロワットとすることが多い。集光鏡119は、その設置が鉛直方向上向きで放熱が容易な他、冷却手段の設置が容易である。
図3は、本発明の特徴をなす第1平面鏡の一設置例の概要図ある。第1平面鏡117は、これを45度斜め下向きに設置するため保持板201に、フック207で固定する。第1平面鏡117は、フック207によってその表面だけが保持板201方向に押さえ付けられている。第1平面鏡117とフック207が接する面は、金属製波形状板バネ、または、耐紫外線と耐熱性に優れるシリコン製ゴム等で構成することが好ましい。
図4は、本発明の特徴をなす保持板の一構成例の概要図であり、図3の第1平面鏡117を省いた状態で、この平面鏡背面との接触面に形成する負圧部を多数の穴301で構成した例を示す。図4において、保持板201はその冷却のために冷却媒体を流すパイプ203が設置されている。冷却媒体としては水、または、エチレングリコールを溶解した液体を、このパイプを通して保持板201の内部に設置した冷却水管穴204に流し保持板201に接した第1平面鏡117を冷却する。また、図4で、保持板201は真空圧を発生させるためのパイプ205を設置する。パイプ205は、保持板201の内部に設置した真空管穴206を介して、第1平面鏡117の背面が接する表面に複数個設けた穴301で真空圧を発生し、保持板201表面に第1平面鏡117を密着させ伝熱により冷却する。第1平面鏡117は、保持板201にフック207でその4辺を押さえて保持板201に組み付けるだけでは、第1平面鏡117が自重によりフック207から離れた部分、例えば、その中心では保持板201との間にすき間ができてしまい、この部分が輻射による冷却となってしまうのに比べて、本実施例では効率の良い冷却が可能となる。
図5は、図4で示した保持板201の変形例で、平面鏡背面との接触面に形成する負圧部を溝303で構成した例を示す。図に示すように、第1平面鏡117の背面が接する表面に溝303を設け、全ての溝がつながった状態で、溝303の中に設けた穴305を通して真空引きすることで、保持板201表面に第1平面鏡117密着させ伝熱により冷却するようにしている。本実施例によれば、保持板201の表面に溝を形成することで負圧部を構成できるので、加工が容易という特徴がある。さらには、冷却用パイプ203の配置に因らずに形成でき、また、溝303の幅を広げることで第1平面鏡117が厚くなっても真空圧で保持板201表面に第1平面鏡117密着させることが可能となる。
また、以上説明した実施例によれば、第1平面鏡の全面にわたって保持板201を介して冷却をすることができるので、第1平面鏡の変形が小さくなり、これで反射した光をフライアレイレンズ115にすべて入射し、マスクパターンを正確に転写することが可能となる。また、変形が大きくなることはないため、第1平面鏡117の破壊を避けることができる。
更には、第1平面鏡117を保持板201で支えるときに、負圧力とフック207で第1平面鏡117の荷重を支えることから、フック207が第1平面鏡表面を押さえる力が小さくでき、第1平面鏡表面形状の変形が小さくなり、これで反射した光をフライアレイレンズ115にすべて入射し、マスクパターンを正確に転写することが可能となる。また、穴301、又は溝303の間にわたって重力に引かれて自由変形するが、この間隔が狭くなり自由変形が小さくなるので、第1平面鏡の厚さを薄くしてより少ない材料で第1平面鏡を製作することができるという特徴もある。
また、第1平面鏡117と保持板201の温度膨張係数が違っていて、両者の伸縮量に違いがあっても、伸縮方向には両者の吸着力と両者の接触面での摩擦係数の積による摩擦力がその面内でしか掛からないため、両者の材料選択の幅が広がり、製造が容易になるという特徴がある。
図6は、図4の更なる変形例で、平面鏡背面との負圧部を空間で構成した例を示す。図示するように、第1平面鏡117の背面が接する面に空間307を形成し、この空間307内にあって、第1平面鏡117の裏面に接する高さの突起309を設け、空間307の中に設けた穴311を通して空間307と突起309の間に真空圧を発生し、保持板201表面と突起309に、第1平面鏡117を密着させ伝熱により冷却するようにしている。
本実施例によれば、第1平面鏡117表面で、集光鏡119によって集めたランプ121からの光が集中する領域で、その裏面に突起309を密着させることにより、第1平面鏡117表面で高温になる部分からの熱を効率よく保持板201に逃がすことができる。したがってランプ121でより高出力のものを使って露光を短時間にすることができ、または、マスク109を大きくしても露光時間を長くする必要がなくなり、マスクパターンを効率よく転写することが可能となる。
図7は本発明の一実施例に係る負圧部の負圧制御ブロック図であり、図4、図5又は図6で示した保持板201でもって、その負圧力を制御して第1平面鏡117を密着・保持するための構成例を示す。なお、水ポンプ401は、パイプ203に冷却媒体を流すものであり、パイプ203を通して保持板201内の冷却水管204に冷却水を循環している。真空ポンプ407は、リザーブタンク403とパイプ205を介して、保持板201の穴301、溝303や空間307に負圧を発生させる。真空ポンプ407とリザーブタンクの間にある弁405は、第1平面鏡117を保持板201に密着後、弁405を閉じることで真空ポンプ407を切り離しても第1平面鏡117が保持板201に密着することを維持するものである。
この実施例によれば、第1平面鏡117を保持板201に組み付けたユニットをランプハウス110に取り付ける作業中に第1平面鏡117の変形を抑え、取付後に第1平面鏡117に残る応力を小さくし不用意な加振、熱衝撃による破壊を防止することができるという効果がある。また、第1平面鏡117が保持板201に密着後、弁405を閉じることで真空ポンプ407を停止しても第1平面鏡117が保持板201に密着することを維持するものである。これにより、第1平面鏡117と保持板201の間からの空気の流入が少なければ、真空ポンプ407の稼働を停止することが出来、液晶露光装置の稼動に必要なエネルギー消費を抑えることができる。
図8は本発明の他の実施例に係る負圧部の負圧制御ブロック図で、図7の変形例に相当する。真空ポンプ407は、リザーブタンク403とパイプ205を介して、保持板201の穴301、溝303や空間307に負圧を発生させる。リザーブタンク403に取り付けた圧力センサ409は、リザーブタンク403中の圧力であって、保持板201の穴301、溝303や空間307の負圧値を検出し、この値について圧力コントローラ411は所定の値より圧力が変化、または到達すると真空ポンプ407を稼動、停止させる制御を行う。
この圧力コントローラ411に設定される圧力値P0は、第1平面鏡117の総重量をM、図4、図5又は図6で示される穴301、溝303や空間307の総面積をSとすると、M/Sよりも負圧値を大きくする。例えば、第1平面鏡117が幅1m、長さ1m、厚さ5mm、密度が2.2g毎立方cmで、これを45度斜め下向きに設置したとき、穴301の大きさが直径3mmで、真空ポンプの圧力が1Paのとき、穴301が215個以上あると第1平面鏡117は保持板201に密着した状態にすることができる。実際には、第1平面鏡117が保持板201面内で平行移動しないようにするために、これよりも穴301数を多くするか、フック207を併用して押さえることが望ましい。
本実施例によれば、第1平面鏡117と保持板201の間からの空気の流入が変化しても、真空ポンプ407が負圧値を、例えば前記1Paに維持するよう制御することで、平面鏡117の変形を抑え液晶露光装置の稼動を安定させることができるという効果がある。
図9は、図8における圧力コントローラ411の制御フローチャートを示す。制御を開始すると、先ずリザーブタンク403の内部圧力値P0を設定し(ステップ501)、リザーブタンク403の内部圧力Pを圧力センサ409で検出する(ステップ503)。検出値Pと設定値P0を比較し(ステップ505)、検出値Pが設定値P0より高い場合には、真空ポンプ407を駆動する(ステップ507)。また、検出値Pと設定値P0を比較し(ステップ505)、検出値Pが設定値P0以下の場合には、真空ポンプ407の駆動はしない。その後、制御を停止するか否かの判断をし(ステップ509)、制御を続ける場合には、リザーブタンク403の内部圧力Pを圧力センサ409で検出するステップ503に戻る。
このように、本実施例によれば、負圧部の負圧値を設定値に維持することができるので、平面鏡117の変形を抑え、安定した液晶露光装置を実現することができる。
図10に、本発明の他の実施例に係る液晶露光装置の概要図を示す。
前記実施例1によれば、負圧を利用して平面鏡の裏面を保持板に密着させることができるので、その伝熱効果を利用して、平面鏡の温度上昇或いは変形を小さく抑えることができる。しかしながら、平面鏡と保持板とを常に密着させていると、平面鏡と保持板との温度差、或いは伸縮率の差によって、平面鏡にストレスを生じる可能性がある。
例えば、露光用ランプの点灯時には、平面鏡が温度上昇で伸びるよりも、冷却水で冷却されている保持板の伸びが遅く、逆に消灯時には、平面鏡が温度降下で縮むよりも、冷却水で冷却されている保持板の縮みが速く、その差がストレスとなって平面鏡を破損する恐れがある。
図10は、このような平面鏡の温度変化或いは保持板との伸縮率の差等にも強い液晶露光装置の他の実施例であり、図8の実施例において更に、冷却媒体の温度を制御する機構を設けている。図において、水ポンプ401は、パイプ203に冷却媒体を流すものであり、パイプ203を通して保持板201内の冷却水管204に冷却水を循環している。温度センサ601は、第1平面鏡117裏面の温度を検出、温度センサ602は、保持板201から出てきた冷却媒体の温度を検出し、これらのデータを温度コントローラに伝達する。熱交換機605は、冷却媒体から熱を取りだしてこれの温度を調整する。なお、温度センサ602は冷却媒体の温度を検出しているが、保持板201の温度を直接検出するようにしても良い。
このような構成において、温度コントローラ603は、通常は上記温度センサ601及び602の検出値を入力し、その差又は設定値に応じて熱交換機605を作動し、冷却媒体の温度を制御することで、平面鏡117の温度を抑制し、保持板201との温度差或いは伸縮差を抑制するように制御している。
ところで、前記したように、露光用ランプの点灯時、或いは消灯時には、平面鏡と保持板との伸縮差によって平面鏡にストレスを生じる恐れがある。図11は、このストレスを説明するためのもので、温度センサ601による第1平面鏡117の裏面の温度検出値Tg(実線)と、温度センサ602による保持板201から出てきた冷却媒体の温度検出値Tc(波線)との関係を、ランプ点灯時からの時間変化で示したものである。
図11に示すように、第1平面鏡117は、ランプ点灯直後から温度上昇し、その単位長さ当たりその温度上昇幅と、その材質特有の熱膨張係数の積だけ伸びる。そこで、保持板201の温度を、第1平面鏡117の伸びと同じになるように制御することで、保持板201が第1平面鏡117に与えるストレスを防止し、第1平面鏡117の剥がれ、或いは割れを防止する。
例えば、周囲温度T0、第1平面鏡117裏面の温度Tg(センサ601の検出値)、その熱膨張係数αg、冷却媒体の温度Tc(センサ602の検出値)、その保持板の熱膨張係数α_cとすると、冷却媒体の目標温度TCは次の式で表すことができる。
TC=(Tg−T0)×αg÷αc+T0・・・(式1)
即ち、温度コントローラ603には上記演算を行う手段を備え、その目標温度TCとなるように熱交換機605を制御する。
ランプ消灯時にも、第1平面鏡117裏面の温度でセンサ601の検出値を基に、冷却媒体の温度が(式1)となるよう温度コントローラ603で熱交換機605を制御する。これにより、保持板201の温度が第1平面鏡117の伸びと同じになるように制御されるので、保持板201が与えるストレス、即ち第1平面鏡117を引っ張ることによる剥がれ、割れ等を防止することができる。
このように、本実施例によれば、温度コントローラ603により、冷却媒体の温度、即ち保持板201の温度、更には第1平面鏡117の温度を、状況に合わせて制御することができるので、第1平面鏡117背面と保持板201とが面接触で密着していても、第1平面鏡117の剥がれ、破損等のない信頼性の高い液晶露光装置を構成することができる。
107・・・ガラス基板
108・・・ミラーハウス
110・・・ランプハウス
109・・・マスク
111・・・第2平面鏡
113・・・凹面鏡
115・・・フライアレイレンズ
117・・・第1平面鏡
119・・・集光鏡
121・・・露光用ランプ
200、201・・・保持板
203・・・冷却用パイプ
204・・・冷却水管
205・・・真空圧用パイプ
207・・・フック
301・・・穴
303・・・溝
305・・・穴
307・・・空間
309・・・突起

Claims (8)

  1. 露光用ランプからの光を集光する集光鏡と、該集光鏡からの光の波長を選択して反射する平面鏡と、該平面鏡で反射した光の強度分布を一様化するフライアレイレンズとを備え、該フライアレイレンズからの光を用いて、マスクに描かれたパターンをレジストが塗布されたガラス基板に露光する液晶露光装置において、上記平面鏡の背面と面接触して当該平面鏡を保持する保持板を設け、当該保持板の上記平面鏡背面との接触面に負圧部を形成したことを特徴とする液晶露光装置。
  2. 請求項1において、前記負圧部は、前記平面鏡背面との接触面に形成した複数の穴又は溝で構成したことを特徴とする液晶露光装置。
  3. 請求項1において、前記負圧部は、前記平面鏡の背面と前記保持板の接触面との間に形成した空間により構成したことを特徴とする液晶露光装置。
  4. 請求項1において、負圧を発生させる真空ポンプを設け、当該真空ポンプと前記負圧部との間に、リザーブタンク、及び弁を備えたことを特徴とする液晶露光装置。
  5. 請求項4において、前記リザーブタンクの内部圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサの値に対応して前記真空ポンプを制御する圧力コントローラとを備えたことを特徴とする液晶露光装置。
  6. 請求項1において、前記保持板の接触面を冷却する冷却通路と、該冷却通路に冷却媒体を流すポンプと、上記冷却媒体の温度を変化させる熱交換機と、当該熱交換機を作動して上記冷却媒体の温度を制御する温度コントローラとを備えたことを特徴とする液晶露光装置。
  7. 請求項6において、前記平面鏡の温度を検出する温度センサと、前記冷却媒体又は保持板の温度を検出する温度センサとを設け、前記温度コントローラは、上記両温度センサの検出値の差又は設定値に応じて、上記冷却媒体の温度を制御するように構成したことを特徴とする液晶露光装置。
  8. 請求項6において、前記平面鏡の温度を検出する温度センサと、前記冷却媒体又は保持板の温度を検出する温度センサとを設け、前記温度コントローラは上記両温度センサの値を入力し、前記露光用ランプを点灯又は消灯するときに、前記平面鏡と前記保持板との伸縮差を抑制するように上記冷却媒体の温度を制御する手段を備えたことを特徴とする液晶露光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011237702A (ja) * 2010-05-13 2011-11-24 Hitachi High-Technologies Corp 液晶露光装置

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