JP2011053253A - 光スキャナ - Google Patents

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博親 中村
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和浩 中嶋
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Abstract

【課題】光スキャナの大きな検出電圧を得、検出電圧から、光スキャナの運動状態を正確に検知する。
【解決手段】光スキャナ1は、ミラー部2と、可動梁3と、一対の駆動部4a、4bと、検出部5a、5bと、固定部6とを備えている。ミラー部2は、揺動軸線SWの回りに揺動可能で、入射した光束を反射して、走査する反射面7を備える。可動梁3は、一対の支持梁8a、8bと、一対の延出梁9a、9bと、4つの連結梁10a〜10dとを備える。一対の支持梁8a、8bは、X軸方向に、即ち揺動軸線SWに平行な方向にミラー部2の両側から延出する。検出部5a、5bは、各々、一対の連結梁10a、10bと固定部6とに跨って設けられる。ミラー部2の重心GCは、延長線XTに対して、検出部5a、5bとは反対の側CSに位置する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レーザプリンタや投影型表示装置などに用いられる光スキャナに関する。
従来よりレーザプリンタや投影型表示装置等には光スキャナが使用されている。この光スキャナとして、一般に、ポリゴンミラーを用いるものや、MEMS(Micro−Electro−Mechanical Systems)ミラーを用いるものがある。このうち、MEMSミラーを用いた共振型光スキャナは、ミラー部と、ミラー部を支持し、ミラー部に駆動力を伝達する梁と、梁に連結し、ミラー部と梁とを囲う固定枠との一体成形により製造されることなどから、ポリゴンミラーと比較して、軽量・小型の光スキャナに適している。
図10は、特許文献1に開示されている共振型光スキャナに、特許文献2に開示されている制御素子を設けた光スキャナ101の分解斜視図である。光スキャナ101は、ミラー部2に入射した光束を反射して、走査する。検出部110a、110b、及び駆動部109a、109bは、チタン酸ジルコン酸鉛(以後、「PZT」と記す。)などの圧電材料から構成される圧電体と圧電体を挟む2枚の電極とから構成される。検出部110a、110bは、前述の特許文献2に開示されている制御素子である。梁107c、107dは、各々、梁106a、106bに連結している。そのため、梁107c、107dは、ミラー部104の揺動時に振動する。梁107c、107dが振動することにより、検出部110a、110bの各々の2枚の電極間に電圧が発生する。検出部110a、110bは、この振動に応じた大きさの電圧(以後、「検出電圧」と記す)を検出する。検出部110a、110bにより検出される検出電圧は、ミラー部104の揺動角度や揺動周波数などと相関関係にある。そのため、検出電圧を測定することで、光スキャナ101の運動状態を検知でき、例えば、光スキャナ101のフィードバック制御が可能となる。
特開2003−57586号公報 特開2007−199682号公報
しかしながら、上記のような光スキャナ101において、検出部110a、110bを構成する圧電体の特性などから、検出電圧は一般的に非常に小さい。そのため、検出電圧から、光スキャナ101の運動状態を正確に検知することが難しく、例えば、光スキャナ101のフィードバック制御が困難になるという問題があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、共振型光スキャナの大きな検出電圧を得ることを目的とするものである。
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、入射した光束を反射して、走査する光スキャナであって、揺動軸線の回りに揺動可能な反射面を有するミラー部と、前記揺動軸線に平行な方向に前記ミラー部の両側から延出する一対のミラー支持梁と、前記一対のミラー支持梁の各々に連結する一対の第1連結部を有し、前記第1連結部から前記ミラー支持梁の両側に延出する一対の延出梁と、前記一対の延出梁の両端の各々に連結する4つの第2連結部を有し、前記揺動軸線に平行で前記ミラー部から離れる方向に、前記第2連結部から延出する4つの連結梁と、を有する可動梁と、前記4つの連結梁に連結する固定部と、前記4つの連結梁のうち前記一対のミラー支持梁を結ぶ延長線に対して一方の側に位置する一対の連結梁と前記固定部とに跨って設けられ、前記可動梁を振動させるための一対の駆動部と、前記4つの連結梁のうち前記一対のミラー支持梁を結ぶ延長線に対して他方の側に位置する一対の連結梁の少なくとも1つの連結梁と前記固定部とに跨って設けられ、前記ミラー部の揺動波形を検出するための検出部と、を備え、前記ミラー部の重心は、前記延長線に対してオフセットして位置することを特徴とするものである。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、前記ミラー部の重心は、前記延長線に対して前記検出部とは反対側に位置し、前記ミラー部の重心と前記延長線との間の距離は、前記反射面に平行な面上で、且つ前記揺動軸線に垂直な方向における前記ミラー支持梁の梁幅を前記反射面に平行な面上で、且つ前記揺動軸線に垂直な方向における前記ミラー部のミラー幅の半分から減じた長さであることを特徴とするものである。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の発明において、前記梁幅は、前記ミラー幅の4分の1より小さく、前記延長線を挟んで対向する一対の前記連結梁間の分岐幅は、前記梁幅より大きく、且つ前記ミラー幅の4分の1より小さいことを特徴とするものである。
請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記検出部は、前記ミラー部の揺動波形に応じて変形可能な圧電体と前記圧電体を挟んで両側に設けられた一対の電極とを備え、前記圧電体の変形に応じて前記一対の電極間に発生する検出電圧を検出することで、前記ミラー部の揺動波形を検出することを特徴とするものである。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の発明において、前記ミラー部の揺動波形が所定の揺動波形となるように、前記検出部により検出された前記検出電圧に基づいて、前記駆動部を駆動するための駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記駆動部に供給する駆動制御部を備えることを特徴とするものである。
請求項6記載の本発明は、請求項5に記載の発明において、前記一対の駆動部は、各々、駆動圧電体と前記駆動圧電体を挟んで両側に設けられた一対の駆動電極とを備え、前記駆動制御部は、前記一対の駆動部の前記駆動圧電体が、前記揺動軸線に平行な方向において伸縮するように、前記一対の駆動部の前記一対の駆動電極に対し前記駆動信号を供給することを特徴とするものである。
請求項7記載の本発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記延長線に対して、前記検出部とは反対側に位置する前記ミラー部の一側端と前記延長線との間の距離が、前記延長線に対して、前記検出部と同じ側に位置する前記ミラー部の他側端と前記延長線との間の距離と異なることで、前記ミラー部の重心は、前記延長線に対してオフセットして位置することを特徴とするものである。
請求項8記載の本発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記ミラー部が穴、溝、または重りを有することにより、前記ミラー部の重心は、前記延長線に対してオフセットして位置することを特徴とするものである。
本発明者らは、以下に説明する光スキャナを開発し改良を重ねてきた。その光スキャナは、入射した光束を反射して、走査する光スキャナであって、揺動軸線の回りに揺動可能な反射面を有するミラー部と、前記揺動軸線に平行な方向に前記ミラー部の両側から延出する一対のミラー支持梁と、前記一対のミラー支持梁の各々に連結する一対の第1連結部を有し、前記第1連結部から前記ミラー支持梁の両側に延出する一対の延出梁と、前記一対の延出梁の両端の各々に連結する4つの第2連結部を有し、前記揺動軸線に平行で前記ミラー部から離れる方向に、前記第2連結部から延出する4つの連結梁と、を有する可動梁と、前記4つの連結梁に連結する固定部と、前記4つの連結梁のうち前記一対のミラー支持梁を結ぶ延長線に対して一方の側に位置する一対の連結梁と前記固定部とに跨って設けられ、前記可動梁を振動させるための一対の駆動部と、前記4つの連結梁のうち前記一対のミラー支持梁を結ぶ延長線に対して他方の側に位置する一対の連結梁の少なくとも1つの連結梁と前記固定部とに跨って設けられ、前記ミラー部の揺動波形を検出するための検出部と、を備える。上記光スキャナを、以後、「二股光スキャナ」と記す。なお、二股光スキャナは共振型の光スキャナである。本発明者らは、この二股光スキャナに対し、数値解析を行うことにより、ミラー部の重心を、延長線に対して検出部とは反対側に位置させることで、二股光スキャナの大きな検出電圧を得ることができることを確認した。
上記検出電圧の変化が確認されたことを基に、請求項1記載の光スキャナによれば、光スキャナのミラー部の重心を、延長線に対してオフセットして位置させることで、光スキャナの大きな検出電圧を得ることができる。従って、検出電圧から、光スキャナの運動状態を正確に検知することができる。
本発明者らが数値解析を行うことにより、二股光スキャナのミラー部の重心と延長線との間の距離を延長線に対し検出部とは反対側の方向へ大きくしていくと、二股光スキャナの検出電圧が大きくなることが確認された。
上記検出電圧の変化が確認されたことを基に、請求項2記載の光スキャナによれば、ミラー部の重心と延長線との間の距離を、ミラー支持梁の梁幅をミラー部のミラー幅の半分から減じた長さとすることで、可及的に大きな検出電圧を得ることができる。
本発明者らが数値解析を行うことにより、二股光スキャナのミラー部の重心と延長線との間の距離を、延長線に対し検出部とは反対側の方向へ大きくしていくと、一定の光学振れ角を得るために必要とされる駆動電圧が次第に大きくなり、ある極大値をとった後、小さくなることが確認された。また、駆動電圧が極大値をとった後、小さくなる傾向は、二股光スキャナの一対の連結梁間の分岐幅がミラー幅の4分の1より小さい際に顕著であることが確認された。
上記駆動電圧の変化が確認されたことを基に、請求項3記載の光スキャナによれば、ミラー部の重心と延長線との間の距離を、ミラー支持梁の梁幅をミラー部のミラー幅の半分から減じた長さとし、且つ一対の連結梁間の分岐幅をミラー幅の4分の1より小さくすることにより、可及的に大きな検出電圧が得られるだけでなく、ミラー部の重心と延長線との間の距離を、延長線に対し検出部とは反対側の方向へ大きくしたことによる駆動電圧の増大を抑えることができる。
請求項4記載の光スキャナによれば、検出部が一対の電極間に生ずる検出電圧を検出することで、前記ミラー部の揺動波形を検出することから、この検出電圧から、光スキャナの運動状態を正確に検出することができる。
請求項5記載の光スキャナによれば、駆動制御部は、検出部により検出された検出電圧に基づいて、ミラー部の揺動波形を制御するための駆動信号を正確に生成して駆動部に供給する。従って、光スキャナの高精度なフィードバック制御ができる。
請求項6記載の光スキャナによれば、駆動部は、検出部の圧電体と同様の駆動圧電体と、検出部の一対の電極と同様の一対の駆動電極とから構成され、駆動制御部から供給される駆動信号に基づいて伸縮する。検出部と駆動部とが同様な構成であることから、検出された検出電圧に基づいて駆動信号を生成することが比較的容易になり、光スキャナの高精度なフィードバック制御ができる。
請求項7記載または請求項8記載の光スキャナによれば、光スキャナのミラー部の重心を、延長線に対してオフセットして位置させることで、光スキャナの大きな検出電圧を得ることができる。従って、検出電圧から、光スキャナの運動状態を正確に検知することができる。
本発明の一実施形態に係る光スキャナ1の部分上面図である。 上記光スキャナ1の部分拡大上面図である。 上記光スキャナ1の電気的構成を示す図である。 本実施形態に係る駆動部4aの構成を説明するための説明図である。 本実施形態に係る駆動信号DSを説明するための説明図である。 本実施形態に係るミラー部2の揺動を説明するための説明図である。 本実施形態に係る駆動信号DSの時間Tmに対する変化を説明するための図である。 本実施形態に係る揺動波形OWの時間Tmに対する変化を説明するための図である。 本実施形態に係る検出電圧DTの時間Tmに対する変化を説明するための図である。 本実施形態に係る構造体の製造工程を示す図である。 上記光スキャナ1の網膜走査ディスプレイ201における使用例を示す図である。 従来の光スキャナ101を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して具体的に説明する。
[光スキャナ外観]
図1は、本実施形態の光スキャナ1の外観を示す部分上面図である。図1は簡略化のため、光スキャナ1の一部を省略して示している。光スキャナ1は、共振型の光スキャナである。図1に示すように、光スキャナ1は、ミラー部2と、可動梁3と、一対の駆動部4a、4bと、一対の検出部5a、5bと、固定部6とを備えている。本実施形態におけるミラー部2が、本発明のミラー部の一例である。本実施形態における可動梁3が、本発明の可動梁の一例である。本実施形態における駆動部4a、4bが、本発明の駆動部の一例である。本実施形態における固定部6が、本発明の固定部の一例である。固定部6は、特開2003−57586号公報に開示されているような、ミラー部2と可動梁3とを囲う外枠であるが、図1は簡略化のため、可動梁3と固定部6との連結部近傍の固定部6のみを示している。なお、ミラー部2と、可動梁3と、駆動部4a、4bと、検出部5a、5bと、固定部6とは、図示しないベース台上に配置される。
ミラー部2は、揺動軸線SWの回りに揺動可能で、入射した光束を反射して、走査する反射面7を備える。以後、簡略化のため、図1に示すように、光スキャナ1の静止時の、揺動軸線SWに平行な方向をX軸とし、反射面7に平行な面上で、且つ揺動軸線SWに垂直な方向をY軸とし、反射面7に垂直な方向をZ軸として定義する。X軸、Y軸、Z軸の方向の定義は、他の図面においても共通のものとする。本実施形態における反射面7が、本発明の反射面の一例である。
可動梁3は、ミラー部2の揺動時に、振動する。可動梁3の振動は、捻れ振動、またはたわみ振動である。可動梁3は、図1に示すように、X軸方向にミラー部2の両側から延出する。可動梁3は、図1に示すように、一対の支持梁8a、8bと、一対の延出梁9a、9bと、4つの連結梁10a〜10dとを備える。一対の支持梁8a、8bは、X軸方向に、即ち揺動軸線SWに平行な方向にミラー部2の両側から延出する。4つの連結梁10a〜10dのうち、一対の連結梁10a、10bは、一対の支持梁8a、8bを結ぶ延長線XTに対して一方の側SSに位置する。一対の連結梁10c、10dは、延長線XTに対して他方の側CSに位置する。駆動部4a、4bは、各々、一対の連結梁10c、10dと固定部6とに跨って設けられる。検出部5a、5bは、各々、一対の連結梁10a、10bと固定部6とに跨って設けられる。本実施形態における支持梁8a、8bが、本発明のミラー支持梁の一例である。本実施形態における延出梁9a、9bが、本発明の延出梁の一例である。本実施形態における連結梁10a〜10dが、本発明の連結梁の一例である。
ミラー部2のXY平面に対する質量分布はほぼ一様である。しかし、図1に示すように、延長線XTに対して、検出部5a、5bとは反対の側CSに位置するミラー部2の一側端CEと延長線XTとの間の距離CDは、延長線XTに対して、検出部5a、5bと同じ側SSに位置するミラー部2の他側端SEと延長線XTとの間の距離SDより大きい。このようにして、オフセット量OS=MR/2−SDが図1に示すY軸方向の正の値に設定されていることにより、ミラー部2の重心GCは、図1に示すように、延長線XTに対して、検出部5a、5bとは反対の側CSに位置する。なお、揺動軸線SWは、重心GCの近傍を通過し、オフセット量OS=0μmの場合、揺動軸線SWと延長線XTとは略一致し、共に、重心GC近傍を通過する。本実施形態における一側端CEが、本発明の一側端の一例である。本実施形態における他側端SEが、本発明の他側端の一例である。
図2を用いて、光スキャナ1の構造について詳細に説明する。図2は、光スキャナ1の部分拡大上面図である。図2には簡略化のため、支持梁8a、延出梁9a、連結梁10a、10c、駆動部4a、及び検出部5aのみが示されているが、支持梁8b、延出梁9b、連結梁10b、10d、駆動部4b、及び検出部5bも、各々、支持梁8a、延出梁9a、連結梁10a、10c、駆動部4a、及び検出部5aと同一の構成を有する。図2に示すように、支持梁8aは、X軸方向に、ミラー部2の一側面から延出する。図2に示すように、延出梁9aは、支持梁8aに連結する第1連結部CP1を有し、Y軸方向において、第1連結部CP1から支持梁8aの両側に延出する。図2に示すように、連結梁10a、10cは、延出梁9aの両端の各々に連結する一対の第2連結部CP2を有する。また、図2に示すように、連結梁10a、10cは、固定部6に連結する一対の第3連結部CP3を有する。連結梁10a、10cは、X軸方向にミラー部2から離れる方向に、第2連結部CP2から第3連結部CP3に向けて延出する。本実施形態における第1連結部CP1、第2連結部CP2が、各々、本発明の第1連結部、第2連結部の一例である。
[光スキャナの電気的構成]
図3を用いて、光スキャナ1の電気的構成について説明する。図3に示すように、光スキャナ1は、制御部30を備える。制御部30は、駆動信号生成部31と解析部32と記憶部33とを備える。駆動部4a、4bは、駆動信号生成部31に接続されている。駆動信号生成部31は駆動部4a、4bを駆動するための駆動信号を生成し、生成された駆動信号を駆動部4a、4bに供給する。検出部5a、5bは、解析部32に接続されている。解析部32は、光スキャナ1が駆動され、可動梁3が振動する際に検出部5a、5bに生ずる検出電圧を検出し、検出電圧に基づいてミラー部2の揺動波形を解析する。記憶部33は、あらかじめ設定されたミラー部2の所定の揺動周波数の情報を記憶している。記憶部33は、駆動信号生成部31に接続される。駆動信号生成部31は、記憶部33からミラー部2の所定の揺動周波数の情報を読み出す。
[駆動部の構造]
図4を用いて、駆動部4a、4bの構造について詳細に説明する。図4では代表して、駆動部4aのみが示されているが、駆動部4bも駆動部4aと同一の構成を有する。駆動部4aは、図4に示すように、薄板状の圧電体11aが、上部電極12aと下部電極13aとに挟まれた積層体である。圧電体11aは、電圧印加により変形するチタン酸ジルコン酸鉛(以後、「PZT」と記す。)から構成される。駆動部4bも、駆動部4aと同様に、図示しない圧電体11bと、上部電極12bと下部電極13bとを備える。本実施形態における圧電体11a、11bが、本発明の駆動圧電体の一例である。本実施形態における上部電極12a、12bと下部電極13a、13bとが、本発明の駆動電極の一例である。
上部電極12a、12bと下部電極13a、13bは、リード線90により、制御部30の駆動信号生成部31に接続されている。同位相の駆動信号が、駆動信号生成部31から、リード線90を介して、駆動部4a、4bに供給される。駆動信号生成部31から、駆動部4a、4bに同位相の駆動信号が供給されることにより、上部電極12aと下部電極13aとの間、及び上部電極12bと下部電極13bとの間に同じ極性を持った電圧が印加される。このように電圧が印加されることにより、圧電体11a、11bがX軸方向に共に伸び、または縮む。
[光スキャナの駆動]
図5、図6を用いて、光スキャナ1の駆動について説明する。図5は、駆動信号生成部31から駆動部4a、4bに供給される同位相の駆動信号DSを示す図である。図5において、縦軸は駆動部4a、4bの上部電極12a、12bと下部電極13a、13bとの間に印加される電圧Vtであり、横軸は時間Tmである。駆動信号生成部31は、駆動部4a、4bを駆動するための駆動信号DSを生成し、駆動信号DSを駆動部4a、4bに供給する。駆動部4aと駆動部4bとに供給される駆動信号DSは少なくとも同じ位相を有していればよいが、本実施形態においては、駆動部4aと駆動部4bとに供給される駆動信号DSは、同じ振幅と同じ位相とを有している。駆動信号DSの周期性により、駆動部4a、4bの圧電体11a、11bは、X軸方向に共に伸び、または縮む。即ち、例えば、図5に示した時間Tm1〜Tm2においては、上部電極12a、12bと下部電極13a、13bとに印加される電圧Vtが徐々に大きくなる。電圧Vtが徐々に大きくなると、圧電体11a、11bは、共にX軸方向に縮む。また、図5に示した時間Tm3〜Tm4においては、上部電極12a、12bと下部電極13a、13bとに印加される電圧Vtが徐々に小さくなる。電圧Vtが徐々に小さくなると、圧電体11a、11bは、共にX軸方向に伸びる。このようにして、駆動信号DSの周期性により、駆動部4a、4bの圧電体11a、11bは、X軸方向に共に伸び、または縮む。
図6は、光スキャナ1が駆動され、ミラー部2が揺動軸線SWの回りに揺動する様子を示す図である。図6は、簡略化のため、ミラー部2と可動梁3のみを示している。また、図6は、簡略化のため、オフセット量OSが0μmに近い光スキャナ1を示している。図6において、二点鎖線により示された光スキャナ1は静止時の光スキャナ1を示している。また、実線により示された光スキャナ1は、光スキャナ1が駆動され、ミラー部2がある揺動角度Φに達した際の光スキャナ1を示している。なお、ミラー部2の揺動角度は、周知のように、光スキャナ1の光学振れ角に相当するものである。可動梁3は構造を簡略化し、示されている。図5に示された同位相の駆動信号DSが制御部30から駆動部4a、4bに供給されることにより、駆動部4a、4bが駆動され、圧電体11a、11bがX軸方向に共に伸び、または縮む。この圧電体11a、11bの伸び縮みの結果、連結梁10c、10dの駆動部4a、4b近傍の部分がZ軸方向の上側、または下側に屈曲する。図5に示した同位相の駆動信号DSの周期性により、上部電極12aと下部電極13aとの間、及び上部電極12bと下部電極13bとの間に印加される電圧が周期的に変化する。この周期的な電圧の変化は、連結梁10c、10dの駆動部4a、4b近傍の部分に、Z軸方向の上側、または下側への周期的な屈曲をもたらす。連結梁10c、10dの駆動部4a、4b近傍の部分における周期的な屈曲により、可動梁3が振動する。可動梁3の振動により、ミラー部2は、揺動軸線SWを中心に揺動する。ミラー部2の反射面7は、揺動軸線SWを中心に揺動しながら、入射した光束を反射する。このように光束が反射面7により反射されることで、光束が走査される。以上のようにして、同位相の駆動信号DSが駆動信号生成部31から駆動部4a、4bに供給されることにより、光スキャナ1が駆動され、光スキャナ1は、反射面7に入射した光束を反射して走査する。なお、Z軸方向の上側、下側とは、各々、Z軸の正の領域側、負の領域側であり、厳密にZ軸方向に平行な方向に限定される意味ではない。本実施形態における駆動信号生成部31が、本発明の駆動制御部の一例である。
[検出部の構造]
検出部5a、5bは、各々、図4に示したような駆動部4a、4bと同様に、薄板状の圧電体14a、14bが、上部電極15a、15bと下部電極16a、16bとに挟まれた積層体である。圧電体14a、14bは、PZTから構成される。上部電極15a、15bと下部電極16a、16bとは、リード線90により、制御部30の解析部32に接続されている。本実施形態における圧電体14a、14bが、本発明の圧電体の一例である。本実施形態における上部電極15a、15bと下部電極16a、16bとが、本発明の電極の一例である。
[検出電圧]
図7A、図7B、及び図7Cを用いて、検出部5a、5bと解析部32とにより検出される検出電圧について詳細に説明する。図7A、図7B、及び図7Cにおいて横軸は時間Tmである。図7Aにおいて縦軸は、駆動部4a、4bの上部電極12a、12bと下部電極13a、13bとの間に印加される電圧Vtである。図7Bにおいて縦軸は、ミラー部2の揺動角度を示す揺動振幅Amである。図7Cにおいて縦軸は、検出部5a、5bと解析部32とにより検出される電圧Vtである。駆動部4a、4bに図7に示すような駆動信号DSが供給されると、可動梁3が振動し、ミラー部2は、揺動軸線SWを中心に揺動する。駆動信号DSの電圧Vtの最小値Vnは0ボルトである。駆動信号DSは電圧Vtの最大値として最大値Vxをとる。ミラー部2は、図7Bに示すような揺動波形OWで揺動する。ミラー部2の揺動にともない、可動梁3は振動する。可動梁3の振動は、連結梁10a、10bの検出部5a、5b近傍の部分に、Z軸方向の上側、または下側への周期的な屈曲をもたらす。検出部5a、5bの圧電体14a、14bは、この連結梁10a、10bの屈曲に応じて、変形する。圧電体14a、14bの変形は、上部電極15aと下部電極16aとの間、及び上部電極15bと下部電極16bとの間に検出電圧DTを生じさせる。解析部32は、図7Cに示したような上部電極15aと下部電極16aとの間、及び上部電極15bと下部電極16bとの間に生じる検出電圧DTを検出する。しかし、図7Cに示したような検出電圧DTの最大値Vxdと最小値Vndとの差(Vxd−Vnd)は、図7Aに示したような駆動電圧DSの最大値Vxと最小値Vnとの差(Vx−Vn)より小さい。このように検出電圧DTの取り得る電圧Vtの範囲が駆動電圧DSの取り得る電圧Vtの範囲よりも小さくなる(以後、「検出電圧が小さい」と表記する。)のは、圧電体14a、14bを構成しているPZTの特性などによるものである。従来の光スキャナにおいて検出電圧は非常に小さかったため、検出電圧から、光スキャナの運動状態を正確に検知することが難しかった。本実施形態における検出部5a、5b、及び解析部32が、本発明のミラー部の揺動波形を検出するための検出部の一例である。
[解析結果]
オフセット量OSを変化させた際の、光スキャナ1の検出電圧の変化等についてのシミュレーションによる解析結果を説明する。先ず、図2を用いて、シミュレーションに際して設定した光スキャナ1の各部の寸法について説明する。Y軸方向の支持梁8aの幅SBは、幅SB=80μmである。なお、図2に図示しないY軸方向の支持梁8bの幅SBも、幅SB=80μmである。Y軸方向のミラー部2の幅MRは、幅MR=1000μmである。また、図1に示すように、Y軸方向のミラー部2の幅MRは、距離CDと距離SDとの和である。オフセット量OSの正負は、図1に示したY軸方向の正負に従う。即ち、ミラー部2の重心GCが、延長線XTに対して、一対の検出部5a、5bとは反対側CSに位置する場合、オフセット量OS>0μmであり、一対の検出部5a、5bと同じ側SSに位置する場合、オフセット量OS<0μmである。また、図1に示すように、オフセット量OSの絶対値は、Y軸方向のミラー部2の幅MRの半分以下である必要があるため、オフセット量OSは、−500μm以上、500μm以下である必要がある。延長線XTを挟んで対向する一対の連結梁10aと連結梁10cとの間の分岐幅WDは、分岐幅WD=200μm、300μm、400μm、及び500μmの4通りの設定値でシミュレーションを行った。なお、一対の連結梁10bと連結梁10dとの間の幅も、一対の連結梁10aと連結梁10cとの間の分岐幅WDと同じ分岐幅WDである。
表を用いて、解析結果を説明する。表1において、PZT変位量PZは、図1に示す計測点DPにおける圧電体14aの変位量をミラー部の変位量で割り、100を掛けた値である。検出電圧DTの最大値Vxdと最小値Vndとの差(Vxd−Vnd)、即ち検出電圧の大きさは、光スキャナ1の光学振れ角と比例関係にある。よって、例えば、PZT変位量PZが2倍になると、検出電圧の大きさもおおよそ2倍となる。従って、PZT変位量PZの解析結果から検出電圧の大きさを見積ることができる。表に記載されている、PZT変位や駆動電圧等の数値は、全て光スキャナ1の光学振れ角を25度と設定した際の数値である。表1に、分岐幅WD=200μmと設定した際の、オフセット量OSとPZT変位量PZとの関係を示す。表1に示すように、オフセット量OSが大きい正の値であるほど、PZT変位量PZが大きな値をとり、オフセット量OSが450μmの際にPZT変位量PZが最大値をとることが分かる。従って、検出電圧DTはオフセット量OSの正の値が大きければ大きいほど、大きな値をとることが分かる。また、オフセット量OSがY軸方向のミラー部2の幅MR=1000μmの半分の値、即ち500μm近傍で最大値をとることがわかる。従って、オフセット量OSを、Y軸方向の支持梁8aの幅SBをミラー部2の幅MRの半分の長さから減じた長さ、即ち、420μm程度に設定することが望ましい。
表2は、分岐幅WDを分岐幅WD=200μm、300μm、400μm、及び500μmの4通りの設定値にし、オフセット量OSの値を変化させた際の駆動電圧の変化を示している。表2に示すように、幅WD=200μm、300μm、400μm、及び500μmのいずれの場合においても、オフセット量OS>0μmの場合、オフセット量OS=0μmの場合と比較して、大きな駆動電圧がかかることがわかる。また、オフセット量OSを大きくしていくと、駆動電圧が次第に大きくなり、ある極大値をとった後、小さくなることが分かる。また、駆動電圧が極大値をとった後、小さくなる傾向は、分岐幅WDが約200〜300μm程度より小さい際に顕著であることが分かる。従って、オフセット量OSを、Y軸方向の支持梁8aの幅SBをミラー部2の幅MRの半分の長さから減じた長さとし、且つ一対の連結梁10aと連結梁10cとの間の分岐幅WDをミラー部2の幅MRの4分の1、即ち250μmより小さくすることが望ましい。このように、オフセット量OSを設定することにより、可及的に大きな検出電圧が得られるだけでなく、駆動電圧の増大を抑えることができる。
[フィードバック制御]
図3に示した解析部32は、ミラー部2が揺動し、可動梁3が振動する際に検出部5a、5bに生ずる検出電圧DTを検出する。解析部32により検出電圧DTが検出されることで、解析部32の解析によりミラー部2の揺動波形OWが算出される。駆動信号生成部31は、解析部32により検出された検出電圧DTに基づいて、ミラー部2の揺動周波数が記憶部33に予め記憶された所定の揺動周波数となるように、駆動信号DSの周波数を調整して、生成された駆動信号DSを駆動部4a、4bに供給する。即ち、記憶部33により予め記憶された所定の周波数よりも低い周波数の揺動波形OWが解析部32により算出された場合、駆動信号生成部31は、駆動信号DSの周波数を高く設定し、駆動信号DSを駆動部4a、4bに供給する。このように周波数の高い駆動信号DSが駆動部4a、4bに供給されることで、ミラー部2は高周波数で揺動する。以上のように駆動信号生成部31が解析部32により検出された検出電圧DTに基づいて、駆動信号DSの周波数を調整することで、ミラー部2が所定の揺動周波数で揺動するように制御される。なお、本発明において「揺動波形」とは、ミラー部2の揺動の振幅、及び位相で規定されるミラー部2の揺動波形を指す。従って、「揺動波形」は、当然の事ながら、揺動の振幅が変化する速さを表す揺動周波数を有する。
[構造体の製造方法]
図8を用いて、本実施形態における構造体の製造方法について説明する。構造体とは、ミラー部2の基板と可動梁3と固定部6とを指す。反射面7は、通常、ミラー部2の基板上に金等から成る金属膜が成膜されることにより形成される。
まず、図8に示すように、弾性を有する板状のシリコン基板が被エッチング材として準備される(ステップS1、以下S1と記す)。次に、シリコン基板の両面にフォトレジストが塗布され、シリコン基板の両面にレジスト膜が形成される。(S2)。レジスト膜が形成されると、フォトリソグラフィ技術が用いられ、レジスト膜に対して、所定のパターン光が露光される。所定のパターン光が露光されることにより、レジスト膜のうち不要な部分が除去される。これにより、シリコン基板の両面上に、各々、マスクパターンが形成される(S3)。マスクパターンが形成されると、シリコン基板とマスクパターンとの積層体が、エッチング溶液を収容しているエッチング槽に浸漬され、ウェットエッチングが施される(S4)。ウェットエッチングが施されると、シリコン基板とマスクパターンとの積層体が、エッチング槽から取り出され(S5)、続いて、マスクパターンがシリコン基板の両面から剥離される(S6)。以上の製造方法により、所定の形状をした構造体が製造される。
[光スキャナ使用例]
本実施形態に係る光スキャナ1の網膜走査ディスプレイ201における使用例について、図9を用いて説明する。網膜走査ディスプレイ201とは、ヘッドマウントディスプレイ装置(以後、「HMD」と記す。)の一形態である。網膜走査ディスプレイ201は、装着者の頭部およびその近辺に装着され、画像光を装着者の眼に導き、装着者の網膜上で2次元方向に走査することにより、画像情報に対応する画像が装着者により視認されるように構成されたものである。本実施形態に係る光スキャナ1は、図9に示した共振型偏向素子261と偏向素子281とに用いられる。ただし、駆動制御部60は、水平走査制御回路262と垂直走査制御回路282とに対応するものである。
網膜走査ディスプレイ201は、光束生成部220と、水平走査部260と、垂直走査部280とを備えている。
光束生成部220は、外部から供給される画像情報Sに基づいて画像光を生成し、生成された画像光を水平走査部260に供給する。水平走査部260は、光束生成部220により生成された画像光を水平方向に走査し、水平方向に走査された画像光をリレー光学系270を介して、垂直走査部280に供給する。垂直走査部280は、リレー光学系270を介して、水平走査部260から供給された画像光を垂直方向に走査し、垂直方向に走査された画像光をリレー光学系290を介して、装着者の瞳孔Eaに供給する。
光束生成部220は、信号処理回路221と、光源部230と、光合成部240と、を備えている。
信号処理回路221は、外部から供給された画像データSを受信する。信号処理回路221は、画像データSに基づいて、画像を合成するための要素となる青、赤、緑の各画像信号、B映像信号、R映像信号、G映像信号を生成し、光源部230に供給する。信号処理回路221は、水平走査部260を駆動するための水平同期信号を水平走査部260に供給し、垂直走査部280を駆動するための垂直同期信号を垂直走査部280に供給する。
光源部230は、信号処理回路221から供給されるB映像信号、R映像信号、G映像信号をそれぞれ画像光にする画像光出力部として機能する。光源部230は、青色の画像光を発生するBレーザ234及びBレーザ234を駆動するBレーザドライバ231と、赤色の画像光を発生するRレーザ235及びRレーザ235を駆動するRレーザドライバ232と、緑色の画像光を発生するGレーザ236及びGレーザ236を駆動するGレーザドライバ233と、を備えている。
光合成部240は、光源部230から出力された3つの画像光を供給され、3つの画像光を1つの画像光に合成して任意の画像光を生成する。光合成部240は、コリメート光学系241、242、243と、このコリメートされた画像光を合成するためのダイクロイックミラー244、245、246と、合成された画像光を伝送ケーブル250に導く結合光学系247とを備えている。各レーザ234、235、236から出射したレーザ光は、コリメート光学系241、242、243によってそれぞれ平行光化された後に、ダイクロイックミラー244、245、246に入射される。その後、これらのダイクロイックミラー244、245、246により、各画像光が波長に関して選択的に反射または透過される。コリメート光学系251は、伝送ケーブル250を介して出射される画像光を平行光化し、水平走査部260に導く。
平行光化された画像光は、水平走査部260、リレー光学系270、垂直走査部280、及びリレー光学系290により、2次元的に走査された画像光に変換される。水平走査部260は、コリメート光学系251で平行光化された画像光を画像表示のために水平方向に往復走査する。リレー光学系270は、水平走査部260と垂直走査部280との間に設けられ、水平走査部260により走査された画像光を、垂直走査部280に導く。垂直走査部280は、水平走査部260で水平方向に走査された画像光を垂直方向に往復走査する。リレー光学系290は、水平方向と垂直方向とに走査(2次元的に走査)された画像光を瞳孔Eaへ出射する。
水平走査部260は、共振型偏向素子261と、水平走査制御回路262と、を備えている。本実施形態に係る光スキャナ1は、共振型偏向素子261に用いられる。共振型偏向素子261は、画像光を水平方向に走査するための反射面を有する。水平走査制御回路262は、信号処理回路221から供給される水平同期信号に基づいて、共振型偏向素子261を共振させる。リレー光学系270は、水平走査部260と垂直走査部280との間で画像光を中継する。共振型偏向素子261によって水平方向に走査された光は、リレー光学系270によって垂直走査部280内の偏向素子281の反射面に収束される。
垂直走査部280は、偏向素子281と、垂直走査制御回路282と、を備えている。本実施形態に係る光スキャナ1は、偏向素子281に用いられる。偏向素子281は、リレー光学系270により導かれた画像光を垂直方向に走査する。垂直走査制御回路282は、信号処理回路221から供給される垂直同期信号に基づいて、偏向素子281を揺動させる。共振型偏向素子261により水平方向に走査され、偏向素子281によって垂直方向に走査された画像光は、2次元的に走査された走査画像光としてリレー光学系290へ出射される。
リレー光学系290は、垂直走査部280と装着者の瞳孔Eaとの間で画像光を中継する。共振型偏向素子261により水平方向に走査され、偏向素子281によって垂直方向に走査された画像光は、リレー光学系290によって装着者の瞳孔Eaに収束される。このようにして、装着者は画像情報に対応する画像を視認することができる。
(変形例)
本実施形態において、延長線XTに対して、検出部5a、5bとは反対の側CSに位置するミラー部2の一側端CEと延長線XTとの間の距離CDは、延長線XTに対して、検出部5a、5bと同じ側SSに位置するミラー部2の他側端SEと延長線XTとの間の距離SDより大きい。これにより、ミラー部2の重心GCは、延長線XTに対して、検出部5a、5bとは反対の側CSに位置していた。しかし、これに限らず、ミラー部2に穴、溝、または重りを設けることにより、ミラー部2の重心GCが、延長線XTに対して、検出部5a、5bとは反対の側CSに位置するように構成してもよい。
本実施形態において、駆動信号生成部31は、解析部32により検出された検出電圧DTに基づいて、ミラー部2の揺動周波数が記憶部33に予め記憶された所定の揺動周波数となるように、駆動信号DSの周波数を調整して、生成された駆動信号DSを駆動部4a、4bに供給していた。しかし、これに限らず、記憶部33にミラー部2の所定の揺動振幅が予め記憶され、駆動信号生成部31が、解析部32により検出された検出電圧DTに基づいて、ミラー部2の揺動振幅が記憶部33に予め記憶された所定の揺動振幅となるように、駆動信号DSの振幅を調整して、生成された駆動信号DSを駆動部4a、4bに供給するよう構成してもよい。即ち、記憶部33により予め記憶された所定の振幅よりも小さい振幅の揺動波形OWが解析部32により算出された場合、駆動信号生成部31は、駆動信号DSの振幅を大きく設定し、駆動信号DSを駆動部4a、4bに供給する。このように振幅の大きい駆動信号DSが駆動部4a、4bに供給されることで、ミラー部2は大きく揺動し、光スキャナの大きな光学振れ角を得ることができる。ただし、駆動信号DSの振幅とは、図7Aにおいて示した駆動電圧DSの最大値Vxと最小値Vnとの差(Vx−Vn)の半分、(Vx−Vn)/2である。なお、本発明において「揺動波形」とは、ミラー部2の揺動の振幅、及び位相で規定されるミラー部2の揺動波形を指す。従って、「揺動波形」は、当然の事ながら揺動振幅を有する。
本実施形態において、光スキャナ1は、一対の検出部5a、5bを備えていたが、これに限らず1個の検出部を備える構成であってもよい。ただし、光スキャナ1が本実施形態のように検出部を一対備えることにより、例えば、検出部5aと検出部5bとで検出される検出電圧DTが異なった場合、ミラー部2が正常に揺動していないことが検知でき、一方の駆動部に供給する駆動信号DSを制御するなどのより精密なフィードバック制御が可能となる。
本実施形態において、構造体は、ウェットエッチングを用いた手法により形成されていたが、これに限らず、例えば、ドライエッチングにより形成されてもよい。
本実施形態において、構造体は、図8に示したように一度のマスクパターン形成と、一度のウェットエッチングにより製造されていたが、これに限らず、これらの製造工程は複数回行われてもよい。
本実施形態において、構造体を製造する際のマスクパターンは、シリコン基板に直接フォトレジストを塗布し、その後所定のパターン光を露光することで形成されていたが、これに限らず、例えば、シリコン基板を熱し、シリコン基板の両面にシリコン熱酸化膜を形成した後、シリコン熱酸化膜上にレジストを塗布し、その後所定のパターン光を露光することで所定の形状をしたレジスト膜を形成し、フッ酸等を用いて、シリコン熱酸化膜のうちの余分な部分を除去することで、マスクパターンを形成してもよい。
本実施形態において、光スキャナ1の使用例として、網膜走査ディスプレイ201を示したが、これに限らず、電子写真式複合機や、レーザプリンタ、バーコードリーダ等に用いられてもよい。
1 光スキャナ
2 ミラー部
3 可動梁
4a、4b 駆動部
5a、5b 検出部
6 固定部
7 反射面
8a、8b 支持梁
9a、9b 延出梁
10a〜10d 連結梁
11a 圧電体
12a 上部電極
13a 下部電極
30 制御部
31 駆動信号生成部
32 解析部
SW 揺動軸線
XT 延長線
OS オフセット量
DS 駆動信号
OW 揺動波形
DT 検出電圧

Claims (8)

  1. 入射した光束を反射して、走査する光スキャナであって、
    揺動軸線の回りに揺動可能な反射面を有するミラー部と、
    前記揺動軸線に平行な方向に前記ミラー部の両側から延出する一対のミラー支持梁と、前記一対のミラー支持梁の各々に連結する一対の第1連結部を有し、前記第1連結部から前記ミラー支持梁の両側に延出する一対の延出梁と、前記一対の延出梁の両端の各々に連結する4つの第2連結部を有し、前記揺動軸線に平行で前記ミラー部から離れる方向に、前記第2連結部から延出する4つの連結梁と、を有する可動梁と、
    前記4つの連結梁に連結する固定部と、
    前記4つの連結梁のうち前記一対のミラー支持梁を結ぶ延長線に対して一方の側に位置する一対の連結梁と前記固定部とに跨って設けられ、前記可動梁を振動させるための一対の駆動部と、
    前記4つの連結梁のうち前記一対のミラー支持梁を結ぶ延長線に対して他方の側に位置する一対の連結梁の少なくとも1つの連結梁と前記固定部とに跨って設けられ、前記ミラー部の揺動波形を検出するための検出部と、を備え、
    前記ミラー部の重心は、前記延長線に対してオフセットして位置することを特徴とする光スキャナ。
  2. 前記ミラー部の重心は、前記延長線に対して前記検出部とは反対側に位置し、
    前記ミラー部の重心と前記延長線との間の距離は、前記反射面に平行な面上で、且つ前記揺動軸線に垂直な方向における前記ミラー支持梁の梁幅を前記反射面に平行な面上で、且つ前記揺動軸線に垂直な方向における前記ミラー部のミラー幅の半分から減じた長さであることを特徴とする請求項1に記載の光スキャナ。
  3. 前記梁幅は、前記ミラー幅の4分の1より小さく、
    前記延長線を挟んで対向する一対の前記連結梁間の分岐幅は、前記梁幅より大きく、且つ前記ミラー幅の4分の1より小さいことを特徴とする請求項2に記載の光スキャナ。
  4. 前記検出部は、前記ミラー部の揺動波形に応じて変形可能な圧電体と前記圧電体を挟んで両側に設けられた一対の電極とを備え、前記圧電体の変形に応じて前記一対の電極間に発生する検出電圧を検出することで、前記ミラー部の揺動波形を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光スキャナ。
  5. 前記ミラー部の揺動波形が所定の揺動波形となるように、前記検出部により検出された前記検出電圧に基づいて、前記駆動部を駆動するための駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記駆動部に供給する駆動制御部を備えることを特徴とする請求項4に記載の光スキャナ。
  6. 前記一対の駆動部は、各々、駆動圧電体と前記駆動圧電体を挟んで両側に設けられた一対の駆動電極とを備え、
    前記駆動制御部は、前記一対の駆動部の前記駆動圧電体が、前記揺動軸線に平行な方向において伸縮するように、前記一対の駆動部の前記一対の駆動電極に対し前記駆動信号を供給することを特徴とする請求項5に記載の光スキャナ。
  7. 前記延長線に対して、前記検出部とは反対側に位置する前記ミラー部の一側端と前記延長線との間の距離が、前記延長線に対して、前記検出部と同じ側に位置する前記ミラー部の他側端と前記延長線との間の距離と異なることで、前記ミラー部の重心は、前記延長線に対してオフセットして位置することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光スキャナ。
  8. 前記ミラー部が穴、溝、または重りを有することにより、前記ミラー部の重心は、前記延長線に対してオフセットして位置することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光スキャナ。
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