JP2011052906A - セラミック焼成用窯道具板 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱容量が低減され、ガス抜けを良好にし、耐クリープ性に優れたセラミック焼成用窯道具板を提供する。
【解決手段】一方の面A側に互いに離間して平行に配置された複数の第1凸条部5aと、他方の面B側に互いに離間して平行に配置された複数の第2凸条部5bとを備え、第1凸条部5a間に形成された第1凹部4aと、第2凸条部5b間に形成された第2凹部4bとが重なる部分に開口部7が形成され、第1凸条部5aの長手方向に直交する断面及び第2凸条部5bの長手方向に直交する断面のそれぞれにおいて、断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域における気孔割合が、断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高いセラミック焼成用窯道具板100。
【選択図】図1
【解決手段】一方の面A側に互いに離間して平行に配置された複数の第1凸条部5aと、他方の面B側に互いに離間して平行に配置された複数の第2凸条部5bとを備え、第1凸条部5a間に形成された第1凹部4aと、第2凸条部5b間に形成された第2凹部4bとが重なる部分に開口部7が形成され、第1凸条部5aの長手方向に直交する断面及び第2凸条部5bの長手方向に直交する断面のそれぞれにおいて、断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域における気孔割合が、断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高いセラミック焼成用窯道具板100。
【選択図】図1
Description
本発明は、セラミック焼成用窯道具板に関し、さらに詳しくは、熱容量が低減され、ガス抜けを良好にし、耐クリープ性に優れたセラミック焼成用窯道具板に関する。
従来、ハニカム成形体などの被焼成物を焼成する際に用いられるセラミック焼成用窯道具板としては、被焼成物と接するセラミック焼成用窯道具板が平板状(プレート状)からなるものが知られている。
しかし、平板状からなるセラミック焼成用窯道具板上に、被焼成物を載置して焼成を行うと、被焼成物とセラミック焼成用窯道具板との接触面積が大きく、被焼成物と棚板の間に十分な隙間がないため、焼成中に被焼成物に含まれる有機バインダー成分が熱分解してガス化し、内部で発生した分解ガスが抜けにくくなる。これにより、被焼成物の表層部と内部との温度差が大きくなり、脱脂の進行速度に差が生じ、これに起因して成形体内部に歪が発生し、クラックが生じる。このため、昇温速度を低くして時間をかけて脱脂を行うことが一般的であり、生産効率が悪く、加熱に多くのエネルギーが必要になる。
また、棚板と被焼成物の底面との接地面の面積が大きいため、焼成の際に起こる被焼成物の収縮により、摩擦抵抗が生じ寸法変形が大きくなる。このため、被焼成物が収縮を起こす温度域で寸法変形を抑えるために昇温速度で時間をかけて加熱を行っていた。被焼成物がセッターに付着し易く欠けやクラックが発生する問題があった。
このような問題に対して、次の特許文献1〜3がある。
特許文献1には、孔径0.5〜4mm程度のセラミック多孔体を支持体として、その一面に、口径0.5mm以下の面状のセラミック多孔体による表面層が形成された焼成用窯道具板が開示されている。そして、その目的は、焼成用窯道具を軽量化するとともに、半製品から発生する分解ガス等が焼成用窯道具を透過するときの気体透過性を確保し、製品への熱的歪を防止することにある。しかし、特許文献1に記載の焼成用窯道具板では、製品質量に対して窯道具の質量の比率が高く、エネルギー面でのロスが多い。また、焼成時のバインダーガスの抜けが十分でなく、依然として製品内の温度差が生じやすく、また、切れ不良が生じやすい。また、雰囲気がこもり易く、焼成時に雰囲気ガスとの接触が不十分となり、さらに切れ不良が発生し易い。
特許文献2には、セラミック製基板と、セラミック製基板に設けた、各別に1個ずつの電子部品を保持するための複数の貫通保持部とからなり、各貫通保持部の形状を上面から下面に向かって断面積が小さくなるテーパー形状とし、各貫通保持部の断面を少なくとも電子部品が通過しない大きさとしたものが開示されている。特許文献2に記載のセラミック製基板では、上面から下面に向かって断面積が小さくなるテーパー形状を採用することにより、雰囲気を全ての保持部に通過させようと試みたことで一定の評価を得るものではある。しかし、製品質量に対して窯道具の質量の比率が高く、エネルギー面でのロスが多く、焼成時におけるバインダーガスの抜けも十分ではない。また、製品との接触面積が大きいことから、焼結時の収縮で変形し易く、セラミック製基板に付着するおそれがある。
特許文献3には、被焼成物と接するセラミック基体の表面に、凹凸構造の表面載置部を形成することによって、治具上の熱風の流れを均一にでき、被焼成物を均一に焼成せんとするものが開示されている。このような構成を採用すると、治具上の熱風の流れをある程度均一にできる。これは、一定の評価を得るものではあるが、焼成時バインダーガスの抜けが未だ十分とは言えず、雰囲気がこもりやすいという問題点も残る。加えて、製品質量に対して窯道具の質量の比率が高く、エネルギー面でのロスが多い。焼結時の収縮により変形する等の問題についても、十分に解消されているとはいえない。
以上のように、現在まで前述の問題に対しては十分な対応がなされておらず、更なる改良が求められるところである。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、熱容量が低減され、ガス抜けを良好にし、耐クリープ性と耐酸化性に優れたセラミック焼成用窯道具板を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のセラミック焼成用窯道具板を提供する。
[1] 一方の面側に互いに離間して平行に配置された複数の第1凸条部と、他方の面側に互いに離間して平行に配置された複数の第2凸条部とを備え、前記第1凸条部間に形成された第1凹部と、前記第2凸条部間に形成された第2凹部とが重なる部分に開口部が形成され、
前記第1凸条部の長手方向に直交する断面及び前記第2凸条部の長手方向に直交する断面のそれぞれにおいて、前記断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域における気孔割合が、前記断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ前記中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高いセラミック焼成用窯道具板。
前記第1凸条部の長手方向に直交する断面及び前記第2凸条部の長手方向に直交する断面のそれぞれにおいて、前記断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域における気孔割合が、前記断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ前記中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高いセラミック焼成用窯道具板。
[2] 前記中間領域における気孔径10〜300μmの気孔の面積の合計が、前記中間領域の面積に対して0.1〜10%である[1]に記載のセラミック焼成用窯道具板。
[3] 表面に二酸化珪素を主成分とする表面層を有し、前記表面層の厚さが10〜100μmである[1]又は[2]に記載のセラミック焼成用窯道具板。
[4] 炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を含有する泥奨が、鋳込成形されて形成された[1]〜[3]のいずれかに記載のセラミック焼成用窯道具板。
[5] 炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を含有する泥奨を、鋳込成形して熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を形成する成形工程と、前記熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を熱処理して[1]〜[4]のいずれかに記載のセラミック焼成用窯道具板を形成する熱処理工程とを有するセラミック焼成用窯道具板の製造方法。
[6] 前記成形工程が、石膏型に泥奨を注泥して熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を形成する工程であり、石膏型に泥奨を注泥するときに、石膏型における、形成される前記熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の対向する2辺に相当する部分から、それぞれ泥奨を注泥する[5]に記載のセラミック焼成用窯道具板の製造方法。
[7] 前記熱処理工程が、前記焼成前のセラミック焼成用窯道具板を、窒素雰囲気下、1350〜1500℃で保持し、その後、大気雰囲気下、1000〜1500℃で保持する工程である[5]又は[6]に記載のセラミック焼成用窯道具板の製造方法。
本発明のセラミック焼成用窯道具板によれば、一方の面側に互いに離間して平行に配置された、複数の第1凸条部と、他方の面側に互いに離間して平行に配置された、複数の第2凸条部とを備えるため、被焼成物との接触面積が減少することで、ガスの抜けが良好になる。更に、上記のように凸条部(第1凸条部、第2凸条部)が離間して配置されると共に、第1凸条部間に形成された第1凹部と、第2凸条部間に形成された第2凹部とが重なる部分に開口部が形成されるため、焼成炉内の雰囲気が均一化され、被焼成体を均一に加熱、焼成することが可能となる。そして、このような構成により、熱容量を低減することが可能となり、エネルギーコストを低減することが可能となる。そして更に、本発明のセラミック焼成用窯道具板は、第1凸条部の長手方向に直交する断面及び第2凸条部の長手方向に直交する断面のそれぞれ(両方)において、前記断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域における気孔割合が、前記断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ前記中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高いため、耐クリープ性に優れたセラミック焼成用窯道具板である。
また、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一の好ましい態様によれば、表面に二酸化珪素を主成分とする表面層を有し、当該表面層の厚さが10〜100μmであるため、耐酸化性を向上させることができる。
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1)セラミック焼成用窯道具板:
本発明のセラミック焼成用窯道具板の一の実施形態は、図1、図2Aに示されるように、一方の面A側に、互いに離間して平行に配置された複数の第1凸条(突条)部5aと、他方の面B側に、互いに離間して平行に配置された複数の第2凸条部5bとを備え、第1凸条部5a間に形成された第1凹部4aと、第2凸条部5b間に形成された第2凹部4bとが重なる部分に開口部7が形成されるものである。そして、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板100は、第1凸条部5aの長手方向に直交する断面及び第2凸条部5bの長手方向に直交する断面のそれぞれにおいて、当該断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域における気孔割合が、上記断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高いものである。ここで、「気孔割合」は、上記断面の各領域(中央領域、中間領域)における、気孔の面積の合計を、上記各領域の面積で除した値を100倍した値である。気孔の面積及び各領域(中央領域、中間領域)の面積は、断面を顕微鏡写真で撮影し、画像処理することにより得たものである。また、第1凸条部と第2凸条部とを総称して、単に、「凸条部」ということがある。従って、「凸条部」というときは、第1凸条部と第2凸条部との両方を意味する。また、第1凹部と第2凹部とを総称して、単に、「凹部」ということがある。従って、「凹部」というときは、第1凹部と第2凹部との両方を意味する。また、上記中央領域及び上記中間領域の外周形状はいずれも正方形であるが、当該正方形の一辺が、セラミック焼成用窯道具板における被焼成物を載置する面に、平行とする。図1は、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図2Aは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一実施形態の第1凸状部(第2凸条部)の長手方向に直交する断面を示す模式図である。
本発明のセラミック焼成用窯道具板の一の実施形態は、図1、図2Aに示されるように、一方の面A側に、互いに離間して平行に配置された複数の第1凸条(突条)部5aと、他方の面B側に、互いに離間して平行に配置された複数の第2凸条部5bとを備え、第1凸条部5a間に形成された第1凹部4aと、第2凸条部5b間に形成された第2凹部4bとが重なる部分に開口部7が形成されるものである。そして、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板100は、第1凸条部5aの長手方向に直交する断面及び第2凸条部5bの長手方向に直交する断面のそれぞれにおいて、当該断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域における気孔割合が、上記断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高いものである。ここで、「気孔割合」は、上記断面の各領域(中央領域、中間領域)における、気孔の面積の合計を、上記各領域の面積で除した値を100倍した値である。気孔の面積及び各領域(中央領域、中間領域)の面積は、断面を顕微鏡写真で撮影し、画像処理することにより得たものである。また、第1凸条部と第2凸条部とを総称して、単に、「凸条部」ということがある。従って、「凸条部」というときは、第1凸条部と第2凸条部との両方を意味する。また、第1凹部と第2凹部とを総称して、単に、「凹部」ということがある。従って、「凹部」というときは、第1凹部と第2凹部との両方を意味する。また、上記中央領域及び上記中間領域の外周形状はいずれも正方形であるが、当該正方形の一辺が、セラミック焼成用窯道具板における被焼成物を載置する面に、平行とする。図1は、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一実施形態を模式的に示す斜視図である。図2Aは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一実施形態の第1凸状部(第2凸条部)の長手方向に直交する断面を示す模式図である。
このように、本実施形態のセラミック焼成用窯道具によれば、「一方の面側に、互いに離間して平行に配置された」複数の第1凸条部と、「他方の面側に、互いに離間して平行に配置された」複数の第2凸条部とを備えるため、被焼成物を載置したときに、被焼成物との接触面積が減少し、被焼成物を焼成する際に焼成炉内で、被焼成物とセラミック焼成用窯道具との間を、ガスが良好に抜けるようにすることができる。更に、上記のように凸条部(第1凸条部、第2凸条部)が離間して配置されると共に、隣り合う第1凸条部間に、当該第1凸条部に沿って延びるように形成された第1凹部と、隣り合う第2凸条部間に、当該第2凸条部に沿ってのびるように形成された第2凹部とが重なる部分に開口部が形成されるため、焼成炉内の雰囲気が均一化され、被焼成体を均一に加熱、焼成することが可能となる。そして、このような構成により、熱容量を低減することが可能となり、エネルギーコストを低減することが可能となる。そして更に、本発明のセラミック焼成用窯道具板は、第1凸条部の長手方向に直交する断面及び第2凸条部の長手方向に直交する断面の両方において、当該断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域における気孔割合が、上記断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高いため、耐クリープ性に優れたセラミック焼成用窯道具板である。このように、凸条部の中間領域の気孔割合を中央領域の気孔割合より低くすることにより、凸条部内に、筒状の「気孔割合が低く、より緻密な」中間領域が形成されることになるため、凸条部が変形し難くなり、耐クリープ性が向上するのである。また、セラミック焼成用窯道具板の表面(組織内部の気孔の表面も含む)への酸化層形成が抑制されて耐酸化性が向上するのである。更に、中央領域の気孔割合が、中間領域の気孔割合より高いことにより、クリープ特性をあまり落とさずに、軽量化ができるため、熱容量を効果的に低減できる。更に、中央領域の気孔割合が、中間領域の気孔割合より高いことにより、凸条部の断面の厚さが薄くなり、熱伝達距離が短くなるため、加熱時に早く温まり、冷却時に早く冷える。
本実施形態のセラミック焼成用窯道具板は、図1、図2Aに示すように、第1凸条部5aと第2凸条部5bとが、開口部7が形成されるように配置され、第1凸条部5aの長手方向に直交する断面において、当該第1凸条部5aの断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域2における気孔割合が、当該第1凸条部5aの断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ中央領域2を除いた領域である中間領域3における気孔割合より高く、第2凸条部5bの長手方向に直交する断面においても同様に、当該第2凸条部5bの断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域2における気孔割合が、当該第2凸条部5bの断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ中央領域2を除いた領域である中間領域3における気孔割合より高いものである。中央領域2は、対角線の交点が「凸条部の断面全体の重心」と重なるような正方形の領域であるということもできる。また、中間領域3は、対角線の交点が「凸条部の断面全体の重心」と重なるような正方形の領域から、中央領域2を除いた領域であるということもできる。
本実施形態のセラミック焼成用窯道具板においては、中央領域2の気孔割合は、中間領域3の気孔割合の1.2〜48倍であることが好ましく、1.2〜5.0倍であることが更に好ましい。1.2倍より小さいと、耐クリープ性を向上させる効果が発揮され難くなることがある。更には、気孔が存在する事で、酸素と接触する比表面積が増大し、耐酸化性能が低下することがある。48倍より大きいと、成形できないことがある。
また、凸条部(5a,5b)の中間領域3における、気孔径10〜300μmの気孔の面積の合計が、中間領域3の面積に対して0.1〜10%であることが好ましく、0.1〜5%であることが更に好ましい。凸条部の中間領域に、気孔径10〜300μmの気孔が多く存在すると、セラミック焼成用窯道具板の耐クリープ性を向上させる効果が発揮され難くなるが、中間領域3における、気孔径10〜300μmの気孔の面積の合計が、中間領域3の面積に対して0.1〜10%であると、セラミック焼成用窯道具板の耐クリープ性をより向上させることができる。この比率が、0.1%より低いと、耐熱衝撃性などの応力が加わった時に内在する気孔による応力緩和効果が小さくなり、耐熱衝撃性能が低下することがある。10%より高いと、内在する気孔量が増大することで、耐クリープ性を向上させる効果が発揮され難くなることがある。更には、気孔が存在する事で、酸素と接触する比表面積が増大し、耐酸化性能が低下することがある。中間領域3における気孔径300μmを超える気孔の面積の合計が、中間領域3の面積に対して2%以下であることが好ましい。また、中間領域2には、気孔径300μmを超える気孔が存在しないことが更に好ましい。
本実施形態のセラミック焼成用窯道具板においては、図2Aに示すように、表面に二酸化珪素を主成分とする表面層6を有し、表面層6の厚さが10〜100μmであることが好ましい。表面層6の厚さは、10〜50μmであることが更に好ましい。「主成分」とは、90%質量以上含有される成分をいう。セラミック焼成用窯道具板の表面に、二酸化珪素を主成分とする表面層6を有すると、高温での酸化が抑制され、耐酸化性が向上する。表面層6の厚さが、10μmより薄いと、耐酸化性を向上させる効果が低くなることがある。表面層6の厚さが、100μmより厚いと、皮膜と基材の熱膨張の微妙な違いで剥離やクラックの生成などが生じることで、高温での酸化抑制効果が低下することがある。「セラミック焼成用窯道具板の表面」とは、セラミック焼成用窯道具板の輪郭を形成する面全体を意味する。
本実施形態のセラミック焼成用窯道具板は、図2Bに示すように、表面層6の内側に、「粒子径50μm以上の炭化珪素粒子の含有率」が10質量%以下の微粒層26を有することが好ましい。微粒層26の厚さは、500〜2000μmであることが好ましい。微粒層26は、表面層6を除いたときに、セラミック焼成用窯道具板の表面に位置するものであることが好ましい。このような微粒層26を有することにより、セラミック焼成用窯道具板の耐クリープ性を更に向上させる効果がある。炭化珪素粒子の粒子径は、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する方法で測定した値である。微粒層26の厚さが500μmより薄いと、耐クリープ性を更に向上させる効果を十分には得られないことがある。微粒層26の厚さが2000μmより厚いと、組織内部に粗粒が無い事で、耐熱衝撃応力の緩和効果が減少し、熱衝撃性能が低下しやすくなることがある。図2Bは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の他の実施形態の凸状部の長手方向に直交する断面を示す模式図である。
本実施形態のセラミック焼成用窯道具板は、焼成炉等の内部に設置される棚組みの、棚として使用されるものである。そして、棚であるセラミック焼成用窯道具板の上にハニカム構造体等の被焼成物を載置し、当該ハニカム構造体等を当該焼成炉等の内部で焼成するのである(図5A、10B参照)。ただし、このような棚組みの使用に限らず、ハニカム構造体等の被焼成物を載置し、焼成炉等で焼成する際に好適に用いることができるものである。また、セラミック焼成用窯道具板は、ハニカム構造体の他、キャパシター、ソフトフェライト等の電子セラミック或いは粉金属等の被焼成物を焼成する際に好適に用いることができる。
本実施形態のセラミック焼成用窯道具板は、図1に示すように、一方の面A側に、互いに離間して平行に配置された複数の第1凸条(突条)部5aと、他方の面B側に、互いに離間して平行に配置された複数の第2凸条部5bとを備え、第1凸条部5a間に形成された第1凹部4aと、第2凸条部5b間に形成された第2凹部4bとが重なる部分に開口部7が形成されるものである。そして、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板は、一方の面側に互いに離間して平行に配置された当該一方の面側を表面とする複数の第1凸条部と、他方の面側に互いに離間して平行に配置されるとともに「複数の第1凸条部の裏面に配設された」複数の第2凸条部とを備えるものである。このように、セラミック焼成用窯道具板に凹凸形状を付与することにより、その凹部が、いわばガスの抜け道(通り道)になり、ガスを外部に放出させることで、焼成炉等の内部雰囲気を均一にすることができる。また、凹凸形状を付与することにより、軽量化され、熱容量が低減される。
また、ハニカム構造体等と、セラミック焼成用窯道具板の表面との接触面積が大きくなると、焼成後の温度変化により、収縮変形が起こり易くなり、この収縮変形が過度に生じると、クラックの発生や、セラミック焼成用窯道具板への付着が起きやすくなる。さらに得られるハニカム構造体の品質のばらつきも大きくなる。しかし、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板を用いると、セラミック焼成用窯道具板のハニカム構造体と接触する面に凹凸形状(凸条部及び凹部)が付与されているため、ハニカム構造体とセラミック焼成用窯道具板との接触面積を小さくでき、ハニカム構造体の収縮変形に起因する諸所の弊害を防止できる。
凸条部の長手方向に直交する断面の形状としては、「三角形、四角形、六角形等」の多角形、又は多角形の角部が丸くなった(Rが形成された)形状が好ましい。また、四角形としては、正方形、長方形、台形が好ましい。凸条部の断面形状を、このようにすることにより、容易に本発明のセラミック焼成用窯道具板を成形でき、被焼成物の特性に応じて、凸条部の断面形状を適宜選択することにより、本発明のセラミック焼成用窯道具板の効果をより効果的に発揮することが可能となる。凸条部の形状としては、たとえば、図3A〜図3Eに示されるように、その長手方向に直交する断面が、長方形からなる凸条部31、台形からなる凸条部32、曲面形状(三角形の角部が丸く形成された形状)からなる凸条部33、三角形からなる凸条部34、六角形からなる凸条部35等が挙げられる。なお、図3Aは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の更に他の実施形態の凸条部の、長手方向に直交する断面を示す模式図である。図3Bは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の更に他の実施形態の凸条部の、長手方向に直交する断面を示す模式図である。図3Cは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の更に他の実施形態の凸条部の、長手方向に直交する断面を示す模式図である。図3Dは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の更に他の実施形態の凸条部の、長手方向に直交する断面を示す模式図である。図3Eは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の更に他の実施形態の凸条部の、長手方向に直交する断面を示す模式図である。
第1凸条部5aの、「セラミック焼成用窯道具板の厚さ方向」の長さ(厚さ)は、3〜10mmが好ましく、3〜6mmが更に好ましい。また、第1凸条部5aの、「セラミック焼成用窯道具板の一方の面の面内において、長手方向に直交する方向」における長さ(幅)は、3〜15mmが好ましく、5〜10mmが更に好ましい。第1凸条部5aの幅は、第1凸条部5aの断面形状(長手方向における断面の形状)が、台形等の「高さによって(厚さ方向の位置によって)厚さが異なる形状」の場合には、高さ方向(厚さ方向)における平均の幅である。また、第2凸条部5bの、「厚さ」及び「幅」は、上記第1凸条部5aの上記「厚さ」及び「幅」と同様であることが好ましい。
第1凸条部5aの接触面8の合計面積は、一方の面Aが平面であるとした場合の面積の2〜80%が好ましく、5〜50%が更に好ましく、5〜30%が特に好ましい。2%より小さいと接触面が曲がったり、破損したりし易くなることがある。80%より大きいと、収縮変形が起こり易くなり、この収縮変形が過度に生じると、クラックの発生や、セラミック焼成用窯道具板への付着が起きやすくなる。「第1凸条部5aの接触面」とは、セラミック焼成用窯道具板の一方の面全体に、「当該一方の面に接触する部分が平面状の部材X」を載置したときに、当該部材Xと接触する面のことを意味する。例えば、第1凸条部5aの長手方向に直交する断面が台形の場合、当該断面における上底に相当する面である。
ここで、被焼成物は、焼成収縮するため、凸条部との接触が極力少ないほうが良いが、反面、凸条部との接触が少ないと被焼成体の非接触部分が自重により曲るおそれがある。したがって、これら双方のバランスから、凸条部の形状としては、図3Bに示すような、凸条部5bのような台形形状からなるものがより好ましい。
また、凹部の形状は、凸条部の形状及び配置によって決まる。例えば、凹部の形状としては、その長手方向に直交する断面において、斜面の勾配が鋭角、鈍角又は直角に形成された溝形状(V字状の溝、U字状の溝等)、斜面に段部が形成された溝形状、斜面(勾配)が左右対称、又は左右非対称の溝形状等が挙げられる。
このように、凸条部と凹部との形状を必要に応じて適宜選択することにより、ガスの抜け道を確保できるとともに、ハニカム構造体と、ハニカム構造体を載置するセラミック焼成用窯道具板の表面との接触面積を小さくすることができる。さらに、耐熱衝撃性、耐クリープ性、高温高強度性、耐酸化性に優れた構造となり、加えて、軽量化も可能となる。
さらに、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板には開口部が形成されている。開口部を形成することにより、焼成時に発生するガスの抜け道である凹部と相俟って、ガスをハニカム構造体の外部へ放出することが容易となり、その結果、ガスがハニカム構造体内にこもらない。したがって、焼成温度の上昇を制御でき、クラックや変形による破損を防止できる。さらに、焼成炉等の内部のガスを被焼成物に接触させることが容易となり、得られるハニカム構造体の品質のばらつきも少なくなる。また、伝動伝熱および、対流伝熱、輻射伝熱といったそれぞれの伝熱をバランスよく行うことができ、焼成時の昇温や焼成後の冷却といった温度制御をし易くなるという利点もある。また、開口部の面積の合計が、セラミック焼成用窯道具板の面積(一方の面及び他方の面が平面であるとした場合の、一方の面の面積と他方の面の面積との平均値)に対して、20〜80%であることが好ましい。これにより、上記開口部による効果を、より効果的に発揮することができる。
本実施形態のセラミック焼成用窯道具板においては、隣り合う凸条部間の距離は、凸条部の大きさに応じて適宜選択されることが好ましい。例えば、一般的なセラミック焼成用窯道具板の大きさである縦300〜700mm×横300〜700mm×厚さ5〜15mmのものであれば、隣り合う凸条部間の距離は、5〜15mm程度(セラミック焼成用窯道具板の厚さと同等程度)であることが好ましい。なお、セラミック焼成用窯道具板の大きさとしては、このような大きさに限られず、必要に応じて好適な大きさを採用できる。
本実施形態のセラミック焼成用窯道具板は、片方の面(一方の面、又は他方の面)からみたときに、第1凸条部の延びる方向と、第2凸条部の延びる方向とが異なる(第1凸条部と第2凸条部とが平行ではない)ことが好ましい。そして、セラミック焼成用窯道具板が長方形の場合、凸条部と、セラミック焼成用窯道具板の長辺とにより形成される角度(小さい側の角度)は、30〜90°であることが好ましく、30〜60°であることが更に好ましい。これにより、軽量化しても耐久性が落ちず、さらに、耐熱衝撃性、耐クリープ性、高温時の高強度性に優れたものとなる。尚、セラミック焼成用窯道具板が正方形の場合、凸条部と、セラミック焼成用窯道具板の一の辺とにより形成される角度が30〜60°であることが好ましい。
また、第1凸条部と第2凸条部とにより形成される角度(第1凸条部と第2凸条部との交叉角度)(小さい側の角度)は、60〜90°が好ましく、80〜90°が更に好ましく、90°が特に好ましい。これにより、軽量化しても耐久性が落ちず、さらに、耐熱衝撃性、耐クリープ性、高温時の高強度性に優れたものとなる。
本発明のセラミック焼成用窯道具板は、図4に示すように、第1凸条部5a及と第2凸条部5bの長手方向における端部を連結するように配設される棒状の枠部11を備えることが好ましい。枠部11は、図4に示すように、セラミック焼成用窯道具板200の外周を取り囲むように配設されていることが好ましい。また、枠部11は、セラミック焼成用窯道具板の外周を取り囲むとともに、セラミック焼成用窯道具板の内部を仕切るように配設されていてもよい。枠部11により内部が仕切られたセラミック焼成用窯道具板は、複数のセラミック焼成用窯道具板が枠部11を介して連結されたような形状となる。枠部11が配設されたセラミック焼成用窯道具板は、耐熱衝撃性、耐クリープ性、高温時の高強度性に優れたものである。図4は、本発明のセラミック焼成用窯道具板の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
セラミック焼成用窯道具板の大きさは特に限定されない。載置するハニカムの質量等に応じて、好適なサイズを選択することが好ましい。例えば、一般的な棚のサイズである縦300〜700mm×横300〜700mm×厚さ5〜15mmのものが好適に使用できるが、このようなサイズのものに限られず、必要に応じて、好適な大きさを採用できる。
(2)セラミック焼成用窯道具板の使用方法:
本実施形態のセラミック焼成用窯道具板は、棚組の一部として用いられる。たとえば、図5Aに示される棚組み12を用いる場合、その棚組み12は、支柱13と、必要に応じて、架橋部材15とを備えており、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板は、その支柱に形成される載置台(図示せず)の上に載置して使用される。載置台は、図5Bに示される載置台18のように、支柱に形成された突起部であり、その上にセラミック焼成用窯道具板を載せることができるものである。また、たとえば、図5Bに示される棚組み16を用いる場合、その棚組み16は、支柱13を備えるとともに、必要に応じて支柱に載置台18を備え、その載置台の上に、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板100が載置されて使用される。なお、図5Aに示される棚組み12、図5Bに示される棚組み16において、本実施形態におけるセラミック焼成用窯道具板と支柱とを交互に積み重ねて棚組みを構成してもよい。さらに、必要に応じて公知の固定具、公知の固定方法等を用いると、安定的に載置できるため好ましい。また、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板が用いられる枠組みは、このような棚組みに限定されるものではなく、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板を下支えし易い構造であれば、公知の棚組みを使用することもできる。図5Aは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一の実施形態が使用される棚組みを模式的に示す斜視図である。図5Bは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一の実施形態が使用される棚組みの他の形態に、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一の実施形態を配置した状態を模式的に示す斜視図である。
本実施形態のセラミック焼成用窯道具板は、棚組の一部として用いられる。たとえば、図5Aに示される棚組み12を用いる場合、その棚組み12は、支柱13と、必要に応じて、架橋部材15とを備えており、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板は、その支柱に形成される載置台(図示せず)の上に載置して使用される。載置台は、図5Bに示される載置台18のように、支柱に形成された突起部であり、その上にセラミック焼成用窯道具板を載せることができるものである。また、たとえば、図5Bに示される棚組み16を用いる場合、その棚組み16は、支柱13を備えるとともに、必要に応じて支柱に載置台18を備え、その載置台の上に、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板100が載置されて使用される。なお、図5Aに示される棚組み12、図5Bに示される棚組み16において、本実施形態におけるセラミック焼成用窯道具板と支柱とを交互に積み重ねて棚組みを構成してもよい。さらに、必要に応じて公知の固定具、公知の固定方法等を用いると、安定的に載置できるため好ましい。また、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板が用いられる枠組みは、このような棚組みに限定されるものではなく、本実施形態のセラミック焼成用窯道具板を下支えし易い構造であれば、公知の棚組みを使用することもできる。図5Aは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一の実施形態が使用される棚組みを模式的に示す斜視図である。図5Bは、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一の実施形態が使用される棚組みの他の形態に、本発明のセラミック焼成用窯道具板の一の実施形態を配置した状態を模式的に示す斜視図である。
ハニカム成形体等の被焼成物は、このセラミック焼成用窯道具板上に載置されて焼成される。本実施形態のセラミック焼成用窯道具板には凹凸形状が形成され通気性が確保されているから、セラミック焼成用窯道具板上にハニカム成形体等を載置して焼成しても、ハニカム成形体から発生したガスがハニカム成形体の内部にこもらないで外部に放出されることになる。また、ハニカム成形体等の底面と、セラミック焼成用窯道具板との接触面積も小さくなるため、焼成中に収縮する際の摩擦抵抗が低減され、ハニカム成形体等の変形を小さく制御でき、さらに、被焼成物の詰め効率を向上できる(被焼成物をより多く載置し、焼成することができる)。
(3)セラミック焼成用窯道具板の製造方法:
本発明のセラミック焼成用窯道具板の製造方法の一の実施形態は、炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を含有する泥奨を、鋳込成形して熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を形成する成形工程と、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を熱処理して上記本発明のセラミック焼成用窯道具板を形成する熱処理工程とを有するものである。このように、所定の泥奨を鋳込成形し、その後熱処理することによりセラミック焼成用窯道具板を作製することにより、「長手方向に直交する断面において、当該断面の重心を中心とした一辺1500μmの正方形の領域である中央領域における気孔割合が、上記断面の重心を中心とした一辺4500μmの正方形の領域であり且つ中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高い、上記本発明のセラミック焼成用窯道具板」を得ることができる。また、凸条部の中間領域の気孔割合を、0.1〜10%とするために、鋳込み成形時に2方向から加圧成形する条件を採用することが好ましい。また、凸条部の中間領域における気孔径10〜300μmの気孔の面積の合計が、中間領域の面積に対して0.1〜10%となるようにするために、一方向から泥漿注入後、対向するもう一方から泥漿注入と加圧を開始し、使用する型は石膏型を採用することが好ましい。以下、各工程毎に説明する。
本発明のセラミック焼成用窯道具板の製造方法の一の実施形態は、炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を含有する泥奨を、鋳込成形して熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を形成する成形工程と、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を熱処理して上記本発明のセラミック焼成用窯道具板を形成する熱処理工程とを有するものである。このように、所定の泥奨を鋳込成形し、その後熱処理することによりセラミック焼成用窯道具板を作製することにより、「長手方向に直交する断面において、当該断面の重心を中心とした一辺1500μmの正方形の領域である中央領域における気孔割合が、上記断面の重心を中心とした一辺4500μmの正方形の領域であり且つ中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高い、上記本発明のセラミック焼成用窯道具板」を得ることができる。また、凸条部の中間領域の気孔割合を、0.1〜10%とするために、鋳込み成形時に2方向から加圧成形する条件を採用することが好ましい。また、凸条部の中間領域における気孔径10〜300μmの気孔の面積の合計が、中間領域の面積に対して0.1〜10%となるようにするために、一方向から泥漿注入後、対向するもう一方から泥漿注入と加圧を開始し、使用する型は石膏型を採用することが好ましい。以下、各工程毎に説明する。
(3−1)成形工程;
成形工程は、炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を含有する泥奨を、鋳込成形して熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を形成する工程である。そして、成形工程は、図6に示すように、石膏型41に泥奨41を注泥して熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を形成する工程であり、石膏型41に泥奨41を注泥するときに、石膏型41における、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の対向する2辺」に相当する部分の一方向から、泥漿を注泥し石膏型内に泥漿が満たされた後対向するもう一方からも泥漿の注泥を開始し、最終的に対向する2辺からそれぞれ泥奨41を注泥することが好ましい。「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の対向する2辺」に相当する部分とは、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の一の辺に相当する部分(一の辺を形成する部分)43と、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の一の辺に対向する辺に相当する部分(一の辺に対向する辺を形成する部分)44を意味する。「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の「一の辺と、一の辺に対向する辺」は、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」が長方形の場合、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の「平行な2辺」のことである。このように、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の対向する2辺」に相当する部分から、それぞれ泥奨41を注泥することにより、第1凸状部と第2凸条部とを有する複雑な形状の「熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」、を形成するキャビティ45に、低い圧力で、均等に泥奨を充填することができる。図6は、本発明のセラミック焼成用窯道具板の製造方法の一の実施形態に用いられる石膏型を模式的に示す平面図である。
成形工程は、炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を含有する泥奨を、鋳込成形して熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を形成する工程である。そして、成形工程は、図6に示すように、石膏型41に泥奨41を注泥して熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を形成する工程であり、石膏型41に泥奨41を注泥するときに、石膏型41における、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の対向する2辺」に相当する部分の一方向から、泥漿を注泥し石膏型内に泥漿が満たされた後対向するもう一方からも泥漿の注泥を開始し、最終的に対向する2辺からそれぞれ泥奨41を注泥することが好ましい。「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の対向する2辺」に相当する部分とは、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の一の辺に相当する部分(一の辺を形成する部分)43と、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の一の辺に対向する辺に相当する部分(一の辺に対向する辺を形成する部分)44を意味する。「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の「一の辺と、一の辺に対向する辺」は、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」が長方形の場合、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の「平行な2辺」のことである。このように、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の対向する2辺」に相当する部分から、それぞれ泥奨41を注泥することにより、第1凸状部と第2凸条部とを有する複雑な形状の「熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」、を形成するキャビティ45に、低い圧力で、均等に泥奨を充填することができる。図6は、本発明のセラミック焼成用窯道具板の製造方法の一の実施形態に用いられる石膏型を模式的に示す平面図である。
石膏型41には、「熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」を形成するキャビティ45が形成されている。石膏型41は、「熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」を形成するキャビティ45を、厚さ方向に直交する面で切断するように、2つに分割することができるものであることが好ましい。このような2つに分割することができる石膏型を使用するときには、2つに分割せずに一体化した状態の石膏型に泥奨を流し込み、泥奨が固化した後に、石膏型を2つに分割して「熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」を取り出すことが好ましい。
石膏型41に泥奨を充填するときには、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の一の辺に相当する部分43に連通する鋳込み口43aと、「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の一の辺に対向する辺に相当する部分44に連通する鋳込み口44aとから、石膏型内に泥奨を充填することが好ましい。鋳込み口43aは、一方の端部が「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の一の辺に相当する部分43に連通し、他方の端部が石膏型の外部に通じている(石膏型の外表面に形成された開口部となっている)。また、鋳込み口44aは、一方の端部が「形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」の一の辺に対向する辺に相当する部分44に連通し、他方の端部が石膏型の外部に通じている(石膏型の外表面に形成された開口部となっている)。
泥奨に含有される炭化珪素粒子は、平均粒径が50〜150μmと0.5〜10μmの物を混合したものであることが好ましく、10:6の質量割合で混合したものが好ましい。また、粒子径50μm以上の炭化珪素粒子が65質量%以下であることが好ましい。炭化珪素粒子は、泥奨中に60〜90質量%含有されていることが好ましい。炭化珪素は赤外線放射率が高く、耐酸化性、耐クリープ性にも優れ、高温において高強度な材料であるため、耐酸化性、耐クリープ性に優れたセラミック焼成用窯道具板を得ることができる。
泥奨に含有される珪素は、泥奨中に10〜40質量%含有されていることが好ましい。珪素は、炭化珪素粒子同士を繋ぐバインダーの役割を果たす。また、珪素は、酸化されて表面層をも形成する。
泥奨に含有される焼結助材は、泥奨中に0.1〜2.0質量%含有されていることが好ましい。焼結助剤としては、Fe2O3、Al2O3等を挙げることができる。
泥奨に含有される分散剤は、泥奨中に0.01〜0.1質量%含有されていることが好ましい。分散剤としては、ポリカルボン酸塩、水酸化ナトリウム、ポリビニルピロリドン、珪酸ナトリウム等を挙げることができる。
泥奨に含有される水は、泥奨中に10〜20質量%含有されていることが好ましい。
炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を混合して泥奨を形成する方法は、特に限定されないが、ポットミル混合の方法を用いることが好ましい。泥奨の粘度は、7〜20dPa・sであることが好ましく、7〜15dPa・sであることが更に好ましい。7dPa・sより低いと、泥奨が石膏型内で固まり難くなることのほかに、中央域と中間域の気孔割合のバランスが取り難くなり、中間域の気孔が増大することがある。さらには原料粒子中の大きな粒子が沈降して、分離が生じることがある。20dPa・sより高いと、泥奨が石膏型内に充填され難くなることから全域に均一充填できなくなったり、中央域に気孔を集中させる事が出来ず、全域の気孔が増加してしまうことがある。泥奨の粘度は、20℃において、リオン株式会社製のビスコテスター(型番:TV−04F)により測定した値である。
泥奨を石膏型に充填するときには、0.2〜2kPaの圧力で加圧しながら充填することが好ましく、0.5〜1.5kPaの圧力で加圧しながら充填することが更に好ましい。0.2kPaより低いと、泥奨が石膏型内に充填され難くなることがある。2kPaより高いと、石膏型に破損等の不具合が生じることがある。また、泥奨を石膏型に充填した後には、泥奨が硬化するまで放置することが好ましい。放置時間は、10〜120分が好ましく、20〜60分が更に好ましい。そして、泥奨が硬化した後に、石膏型を分解して、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を取り出すことが好ましい。
(3−2)熱処理工程;
次に、石膏型から取り出した、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を、大気雰囲気下、60〜120℃で、10〜24時間保持して乾燥させることが好ましい。
次に、石膏型から取り出した、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を、大気雰囲気下、60〜120℃で、10〜24時間保持して乾燥させることが好ましい。
次に、焼成前のセラミック焼成用窯道具板を、窒素雰囲気下、1350〜1500℃で保持し、その後、大気雰囲気下、1000〜1500℃で保持する熱処理を行う。これにより、本発明のセラミック焼成用窯道具板を得ることができる。焼成前のセラミック焼成用窯道具板を、窒素雰囲気下、1350〜1500℃で保持するときには、雰囲気焼成炉を用いることが好ましく、保持時間は、1〜20時間とすることが好ましい。大気雰囲気下、1000〜1500℃で保持するときには、ガス燃焼式のバーナーを用いた焼成炉を用いることが好ましく、保持時間は、1〜10時間とすることが好ましい。
セラミック焼成用窯道具板の表面に二酸化珪素を主成分とする表面層を、10〜100μmの厚さで形成するためには、酸素濃度1〜21%で1000〜1500℃にて1〜10時間保持して皮膜を形成させるのが好ましい。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(実施例1)
炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を、ポットミルを用いて混合して泥奨を作製した。泥奨中に、炭化珪素粒子は75質量%含有され、珪素は13.3質量%含有され、焼結助材は0.9質量%含有され、分散剤は0.1質量%含有され、水は10.7質量%含有されていた。焼結助剤としては、酸化鉄と酸化アルミニウムを用い、分散剤としては、ポリカルボン酸ナトリウムを用いた。泥奨の粘度は、20℃において、9.5dPa・sであった。泥奨の粘度は、ビスコテスターを用いて測定した。
炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を、ポットミルを用いて混合して泥奨を作製した。泥奨中に、炭化珪素粒子は75質量%含有され、珪素は13.3質量%含有され、焼結助材は0.9質量%含有され、分散剤は0.1質量%含有され、水は10.7質量%含有されていた。焼結助剤としては、酸化鉄と酸化アルミニウムを用い、分散剤としては、ポリカルボン酸ナトリウムを用いた。泥奨の粘度は、20℃において、9.5dPa・sであった。泥奨の粘度は、ビスコテスターを用いて測定した。
図6に示すような石膏型41に、2つの鋳込み口43a,44aのそれぞれの開口部から泥奨を充填した(鋳込み口:2方向)。泥奨を石膏型に充填するときの圧力(充填圧力)は、0.5kPaであった。石膏型は、「熱処理前のセラミック焼成用窯道具板」を形成するキャビティ45を、厚さ方向に直交する面で切断するように、2つに分割することができるものとした。
充填完了後、常温で、60分放置し、泥奨を硬化させて、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を作製した。泥奨を硬化させた後に、石膏型を分解し、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を取り出した。
得られた熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を、循環乾燥機を用いて、60℃で24時間保持して乾燥させた。その後、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を、雰囲気焼成炉を用いて、窒素雰囲気下、1400℃で保持し、更に、その後、焼成炉を用いて、大気雰囲気下、酸素濃度5%で1300℃で保持する熱処理を行い、本発明のセラミック焼成用窯道具板を得た。作製したセラミック焼成用窯道具板は、図4に示されるような構造であり、全体形状が長方形であった。セラミック焼成用窯道具板の長辺の長さは600mm、短辺の長さは550mm、厚さは10mmであった。第1凸条部の厚さ及び第2凸条部の厚さは、いずれも5mmであった。また、第1凸条部及び第2凸条部の、長手方向に直交する断面の形状は、いずれも台形(上底5mm、下底10mm)であった。また、隣り合う第1凸条部間の距離(最も近い部分の距離)は、15mmであった。また、第1凸条部と、セラミック焼成用窯道具板の長辺とにより形成される角度(小さいほうの角度)は、30°であった。また、第2凸条部と、セラミック焼成用窯道具板の長辺とにより形成される角度(小さいほうの角度)は60°であった。そして、第1凸条部と第2凸条部とにより形成される角度は90°であった。また、枠部の幅(セラミック焼成用窯道具板の一方の面と平行な面における、長手方向に直交する方向における長さ)は、20mmであった。
得られたセラミック焼成用窯道具板について、第1凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を以下の方法で測定した。更に、第2凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を、以下の方法で測定した。尚、それぞれの中間領域における、気孔径10〜300μmの気孔の面積の合計の、中間領域全体の面積に対する比率を、中間領域の気孔割合とした。また、以下の方法で、耐クリープ性の評価、及び耐酸化性の評価を行った。結果を表1に示す。
(気孔割合)
凸条部の断面を25倍の光学顕微鏡で観察し、画像処理ソフト「HALCON(MVTec社製)」を用いて画像処理を行う(濃淡画像を2値化処理する)ことにより、気孔割合を算出する。画像上の気孔の面積比率(気孔の面積の合計を、中央領域(又は中間領域)全体の面積で除した値を100倍した値)を気孔割合とする。測定は、セラミック焼成用窯道具板の中の5箇所について行い、平均値を求める。
凸条部の断面を25倍の光学顕微鏡で観察し、画像処理ソフト「HALCON(MVTec社製)」を用いて画像処理を行う(濃淡画像を2値化処理する)ことにより、気孔割合を算出する。画像上の気孔の面積比率(気孔の面積の合計を、中央領域(又は中間領域)全体の面積で除した値を100倍した値)を気孔割合とする。測定は、セラミック焼成用窯道具板の中の5箇所について行い、平均値を求める。
(耐クリープ性)
炉の中で、セラミック焼成用窯道具板を水平にした状態で4隅を支持して(支えて)、25kgf(245N)の荷重をかけながら、1400℃で、200時間保持する。その後、炉からセラミック焼成用窯道具板を取り出し、セラミック焼成用窯道具板の対角方向の反り量(mm)を測定し、反り量の大きい方を、変形量とする。「反り量」は、対角線の最大変化量(位置変化が最大である部分の変化量)とする。炉としては、電気炉を使用し、大気雰囲気中で加熱を行った。
炉の中で、セラミック焼成用窯道具板を水平にした状態で4隅を支持して(支えて)、25kgf(245N)の荷重をかけながら、1400℃で、200時間保持する。その後、炉からセラミック焼成用窯道具板を取り出し、セラミック焼成用窯道具板の対角方向の反り量(mm)を測定し、反り量の大きい方を、変形量とする。「反り量」は、対角線の最大変化量(位置変化が最大である部分の変化量)とする。炉としては、電気炉を使用し、大気雰囲気中で加熱を行った。
(耐酸化性)
セラミック焼成用窯道具板の質量を測定する。その後、炉の中にセラミック焼成用窯道具板を挿入し、水蒸気を含んだ空気を1リットル/分で炉内に導入しながら、1400℃で1000時間保持する(熱処理する)。尚、水蒸気を含んだ空気としては、95℃に加温した5リットルの水の中に、1リットル/分で空気を流してバブリングさせ、95℃の水から流出してきた「水蒸気を含んだ空気」を使用した。その後、炉からセラミック焼成用窯道具板を取り出し、セラミック焼成用窯道具板の質量を測定する。熱処理後のセラミック焼成用窯道具板の質量から、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の質量を引き、得られた値を、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の質量で除した値を100倍した値を質量増加率(質量%)とする。尚、セラミック焼成用窯道具板の質量の増加は、セラミック焼成用窯道具板が酸化されることにより表面(組織内部の気孔の表面も含む)に酸化層が形成されることにより生じる。
セラミック焼成用窯道具板の質量を測定する。その後、炉の中にセラミック焼成用窯道具板を挿入し、水蒸気を含んだ空気を1リットル/分で炉内に導入しながら、1400℃で1000時間保持する(熱処理する)。尚、水蒸気を含んだ空気としては、95℃に加温した5リットルの水の中に、1リットル/分で空気を流してバブリングさせ、95℃の水から流出してきた「水蒸気を含んだ空気」を使用した。その後、炉からセラミック焼成用窯道具板を取り出し、セラミック焼成用窯道具板の質量を測定する。熱処理後のセラミック焼成用窯道具板の質量から、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の質量を引き、得られた値を、熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の質量で除した値を100倍した値を質量増加率(質量%)とする。尚、セラミック焼成用窯道具板の質量の増加は、セラミック焼成用窯道具板が酸化されることにより表面(組織内部の気孔の表面も含む)に酸化層が形成されることにより生じる。
(実施例2〜7)
成形工程において、泥奨粘度及び充填圧力を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にしてセラミック焼成用窯道具板を作製した。実施例1の場合と同様にして、第1凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定し、第2凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定した。また、上記の方法で、耐クリープ性の評価、及び耐酸化性の評価を行った。結果を表1に示す。また、実施例2のセラミック焼成用窯道具板の凸条部の長手方向に直交する断面を図7に示す。図7は、実施例2のセラミック焼成用窯道具板の凸条部51の長手方向に直交する断面を示す顕微鏡写真である。図7において、黒く映っているところ(中央領域及び中間領域を示す四角い枠を除く)が気孔である。
成形工程において、泥奨粘度及び充填圧力を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にしてセラミック焼成用窯道具板を作製した。実施例1の場合と同様にして、第1凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定し、第2凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定した。また、上記の方法で、耐クリープ性の評価、及び耐酸化性の評価を行った。結果を表1に示す。また、実施例2のセラミック焼成用窯道具板の凸条部の長手方向に直交する断面を図7に示す。図7は、実施例2のセラミック焼成用窯道具板の凸条部51の長手方向に直交する断面を示す顕微鏡写真である。図7において、黒く映っているところ(中央領域及び中間領域を示す四角い枠を除く)が気孔である。
(比較例1)
成形工程において、泥奨粘度、充填圧力及び鋳込み口を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にしてセラミック焼成用窯道具板を作製した。実施例1の場合と同様にして、第1凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定し、第2凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定した。また、上記の方法で、耐クリープ性の評価、及び耐酸化性の評価を行った。結果を表1に示す。尚、表1において、「鋳込み口」が「1方向」であるとは、石膏型に形成された鋳込み口が1箇所(形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具の一辺に相当する部分に連通する1つの鋳込み口だけが形成されている)であることを示す。また、比較例5のセラミック焼成用窯道具板について、耐酸化性の評価を行ったときに、セラミック焼成用窯道具板が破断した。
成形工程において、泥奨粘度、充填圧力及び鋳込み口を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にしてセラミック焼成用窯道具板を作製した。実施例1の場合と同様にして、第1凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定し、第2凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定した。また、上記の方法で、耐クリープ性の評価、及び耐酸化性の評価を行った。結果を表1に示す。尚、表1において、「鋳込み口」が「1方向」であるとは、石膏型に形成された鋳込み口が1箇所(形成される熱処理前のセラミック焼成用窯道具の一辺に相当する部分に連通する1つの鋳込み口だけが形成されている)であることを示す。また、比較例5のセラミック焼成用窯道具板について、耐酸化性の評価を行ったときに、セラミック焼成用窯道具板が破断した。
(比較例2〜5)
成形工程において、泥奨粘度を表1に示すように変化させた以外は、比較例1と同様にしてセラミック焼成用窯道具板を作製した。実施例1の場合と同様にして、第1凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定し、第2凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定した。また、上記の方法で、耐クリープ性の評価、及び耐酸化性の評価を行った。結果を表1に示す。また、比較例5のセラミック焼成用窯道具板の凸条部の長手方向に直交する断面を図8に示す。図8は、比較例5のセラミック焼成用窯道具板の凸条部54の長手方向に直交する断面を示す顕微鏡写真である。図7において、黒く映っているところ(中央領域及び中間領域を示す四角い枠を除く)が気孔である。
成形工程において、泥奨粘度を表1に示すように変化させた以外は、比較例1と同様にしてセラミック焼成用窯道具板を作製した。実施例1の場合と同様にして、第1凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定し、第2凸条部の中央領域の気孔割合及び中間領域の気孔割合を上記の方法で測定した。また、上記の方法で、耐クリープ性の評価、及び耐酸化性の評価を行った。結果を表1に示す。また、比較例5のセラミック焼成用窯道具板の凸条部の長手方向に直交する断面を図8に示す。図8は、比較例5のセラミック焼成用窯道具板の凸条部54の長手方向に直交する断面を示す顕微鏡写真である。図7において、黒く映っているところ(中央領域及び中間領域を示す四角い枠を除く)が気孔である。
表1より、中央領域の気孔割合が、中間領域の気孔割合より高いセラミック焼成用窯道具板は、耐クリープ性及び耐酸化性に優れていることがわかる。また、実施例1〜7より、中間領域の気孔割合が0.1〜10%であると、セラミック焼成用窯道具板の耐クリープ性及び耐酸化性が良好であることがわかる。また、図7より、実施例2のセラミック焼成用窯道具板は、凸条部51の中央領域53の気孔割合が、中間領域52の気孔割合より高いことがわかる。また、図8より、比較例5のセラミック焼成用窯道具板は、図7の実施例2のセラミック焼成用窯道具板と比較すると、凸条部54の中央領域56の気孔割合が小さく、中間領域55の気孔割合が大きいことがわかる。比較例5のセラミック焼成用窯道具板は、このように、中間領域55の気孔割合が大きいため、耐クリープ性に劣ると考えられる。
本発明のセラミック焼成用窯道具板は、セラミックハニカム成形体などの被焼成物を焼成する際に好適に用いることができる。
2:中央領域、3:中間領域、4a:第1凹部、4b:第2凹部、5a,25a:第1凸条部、5b,25b:第2凸条部、6:表面層、7:開口部、8:接触面、11:枠部、12,16:棚組み、13,17:支柱、15:架橋部材、18:載置台、26:微粒層、31,32,33,34,35:凸条部、41:石膏型、42:泥奨、43:一の辺に相当する部分、43a:鋳込み口、44:一の辺に対向する辺に相当する部分、44a:鋳込み口、45:キャビティ、51:凸条部、52:中間領域、53:中央領域、54:凸条部、55:中間領域、56:中央領域、100,200:セラミック焼成用窯道具板、A:一方の面、B:他方の面。
Claims (7)
- 一方の面側に互いに離間して平行に配置された複数の第1凸条部と、他方の面側に互いに離間して平行に配置された複数の第2凸条部とを備え、前記第1凸条部間に形成された第1凹部と、前記第2凸条部間に形成された第2凹部とが重なる部分に開口部が形成され、
前記第1凸条部の長手方向に直交する断面及び前記第2凸条部の長手方向に直交する断面のそれぞれにおいて、前記断面の重心を中心とした全断面積に対して6%の面積の領域であり形状が正方形である中央領域における気孔割合が、前記断面の重心を中心とした全断面積に対して50%の面積の領域であり形状が正方形の領域であり且つ前記中央領域を除いた領域である中間領域における気孔割合より高いセラミック焼成用窯道具板。 - 前記中間領域における気孔径10〜300μmの気孔の面積の合計が、前記中間領域の面積に対して0.1〜10%である請求項1に記載のセラミック焼成用窯道具板。
- 表面に二酸化珪素を主成分とする表面層を有し、前記表面層の厚さが10〜100μmである請求項1又は2に記載のセラミック焼成用窯道具板。
- 炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を含有する泥奨が、鋳込成形されて形成された請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック焼成用窯道具板。
- 炭化珪素粒子、珪素、焼結助材、分散剤及び水を含有する泥奨を、鋳込成形して熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を形成する成形工程と、
前記熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を熱処理して請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック焼成用窯道具板を形成する熱処理工程とを有するセラミック焼成用窯道具板の製造方法。 - 前記成形工程が、石膏型に泥奨を注泥して熱処理前のセラミック焼成用窯道具板を形成する工程であり、
石膏型に泥奨を注泥するときに、石膏型における、形成される前記熱処理前のセラミック焼成用窯道具板の対向する2辺に相当する部分から、それぞれ泥奨を注泥する請求項5に記載のセラミック焼成用窯道具板の製造方法。 - 前記熱処理工程が、前記焼成前のセラミック焼成用窯道具板を、窒素雰囲気下、1350〜1500℃で保持し、その後、大気雰囲気下、1000〜1500℃で保持する工程である請求項5又は6に記載のセラミック焼成用窯道具板の製造方法。
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JP2013220963A (ja) * | 2012-04-13 | 2013-10-28 | Toshinori Kokubu | 機能性セラミックス及びその製造方法 |
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JP2018193281A (ja) * | 2017-05-19 | 2018-12-06 | 住友金属鉱山株式会社 | 円筒形セラミックス焼結体の製造方法 |
-
2009
- 2009-09-02 JP JP2009202793A patent/JP2011052906A/ja not_active Withdrawn
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