JP2011052105A - 顔料分散組成物、インクジェット記録用水性インク組成物、インクジェット画像形成方法、及び記録物 - Google Patents
顔料分散組成物、インクジェット記録用水性インク組成物、インクジェット画像形成方法、及び記録物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011052105A JP2011052105A JP2009201865A JP2009201865A JP2011052105A JP 2011052105 A JP2011052105 A JP 2011052105A JP 2009201865 A JP2009201865 A JP 2009201865A JP 2009201865 A JP2009201865 A JP 2009201865A JP 2011052105 A JP2011052105 A JP 2011052105A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- general formula
- atom
- aryl
- pigment dispersion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
- 0 CCCIC(CCC([n]1nc(*)c(N=Nc2c(C(C=C)=O)c(*)n[n]2*)c1N)I)[n]1nc(C)c(N=Nc2c(C(C=I)=O)c(*)n[n]2*)c1N Chemical compound CCCIC(CCC([n]1nc(*)c(N=Nc2c(C(C=C)=O)c(*)n[n]2*)c1N)I)[n]1nc(C)c(N=Nc2c(C(C=I)=O)c(*)n[n]2*)c1N 0.000 description 4
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
- Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
Abstract
Description
普通紙や印刷媒体で耐水性や耐光性等の堅牢性を与えるインク色材として顔料が好ましく、コストの観点も含めて水性顔料インクでの検討が種々行われている。その中で、インクジェット記録用のイエロー顔料としてアゾ系顔料が好ましく使用されている。
例えば、C.I.ピグメントイエロー74(PY74)と、分散剤としてメタクリル酸n−ブチルとアクリル酸n−ブチルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとメタクリル酸とスチレンとの共重合体と、を含むインクジェット記録用水系インクが知られている(例えば、特許文献1参照)。このインクを用いることで、分散性及び分散安定性が向上し、かつ、鮮明な画像を形成することができるとされている。
また、保存安定性及び吐出精度の向上を目的として、PY74と分散助剤とを含むインクジェット記録用水系インクが知られている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、耐擦性に優れた画像を形成できる顔料分散組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、耐擦性に優れた画像を形成できるインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
また、本発明は、耐擦性に優れた画像を形成できるインクジェット画像形成方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、耐擦性に優れた記録物を提供することを目的とする。
<1> 一般式(1−a)で表されるアゾ顔料およびその互変異性体ならびにそれらの塩および水和物から選択される少なくとも1種を含む色材と、一般式(2−a)で表される塩基性分散助剤と、を含有する顔料分散組成物。
<3> 前記一般式(1−a)中のG1およびG2は、それぞれ独立に総炭素数3以下のアルキル基である<1>又は<2>に記載の顔料分散組成物。
<4> 前記一般式(1−a)中のZは、6員の含窒素ヘテロ環に由来する2価の基である<1>〜<3>のいずれかに1項に記載の顔料分散組成物。
<7> 前記Aが、アリール置換アミノ基又はヘテロ環置換アミノ基である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
<8> 更に、ポリマー分散剤を含む<1>〜<7>のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
<9> 更に、ポリマー粒子を含む<1>〜<8>のいずれか1項に記載の顔料分散組成物
<10> <1>〜<9>のいずれか1項に記載の顔料分散組成物を用いてなるインクジェット記録用水性インク組成物。
<11> <10>に記載のインクジェット記録用水性インク組成物を、記録媒体上にインクジェット法で吐出する工程を含むインクジェット画像形成方法。
<12> <11>に記載のインクジェット画像形成方法で記録媒体に記録された記録物。
また、本発明によれば、耐擦性に優れた画像を形成できるインクジェット記録用インクを提供することができる。
また、本発明によれば、耐擦性に優れた画像を形成できるインクジェット画像形成方法を提供することができる。
また、本発明によれば、耐擦性に優れた記録物を提供することができる。
本発明の顔料分散組成物は、下記一般式(1−a)で表されるアゾ顔料およびその互変異性体ならびにそれらの塩および水和物から選択される少なくとも1種を含む色材(以下、「特定色材」ともいう)と、下記一般式(2−a)で表される塩基性分散助剤(以下、「特定塩基性分散助剤」ともいう)と、を含有する。
また、本発明のインクジェット記録用水性インク組成物は、本発明の顔料分散組成物を用いてなるものである。
本発明のインクジェット記録用水性インク組成物としては、本発明の顔料分散組成物自体であってもよいし、本発明の顔料分散組成物に上記以外の成分(例えば、後述するその他の成分)を添加することにより作製されたものであってもよい。
また、本発明の顔料分散組成物及び本発明のインクジェット記録用水性インク組成物は、顔料の分散性に優れるため、吐出精度に優れる。
更には、本発明の顔料分散組成物及び本発明のインクジェット記録用水性インク組成物は、顔料の分散性に優れるため、保存安定性にも優れる。このため、長期間保存後や高温に晒された後であっても、前記吐出精度の低下が抑制される。
以下、本発明の顔料分散組成物、及び本発明のインクジェット記録用水性インク組成物(以下、「本発明のインク組成物」ともいう)の必須成分である特定色材及び特定塩基性分散助剤について説明し、引き続き、その他の成分について説明する。
本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)は、下記一般式(1−a)で表されるアゾ顔料およびその互変異性体ならびにそれらの塩および水和物から選択される少なくとも1種を含む色材(特定色材)を含有する。
前記特定色材は、イエローの色相としてピグメントイエロー74(P.Y.74)と同等の良好な色相を示し、かつ、耐光性に優れている。
また、特定色材を含有することで、組成物の吐出安定性(特に吐出回復性)をも向上させることができる。
更には、該特定色材と後述する特定塩基性分散助剤とを組み合わせて用いることで、該特定色材の分散性が向上する。このため形成される画像の耐擦性が向上する。
前記特定色材は、代表的には一般式(1−a)で表される。また、前記アゾ顔料は一般式(1−a)で表される構造であっても、その互変異性体であってもよい。
以下、下記一般式(1−a)で表されるアゾ顔料について説明する。
一般式(1−a)で表される化合物は、その特異的な構造により分子間相互作用を形成しやすく、水または有機溶媒等に対する溶解性が低く、アゾ顔料とすることができる。
顔料は、水や有機溶媒等に分子分散状態で溶解させて使用する染料とは異なり、溶媒中に分子集合体等の固体粒子として微細に分散させて用いるものである。
Zが6員含窒素ヘテロ環の場合、色素分子の分子内、分子間作用が、水素結合性、分子の平面性の点からもより向上しやすい点で好ましい。
尚、Zで表される5〜8員の含窒素ヘテロ環に由来する2価の基は、さらに縮環していてもよい。
Y1およびY2として特に好ましくは、水素原子、アルキル基(例えば、メチル基)、アリール基(例えば、フェニル基)、ヘテロ環基(例えば2−ピリジル基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)であり、更に好ましくは水素原子、メチル基、フェニル基、メチルチオ基であり、その中でも水素原子が最も好ましい。尚、Y1およびY2は同一であっても異なっていてもよい。
R11およびR12を総炭素数の少ない(例えば、炭素数1〜4)直鎖アルキル基または分岐アルキル基にすることで、よりすぐれた色相、着色力、画像堅牢性を達成できる。
尚、R11およびR12は同一であっても異なっていてもよい。
またG1およびG2がアルキル基を表す場合、総炭素数5以下のアルキル基であることが好ましく、総炭素数3以下のアルキル基であることがより好ましく、メチル基が最も好ましい。尚、G1およびG2は同一であっても異なっていてもよい。
W1およびW2で表されるアルコキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基が好ましく、特に炭素数1から5の置換もしくは無置換のアルコキシ基が好ましい。例えば、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。
具体的には、アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられる。シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられる。ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1.2.2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
より好ましくは、総炭素数5以下のアルコキシ基、アミノ基(−NH2基)、総炭素数5以下のアルキルアミノ基であり、W1およびW2が総炭素数5以下のアルコキシ基、アミノ基、総炭素数5以下のアルキルアミノ基の場合、色素分子が分子内および分子間の少なくとも一方で水素結合を強固に形成しやすくなり、良好な色相、高い堅牢性(例えば、耐光、耐ガス、耐熱、耐水、耐薬品等)の点で好ましい。
色相、光堅牢性、耐溶剤性の点から特に好ましくは、総炭素数3以下のアルコキシ基、アミノ基(−NH2基)、総炭素数3以下のアルキルアミノ基であり、その中でも特にメトキシ基(−OCH3基)またはエトキシ基(−OC2H5基)が好ましく、良好な色相と光堅牢性向上の点からメトキシ基が特に好ましい。
尚、W1およびW2は同一であっても異なっていてもよい。
例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
例えば、一般式(1−a)で表されるアゾ顔料には、下記一般式(1−a’)で表されるアゾ−ヒドラゾンの互変異性体が考えられる。
本発明は、一般式(1−a)で表されるアゾ顔料の互変異性体である以下の一般式(1−a’)で表される化合物もその範囲に含むものである。
またG1およびG2で表されるアルキル基としては、総炭素数5以下のアルキル基がより好ましく、総炭素数3以下のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
X11、X12は、それぞれ独立に上記一般式(1−a)中のZで表される含窒素ヘテロ環化合物に由来する2価の基(Het.)中のヘテロ原子を表す。
また、本発明において、一般式(1−a)で表されるアゾ顔料は、分子内水素結合または分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましい。本発明における一般式(1−a)で表されるアゾ顔料は、少なくとも1個以上の分子内交叉水素結合を形成する置換基を有することが好ましく、少なくとも3個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有することがより好ましく、少なくとも3個以上の分子内水素結合を形成する置換基を有し、且つ、それらの水素結合の少なくとも2個が分子内交叉水素結合を形成する置換基を有する場合が特に好ましい。
この構造が好ましい要因としては、一般式(1−b)で示すようにアゾ顔料構造に含有するヘテロ環を構成する窒素原子、水素原子およびヘテロ原子(アゾ基またはその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子とカルボニル基の酸素原子またはアミノ基の窒素原子)が少なくとも1個以上の分子内の交叉水素結合(分子内水素結合)を容易に形成し易いことが挙げられる。
これらの構造が好ましい要因としては、上記一般式(1−b)で示すように、アゾ顔料が含有するヘテロ環基を構成する窒素原子、アミノ基の水素原子およびヘテロ原子(例えば、アゾ基またはその互変異性体であるヒドラゾン基の窒素原子、カルボニル基の酸素原子またはアミノ基の窒素原子)が少なくとも4個以上の分子内水素結合を容易に形成し易く、且つ、少なくとも2個以上の分子内の交叉水素結合を容易に形成し易いことが挙げられる。
その結果、分子の平面性が上がり、更に分子内・分子間相互作用が向上し、例えば一般式(1−b)で表されるアゾ顔料の結晶性が高くなり(高次構造を形成し易くなり)、顔料としての要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性およびまたは耐溶剤性が大幅に向上するため、最も好ましい例となる。
本発明における一般式(1−a)で表されるアゾ顔料に結晶多形が存在する場合、その結晶型はどの多形であってもよく、また2種以上の多形の混合物であっても良いが、結晶型が単一のものを主成分とすることが好ましい。すなわち結晶多形の混入が少ないものが好ましく、単一の結晶型を有するアゾ顔料の含有量はアゾ顔料全体に対し70%〜100%、好ましくは80%〜100%、より好ましくは90%〜100%、更に好ましくは95%〜100、特に好ましくは100%である。
アゾ顔料における結晶多形の混合比は、単結晶X線結晶構造解析、粉末X線回折(XRD)、結晶の顕微鏡写真(TEM)、IR(KBr法)等の固体の物理化学的測定値から確認できる。
また、上記一般式(B)で表される化合物は、国際公開第06/082669号や特開2006−57076号公報に記載の方法、および、それに準じた方法で製造することができる。
カップリング反応は、上述の方法で得られたジアゾニウム塩と上記一般式(B)で表される化合物とを40℃以下、好ましくは、25℃以下で10分〜12時間程度反応させることで行うことができる。
溶媒加熱処理に使用される溶媒としては、例えば、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性非プロトン性有機溶媒、氷酢酸、ピリジン、またはこれらの混合物等が挙げられる。上記で挙げた溶媒に、さらに無機または有機の酸または塩基を加えても良い。溶媒加熱処理の温度は所望する顔料の一次粒子径の大きさによって異なるが、40〜150℃が好ましく、60〜100℃がさらに好ましい。また、処理時間は、30分〜24時間が好ましい。
尚、体積平均粒子径は、動的光散乱法を用いて通常の条件によって測定される。
本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)は、上記以外のその他の色材を含んでいてもよい。
ここでいう「その他の色材」としては、たとえば、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である色材であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、顔料であることがより好ましい。
水不溶性の顔料自体または分散剤で表面処理された顔料自体を色材とすることができる。
本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)は、下記一般式(2−a)で表される塩基性分散助剤(特定塩基性分散助剤)を含有する。
該特定塩基性分散助剤は前記特定色材と共に用いることで、該特定色材の分散性を向上させる。
Aは、アリール置換アミノ基、ヘテロ環置換アミノ基、アリール置換イミノ基、ヘテロ環置換イミノ基、又は、Xに窒素原子で結合する含窒素ヘテロ環基を表す。
R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。R1及びR2は互いに連結していてもよく、さらに酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される少なくとも1種を含むヘテロ環を形成してもよい。
mは1又は2の自然数を表す。
好ましくは、5−アミノベンゾイミダゾール、3−アミノアントラキノン、アクリドン、5−アミノベンゾイミダゾロン、5−アミノウラシルが挙げられ、より好ましくは、5−アミノベンゾイミダゾール、3−アミノアントラキノン、5−アミノベンゾイミダゾロン、5−アミノウラシルが挙げられる。
アリール置換アミノ基として、アントラキノン−3−イル−アミノ基等が挙げられる。
前記ヘテロ環置換アミノ基として、ベンゾイミダゾロン−5−イル−アミノ基、ベンゾイミダゾール−5−イル−アミノ基、ベンゾイミダゾール−2−イル−アミノ基、ウラシル−5−イル−アミノ基、等が挙げられる。
前記アリール置換イミノ基として、アントラキノン−3−イル−イミノ基等が挙げられる。
前記ヘテロ環置換イミノ基として、ベンゾイミダゾロン−5−イル−イミノ基、ベンゾイミダゾール−5−イル−イミノ基、ベンゾイミダゾール−2−イル−イミノ基、ウラシル−5−イル−イミノ基、等が挙げられる。
前記Xに窒素原子で結合する含窒素ヘテロ環基(即ち、窒素原子を含有するヘテロ環基であって、該窒素原子の部位で前記Xに結合する基)としては、ピラゾール−1−イル基、イミダゾール−1−イル基、インドール−1−イル基、カルバゾール−9−イル基、アクリドン−10−イル基、等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−ブトキシベンジル基、4−メトキシベンジルメトキシフェニル基、4−ヒドロキシベンジル基が好ましい。特に好ましくは、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−ブトキシベンジル基である。
アリール基は、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基が好ましい。特に好ましくは、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ブトキシフェニル基である。
上記のうち、R1及びR2としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のアルキル基が特に好ましい。
mは1又は2の自然数を表し、粒形制御の面では1が好ましく、pH制御および分散性向上の面では2が好ましい。
ここで、隣接する炭素原子とは、lが1のときは「>C=Y」で表される基の炭素原子を指し、lが0のときは「−(CH2)n−」で表される基のうちAに隣接する炭素原子を指す。
Yは酸素原子又は硫黄原子を表す。
lは0又は1の整数を表す。
nは1〜19の自然数を表す。
R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。R1及びR2は互いに連結していてもよく、さらに酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される少なくとも1種を含むヘテロ環を形成してもよい。
mは1又は2の自然数を表す。
一般式(2−b)中、R1、R2、A及びmの好ましい範囲は、上記一般式(2−a)のR1、R2、A及びmの好ましい範囲と同じである。
Yは酸素原子であることが好ましい。
lは、0又は1の整数を表すが、合成上の理由から、Aのヘテロ環基の構造により、適宜選ばれる。
前記添加量が1質量部以上であれば、特定色材の分散性がより向上する。また、添加量が50質量部以下であれば、特定塩基性分散助剤の凝集がより抑制される。
本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)は、水性媒体を含むことが好ましい。
水性媒体は少なくとも水を溶媒として含むが、水と水溶性有機溶剤の少なくとも1種とを含むことが好ましく、水及び少なくとも1種の水溶性有機溶剤を含むことがより好ましい。
水溶性有機溶剤は湿潤剤あるいは浸透剤などの目的で用いられる。
湿潤剤の具体的な例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらの湿潤剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
浸透剤の具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルの多価アルコールのアルキルエーテル類(グリコールエーテル);1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等のジオールが挙げられ、これらの浸透剤は1種単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。
本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)は、特定色材の分散性をより向上させる観点より、ポリマー分散剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
この場合の好ましい形態としては、本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)が、前記特定色材と、前記特定塩基性分散助剤と、該ポリマー分散剤と、を含む色材粒子を含有する形態が挙げられる。
この形態の顔料分散組成物(又はインク組成物)を調製する方法としては、例えば、ポリマー分散剤を含む溶液(必要に応じ中和処理が施されていてもよい)に、特定色材及び特定塩基性分散助剤を添加することにより、前記特定色材と前記特定塩基性分散助剤と該ポリマー分散剤とからなる色材粒子の分散液を調製する工程を有する方法が好適である。
前記ポリマー分散剤としては、水不溶性ポリマー分散剤が好ましい。
ここで、水不溶性ポリマー分散剤とは、ポリマー分散剤を105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマー分散剤をいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマー分散剤の塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
前記水不溶性ポリマー分散剤は、例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位の両方を含んで構成することができる。
また前記親水性の構成単位を構成するモノマーとしては、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はない。前記親水性基としては、ノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。尚、ノニオン性基は後述の自己分散性ポリマーにおけるノニオン性基と同義である。
前記親水性の構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基を共に含む形態であることもまた好ましい。
ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)は、ポリマー粒子(前記ポリマー分散剤以外のポリマー粒子)を少なくとも1種含むことが好ましい。
前記ポリマー粒子としては、親水性モノマーに由来する構成単位および疎水性モノマーに由来する構成単位を含み、体積平均粒径が0.1〜10nmであるポリマー粒子(以下、「自己分散性ポリマー」や「自己分散性ポリマー粒子」ともいう。)が好適である。
中でも、ガラス転移温度が150℃以上、I/O値が0.2〜0.55であるポリマー粒子がより好ましい。
前記ガラス転移温度(Tg)は、実測によって得られる測定Tgを適用する。具体的には、測定Tgは、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて通常の測定条件で測定された値を意味する。
計算Tgは下記の式(1)で計算する。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi) (1)
ここで、計算対象となるポリマーはi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただしΣはi=1からnまでの和をとる。尚、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)はPolymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用する。
前記自己分散性ポリマーのI/O値が0.20以上であれば、インクの安定性低下をより抑制できる。またI/O値が0.55以下であれば、耐ブロッキング性(特に高温高湿条件下)の低下をより抑制できる。
前記I/O値とは、無機性値/有機性値とも称される各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり、各官能基にパラメータを設定する官能基寄与法の一つである。
また、前記有機性値とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。すなわち、直鎖飽和炭化水素化合物の炭素数5〜10付近で炭素1個が加わることによる沸点上昇の平均値は20℃であるから、これを基準に炭素原子1個の有機性値を20と定め、これを基礎として各種置換基や結合等の沸点への影響力を数値化した値が有機性値となる。例えば、ニトロ基(−NO2)の有機性値は70である。
I/O値は、0に近いほど非極性(疎水性、有機性が大きい)の有機化合物であることを示し、値が大きいほど極性(親水性、無機性が大きい)の有機化合物であることを示す
ただし、各モノマーの無機性値の算出方法として、一般的には2重結合を無機性2として加算するが、ポリマー化すると2重結合はなくなるため、本発明ではモノマーの無機性値として2重結合分は加算していない数値を用いて自己分散性ポリマーのI/O値を算出した。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンション)の両方の状態を含むものである。
前記自己分散性ポリマーにおいては、インクに含有されたときのインク定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる自己分散性ポリマーであることが好ましい。
遠心分離前の固形分濃度に対する遠心分離後の固形分濃度の比が大きければ(1に近い数値であれば)、遠心分離によるポリマー粒子の沈降が生じない、すなわち、ポリマー粒子の水性分散物がより安定であることを意味する。本発明においては、遠心分離前後での固形分濃度の比が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。
ここで水溶性成分とは、自己分散性ポリマーに含有される化合物であって、自己分散性ポリマーを分散状態にした場合に水に溶解する化合物をいう。前記水溶性成分は自己分散性ポリマーを製造する際に、副生又は混入する水溶性の化合物である。
前記親水性構成単位は、親水性基含有モノマー(親水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
前記親水性基は、自己分散促進の観点、および形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、少なくとも1種は解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離性基であることがより好ましい。前記アニオン性の解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、顔料分散組成物を用いてインクを構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が特に好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中でも、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種がより好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有するモノマーとしては、末端が水酸基のエチレン性不飽和モノマーよりも、末端がアルキルエーテルのエチレン性不飽和モノマーのほうが、粒子の安定性、水溶性成分の含有量の観点で好ましい。
また、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位を2種以上含有する態様や、アニオン性の解離性基を有する親水性構成単位と、ノニオン性親水性基を有する親水性構成単位を2種以上併用する態様であることもまた好ましい。
また2種以上の親水性構成単位を有する場合、親水性構成単位の総含有率が前記範囲内であることが好ましい。
また、ノニオン性親水性基を有する構成単位の含有量としては、吐出安定性と経時安定性の観点から、好ましくは0〜25質量%であって、より好ましくは0〜20質量%であって、特に好ましいのは0〜15質量%である。
酸価が50mgKOH/g以上であることにより、該ポリマーを用いたインクの吐出応答性、吐出回復性は向上し、酸価が75mgKOH/g以下であることにより粘度は上がり、耐ブロッキングは向上する傾向となる。
前記疎水性構成単位は、疎水性基含有モノマー(疎水性モノマー)に由来するものであれば特に制限はなく、1種の疎水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の疎水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記疎水性基としては、特に制限はなく、鎖状脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基のいずれであってもよい。
前記疎水性モノマーは、耐ブロッキング性、耐擦性、分散安定性の観点から、芳香族基含有モノマー又は環状脂肪族基含有モノマーであることが好ましい。
前記芳香族基含有モノマーとしては、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば特に制限はない。
前記芳香族基は芳香族炭化水素に由来する基であっても、芳香族ヘテロ環に由来する基であってもよい。水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましい。また前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
芳香族基含有モノマーは、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましく、芳香族基含有(メタ)アクリレートであることがより好ましい。前記芳香族基含有モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートであることがより好ましく、フェノキシエチルアクリレートであることが特に好ましい。
芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
前記環状脂肪族基含有モノマーとしては、環状脂肪族基含有(メタ)アクリレート(以下、「脂環式(メタ)アクリレート」いうことがある)が好ましい。
前記脂環式(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸に由来する構造部位と、アルコールに由来する構造部位とを含み、アルコールに由来する構造部位に、無置換または置換された脂環式炭化水素基を少なくとも1つ含む構造を有しているものである。尚、前記脂環式炭化水素基は、アルコールに由来する構造部位そのものであっても、連結基を介してアルコールに由来する構造部位に結合していてもよい。
また、「脂環式(メタ)アクリレート」とは、脂環式炭化水素基を有する、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、およびビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。
また脂環式炭化水素基は、さらに縮合環を形成していてもよい。
前記脂環式炭化水素基としては、粘度や溶解性の観点から、脂環式炭化水素基部分の炭素数が5〜20であることが好ましい。
単環式(メタ)アクリレートとしては、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2環式(メタ)アクリレートとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3環式(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を20質量%以上とすることで、定着性、ブロッキングを改良することができる。一方、脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位が90質量%以下であることでポリマー粒子の安定性が向上する。
前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記芳香族基含有モノマー又は前記環状脂肪族基含有モノマーおよび既述の親水性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はなく、公知のモノマーを用いることができる。
その他の構成単位を含有する場合、その含有量は10〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜75質量%であって、特に好ましいのは20〜70質量%である。その他の構成単位を形成するモノマーを、2種以上を組み合わせて使用する場合、その総含有量が前記範囲であることが好ましい。
尚、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定することできる。
酸価が50mgKOH/g以上であることにより、該ポリマーを用いたインクの吐出応答性、吐出回復性は向上し、酸価が75mgKOH/g以下であることにより粘度が上がる傾向となる。
本発明において、酸価はJIS規格(JIS K 0070:1992)記載の方法により求める。
上記中和度が40%以上であると粘度が上昇する効果、吐出応答性が良化する効果があり、60%以下であると吐出回復性が良化する点で好ましい。
また、中和度が40%以下、あるいは60%以上であると自己分散性ポリマーが安定に製造できない等の弊害もある。
ここで、中和度は自己分散性ポリマーの製造時において、自己分散性ポリマー鎖に含まれる解離性基を100モル%とした時に、添加したアルカリのモル%のことを言う。
前記自己分散性ポリマーの製造方法においては、モノマー混合物と、必要に応じて、有機溶剤及びラジカル重合開始剤とを含んだ混合物を、不活性ガス雰囲気下で共重合反応させて前記水不溶性ポリマーを製造することができる。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶剤、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を攪拌して分散体を得る工程。
工程(2):前記分散体から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
アルコール系溶剤としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの有機溶剤の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤が好ましい。
また、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。これは、例えば、油系から水系への転相時への極性変化が穏和になるためと考えることができる。
上記平均粒径の範囲の中でも、増粘、吐出性(吐出応答性、吐出回復性)の点で、0.5〜8nmであることが好ましく、1〜7nmがより好ましく1〜5nmがさらに好ましい。特に好ましくは1〜4nmである。
0.1nm以上の平均粒径であることで製造適性、吐出回復性が更に向上し、10nm以下の平均粒径とすることで保存安定性、インクの増粘効果が向上する点で好ましい。また、自己分散性ポリマー粒子に増粘効果を持たせることで、結果として増粘剤の添加量を減らすことにより吐出応答性も良化することも可能になる。
また、自己分散性ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、水不溶性粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、自己分散性ポリマー粒子の平均粒径及び粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
前記自己分散性ポリマー粒子は自己分散性に優れており、ポリマー単独で分散させたときの安定性は非常に高いものである。しかし、例えば、顔料を安定に分散させる、所謂分散剤としての機能は高くないため、前記自己分散性ポリマーが顔料を含有する形態でインク中に存在すると、結果としてインク全体の安定性が大きく低下する場合がある。
また本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)における自己分散性ポリマー粒子の含有量としては、画像の光沢性などの観点から、本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)に対して、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることが特に好ましい。
また、本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)における色材粒子と自己分散性ポリマー粒子の含有比率(色材粒子/自己分散性ポリマー粒子)としては、画像の耐擦過性などの観点から、1/0.5〜1/10であることが好ましく、1/1〜1/4であることがより好ましい。
本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)は、界面活性剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。かかる界面活性剤としては、下記の一般式(11)で表わされるアセチレングリコール系界面活性剤(例えば、オルフィンY、E1010及びSTG、並びにサーフィノール82、104、440、465及び485(何れも日信化学工業株式会社製)等)や、下記の一般式(12)で表されるポリシロキサン系化合物(例えば、ビッグケミー・ジャパン株式会社より市販されているシリコン系界面活性剤BYK−345、BYK−346、BYK−347、又はBYK−348)を使用することもできる。その他、アニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等)等を用いることができる。
一般式(12)中、R31〜R37はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基であり、j、k及びgはそれぞれ独立して1以上の整数であり、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、p及びqは0以上の整数であるが、但しp+qは1以上の整数であり、EO及びPOは、[ ]内においてその順序は問わず、ランダムであってもブロックであってもよい。
これらの界面活性剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)は、上記成分に加えて必要に応じてその他の添加剤を含むことができる。
本発明におけるその他の添加剤としては、例えば、固体湿潤剤(例えば、尿素又はその誘導体、糖類、糖アルコール類、ヒアルロン酸類、多価アルコール等)、増粘剤(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキシアルキレングリコール類、等)、褪色防止剤、乳化安定剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)を調製後に直接添加してもよく、本発明の顔料分散組成物(又は本発明のインク組成物)の調製時に添加してもよい。具体的には特開2007−100071号公報の段落番号[0153]〜[0162]に記載のその他の添加剤などが挙げられる。
顔料分散組成物又はインク組成物の表面張力は、例えば、Face自動表面張力計「CPVP−Z」〔協和界面科学(株)製〕等の測定装置により測定することができる。
顔料分散組成物又はインク組成物の粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度計を用いて20℃で測定することができる。
またインク組成物のpHは、酸性化合物または塩基性化合物を用いて適宜調製することができる。酸性化合物または塩基性化合物としては通常用いられる化合物を特に制限なく用いることができる。
濾過の方法としては、例えば、メンブレンフィルタ(例えば、PVDF5μmフィルタ)を用いた濾過を挙げることができる。また殺菌処理としては、熱処理(例えば、60〜80℃で1〜4時間)を挙げることができる。
本発明においては、組成物の安定性の観点から、前記液体組成物を殺菌処理(好ましくは、熱処理)することが好ましい。
本発明のインクジェット画像形成方法は、前記インクジェット記録用水性インク組成物を、記録媒体上に吐出して画像を形成するインク吐出工程を含み、必要に応じてその他の工程を含んで構成される。
本発明のインクジェット記録用水性インク組成物を用いて画像を形成することで、耐擦性に優れた画像を形成することができる。また、インク組成物の調製直後はもちろん、インク組成物を長期間又は高温で保存した後であっても、吐出精度に優れるため、良好な画像を形成することができる。
また、本発明の記録物は、上記本発明のインクジェット画像形成方法により、記録媒体上に記録されたものであるため、耐擦性に優れる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明のインクジェット画像形成方法は、記録媒体に上に画像を記録するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明の画像形成方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
<例示化合物(Pig.−1)の合成>
例示化合物(Pig.−1)の合成スキームを下記に示す。
シアノ酢酸メチル29.7g(0.3モル)にオルトギ酸トリメチル42.4g(0.4モル)、無水酢酸20.4g(0.2モル)、p−トルエンスルホン酸0.5gを加えて110℃(外温)に加熱し、反応系から生じる低沸点成分を留去しながら20時間攪拌した。この反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行い、前記中間体(a)を14.1g(黄色粉末、収率30%)で得た。得られた中間体(a)のNMR測定結果は以下の通りである。
1H-NMR(300MHz、CDCl3)7.96(s,1H), 4.15(s,3H), 3.81(s,3H)
メチルヒドラジン7.4mL(141ミリモル)にイソプロパノール150mLを加えて15℃(内温)に冷却し、この混合液に中間体(a)7.0g(49.6ミリモル)を徐々に添加した後、50℃に加熱して1時間40分攪拌した。この反応液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラム精製を行い、前記中間体(b)を10.5g(白色粉末、収率50%)で得た。得られた中間体(b)のNMR測定結果は以下の通りである。
1H-NMR(300MHz、CDCl3)7.60(s,1H), 4.95(brs,2H), 3.80(s,3H), 3.60(s,3H)
ヒドラジン1水和物130mLにメタノール100mLを加えて10℃(内温)に冷却し、この混合液に4,6−ジクロロピリミジン50.0g(336ミリモル)を徐々に添加(内温20℃以下)した後、50℃に加熱して4時間30分攪拌した。反応液から析出した結晶をろ取、イソプロパノールでかけ洗い後、乾燥を行い、前記中間体(c)を43.1g(白色粉末、収率92%)で得た。得られた中間体(c)のNMR測定結果は以下の通りである。
1H-NMR(300MHz、d6-DMSO)7.82(s,1H), 7.55(s,2H), 5.96(s,1H), 4.12(s,4H)
中間体(c)35.0g(0.25モル)、ピバロイルアセトニトリル68.8g(0.55モル)に水900mLを加えて室温で攪拌した。この懸濁液に1M塩酸水をpH3になるように滴下した後、50℃に加熱して8時間攪拌した。この反応液に8M水酸化カリウム水溶液を滴下してpH8に調整して、更に1M塩酸水を滴下してpH6に調整して析出した結晶をろ取、イソプロパノールでかけ洗い後、乾燥を行い前記中間体(d)を83.0g(白色粉末、収率94%)で得た。得られた中間体(d)のNMR測定結果は以下の通りである。
1H-NMR(300MHz、d6-DMSO)8.73(s,1H), 7.97(s,1H), 6.88(s,4H), 5.35(s,2H), 1.22(s,18H)
濃硫酸4.1mLに酢酸18.5mLを加えて氷冷で攪拌し、40%ニトロシル硫酸3.85g(12.1ミリモル)を滴下した。この混合液に中間体(b)1.71g(11.0ミリモル)を徐々に添加(内温0℃以下)した後、0℃で2時間攪拌した。この反応液に尿素150mgを添加し、さらに0℃で15分攪拌して、ジアゾ液Aを調製した。
中間体(d)にメタノール50mLを加えて加熱溶解させた後、氷冷で攪拌した混合液に前記ジアゾ液Aをゆっくり滴下した(内温10℃以下)。この反応液を室温で2時間攪拌した後、析出した結晶をろ取、メタノールでかけ洗いして前記例示化合物(Pig.−1)の粗結晶を得た。さらに前記粗結晶に水を加えて攪拌した後、この懸濁液を水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整し、さらにジメチルアセトアミド20mLを加えて、80℃で2時間攪拌した。析出した結晶をろ取、さらにメタノールで懸濁洗浄し得られた結晶をろ取、乾燥して例示化合物(Pig.−1)を2.0g(黄色粉末、収率79%)で得た。
特開2009−84416号公報中、段落0153〜0159に記載の合成方法により、前記特定塩基性分散助剤の例示化合物(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−4)、(A−5)、(A−6)、及び(A−7)をそれぞれ合成した。
下記モノマー組成の成分を全量が100質量部になるように混合し、さらに重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1質量部添加し、窒素ガス置換を十分に行い、合成混合液を得た。
−モノマー組成−
フェノキシエチルメタクリレート … 55質量部
メチルメタクリレート … 35質量部
メタクリル酸 … 10質量部
2−メルカプトエタノール … 0.1質量部
≪インクジェット記録用水性インク組成物の調製≫
<顔料含有高分子ビニルポリマー粒子の水分散物の調製>
上記で得られた高分子ビニルポリマー溶液(ポリマー分散剤溶液)8質量部に5mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した。なお、高分子ビニルポリマーのメタクリル酸の80%を中和するアルカリ量を添加した。これに、イエロー顔料として上記例示化合物(Pig.−1)10質量部、分散助剤として上記塩基性分散助剤(A−1)1質量部を加え、ロールミルで2〜8時間混練した。得られた混練物をイオン交換水93質量部に分散した。得られた分散物から減圧下、55℃で有機溶媒を完全に除去し、更に水の一部を除去することにより濃縮し、固形分15%の顔料含有ビニルポリマー粒子(色材粒子)の水分散物を得た。
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン350.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート162.0g、メチルメタクリレート180.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン70g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g、メチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、70℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g、イソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、70℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は64000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))、酸価は38.9(mgKOH/g)であった。
下記組成を混合し、インクジェット記録用水性インク組成物であるイエローインク組成物を得た。
−イエローインク組成物の組成−
上記顔料含有高分子ビニルポリマー粒子(色材粒子)の水分散物 … 25質量部
グリセリン … 5質量部
ジエチレングリコール … 5質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル … 5質量部
ポリオキシプロピレングリセリルエーテル … 10質量部
ジプロピレングリコール … 5質量部
トリエタノールアミン … 1質量部
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) … 1質量部
自己分散性ポリマー微粒子の水分散物 … 15質量部
イオン交換水 … 28質量部
上記で得られたイエローインク組成物を用い、以下の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
プリンタPX−V630(EPSON社製)のイエローカートリッジ中のイエローインクを、上記で得られたイエローインク組成物に置き換え、記録媒体(富士フイルム社製画彩写真仕上げPro)上に、イエローベタ画像(幅1cm×長さ5cmのライン)を印字した。
次に、500gの文鎮(サイズ5cm×2cm×10cm)の全面に富士フイルム社製画彩写真仕上げProを画像形成面が外側となるように巻きつけ、この文鎮の一面(前記画像形成面)により、前記イエローベタ画像全面を幅方向に10往復擦った。
その後、ベタ画像の状態を目視で確認し、下記評価基準に従って耐擦性を評価した。
A … イエローベタ画像の全面積のうち、磨耗部分の面積が30%未満であった。
B … イエローベタ画像の全面積のうち、磨耗部分の面積が30%以上70%未満であった。
C … イエローベタ画像の全面積のうち、磨耗部分の面積が70%以上90%未満であった。
D … イエローベタ画像の全面積のうち、磨耗部分の面積が90%以上であった。
富士フイルムDimatix社製DMP−2831プリンターのイエローインクを上記で得られたイエローインク組成物に置き換えた後、このプリンターにより、記録媒体(富士フイルム社製画彩写真仕上げPro)上に、インク液滴量2pL、吐出周波数20kHz、ノズル配列(列方向×搬送方向)16×1200dpi、の条件で、長さ15cmのライン画像(16列のライン画像)を印字した。
ここで、イエローインク組成物は、調製完了後24時間以下のものを用いた。
印字サンプル(ライン画像)の打滴開始部から5cmの部位のライン間の距離を王子計測機器製ドットアナライザーDA−6000で測定し、その標準偏差を算出し、吐出の方向精度を評価した。結果を表1に示す。
A … 標準偏差が3μm未満
B … 標準偏差が3μm以上4μm未満
C … 標準偏差が4μm以上5μm未満
D … 標準偏差が5μm以上
上記イエローインク組成物をさらに80℃環境下に4週間保存し、保存後のイエローインク組成物を用いて上記「吐出精度(初期)」と同様の方法により、吐出精度(経時)を評価した。
「吐出精度(初期)」の結果からの変化が少ないほど、イエローインク組成物が分散安定性に優れている。
上記「インクジェット記録用水性インク組成物の調製」において、イエロー顔料及び分散助剤の種類を下記表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてイエローのインクジェット記録用水性インク組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。
比較例1では、イエロー顔料として、C.I.ピグメントイエロー74(PY74)を用いた。
比較例2では、分散助剤として、酸性分散助剤であるEFKA社製EFKA6745を用いた。
比較例3では、分散助剤を用いなかった。
評価結果を表1に示す。
Claims (12)
- 一般式(1−a)で表されるアゾ顔料およびその互変異性体ならびにそれらの塩および水和物から選択される少なくとも1種を含む色材と、一般式(2−a)で表される塩基性分散助剤と、を含有する顔料分散組成物。
〔一般式(1−a)中、Zは5〜8員の含窒素ヘテロ環に由来する2価の基を表し、Y1、Y2、R11、R12は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、G1、G2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表し、W1、W2はそれぞれ独立にアルコキシ基、アミノ基、アルキル基又はアリール基を表す。〕
〔一般式(2−a)中、Xは炭素原子数2〜20の2価の連結基を表す。Aは、アリール置換アミノ基、ヘテロ環置換アミノ基、アリール置換イミノ基、ヘテロ環置換イミノ基、又は、Xに窒素原子で結合する含窒素ヘテロ環基を表す。R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。R1及びR2は互いに連結していてもよく、さらに酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される少なくとも1種を含むヘテロ環を形成してもよい。mは1又は2の自然数を表す。〕 - 前記一般式(1−a)中のW1およびW2は、それぞれ独立に総炭素数3以下のアルコキシ基、アミノ基、または総炭素数3以下のアルキルアミノ基である請求項1に記載の顔料分散組成物。
- 前記一般式(1−a)中のG1およびG2は、それぞれ独立に総炭素数3以下のアルキル基である請求項1又は請求項2に記載の顔料分散組成物。
- 前記一般式(1−a)中のZは、6員の含窒素ヘテロ環に由来する2価の基である請求項1〜請求項3のいずれかに1項に記載の顔料分散組成物。
- 前記一般式(2−a)で表される塩基性分散助剤が、下記一般式(2−b)で表される塩基性分散助剤である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
〔一般式(2−b)中、Aは、アリール置換アミノ基、ヘテロ環置換アミノ基、アリール置換イミノ基、ヘテロ環置換イミノ基、又は、隣接する炭素原子に窒素原子で結合する含窒素ヘテロ環基を表す。Yは酸素原子又は硫黄原子を表す。lは0又は1の整数を表す。nは1〜19の自然数を表す。R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。R1及びR2は互いに連結していてもよく、さらに酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される少なくとも1種を含むヘテロ環を形成してもよい。mは1又は2の自然数を表す。〕 - 前記Aが、アリール置換アミノ基又はヘテロ環置換アミノ基である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
- 更に、水性媒体を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
- 更に、ポリマー分散剤を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の顔料分散組成物。
- 更に、ポリマー粒子を含む請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の顔料分散組成物
- 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の顔料分散組成物を用いてなるインクジェット記録用水性インク組成物。
- 請求項10に記載のインクジェット記録用水性インク組成物を、記録媒体上にインクジェット法で吐出する工程を含むインクジェット画像形成方法。
- 請求項11に記載のインクジェット画像形成方法で記録媒体に記録された記録物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009201865A JP5436102B2 (ja) | 2009-09-01 | 2009-09-01 | 顔料分散組成物、インクジェット記録用水性インク組成物、インクジェット画像形成方法、及び記録物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009201865A JP5436102B2 (ja) | 2009-09-01 | 2009-09-01 | 顔料分散組成物、インクジェット記録用水性インク組成物、インクジェット画像形成方法、及び記録物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011052105A true JP2011052105A (ja) | 2011-03-17 |
JP5436102B2 JP5436102B2 (ja) | 2014-03-05 |
Family
ID=43941433
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009201865A Expired - Fee Related JP5436102B2 (ja) | 2009-09-01 | 2009-09-01 | 顔料分散組成物、インクジェット記録用水性インク組成物、インクジェット画像形成方法、及び記録物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5436102B2 (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102040560A (zh) * | 2009-10-19 | 2011-05-04 | 施乐公司 | 自组装纳米结构 |
JP2014162875A (ja) * | 2013-02-26 | 2014-09-08 | Fujifilm Corp | 水系顔料分散物、その製造方法及びインクジェット記録用インク |
JP2014162876A (ja) * | 2013-02-26 | 2014-09-08 | Fujifilm Corp | 水系顔料分散物、その製造方法及びインクジェット記録用インク |
WO2016047588A1 (ja) * | 2014-09-26 | 2016-03-31 | 富士フイルム株式会社 | 水性顔料分散液及びその製造方法、着色組成物、インク組成物、インクジェット記録用インク組成物、並びに、インクジェット記録方法 |
JP2017061662A (ja) * | 2015-09-25 | 2017-03-30 | 富士フイルム株式会社 | 水性顔料分散液及びその製造方法、着色組成物、インク組成物、並びに、インクジェット記録方法 |
WO2017051668A1 (ja) * | 2015-09-25 | 2017-03-30 | 富士フイルム株式会社 | 水性顔料分散液及びその製造方法、着色組成物、インク組成物、インクジェット記録用インク組成物、並びに、インクジェット記録方法 |
JP2017061661A (ja) * | 2015-09-25 | 2017-03-30 | 富士フイルム株式会社 | 水性顔料分散液及びその製造方法、着色組成物、インク組成物、並びに、インクジェット記録方法 |
WO2019049689A1 (ja) * | 2017-09-08 | 2019-03-14 | 富士フイルム株式会社 | インク組成物及び画像形成方法 |
WO2019049690A1 (ja) * | 2017-09-08 | 2019-03-14 | 富士フイルム株式会社 | インク組成物及び画像形成方法 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007063520A (ja) * | 2004-10-20 | 2007-03-15 | Fujifilm Corp | 色素、インク、インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクシート、カラートナー及びカラーフィルター |
JP2007138124A (ja) * | 2005-10-20 | 2007-06-07 | Fujifilm Corp | インクセット、インクカートリッジ、インクジェットプリンター、インクジェット記録方法、記録物及び褪色改良方法 |
JP2009084416A (ja) * | 2007-09-28 | 2009-04-23 | Fujifilm Corp | 塩基性分散助剤、これを用いた有機顔料ナノ粒子の水性分散物、凝集体、及び非水性分散物、それにより得られる着色感光性樹脂組成物、それを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置 |
JP2010202688A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-16 | Fujifilm Corp | インクジェット記録用水性インク |
JP2010222419A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-10-07 | Fujifilm Corp | インクジェット記録用油性インク |
JP2011051222A (ja) * | 2009-09-01 | 2011-03-17 | Fujifilm Corp | インクセット、画像形成方法、及び記録物 |
-
2009
- 2009-09-01 JP JP2009201865A patent/JP5436102B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007063520A (ja) * | 2004-10-20 | 2007-03-15 | Fujifilm Corp | 色素、インク、インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクシート、カラートナー及びカラーフィルター |
JP2007138124A (ja) * | 2005-10-20 | 2007-06-07 | Fujifilm Corp | インクセット、インクカートリッジ、インクジェットプリンター、インクジェット記録方法、記録物及び褪色改良方法 |
JP2009084416A (ja) * | 2007-09-28 | 2009-04-23 | Fujifilm Corp | 塩基性分散助剤、これを用いた有機顔料ナノ粒子の水性分散物、凝集体、及び非水性分散物、それにより得られる着色感光性樹脂組成物、それを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置 |
JP2010202688A (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-16 | Fujifilm Corp | インクジェット記録用水性インク |
JP2010222419A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-10-07 | Fujifilm Corp | インクジェット記録用油性インク |
JP2011051222A (ja) * | 2009-09-01 | 2011-03-17 | Fujifilm Corp | インクセット、画像形成方法、及び記録物 |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102040560A (zh) * | 2009-10-19 | 2011-05-04 | 施乐公司 | 自组装纳米结构 |
JP2014162875A (ja) * | 2013-02-26 | 2014-09-08 | Fujifilm Corp | 水系顔料分散物、その製造方法及びインクジェット記録用インク |
JP2014162876A (ja) * | 2013-02-26 | 2014-09-08 | Fujifilm Corp | 水系顔料分散物、その製造方法及びインクジェット記録用インク |
WO2016047588A1 (ja) * | 2014-09-26 | 2016-03-31 | 富士フイルム株式会社 | 水性顔料分散液及びその製造方法、着色組成物、インク組成物、インクジェット記録用インク組成物、並びに、インクジェット記録方法 |
JP2017061662A (ja) * | 2015-09-25 | 2017-03-30 | 富士フイルム株式会社 | 水性顔料分散液及びその製造方法、着色組成物、インク組成物、並びに、インクジェット記録方法 |
WO2017051668A1 (ja) * | 2015-09-25 | 2017-03-30 | 富士フイルム株式会社 | 水性顔料分散液及びその製造方法、着色組成物、インク組成物、インクジェット記録用インク組成物、並びに、インクジェット記録方法 |
JP2017061661A (ja) * | 2015-09-25 | 2017-03-30 | 富士フイルム株式会社 | 水性顔料分散液及びその製造方法、着色組成物、インク組成物、並びに、インクジェット記録方法 |
JPWO2017051668A1 (ja) * | 2015-09-25 | 2018-03-01 | 富士フイルム株式会社 | 水性顔料分散液及びその製造方法、着色組成物、インク組成物、インクジェット記録用インク組成物、並びに、インクジェット記録方法 |
WO2019049689A1 (ja) * | 2017-09-08 | 2019-03-14 | 富士フイルム株式会社 | インク組成物及び画像形成方法 |
WO2019049690A1 (ja) * | 2017-09-08 | 2019-03-14 | 富士フイルム株式会社 | インク組成物及び画像形成方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5436102B2 (ja) | 2014-03-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5436102B2 (ja) | 顔料分散組成物、インクジェット記録用水性インク組成物、インクジェット画像形成方法、及び記録物 | |
JP5469951B2 (ja) | アゾ顔料を含むインクジェット記録用水性インク | |
JP5401299B2 (ja) | インクセット、記録物及び印刷物 | |
US8835531B2 (en) | Water-based ink composition for inkjet recording | |
JP2011046872A (ja) | インクセット及び画像形成方法 | |
JP2010065212A (ja) | インクジェット記録用水性インク | |
JP5322862B2 (ja) | インクジェット記録用水性インク組成物および画像形成方法 | |
JP5530683B2 (ja) | アゾ顔料を含む顔料分散体、及び、これを用いたインクジェット記録用水性インク | |
JP5667816B2 (ja) | 水系顔料分散物及びインクジェット記録用水性インク | |
JP2011111527A (ja) | 水性インク組成物および画像形成方法 | |
KR20120066630A (ko) | 수계 안료 분산물 및 잉크젯 기록용 수성 잉크 | |
JP5322861B2 (ja) | インクセット、画像形成方法、及び記録物 | |
JP2012025867A (ja) | アゾ顔料を含むインク組成物 | |
JP5608514B2 (ja) | 水系顔料分散体の製造方法、水系顔料分散体及びインクジェット記録用水性インク | |
JP5491907B2 (ja) | インクセット及び画像形成方法 | |
JP2019163417A (ja) | インク、インクセット、インクジェット記録方法、及びインクの製造方法 | |
JP5530834B2 (ja) | インクジェット記録用水性インク | |
JP5388641B2 (ja) | アゾ顔料磨砕物の製造方法、アゾ顔料分散体およびインクジェット記録用水性インク | |
JP2011057731A (ja) | 顔料誘導体、これを用いた顔料分散体及び顔料水性インク | |
JP5530833B2 (ja) | アゾ顔料を含む水系インク | |
JP2012025865A (ja) | インクジェット記録用水性インク | |
JP2011213917A (ja) | 水系顔料分散体の製造方法、水系顔料分散体及びインクジェット記録用水性インク |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120118 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130829 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130910 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131029 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131119 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131210 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |