JP2011051755A - 巻取用紙管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】巻取用紙管の両端に取付けられている口金付き紙管において、紙管の中空部において嵌入されている口金本体の内側から半径方向外側に向けてポンチ孔が12個形成されており、該ポンチ孔の紙管紙層への食い込み深さが、3.0〜5.0mmとなるように設けられていることを特徴とする巻取用紙管。クロロプレンゴム系接着剤により、口金が紙管に接着されていること、ポンチ孔の形状が紙管の長手方向に長くなっていること、口金材の引張強度が350N/mm2以上であることが望ましい。
【選択図】図1
Description
本発明の課題は、紙管と口金の滑りがなく強固に装着でき、しかも、真円度を損なうことのない、口金を有する紙管を提供するものである。
(2)クロロプレンゴム系接着剤により、口金が紙管に接着されていることを特徴とする(1)に記載の巻取用紙管。
(3)ポンチ孔の形状が紙管の長手方向に長くなっていることを特徴とする(1)または(2)に記載の巻取用紙管。
(4)口金材の引張強度が350N/mm2以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の巻取用紙管。
(紙管)
ここでいう紙管とは、通常の紙で巻かれた筒状の管又はこれに樹脂を含浸されたものか若しくは予め樹脂を含浸した紙で巻かれた筒状のものである。
紙管用の原紙は、一般的には板紙である。この板紙は、円網抄紙機、長網抄紙機により、あるいは円網と長網を組合せた抄紙機により、3〜5層で抄紙されたもので、1層が坪量40〜80g/m2の多層抄板紙である。また、長網抄紙機による単層抄きの紙(坪量120〜180g/m2)を複数枚使用し、これを接着剤で積層(2〜4層)したものを原紙とする場合もある。
紙管製造に使用する接着剤は、安全で使い勝手がよい水性接着剤が一般的である。この水性接着剤は、接着作業性、安全性、及び経済性などの面で利点を持つ。この接着剤の中で、業界で多用されている水性接着剤は、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン及びポリビニルアルコール水溶液である。ポリ酢酸ビニル系エマルジョンは、木工用、紙加工用に広く使用されており、初期接着力など作業性は良好であるが、形成接着層が比較的柔軟なため、扁平耐圧強度がやや低くなる。
一方、ポリビニルアルコール水溶液は、形成接着層が比較的硬いため、扁平耐圧強度が高く、耐水性も良好であるが、低温で粘度が著しく上昇するため、冬季の接着作業性に難点がある。これらの紙管用接着剤が、要求される紙管の品質や、紙管製造における作業性を考慮して、適宜使用されている。
紙巻取用の紙管の場合、紙管の扁平耐圧強度は2700N/10cm以上、好ましくは3000N/10cm以上である。紙管の扁平耐圧強度が低いと、運搬、保管時などに巻取の変形を起こし、用紙使用時のダブリなどの問題を起こすことがある。
巻取用の紙管は、その補強のために両端に金属製の口金が嵌着されている。紙管用の口金は、鋼板や亜鉛メッキ鋼板等で形成されており、厚さは、0.8〜1.4mm程度である。口金の形状は、通常、紙管の端部に嵌合し得るものであって、円形のつば部と円筒形のはかま部が一体に形成された中空状のものである。円形のつば部の幅は、紙管の肉厚より少し小さめにし、紙管よりはみ出さないようにしている。円筒形のはかま部の外径は紙管の内径よりやや大きめにしておくと挿入した場合に強固に密着させることができるが、その先端部分は紙管端部から内側に挿入し易いように紙管の内径よりも少し狭めておくとよい。はかま部の長さは、38〜150mm程度である。
口金の材質の引張り強度は350N/mm2以上、好ましくは390N/mm2以上であると、口金が変形しにくく、その結果、トルク強度(回転トルクに耐えられず口金が空転し始めるトルク)が高くなるので好ましい。
紙管用の口金は、回転ズレ防止のため口金の内側から外側にポンチが打ち込まれ、ポンチングにより突き出た部分を紙管内周面に食い込ませて口金を紙管に固定している。
通常のポンチは、四角錐状で、ポンチ孔は四角錐の4隅が切断され、概略三角形の4つの爪が形成されているものである。これらの爪が紙管内面の紙層に食い込み、口金が紙管に固定されるようになっている。
ポンチ形状を工夫しポンチ孔の先端部が切断することがないように丸型ポンチ等を使用したものが提案されているが、本発明では、前述したポンチ孔の先端に切断部を有するポンチ形状のものを採用している。ポンチ孔の形状は、紙管の長手方向(紙管円筒の中心軸方向)に長いことが好ましい。このようなポンチ形状として、前述した四角錐や楕円錐のポンチ等を挙げることができる。ポンチ孔の形状を紙管の長手方向に長くすることで、紙管の損傷を抑えながら、紙管の回転方向に働くトルク強度を高くすることが出来る。
従来のポンチングの個数は、口金はかま部の内周面に等間隔に6〜10個程度とされている。同じポンチ形状・ポンチング深さの場合では、ポンチングの個数が多いほどトルク強度は高くなると予想されるが、ポンチングの個数が多いと、隣り合うポンチ孔が接近し、紙管の内面の紙層が破壊され、口金が空転しやすくなり、逆にトルク強度が低くなる。
ポンチングを2列、千鳥状にする形態もあるが、本発明の紙管ではポンチング個数を1列、12個としている。
ポンチングの深さが深過ぎると、紙管に割れが生じたり、口金部分の紙管の外径が大きくなる問題が生じる。特にポンチングの個数が多い場合に、ポンチング深さが深すぎると、口金の変形が大きくなり、輪転機等でのチャッキングに不具合を生じることがある。
本発明では、前述したようにポンチング個数を12個、1列とした場合の、最適なポンチング深さを3.0〜5.0mmとしている。ここでいうポンチング深さとは、ポンチングにより、口金はかま部外周から突出した部分の高さをいう。
ポンチング深さが3.0mmより浅いと、紙管への食い込みが不十分となり、トルク強度が不足する。5.0mmより深いと、ポンチ孔が接近しているので、紙管の内面の紙層破壊により、トルク強度が低くなる。また、口金内部が変形し、真円度が失われ、巻取紙を輪転機にセットした時、偏芯状態で装着され、印刷中に紙がばたつき、印刷面のトラブルが発生することがある。
紙管の製造において、ポンチングによる紙管への食い込みは、簡易的に紙管の口金ポンチ部を水に浸漬して積層されている原紙を剥がし、内側から何層目まで破れているかによって確認することができる。
トルク強度は温度・湿度条件によっても変わってくる。特に冬季の乾燥期は、紙管の紙層部の持つ水分が低くなり、割れやすくなる傾向があるので、ポンチング深さを浅くするのが好ましい。
本発明の紙管では、口金を紙管に固定するために、接着剤を使用するのが好ましい。使用する接着剤としては、エマルジョン型接着剤、溶液型接着剤、感圧型接着剤など各種のものが使用可能であり、具体的には、酢酸ビニル樹脂系、ゴム系、フェノール樹脂系、エボキシ樹脂系などの接着剤があり、その中でも、乾燥したのちに指圧程度ですぐに接着できるコンタクト接着剤が、紙管と口金の接着では初期接着力が強く好適である。代表的なコンタクト接着剤として、クロロプレンゴム系接着剤が挙げられる。口金用接着剤の塗布量は、接着剤の種類にもよるが、例えば、ゴム系接着剤の場合には、30g/m2〜200g/m2、好ましくは70g/m2〜150g/m2である。口金用接着剤を使用することにより、トルク強度は10〜20%向上する。
口金用接着剤は、通常、紙管の口金と接触する面に所定量塗布する。あるいは、紙管への塗布に加えて口金はかま部外周面に塗布してもよい。次いで、口金を紙管端部から挿入し、一般に採用されているポンチング・エキスパンダー処理により口金と紙管を一体化させる。
(実施例1)
紙管原紙(福山製紙株式会社製 商品名:M1、坪量590g/m2)18枚とポリサンド(クラフト紙50g/m2+レジン20g/m2+クラフト50g/m2)1枚とライナー(東海パルプ株式会社製 坪量280g/m2)1枚を積層し、内径79.0mm、外径110.0mm、長さ1,626mmの新聞用紙管を製造した。
つぎに、この紙管の両端に、厚さ1.2mm、つば外径108.0mm、はかま長さ50mmの口金(材質:電気亜鉛めっき鋼板SEFC390、引張り強さ390N/mm2)を紙管仕上げ機によって装着し、ポンチングとエキスパンダー処理を行った。紙管仕上げ機のポンチングヘッドの駒として、四角錐台形状のポンチを使用し、ポンチングは1列等間隔で12個配列するように行った。ポンチングヘッドは、四角錐台の形状で、底部が10mm×8mmの長方形で、先端部が3mm×1mmの長方形で、底部の長方形と先端部の長方形は、ともに紙管の長手方向に長くなっている。また、四角錐台の高さは5mmである。ポンチング深さ設定値は89.0mmφとした。
なお、口金を装着するに先立ち、口金用接着剤として、コンタクト接着タイプのゴム系の接着剤であるクロロプレン系溶剤形接着剤(コニシ株式会社製 商品名:コニシボンドG17)を使用し、紙管の口金装着部に接着剤を70g/m2付着させ、オープンタイムとして30分経過した後に口金を装着している。
ポンチング深さ設定値を91.0mmφとした以外は実施例1と同様に紙管を製造した。
(実施例3)
ポンチング深さ設定値を92.0mmφとした以外は実施例1と同様に紙管を製造した。
(実施例4)
ポンチング深さ設定値を93.0mmφとした以外は実施例1と同様に紙管を製造した。
(実施例5)
口金用接着剤を使用しなかったこと以外は実施例1と同様に紙管を製造した。
(実施例6)
口金用接着剤を使用しなかったこと以外は実施例2と同様に紙管を製造した。
(実施例7)
口金用接着剤を使用しなかったこと以外は実施例3と同様に紙管を製造した。
(実施例8)
口金用接着剤を使用しなかったこと以外は実施例4と同様に紙管を製造した。
ポンチング深さ設定値を94.0mmφとした以外は実施例8と同様に紙管を製造した。
(比較例2)
ポンチング深さ設定値を94.5mmφとした以外は実施例8と同様に紙管を製造した。
(比較例3)
ポンチング深さ設定値を88.0mmφとした以外は実施例8と同様に紙管を製造した。
(比較例4)
紙管仕上げ機のポンチングヘッドの駒として、四角錐台形状のポンチを使用し、ポンチングは1列等間隔で10個配列するように行った。ポンチングヘッドは、四角錐台の形状で、底部が12mm×8mmの長方形で、先端部が3mm×1mmの長方形で、底部の長方形と先端部の長方形は、ともに紙管の長手方向に長くなっている。また、四角錐台の高さは5mmである。その他は実施例1と同様に紙管を製造した。
(比較例5)
口金用接着剤として、酢酸ビニル樹脂エマルジョン形接着剤(コニシ株式会社製 商品名:コニシボンドCF1051W)を使用し、オープンタイムなしで接着した以外は、比較例4と同様に紙管を製造した。
(比較例6)
口金用接着剤を使用しなかったこと以外は比較例5と同様に紙管を製造した。
(比較例7)
ポンチング深さ設定値を94.0mmφとした以外は比較例4と同様に紙管を製造した。
ポンチング深さ設定値:ポンチング装置のポンチングヘッドが最も突出した状態を外径で表示したもの。
ポンチング深さ:ポンチングにより、口金が突出した部分の高さをハイトゲージにより測定し、全てのポンチングの平均値を算出した。
トルク強度の測定:紙管トルク測定器(株式会社東予理研製)により測定した。
紙管の膨れ:口金のポンチング部分の紙管の外径を測定し、紙管の膨れが0.3mm以上のものを×の評価、0.3mm未満のものを○の評価とした。
比較例1は、ポンチング深さ設定値が94.0mmφと深いので、ポンチング深さが5.1mmと深くなって、トルク強度がまずまず高いが、膨れが発生した。ポンチ孔の紙管の紙層への食い込みが深過ぎたためと考えられる。
比較例2は、ポンチング深さ設定値が94.5mmφと深いので、ポンチング深さが5.3mmと深くなって、トルク強度が比較例1より低くなって膨れも発生している。
比較例3は、ポンチング深さ設定値が88.0mmφと浅いので、ポンチング深さが2.5mmと浅くなって、紙管の紙層へのポンチ孔の食い込みが不足し、トルク強度が低くなっていると考えられる。
比較例4は、ポンチ数を10個とした以外は実施例1と同じ条件であるが、トルク強度は実施例1より低くなっている。
比較例5は、口金用接着剤として、酢酸ビニル系接着剤を使用したものであるが、クロロプレンゴム系接着剤を使用した比較例4よりもトルク強度が低くなっている。
比較例6は、口金用接着剤を使用しなかった例であり、比較例4や比較例5に比べトルク強度が低くなっている。
比較例7は、ポンチング深さ設定値が94.0mmφと深いので、ポンチング深さが5.2mmと深くなってトルク強度は高いが、膨れが発生している。
Claims (4)
- 巻取用紙管の両端に取付けられている口金付き紙管において、紙管の中空部において嵌入されている口金本体の内側から半径方向外側に向けてポンチ孔が12個形成されており、該ポンチ孔の紙管紙層への食い込み深さが、3.0〜5.0mmとなるように設けられていることを特徴とする巻取用紙管。
- クロロプレンゴム系接着剤により、口金が紙管に接着されていることを特徴とする請求項1に記載の巻取用紙管。
- ポンチ孔の形状が紙管の長手方向に長くなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻取用紙管。
- 口金材の引張強度が350N/mm2以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の巻取用紙管。
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2009
- 2009-09-03 JP JP2009203602A patent/JP2011051755A/ja active Pending
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