JP2011051412A - 操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アシストゲインの大きさにかかわらず操舵に関する応答性を確保可能な操舵制御装置を提供する。
【解決手段】トルクセンサ30は、操舵トルクが入力されるステアリングシャフト10の回転角度と、車両のタイヤ5に接続されたステアリングシャフト20の回転角度との差に基づき操舵トルクを検出する。制御部50は、トルクセンサ30により検出された操舵トルクが入力される入力部51を有し、前記操舵トルクに基づき転舵アシストトルクを算出し、前記転舵アシストトルクをタイヤ5に対し付与するよう電動モータ40を作動させる。制御部50は、入力部51からトルクセンサ30までの開ループ周波数応答特性のゲイン余裕および位相余裕を所定値以上確保し、かつ、操舵トルクからタイヤ5の角度までの閉ループ周波数応答特性のゲインを所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くする。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の操舵を補助する操舵制御装置に関する。
従来、車両の車輪に対し電動モータにより補助力を付与することで、車両の操舵を補助する操舵制御装置が公知である(例えば特許文献1参照)。このような操舵制御装置では、ハンドル等の操舵入力手段を経由して運転者により入力される操舵トルクをトルク検出手段によって検出し、検出した操舵トルク等に基づき電動モータを制御している。これにより、運転者が操舵トルクを入力すると、電動モータは、入力された操舵トルクに応じて車両の操舵をアシストする。また、このような操舵制御装置では、制御系の特性を改善するために位相進み遅れ補償など種々の補償制御を行ったり、電動モータを指令どおりに作動させるためのフィードバック制御を行ったりしている。
特開2006−62390号公報
上述のような補償制御やフィードバック制御を行う操舵制御装置では、電動モータの出力比(以下、「アシストゲイン」という)が比較的小さい場合には、理想とする操舵トルクに対する電動モータの回転角度の応答性を確保可能である。しかしながら、アシストゲインが比較的大きい場合には、操舵トルクに対する電動モータの回転角度の応答性が低下するおそれがある。操舵トルクに対する電動モータの回転角度の応答性が著しく低下した場合、運転者が操舵トルクを入力しても電動モータが動かず、結果として車輪が動かなくなり、運転者と車両との一体感(車両の操舵に関するダイレクト感)が失われるという問題が生じる。近年、電動モータを用いた操舵制御装置の適用範囲は、軽自動車等の小型車から中・大型車へと拡大してきている。そのため、車両重量の増大に伴い、要求される電動モータのアシストゲインは大きくなってきている。したがって、上述の問題は、可及的に解決すべき課題ということができる。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、その目的は、アシストゲインの大きさにかかわらず操舵に関する応答性を確保可能な操舵制御装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、第1軸と第2軸とトルクセンサと転舵アクチュエータと制御部とを備えている。第1軸は、車両の運転者により操舵トルクが入力される操舵入力手段に接続されている。第2軸は、第1軸と車両の転舵輪との間に設けられ、回転することで転舵輪の角度を変更可能である。トルクセンサは、第1軸の回転角度と第2軸の回転角度との差に基づき操舵トルクを検出する。転舵アクチュエータは、操舵トルクによる転舵輪の角度の変更を補助する転舵アシストトルクを転舵輪に対し付与する。制御部は、トルクセンサにより検出された操舵トルクが入力される入力部を有し、当該入力部に入力された操舵トルクに基づき転舵アシストトルクを算出し、当該算出した転舵アシストトルクを転舵輪に対し付与するよう転舵アクチュエータを作動させる。これにより、操舵制御装置は、運転者が入力する操舵トルクに応じて車両の操舵を補助する。
一般に、転舵アクチュエータは、他部材を経由して操舵入力手段と機械的に連結している。よって、転舵アクチュエータが振動した場合、その振動が運転者の手に伝わり、運転者に不快感を与えるおそれがある。そのため、本発明のような操舵制御装置においては、転舵アクチュエータの振動を極力抑制することが望ましい。本発明では、制御部は、入力部からトルクセンサまでの開ループ周波数応答特性のゲイン余裕および位相余裕を所定値以上確保する。これにより、フィードバック制御による転舵アクチュエータの安定性を確保することができる。したがって、転舵アクチュエータの振動を抑制することができる。
また、制御部は、上述のようにゲイン余裕および位相余裕を所定値以上確保することに加え、操舵トルクから転舵輪の角度までの閉ループ周波数応答特性のゲインを所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くすることを特徴とする。これにより、転舵アクチュエータの安定性を確保しつつ、アシストゲインが大きい場合でも操舵トルクに対する転舵アクチュエータの応答性を向上することができる。その結果、操舵トルクに対する転舵輪の角度の変更に関する応答性を向上することができる。したがって、アシストゲインの大きさにかかわらず操舵に関する応答性を確保することができる。
請求項2に記載の発明では、制御部は、入力部からトルクセンサまでの開ループ周波数応答特性のゲイン余裕を20dB以上、位相余裕を50deg以上確保することを特徴とする。これにより、転舵アクチュエータの安定性を効果的に確保することができる。したがって、転舵アクチュエータの振動を効果的に抑制することができる。
請求項3に記載の発明では、制御部は、入力部に入力される操舵トルクと出力されるべき転舵アシストトルクとの対応を示すMAPに基づき転舵アシストトルクを算出する。これにより、例えば前記MAPが車速毎の操舵トルクと転舵アシストトルクとの対応を示すMAPであった場合、操舵制御装置は、運転者により入力される操舵トルクおよび車速に応じて、車両の操舵を補助することができる。そして、本発明では、制御部は、前記MAPに表される特性曲線のどの傾きにおいても、操舵トルクから転舵輪の角度までの閉ループ周波数応答特性のゲインを前記所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くすることを特徴とする。これにより、入力される操舵トルクがどのようなものであっても、または車両がどのような状態であっても、あるいは操舵制御装置が搭載される車両を変更したような場合でも、転舵アクチュエータの応答性を向上することができる。
請求項4に記載の発明では、前記所定の周波数帯は、0.1〜6.0Hzの範囲内のうちの、いずれかの周波数帯であることを特徴とする。すなわち、本発明による操舵制御装置では、操舵トルクの入力周波数が0.1〜6.0Hzの範囲内のとき、転舵アクチュエータの応答性を向上することができる。ここで、「操舵トルクの入力周波数が0.1〜6.0Hz」とは、一般の人間が入力可能な操舵トルクの入力周波数がおよそ0.1〜6.0Hzであることを考慮し設定した数値範囲である。
なお、運転者が入力する操舵トルクの入力周波数のうち頻度の高い周波数帯としては、およそ0.2〜1.0Hzの周波数帯が考えられるため、前記所定の周波数帯は、0.2〜1.0Hzとしてもよい。この場合、転舵アクチュエータの応答性をより効率的に向上することができる。
本発明の一実施形態による操舵制御装置を示す模式図。 比較例1によるシステムを説明する図であって、(A)はシステムのブロック図、(B)は制御部が参照するMAPを示す図。 比較例1によるシステムのステップ応答を示す図であって、(A)はアシストゲインが小さいときの図、(B)はアシストゲインが大きいときの図。 比較例2によるシステムのブロック図。 比較例2によるシステムのステップ応答を説明する図であって、(A)はアシストゲインが小さいときおよび大きいときのステップ応答を示す図、(B)はアシストゲインが大きいときのステップ応答、および応答性改善後のステップ応答を示す図、(C)は応答性改善後のステップ応答を得るために転舵アクチュエータに流す必要のある電流を示す図。 比較例2によるシステムのステップ応答を説明する図であって、(A)は転舵アクチュエータに実際に流れる電流を示す図、(B)は転舵アクチュエータに(A)に示す電流が流れたときのステップ応答を示す図。 本発明の一実施形態によるシステムのブロック図。 本発明の一実施形態によるシステムのステップ応答を説明する図であって、(A)は操舵トルクから転舵輪の角度までの閉ループ周波数応答特性を示す図、(B)は転舵アクチュエータに実際に流れる電流を示す図、(C)は転舵アクチュエータに(B)に示す電流が流れたときのステップ応答を示す図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による操舵制御装置は、電動モータにより車両の操舵を補助する電動パワーステアリング装置として適用される。一実施形態による操舵制御装置を図1に示す。操舵制御装置1は、第1軸としてのステアリングシャフト10、第2軸としてのステアリングシャフト20、トルクセンサ30、転舵アクチュエータとしての電動モータ40、および、制御部としての電子制御装置(以下、「ECU」という)50などを備えている。
ステアリングシャフト10は、操舵入力手段としてのステアリングホイール2に接続されている。車両の運転者は、当該ステアリングホイール2を回転させることにより操舵トルクを入力する。
ステアリングシャフト10とステアリングシャフト20との間には、トルクセンサ30が設けられている。トルクセンサ30は、図示しないトーションバーを有している。このトーションバーは、一端がステアリングシャフト10に接続され、他端がステアリングシャフト20に接続されている。トルクセンサ30は、トーションバーの捻れ量に基づき、運転者により入力された操舵トルクを検出する。すなわち、トルクセンサ30は、ステアリングシャフト10の回転角度とステアリングシャフト20の回転角度との差に基づき、操舵トルクを検出する。
ステアリングシャフト20は、ステアリングシャフト10とは反対側の端部がピニオン軸3に接続されている。ピニオン軸3は、ラックアンドピニオン式のギア機構を経由してラック軸4に接続されている。ラック軸4の両端には、タイロッド等を経由して転舵輪としての一対のタイヤ5が接続されている。本実施形態の場合、タイヤ5は、車両の左右前輪である。
上述の構成により、運転者がステアリングホイール2に操舵トルクを入力すると、当該操舵トルクがステアリングシャフト10およびトルクセンサ30(トーションバー)を経由してステアリングシャフト20に伝達し、ステアリングシャフト20が回転する。ステアリングシャフト20の回転に伴いピニオン軸3が回転すると、この回転運動は、ラック軸4の直線運動に変換される。そして、ラック軸4の直線運動の変位に応じた角度だけ、タイヤ5の角度が変更される。これにより、車両が操舵される(車両の進行方向が変化する)。すなわち、ステアリングシャフト20は、ステアリングシャフト10とタイヤ5との間に設けられ、回転することでタイヤ5の角度を変更可能な部材である。
本実施形態では、電動モータ40は、減速機6を経由してステアリングシャフト20に接続されている。そのため、電動モータ40の回転は、減速機6によって減速され、ステアリングシャフト20に伝達する。よって、ステアリングシャフト20には、運転者からの操舵トルクに加え、電動モータ40からのトルクが印加される。電動モータ40からのトルクがステアリングシャフト20に印加された場合、このトルクは、運転者からの操舵トルクによるタイヤ5の角度の変更を補助する力(以下、「転舵アシストトルク」という)となる。
電動モータ40の作動は、ECU50によって制御される。ECU50は、トルクセンサ30により検出された操舵トルクが入力される入力部51を有している。ECU50は、入力部51に入力された操舵トルクに基づき、転舵アシストトルクを算出する。そして、ECU50は、算出した転舵アシストトルクをタイヤ5に対し付与するよう電動モータ40を作動させる。ECU50による電動モータ40の制御については、後に詳述する。
本実施形態では、電動モータ40は、例えばブラシレスDCモータである。ECU50は、算出した転舵アシストトルクを電動モータ40に発生させるような電流指令値を決定する。電動モータ40には、当該電流指令値に基づく電流が流れる。これにより、電動モータ40が作動する。
次に、ECU50による電動モータ40の制御について詳しく説明する。
本実施形態のECU50による電動モータ40の制御を説明するにあたり、まず、比較例1および比較例2について説明する。ここで、比較例1および比較例2とは、機械的な構成は本実施形態と同様(図1参照)であって、ECU50による電動モータ40の制御の仕方が本実施形態とは異なるものである。
以下、比較例1による電動モータ40の制御について説明する。
ステアリングシャフト10の回転角度をθ1、ステアリングシャフト20の回転角度をθ2とすると、運転者によりステアリングホイール2(ステアリングシャフト10)に対し入力された操舵トルクThは、ステアリングホイール2(ステアリングシャフト10)の慣性モーメントJ12θ1および粘性摩擦C1sθ1、ならびにトーションバーの捻れ(θ1とθ2との差によりトーションバーに生じる力)と釣り合うため、式1を得る。
h=(J12+C1s)θ1+Kt(θ1−θ2) ・・・式1
ここで、sは微分演算子、Ktはトルク変換定数である。
トルクセンサ30が検出する操舵トルクTsnは、トーションバーの捻れ量(θ1とθ2との差)に基づき算出されるため、式2を得る。
sn=Kt(θ1−θ2) ・・・式2
ステアリングシャフト20は、操舵トルクTsnにアシストゲインKaを乗じた値である転舵アシストトルクを得て回転させられるため、式3を得る。
t(θ1−θ2)+Kasn=(J22+C2s+K2)θ2 ・・・式3
ここで、J22θ2はステアリングシャフト20の慣性モーメント、C2sθ2はステアリングシャフト20の粘性摩擦である。
式3および式2から、式4を得る。
(1+Ka)Kt(θ1−θ2)=(J22+C2s+K2)θ2 ・・・式4
また、ステアリングホイール2の角度(操舵角)とタイヤ5の角度(転舵角)との比(1/オーバーオールギア比)をrとすると、タイヤ5の角度δfとステアリングシャフト20の角度θ2との関係として、式5を得る。
δf=rθ2 ・・・式5
式1、式4および式5のブロック図を図2(A)に示す。
比較例1では、ECU50は、入力部51に入力される操舵トルクと電動モータ40により出力されるべき転舵アシストトルクとの対応を示すMAP52を有している(図2(B)参照)。上述したアシストゲインKaは、MAP52に表される特性曲線の傾きに対応する値である。MAP52には、図2(B)に示すように、操舵トルクと転舵アシストトルクとの対応を示す特性曲線が車速V毎に複数表されている。ここで、車速Vは、車両の速度を検出する車速センサ7(図1参照)がECU50に対し出力する信号値である。
比較例1では、MAP52は、車速Vが大きいときほど操舵トルクに対する転舵アシストトルクの比が小さく、速度Vが小さいときほど操舵トルクに対する転舵アシストトルクの比が大きくなるよう設定されている。ECU50は、MAP52に基づき転舵アシストトルクを算出する。すなわち、操舵制御装置1は、車速が小さいときは操舵を補助する力が大きくなるよう電動モータ40を制御し、車速が大きいときは操舵を補助する力が小さくなるよう電動モータ40を制御する。そのため、操舵制御装置1は、運転者により入力される操舵トルクおよび車速に応じて、車両の操舵を補助することができる。
図2(A)のブロック図で示される比較例1のシステムにおける操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでのステップ応答を図3に示す。図3(A)はアシストゲイン(MAP52の特性曲線の傾き)Kaが小さいときのステップ応答を示し、図3(B)はアシストゲインKaが大きいときのステップ応答を示す。図3(A)および図3(B)から、アシストゲインKaが小さいときはタイヤ5の目標角度までの到達時間は短く、アシストゲインKaが大きいときはタイヤ5の目標角度までの到達時間は長くなることがわかる。よって、比較例1では、アシストゲインKaが大きい場合、操舵に関する応答性は低いといえる。
次に、比較例2による電動モータ40の制御について説明する。
比較例2のシステムのブロック図を図4に示す。比較例2のシステムのブロック図は、比較例1のシステムのブロック図(図2(A)参照)のアシストゲインKaの部分(破線100で囲んだ部分)を、複数の要素からなる要素群(図4の破線200で囲んだ部分)に置き換えたものである。比較例2のシステムは、図4に示すように、破線200で囲んだ部分に、制御系の特性を改善するための補償制御である「位相進み遅れ補償」要素、および電動モータ40を指令どおりに作動させるためのフィードバック制御である「モータ電流FB制御」要素等を含んでいる。さらに、比較例2では、ECU50は、モータ電流FB制御による電動モータ40の安定性を確保するために、入力部51からトルクセンサ30までの開ループ周波数応答特性のゲイン余裕を20dB以上、位相余裕を50deg以上確保する。これにより、電動モータ40の作動が安定し、電動モータ40の振動を抑制することができる。
図4のブロック図で示される比較例2のシステムにおける操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでのステップ応答を図5(A)に示す。なお、図5(A)では、応答時間の比較を容易にするため、アシストゲイン(MAP52の特性曲線の傾き)Kaが小さいときのステップ応答を示す線L1と、アシストゲインKaが大きいときのステップ応答を示す線L2とを、同一の時間軸上に示している。図5(A)では、アシストゲインKaが小さいときのタイヤ5の目標角度までの到達時間とアシストゲインKaが大きいときのタイヤ5の目標角度までの到達時間との差が、比較例1に比べ、より大きくなっていることがわかる。これは、比較例2のシステムが「位相進み遅れ補償」要素および「モータ電流FB制御」要素等を含んでいること、ならびにECU50がゲイン余裕および位相余裕を所定値以上確保すること、に起因すると考えられる。なお、ECU50がゲイン余裕および位相余裕を所定値以上確保することにより、アシストゲインKaが大きいときのタイヤ5の目標角度までの到達時間(応答時間)は長くなるものの、電動モータ40の作動については安定することがわかる(図5(A)に示すL2参照)。
比較例2のシステムにおいて、アシストゲインKaが大きいときのタイヤ5の目標角度までの到達時間(応答時間)を、図5(B)に示す線L3のように短く改善しようとする場合、理論上、図5(C)の線L4に示すような電流を電動モータ40に流す必要がある。しかしながら、実際には、図6(A)に示すように電動モータ40に流せる電流の限界、ならびに抵抗およびリアクタンスが存在するため、電流は、ECU50の指令値(線L4)どおりには流れず、線L5のように流れる。図6(A)の線L5に示すような電流が電動モータ40に流れた場合、アシストゲインKaが大きいときのステップ応答は、図6(B)の線L6に示すごとくとなる。この場合、アシストゲインKaが大きいときのタイヤ5の目標角度までの到達時間(応答時間)が、より長くなってしまうという問題が生じる。
次に、本発明の一実施形態による電動モータ40の制御について説明する。
本実施形態では、上述した比較例2での問題を解決するために、比較例2のシステムに対し、さらにフィルタ等の要素を追加している。つまり、本実施形態のシステムのブロック図は、比較例2のシステムのブロック図(図4参照)に対し、破線300で囲んだ部分の要素が追加されたものとして示される(図7参照)。本実施形態では、ECU50は、図7の破線300で囲んだ部分に示すフィルタ要素301のパラメータを適宜設定することにより、操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでの閉ループ周波数応答特性を、図8(A)の線L7に示すごとく設定する。なお、図8(A)の線L8は、フィルタ要素301を有しない比較例2のシステムにおける操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでの閉ループ周波数応答特性を示したものである。
図8(A)の線L7に示すように、本実施形態では、ECU50は、操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでの閉ループ周波数応答特性のゲインを所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くする。本実施形態では、前記所定の周波数帯は、0.2〜1.0Hzである。ECU50が、設定した操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでの閉ループ周波数応答特性のゲインに基づき図8(B)の線L9のような指令を発すると、実際には、図8(B)の線L10に示すような電流が電動モータ40に流れる。これにより、本実施形態のシステムにおけるアシストゲインKaが大きいときの操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでのステップ応答は、図8(C)の線L11に示すごとくとなる。これは、比較例2のシステムにおけるアシストゲインKaが大きいときのステップ応答(線L2)に比べて、タイヤ5の目標角度までの到達時間が短縮されることを示している。つまり、ここでは、モータの電流限界にかかることなく、かつモータへの電流が応答できる速さで指令値を変化させることでオーバーシュートを発生させ、応答性を改善しているのである。
また、本実施形態のシステムには、図7の破線300で囲んだ部分に示すように、フィルタ要素301に加え、要素302が追加されている。本実施形態では、システムが要素302を有することにより、MAP52に表される特性曲線のどの傾きにおいても、操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでの閉ループ周波数応答特性のゲインを前記所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くすることができる。これにより、例えば運転者により入力される操舵トルクがどのようなものであっても、あるいは車速Vがどのような値であっても、車両の操舵に関する応答性を向上することができる。
以上説明したように、本実施形態による操舵制御装置1では、ECU50は、入力部51からトルクセンサ30までの開ループ周波数応答特性のゲイン余裕を20dB以上、位相余裕を50deg以上確保する。これにより、フィードバック制御による電動モータ40の安定性を効果的に確保することができる。したがって、電動モータ40の振動を効果的に抑制することができる。
また、ECU50は、上述のようにゲイン余裕および位相余裕を所定値以上確保することに加え、操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでの閉ループ周波数応答特性のゲインを所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くする。これにより、電動モータ40の安定性を確保しつつ、アシストゲインKaが大きい場合でも操舵トルクThに対する電動モータ40の回転角度の応答性を向上することができる。その結果、操舵トルクThに対するタイヤ5の角度δfの変更に関する応答性を向上することができる。したがって、アシストゲインKaの大きさにかかわらず操舵に関する応答性を確保することができる。
なお、本実施形態では、前記所定の周波数帯は、0.2〜1.0Hzである。ここで、前記所定の周波数帯を0.2〜1.0Hzとするのは、一般の人間が入力可能な操舵トルクの入力周波数がおよそ0.1〜6.0Hzであり、運転者が入力する操舵トルクの入力周波数のうち頻度の高い周波数帯としては、およそ0.2〜1.0Hzの周波数帯が考えられるためである。本実施形態では、運転者が入力する操舵トルクの入力周波数のうち頻度の高い周波数帯(0.2〜1.0Hz)において、操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでの閉ループ周波数応答特性のゲインを定常ゲインよりも高くするため、電動モータ40の応答性を効率的に向上することができる。
また、本実施形態による操舵制御装置1では、ECU50は、入力部51に入力される操舵トルクと出力されるべき転舵アシストトルクとの対応を示すMAP52に基づき転舵アシストトルクを算出する。本実施形態では、MAP52には、操舵トルクと転舵アシストトルクとの対応を示す特性曲線が車速V毎に複数表されている。これにより、操舵制御装置1は、運転者により入力される操舵トルクThおよび車速Vに応じて、車両の操舵を補助することができる。そして、本実施形態では、ECU50は、MAP52に表される特性曲線のどの傾きにおいても、操舵トルクThからタイヤ5の角度δfまでの閉ループ周波数応答特性のゲインを前記所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くする。これにより、入力される操舵トルクThがどのようなものであっても、または車両がどのような状態であっても、あるいは操舵制御装置1が搭載される車両を変更したような場合でも、電動モータ40の応答性を向上することができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、「制御部が、入力部からトルクセンサまでの開ループ周波数応答特性のゲイン余裕を20dB以上、位相余裕を50deg以上確保すること」を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、フィードバック制御による転舵アクチュエータの安定性を確保することができるのであれば、ゲイン余裕および位相余裕について、いかなる値を確保することとしてもよい。
また、上述の実施形態では、「制御部が、操舵トルクと転舵アシストトルクとの対応を示すMAPに表される特性曲線のどの傾きにおいても、操舵トルクから転舵輪の角度までの閉ループ周波数応答特性のゲインを所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くすること」を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、前記MAPの特性曲線の傾きが所定値以上のとき、すなわちアシストゲインが所定値以上のときのみ、前記閉ループ周波数応答特性のゲインを定常ゲインよりも高くすることとしてもよい。これにより、アシストゲインが所定値以上のときの転舵アクチュエータの応答性を効率的に向上することができる。
また、上述の実施形態では、制御部が参照するMAPとして、操舵トルクと転舵アシストトルクとの対応を示す特性曲線を車速毎に複数含むものを例示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、前記MAPの、操舵トルクと転舵アシストトルクとの対応を示す線は、傾きが一定であってもよい。すなわち、この場合、車速毎に操舵トルクと転舵アシストトルクとの対応を示す複数の線はそれぞれ直線状を呈し、同一の車速においてアシストゲインは一定である。また、本発明の他の実施形態では、前記MAPは、車速に関係なく操舵トルクと転舵アシストトルクとの対応を示すMAPであってもよい。すなわち、この場合、操舵トルクと転舵アシストトルクとの対応を示す特性曲線は1つである。
また、上述の実施形態では、制御部が、操舵トルクから転舵輪の角度までの閉ループ周波数応答特性のゲインを所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くすることに関し、前記所定の周波数帯が0.2〜1.0Hzであることを示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、前記所定の周波数帯については、0.1〜6.0Hzの範囲内のうちの、いずれかの周波数帯としてもよい。これは、一般の人間が入力可能な操舵トルクの入力周波数がおよそ0.1〜6.0Hzであることに基づく。例えば、前記所定の周波数帯として、0.1〜1.0Hz、0.2〜2.0Hz、または0.1〜6.0Hzのように設定してもよい。このようにすれば、電動モータ40の応答性を効率的に向上でき、運転者による車両の操舵を良好に補助することができる。
なお、前記所定の周波数帯の数値範囲については、上述のような「0.1〜6.0Hzの範囲内のうちの、いずれかの周波数帯」に限らず、「0.1〜6.0Hzの範囲外のうちの、いずれかの周波数帯」であってもよい。すなわち、本発明の他の実施形態では、「制御部が、操舵トルクから転舵輪の角度までの閉ループ周波数応答特性のゲインを所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くする」のであれば、前記所定の周波数帯は、いかなる周波数の範囲であってもよい。
また、本発明の他の実施形態では、転舵アクチュエータとして、ブラシ付きDCモータを採用してもよい。一般にブラシ付きDCモータはブラシレスDCモータに比べ安価なので、ブラシ付きDCモータを採用した場合、操舵制御装置のコストを低減することができる。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
1:操舵制御装置、2:ステアリングホイール(操舵入力手段)、5:タイヤ(転舵輪)、10:ステアリングシャフト(第1軸)、20:ステアリングシャフト(第2軸)、30:トルクセンサ、40:電動モータ(転舵アクチュエータ)、50:制御部、51:入力部

Claims (4)

  1. 車両の操舵を補助する操舵制御装置であって、
    操舵トルクが入力される操舵入力手段に接続された第1軸と、
    前記第1軸と前記車両の転舵輪との間に設けられ、回転することで前記転舵輪の角度を変更可能な第2軸と、
    前記第1軸の回転角度と前記第2軸の回転角度との差に基づき前記操舵トルクを検出するトルクセンサと、
    前記操舵トルクによる前記転舵輪の角度の変更を補助する転舵アシストトルクを前記転舵輪に対し付与する転舵アクチュエータと、
    前記トルクセンサにより検出された前記操舵トルクが入力される入力部を有し、当該入力部に入力された前記操舵トルクに基づき前記転舵アシストトルクを算出し、当該算出した前記転舵アシストトルクを前記転舵輪に対し付与するよう前記転舵アクチュエータを作動させる制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記入力部から前記トルクセンサまでの開ループ周波数応答特性のゲイン余裕および位相余裕を所定値以上確保し、かつ、前記操舵トルクから前記転舵輪の角度までの閉ループ周波数応答特性のゲインを所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くすることを特徴とする操舵制御装置。
  2. 前記制御部は、前記入力部から前記トルクセンサまでの開ループ周波数応答特性のゲイン余裕を20dB以上、位相余裕を50deg以上確保することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
  3. 前記制御部は、
    前記入力部に入力される前記操舵トルクと出力されるべき前記転舵アシストトルクとの対応を示すMAPに基づき前記転舵アシストトルクを算出し、
    前記MAPに表される特性曲線のどの傾きにおいても、前記操舵トルクから前記転舵輪の角度までの閉ループ周波数応答特性のゲインを前記所定の周波数帯において定常ゲインよりも高くすることを特徴とする請求項1または2に記載の操舵制御装置。
  4. 前記所定の周波数帯は、0.1〜6.0Hzの範囲内のうちの、いずれかの周波数帯であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
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