JP2011047449A - ガスケット - Google Patents

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Abstract

【課題】十分なシール特性を発揮することができ、作業性に優れ、シール特性の低下を抑制しつつ設置することができるとともに、低コストで製造可能なガスケットを提供する。
【解決手段】主表面側から見た外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波形の金属板製のコア層2と、前記コア層2の表裏各主表面上にコア層2を挟んで対称的にそれぞれ積層されてなる同一形状を有する軟質材料製の被覆層3とにより構成され、前記被覆層3は、それぞれ、前記コア層2上に設けられる被覆層3シール部と、該被覆層3シール部の外周端よりも外側に突出する平坦面状の被覆層耳部31とを有することを特徴とするガスケット。
【選択図】図3

Description

本発明は、熱交換器等の機器や、フランジ配管同士の接続箇所等において、流体シールのために用いるガスケットに関するものである。
従来、ガスケットとしては、その耐熱性等の特性を考慮して、構成材料として石綿を含有するものが一般的であった。しかしながら、健康面への配慮から、近年においては従来の石綿製ガスケット類は他の材質からなるものに代替されるようになってきており、一般配管用途においても石綿ジョイントシートガスケットの代替化を進める動きが一層強まっている。そこで、石綿製ガスケットに代わるガスケットとして、近年では、金属製ガスケット等が用いられるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
上記金属製ガスケットは、極めて高い圧力や温度環境下でも使用され、このような環境下で使用される場合には、大きな締付力でシールする必要があり、通常は複数のボルトを用いて締付固定されている。
そして、金属製ガスケットとしては、その断面形状が、平形、波形、のこ歯形等種々のものがあり、液体等の流体配管システム等においては主表面側から見たときの外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面形状が波形の金属製ガスケット(いわゆるコルゲートガスケット)が多用されるようになっている。
コルゲートガスケットとしては、厚さ0.6〜0.8mmの金属板をリング状に打抜き、主表面側から見たときの外観が同心円状で主表面に対する垂直断面が波形になるようにプレス等により加工した後、被覆材を両面に貼ったリング形状のものが一般的であり、このようにして得られるコルゲートガスケットは、金属のバネ効果を加味してシール性を向上させつつ、比較的低い締付圧力でシール機能を発揮することができ、耐熱性にも優れるものである。
しかしながら、コルゲートガスケットは、シール対象への施工時に、シール箇所中央にガスケットが位置するように試行錯誤しながら設置するものであるため、ガスケットの位置を何度もずらす必要が生じ、被覆材を破損してしまう結果、十分なシール特性が得られない場合がある。
このような施工上の課題を解決するために、上記ガスケットの外周部に複数のボルト穴を設け、該ボルト穴にボルトを挿通することによってフランジ等のシール対象に固定するものもあるが、金属コア層及び被覆材層の両方にボルト穴を設ける必要があるため製造コストが上昇するとともに、外周部にボルト穴を設けるために、ガスケットの外径(ガスケット面積)が大きくなって、ボルトの強度上、締付力が不足してしまう。
特開2000−145968号公報
このような状況下、本発明は、十分なシール特性を発揮することができ、作業性に優れ、シール特性の低下を抑制しつつ設置することができるとともに、低コストで製造可能なガスケットを提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決すべく、本発明者が鋭意検討を行ったところ、主表面側から見た外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波形の金属板製のコア層と、前記コア層の表裏各主表面上にコア層を挟んで対称的にそれぞれ積層されてなる同一形状を有する軟質材料製の被覆層とにより構成され、上記被覆層は、それぞれ、上記コア層上に設けられる被覆層シール部と、該被覆層シール部の外周端よりも外側に突出する平坦面状の被覆層耳部とを有するガスケットにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)主表面側から見た外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波形の金属板製のコア層と、前記コア層の表裏各主表面上にコア層を挟んで対称的にそれぞれ積層されてなる同一形状を有する軟質材料製の被覆層とにより構成され、
前記被覆層は、それぞれ、前記コア層上に設けられる被覆層シール部と、該被覆層シール部の外周端よりも外側に突出する平坦面状の被覆層耳部とを有すること
を特徴とするガスケット、
(2)前記軟質材料製の被覆層が膨張黒鉛製またはフッ素樹脂製の被覆層である上記(1)に記載のガスケット、
(3)前記被覆層耳部は、シール対象のシール面に設けられたボルト穴の開口面の一部または該ボルト穴に設けられたボルトの突出面の一部をシール時に覆うように形成されてなるものである上記(1)または(2)に記載のガスケット、
(4)前記被覆層耳部が、前記被覆層シール部の外周端に連続するように設けられてなるリング形状を有するものである上記(3)に記載のガスケット、
(5)前記被覆層耳部が、シール対象のシール面に設けられた複数のボルト穴の間または該ボルト穴に設けられた複数のボルトの間に位置するように前記被覆層シール部の外周端の一部にのみ設けられてなる、歯車歯形状を有するものである上記(3)に記載のガスケット、
(6)前記被覆層耳部が、シール対象のシール面に設けられたボルト穴の開口面または該ボルト穴に設けられた複数のボルト突出面に位置するように前記被覆層シール部の外周端の一部にのみ設けられてなるとともに、前記ボルト穴形状に対応する形状を有するボルト挿通穴を有するものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガスケット、
(7)前記被覆層耳部が、シール対象のシール面に対して粘着性を有するものである上記(1)〜(6)のいずれかに記載のガスケット、
を提供するものである。
本発明によれば、ガスケットとして、金属板製のコア層と該コア層を被覆する被覆層とを有するものを採用しつつ、上記被覆層として、被覆層シール部と被覆層耳部とを有するものを採用することにより、ガスケットの施工時に施工者が被覆層耳部を把持して作業することが可能になることから、施工時の作業性が向上するとともに、仮に被覆層耳部が多少破損しても、被覆層シール部により十分なシール特性を発揮し得るガスケットを提供することができる。
また、本発明によれば、上記被覆層耳部が軟質な材料や特定の形状等からなるものであるため、位置決めを容易にし、シール対象に簡便かつ強固に固定することができ、金属材料からなるコア層にボルト穴等を設ける必要がなく、低コストに作製可能なガスケットを提供することができる。
本発明に係るガスケットの一実施形態例において、主表面側から見た外観形状を示す図である。 図1に示す本発明のガスケットの実施形態において、その内部構造を示す図である。 本発明に係るガスケットの主表面に対する垂直断面形状を説明するための概略図である。 本発明に係るガスケットの一実施形態例を示す図である。 本発明に係るガスケットの一実施形態例を示す図である。 本発明に係るガスケットの一実施形態例を示す図である。 本発明に係るガスケットの一実施形態例を示す図である。 本発明に係るガスケットの一実施形態例を示す図である。 本発明に係るガスケットの一実施形態例を示す図である。 本発明に係るガスケットの一実施形態例を示す図である。
本発明のガスケットは、主表面側から見た外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波形の金属板製のコア層と、前記コア層の表裏各主表面上にコア層を挟んで対称的にそれぞれ積層されてなる同一形状を有する軟質材料製の被覆層とにより構成され、前記被覆層は、それぞれ、前記コア層上に設けられる被覆層シール部と、該被覆層シール部の外周端よりも外側に突出する平坦面状の被覆層耳部とを有することを特徴とするものである。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明するものとする。
図1は、本発明に係るガスケットの一実施形態において、主表面側から見た外観形状を示す図であり、図2は、図1に示す本発明のガスケットの実施形態において、その内部構造を示す図である。
図1および図2に示すように、本発明のガスケット1は、ガスケットを構成する金属板製のコア層2が、主表面側から見た外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波形に形成されたものであり、図2に示すように、上記コア層の表裏各主表面上に軟質材料製の被覆層3がコア層を挟んで対称的にそれぞれ積層されてなる構造を有している。
本発明のガスケットの形状としては、図1に示すような概略円環形状
の他に、円弧形状等を挙げることもできるが、概略円環形状であることが好ましい。
本発明のガスケットを構成するコア層2の主表面に対する垂直断面形状の概略説明図を図3(a)として示すが、本発明のガスケット1を構成するコア層2は、主表面に対する垂直断面が波形に形成されてなるものであり、図3(a)に示すように、波形に形成されてなるコア層2の複数の山−山間または谷−谷間の距離wは、2.0〜8.0mmであることが好ましく、2.5〜7.0mmであることがより好ましく、3.0〜6.5mmであることがさらに好ましい。また、コア層2の厚み(金属板の厚み)tは、0.4〜1.2mmであることが好ましく、0.5〜1.0mmであることがより好ましく、0.6〜0.8mmであることがさらに好ましい。本発明のガスケットが概略円環形状を有するものである場合、ガスケットを構成するコア層もガスケット形状に対応した概略円環形状を有し、この場合、コア層の内径が502〜3982mm、外径が520〜4000mm程度であることが好ましい。
本発明のガスケットを構成するコア層の形成材料(金属板形成材料)としては、ステンレス鋼等の鋼やニッケル合金等を挙げることができ、これ等のうち、耐熱性、耐食性及び価格面を考慮すると、ステンレス鋼であることが好ましい。
本発明のガスケットを構成するコア層を形成するコア層形成材は、例えば、ステンレス鋼板や圧延鋼板等の金属板を打ち抜き加工して円形素材を得た後、さらに円形の素材の中心部に打ち抜き加工を施して中心孔を形成してなるリング状素材を得、次いで、該リング状素材をプレス加工して主表面側から見た外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波形になるようにコルゲート形成加工を行うこと等により作製することができる。
本発明のガスケット1を構成する被覆層3の主表面に対する垂直断面形状の概略説明図をコア層2の断面形状とともに図3(b)として示すが、本発明のガスケットを構成する被覆層3、3は、コア層2の表裏各主表面上にコア層を挟んで対称的にそれぞれ積層されてなるものであり、上記被覆層3、3は、上記コア層上に設けられる被覆層シール部30と、該被覆層シール部の外周端よりも外側に突出する平坦面状の被覆層耳部31とをそれぞれ有している。
被覆層3は軟質材料製であり、被覆層3を形成する軟質材料としては、膨張黒鉛またはフッ素樹脂等を挙げることができる。
膨張黒鉛としては、その密度が0.8〜1.5g/cm程度のものが好ましい。
また、フッ素樹脂としては、その密度が0.4〜1.5g/cm程度であるものが好ましい。被覆層3がフッ素樹脂製である場合、被覆層3は、接着剤等でコア層に貼り付けることのできるフッ素樹脂製のシート状またはテープ状で柔軟なものからなるものが好ましく、上記シート状またはテープ状のフッ素樹脂材料としては、ニチアスソフトシールT/#9096(ニチアス(株)製)、ナフロンシールテープT/#9082(ニチアス(株)製)等を挙げることができる。
被覆層シール部30は、コア層2の形状に対応して、主表面側から見た外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波形に形成されてなる、シーリング効果を発揮するものであり、被覆層耳部31は、後述するように、その材質や形状を利用して、シール対象にガスケットを簡便かつ強固に固定することを可能ならしめるものである。
図3(b)に示すように、断面が波形状である被覆層シール部30の複数の山−山間または谷−谷間の距離Wは、上記コア層2の複数の山−山間または谷−谷間の距離wと同様であることが好ましい。
また、被覆層シール部30を構成する被覆層3の厚みTは、0.2〜1.5mmであることが好ましく、0.3〜1.2mmであることがより好ましく、0.4〜1.0mmであることがさらに好ましい。本発明のガスケットが概略円環形状を有するものである場合、ガスケット1を構成する被覆層3もガスケット形状に対応した概略円環形状を有し、この場合、被覆層シール部30の内径が500〜3980mm、外径が520〜4000mm程度であることが好ましい。
なお、本出願において、被覆層シール部30の内径や外径には、後述する被覆層耳部31の径方向の長さを含まない。
本発明のガスケットにおいて、各被覆層を構成する被覆層シール部の外周端には、該外周端よりも外側に突出する平坦面状の被覆層耳部がそれぞれ設けられてなる。
被覆層耳部の厚みTは、0.2〜1.5mmであることが好ましく、0.3〜1.2mmであることがより好ましく、0.4〜1.0mmであることがさらに好ましい。なお、図3(b)に示すように、本出願においては、被覆層3を構成する2つの被覆層耳部31はガスケット形成時に一体化しているため、上記耳部の厚みTは、上記被覆層耳部の一体化物の厚みを2等分した値を意味する。
本発明のガスケットは、ガスケットを構成する被覆層が耳部を有することにより、施工者が耳部を把持して作業することが可能となることから、施工時の作業性が向上するとともに、仮に耳部が多少破損しても、シール部により十分なシール特性を発揮することができる。
また、本発明によれば、以下に説明するように、被覆層耳部の材質や形状等を利用して、位置決めを容易にし、シール対象に簡便かつ強固にガスケットを固定することができ、金属材料からなるコア層にボルト穴等を設ける必要がなく、低コストに作製可能なガスケットを提供することができる。
本発明のガスケットにおいて、被覆層耳部は、後述する図5、図7、図9に記載しているようにシール対象のシール面に設けられたボルト穴の開口面の一部をシール時に覆うように形成されてなるものであるか、または後述する図4、図6、図8に記載しているように上記ボルト穴に設けられたボルトの突出面(ボルト開放端面)の一部をシール時に覆うように形成されてなるものであることが好ましい。
被覆層耳部が覆うボルト穴の開口面またはボルト突出面(ボルト開放端面)の面積は、ボルト穴またはボルト1箇所あたり、ボルト穴の開口面またはボルト突出面(ボルト開放端面)の面積の5〜50%であることが好ましく、7〜30%であることがより好ましく、10〜20%であることがさらに好ましい。
また、シール対象のシール面に複数のボルト穴またはボルトが設けられている場合には、ボルト穴またはボルト総数のうち、3つ〜全部のボルト穴またはボルトにおいて、その一部を覆うように被覆層耳部が設けられていることが好ましい。
上記被覆層耳部としては、被覆層シール部の外周端に連続するように設けられてなるリング形状を有するものであることが好ましい。
このようなリング形状を有する被覆層耳部としては、図4(a)の右側および図4(b)右側拡大図に示すように、被覆層シール部外周端xに連続するように設けられてなるリング形状を有する耳部311を挙げることができる。
図4(a)においては、シール対象であるフランジ4のシール面外周部に設けられた複数のボルト穴に各々ボルト6が捻じ込まれており、これら全てのボルト6に対し、ガスケット1には、各ボルト6の突出面(ボルト開放端面)の一部をそれぞれ覆うようにリング状の耳部311が設けられている。そして、図4(a)に示すように、これら全てのボルト6の突出面の一部を耳部311で覆うように配置しつつガスケット1を図の右側から左側に押し込むことにより、図4(b)に示すように、軟質材料からなる耳部311がボルト6の突出面と引き続く軸部表面に接触し、削られて、ガスケットが複数のボルト6からフランジ4の中心軸側に押圧力を受け、仮固定される。
そして、フランジ4の表面に設けられた複数のボルト6を利用して、フランジ4と対をなすフランジ等の図示しないシール対象物を装填し、ナット等で締め付けることにより、ガスケット面積を大幅に増加させることなく十分な締付力を付与し、ガスケットを隙間なく装着することができる。
フランジ4と対をなすフランジ等の図示しないシール対象物は、上述したように、ガスケット1を仮固定した後に装填してもよいし、ガスケットを押し込んで仮固定する際に同時に装填してもよい。
また、リング形状を有する被覆層耳部としては、図5(a)右側および図5(b)右側拡大図に示すように、被覆層シール部外周端xに連続するように設けられてなるリング形状を有する耳部311を挙げることができる。
図5(a)においては、シール対象であるフランジ4のシール面外周部に複数のボルト穴5が設けられており、これら全てのボルト穴5において、各ボルト穴5の開口面の一部をそれぞれ覆うように、ガスケット1にリング状の耳部311が設けられている。
そして、図5(b)に示すように、これら全てのボルト穴5の開口面において、各々その一部を耳部311で覆うようにガスケット1を配置した上で、図5(c)に示すように、ボルト6を捻じ込むことにより、軟質材料からなる耳部311がボルト6に接触し、削られて、ガスケットが複数のボルト6からフランジ4の中心軸側に押圧力を受けつつ仮固定される。
そして、フランジ4の表面に設けられた複数のボルト6を利用して、フランジ4と対をなすフランジ等の図示しないシール対象物を装填し、ナット等で締め付けることにより、位置決めを容易に行いつつ、ガスケット面積を大幅に増加させることなく十分な締付力を付与し、ガスケットを隙間なく装着することができる。
図4や図5に図示するようなリング状被覆層耳部を有するガスケット1において、耳部311の幅lは、ガスケットの中心軸からボルト穴の中心までの距離をボルト穴中心径とし、ボルトのネジ径をボルト径とする場合に、(ボルト穴中心径(mm)−ボルト径(mm)−コア層外径(mm))/2+0.5(mm)〜(ボルト穴中心径(mm)−ボルト径(mm)−コア層外径(mm))/2+10(mm)程度であることが好ましく、(ボルト穴中心径(mm)−ボルト径(mm)−コア層外径(mm))/2+1.0(mm)〜(ボルト穴中心径(mm)−ボルト径(mm)−コア層外径(mm))/2+6.0(mm)であることがより好ましく、(ボルト穴中心径(mm)−ボルト径(mm)−コア層外径(mm))/2+1.5(mm)〜(ボルト穴中心径(mm)−ボルト径(mm)−コア層外径(mm))/2+3.0(mm)であることがさらに好ましい。
本発明のガスケットにおいて、シール対象のシール面に設けられたボルト穴の開口面の一部または該ボルト穴に設けられたボルトの突出面(ボルト開放端面)の一部をシール時に覆うように形成されてなる被覆層耳部としては、シール対象のシール面に設けられた複数のボルト穴の間または該ボルト穴に設けられた複数のボルトの間に位置するように上記被覆層シール部の外周端の一部にのみ設けられてなる、歯車歯形状を有するものが挙げられる。
このような歯車歯形状を有する被覆層耳部としては、図6(a)の右側および図6(b)右側拡大図に示すように、シール対象のシール面に設けられた2カ所のボルト6、6間に位置するように上記被覆層シール部の外周端xの一部にのみ設けられてなる、歯車歯形状を有する被覆層耳部312を挙げることができる。
図6(a)においては、シール対象であるフランジ4のシール面外周部に複数のボルト6が設けられており、ガスケットには、これら全てのボルト6から選ばれる隣接する2カ所のボルトの突出面(開放端面)のそれぞれ一部を覆うように、歯車歯状被覆層耳部312が計4つ設けられている。そして、図6(a)に示すように、これらの各歯車歯状被覆層耳部312が隣接する2カ所のボルト6の突出面(開放端面)のそれぞれ一部づつを覆うようにガスケットを配置しつつガスケット1を図の右側から左側に押し込むことにより、図6(b)に示すように軟質材料からなる耳部312がボルト6の突出面と引き続く軸部表面に接触し、削られて、ガスケットが複数のボルト6からフランジ4の中心軸側に押圧力を受け、仮固定される。
そして、フランジ4の表面に設けられた複数のボルト6を利用して、フランジ4と対をなすフランジ等の図示しないシール対象物を装填し、ナット等で締め付けることにより、位置決めを容易に行いつつ、ガスケット面積を大幅に増加させることなく十分な締付力を付与し、ガスケットを隙間なく装着することができる。
フランジ4と対をなすフランジ等の図示しないシール対象物は、ガスケット1を押し込んで仮固定する際に、同時にボルト6に装填してもよい。
また、歯車歯形状を有する被覆層耳部としては、図7(a)右側および図7(b)右側拡大図に示すように、シール対象のシール面に設けられた2カ所のボルト穴5、5間に位置するように上記被覆層シール部の外周端xの一部にのみ設けられてなる、歯車歯形状を有する被覆層耳部312を挙げることができる。
図7(a)においては、シール対象であるフランジ4のシール面外周部に複数のボルト穴5が設けられており、ガスケット1には、これら全てのボルト穴5から選ばれる隣接する2カ所のボルト穴5の開口面のそれぞれ一部を覆うように、歯車歯状被覆層耳部312が計4箇所設けられている。そして、図7(b)に示すように、これらの各歯車歯状被覆層耳部312が2カ所のボルト穴5開口面のそれぞれ一部づつを覆うようにガスケットを配置した上で、図7(c)に示すように、ボルト6を捻じ込むことにより、軟質材料からなる歯車歯状突起312がボルトに接触し、削られて、ガスケットが複数のボルト6からフランジ4の中心軸側に押圧力を受け、仮固定される。
その後、フランジ4の表面に設けられた複数のボルト6を利用して、フランジ4と対をなすフランジ等の図示しないシール対象物を装填し、ナット等で締め付けることにより、位置決めを容易に行いつつ、ガスケット面積を大幅に増加させることなく十分な締付力を付与し、ガスケットを隙間なく装着することができる。
また、図6や図7に図示するような被覆層耳部を有するガスケット1において、被覆層耳部312の幅(突出長さ)lは、(ボルト穴中心径(mm)−被覆層シール部外径(mm))/2〜{(フランジ等のシール対象物外径(mm)+100(mm))−被覆層シール部外径(mm)}/2であることが好ましく、(ボルト穴中心径(mm)−被覆層シール部外径(mm)−10(mm))/2〜{(フランジ等のシール対象物外径(mm)+50(mm))−被覆層シール部外径(mm)}/2であることがより好ましく、(フランジ等のシール対象物外径(mm)+5(mm))/2〜{(フランジ等のシール対象物外径(mm)−5(mm))−被覆層シール部外径(mm)}/2であることがさらに好ましい。また、被覆層耳部312のシール部外周端xとの接合幅Lは、ボルト開放端面の中心間またはボルト穴の中心間の距離をボルト間距離とする場合に、ボルト間距離(mm)−ボルト径(mm)+0..0(mm)〜ボルト間距離(mm)−ボルト径(mm)+10.0(mm)であることが好ましく、ボルト間距離(mm)−ボルト径(mm)+0.5(mm)〜ボルト間距離(mm)−ボルト径(mm)+6.0(mm)であることがより好ましく、ボルト間距離(mm)−ボルト径(mm)+1.0(mm)〜ボルト間距離(mm)−ボルト径(mm)+3.0(mm)であることがさらに好ましい。
また、本発明のガスケットにおいて、上記被覆層耳部としては、シール対象のシール面に設けられたボルト穴の開口面または該ボルト穴に設けられたボルト突出面(ボルト開放端面)に位置するように前記被覆層シール部の外周端の一部にのみ設けられてなるとともに、上記ボルト穴形状に対応する形状を有するボルト挿通穴を有するものが挙げられる。
このようなボルト挿通穴付被覆層耳部としては、図8(a)右側または図8(b)右側拡大図に示すように、ガスケット1において、シール対象のシール面に設けられたボルト6の突出面(ボルト開放端面)位置に対応するように被覆層シール部の外周端xの一部にのみ設けられてなる、歯車歯形状を有するボルト挿通穴付被覆層耳部313を挙げることができる。
図8(a)においては、シール対象であるフランジ4のシール面外周部に4本のボルト6が設けられており、ガスケットには、これら全てのボルト6のうち、1つのボルト挿通穴付被覆層耳部313が1箇所のボルト6の突出面(ボルト開放端面)を覆うように計4つのボルト挿通穴付被覆層耳部313が設けられる。
そして、図8(a)に示すように、これらの各ボルト挿通穴付被覆層耳部313が各ボルト突出面を覆うようにガスケットを配置した上で、図8(b)に示すように、ガスケットを装填することにより、被覆層耳部313の形状を利用して、ガスケットの位置決めを容易に行うことができ、ガスケット施工時の作業性をより向上させることができる。
次いで、フランジ4の表面に設けられた複数のボルト6を利用して、フランジ4と対をなすフランジ等の図示しないシール対象物を装填し、ナット等で締め付けることにより、位置決めを容易に行いつつ、ガスケット面積を大幅に増加させることなく十分な締付力を付与し、ガスケットを隙間なく装着することができる。
また、ボルト挿通穴付被覆層耳部としては、図9(a)右側または図9(b)右側拡大図に示すように、シール対象のシール面に設けられたボルト穴5の開口面位置に対応するように被覆層シール部の外周端xの一部にのみ設けられてなる、歯車歯形状を有するボルト挿通穴付被覆層耳部313を挙げることができる。
図9(a)においては、シール対象であるフランジ4のシール面外周部に複数のボルト穴5が設けられており、ガスケットには、これら全てのボルト穴5のうち、1つのボルト挿通穴付被覆層耳部313が1箇所のボルト穴5を覆うように計4つのボルト挿通穴付被覆層耳部313が設けられる。
そして、図9(b)に示すように、これらの各ボルト挿通穴付被覆層耳部313が各ボルト穴5を覆うようにガスケットを配置した上で、図9(c)に示すように、ボルト6を捻じ込むことにより、ガスケットの位置決めを容易に行うことができ、ガスケット施工時の作業性をより向上させることができる。
また、被覆層耳部313に設けられたボルト挿通穴の径をボルト穴5の径よりも小さくした場合には、図4〜図7に示す態様と同様に、軟質材料からなる歯車歯状被覆層耳部313がボルトに接触し、削られて、ガスケットが仮固定される。
次いで、フランジ4の表面に設けられた複数のボルト6を利用して、フランジ4と対をなすフランジ等の図示しないシール対象物を装填し、ナット等で締め付けることにより、位置決めを容易に行いつつ、ガスケット面積を大幅に増加させることなく十分な締付力を付与し、ガスケットを隙間なく装着することができる。
図8や図9に示すような被覆層耳部を有するガスケット1において、被覆層耳部313の幅(突出長さ)lは、(ボルト穴中心径(mm)−被覆層シール部外径(mm))/2〜{(フランジ等のシール対象物外径(mm)+100(mm))−被覆層シール部外径(mm)}/2であることが好ましく、(ボルト穴中心径(mm)−被覆層シール部外径(mm)−10(mm))/2〜{(フランジ等のシール対象物外径(mm)+50(mm))−被覆層シール部外径(mm)}/2であることがより好ましく、(フランジ等のシール対象物外径(mm)+5(mm))/2〜{(フランジ等のシール対象物外径(mm)−5(mm))−被覆層シール部外径(mm)}/2であることがさらに好ましい。また、被覆層耳部313のシール部外周端xとの接合幅Lは、ボルト径(mm)+2.0(mm)〜ボルト間距離(mm)×2−ボルト径(mm)であることが好ましく、ボルト径(mm)+6.0(mm)〜ボルト間距離(mm)×2−ボルト径(mm)−5.0(mm)であることがより好ましく、ボルト径(mm)+10.0(mm)〜ボルト間距離(mm)×2−ボルト径(mm)−10.0(mm)であることがさらに好ましい。
本発明のガスケットにおいて、上記被覆状耳部としては、シール対象のシール面に対して粘着性を有するものを挙げることができる。
このような被覆層耳部としては、図10(a)右側または図10(b)右側拡大図に示すように、シール対象のシール面に設けられたボルト穴の位置に対応するように被覆層シール部の外周端xの一部にのみ設けられてなる、歯車歯形状を有する被覆層耳部314において、シール対象との接合面に両面粘着テープまたは接着剤Sを貼着または塗布したものを挙げることができる。
また、上記被覆層耳部としては、図4〜図9に示す被覆層耳部において、シール対象との接合面にさらに両面粘着テープまたは接着剤Sを貼着または塗布したものであってもよい。
図10に例示するように、上記突出部が、シール対象のシール面に対して粘着性を有するものであることにより、シール箇所中央に容易にガスケットを仮固定することができる。
仮固定したガスケットは、次いで、ボルト穴5にボルトを捻じ込み固定した後、フランジ4と対をなすフランジ等の図示しないシール対象物を装填し、ナット等で締め付けることにより、位置決めを容易に行いつつ、ガスケット面積を大幅に増加させることなく十分な締付力を付与し、ガスケットを隙間なく装着することができる。
図10に示す態様においては、予めボルト穴5にボルトを捻じ込んだ状態でガスケット1を固定した後、該ボルトを利用して、フランジ4と対をなすフランジ等の図示しないシール対象物をナット等を用いて装填してもよい。
また、図10に示すような被覆層耳部を有するガスケット1において、被覆層耳部314の幅(突出長さ)lは、(ボルト穴中心径(mm)−被覆層シール部外径(mm))/2〜{(フランジ等のシール対象物外径(mm)+100(mm))−被覆層シール部外径(mm)}/2であることが好ましく、(ボルト穴中心径(mm)−被覆層シール部外径(mm)−10(mm))/2〜{(フランジ等のシール対象物外径(mm)+50(mm))−被覆層シール部外径(mm)}/2であることがより好ましく、{(フランジ等のシール対象物外径(mm)+5mm)−被覆層シール部外径(mm)}/2〜{(フランジ等のシール対象物外径(mm)−5(mm))−被覆層シール部外径(mm)}/2mmであることがさらに好ましい。また、被覆層耳部314のシール部外周端xとの接合幅Lは、10.0mm〜ボルト間距離−ボルト径mmであることが好ましく、20.0mm〜ボルト間距離−ボルト径−6.0mmであることがより好ましく、ボルト間距離/2mm〜ボルト間距離−ボルト径−10.0mmであることがさらに好ましい。
本発明のガスケットにおいて、被覆層は、被覆層形成材により形成される。
被覆層形成材としては、例えば、膨張黒鉛シートまたはフッ素樹脂シート等を所定形状に加工したものを挙げることができる。膨張黒鉛シートまたはフッ素樹脂シートを用いて被覆層形成材を作製する場合、被覆層耳部の形状を考慮し、例えば、耳部として、被覆層のシール部外周端に連続するように設けられてなるリング形状を有するものを形成しようとする場合には、被覆層形成材の作製時に得られる被覆層の外径がコア層の外径よりも大きくなるようにリング形状に加工すること等により、被覆層耳部を有する被覆層形成材を容易に作製することができる。膨張黒鉛シートを用いる場合には、その密度が0.8〜1.5g/cm程度のものが好ましく、膨張黒鉛シートまたはフッ素樹脂シートは、その厚みが上述した被覆層シール部の厚みTに対応するものであることがより好ましい。
このようにして同一形状を有する一対の被覆層形成材を作製した後、上述したコア層形成材の表裏各主表面上にコア層を挟んで対称的に被覆層形成材を接着することにより、コア層の表裏各主表面上にそれぞれ軟質材料(例えば、膨張黒鉛またはフッ素樹脂)製の被覆層が相対して積層されてなるガスケットを作製することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図4に示す形態を有するガスケットを、以下の手順により作製した。
(コア層形成材の作製)
厚さ0.8mmのSUS316L鋼板を打ち抜き加工して円形素材を得た後、さらに該円形素材の中心部に打ち抜き加工を施して中心孔を形成してなるリング状素材を得た。次いで、得られたリング状素材をプレス加工して主表面側から見たときに外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波型形状になるようにコルゲート形成加工を行うことにより、内径1900mm、外径2000mmの円環状コア層形成材を作製した。得られたコア層形成材において、波型形状により形成される複数の山−山間または谷−谷間の距離wは、3.2mmであった。
(被覆層形成材の作製)
厚さ0.4mmの膨張黒鉛シート(SGLカーボン社製SIGRAFLEX)をカッティングすることにより、同一形状を有する円環状被覆層形成材を2つ作製した。
(コア層形成材と被覆層形成材の接合)
上記コア層形成材の主表面両面にコア層形成材を挟んで対称的に位置するように2つの被覆層形成材を配置し、接着剤で接着することにより、被覆層が、被覆層シール部の外周端よりも外側に突出する平坦面状のリング状耳部を有するガスケットを得た。
得られたガスケットにおいて、被覆層の内径は1894mmであり、外径は2031mm(被覆層シール部の外径が2000mm、被覆層耳部の幅(突出長さ)lが15.5mm)であった。
このガスケットは、シール面の外周部に32個のボルト(ボルト径24mm、ボルト穴径27mm)が等間隔に設けられたフランジをシールするために作製されたものであり、該フランジにおいて、ボルト穴の内側径は2023mm、BCD(ボルト穴中心径)は2050mmであった。
そして、上記ガスケットの被覆層に設けられた耳部を把持しつつ、得られたガスケットを、図4(a)に示すようにフランジの中央部に配置し、シール対象となるフランジと対をなす図示しないフランジとともに、図4(a)右側から図4(a)左側に向けて押し込み、次いでナットを締め付けることにより、図4(b)に示すようにガスケットを固定した(図4には、ガスケットとともに押し込んだフランジは図示されていない)。
ボルト穴の内側径が2023mmであり、被覆層の外径が2031mmであるので、被覆層の外径が8mm大きかったが、ガスケットを押し込んで固定することにより、軟質な被覆材突出部がボルトで削られて、フランジ間にガスケットを隙間なく装填することができた。
(実施例2)
実施例1において、被覆層形成材として、厚さ0.5mmのフッ素樹脂シート(ニチアス(株)製T/#9096)をカッティングすることにより、同一形状を有する円環状被覆層形成材を2つ作製し、これを用いたことを除けば、実施例1と同様にして図4に示す形態を有するガスケットを作製した。
そして、上記ガスケットの被覆層に設けられた耳部を把持しつつ、得られたガスケットを、図4(a)に示すようにフランジの中央部に配置し、シール対象となるフランジと対をなす図示しないフランジとともに、図4(a)右側から図4(a)左側に向けて押し込み、次いでナットを締め付けることにより、図4(b)に示すようにガスケットを固定した(図4には、ガスケットとともに押し込んだフランジは図示されていない)。
ボルト穴の内側径が2023mmであり、被覆層の外径が2031mmであるので、被覆層の外径が8mm大きかったが、ガスケットを押し込んで固定することにより、軟質な被覆材突出部がボルトで削られて、フランジ間にガスケットを隙間なく装填することができた。
(実施例3)
図6に示す形態を有するガスケットを、以下の手順により作製した。
(コア層形成材の作製)
厚さ0.8mmのSUS316L鋼板を打ち抜き加工して円形素材を得た後、さらに該円形素材の中心部に打ち抜き加工を施して中心孔を形成してなるリング状素材を得た。次いで、得られたリング状素材をプレス加工して主表面側から見たときに外観形状が同心円状で断面が波型形状になるようにコルゲート形成加工を行うことにより、内径1900mm、外径2000mmの円環状コア層形成材を作製した。得られたコア層形成材において、波型形状により形成される複数の山−山間または谷−谷間の距離wは、3.2mmであった。
(被覆層形成材の作製)
厚さ0.4mmの膨張黒鉛シート(SGLカーボン社製SIGRAFLEX)をカッティングすることにより、シール部形成部として円環形状を有し、被覆層耳部として4箇所の歯車歯状突起を有する同一形状を有する被覆層形成材を2つ作製した。
(コア層形成材と被覆層形成材の接合)
上記コア層形成材の主表面両面にコア層形成材を挟んで対称的に位置するように2つの被覆層形成材を配置し、接着剤で接着することにより、図6(a)右側に示すように、被覆層シール部の外周端xよりも外側に突出する4箇所の歯車歯状被覆層耳部を有するガスケットを得た。
得られたガスケットにおいて、被覆層の内径は1894mmであり、外径は2100mm(被覆層シール部の外径が2000mm、被覆層耳部の幅(突出長さ)lが50mm)で、被覆層シール部外周端xとの接合幅Lは、180mmであった。
このガスケットは、シール面の外周部に32本のボルト(ボルト径24mm、ボルト間距離201.2mm)が等間隔に設けられたフランジをシールするために作製されたものであり、該フランジにおいて、外径は2100mm、BCD(ボルト穴中心径)は2050mmであった。
そして、上記ガスケットの被覆層に設けられた耳部を把持しつつ、得られたガスケットを、図6(a)に示すようにフランジの中央部に配置しつつ、各被覆層耳部が2つのボルト穴間に位置するように配置し、さらにシール対象となるフランジと対をなす図示しないフランジとともに、図6(a)の右側から左側に押し込み、次いでナットを締め付けることにより、図6(b)に示すようにガスケットを固定した(図6には、ガスケットとともに押し込んだフランジは図示されていない)。
ボルト間隙間はボルト間距離201.2mm−ボルト径24mm=177.2mmであり、被覆層耳部のシール部外周端xとの接合幅Lが180mmであるため、接合幅Lがボルト間隙間よりも2.8mm大きかったが、ガスケットを押し込んで固定することにより、容易に位置決めしつつ、軟質な被覆材突出部がボルトで削られて、フランジ間にガスケットを隙間なく装填することができた。
(実施例4)
図8に示す形態を有するガスケットを、以下の手順により作製した。
(コア層形成材の作製)
厚さ0.8mmのSUS316L鋼板を打ち抜き加工して円形素材を得た後、さらに該円形素材の中心部に打ち抜き加工を施して中心孔を形成してなるリング状素材を得た。次いで、得られたリング状素材をプレス加工して主表面側から見たときに外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波型形状になるようにコルゲート形成加工を行うことにより、内径1900mm、外径2000mmの円環状コア層形成材を作製した。得られたコア層形成材において、波型形状により形成される複数の山−山間または谷−谷間の距離wは、3.2mmであった。
(被覆層形成材の作製)
厚さ0.4mmの膨張黒鉛シート(SGLカーボン社製SIGRAFLEX)カッティングすることにより、シール部形成部として円環形状を有し、耳部形成部として各々ボルト挿通穴を有する4箇所の歯車歯状突起が設けられた同一形状を有する被覆層形成材を2つ作製した。
(コア層形成材と被覆層形成材の接合)
上記コア層形成材の主表面両面にコア層形成材を挟んで対称的に位置するように2つの被覆層形成材を配置し、接着剤で接着することにより、図8(a)右側に示すように、被覆層シール部外周端xよりも外側に突出する各々直径24mmのボルト挿通穴を有する4箇所の歯車歯状被覆層耳部が設けられたガスケットを得た。
得られたガスケットにおいて、被覆層の内径は1894mmであり、外径は2100mm(被覆層シール部の外径が2000mm、被覆層突出部の突出長さlが50mm)で、被覆層シール部外周端xとの接合幅Lは、75mmであった。
このガスケットは、シール面の外周部に複数のボルト(ボルト径24mm、ボルト間距離201.2mm)が等間隔に32個設けられたフランジをシールするために作製されたものであり、該フランジにおいて、外径は2100mm、BCD(ボルト中心径)は2050mmであった。
そして、上記ガスケットの被覆層に設けられた耳部を把持しつつ、得られたガスケットを、図8(a)に示すようにフランジの中央部に配置しつつ、各耳部に設けられたボルト挿通穴が各ボルト突出面(ボルト開放端面)に位置するように配置し、被覆層耳部に設けられたボルト挿通穴にボルトを押し込むことにより、ガスケットを仮固定した。4箇所の被覆層耳部にそれぞれボルト挿通穴を設けたことにより、ガスケットを正確に位置決めしつつフランジに固定することができた。
その後、図8に示すフランジと対をなす図示しないフランジを、ボルトを利用して装填し、ナットで締め付けることにより、十分な締付力を付与しつつ、ガスケットを隙間なく装着することができた。
(実施例5)
図10に示す形態を有するガスケットを、以下の手順により作製した。
(コア層形成材の作製)
厚さ0.8mmのSUS316L鋼板を打ち抜き加工して円形素材を得た後、さらに該円形素材の中心部に打ち抜き加工を施して中心孔を形成してなるリング状素材を得た。次いで、得られたリング状素材をプレス加工して主表面側から見たときに外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波型形状になるようにコルゲート形成加工を行うことにより、内径1900mm、外径2000mmの円環状コア層形成材を作製した。得られたコア層形成材において、波型形状により形成される複数の山−山間または谷−谷間の距離wは、3.2mmであった。
(被覆層形成材の作製)
厚さ0.4mmの膨張黒鉛シート(SGLカーボン社製SIGRAFLEX)をカッティングすることにより、シール部形成部として円環形状を有し、耳部形成部として4箇所の歯車歯状突起が設けられた同一形状を有する被覆層形成材を2つ作製した。
(コア層形成材と被覆層形成材の接合)
上記コア層形成材の主表面両面にコア層形成材を挟んで対称的に位置するように2つの被覆層形成材を配置し、接着剤で接着することにより、図10(a)右側に示すように、被覆層シール部の外周端xよりも外側に突出する4箇所の歯車歯状被覆層耳部が設けられたガスケットを得た。
得られたガスケットにおいて、被覆層の内径は1894mmであり、外径は2100mm(被覆層シール部の外径が2000mm、被覆層耳部の幅(突出長さ)lが50mm)で、被覆層耳部のシール部外周端xとの接合幅Lは、75mmであった。
このガスケットは、シール面の外周部に複数のボルト穴(ボルト穴直径27mm、ボルト穴間距離201.2mm)が等間隔に32個設けられたフランジをシールするために作製されたものであり、該フランジにおいて、外径は2100mm、BCD(ボルト穴中心径)は2050mmであった。
そして、上記ガスケットの被覆層に設けられた突出部のシール面に厚さ0.1mmの両面接着テープ(ニチバン社製ナイスタック)を貼着した後、被覆層耳部を把持しつつ、得られたガスケットを、図10(b)に示すようにフランジの中央部に仮固定した。被覆層耳部が粘着性を有するものであることにより、ガスケットを正確に位置決めしつつ固定することができた。
その後、フランジ4のボルト穴5にボルトを捻じ込み、図10に示すフランジと対をなす図示しないフランジを、ボルトを利用して装填し、ナットで締め付けることにより、十分な締付力を付与しつつ、ガスケットを隙間なく装着することができた。
4箇所の被覆層耳部にそれぞれ粘着性を付与したことにより、ガスケットを正確に位置決めしつつ設置することができた。
本発明によれば、ガスケットを構成する被覆層シール部の外周端に、コア層の外周端よりも外側に突出する平坦面状の耳部を設けることにより、施工者が耳部を把持して作業することが可能となることから、施工時の作業性が向上するとともに、仮に耳部が多少破損しても、シール部により十分なシール特性を発揮し得るガスケットを提供することができる。
また、本発明によれば、被覆層耳部を利用してガスケットをシール対象に固定し得ることから、正確に位置決めすることができ、金属材料からなるコア層にボルト穴等を設ける必要がなく、低コストに作製可能なガスケットを提供することができる。
1 ガスケット
2 コア層
3 被覆層
30 シール部
31 突出部
4 シリンジ
5 ボルト穴
6 ボルト
x 被覆層シール部外周端

Claims (7)

  1. 主表面側から見た外観形状が同心円状で主表面に対する垂直断面が波形の金属板製のコア層と、前記コア層の表裏各主表面上にコア層を挟んで対称的にそれぞれ積層されてなる同一形状を有する軟質材料製の被覆層とにより構成され、
    前記被覆層は、それぞれ、前記コア層上に設けられる被覆層シール部と、該被覆層シール部の外周端よりも外側に突出する平坦面状の被覆層耳部とを有すること
    を特徴とするガスケット。
  2. 前記軟質材料製の被覆層が膨張黒鉛製またはフッ素樹脂製の被覆層である請求項1に記載のガスケット。
  3. 前記被覆層耳部は、シール対象のシール面に設けられたボルト穴の開口面の一部または該ボルト穴に設けられたボルトの突出面の一部をシール時に覆うように形成されてなるものである請求項1または請求項2に記載のガスケット。
  4. 前記被覆層耳部が、前記被覆層シール部の外周端に連続するように設けられてなるリング形状を有するものである請求項3に記載のガスケット。
  5. 前記被覆層耳部が、シール対象のシール面に設けられた複数のボルト穴の間または該ボルト穴に設けられた複数のボルトの間に位置するように前記被覆層シール部の外周端の一部にのみ設けられてなる、歯車歯形状を有するものである請求項3に記載のガスケット。
  6. 前記被覆層耳部が、シール対象のシール面に設けられたボルト穴の開口面または該ボルト穴に設けられた複数のボルト突出面に位置するように前記被覆層シール部の外周端の一部にのみ設けられてなるとともに、前記ボルト穴形状に対応する形状を有するボルト挿通穴を有するものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載のガスケット。
  7. 前記被覆層耳部が、シール対象のシール面に対して粘着性を有するものである請求項1〜請求項6のいずれかに記載のガスケット。
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