本願発明の防護シート吊り下げ装置の実施形態について図面に基づいて説明する。以下の説明においては、図1における上下を上下方向とし、後述するベランダ5の幅方向に沿って室内に向かう側を室内側5e、その反対側を室外側5fとする。
本発明の実施形態では、図1に示すとおり、防護シート吊り下げ装置(以下、「吊り下げ装置」という。)1は、高層住宅の工事用足場2が設置され改修改築作業等を行なう階(以下、「作業階」という。)3の上層階4のベランダ5に設置されている。上層階4のベランダ5は、ベランダ床面5a、ベランダ天井壁5b、ベランダ側壁5c、及び、ベランダ室内側壁5gとで構成される。作業階3のベランダ51は、ベランダ床面5A、ベランダ天井壁5B、及び、ベランダ側壁5Cで構成されている。
吊り下げ装置1は、図5に示すように、一対の枠組み部19、19を備え、各枠組み部19は、ベランダ床面5aとベランダ天井壁5bとを突っ張って支持する三角形状の三角枠部6と、三角枠部6に支持され室外側5fに延びる突出アーム部7と、から構成されている。また、吊り下げ装置1は、各枠組み部19の突出アーム部7の室外側5fの端部同士に連結される防護シート支持部8と、防護シート支持部8に上端部を支持される防護シート9と、防護シート9の下端部に装着されている錘部材10と、枠組み部19、19の一方に装着され上下左右方向の風を検知し警告を発する風力風向検知機20と、後述する横支持部12の室外側5fに突出して突出部122bに両端部を連結される安全手段支持部24と、安全手段支持部24に懸架される安全手段25と、安全手段25と連結される安全帯29と、で構成されている。
三角枠部6は、図2に示すとおり、ベランダ天井壁5bとベランダ床面5aとを突っ張って支持して室外側5fの端部に配置される縦支持部11と、縦支持部11の上端部から室内側5eに向かいベランダ5の幅方向に沿って延びる横支持部12と、横支持部12の室内側5eの端部から縦支持部11の下端部まで延びて、上層階4のベランダ天井壁5bとベランダ床面5aとを斜めに突っ張って支持する補強支持部13と、を備えている。
縦支持部11は、上縦支持部111と下縦支持部112と長さ調節手段14aとで組立分解可能に構成されている。
上縦支持部111は、図2、図3(a)に示すとおり、金属製で円筒状のパイプで形成され、上端部には、横支持部12と連結する連結部111aが設けられている。連結部111aは、金属製の平板を横支持部12の長手方向視断面コの字状に形成して、上縦支持部111のベランダ天井壁5b側の端部に溶着されている。連結部111aの対向する面の中央部には、後述する横支持部12の角筒部と連結するボルトを挿入するための挿通孔111bがそれぞれ設けられている。上縦支持部111の下端面は、後述する雄ネジ部141aを挿入可能な開口部111cを有している。
下縦支持部112は、図2、図3(c)に示すとおり、金属製で円筒状のパイプで形成され、下端部側には、ベランダ床面5aを押圧する第1の押圧部15と、補強支持部13が連結される角筒連結部112aと、が設けられている。角筒連結部112aは、断面矩形状のパイプで形成され、下縦支持部112を外嵌可能に形成されている。下縦支持部112の下端部側から角筒連結部112aは挿入されている。角筒連結部112aには、補強支持部13と連結する連結リブ112bが設けられている。連結リブ112bは、ベランダ室内側壁5gに対向して配置された角筒連結部112aの側面の長手方向に沿った中心軸に沿って、室内側5eに突出している。連結リブ112bのベランダ5の長手方向と直交する面の中央部には、ボルトを挿通する挿通孔112cが設けられている。
第1の押圧部15は、ベランダ5の長手方向に沿って延びて断面L字状に形成され、角筒連結部112aの下端面とベランダ側壁5cに対向する面とに溶着される金属製のアングル部151と、アングル部151の下面とベランダ側壁5cに対向する面とに装着され、ベランダ床面5aとベランダ側壁5cを傷つけないよう緩衝材で形成された緩衝部152とを有している。本実施形態では、緩衝材は、ウレタンを用いているが、これにはこだわらない。例えば、ゴムや衝撃吸収力のあるパテを用いてもよい。
下縦支持部112の下端面と角筒連結部112aの下端面は、アングル部151の上面と溶着されている。角筒連結部112aの室外側5fの側面は、アングル部151の室内側5eを向いた面と溶着されている。
下縦支持部112の上端面は、後述する雄ネジ部141aを挿入可能な開口部111dを有している。
図4においては、図4の紙面における上下を上下方向とする。長さ調節手段14aは、上縦支持部111と下縦支持部112と係止する雄ネジ部141aと、雄ネジ部141aと螺合する一対の雌ネジ部142aとを有する。雄ネジ部141aは、上縦支持部111の下側の開口部111c及び下縦支持部112の上側の開口部112dから挿入され得るよう棒状に形成されている。本実施形態では、全長にわたってネジ山が形成されているが、雄ネジ部141aの両端部部分のみにネジ山を形成して、中間部分には、ネジ山を形成しない形態にしてもよい。また、雄ネジ部141aの外径と開口部111cの内径とが合わなくてガタつく場合には、円筒状のスペーサーを用いて調整してもよい。
雌ネジ部142aは、内周面にネジ山が形成されて、外形は六角形のナット形状に形成され、上縦支持部111側と下縦支持部112側にそれぞれ一つずつ配置される。雌ネジ部142aには、平面視における対称線上に沿って半径方向外側に延びて、回転を容易にさせる一対の回転棒143aが設けられている。上縦支持部111側に配置された雌ネジ部142aは、上面が、上縦支持部111の下端面と接し、下縦支持部112側に配置された雌ネジ部142aは、下面が、下縦支持部112の上端面と接している。雌ネジ部142aの上面及び下面は、それぞれ上縦支持部111の下端面、下縦支持部112の上端面より大きく形成されている。雌ネジ部142aを回転させて上下方向に移動させることで縦支持部11の長手方向の長さを調節可能となる。
補強支持部13は、上補強支持部131と下補強支持部132と長さ調節手段14bとで組立分解可能に構成されている。なお、補強支持部13における上下方向は、補強支持部13の長手方向に沿って、ベランダ天井壁5bに近い側を上、ベランダ床面5aに近い側を下とする。
上補強支持部131は、図2、図3(b)に示すとおり、金属製で円筒状のパイプで形成され、上端部には、横支持部12と連結する連結部131aが設けられている。連結部131aは、金属製の平板を断面コの字状に形成して、上補強支持部131の上端部に溶接して装着される。連結部131aの対向する面の中央部には、後述する横支持部12と連結するボルトを挿入するための挿通孔131bがそれぞれ設けられている。上補強支持部131の下端面は、後述する雄ネジ部141bを挿入可能な開口部131cを有している。
下補強支持部132は、図2、図3(c)に示すとおり、金属製で円筒状のパイプで形成され、下端部には、縦支持部11と連結する連結部132aが設けられている。連結部132aは、金属製の平板を断面コの字状に形成して、下補強支持部132の下端部に溶着されている。連結部132aの対向する面の中央部には、縦支持部11と連結するボルトを挿入するための挿通孔132bがそれぞれ設けられている。下補強支持部132の下端面は、後述する雄ネジ部141bを挿入可能な開口部132cを有している。
図4に示すとおり、長さ調節手段14bは、上補強支持部131と下補強支持部132とを係止する雄ネジ部141bと、雄ネジ部141bと螺合する一対の雌ネジ部142bとを有している。雄ネジ部141bは、上補強支持部131の下側の開口部131cと下補強支持部132の上側の開口部132cとから挿入され得るよう棒状に形成されている。本実施形態では、雄ネジ部141bの全長にわたってネジ山が形成されているが、雄ネジ部141bの両端部部分のみにネジ山を形成して、中間部分には、ネジ山を形成しない形態にしてもよい。また、雄ネジ部141bの外径と開口部132cの内径とが合わなくてガタつく場合には、円筒状のスペーサーを用いて調整してもよい。
雌ネジ部142bは、内周面にネジ山が形成され、外形は六角形のナット形状に形成され、上補強支持部131側と下補強支持部132側にそれぞれ一つずつ配置されている。雌ネジ部142bには、平面視における対称線上に沿って半径方向外側に延びて、回転を容易にさせる一対の回転棒143bが設けられている。上補強支持部131側に配置された雌ネジ部142bは、上面が、上補強支持部131の下端面と接し、下補強支持部132側に配置された雌ネジ部142aは、下面が、下補強支持部132の上端面と接している。雌ネジ部142bの上面及び下面は、それぞれ上補強支持部131の下端面、下補強支持部132の上端面より大きく形成される。雌ネジ部142bを回転させて上下方向に移動させることで補強支持部13の長手方向の長さを調節可能となる。
図2、図3(a)に示すとおり、横支持部12は、ベランダ5の幅方向に沿って延びて室内側5eに配置される大角筒部121と、大角筒部121に挿入可能に形成されてベランダ5の幅方向に沿って延びて室外側5fに配置される小角筒部122と、で組立分解可能に構成されている。
大角筒部121は、断面矩形状の角パイプで形成され、ベランダ5の長手方向に直交する面にベランダ5の長手方向に沿って貫通する挿通孔121aが複数個形成されている。小角筒部122は、断面矩形状の角パイプで形成され、ベランダ5の長手方向に直交する面にベランダ5の長手方向に沿って貫通する挿通孔122aが複数個形成されている。大角筒部121のいずれかの挿通孔121aが、小角筒部122のいずれかの挿通孔122aと相互に対向され、それらの相互に対向する挿通孔121aと挿通孔122aとを、ボルトを挿通しナットで締めることによって大角筒部121と小角筒部122とが連結されることになる。
大角筒部121の室内側5eの端部の下面には、大角筒部121の長手方向に沿って下側に突出する連結リブ121bが設けられている。連結リブ121bは、上補強支持部131の連結部131aと干渉しないように下側の端部が半円状に形成され、中央部には、上補強支持部131の連結部131aと連結するボルトを挿入する挿通孔121cが設けられている。
また、大角筒部121の室内側5eの端部には、ベランダ天井壁5bとベランダ室内側壁5gを押圧する第3の押圧部17が設けられている。第3の押圧部17は、ベランダ5の長手方向に沿って延びて断面L字状に形成され、大角筒部121の室内側5eの端面と上面とに溶着される金属製のアングル部171と、アングル部171の上面とベランダ室内側壁5gに対向する面とに装着され、ベランダ天井壁5bとベランダ室内側壁5gを傷つけないよう緩衝材で形成された緩衝部172とを有している。本実施形態では、緩衝材は、ウレタンを用いているが、これにはこだわらない。例えば、ゴムや衝撃吸収力のあるパテを用いてもよい。
図2に示すとおり、小角筒部122には、上縦支持部111と連結される部分の上面に第2の押圧部16が設けられている。第2の押圧部16は、小角筒部122の長手方向に沿って延びて中央部が平板で両端部が長手方向視断面コの字状に形成されたベース部161を備え、ベース部161の断面コの字状部分の対向する板部分の中央部には、小角筒部122に設けられた挿通孔122aに対向するように挿通孔161aが形成される。また、ベース部161の上面には、ベランダ天井壁5bを傷つけないよう緩衝材で形成された緩衝部162が設けられている。本実施形態では、緩衝材は、ウレタンを用いているが、これにはこだわらない。例えば、ゴムや衝撃吸収力のあるパテを用いてもよい。また、第2の押圧部16を小角筒部122に直交させて配置してもよい。
図2、図3(a)、(b)、(c)に示すように、三角枠部6を構成する縦支持部11は、上端部で横支持部12と連結され、横支持部12は、室内側5eの端部で補強支持部13と連結され、補強支持部13は、縦支持部11の下端部と連結されている。連結の方法についてはこれにはこだわらない。例えば、上縦支持部111の上端側に室内側5eに突出するようにブラケットを設け、上補強支持部131上端側にも室外側5fに突出するようにブラケットを設けて横支持部12の両端部で連結してもよい。この場合、上縦支持部111及び上補強支持部131の上端部でベランダ天井壁5bを押圧することになる。
突出アーム部7は、図2、図5に示すとおり、金属製の円筒状のパイプで形成され、中央部で三角枠部6を構成する縦支持部11の中央部に装着された支持部材181によって支持され、室内側5eの端部で補強支持部13の中央部に装着された支持部材182によって支持され、室外側5fに延びて形成されている。本実施形態では、図6に示すとおり、支持部材181に、下縦支持部112と突出アーム部7とを十字状に固定するクランプ(兼用直交クランプ181a)を、支持部材182に、下補強支持部132と突出アーム部7のそれぞれを支持するクランプ部分が回動可能に軸支されているクランプ(兼用自在クランプ182a)を用いているが、これらには、こだわらない。例えば、支持部材181、支持部材182共にクランプ部分が回動可能に軸支されているクランプ(兼用自在クランプ182a)を用いてもよい。また、上縦支持部111と上補強支持部131に支持部材181、支持部材182を装着して突出アーム部7を支持してもよい。
図2、図5に示すとおり、防護シート支持部8は、ワイヤ部材81で形成される。上層階4に三角枠部6で構成される平面がベランダ5の長手方向に直交するように間隔をおいて配置された、一組の枠組み部19の、突出アーム部7の室外側5fの端部同士に連結されている。本実施形態では、防護シート支持部8にワイヤ部材81を用いたがこれらには、こだわらない。それぞれの突出アーム部7の室外側5fの端部に、クランプで支持する部材を装着して角パイプ、円筒状のパイプ、丸棒、角棒等を支持したものであってもよい。
図2、図5に示すとおり、防護シート9は、合成樹脂製又は繊維製で矩形シート状に形成され、防護シート支持部8に、上側の辺を支持されている。落下防止、塗料の飛散防止等目的に応じて材質は自由に選択可能である。本実施形態では、上側の辺に沿って挿通孔91を設け、挿通孔91の円周部に保護リング92を装着し、挿通孔91にワイヤ部材81を挿通することで防護シート支持部8に支持されるが、これらには、こだわらない。例えば、防護シート9を防護シート支持部8に用いられる部材に巻き付けて支持したり、防護シート9の上側の辺を折り返して溶着してトンネル状に形成して防護シート支持部8を挿通して支持したりしてもよい。
ここで、図1に示すように、ベランダ51の幅方向に沿って室内に向かう側を室内側5E、その反対側を室外側5Fとする。図1に示すとおり、防護シート支持部8に支持された防護シート9は、作業階3に設置された工事用足場2を、室外側5Fから覆うように、上層階4から作業階3のベランダ側壁5Cの室内側5E下部まで懸吊されている。
図1に示すとおり、錘部材10は、金属製の円筒状のパイプで形成され、防護シート9の幅方向に沿って下端部に装着されている。本実施形態では、錘部材10は、金属製の円筒状のパイプで形成されているが、これには、こだわらない。例えば、金属製の円筒状のパイプを切断して、その切断部を嵌合可能に形成して組み立てるようにしたり、角パイプで形成したり、してもよい。本実施形態では、防護シート9の下端部を折り返して溶着してトンネル状に形成して、錘部材10を挿通して装着しているが、これらにはこだわらない。錘部材10を防護シート9の下端部の辺に沿って貫通孔を設け、貫通孔の円周部に保護部材を装着し、線状の部材で錘部材10を縣吊したりしてもよい。また、本実施形態では、錘部材10を用いて防護シート9が突風で舞い上がるのを防止しているが、これにはこだわらない。例えば、紐やワイヤ部材等で作業階3のベランダ側壁5Cに止着してもよい。
図2、図5に示すとおり、枠組み部19には、所定の風速以上の風が吹いた時に、作業者に警告を発する風力風向検知機20が装着されている。
風力風向検知機20は、図7、図8、図9に示すとおり、枠組み部19と風力風向検知機20とを連結軸支する連結軸部21と、風を受けた際に水平方向に回動する水平回転部22と、風を受けた際に垂直方向に回動する垂直回転部23とで構成されている。なお、図7、8における上下を上下方向とし、図8、9に向かって左側を前、右側を後ろとする。
連結軸部21は、風力風向検知機20を固定して、枠組み部19の何れかの円筒状のパイプ部分に装着されるクランプ部211を有している。クランプ部211は、枠組み部19の円筒状のパイプの半径方向外側に向かって水平方向に沿って延びて矩形平板状に形成される下支持板212を支持している。下支持板212には、下支持板212と直交して上方向に延びる一対の上支持板213と、一対の上支持板213に支持され、軸受け機能を有する円筒パイプ214と、が溶着されている。円筒パイプ214に、水平回転部22に枢支され水平回転部22の回転軸となる上端部には雄ネジが形成されている回転軸棒215の下端部が挿入されている。
水平回転部22には、回転軸棒215にワッシャー部材221を介して締結部材222で締められて軸支され矩形板状に形成される回転板223が設けられている。回転板223の後端部には、回転軸棒215の半径方向外側に向かって延び円柱状に形成された水平本体部224が設けられている。水平本体部224の後端部には、水平本体部224の軸方向に沿って水平本体部224から上方向に延びる上垂直尾翼225と、下方向に延びる下垂直尾翼226と、が設けられている。回転板223の前端部には、前面視断面コの字状に形成され垂直回転部23と連結されるコの字枠部227が設けられている。
垂直回転部23は、コの字枠部227に軸支され平面視断面略ホームベース状に形成される垂直本体部23aを有している。垂直本体部23aには、コの字枠部227の開口部の対向する板の端部部分に設けられた軸支孔228と対向する軸支孔23bが設けられている。軸支孔23bと軸支孔228とを垂直回転軸23cで挿通し、垂直回転軸23cの両端部をナット締め、リベット締め等の方法で軸支されている。垂直本体部23aの後部の略三角形状となる部分の中央部には、垂直回転軸23cと平行に補強板23dが設けられている。垂直本体部23aの略三角形状部分の鋭角部には、垂直本体部23aの略三角形状部分の鋭角部と補強板23dとで支持され後述する水平尾翼23fを支持する水平尾翼支持部23eが設けられている。水平尾翼支持部23eは、断面矩形状に形成された角棒で水平回転部22の水平本体部224と平行するように伸びている。水平尾翼23fが支持される部分は、上下方向の厚みが他の部分より厚く形成されている。
水平尾翼23fは、前方部が凹んだ形状の平板に形成され、前方部を垂直本体部23aと対向させて、水平尾翼支持部23eに支持されている。
垂直本体部23a前方部の平板部分には、水平尾翼支持部23eの同軸線上に羽根軸孔23gが設けられている。羽根軸孔23gには、羽根軸23hが挿通されている。羽根軸23hは、羽根軸孔23g円周に配設された軸受23iによって軸支されている。羽根軸23hの前方の端部には、羽根部23jが装着されている。羽根部23jは、羽根23kと、羽根基部23mとで構成されている。羽根23kは、風を受けると回動するように風車状に配置され、羽根基部23mに一方の端部を支持されている。羽根基部23mは、羽根軸23hに挿入可能な円筒状に形成され羽根軸23h前端部においてナット等で締め付けて固定している。羽根部23jの回転円周外側には、羽根23kを保護するため平板を断面円形状に形成し、垂直本体部23aに装着される円形枠部23nが設けられている。
羽根軸23hの後方端部には、所定の風速の風が吹いた場合に作業者に警告を発する警告部23pが設けられている。図10に示すとおり、警告部23pは、円形平板状で羽根軸23hに嵌入可能に形成される円盤部23qと、矩形平板状に形成され一方の端部を円盤部23qの外周辺部に等間隔に設けられた軸支孔23rで軸支される警告板23sと、円盤部23qと警告板23sと連杆し羽根軸23h方向に付勢するばね23tとで構成されている。
また、図2、図5に示すとおり、風力風向を検知する手段として、風力風向検知機20とあわせて吹き流し28を使用してもよい。本実施形態においては、図13(a)、(b)に示すとおり、上縦支持部111に室外側5fに突出し中央部に孔を設けたリブ281にリング部材282を挿入して装着しているが、これらにはこだわらない。目視可能であれば、ワイヤ部材等を用いて環をつくり、枠組み部19のいずれかの場所に引っ掛けて装着してもよい。
横支持部12の小角筒部122には、室外側5fに突出する突出部122bが設けられている。突出部122bの室外側5fの端部同士で安全手段支持部24は連結されている。本実施形態では、安全手段支持部24にワイヤ部材241を用いているが、これらにはこだわらない。突出部122bの室外側5fの端部にクランプを装着して、円筒状パイプや角パイプを用いてもよい。図5、図12に示すとおり、安全手段支持部24には、安全手段25が配設されている。安全手段25は、安全手段支持部24に懸吊されるショックアブソーバー機能付き安全ブロック251と、後述する安全帯29と安全ブロック251とを繋ぐランヤード252と、で構成されている。作業者には、安全を確保するために安全帯29が装着されている。安全ブロック251は、着脱可能でリング状の部材で懸吊されるので、上層階4に設置された一組の枠組み部19の間の距離を移動可能である。ランヤード252は、両方の端部を着脱可能なリング状の部材で形成され、それぞれ安全ブロック251と安全帯29と連結されている。
図11に示すとおり、防護シート支持部8と安全手段支持部24とが、それぞれワイヤ部材81、241で構成され、枠組み部19にワイヤ部材81、241の長さと、張り具合を調節する巻き取り装置26とワイヤ部材81、241をガイドするガイドローラ27を有している。本実施形態においては、巻き取り装置26は、突出アーム部7と上縦支持部111に配置し、ガイドローラ27は、突出アーム部7、突出部122bのそれぞれの室外側5fの端部に配置しているが、これらにはこだわらない。ワイヤ部材81、241を巻き取り、ガイド可能であるならば、枠組み部19のいずれかの場所に配置してもよい。例えば、一方の突出部122bのみにガイドローラ27を装着し、他方の突出部122bにワイヤ部材81、241を止着してもよい。同様に、ワイヤ部材81、241の一方の端部に巻き取り装置26を装着してもよい。
また、巻き取り装置26に手動ウインチを用いているが、ワイヤ部材81、241を引っ張ったり緩めたりでき、長さを固定できる機能を有するものであれば、これらにこだわらない。
図1はベランダ51内に配置される工事用足場2の側面を示すものであり、作業階3のベランダ51は、部屋の外側に配置されている。工事用足場2は、ベランダ床面5Aに当接する区分を含む下部区域M1と、ベランダ天井壁5Bに係止する部分を含む上部区域M2と、ベランダ側壁5Cから室外側5Fに突出する区分を含む側部区域M3とを備えている。側部区域M3は作業区域として構成されている。
下部区域M1には、工事用足場2をベランダ床面5Aに支持させるキャスタ31とアジャスタ32とが設けられ、上部区域M2の上方には、係止部材ユニット33が配置されている。係止部材ユニット33は、ベース体34と、メインジャッキ35とを備えている。
メインジャッキ35の上部には、係止部材36が装着されている。ベース体34には、ベランダ51の室内側5Eに延びるアームジャッキ37が挿入されている。アームジャッキ37の先端には、ベランダ天井壁5Bを係止する補助係止部材38が配置されている。
吊り下げ装置1の使用方法を以下に説明する。高層住宅の作業を行なう作業階3のベランダ51に工事用足場2は設置される。
上述した構成の工事用足場2を、下部区域M1に装着されているアジャスタ32をベランダ床面5Aに設置して、工事用足場2をベランダ床面5Aに支持させる。次に、メインジャッキ35を操作して係止部材36をベランダ天井壁5Bに接地して押し当てる。さらに、補助係止部材38をベランダ天井壁5Bに押し付ける。これらによって、工事用足場2の設置が完了する。
工事用足場2の設置が完了したら、作業階3の一つ上の上層階4に分割された吊り下げ装置1の各部位を階段又は、エレベータによって運搬する。分割された部位は、縦支持部11における上縦支持部111と下縦支持部112と長さ調節手段14a、補強支持部13における上補強支持部131と下補強支持部132と長さ調節手段14b、横支持部12における大角筒部121と小角筒部122、突出アーム部7、防護シート支持部8、防護シート9、錘部材10が主なものである。これらは、全てエレベータに収納可能な大きさに形成されている。そのほか、各部位に付属する、例えば、風力風向検知機20や吹き流し28、安全手段支持部24、安全手段25、また、支持部材181、支持部材182等の組付け部材、さらに、作業道具、清掃道具等も運搬する。
上記各部位を上層階4内に運搬した後、吊り下げ装置1を組み立てる。図2、図4に示すとおり、まず、縦支持部11の雄ネジ部141aの両端部から一対の雌ネジ部142aを螺合して、回転棒143aを回転させて雄ネジ部141aの中央部方向に雌ネジ部142aを移動させる。雄ネジ部141aの両端部を、上縦支持部111の下側となる開口部111cと、下縦支持部112の上側となる開口部112dとに、挿入して縦支持部11を形成する。ベランダ床面5aとベランダ天井壁5bとの間の高さに合わせて、雌ネジ部142aの位置を調節することにより、縦支持部11の長手方向の長さを仮決めする。
次に、補強支持部13の雄ネジ部141bの両端部から一対の雌ネジ部142bを螺合して、回転棒143bを回転させて雄ネジ部141bの中央部方向に雄ネジ部141bを移動させる。雄ネジ部141bの両端部を上補強支持部131の下側となる開口部131cと、下補強支持部132の上側となる開口部132cとに、挿入して補強支持部13を形成する。雌ネジ部142bの位置を調節することにより、補強支持部13の長手方向の長さを仮決めする。
次に、大角筒部121に小角筒部122を挿入し、ベランダ5の幅方向の長さに合わせて、対向させる大角筒部121の挿通孔121aと小角筒部122の挿通孔122aとを決め、ボルトを挿通しナットで締めることによって大角筒部121と小角筒部122とを連結する。縦支持部11と連結する周辺部で、第2の押圧部16のベース部161に設けられた挿通孔161aと小角筒部122の挿通孔122aとを対向させ、ボルトを挿通しナットで締めることによって第2の押圧部16のベース部161と小角筒部122とを連結して横支持部12を形成する。
長さを仮決めした、縦支持部11と横支持部12と補強支持部13とを、連結して三角枠部6を形成する。
図2、図4に示すとおり、まず、上縦支持部111の連結部111aに設けられた挿通孔111bと、小角筒部122に設けられた挿通孔122aとを対向させて、ボルトを挿通しナットで締めることにより、縦支持部11と横支持部12とを連結する。
次に、下縦支持部112の連結リブ112bの設けられた挿通孔112cと、下補強支持部132の連結部132aに設けられた挿通孔132bとを、対向させボルトを挿通しナットで締めることにより、縦支持部11と補強支持部13とを連結する。
次に、大角筒部121の連結リブ121bに設けられた挿通孔121cと、上補強支持部131の連結部131aに設けられた挿通孔131bとを、対向させ、ボルトを挿通しナットで締めることにより、横支持部12と補強支持部13とを連結する。
以上の工程により三角枠部6が形成される。次に、三角枠部6と突出アーム部7を組み付ける。図2、図6(a)、(b)に示すとおり、支持部材181の一方のクランプで下縦支持部112を締結し、支持部材182の一方のクランプで下補強支持部132を締結しておく。縦支持部11に直交するように突出アーム部7を配置して、支持部材181の他方のクランプで突出アーム部7を締結し、支持部材182の他方のクランプで突出アーム部7を締結することで、突出アーム部7を三角枠部6で支持する。この時点では、後の工程で調整できるよう仮締めとする。
三角枠部6と突出アーム部7とを組み付けることによって、枠組み部19が形成される。仮決めされた枠組み部19を上層階4に設置するため、下縦支持部112の第1の押圧部15がベランダ床面5aとベランダ側壁5cとを押圧するように配置し、小角筒部122の第2の押圧部16がベランダ天井壁5bを押圧するように配置し、大角筒部121の第3の押圧部17がベランダ天井壁5bとベランダ室内側壁5gを押圧するように配置する。このとき、三角枠部6で構成される面がベランダ5の長手方向に直交するように配置する。位置が決まったら、図4に示すとおり、長さ調節手段14aの上縦支持部111と接している雌ネジ部142aを上側に移動させ、下縦支持部112と接している雌ネジ部142aを下側に移動させる。これにより、縦支持部11でベランダ床面5aとベランダ天井壁5bとを突っ張って支持することになる。同様に、長さ調節手段14bの上補強支持部131と接している雌ネジ部142bを上側に移動させ、下補強支持部132に接している雌ネジ部142bを下側に移動させる。これにより、補強支持部13でベランダ床面5aとベランダ天井壁5bとを突っ張って支持することになる。一対の枠組み部19で吊り下げ装置1を構成するので、図5に示すとおり、先に一つの枠組み部19をベランダ5の長手方向の一方の端に設置する。この時、突出アーム部7は、室内側5eに配置して室外側5fに突出しないようにしておく。
一つの枠組み部19を設置したら、図2、図5に示すとおり、ワイヤ部材81を、防護シート9の挿通孔91に挿通して、一方の端部を設置した枠組み部19の突出アーム部7の室外側5fの端部に止着する。図11に示すとおり、まだ設置されていない枠組み部19の突出アーム部7の室外側5fとなる先端部にガイドローラ27を装着し、突出アーム部7の支持部材181と支持部材182の間に巻き取り装置26を装着しておき、ワイヤ部材81の止着されていない方の端部を巻き取り装置26に止着して、ワイヤ部材81を巻き取り可能な状態にしておく。
また、設置した枠組み部19の小角筒部122の突出部122bの室外側5fの端部にワイヤ部材241を止着する。まだ設置されていない枠組み部19の小角筒部122の突出部122bの室外側5fの端部にガイドローラ27を装着し、上縦支持部111に巻き取り装置26を装着しておき、ワイヤ部材241の止着されていない方の端部を巻き取り装置26に止着して、ワイヤ部材241を巻き取り可能な状態にしておく。
もう一つの枠組み部19を、先に設置した枠組み部19とはベランダ5の長手方向の反対側に設置する。この時、ワイヤ部材81、ワイヤ部材241がそれぞれのガイドローラ27から外れないように枠組み部19を設置する。位置が決まったらそれぞれの巻き取り装置26を巻いてワイヤ部材81、ワイヤ部材241の長さや、張り具合を調節する。
ワイヤ部材81が適正な状態になったら、図1に示すとおり、防護シート9を上層階4のベランダ5から作業階3方向にゆっくり降ろし、工事用足場2を室外側5Fから覆うようにして作業階3のベランダ側壁5Cの室内側5E下部まで懸吊する。錘部材10を防護シート9に装着して、懸吊すると危険であるので作業階3で装着するのが望ましい。
ワイヤ部材241が適正な状態になったら、図1、図5、図12に示すとおり、安全ブロック251を着脱可能なリング状の部材で懸吊する。両方の端部を着脱可能なリング状の部材で形成されたランヤード252の上方の端部を安全ブロック251に連結する。下方の端部を、工事用足場2の作業区域となる側部区域M3にいる作業者に装着されている安全帯29と連結する。
枠組み部19の風を検知しやすい場所に風力風向検知機20と吹き流し28を装着する。防護シート9に覆われない場所に装着するのが望ましい。
以上の工程により、吊り下げ装置1の設置が完了する。本実施形態の吊り下げ装置1において、防護シート9は、上層階4のベランダ5に設置された吊り下げ装置1の防護シート支持部8に、上側の辺を支持され配設されている。作業階3のベランダ51に設置された工事用足場2とは分離して設置されるため、作業階3のベランダ51に設置された工事用足場2は、防護シート9で保護されることから突風の影響を受けないので作業者は、安全に作業をすることができる。また、防護シート9は、上層階4から作業階3のベランダ51まで覆われて配設されるため、作業に使用する工具等の落下、外壁改修作業に使用する塗料の飛散を防止することができる。
また、ベランダ天井壁5bやベランダ床面5aを縦支持部11、横支持部12、補強支持部13で直接突っ張って支持するのではなく、緩衝部152を備えた第1の押圧部15と、緩衝部162を備えた第2の押圧部16と、緩衝部172を備えた第3の押圧部17と、により押圧することで、ベランダ天井壁5bとベランダ床面5aとを傷つけることがない。第1、3の押圧部は、ベランダ5の長手方向に沿って形成され、第2の押圧部16は、ベランダ5の幅方向に沿って形成され、面で壁と接触していて傾いた時に壁と干渉するため、吊り下げ装置1が直ちに倒壊することはない。
風力風向検知機20は、風を受けた際に風向きと平行になり水平方向に回動する水平回転部22と、風を受けた際に風向きと平行になり垂直方向に回動する垂直回転部23と、を備えるため、どの方向から風が吹いても風を検知できる。
警告部23pは、羽根部23jと同軸に配置されているので、羽根部23jが回転すると警告部23pも回動することになる。ばね23tの強さを調整することで作業時に危険の目安となる風速10から15メートル程度の風が吹いた時に、警告部23pの回転の遠心力で警告板23sが半径外側に開くようにすることができる。警告板23sを赤色等の色で着色することによって、作業者は警告板23sが、開いたのを見て風が吹いていることを知り、突風に対して安全に避難することができる。あわせて吹き流し28を使用することで作業員の安全性を高めることができる。
また、縦支持部11と補強支持部13に設けられた長さ調節手段14aと、長さ調節手段14bとにより、ベランダ天井壁5bとベランダ床面5aとの間の長さに合わせて吊り下げ装置1を設置することができる。横支持部12の大角筒部121及び小角筒部122に設けられた挿通孔121a、122aの対向させる位置を調節することでベランダ5の幅方向の長さに合わせて吊り下げ装置1を設置できる。
また、安全手段支持部24は、上層階4のベランダ5に配設され安全手段25を懸架している。工事用足場2と分離して懸架されるので、工事用足場2が倒壊しても、作業者は安全を確保することができる。また、安全手段支持部24の長さ分の移動が可能となり、安全ブロック251に連結されるランヤード252と安全帯29とを着脱することなく左右の移動が可能で、作業員の利便性と安全性を確保することができる。
また、安全手段支持部24及び防護シート支持部8に、ワイヤ部材81、241及び巻き取り装置26を用いることによって、一組の枠組み部19の配置間隔の調節が容易となる。作業員の移動距離及び防護シート9の幅をベランダ5の長手方向の長さとすることができる。さらには、二つのベランダ5をまたいで吊り下げ装置1を配置することも可能となる。