JP2011046964A - 粘着テープ及び粘着テープ用基材 - Google Patents

粘着テープ及び粘着テープ用基材 Download PDF

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Abstract

【課題】引張試験において降伏点を持たず、高強度でPVCテープと同等の結束性、手切れ性及び長期耐熱性を有するとともに、難燃性をも具備することのできる粘着テープを提供すること。
【解決手段】粘着テープは、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する。基材は、カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーと、シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物と、サリチル酸化合物と、難燃剤と、を含有してなる。オレフィン系ポリマーの含有量は基材を構成するポリマー成分の全重量に対して10〜70重量%であり、シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物の含有量は基材を構成するポリマー成分100重量部に対して10〜100重量部である。サリチル酸化合物の含有量は基材を構成するポリマー成分100重量部に対して0.05〜10.0重量部であり、難燃剤の含有量は前記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して10〜100重量部である。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性を有する粘着テープ及び当該粘着テープに使用する粘着テープ用基材に関する。
従来、電気絶縁用途や結束用途では、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)フィルムを粘着テープ用基材とした粘着テープ(以下、「PVCテープ」と称す)が一般的に使用されている。PVCテープは非常に柔軟性があり(すなわち初期弾性率が低い)、例えば電線の接続部分を絶縁処理するような用途では接続部の凹凸への追従性が良好である。また、数本の電線等を束ねたりする用途では、電線を拘束するために強く巻く必要があり、100%程度伸張させて巻き付けることが多い。PVCテープは伸張度100%近傍の領域において、伸びに対する強度の傾きが大きいため、締め付け力が強く、また破断強度も高いことから、強く巻きつけても途中でテープが切れることはない。しかし、軟質PVCフィルムに使用されている材料の中には、環境負荷物質の疑いのあるものが多く含まれている。例えば、PVCは低温焼却時にダイオキシンの発生の原因となりうると報告されている。また、燃焼時には、有毒な塩化水素ガスや一酸化炭素を多量に発生する。さらに、柔軟性を付与するために配合されている可塑剤の中には、環境ホルモンの疑いがあると報告されているものもある。加えて、安定剤として鉛やカドニウムの化合物が使用される場合もあり、何れも人体に何らかの影響を及ぼす恐れがある。
このような状況の中、軟質PVCの代わりに比較的柔軟なオレフィン系ポリマーを使用することにより、粘着テープ用基材の代替が数多く検討されている(特許文献1参照)。しかし、通常オレフィン系ポリマーは結晶成分を有するため、引張試験を行った場合、伸張度50%近傍で一旦強度が低下する降伏点が存在する。降伏点が存在すると安定して巻き付けることができない上に、巻き付け後の拘束力が弱くなるため、結束用途としては不向きである。また、オレフィン系ポリマーは、一般的に破断強度が比較的大きく、また伸びも大きい。このため、粘着テープの使用後に刃物を使用せずに手で切る、いわゆる手切れ性が求められる用途では、切断後の破断面が伸びきった状態になってしまい端末処理に不具合を生じてしまう。したがって、オレフィン系ポリマーを粘着テープ用基材に使用した粘着テープではPVCテープの特徴である結束性や手切れ性を満たすことができず、また特に降伏点が存在するためPVCテープの代替としては致命的である。
そこで、このような柔軟性及び手切れ性の改善を意図して、オレフィン系ポリマーにシランカップリング剤で処理した金属水酸化物を配合した樹脂組成物からなる基材を有する粘着テープが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載の粘着テープにおいては、降伏点をなくすことはできたものの、PVCテープに比べると、伸張度100%近傍における弾性変形や破断強度の点で改善の余地がある。また、無機金属化合物が(重)金属性イオンを不純物として含有していると、場合により耐熱寿命を低下させることもあった。
また、オレフィン系ポリマーは基本骨格が炭化水素であるため、一般的に難燃性に乏しい。これに対し、PVCは塩素原子を多量に含んでいることから、それ自身で難燃性を有する。このため、PVCテープは多量の可塑剤を添加しても、自己消火レベル(空気中で火源を取り除くと自然に消火する程度)の難燃性を有することが可能である。オレフィン系ポリマーを難燃化する手段について、これまでに種々の検討がなされているが、オレフィン系ポリマーが有効な難燃効果を得るためには、非常に多量の難燃剤を添加する必要がある。PVCテープと同等の難燃性を得るために多量の難燃剤を添加すると、粘着テープ用基材が非常に薄いために、機械的物性の低下を招き、PVCと同等の難燃性を有するものを得ることは困難であった。ゆえに、オレフィン系ポリマーを構成材料に使用した粘着テープにおいて、少量の難燃剤の添加で十分な難燃性が得られるとの研究成果の報告はない。また、難燃剤を多量に配合した場合であっても、降伏点を持たない難燃性の粘着テープが得られるとの報告もない。
特開2003−178628号公報 特開2004−115714号公報
本発明はこのような実情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は粘着テープ用基材を構成するポリマー成分としてオレフィン系ポリマーを使用しながら、引張試験において降伏点を持たず、高強度でPVCテープと同等の結束性、手切れ性及び長期耐熱性を有するとともに、難燃性をも具備することのできる粘着テープ及び当該粘着テープに使用するための粘着テープ用基材を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ポリマー成分としてカルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーを用い、これにシラン系カップリング剤で処理した無機金属化合物と、サリチル酸化合物とを組み合わせ、それぞれを所定量配合して粘着テープ用基材を構成することで、降伏点を持たず、柔軟性、高い破断強度及び長期耐熱性を有するとともに、難燃性をも具備できるようになり、結束用途に適した粘着テープが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有している。
(1)基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する粘着テープであって、上記基材がカルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーと、シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物と、サリチル酸化合物と、難燃剤と、を含有してなり、上記オレフィン系ポリマーの含有量が上記基材を構成するポリマー成分の全重量に対して10〜70重量%であり、上記シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物の含有量が上記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して10〜100重量部であり、上記サリチル酸化合物の含有量が上記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して0.05〜10.0重量部であり、上記難燃剤の含有量が上記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して10〜100重量部である、ことを特徴とする粘着テープ。(2)当該粘着テープの酸素指数が24以上であることを特徴とする上記(1)記載の粘着テープ。
(3)上記無機金属化合物が金属水酸化物であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の粘着テープ。
(4)上記基材が電離放射線及び/又は架橋剤で架橋処理されていないものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一に記載の粘着テープ。
(5)当該粘着テープの100℃における加熱変形率が65%以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一に記載の粘着テープ。
(6)基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する粘着テープであって、上記基材がカルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーと、シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物と、サリチル酸化合物と、を含有してなり、上記オレフィン系ポリマーの含有量が上記基材を構成するポリマー成分の全重量に対して10〜70重量%であり、上記シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物の含有量が上記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して80〜200重量部であり、上記サリチル酸化合物の含有量が上記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して0.05〜10.0重量部である、ことを特徴とする粘着テープ。
(7)当該粘着テープの酸素指数が24以上であることを特徴とする上記(6)記載の粘着テープ。
(8)上記基材が電離放射線及び/又は架橋剤で架橋処理されていないものであることを特徴とする上記(6)又は(7)記載の粘着テープ。
(9)当該粘着テープの100℃における加熱変形率が65%以下であることを特徴とする上記(6)〜(8)のいずれか一に記載の粘着テープ。
(10)カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーと、シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物と、サリチル酸化合物と、難燃剤と、を含有してなり、上記オレフィン系ポリマーの含有量が基材を構成するポリマー成分の全重量に対して10〜70重量%であり、上記シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物の含有量が上記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して10〜100重量部であり、上記サリチル酸化合物の含有量が上記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して0.05〜10重量部であり、上記難燃剤の含有量が上記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して10〜100重量部である、ことを特徴とする粘着テープ用基材。
(11)当該粘着テープ用基材の酸素指数が24以上であることを特徴とする上記(10)記載の粘着テープ用基材。
(12)上記基材が電離放射線及び/又は架橋剤で架橋処理されていないものであることを特徴とする上記(10)又は(11)記載の粘着テープ用基材。
(13)カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーと、シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物と、サリチル酸化合物と、を含有してなり、上記オレフィン系ポリマーの含有量が基材を構成するポリマー成分の全重量に対して10〜70重量%であり、上記シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物の含有量が上記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して80〜200重量部であり、上記サリチル酸化合物の含有量が上記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して0.05〜10重量部であり、ことを特徴とする粘着テープ用基材。
(14)当該粘着テープ用基材の酸素指数が24以上であることを特徴とする上記(13)記載の粘着テープ用基材。
(15)上記基材が電離放射線及び/又は架橋剤で架橋処理されていないものであることを特徴とする上記(13)又は(14)記載の粘着テープ用基材。
本発明によれば、引張試験において降伏点を持たず、高強度でPVCテープと同等の結束性、手切れ性及び長期耐熱性を有するとともに、難燃性をも具備することのできる粘着テープ及び当該粘着テープに使用するための粘着テープ用基材を提供することができる。本発明の粘着テープは、結束用途に有用である。
粘着テープの加熱変形率の評価試験方法の説明図であり、図1(a)は試験体の側面図、図1(b)は試験装置の側面図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の粘着テープは、カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーと、シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物と、サリチル酸化合物とを必須成分とし、それぞれを所定量配合してなる基材を有することを特徴とする。また、本発明の粘着テープは、必要に応じて難燃剤及び/又は難燃助剤を含有してもよい。
本発明の粘着テープは、上記構成を採用することで、降伏点がなく、PVCテープと同等の柔軟性、結束性、手切れ性及び難燃性を有することができる。難燃性については、酸素指数を24以上とすることができる。酸素指数が22〜24のものは、一般的に自己消火レベル(空気中で火源を取り除くと自然に消火する程度)の難燃性と定義されている。主に電気絶縁用途では、自己消火レベルの難燃性が必須とされることが多い。ここで、「酸素指数」とは、温度23℃±2℃において酸素と窒素との混合ガス中の材料が最小限の燃焼を維持するのに必要な最低酸素濃度をいい、この値が大きいほど、難燃性が高いことを意味する。また、柔軟性、結束性及び手切れ性については、引張試験における初期弾性率、破断強度及び破断伸度を指標として数値化すると以下のようになる。
まず、粘着テープの柔軟性に相当するものが、引張試験における初期弾性率である。本発明の粘着テープの初期弾性率の値は、10〜150MPa、好ましくは30〜140MPa、より好ましくは50〜130MPaである。10MPaよりも小さいと、粘着テープを巻き戻すときに基材が伸びやすく、変形しやすい傾向にある。また、150MPaよりも大きいと、凹凸部への追従性が損なわれる傾向にある。
結束性を有するためには、降伏点がないこと、及び破断強度が高いことが要求される。降伏点の有無については、引張試験の出力データをグラフ化することにより判断することができる。なお、降伏点がないと判断するには、グラフから強度の低下が見られず、伸びが増すごとに常に強度が上昇することを必須条件とする。本発明の粘着テープの破断強度は、6〜30MPa、好ましくは8〜27MPa、より好ましくは10〜24MPaである。6MPaよりも小さいと、巻き付け作業中に粘着テープが切れてしまう可能性がある。また、30MPaよりも大きいと、巻き付け作業時に非常に強い力を要し、また作業終了後に手で粘着テープを切る場合に切り難くなる傾向にある。
手切れ性を有するためには、適度な伸びが必要となる。本発明の粘着テープの破断伸度は、80〜600%、好ましくは100〜400%、より好ましくは120〜350%である。80%よりも小さいと、巻き付け作業時に粘着テープが切れやすくなる傾向にある。また、600%よりも大きくなると、巻き付け作業終了後に粘着テープを手で切ろうとする場合に、粘着テープが伸びすぎて破断形状が悪くなり、端末の接着性が悪化する傾向にある。
なお、初期弾性率、破断強度及び破断伸度は、粘着テープから採取した試験片を、23℃、50%RHの雰囲気下で、JIS B 7721に規定する引張試験機又はこれと同等の引張試験機にて、チャック間距離50mm、引張速度300mm/minで引っ張り、測定した値である。
PVCテープに使用されているPVCは非晶性のポリマーであるが、分子間同士の相互作用が大きい。分子量、可塑剤量にもよるが、可塑化する温度は120℃程度であるため、100℃でも十分形状保持が可能である。PVCテープは、電線の接続用途、電気機器内の結束用途、自動車のエンジン回りの電線の結束等において高温条件下で使用されることも多い。したがって、粘着テープの有する機能として、高温使用条件下での形状保持性は非常に重要である。かかる形状保持性を確認すべく、従来使用される温度条件のなかでも比較的厳しい条件として100℃を選定し、UL510規格に準じた加熱変形試験を行った。本発明の粘着テープは、100℃における加熱変形率が65%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下である。これにより、本発明の粘着テープは、100℃の使用条件下で形状保持性が良好となる。
次に、本発明の粘着テープの構成材料について説明する。
まず、本発明の粘着テープ用基材について説明する。本発明の粘着テープ用基材は、ポリマー成分としてカルボニル性の酸素原子(カルボニル基に帰属される酸素原子)を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーを含有する。かかるオレフィン系ポリマーは、主として、粘着テープに柔軟性及び伸長性を付与するための成分であり、更にシラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物と共存することにより、強い界面結合力を生じ、粘着テープ用基材の機械的特性が改善されて、引張試験において降伏点を持たず、適度な伸長性と強度(粘着テープに良好な巻き付け作業性及び手切れ性を付与可能な伸長性と強度)とが得られる。
また、かかるオレフィン系ポリマーとしては、分子骨格中にカルボニル性の酸素原子を有する軟質ポリオレフィン系樹脂が好適に使用される。かかる軟質ポリオレフィン系樹脂としては、コモノマーとしてビニルエステル化合物及び/又はα,β一不飽和カルボン酸若しくはその誘導体を用いてなるエチレン系共重合体又はその金属塩(アイオノマー)等が挙げられ、一般に融点が100℃以下である。ここで、本発明において融点とは、示差走査熱量計(DSC)により測定した値をいう。
上記エチレン系共重合体又はその金属塩(アイオノマー)におけるビニルエステル化合物としては、例えば、酢酸ビニル等のビニルアルコールの飽和カルボン酸エステルが挙げられる。また、α,β-不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、アクリル酸
、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不蝕和カルボン酸又はその無水物類;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の不飽和カルボン酸エステル類等が挙げられるが、これらのうち(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、特に好ましくはアクリル酸エチルである。
エチレン系共重合体又はその金属塩(アイオノマー)の好適な具体例としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−アクリル酸エチル共重合体及びこれらの金属塩(アイオノマー)等が挙げられ、これらは1種又は2種以上が使用される。
カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーの配合量は、粘着テープ用基材を構成するポリマー成分の全重量に対して通常10〜70重量%、好ましくは15〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。かかる範囲を外れて、カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーの配合量が少ない場合には十分な強度を得ることができず、また配合量が多い場合には100℃における十分な耐加熱変形性を得ることができない。
カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマー以外のポリマー成分としては、耐熱変形性を満たすために100℃以上の融点を持つ樹脂が望ましい。少なくとも融点が100℃を超えるポリマーが全ポリマー成分中に存在しないと、100℃における耐加熱変形性を得ることができない。かかるポリマーとしては、PVCテープと同等の柔軟性を得るために、オレフィン系樹脂を母体とした樹脂であることが望ましい。例えば、ポリエチレン,ポリプロピレンのようなホモポリマーからなるポリオレフィン樹脂、エチレン成分やプロピレン成分を含むポリマーアロイ等が好適である。
エチレン成分やプロピレン成分を含むポリマーアロイの構成(形態)は、特に制限されず、例えば、(1)2種以上の重合体が物理的に混合されたポリマーブレンド(物理的混合物)、(2)2種以上の重合体が共有結合で結合したブロック共重合体やグラフト共重合体、(3)2種以上の重合体が互いに共有結合で結合されることなく絡み合ったIPN(Interpenetrating Polymer Network)構造体等、種々の構成(形態)のものが許容される。また、ポリマーアロイは組成的に必ずしも均一でなくてもよく(分布をもっていてもよく)、また2種以上の重合体が相溶したもの(相溶性ポリマーアロイ)でも、2種以上の重合体が非相溶で相分離構造を形成しているもの(非相溶性ポリマーアロイ)でもよい。
また、本発明の粘着テープ用基材は、サリチル酸化合物を含有する。サリチル酸化合物を添加することにより、破断強度を更に高めることができ、PVCテープの物性により近づけることができる。この高強度発現のメカニズムの詳細は不明であるが、無機金属化合物表面に吸着したサリチル酸化合物が、カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーとの間に何らかの相互作用を持つことにより、より高強度になるものと、本発明者らは推測している。
サリチル酸化合物は無機金属化合物中の不純物金属性イオンを吸着し、酸化防止剤の効果を高める働き(重金属不活性化剤)があるため、基材の強度を上昇させるとともに、耐熱寿命を向上させる効果を併せ持つ。そのため、本発明においては、カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマー、シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物及びサリチル酸化合物、或いはカルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマー、シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物及びサリチル酸化合物が必須の構成材料となる。
サリチル酸化合物としては、サリチル酸とヒドラジンとの反応生成物が挙げられ、具体的には、N−サリチラル−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、N,N’−ビス(サリチロイル)シュウ酸ジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)ジヒドラジド、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド及びそれらの混合物等が挙げられる。
サリチル酸化合物の配合量は、粘着テープ用基材中のポリマー成分100重量部に対して0.05〜10.0重量部、好ましくは0.1〜5.0重量部、より好ましくは0.2〜2.0重量部である。0.05重量部よりも少ないと、破断強度を高める効果がなく、耐熱寿命を高める効果も少ない。10.0重量部を超えて添加しても、添加量に見合う改善効果が得られず、粘着テープ用基材表面への染み出しが多くなり他の特性に悪影響を及ぼす恐れもある。また、成膜加工時に金属ロール表面への汚染が発生する。
また、本発明の粘着テープ用基材は、シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物を含有する。シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物としては、特に制限されるものではないが、例えば、珪藻土、タルク、クレー、けい酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、マイカ、ウォラストナイト、ウィスカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、硼砂等の公知の無機金属化合物に、シラン系カップリング剤による表面処理を施したものが挙げられる。シラン系カップリング剤で表面処理された無機金属化合物は、1種又は2種以上を併用してもよい。
ポリマーとの界面結合力を高める観点からすれば、無機金属化合物の粒子径は小さいほど有利であるが、粒子径が小さくなるほど粒子同士の凝集が起きやすくなるため、分散不良により機械物性の低下を招く傾向にある。したがって、当該無機金属化合物の粒子径は一般に0.05〜50μm程度、好ましくは0.1〜20μm程度、より好ましくは0.5〜10μm程度である。なお、かかる粒子径は、レーザ回折法で測定した二次粒子の平均粒子径である。
シラン系カップリング剤は、無機材料に対して親和性又は反応性を有する加水分解性のシリル基に、有機樹脂に対して親和性又は反応性を有する有機官能基を化学的に結合させた構造を有するシラン化合物である。シラン系カップリング剤の加水分解性基としては、アルコキシ基、アセトキシ基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が一般的である。有機官能基としては、アミノ基、メタクリル基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基等が一般的であるが、降伏点をなくす効果、及び高強度が得られる点でアミノ基が最も優れている。
アミノシラン系カップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルーγ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用してもよい。
シラン系カップリング剤による無機金属化合物の表面処理の方法は、特に制限されるものではなく、一般的な方法、例えば、乾式処理法、湿式処理法等で行われる。シラン系カップリング剤の無機金属化合物の表面への付着量は、カップリング剤の種類、無機金属化合物の種類、比表面積によっても異なるが、無機金属化合物に対して通常0.1〜5.0重量%、好ましくは0.3〜3.0重量%である。
シランカップリング剤で処理した無機金属化合物の配合量は、粘着テープ用基材を構成するポリマー成分100重量部に対して10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、より好ましくは30〜60重量部である。10重量部より少ないと物性改善の効果が少なく、また100重量部より多いと所望の難燃性を得るために難燃剤又は難燃助剤を多量に配合しなければならず、その結果、柔軟性、破断強度の低下を招く。
本発明においては、粘着テープに所望の難燃性を付与するために、粘着テープ用基材に難燃剤を配合する。難燃剤としては、既知の難燃剤を添加することができ、例えば、臭素系や塩素系等のハロゲン系難燃剤、赤リン,リン酸エステル系,リン酸塩系等のリン系難燃剤、メラミン系,グアニジン系等の窒素系難燃剤,シリコーンオイル,シリコーン樹脂等のシリコーン系難燃剤、水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、膨張性黒鉛等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、既知の難燃助剤を添加してもよい。難燃助剤としては、例えば、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、カーボンブラック、すず酸亜鉛等のすず系化合物等が挙げられる。
ここで、本発明において所望の難燃性とは、一般的に自己消化性を有する難燃レベルとされる酸素指数24以上を指標としている。これは一般的な電気絶縁用途や結束用途で使用されているPVCテープが持つ難燃レベルとも一致する。また、本発明では更に高い難燃性を要求される場合にも適応でき、下記に示す各材料の配合の範囲であれば、PVCテープと同等の巻き付け作業性や、柔軟性等の性能を有しながら、更に難燃性を付与することが可能である。
難燃剤の配合量は、粘着テープ用基材を構成するポリマー成分100重量部に対して10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、より好ましくは30〜60重量部である。特に無機金属化合物が金属水酸化物以外である場合には、難燃剤の添加量を30〜100重量部、好ましくは40〜90重量部、より好ましくは50〜80重量部とすることが望ましい。また、難燃助剤の添加量は、粘着テープ用基材を構成するポリマー成分100重量部に対して0〜50重量部、好ましくは0〜40重量部、より好ましくは0〜30重量部である。
また、シランカップリング剤で処理した金属水酸化物を配合する場合には、難燃剤又は難燃助剤を用いなくても、粘着テープに所望の難燃性を付与することが可能である。金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の難燃性を有する金属水酸化物が挙げられる。シランカップリング剤で処理した金属水酸化物の配合量は、粘着テープ用基材を構成するポリマー成分100重量部に対して80〜200重量部、好ましくは90〜180重量部、より好ましくは100〜160重量部である。80重量部より少ないと所望の難燃性が得られず、200重量部より多いと柔軟性、破断強度の低下を招く。
本発明の粘着テープは、カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマー、シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物、サリチル酸化合物及び難燃剤、或いはカルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマー、シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物及びサリチル酸化合物を基本とし、それぞれを所定量配合した粘着テープ用基材を備えることで、酸素指数が24以上となり、降伏点が存在せず、PVCテープと同様の結束作業性を得ることができる。
本発明の粘着テープ用基材には、必要に応じて、アミン系,キノリン系,ヒドロキノン系,フェノール系,リン系,亜リン酸エステル系等の老化防止剤や酸化防止剤、ベンゾフェノン系,ベンゾトリアゾール系,ヒンダードアミン系等の紫外線吸収剤、脂肪酸アマイド(例えば脂肪酸モノアマイド、不飽和脂肪酸アマイド等のアマイド類、置換アマイド類、メチロールアマイド類),脂肪酸エステルアマイド,ポリエチレンワックス等の滑剤、可塑剤等を配合してもよい。これらはオレフィン系ポリマー、無機金属化合物、サリチル酸化合物等の必須の構成材料とともに混練して混和物にすることにより、フィルム成形に供される。
粘着テープ用基材の成膜方法としては、特に制限されるものではないが、まず、原材料を適当な混練機、例えばバンバリーミキサー、加圧ニーダー、ミキシングロール、押出し機等で混練を行い、当該混練物を圧縮成形、押出し成形、カレンダー成形、射出成形等の公知の成膜方法によりフィルム状に成形する方法が挙げられる。粘着テープ用基材の厚さは、粘着テープの用途よっても異なるが、一般的には0.01〜1mm、好ましくは0.05〜0.5mmである。
本発明の粘着テープ用基材には、フィルム状に成形後に電子線、β線、γ線等の電離放射線を照射したり、粘着テープ用基材を構成する樹脂組成物中に有機過酸化物等の架橋剤や架橋助剤を配合したりして成形過程で架橋処理することも可能であるが、経済的な観点から架橋処理されていないものが好ましい。
本発明の粘着テープは、前述した粘着テープ用基材の少なくとも片面に粘着剤層を設けて構成される。粘着剤層を形成すべき粘着剤としては、ゴム系、ホットメルト系、アクリル系、エマルジョン系等の現存する全ての粘着剤を適用することができる。ゴム系、ホットメルト系粘着剤のベースポリマーとしては、天然ゴム、再生ゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリイソプレン、NBR、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体等が好ましい。
粘着剤に使用されるタッキファイヤーとしては、例えばロジン系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、脂肪族石油炭化水素(C)系粘着付与剤、脂肪族石油炭化水素(C9
系粘着付与剤及び水添化合物等が挙げられる。また、粘着テープの粘着剤に一般に添加されるオイル、ワックス、酸化防止剤等の添加剤を添加してもよい。
上記粘着剤のうち、アクリル系粘着剤が好ましく、該アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合性モノマーとの共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル又は共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルへキシルエステル、オクチルエステル等)、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシアミド、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、主モノマーとしては、通常、そのホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度が−50℃以下となるアクリル酸アルキルエステルが好ましい。
粘着剤の塗布方法としては、従来公知の方法を使用でき、例えば、流延法、ロールコーター法、リバースコ一タ法、ドクターブレード法等が使用できる。粘着剤層の厚みは、通常、10〜50μm程度、好ましくは15〜40μm程度である。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例に使用する構成材料を以下に示す。
1)「カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマー」(以下、「A成分」と記す)として以下のものを用いて評価を行った。
A1:エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、融点72℃[商品名:エバフレックスEV270、三井デュポンポリケミカル(株)製]
A2:エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、融点79℃[商品名:エバフレックスA−714、三井デュポンポリケミカル(株)製]
2)「A成分以外のオレフィン系ポリマー」(以下、「B成分」と記す)として以下のものを用いて評価を行った。
B1:低密度ポリエチレン(LDPE)、融点110℃、[商品名:スミカセンG201、住友化学工業(株)製]
B2:PP系エラストマー、融点142℃、[商品名:ADFREX Q100F、サン
アロマー(株)製]
3)無機金属化合物(以下、「C成分」と記す)として以下のものを用いて評価を行った。
なお、耐熱寿命への無機金属化合物の影響は非常に大きいため、耐熱寿命に対する効果を明確にするため、ここで使用する無機金属化合物は全て同種のクレーあるいは水酸化マグネシウムを使用した。
C1:焼成クレー(平均粒子径 0.8μm)の表面未処理のもの。
C2:焼成クレー(平均粒子径 0.8μm)の表面にγ−アミノプロピルトリエトキシシランを湿式法により理論上100%表面を覆うことができる量で表面処理したもの。
C3:水酸化マグネシウム(平均粒子径 0.8μm)の表面未処理のもの。
C4:水酸化マグネシウム(平均粒子径 0.8μm)の表面をγ−アミノプロピルトリエトキシシランを湿式法により理論上100%表面を覆うことができる量で表面処理したもの。
4)サリチル酸化合物(以下、「D成分」と記す)として以下のものを用いて評価を行った。
D1:3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール
D2:デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド
5)酸化防止剤(以下、E成分と記す)として以下のものを用いて評価を行った。
なお、酸化防止剤についても耐熱寿命に与える影響が大きいため、以下のもので、全て同量の添加量とした。
E1:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
E2:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト
6)難燃剤及び難燃助剤(以下、「F成分」と記す)として以下のものを用いて評価を行った。
F1:エタン−1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)
F2:三酸化アンチモン
A成分、B成分、C成分、D成分、E成分、F成分を下記表1及び2に示す材料及び配合量とし、下記作製法に従って粘着テープ用基材及び粘着テープを作製した。
[粘着テープ用基材及び粘着テープの作製法]
下記表1及び2に示す各配合材料を加圧ニーダーにて混練して混和物を作製した。次いで、該混和物をカレンダー圧延機により0.15mmの厚さのフィルムに成形して粘着テープ用基材を作製した。そして、該粘着テープ用基材の片面にコロナ放電処理を施した後、アクリル系粘着剤を塗布(厚さ0.030mm)して、実施例1〜7及び比較例1〜5の粘着テープを作製した。
Figure 2011046964
Figure 2011046964
[評価試験]
実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた粘着テープを、PVCテープの標準仕様の幅である19mm幅に切断することにより、試験サンプルを作製し以下に示す種々の試験を行った。また、比較例6においては、市販のPVCテープ(商品名No.223S、日東電工(株)製)について試験を行った。評価結果を表3及び4に示した。
(1)引張試験
粘着テープから採取した試験片を、23℃、50%RHの雰囲気下で、JIS B 7721に規定する引張試験機(AG−20KNG、(株)島津製作所製)にて、チャック間距離50mm、引張速度300mm/minで引っ張り、初期弾性率、破断強度、破断伸度を測定した。また、測定の出力グラフにより、降伏点の有無について確認した。なお、上記測定は、粘着テープ製造後、48時間以上、23℃、50%RHの雰囲気下に保存した後に行うこととした。
<判定基準>
初期弾性率:10〜150MPaのものを合格とした。
降伏点 :伸びに対し、常に強度が上昇するものを合格とした。
破断強度 :6〜30MPaのものを合格とした。
破断伸び :80〜600%のものを合格とした。
(2)加熱変形試験
図1(a)に示すように、導体からなる直径(d)が2mmの丸棒1の外周面に粘着テープTを厚さ(t)が0.8mmに等しい厚さになるように巻き付けた試験体10を作製した。当該試験体10の常温での外径(Do)をJIS B7503に規定のダイヤルゲージ、JIS B7507に規定のノギス、又は、これらと同程度の測定精度を有する測定器で測定し、その総厚さが3.6±0.5mmになるように当該試験体10を作製した。次に、当該試験体10を規定温度(100.0±1.0℃)に加熱した試験機に入れ、60分間加熱した後、試験体10を図1(b)に示すように、試験装置の直径9.5±0.2mmの押え2aが付いた加圧板2と平行板3との間に設置し、板平面に対する垂直方向から規定の重り(4.90N)を荷重して加圧した。次に、規定温度(100.0±1.0℃)で60分間放置した後、そのままの状態で試験体の外径(D)を測定し、加熱前のテープの厚さ(t)、加熱後のテープの厚さ(t)を下記式(I)により計算した。そして、下記式(II)により、加熱前のテープの厚さからの加熱後のテープの厚さの減少率(加熱変形率)(X)を算出した。
<判定基準>
減少率(加熱変形率)(X)が65%以内であれば合格、65%を越えると不合格とした。
t=(D−d)/2 (I)
(式中、Dは試験体の外径、dは丸棒の直径)
X(%)=((t−t)/t)×100 (II)
(式中、tは加熱前の厚さ(mm)、tは加熱後の厚さ(mm))
(3)耐熱寿命測定
粘着テープ試験片を150mm採取し、ポリエステル製のフィルムに離形処理を施したフィルムの離形処理面側に粘着テープ試験片の粘着面側を貼り付けた。
試験片をギアオーブン中に荷重がかからないように吊り下げて、下記の条件下で耐熱寿命評価を行った。試験片の伸びが50%以下になったときをその試験片の耐熱寿命と定めた。
層内温度;140℃
風速;0.5m/sec.
排気ダンパー開口率;50%
(4)難燃性試験(酸素指数)
難燃性の評価方法は数多くあるが、数値化が可能な酸素指数により評価することとし、JIS K 7201−2に準じて試験を行った。
酸素指数の値は測定する試料片の厚さに影響されるため、粘着テープの難燃性を再現性良く測定できる試験片形状として以下のものを採用した。試験片の型はIV(長さ80〜150mm、幅6.5±0.5mm、厚さ3±0.25mm)とし、粘着テープを重ね合わせることにより作製した。
<判定基準>
酸素指数が24以上のものを合格とした。
Figure 2011046964
Figure 2011046964
比較例1は、C成分として未処理の金属水和物を配合した例である。難燃性は自己消化性レベルの酸素指数24以上であるが、降伏点を有し、破断伸度が大きいため結束用途としては適さない。
比較例3は必須の構成材料が配合されているが、F成分を過剰に添加したため機械物性の低下が大きいことが確認された。
実施例5と比較例4はD成分の配合の有無による効果の差を検討したものである。D成分を添加することにより、破断強度が向上し、降伏点もなくすことができることが確認された。また、耐熱寿命の向上も確認された。
以上の結果から、カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマー、シラン系カップリング剤で表面処理した無機金属化合物及びサリチル酸化合物をそれぞれ所定量配合することにより、柔軟かつ高強度、高耐熱性で手切れ性も有し、巻き付け作業に適した粘着テープが得られることが確認された。また、難燃剤を更に添加することにより、上記の物性を損なうことなく難燃性を付与することができる。また、カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマー、シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物及びサリチル酸化合物をそれぞれ所定量配合しても、高い難燃性を付与できることが確認された。
1…丸棒、2…加圧板、3…平行板、10…試験体、T…粘着テープ。

Claims (7)

  1. 基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する粘着テープであって、
    前記基材がカルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーと、
    シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物と、
    サリチル酸化合物と、
    を含有してなり、
    前記オレフィン系ポリマーの含有量が前記基材を構成するポリマー成分の全重量に対して10〜70重量%であり、
    前記シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物の含有量が前記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して80〜200重量部であり、
    前記サリチル酸化合物の含有量が前記基材を構成するポリマー成分100重量部に対して0.05〜10.0重量部である、
    ことを特徴とする粘着テープ。
  2. 当該粘着テープの酸素指数が24以上である、ことを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。
  3. 前記基材が電離放射線及び/又は架橋剤で架橋処理されていないものである、ことを特徴とする請求項1又は2記載の粘着テープ。
  4. 当該粘着テープの100℃における加熱変形率が65%以下である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着テープ。
  5. カルボニル性の酸素原子を分子骨格中に有するオレフィン系ポリマーと、
    シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物と、
    サリチル酸化合物と、
    を含有してなり、
    前記オレフィン系ポリマーの含有量が基材を構成するポリマー成分の全重量に対して10〜70重量%であり、
    前記シラン系カップリング剤で表面処理した金属水酸化物の含有量が該基材を構成するポリマー成分100重量部に対して80〜200重量部であり、
    前記サリチル酸化合物の含有量が該基材を構成するポリマー成分100重量部に対して0.05〜10重量部である、
    ことを特徴とする粘着テープ用基材。
  6. 当該粘着テープ用基材の酸素指数が24以上である、ことを特徴とする請求項5記載の粘着テープ用基材。
  7. 前記基材が電離放射線及び/又は架橋剤で架橋処理されていないものである、ことを特徴とする請求項5又は6記載の粘着テープ用基材。
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