JP2011043588A - 液晶位相変調デバイス - Google Patents

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篤史 小柳
Takuji Nomura
琢治 野村
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Abstract

【課題】入射光の偏光状態に依存することなく、応答速度の速い液晶位相変調デバイスを提供する。
【解決手段】液晶層と、前記液晶層を挟持する複数の透明基板と、複数の前記透明基板の前記液晶層側の面に形成された透明電極と、を有する液晶位相変調素子を備え、入射する波長λの光の位相変調を行う液晶位相変調デバイスにおいて、入射する前記波長λの光は、前記液晶層を3度以上透過して前記液晶位相変調素子を出射し、前記液晶層に電圧を印加して、前記波長λの光のうち少なくとも1方向の直線偏光の光の位相差を0〜2πの範囲で変えることができる液晶位相変調デバイスを提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、液晶位相変調デバイスに関するものであり、特に、光通信において光の位相を変調する液晶位相変調デバイスに関する。
光通信において光時分割多重(OTDM:Optical Time Division Multiplexing)方式により、低速の光クロック信号を逓倍するのに、光クロックマルチプレクサ(Optical Clock Multiplexer)が用いられる。また、近年、160Gビット/秒を超える光時分割多重に用いられる光クロック(搬送波)に対応するため、光変調装置を用いて光クロックの波高値と位相補正が必要となる。
160Gビット/秒という高速光パルスクロックは、光時分割多重方式及び波長分割多重と光時分割多重方式のハイブリッド伝送方式において、光ファイバの利用可能な広いバンド幅を最大限活用することができるものである。このためには、光信号において強度変調とともに位相変調を行うことが必要とされており、1つの素子により光信号の強度変調と位相変調を行うことが望ましい。
引用文献1では、光信号の強度変調と位相変調を1つの素子により行うことのできる液晶光変調素子が開示されている。
特開2008−122856号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている液晶光変調素子において、液晶光変調素子に印加する電圧の大きさを変化させて、入射する光の波長に対して少なくとも2πの位相変調を発生させるためには、液晶層を一定の厚さ以上にする必要がある。つまり、液晶の厚さを厚くすれば、位相変調量を大きく設定することができる。しかし、液晶層に印加する電圧の変化に対して、液晶が一定の位相変調量に安定するまでの時間は、一般的に液晶層の厚さの2乗に比例するため、例えば、電圧がVaからVb(Va≠Vb)へ瞬時に変化しても、電圧Vbに相当する位相変調量に安定するまでの応答速度が遅くなり、高速通信に対応することができないという問題点がある。また、800nmの波長帯の光が用いられる場合のみならず、1460〜1530nmのSバンドと1530〜1565nmのCバンドと1565〜1625nmのLバンドを用いるWDM通信のような長距離通信の場合では、1550nmの波長帯域の光に対し、位相を2π変化させるためには、より液晶層を厚くする必要があるため、一層応答速度が遅くなってしまうという問題があった。
本発明の液晶位相変調デバイスは、液晶層と、前記液晶層を挟持する複数の透明基板と、複数の前記透明基板の前記液晶層側の面に形成された透明電極と、を有する液晶位相変調素子を備え、入射する波長λの光の位相変調を行う液晶位相変調デバイスにおいて、入射する前記波長λの光は、前記液晶層を3度以上透過して前記液晶位相変調素子を出射し、前記液晶層に電圧を印加して、前記波長λの光のうち少なくとも1方向の直線偏光の光の位相差を0〜2πの範囲で変えることができる。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記液晶位相変調素子は、前記液晶層が2層以上重ねられた構成であり、前記波長λの光が入射する前記液晶位相変調素子とは反対側に光反射部を有し、前記波長λの光は、前記光反射部で反射され、前記液晶層を往復して透過する。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記液晶位相変調素子は、前記液晶層がm層以上重ねられた構成であり(m≧4の偶数)、m層の前記液晶層のうちの半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記透明基板面に沿った第1の方向に配向され、残り半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記第1の方向と直交し前記透明基板面に沿った第2の方向に配向され、前記波長λの光の偏光状態に関わらず位相差を0〜2πの範囲で変えることができる。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記液晶位相変調素子と前記光反射部との間の前記波長λの光の光路中に、1/4波長板が設けられている。
また、本発明の液晶位相変調デバイスは、前記液晶位相変調素子から前記光反射部に向かう前記波長λの光の光路中またにおいて、前記光反射部から前記液晶位相変調素子に向かう前記波長λの光の光路中に、1/2波長板が設けられている。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記反射部は、三角プリズムにより構成されており、前記三角プリズムに入射する前記波長λの光は、前記三角プリズムの第1の面、第2の面の順に反射され、m層の前記液晶層(m≧2の偶数)のうちの半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記透明基板面に沿っているとともに、前記第1の面で反射されて前記第2面に進行する方向を基準に略45°となる第1の方向に配向され、残り半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記第1の方向と直交し前記透明基板面に沿った第2の方向に配向され、前記波長λの光の偏光状態に関わらず位相差を0〜2πの範囲で変えることができる。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記液晶位相変調素子は、前記液晶層がm層以上重ねられた構成であり(m≧3の整数)、m層の前記液晶層はそれぞれ、前記光反射部に向かう前記波長λの光の光路中に配置された第1の液晶領域と、前記光反射部で反射された前記波長λの光の光路中に配置された第2の液晶領域と、を有し、それぞれの前記液晶層の前記第1の液晶領域と前記第2の液晶領域とは、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記透明基板面に沿った第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向と、の組み合わせとなるように配向され、前記波長λの光の偏光状態に関わらず位相差を0〜2πの範囲で変えることができる。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記液晶位相変調素子は、1つまたは複数の前記液晶層を有し、前記液晶位相変調素子のうち、前記波長λの光が入射する側とは反対側に第1の光反射部を有するとともに、前記波長λの光が入射する側に第2の光反射部を有し、前記波長λの光は、前記第1の光反射部および前記第2の反射部で少なくとも1度以上反射されて、前記液晶層を透過する。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記液晶位相変調素子と前記第1の光反射部との間の前記波長λの光の光路中または、前記液晶位相変調素子と前記第2の光反射部との間の前記波長λの光の光路中に、1/4波長板が設けられている。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記液晶位相変調素子は、前記液晶層がm層以上重ねられた構成であり(m≧2の偶数)、m層の前記液晶層のうちの半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記透明基板面に沿った第1の方向に配向され、残り半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記第1の方向と直交し前記透明基板面に沿った第2の方向に配向され、前記波長λの光の偏光状態に関わらず位相差を0〜2πの範囲で変えることができる。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記液晶位相変調素子は、前記液晶層が3層以上重ねられた構成であり、前記波長λの光は、前記液晶層を1度ずつ透過する。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記液晶位相変調素子は、前記液晶層がm層以上重ねられた構成であり(m≧6の偶数)、m層の前記液晶層のうちの半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記透明基板面に沿った第1の方向に配向され、残り半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記第1の方向と直交し前記透明基板面に沿った第2の方向に配向され、前記波長λの光の偏光状態に関わらず位相差を0〜2πの範囲で変えることができる。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記液晶層の液晶の温度を調整する温度制御部が設けられている。
また、本発明の液晶位相変調デバイスにおいて、前記波長λは、1450nm〜1650nmである。
本発明によれば、通信用の長波長の波長帯の光に対しても2πの位相変調を高速に行うことが可能な液晶位相変調デバイスを提供することができる。
第1の実施の形態における液晶位相変調デバイスの構成図 第1の実施の形態における液晶位相変調デバイスの要部構成図 第1の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図 第2の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図 第2の実施の形態における1/4波長板の上面図 第3の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図 第3の実施の形態における1/2波長板の上面図 第4の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図 第5の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図 第5の実施の形態における液晶層の配向方向の説明図 第6の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図 第6の実施の形態における液晶層の配向方向の説明図 第7の実施の形態における液晶位相変調デバイスの構成図 第7の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図(1) 第7の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図(2) 第7の実施の形態における液晶層の配向方向の説明図 第8の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図(1) 第8の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図(2) 第8の実施の形態における液晶層の配向方向の説明図 第9の実施の形態における液晶位相変調デバイスの構成図 第9の実施の形態における液晶位相変調デバイスの要部構成図 第9の実施の形態における液晶位相変調デバイスの説明図 実施例における液晶位相変調素子の構成図 実施例における液晶位相変調素子の印加電圧と位相変化の相関図
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態について説明する。図1は本実施の形態における液晶位相変調デバイスの構成図である。本実施の形態における液晶位相変調デバイスは、入射した光の位相を変調する液晶位相変調素子2と、液晶位相変調素子2に隣接して配置され、入射する波長の光を反射する光反射部3と、必要に応じ、液晶位相変調素子2の温度制御を行うための温度制御部5と、を有している。また、液晶位相変調素子2には、電圧を印加する電圧制御部4が接続される。
光反射部3は、反射ミラーまたは反射プリズム等により構成されており、入射する光を高い反射率で反射することが可能である。例えば、反射ミラーまたは反射プリズムは、反射面が、誘電体多層膜やアルミニウムや金などの金属膜などで形成される。温度制御部5は、液晶位相変調素子2における液晶の温度を制御するためのものであり、温度調節することのできる筐体、ペルチェ素子等の熱電変換素子等により構成される。また、温度制御部5は、液晶位相変調素子2と一体化されて形成されているものであってもよい。電圧制御部4は、液晶位相変調素子2に対してとくに、交流電圧を印加するためのものである。
温度制御部5は、温度を高めることで液晶の粘性を低くする効果を促し、特に印加する電圧の値が変化(例えば、VaからVb)したとき、液晶が充填された液晶層を透過する光の位相変調量を安定した値に、より高速に応答させることができる。上記のように所望の応答速度は、液晶層の厚さと駆動時の液晶の温度によって決まるので、例えば、液晶層の厚さを薄くできない場合、応答速度を得るために温度を上げることで調整することができる。また、液晶は高温状態であると劣化しやすいので、80℃以下に維持すればよく、50℃以下が好ましく、45℃以下であればより好ましい。
また、温度制御部5として、液晶位相変調素子2とは別個に離隔して設けることもできるが、例えば、液晶位相変調素子2の一部に抵抗体となるITO膜からなる配線を形成し、ITO膜からなる配線に電流を流すことにより発熱させて温度制御を行うものであってもよい。尚、温度制御部5は、液晶位相変調素子2の温度制御を行う必要がない場合には、特に設ける必要はない。本実施の形態のおける液晶位相変調デバイスでは、液晶位相変調素子2を介し、光反射部3の設けられている側と反対側より、入射光A1を入射し、液晶位相変調素子2を通過した後、光反射部3において反射され、再び液晶位相変調素子2を通過した後、出射光B1として出射される。
図2は、本実施の形態における液晶位相変調デバイスの構造をより詳細に示す構造模式図である。図2(a)は、液晶位相変調デバイスにおける断面模式図である。図2(a)では、本実施の形態における液晶位相変調素子2に+Z方向に入射する入射光A1を図示するが、光反射部3を反射ミラー等により構成し、反射ミラー平面にて鏡面反射させる場合には、+Z方向より僅かに傾いた方向より入射させてもよい。このように、光反射部を設けることによって、入射する光が液晶位相変調素子2を往復し、往路と復路とで位相変調が可能となる。液晶位相変調素子2は、特定の(直線)偏光方向の光に対してのみ位相変調させたり、入射する光の偏光状態に関係せずに位相変調させたりすることもできるが、以下は、後者の偏光状態に依存しない位相変調について説明する。
本実施の形態における液晶位相変調素子2は、4つの液晶層、即ち、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14が積層されている。これら4つの液晶層は、透明導電膜及び配向膜の形成された5枚の透明基板の間に各々液晶を封入することにより形成される。
具体的には、第1の透明基板15aの一方の面に透明電極11aと不図示の配向膜とが形成され、第2の透明基板15bの一方の面に透明電極11bと不図示の配向膜とが形成され、透明電極11aと透明電極11bとが対向するように第1の透明基板15aと第2の透明基板15bとを配置し、第1の透明基板15aと第2の透明基板15bとの間に液晶を封入することにより、第1の液晶層11が形成される。第1の透明基板15aの他方の面には、入射光及び出射光の透明基板15aと空気との界面におけるフレネル反射を抑制する目的で反射防止膜を形成してもよい。
更に、第2の透明基板15bの他方の面には、透明電極12aと不図示の配向膜とが形成されており、第3の透明基板15cの一方の面に透明電極12bと不図示の配向膜とが形成され、透明電極12aと透明電極12bとが対向するように第2の透明基板15bと第3の透明基板15cとを配置し、第2の透明基板15bと第3の透明基板15cとの間に液晶を封入することにより、第2の液晶層12が形成される。
更に、第3の透明基板15cの他方の面には、透明電極13aと不図示の配向膜とが形成されており、第4の透明基板15dの一方の面に透明電極13bと不図示の配向膜とが形成され、透明電極13aと透明電極13bとが対向するように第3の透明基板15cと第4の透明基板15dとを配置し、第3の透明基板15cと第4の透明基板15dとの間に液晶を封入することにより、第3の液晶層13が形成される。
更に、第4の透明基板15dの他方の面には、透明電極14aと不図示の配向膜とが形成されており、第5の透明基板15eの一方の面に透明電極14bと不図示の配向膜とが形成され、透明電極14aと透明電極14bとが対向するように第4の透明基板15dと第5の透明基板15eとを配置し、第4の透明基板15dと第5の透明基板15eとの間に液晶を封入することにより、第4の液晶層14が形成される。第5の透明基板15eの他方の面には、入射光及び出射光の透明基板15eと空気との界面でのフレネル反射を抑制する目的で反射防止膜を形成してもよい。または、反射防止膜を形成せずに反射ミラーや反射プリズムを配置してよい。
尚、各々の透明電極と不図示の配向膜との間には、透明な誘電体材料により形成される絶縁膜を形成してもよい。絶縁膜として用いられる材料としては、SiO(酸化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等が挙げられる。
また、各々の透明基板は、入射光に対し透明な材料により形成されており、樹脂基板、樹脂フィルム、ガラス等を用いることができる。特に、光学的等方性材料であるガラスまたは石英ガラスを用いた場合では、各々の透明基板内を透過する光に対し複屈折の影響を与えず、耐久性に優れているため好ましい。
また、各々の透明電極は、ITO(Indium Tin Oxide)、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、GZO(Gallium Zinc Oxide)等の酸化物からなる透明導電膜により形成されている。これら酸化物からなる透明導電膜は、高い透明性と高い導電性を有するため好ましい。また、配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜をラビング処理したものや、酸化シリコン等の無機物材料を斜方蒸着により成膜したものや、有機物を基板に塗布した後に紫外線などを照射することにより配向能を発現させる光配向膜などが用いられる。
電圧制御部4は、交流電源により構成されており、4つの液晶層に対して交流電圧を印加することができる。液晶層には直流電圧を印加することもできるが、液晶の劣化を防ぐためには交流電圧を印加することが好ましい。電圧制御部4は、図2(a)においては、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14において、各々均一な電圧が印加される構成を示しているが、これら4つの液晶層各々に独立に電圧が印加することができる構成であってもよい。
各々の液晶層は、ネマチック相液晶を用いるものが好ましく、電圧が印加されていない状態で、液晶分子の長軸方向が透明基板面と略平行となる水平配向(ホモジニアス配向)と、液晶分子の長軸方向が透明基板面と略垂直となる垂直配向(ホメオトロピック配向)とがある。水平配向には、正の誘電異方性(Δε>0)を有する液晶材料を用い、垂直配向には、負の誘電異方性(Δε<0)を用いることが好ましい。尚、本実施の形態における液晶位相変調素子においては、液晶層は、水平配向または垂直配向のどちらでもよい。
尚、垂直配向の場合、電圧を印加して一定の電圧値以上であると液晶の長軸方向が透明基板面に沿った一方向に配向する。したがって、電圧が印加されていない状態における、水平配向および垂直配向は、いずれも液晶層に印加する電圧値によって液晶分子の長軸方向の向きが変化するが、電圧値の大きさと液晶分子の長軸方向の向きと、の関係が逆になるだけであって、いずれも入射する光の位相を変調させる機能を有する。以下の実施の形態の説明においては、液晶層が水平配向の場合について説明する。また、一対となる水平方向の配向膜の配向方向は互いに平行方向となるように構成されている。
また、本実施の形態においては、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14となる4つの液晶層により構成される場合について説明するが、入射光に対し反射光が、印加電圧の制御により0〜2πまで位相制御することが可能であれば、液晶層の層数を増減してもよい。特に、印加電圧の変化に対する位相変調量の変化の指標となる応答速度を高速にする場合では、各々の液晶層の一層あたりの厚さを薄くして、液晶層の数を増やした構成とするか、一層あたりの液晶層を往復透過する回数を増やすような構成とすることが好ましく、応答速度は40msec以下であればよく、20msec以下であれば好ましく、10msec以下であればより好ましい。また、入射する光が特定の方向の直線偏光の光であれば、その偏光方向の光のみ位相変調をすればよいので、液晶位相変調素子は、2つの液晶層のみを重ねられた構成であって、特定の直線偏光の方向の光に対して位相変調が可能な液晶層を往復で4回透過させるものであってもよい。以下は、偏光状態に依存しない位相変調ができる液晶位相変調素子について説明する。
まず、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14における配向方向について具体的に説明する。図2(b)に、第1の液晶層11、第2の液晶層12の配向方向、図2(c)に、第3の液晶層13、第4の液晶層14の配向方向を示す。第1の液晶層11及び第2の液晶層12は、水平配向方向11r(12r)がともにX軸方向であって、第3の液晶層13及び第4の液晶層14は、水平配向方向13r(14r)がともにY軸方向である。
尚、本実施の形態においては、第1の液晶層11及び第2の液晶層12における水平配向方向をX軸方向とし、第3の液晶層13及び第4の液晶層14における水平配向方向をY軸方向とした場合について説明するが、これら4つの液晶層のうち、いずれか2つの液晶層における水平配向方向をX軸方向とし、残りの2つの液晶層における水平配向方向をY軸方向としてもよい。
次に、図3に基づき、液晶位相変調デバイスに光を入射した場合について説明する。尚、図3においては、電圧制御部4、温度制御部5及び各々の透明電極の記載は省略されている。具体的には、液晶位相変調素子2に入射光A1が入射し、液晶位相変調素子2内を透過した後、光反射部3において反射され、再度、液晶位相変調素子2内を透過して出射光B1として出射する場合について説明する。尚、本実施形態および、以下の第2の実施の形態、第3の実施の形態、第5から第9の実施の形態において、X軸方向の(直線)偏光の光をS偏光の光とし、Y軸方向の(直線)偏光の光をP偏光の光として説明する。また、本実施の形態では、S偏光の光を第1の偏光方向の光、P偏光の光を第2の偏光方向の光という場合もある。
図3(a)に示すように、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14に電圧が印加されていない状態では、第1の液晶層11及び第2の液晶層12の液晶分子はX軸方向に水平配向し、第3の液晶層13及び第4の液晶層14の液晶分子はY軸方向に水平配向している。尚、図3(a)中の各々の液晶層に示す矢印は、電圧が印加されていない状態における配向方向を示す。通常、液晶は常光屈折率nと、異常光屈折率n(n<n)となる屈折率異方性を有している。したがって、第1の液晶層11及び第2の液晶層12は液晶分子の長軸方向が、X軸方向となるように水平配向されているため、S偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、P偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。また、第3の液晶層13及び第4の液晶層14は液晶分子の長軸方向がY軸方向となるように水平配向しているため、P偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、S偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。
従って、S偏光の光及びP偏光の光は、ともに、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14を往復して、屈折率が異常光屈折率nの領域を4回通過し、屈折率が常光屈折率nの領域を4回通過する。即ち、入射光A1がS偏光の光の場合では、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶層11及び第2の液晶層12を往復で通過することにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる第3の液晶層13及び第4の液晶層14を往復で通過することにより、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し出射光B1として出射される。
また、入射光A1がP偏光の光の場合では、屈折率が異常光屈折率nとなる第3の液晶層13及び第4の液晶層14を往復で通過することにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶層11及び第2の液晶層12を往復で通過することにより、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し出射光B1として出射される。
一方、図3(b)に示すように、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14に電圧が印加されている状態では、各々の液晶層において水平配向している液晶分子の長軸方向が、電圧の印加方向である各々の液晶層の厚さ方向に傾き、一定値以上の電圧を印加すると、液晶分子の長軸方向が各々の透明基板面に対し略垂直方向に配向する。この際、入射光A1が、S偏光の光及びP偏光の光に対し、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14の各々の液晶層における屈折率は常光屈折率nとなる。従って、S偏光の光及びP偏光の光は、これら4つの液晶層を往復して通過することにより、屈折率が常光屈折率nの領域を8回通過し出射光B1として出射される。
ここで、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14の液晶層の厚さをそれぞれd、入射光A1の波長をλとし、液晶の屈折率異方性をΔn(=n−n)とした場合に、本実施の形態における液晶位相変調デバイスに電圧を印加した場合と印加していない場合の位相差Δφは、S偏光の光及びP偏光の光については、ともに、(1)に示す式となる。
Δφ={(4×n×d+4×n×d)−8×n×d}×2π/λ
=4×Δn×d×2π/λ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
このように、S偏光の光及びP偏光の光は、ともに同じ位相差となり、偏光方向における依存性がなく、どのような偏光状態の光が入射しても同じ位相差を得ることができる。
また、各液晶層に印加する電圧によって、液晶位相変調素子を往復する光の位相差を、0〜2πの範囲で制御するためには、(2)に示す式を満たすことが必要となる。
4×Δn×d≧λ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
上記説明では、液晶層が4層の場合について説明したが、本実施の形態における液晶位相変調素子では、液晶分子がX軸方向に水平配向している液晶層と液晶分子がY軸方向に水平配向している液晶層と、の数が等しくなるよう構成されていることが望ましい。尚、応答速度を高めるためにはdの値を小さくし、液晶層の数を増やすことが好ましいが、液晶層の数に制限があって一定の値以上の厚さとなる場合、上記のように温度制御部を設けて温度調整することで応答速度を高めることができる。また、液晶層の数をmとした場合、位相差を0〜2πの範囲で制御するためには、(3)に示す式を満たすことが必要となる。
m×Δn×d≧λ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
尚、mの値は、印加する電圧の変化に対して、入射する光の偏光状態に依存せず、いずれの偏光成分の光に対しても同じ位相差が与えられるように、2以上の偶数であることが好ましい。
このように、本実施の形態における液晶位相変調デバイスでは、入射光の偏光方向に依存することなく、一層当たりの液晶層を薄くすることができるため、印加する電圧の変化に対応して、高速で位相変調を行うことが可能である。
尚、本実施の形態における液晶位相変調デバイスにおいて、液晶位相変調素子を構成する液晶層の層数は2以上の偶数であって、液晶分子がX軸方向に水平配向している液晶層の数と、液晶分子がY軸方向に水平配向している液晶層の数は等しく構成されている。
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態における液晶位相変調素子2と光反射部3との間の光路中に1/4波長板21を設けた構成である。本実施の形態における液晶位相変調デバイスは、第1の実施の形態と同様に、必要に応じて温度制御部5を有するものであり、図4において電圧制御部4、温度制御部5及び形成される各々の透明電極は省略されている。図4(a)は、電圧制御部4より電圧が印加されていない状態の液晶位相変調素子を示すものであり、図4(b)は、電圧制御部4より電圧が印加されている状態の液晶位相変調素子を示すものである。尚、図4(a)中の各々の液晶層に示す矢印は、電圧が印加されていない状態における液晶の配向方向を示す。図5は本実施の形態に用いられる1/4波長板21の光学軸(遅相軸または進相軸)方向を示す平面図である。
本実施の形態において用いられる1/4波長板21は、XY平面においてX軸及びY軸に対して45°の方向となる光学軸21rを有している。この1/4波長板21を構成する材料の屈折率異方性をΔn、厚さをd、入射する光の波長をλとした場合に、(4)に示す式を満たすものである。尚、pは0以上の整数である。
Δn×d≒(2p+1)×λ/4・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
図4(a)に示すように、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14に電圧が印加されていない状態では、第1の液晶層11及び第2の液晶層12の液晶分子はX軸方向に水平配向し、第3の液晶層13及び第4の液晶層14の液晶分子はY軸方向に水平配向している。
よって、第1の液晶層11及び第2の液晶層12は、S偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、P偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。また、第3の液晶層13及び第4の液晶層14は、P偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、S偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。
従って、入射光A2がS偏光の光の場合では、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶層11及び第2の液晶層12を通過し、屈折率が常光屈折率nとなる第3の液晶層13及び第4の液晶層14を通過する。この後、1/4波長板21を透過することにより円偏光の光となり、光反射部3で反射され、再び、1/4波長板21を透過することによりP偏光の光となる。この後、屈折率が異常光屈折率nとなる第4の液晶層14及び第3の液晶層13を通過し、屈折率が常光屈折率nとなる第2の液晶層12及び第1の液晶層11を通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し出射光B2として出射される。
また、入射光A2がP偏光の光の場合では、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶層11及び第2の液晶層12を通過し、屈折率が異常光屈折率nとなる第3の液晶層13及び第4の液晶層14を通過する。この後、1/4波長板21を透過することにより円偏光の光となり、光反射部3で反射され、再び、1/4波長板21を透過することによりS偏光の光となる。この後、屈折率が常光屈折率nとなる第4の液晶層14及び第3の液晶層13を通過し、屈折率が異常光屈折率nとなる第2の液晶層12及び第1の液晶層11を通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し出射光B2として出射される。
一方、図4(b)に示すように、各々の液晶層に電圧が印加されている状態では、第1の実施の形態と同様に、各々の液晶層において水平配向している液晶分子の長軸方向が、電圧の印加方向である各々の液晶層の厚さ方向に傾き、一定値以上の電圧を印加すると、液晶分子の長軸方向が各々の透明基板面に対し略垂直方向に配向する。この際、入射光A2が、S偏光の光及びP偏光の光に対し、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14の各々の液晶層における屈折率は常光屈折率nとなる。従って、S偏光の光及びP偏光の光は、これら4つの液晶層を往復して通過することにより、屈折率が常光屈折率nの領域を8回通過し出射光B2として出射される。
よって、本実施の形態における液晶位相変調デバイスに電圧を印加した場合と印加していない場合の位相差Δφは、S偏光の光及びP偏光の光については、ともに、(1)に示す式となる。
尚、本実施の形態における液晶位相変調デバイスでは、電圧を印加していない状態において入射する、S偏光の光及びP偏光の光は、液晶位相変調デバイスを往復する光路中において、いずれも、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14の全ての液晶層において、屈折率が異常光屈折率nとなる領域を1度、通過するものである。従って、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14において液晶層の厚さを同一となるdとしたが、液晶層を作製する際に、各液晶層の厚さが、所望の値に対して0.1μm程度の差異を有して不均一であっても、入射する、S偏光の光及びP偏光の光はともに、往復して均一の位相差を生じさせることができる。
また、第1の実施の形態と異なり、液晶位相変調素子を構成する液晶層の数は奇数でもよく、また、液晶分子がX軸方向に水平配向している液晶層の数と、液晶分子がY軸方向に水平配向している液晶層の数は異なってもよい。更には、どちらか一方の水平配向方向、即ち、液晶分子がX軸方向に水平配向している液晶層のみ、または、液晶分子がY軸方向に水平配向している液晶層のみにより構成してもよい。また、液晶層の数は、4層に限らず、3層以上であればよい。例えば、液晶層が3層からなり、電圧を印加していない状態において、これら3つの液晶層がいずれもX軸方向に配向している場合、入射光A2のうち、S偏光の光は往路のみで位相変調され、入射光A2のうち、P偏光の光は復路のみで位相変調される。
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、光反射部3として反射プリズム32を設け、第1の実施の形態における液晶位相変調素子2と光反射部3となる反射プリズム32との間の光路中に、一部、1/2波長板を有する波長板31を設けた構成である。本実施の形態における液晶位相変調デバイスは、第1の実施の形態と同様に、必要に応じて温度制御部5を有するものであり、図6において電圧制御部4、温度制御部5及び形成される各々の透明電極は省略されている。図6(a)は、電圧制御部4より電圧が印加されていない状態の液晶位相変調素子を示すものであり、図6(b)は、電圧制御部4より電圧が印加されている状態の液晶位相変調素子を示すものである。尚、図6(a)中の各々の液晶層に示す矢印は、電圧が印加されていない状態における液晶の配向方向を示す。図7は本実施の形態に用いられる波長板31の光学軸(遅相軸または進相軸)方向を示す平面図である。
本実施の形態において用いられる波長板31は、第1の領域31aと第2の領域31bとを有しており、第1の領域31aには1/2波長板が設けられている。第1の領域31aに設けられた1/2波長板は、図7に示すように、XY平面においてX軸及びY軸に対して45°の方向の光学軸31rを有している。第1の領域31aに設けられた1/2波長板を構成する材料の屈折率異方性をΔn、厚さをd、入射する光の波長をλとした場合に、(5)に示す式を満たすものである。第2の領域は入射する光に対して位相差を発生しないように、ガラスや石英ガラスなど等方性の透明材料が形成されているか、または、何も形成されず、空気が存在している状態であってもよい。尚、qは0以上の整数である。尚、波長板31は、入射光が第1の領域31aを通過し、光反射部3となる反射プリズム32において反射された光は第2の領域31bを通過するように、第1の領域31aと第2の領域31bとが配置されていればよい。
Δn×d≒(2q+1)×λ/2・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
図6(a)に示すように、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14に電圧が印加されていない状態では、第1の液晶層11及び第2の液晶層12の液晶分子はX軸方向に水平配向し、第3の液晶層13及び第4の液晶層14の液晶分子はY軸方向に水平配向している。
よって、第1の液晶層11及び第2の液晶層12は、S偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、P偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。また、第3の液晶層13及び第4の液晶層14は、P偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、S偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。
従って、入射光A3がS偏光の光の場合では、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶層11及び第2の液晶層12を通過し、屈折率が常光屈折率nとなる第3の液晶層13及び第4の液晶層14を通過する。この後、波長板31において1/2波長板の設けられている第1の領域31aを透過することにより、P偏光の光となる。この後、反射プリズム32により反射され、波長板31における第2の領域31bを通過し、更に、屈折率が異常光屈折率nとなる第4の液晶層14及び第3の液晶層13を通過し、屈折率が常光屈折率nとなる第2の液晶層12及び第1の液晶層11を通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し出射光B3として出射される。
また、入射光A3がP偏光の光の場合では、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶層11及び第2の液晶層12を通過し、屈折率が異常光屈折率nとなる第3の液晶層13及び第4の液晶層14を通過する。この後、波長板31において1/2波長板の設けられている第1の領域31aを透過することにより、S偏光の光となる。この後、反射プリズム32により反射され、波長板31における第2の領域31bを通過し、更に、屈折率が常光屈折率nとなる第4の液晶層14及び第3の液晶層13を通過し、屈折率が異常光屈折率nとなる第2の液晶層12及び第1の液晶層11を通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し出射光B3として出射される。
一方、図6(b)に示すように、各々の液晶層に電圧が印加されている状態では、第1の実施の形態と同様に、各々の液晶層において水平配向している液晶分子の長軸方向が、電圧の印加方向である各々の液晶層の厚さ方向に傾き、一定値以上の電圧を印加すると、液晶分子の長軸方向が各々の透明基板面に対し略垂直方向に配向する。この際、入射光A3が、S偏光の光及びP偏光の光に対し、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14の各々の液晶層における屈折率は常光屈折率nとなる。従って、S偏光の光及びP偏光の光は、これら4つの液晶層を往復して通過することにより、屈折率が常光屈折率nの領域を8回通過し出射光B3として出射される。
よって、本実施の形態における液晶位相変調デバイスに電圧を印加した場合と印加していない場合の位相差Δφは、S偏光の光及びP偏光の光については、ともに、(1)に示す式となる。
尚、本実施の形態における液晶位相変調デバイスでは、電圧を印加していない状態において入射する、S偏光の光及びP偏光の光は、液晶位相変調デバイスを往復する光路中において、いずれも、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14の全ての液晶層において、屈折率が異常光屈折率nとなる領域を1度、通過するものである。従って、第1の液晶層11、第2の液晶層12、第3の液晶層13及び第4の液晶層14において液晶層の厚さを同一となるdとしたが、液晶層を作製する際に、各液晶層の厚さが、所望の値に対して0.1μm程度の差異を有して不均一であっても、入射する、S偏光の光及びP偏光の光はともに、往復して均一の位相差を生じさせることができる。
また、第1の実施の形態と異なり、液晶位相変調素子を構成する液晶層の数は奇数でもよく、また、液晶分子がX軸方向に水平配向している液晶層の数と、液晶分子がY軸方向に水平配向している液晶層の数は異なっていてもよい。更には、どちらか一方の水平配向方向、即ち、液晶分子がX軸方向に水平配向している液晶層のみ、または、液晶分子がY軸方向に水平配向している液晶層のみにより構成してもよい。尚、液晶層の数は、4層に限らず、3層以上であればよい。例えば、液晶層が3層からなり、電圧を印加していない状態において、これら3つの液晶層がいずれもX軸方向に配向している場合、入射光A3のうち、S偏光の光は往路のみで位相変調され、入射光A3のうち、P偏光の光は復路のみで位相変調される。
更に、本実施の形態では、第1の領域31aに1/2波長板を形成し、第2の領域31bには複屈折性を有する材料を何も形成しない波長板31を用いたものについて説明したが、逆に、第1の領域31aには1/2波長板を設けることなく、第2の領域31bに1/2波長板を設けた波長板を用いてもよい。また、第1の領域31aまたは第2の領域31bのどちらか一方の領域にのみ、1/2波長板を設置した構成であっても同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、反射プリズム32を設けた構成について説明したが、入射光A3を+Z軸方向より僅かに傾けて入射させる場合においては、反射プリズム32に代えて反射ミラーを用いることも可能である。
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態とは異なる第1の液晶層41、第2の液晶層42、第3の液晶層43及び第4の液晶層44を有しており、光反射部3に相当する部分には、反射プリズム45が設けられている。本実施の形態では、反射プリズム45は三角プリズムであって、反射プリズム45に入射した光は、反射プリズム45の第1の面45aで反射し、第1の面45aで反射した光は、更に第2の面45bで反射し、反射プリズム45より反射光として出射するものである。反射プリズム45は、反射プリズム45に入射した光が第1の面45aにおいて反射した光の進行方向がX軸方向となるように設置されている。
図8に示すように、第1の液晶層41及び第2の液晶層42は、液晶分子の水平配向方向がX軸方向に対し+45°傾いた第1の方向となるように形成されており、第3の液晶層43及び第4の液晶層44は、液晶分子の水平配向方向がX軸方向に対し−45°傾いた第2の方向となるように形成されている。尚、本実施の形態における液晶位相変調デバイスは、第1の実施の形態と同様に、必要に応じて温度制御部5を有するものであり、図8において電圧制御部4、温度制御部5及び形成される各々の透明電極は省略されている。また、本実施の形態においては、X軸に対し+45°傾いた方向の偏光の光をS偏光の光とし、Y軸に対し+45°(X軸に対し−45°)傾いた方向の偏光の光をP偏光の光として説明する。また、本実施の形態では、S偏光の光を第1の偏光方向の光、P偏光の光を第2の偏光方向の光という場合もある。尚、図8(b)は、反射プリズム45の上面図である。
図8(a)に示すように、第1の液晶層41、第2の液晶層42、第3の液晶層43及び第4の液晶層44に、電圧制御部4より電圧が印加されていない状態では、第1の液晶層41及び第2の液晶層42の液晶分子は第1の偏光方向と平行する第1の方向に水平配向し、第3の液晶層43及び第4の液晶層44の液晶分子は第2の偏光方向と平行する第2の方向に水平配向している。
このように、第1の液晶層41及び第2の液晶層42の液晶分子は第1の方向に水平配向しているため、S偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、P偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。また、第3の液晶層43及び第4の液晶層44の液晶分子は第2の方向に水平配向しているため、P偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、S偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。
従って、入射光A4がS偏光の光46aの場合では、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶層41及び第2の液晶層42を通過し、屈折率が常光屈折率nとなる第3の液晶層43及び第4の液晶層44を通過し、S偏光の光46bの状態で反射プリズム45に入射する。反射プリズム45に入射したS偏光の光46bは、反射プリズム45の2つの面、即ち、第1の面45a及び第2の面45bにおいて反射されP偏光の光46cとなる。この後、屈折率が異常光屈折率nとなる第4の液晶層44及び第3の液晶層43を通過し、屈折率が常光屈折率nとなる第2の液晶層42及び第1の液晶層41を通過する。これより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、P偏光の光46dとなり出射光B4として出射される。
また、入射光A4がP偏光の光47aの場合では、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶層41及び第2の液晶層42を通過し、屈折率が異常光屈折率nとなる第3の液晶層43及び第4の液晶層44を通過し、P偏光の光47bの状態で反射プリズム45に入射する。反射プリズム45に入射したP偏光の光47bは、反射プリズム45の2つの面において反射されS偏光の光47cとなる。この後、屈折率が常光屈折率nとなる第4の液晶層44及び第3の液晶層43を通過し、屈折率が異常光屈折率nとなる第2の液晶層42及び第1の液晶層41を通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、S偏光の光47dとなり出射光B4として出射される。
一方、各々の液晶層に電圧が印加されている状態では、第1の実施の形態と同様に、各々の液晶層において水平配向している液晶分子の長軸方向が、電圧の印加方向である各々の液晶層の厚さ方向に傾き、一定値以上の電圧を印加すると、液晶分子の長軸方向が各々の透明基板面に対し略垂直方向に配向する。この際、入射光A4が、S偏光の光46a及びP偏光の光47aに対し、第1の液晶層41、第2の液晶層42、第3の液晶層43及び第4の液晶層44の各々の液晶層における屈折率は常光屈折率nとなる。従って、入射光A4がS偏光の光46a及びP偏光の光47aの場合では、ともに、これら4つの液晶層を往復して通過することにより、屈折率が常光屈折率nの領域を8回通過し出射光B4として出射される。
よって、本実施の形態における液晶位相変調デバイスに電圧を印加した場合と印加していない場合の位相差Δφは、S偏光の光及びP偏光の光においては、ともに、(1)に示す式となる。
尚、本実施の形態における液晶位相変調デバイスでは、第2の実施の形態及び第3の実施の形態と異なり、1/4波長板または1/2波長板を設けることなく、電圧を印加していない状態において入射する、S偏光の光及びP偏光の光については、液晶位相変調デバイスを往復する光路中において、いずれも、第1の液晶層41、第2の液晶層42、第3の液晶層43及び第4の液晶層44の全ての液晶層において、屈折率が異常光屈折率nとなる領域を1度、通過させることができる。従って、第1の液晶層41、第2の液晶層42、第3の液晶層43及び第4の液晶層44において液晶層の厚さを同一となるdとしたが、各液晶層を作製する際に、それぞれの厚さが、所望の値に対して0.1μm程度の差異を有して不均一であっても、入射する、S偏光の光及びP偏光の光はともに、往復して均一の位相差を生じさせることができる。
また、第1の実施の形態と異なり、液晶位相変調素子を構成する液晶層の数は奇数でもよく、また、液晶分子が第1の方向に水平配向している液晶層の数と、液晶分子が第2の方向に水平配向している液晶層の数は異なっていてもよい。更には、どちらか一方の水平配向方向、即ち、液晶分子が第1の方向に水平配向している液晶層のみ、または、液晶分子が第2の方向に水平配向している液晶層のみにより構成してもよい。尚、液晶層の数は、4層に限らず、3層以上であればよい。液晶層が3層であれば、S偏光の光およびP偏光の光はいずれも、位相変調が与えられる液晶層を3度、透過させることができる。
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図9に示すように第1の実施の形態とは異なる第1の液晶層51、第2の液晶層52、第3の液晶層53及び第4の液晶層54を有する液晶位相変調素子55により構成されており、本実施の形態における液晶位相変調素子55は第1の実施の形態における液晶位相変調素子2と置き換えることができるものである。また、光反射部3に相当する部分には、反射プリズム56が設けられている。尚、反射プリズム56は、第3の実施の形態における反射プリズム32と同様のものである。
図10は、第1の液晶層51の平面模式図を例示したものであるが、第1の液晶層51は、第1の液晶領域51aと第2の液晶領域51bとを有しており、第1の液晶領域51aにおける液晶分子の水平配向方向51rはX軸方向であり、第2の液晶領域51bにおける液晶分子の水平配向方向51sはY軸方向である。第2の液晶層52、第3の液晶層53及び第4の液晶層54は、第1の液晶層51と同様の構成である。即ち、第2の液晶層52は、液晶分子の水平配向方向がX軸方向である第1の液晶領域52aと、液晶分子の水平配向方向がY軸方向である第2の液晶領域52bとを有しており、第3の液晶層53は、液晶分子の水平配向方向がX軸方向である第1の液晶領域53aと、液晶分子の水平配向方向がY軸方向である第2の液晶領域53bとを有しており、第4の液晶層54は、液晶分子の水平配向方向がX軸方向である第1の液晶領域54aと、液晶分子の水平配向方向がY軸方向である第2の液晶領域54bとを有している。
また、第1の液晶層51における第1の液晶領域51aと第2の液晶領域51b、第2の液晶層52における第1の液晶領域52aと第2の液晶領域52b、第3の液晶層53における第1の液晶領域53aと第2の液晶領域53b、第4の液晶層54における第1の液晶領域54aと第2の液晶領域54bとは、X−Y平面においてY軸方向に平行な境界線にて分離して、それぞれの領域の形状を略等しいものにしている。しかし、この構成に限らず、光反射部3となる反射プリズム56に向かう光がいずれも第1の液晶領域51a、52a、53a及び54aを通過し、反射プリズム56において反射された光は第2の液晶領域51b、52b、53b及び54bを通過するように第1の液晶領域と第2の液晶領域とが配置されていればよい。
尚、本実施の形態における液晶位相変調デバイスは、第1の実施の形態と同様に、必要に応じて温度制御部5を有するものであり、図9において電圧制御部4、温度制御部5及び形成される各々の透明電極は省略されている。図9(a)は、電圧制御部4より電圧が印加されていない状態の液晶位相変調素子を示すものであり、図9(b)は、電圧制御部4より電圧が印加されている状態の液晶位相変調素子を示すものである。尚、図9(a)中の各々の液晶層に示す矢印は、電圧が印加されていない状態における液晶の配向方向を示す。
図9(a)に示すように、第1の液晶層51、第2の液晶層52、第3の液晶層53及び第4の液晶層54に電圧が印加されていない状態では、第1の液晶層51、第2の液晶層52、第3の液晶層53及び第4の液晶層54における第1の液晶領域51a、52a、53a及び54aとなる図面上、左側の領域の液晶分子はX軸方向に水平配向しており、第2の液晶領域51b、52b、53b及び54bとなる図面上、右側の領域の液晶分子はY軸方向に水平配向している。
従って、第1の液晶領域51a、52a、53a及び54aでは、S偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、P偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。また、第2の液晶領域51b、52b、53b及び54bでは、P偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、S偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。
よって、入射光A5がS偏光の光の場合、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶領域51a、52a、53a及び54aを通過し、反射プリズム56により反射される。この後、屈折率が常光屈折率nとなる第2の液晶領域54b、53b、52b及び51bを通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層の領域を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層の領域を4回通過し出射光B5として出射される。
また、入射光A5がP偏光の光の場合、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶領域51a、52a、53a及び54aを通過し、反射プリズム56により反射される。この後、屈折率が異常光屈折率nとなる第2の液晶領域54b、53b、52b及び51bを通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層の領域を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層の領域を4回通過し出射光B5として出射される。
一方、図9(b)に示すように、各々の液晶層に電圧が印加されている状態では、第1の実施の形態と同様に、各々の液晶層において水平配向している液晶分子の長軸方向が、電圧の印加方向である各々の液晶層の厚さ方向に傾き、一定値以上の電圧を印加すると、液晶分子の長軸方向が各々の透明基板面に対し略垂直方向に配向する。この際、入射光A5が、S偏光の光及びP偏光の光に対し、第1の液晶層51、第2の液晶層52、第3の液晶層53及び第4の液晶層54の各々の液晶層における屈折率は常光屈折率nとなる。従って、S偏光の光及びP偏光の光は、これら4つの液晶層を往復して通過することにより、屈折率が常光屈折率nの領域を8回通過し出射光B5として出射される。
よって、本実施の形態における液晶位相変調デバイスに電圧を印加した場合と印加していない場合の位相差Δφは、S偏光の光及びP偏光の光については、ともに、(1)に示す式となる。
尚、本実施の形態における液晶位相変調デバイスでは、電圧を印加していない状態において入射する、S偏光の光及びP偏光の光については、液晶位相変調デバイスを往復する光路中において、いずれも、第1の液晶層51、第2の液晶層52、第3の液晶層53及び第4の液晶層54の全ての液晶層において、屈折率が異常光屈折率nとなる領域を1度、通過するものである。従って、第1の液晶層51、第2の液晶層52、第3の液晶層53及び第4の液晶層54において液晶層の厚さを同一となるdとしたが、各液晶層を作製する際に、それぞれの厚さが、所望の値に対して0.1μm程度の差異を有して不均一である場合であっても、入射する、S偏光の光及びP偏光の光はともに、往復して均一の位相差を生じさせることができる。
また、第1の実施の形態と異なり、液晶位相変調素子55を構成する液晶層の数は4層に限らず、奇数であってもよく、3層以上であればよい。また、本実施の形態では、反射プリズム56を設けた構成について説明したが、入射光A5を+Z軸方向より僅かに傾けて入射させる場合においては、反射プリズム56に代えて反射ミラーを用いることも可能である。
〔第6の実施の形態〕
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図11に示すように第1の実施の形態とは異なる第1の液晶層61、第2の液晶層62、第3の液晶層63及び第4の液晶層64を有する液晶位相変調素子65により構成されており、本実施の形態における液晶位相変調素子65は第1の実施の形態における液晶位相変調素子2と置き換えることができるものである。また、光反射部3に相当する部分には、反射プリズム66が設けられている。尚、反射プリズム66は、第3の実施の形態における反射プリズム32と同様のものである。
図12に基づき各々の液晶層について説明する。図12(a)は、第1の液晶層61の平面模式図を例示したものであるが、第1の液晶層61は、第1の液晶領域61aと第2の液晶領域61bとを有しており、第1の液晶領域61aにおける液晶分子の水平配向方向61rはX軸方向であり、第2の液晶領域61bにおける液晶分子の水平配向方向61sはY軸方向である。第2の液晶層62は、第1の液晶層61と同様の構成である。即ち、第2の液晶層62は、液晶分子の水平配向方向がX軸方向である第1の液晶領域62aと、液晶分子の水平配向方向がY軸方向である第2の液晶領域62bとを有している。
また、図12(b)は、第3の液晶層63の平面模式図を例示したものであるが、第3の液晶層63は、第1の液晶領域63aと第2の液晶領域63bとを有しており、第1の液晶領域63aにおける液晶分子の水平配向方向63rはY軸方向であり、第2の液晶領域63bにおける液晶分子の水平配向方向63sはX軸方向である。第4の液晶層64は、第3の液晶層63と同様の構成である。即ち、第4の液晶層64は、液晶分子の水平配向方向がY軸方向である第1の液晶領域64aと、液晶分子の水平配向方向がX軸方向である第2の液晶領域64bとを有している。
また、第1の液晶層61における第1の液晶領域61aと第2の液晶領域61b、第2の液晶層62における第1の液晶領域62aと第2の液晶領域62b、第3の液晶層63における第1の液晶領域63aと第2の液晶領域63b、第4の液晶層64における第1の液晶領域64aと第2の液晶領域64bとは、X−Y平面においてY軸方向に平行な境界線にて分離して、それぞれの領域を略等しいものにしている。しかし、この構成に限らず、光反射部3となる反射プリズム66に向かう光がいずれも第1の液晶領域61a、62a、63a及び64aを通過し、反射プリズム66において反射された光は第2の液晶領域61b、62b、63b及び64bを通過するように第1の液晶領域と第2の液晶領域とが配置されていればよい。
尚、本実施の形態における液晶位相変調デバイスは、第1の実施の形態と同様に、必要に応じて温度制御部5を有するものであり、図11において電圧制御部4、温度制御部5及び形成される各々の透明電極は省略されている。図11(a)は、電圧制御部4より電圧が印加されていない状態の液晶位相変調素子を示すものであり、図11(b)は、電圧制御部4より電圧が印加されている状態の液晶位相変調素子を示すものである。尚、図11(a)中の各々の液晶層に示す矢印は、電圧が印加されていない状態における液晶の配向方向を示す。
図11(a)に示すように、第1の液晶層61、第2の液晶層62、第3の液晶層63及び第4の液晶層64に電圧が印加されていない状態では、第1の液晶層61及び第2の液晶層62における図面上、左側の領域である第1の液晶領域61a及び62aの液晶分子はX軸方向に水平配向しており、図面上、右側の領域である第2の液晶領域61b及び62bの液晶分子はY軸方向に水平配向している。また、第3の液晶層63及び第4の液晶層64における図面上、左側の領域である第1の液晶領域63a及び64aの液晶分子はY軸方向に水平配向しており、図面上、右側の領域である第2の液晶領域63b及び64bの液晶分子はX軸方向に水平配向している。
このように、第1の液晶領域61a及び62a、第2の液晶領域63b及び64bでは、液晶分子がX軸方向に水平配向しているため、S偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、P偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。また、第1の液晶領域61b及び62b、第2の液晶領域63a及び64aでは、液晶分子がY軸方向に水平配向しているため、P偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、S偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。
よって、入射光A6がS偏光の光の場合では、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶領域61a及び62a、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶領域63a及び64aを通過し、反射プリズム66により反射される。この後、屈折率が異常光屈折率nとなる第2の液晶領域64b及び63b、屈折率が常光屈折率nとなる第2の液晶領域62b及び61bを通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層の領域を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層の領域を4回通過し出射光B6として出射される。
また、入射光A6がP偏光の光の場合では、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶領域61a及び62a、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶領域63a及び64aを通過し、反射プリズム66により反射される。この後、屈折率が常光屈折率nとなる第2の液晶領域64b及び63b、屈折率が異常光屈折率nとなる第2の液晶領域62b及び61bを通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層の領域を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層の領域を4回通過し出射光B6として出射される。
一方、図11(b)に示すように、各々の液晶層に電圧が印加されている状態では、第1の実施の形態と同様に、各々の液晶層において水平配向している液晶分子の長軸方向が、電圧の印加方向である各々の液晶層の厚さ方向に傾き、一定値以上の電圧を印加すると、液晶分子の長軸方向が各々の透明基板面に対し略垂直方向に配向する。この際、入射光A6となるS偏光の光及びP偏光の光に対し、第1の液晶層61、第2の液晶層62、第3の液晶層63及び第4の液晶層64の各々の液晶層における屈折率は常光屈折率nとなる。従って、S偏光の光及びP偏光の光は、第1の液晶層61、第2の液晶層62、第3の液晶層63及び第4の液晶層64を通過することにより、屈折率が常光屈折率nの領域を8回通過し出射光B6として出射される。
よって、本実施の形態における液晶位相変調デバイスに電圧を印加した場合と印加していない場合の位相差Δφは、S偏光の光及びP偏光の光については、ともに、(1)に示す式となる。
尚、本実施の形態における液晶位相変調デバイスでは、電圧を印加していない状態において入射する、S偏光の光及びP偏光の光は、液晶位相変調デバイスを往復する光路中において、いずれも、第1の液晶層61、第2の液晶層62、第3の液晶層63及び第4の液晶層64の全ての液晶層において、屈折率が異常光屈折率nとなる領域を1度、通過するものである。従って、第1の液晶層61、第2の液晶層62、第3の液晶層63及び第4の液晶層64において液晶層の厚さを同一となるdとしたが、各液晶層を作製する際に、それぞれの厚さが、所望の値に対して0.1μm程度の差異を有して不均一である場合であっても、入射するS偏光の光及びP偏光の光はともに、往復して均一の位相差を生じさせることができる。
また、第1の実施の形態と異なり、液晶位相変調素子65を構成する液晶層の数は4層に限らず、奇数であってもよく、3層以上であればよい。また、本実施の形態では、反射プリズム66を設けた構成について説明したが、入射光A6を+Z軸方向より僅かに傾けて入射させる場合においては、反射プリズム66に代えて反射ミラーを用いることも可能である。
〔第7の実施の形態〕
第7の実施の形態について説明する。図13は本実施の形態における液晶位相変調デバイスの構成図であって、第1〜6の実施の形態に対し、光が液晶位相変調素子を1往復半以上させて位相変調する構成である点が異なる。例えば、液晶位相変調素子に入射する光が特定の方向の直線偏光の光である場合、液晶層が1層から構成され、後述する第1の光反射部、第2の光反射部によって光が液晶位相変調素子を1往復半する液晶位相変調デバイスにおいて、1つの液晶層を3度通過するので、液晶層を薄くして入射する波長λの光の位相差を0〜2πの範囲で高速に応答できるように位相変調できる。
本実施の形態における液晶位相変調デバイスは、入射した光の位相を変調する液晶位相変調素子2と、液晶位相変調素子2に隣接して配置される入射光の波長の光を反射する第1の光反射部6と、液晶位相変調素子2を介し第1の光反射部6に対向して設けられた第2の光反射部7と、必要に応じ、液晶位相変調素子2の温度制御を行うための温度制御部5と、を有している。また、液晶位相変調素子2には、電圧を印加する電圧制御部4が接続される。
第1の光反射部6及び第2の光反射部7は、反射ミラーまたは反射プリズム等により構成されており、入射する光を高い反射率で反射することが可能である。例えば、反射ミラーまたは反射プリズムは、反射面が、誘電体多層膜やアルミニウムや金などの金属膜などで形成される。
次に、図14、図15及び図16に基づき、本実施の形態における液晶位相変調デバイスについて、より詳しく説明する。
図14及び図15に示すように本実施の形態における液晶位相変調デバイスにおける液晶位相変調素子は、4つの液晶層、即ち、第1の液晶層71、第2の液晶層72、第3の液晶層73及び第4の液晶層74が積層されている。これら4つの液晶層は、透明導電膜及び配向膜の形成された5枚の透明基板の間に各々液晶を封入することにより形成される。尚、図14中の各々の液晶層に示す矢印は、電圧が印加されていない状態における配向方向を示す。
具体的には、第1の透明基板75aの一方の面に不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成され、第2の透明基板75bの一方の面に不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成され、第1の透明基板75aの一方の面に形成された透明電極と第2の透明基板75bの一方の面に形成された透明電極とが対向するように第1の透明基板75aと第2の透明基板75bとを配置し、第1の透明基板75aと第2の透明基板75bとの間に液晶を封入することにより、第1の液晶層71が形成される。
更に、第2の透明基板75bの他方の面には、不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成されており、第3の透明基板75cの一方の面に不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成され、第2の透明基板75bの一方の面に形成された透明電極と第3の透明基板75cの一方の面に形成された透明電極とが対向するように第2の透明基板75bと第3の透明基板75cとを配置し、第2の透明基板75bと第3の透明基板75cとの間に液晶を封入することにより、第2の液晶層72が形成される。
更に、第3の透明基板75cの他方の面には、不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成されており、第4の透明基板75dの一方の面に不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成され、第3の透明基板75cの一方の面に形成された透明電極と第4の透明基板75dの一方の面に形成された透明電極とが対向するように第3の透明基板75cと第4の透明基板75dとを配置し、第3の透明基板75cと第4の透明基板75dとの間に液晶を封入することにより、第3の液晶層73が形成される。
更に、第4の透明基板75dの他方の面には、不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成されており、第5の透明基板75eの一方の面に不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成され、第4の透明基板75dの一方の面に形成された透明電極と第5の透明基板75eの一方の面に形成された透明電極とが対向するように第4の透明基板75dと第5の透明基板75eとを配置し、第4の透明基板75dと第5の透明基板75eとの間に液晶を封入することにより、第4の液晶層74が形成される。
また、第1の光反射部6には反射プリズム76a及び76cが設けられており、第2の光反射部7には反射プリズム76bが設けられている。これにより、液晶位相変調素子に入射した入射光A7は、液晶位相変調素子を通った後、反射プリズム76aにおいて反射され液晶位相変調素子を通る。この後、反射プリズム76bにおいて反射され液晶位相変調素子を通る。この後、反射プリズム76cにおいて反射され液晶位相変調素子を通り、入射光A7は液晶位相変調素子を2往復する。
図16(a)は、第1の液晶層71の平面模式図を例示したものであるが、第1の液晶層71及び第2の液晶層72は、液晶分子の水平配向方向がX軸方向となるように形成されており、図16(b)は、第3の液晶層73の平面模式図を例示したものであるが、第3の液晶層73及び第4の液晶層74は、液晶分子の水平配向方向がY軸方向となるように形成されている。尚、図16(a)には、第1の液晶層71について記載しているが、第2の液晶層72についても同様であり、図16(b)には、第3の液晶層73について記載しているが、第4の液晶層74についても同様である。
図14に示すように、第1の液晶層71、第2の液晶層72、第3の液晶層73及び第4の液晶層74に電圧が印加されていない状態では、第1の液晶層71及び第2の液晶層72の液晶分子はX軸方向に水平配向し、第3の液晶層73及び第4の液晶層74の液晶分子はY軸方向に水平配向している。
よって、第1の液晶層71及び第2の液晶層72、S偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、P偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。また、第3の液晶層73及び第4の液晶層74は、P偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、S偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。
従って、入射光A7がS偏光の光の場合、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶層71及び第2の液晶層72、屈折率が常光屈折率nとなる第3の液晶層73及び第4の液晶層74を通過し、反射プリズム76aにおいて反射される。この後、屈折率が常光屈折率nとなる第4の液晶層74及び第3の液晶層73、屈折率が異常光屈折率nとなる第2の液晶層72及び第1の液晶層71を通過し、反射プリズム76bにおいて反射される。この後、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶層71及び第2の液晶層72、屈折率が常光屈折率nとなる第3の液晶層73及び第4の液晶層74を通過し、反射プリズム76cにおいて反射される。この後、屈折率が常光屈折率nとなる第4の液晶層74及び第3の液晶層73、屈折率が異常光屈折率nとなる第2の液晶層72及び第1の液晶層71を通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層の領域を8回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層の領域を8回通過し出射光B7として出射される。
また、入射光A7がP偏光の光の場合、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶層71及び第2の液晶層72、屈折率が異常光屈折率nとなる第3の液晶層73及び第4の液晶層74を通過し、反射プリズム76aにおいて反射される。この後、屈折率が異常光屈折率nとなる第4の液晶層74及び第3の液晶層73、屈折率が常光屈折率nとなる第2の液晶層72及び第1の液晶層71を通過し、反射プリズム76bにおいて反射される。この後、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶層71及び第2の液晶層72、屈折率が異常光屈折率nとなる第3の液晶層73及び第4の液晶層74を通過し、反射プリズム76cにおいて反射される。この後、屈折率が異常光屈折率nとなる第4の液晶層74及び第3の液晶層73、屈折率が常光屈折率nとなる第2の液晶層72及び第1の液晶層71を通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層の領域を8回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層の領域を8回通過し出射光B7として出射される。
一方、図15に示すように、各々の液晶層に電圧が印加されている状態では、各々の液晶層において水平配向している液晶分子の長軸方向が、電圧の印加方向である各々の液晶層の厚さ方向に傾き、一定値以上の電圧を印加すると、液晶分子の長軸方向が各々の透明基板面に対し略垂直方向に配向する。この際、入射光A7が、S偏光の光及びP偏光の光に対し、第1の液晶層71、第2の液晶層72、第3の液晶層73及び第4の液晶層74の各々の液晶層における屈折率は常光屈折率nとなる。従って、S偏光の光及びP偏光の光は、第1の液晶層71、第2の液晶層72、第3の液晶層73及び第4の液晶層74を通過することにより、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層の領域を16回通過し出射光B7として出射される。
よって、本実施の形態における液晶位相変調デバイスに電圧を印加した場合と印加していない場合の位相差Δφは、S偏光の光及びP偏光の光については、ともに、(6)に示す式となる。
Δφ={(8×n×d+8×n×d)−16×n×d}×2π/λ
=8×Δn×d×2π/λ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
従って、本実施の形態における液晶位相変調デバイスでは、波長λの光に対して2π以上の位相変調を行う場合において、各々の液晶層の厚さを薄くすることができるため、印加する電圧の変化に対応して、高速で位相変調を行うことが可能である。
尚、本実施の形態における液晶位相変調デバイスにおいて、液晶位相変調素子を構成する液晶層の層数は2以上の偶数であって、液晶分子がX軸方向に水平配向している液晶層の数と、液晶分子がY軸方向に水平配向している液晶層の数は等しく構成されている。また、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
また、電圧を印加していない状態における各々の液晶層における液晶分子の配向方向は、一様なもの、つまり、X軸方向に水平配向するかまたは、Y軸方向に水平配向する、としたが、第5、第6の実施の形態のように、各々の液晶層に、X軸方向に水平配向した(第1の)液晶領域、Y軸方向に水平配向した(第2の)液晶領域を有するものであってもよい。そして、例えば、入射する光が2往復して出射する場合、S偏光の光及びP偏光の光はいずれも、電圧を印加しない状態において、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層の領域をそれぞれ8回ずつ透過させる液晶層の構成を有するものであってもよい。
更に、第4の実施の形態のように、4つの液晶層のうち2つはX軸方向に対して45°の方向に水平配向させて、Y軸方向に対して45°(X軸方向に対して−45°)の方向に水平配向させ、三角プリズムの前後で直線偏光の光の方向を直交させる作用を得る構成を有するものであってもよい。
〔第8の実施の形態〕
次に、第8の実施の形態について説明する。本実施の形態は、1/4波長板を設けた構成の液晶位相変調素子を有する液晶位相変調デバイスである。本実施の形態における液晶位相変調デバイスは、第7の実施の形態と同様に、第1の光反射部6、第2の光反射部7及び必要に応じて温度制御部5を有するものであり、図17及び図18において電圧制御部4、温度制御部5及び形成される各々の透明電極は省略されている。また、液晶位相変調素子2には、電圧を印加する電圧制御部4が接続される。
図17及び図18に基づき本実施の形態における液晶位相変調素子について説明する。本実施の形態における液晶位相変調素子は、2つの液晶層、即ち、第1の液晶層81及び第2の液晶層82が積層されている。2つの液晶層、即ち、第1の液晶層81及び第2の液晶層82は、透明導電膜及び配向膜の形成された3枚の透明基板の間に各々液晶を封入することにより形成される。更に、積層されている透明基板側には1/4波長板84が設けられている。また、1/4波長板は透明基板面に積層されていてもよい。尚、図17中の各々の液晶層に示す矢印は、電圧が印加されていない状態における配向方向を示す。
具体的には、第1の透明基板83aの一方の面に不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成され、第2の透明基板83bの一方の面に不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成され、第1の透明基板83aの一方の面に形成された透明電極と第2の透明基板83bの一方の面に形成された透明電極とが対向するように第1の透明基板83aと第2の透明基板83bとを配置し、第1の透明基板83aと第2の透明基板83bとの間に液晶を封入することにより、第1の液晶層81が形成される。
更に、第2の透明基板83bの他方の面には、不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成されており、第3の透明基板83cの一方の面に不図示の透明電極と不図示の配向膜が形成され、第2の透明基板83bの一方の面に形成された透明電極と第3の透明基板83cの一方の面に形成された透明電極とが対向するように第2の透明基板83bと第3の透明基板83cとを配置し、第2の透明基板83bと第3の透明基板83cとの間に液晶を封入することにより、第2の液晶層82が形成される。
また、第3の透明基板83cの他方の面の側には、1/4波長板84を形成する。尚、本実施の形態において用いられる1/4波長板84は、第2の実施の形態における1/4波長板21と同様のものである。
更に、図19は、第1の液晶層71の平面模式図を例示したものであるが、第1の液晶層81は、液晶分子の水平配向方向81rがX軸方向となるように形成されている。同様に、第2の液晶層82も、液晶分子の水平配向方向がX軸方向となるように形成されている。尚、図19には、第1の液晶層81について記載しているが、第2の液晶層82についても同様である。これより、本実施の形態における液晶位相変調素子85が形成される。
また、第7の実施の形態と同様に、第1の光反射部6には反射プリズム86a及び86cが設けられており、第2の光反射部7には反射プリズム86bが設けられている。これにより、液晶位相変調素子に入射した入射光A8は、液晶位相変調素子85および1/4波長板84を通った後、反射プリズム86aにおいて反射され、再び1/4波長板84および液晶位相変調素子85を通る。この後、反射プリズム86bにおいて反射され更に液晶位相変調素子85および1/4波長板84を通る。更に、この後、反射プリズム86cにおいて反射され更に再び、1/4波長板84および液晶位相変調素子85を通る。
図17に示すように、第1の液晶層81及び第2の液晶層82に電圧が印加されていない状態では、第1の液晶層81及び第2の液晶層82の液晶分子はX軸方向に水平配向している。よって、第1の液晶層81及び第2の液晶層82は、S偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、P偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。
従って、入射光A8がS偏光の光の場合では、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶層81及び第2の液晶層82を通過し、1/4波長板84を透過することにより円偏光の光となり、反射プリズム86aで反射され、再び、1/4波長板84を透過することによりP偏光の光となる。この後、屈折率が常光屈折率nとなる第2の液晶層82及び第1の液晶層81を通過し、反射プリズム86bで反射され、再び、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶層81及び第2の液晶層82を通過する。この後、1/4波長板84を透過することにより円偏光の光となり、反射プリズム86cで反射され、再び、1/4波長板84を透過することによりS偏光の光となる。この後、屈折率が異常光屈折率nとなる第2の液晶層82及び第1の液晶層81を通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し出射光B8として出射される。
また、入射光A8がP偏光の光の場合では、屈折率が常光屈折率nとなる第1の液晶層81及び第2の液晶層82を通過し、1/4波長板84を透過することにより円偏光の光となり、反射プリズム86aで反射され、再び、1/4波長板84を透過することによりS偏光の光となる。この後、屈折率が異常光屈折率nとなる第2の液晶層82及び第1の液晶層81を通過し、反射プリズム86bで反射され、再び、屈折率が異常光屈折率nとなる第1の液晶層81及び第2の液晶層82を通過する。この後、1/4波長板84を透過することにより円偏光の光となり、反射プリズム86cで反射され、再び、1/4波長板84を透過することによりP偏光の光となる。この後、屈折率が常光屈折率nとなる第2の液晶層82及び第1の液晶層81を通過する。これにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を4回通過し出射光B8として出射される。
一方、図18に示すように、各々の液晶層に電圧が印加されている状態では、第1の実施の形態と同様に、各々の液晶層において水平配向している液晶分子の長軸方向が、電圧の印加方向である各々の液晶層の厚さ方向に傾き、一定値以上の電圧を印加すると、液晶分子の長軸方向が各々の透明基板面に対し略垂直方向に配向する。この際、入射光A8が、S偏光の光及びP偏光の光に対し、第1の液晶層81及び第2の液晶層82の各々の液晶層における屈折率は常光屈折率nとなる。従って、S偏光の光及びP偏光の光は、第1の液晶層81及び第2の液晶層82を通過することにより、屈折率が常光屈折率nの領域を8回通過し出射光B8として出射される。
よって、本実施の形態における液晶位相変調デバイスに電圧を印加した場合と印加していない場合の位相差Δφは、S偏光の光及びP偏光の光は、ともに、(1)に示す式となる。
このように、本実施の形態における液晶位相変調デバイスでは、液晶層の層数を第1の実施形態で例示した4層の半分とした場合であっても、各液晶層が同じ厚さであっても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、第7の実施の形態と異なり、液晶位相変調素子を構成する液晶層の数は奇数であってもよく、また、液晶分子がX軸方向に水平配向している液晶層の数と、液晶分子がY軸方向に水平配向している液晶層の数は異なっていてもよい。更には、どちらか一方の水平配向方向、即ち、液晶分子がX軸方向に水平配向している液晶層のみ、または、液晶分子がY軸方向に水平配向している液晶層のみにより構成してもよく、反射プリズムの数をさらに増やして、形成される液晶層を1層のみで構成するものであってもよい。例えば、入射光が特定の方向の直線偏光の光であれば、その偏光方向の光のみ位相変調をすればよいので、例えば、液晶層1層のみの液晶位相変調素子の場合、光が1往復半以上、つまり、3度以上透過させることで、高速に応答が可能となる。また、S偏光の光およびP偏光の光いずれも位相変調させるとき、例えば、液晶層1層のみの液晶位相変調素子の場合、光を3往復以上させ、液晶層2層の液晶位相変調素子の場合、光を1往復半以上させることで、高速に応答が可能となる。
尚、1/4波長板84を、液晶位相変調素子85と反射プリズム86aおよび反射プリズム86cとの間の光路中に配置したが、これに限らず、液晶位相変調素子85と反射プリズム86bとの間の光路中に配置してもよい。また、1/4波長板84を配置したが、これに代えて、第3の実施の形態のように1/2波長板が、反射プリズム86aで反射する光の前後の光路中のいずれかの領域と、反射プリズム86cで反射する光の前後の光路中のいずれかの領域に配置される構成であってもよい。この構成でも、1/4波長板84の場合と同様の効果を得ることができる。
〔第9の実施の形態〕
次に、第9の実施の形態について説明する。図20は本実施の形態における液晶位相変調デバイスの構成図であって、第1〜8の実施の形態に対し、光が液晶位相変調素子を1度だけ透過させて位相変調する構成である点が異なる。
本実施の形態における液晶位相変調デバイスは、入射した光の位相を変調する液晶位相変調素子2と、必要に応じ、液晶位相変調素子2の温度制御を行うための温度制御部5と、を有している。また、液晶位相変調素子2には、電圧を印加する電圧制御部4が接続される。電圧制御部4および温度制御部5は、第1の実施の形態に基づくものを利用できる。
図21は、本実施の形態における液晶位相変調デバイスの構造をより詳細に示す構造模式図である。図21(a)は、液晶位相変調デバイスにおける断面模式図である。図21(a)では、本実施の形態における液晶位相変調素子2に+Z方向に入射する入射光A9を図示する。
本実施の形態における液晶位相変調素子2は、6つの液晶層、即ち、第1の液晶層91、第2の液晶層92、第3の液晶層93、第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96が積層されている。そして、これら6つの液晶層は、透明導電膜及び配向膜の形成された7枚の透明基板の間に各々液晶を封入することにより形成される。
次に、第1の液晶層91、第2の液晶層92、第3の液晶層93、第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96における液晶分子の配向方向について説明する。図21(b)に第1の液晶層91、第2の液晶層92及び第3の液晶層93の液晶分子の配向方向を示す。第1の液晶層91及び第2の液晶層92及び第3の液晶層93は、液晶分子の水平配向方向91r(92r、93r)がともにX軸方向であり、ともに同じ配向方向である。図21(c)に第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96の配向方向を示す。第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96は、液晶分子の水平配向方向94r(95r、96r)がともにY軸方向であり、ともに同じ配向方向である。
尚、本実施の形態においては、第1の液晶層91、第2の液晶層92及び第3の液晶層93における液晶分子の水平配向方向をX軸方向とし、第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96における液晶分子の水平配向方向をY軸方向とした場合について説明するが、これら6つの液晶層のうち、いずれか3つの液晶層における液晶分子の水平配向方向をX軸方向とし、残りの3つの液晶層における液晶分子の水平配向方向をY軸方向としてもよい。
次に、図22に基づき液晶位相変調デバイスに光を入射した場合について説明する。尚、図22においては、電圧制御部4、温度制御部5及び形成される各々の透明電極は省略されている。具体的には、液晶位相変調素子2に入射光A9が入射し、液晶位相変調素子2内を透過した後、出射光B9として出射する場合について説明する。
図22(a)に示すように、第1の液晶層91、第2の液晶層92、第3の液晶層93、第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96に電圧が印加されていない状態では、第1の液晶層91、第2の液晶層92及び第3の液晶層93の液晶分子はX軸方向に水平配向し、第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96の液晶分子はY軸方向に水平配向している。尚、図22(a)中の各々の液晶層に示す矢印は、電圧が印加されていない状態における液晶の配向方向を示す。
よって、第1の液晶層91、第2の液晶層92及び第3の液晶層93は、S偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、P偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。また、第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96は、P偏光の光における屈折率は異常光屈折率nとなり、S偏光の光における屈折率は常光屈折率nとなる。従って、S偏光の光及びP偏光の光は、ともに、これら6つの液晶層のうち、屈折率が異常光屈折率nの領域を3回通過し、屈折率が常光屈折率nの領域を3回通過する。
即ち、入射光A9がS偏光の光の場合では、第1の液晶層91、第2の液晶層92及び第3の液晶層93を通過することにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を3回通過し、第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96を通過することにより、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を3回通過し出射光B9として出射される。
また、入射光A9がP偏光の光の場合では、第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96を通過することにより、屈折率が異常光屈折率nとなる液晶層を3回通過し、第1の液晶層91、第2の液晶層92及び第3の液晶層93を通過することにより、屈折率が常光屈折率nとなる液晶層を3回通過し出射光B9として出射される。
一方、図22(b)に示すように、各々の液晶層に電圧が印加されている状態では、各々の液晶層において水平配向している液晶分子の長軸方向が、電圧の印加方向である各々の液晶層の厚さ方向に傾き、一定値以上の電圧を印加すると、液晶分子の長軸方向が各々の透明基板面に対し略垂直方向に配向する。この際、入射光A9が、S偏光の光及びP偏光の光に対し、第1の液晶層91、第2の液晶層92、第3の液晶層93、第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96の各々の液晶層における屈折率は常光屈折率nとなる。従って、S偏光の光及びP偏光の光は、これら6つの液晶層を通過することにより、屈折率が常光屈折率nの領域を6回通過し出射光B9として出射される。
ここで、第1の液晶層91、第2の液晶層92、第3の液晶層93、第4の液晶層94、第5の液晶層95及び第6の液晶層96の厚さをd、入射光A9の波長をλとし、用いた液晶における屈折率異方性をΔn(=n−n)とした場合に、本実施の形態における液晶位相変調デバイスに電圧を印加した場合と印加していない場合の位相差Δφは、S偏光の光及びP偏光の光は、ともに、(7)に示す式となる。
Δφ={(3×n×d+3×n×d)−6×n×d}×2π/λ
=3×Δn×d×2π/λ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
このように、S偏光の光及びP偏光の光は、ともに同じ位相差となり、偏光方向における依存性がなく、どのような偏光状態の光が入射しても同じ位相差を得ることができる。
また、各液晶層に印加する電圧によって、液晶位相変調素子を透過する光の位相差を、0〜2πの範囲で制御するためには、(8)に示す式を満たすことが必要となる。
3×Δn×d≧λ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(8)
上記説明では、液晶層が6層の場合について説明したが、本実施の形態における液晶位相変調素子では、液晶分子がX軸方向に水平配向している液晶層と液晶分子がY軸方向に水平配向している液晶層の数が等しくなるよう構成されていることが望ましい。尚、応答速度を高めるためにはdの値を小さくし、液晶層の数を増やすことが好ましいが、液晶層の数に制限があって一定の値以上の厚さとなる場合、上記の温度制御部5を設けて温度調整することで応答速度を高めることができる。また、液晶層の数をmとした場合、位相差を0〜2πの範囲で制御するためには、(9)に示す式を満たすことが必要となる。
m/2×Δn×d≧λ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
尚、mの値は、印加する電圧の変化に対して、入射する光の偏光状態に依存せず、いずれの偏光成分の光に対しても同じ位相差が与えられるように、2以上の偶数であることが好ましい。
尚、本実施の形態では、入射する光の偏光状態に依存せずに位相変調が可能な構成としたが、入射する光が特定の方向の直線偏光の光であれば、その偏光方向の光のみ位相変調をすればよいので、液晶位相変調素子は、3つの液晶層のみを重ねられた構成であって、特定の直線偏光の方向の光に対して位相変調が可能な液晶層を3回透過させるものであってもよい。
本実施の形態における液晶位相変調デバイスでは、光反射部等を設けることなく位相変調を行うことが可能である。また、入射光の偏光方向に依存せず、位相変調を行うことができる液晶位相変調デバイスを得ることができる。
(実施例)
本実施例では、具体的に1つの液晶層からなる液晶位相変調素子について、液晶層の厚さを特定し、動作時に所定の温度を与えることによって、液晶層に印加する電圧を変化させたときの応答速度を調べたものである。これによって、例えば、液晶層の厚さを変えたときの応答速度、液晶層を複数層重ねて配置させる液晶位相変調素子を構成したときの応答速度についても見積もることができる。そして、本実施例では、図23に示す液晶位相変調素子を作製して検討を行った結果について説明する。まず、この液晶位相変調素子の作製方法について説明する。
最初に、石英ガラスにより形成される第1の透明基板111の一方の面に、膜厚が8nmのITO膜からなる第1の透明電極112を形成し、他方の面に反射防止膜113を形成した。同様に、石英ガラスにより形成される第2の透明基板121の一方の面に膜厚が8nmのITO膜からなる第2の透明電極122を形成し、他方の面に反射防止膜123を形成した。
次に、第1の透明基板111において第1の透明電極112の形成された面上の、光が入射する有効領域に、SiOを主成分とする透明な絶縁膜114を形成し、更に、ポリイミド膜を膜厚が50nm程度となるように塗布し硬化させ、その後、Y軸方向にラビング処理して第1の配向膜115を形成した。同様に、第2の透明基板121において第2の透明電極122の形成された面上の、光が入射する有効領域に、SiOを主成分とする透明な絶縁膜124を形成し、更に、ポリイミド膜を膜厚が50nm程度となるように塗布し硬化させ、その後、Y軸方向にラビング処理して第2の配向膜125を形成した。
次に、第1の透明基板111の第1の透明電極112上に直径6μmの不図示のギャップ制御材が混入された熱硬化型のエポキシ材料からなるシール116を印刷法により形成した。シール116を形成した後、第1の配向膜115と第2の配向膜125が対向するように、第2の透明基板121がシール116と接するように第1の透明基板111と第2の透明基板121とを重ね合わせて圧着することにより、第1の透明電極112と第2の透明電極122との間隔が6μmとなる空セルを形成した。
次に、波長1550nmの光における異常光屈折率nが、1.653、常光屈折率nが1.489の液晶を空セルに設けられた不図示の注入口から注入し、その注入口を封止して液晶分子の長軸方向が平行するように配向した液晶層117を形成し液晶位相変調素子を作製した。尚、この液晶位相変調素子は、第1の透明電極112と第2の透明電極122は、電極が外部に引き出された構造を有して交流電源118に接続されており、交流電圧を印加することが可能である。
次に、この液晶位相変調素子に交流電源118により、10kHzの周波数の矩形波交流電圧を0Vrmsから15Vrmsまで、0.1Vrmsごとに印加した。そして、各駆動電圧において、矩形波交流電圧が0Vrmsのときの液晶分子の配向方向であるY軸方向に対し45°の角度をなす直線偏光の光をZ軸方向に沿って第1の透明基板111側から入射した。具体的に、波長1550nmの直線偏光の光を入射させて、セナルモン法により常光屈折率nの偏光方向の光と異常光屈折率nの偏光方向の光との間に生じる位相差Γを測定し、その結果に基づき、液晶分子のn方向の入射偏光における0Vrmsに対する位相変化を見積もった結果を図24に示す。
このとき、液晶位相変調素子の側面には不図示のペルチェ素子を設け、液晶位相変調素子の温度が45℃となるように温度制御をした。図24より、15Vrmsにおける位相変化が約217°であり、これに基づき、液晶層のギャップ(厚さ)と入射する光に対する位相変化が厚さに対して比例関係にあると計算できるので、
2μm:約72°、
3μm:約108°、
4μm:約144°、
5μm:約181°、
となる。この結果に基づき、液晶層のギャップと液晶分子のn方向の入射偏光の位相変化が1波長(360°(=2π))以上変化させるために必要な液晶層の数は、
2μm:5層以上、
3μm:4層以上、
4μm:3層以上、
5μm:2層以上、
と見積もることができる。
次に、液晶位相変調素子における位相変化の応答速度について説明する。作製した液晶位相変調素子に波長1550nmの光矩形波交流電圧が0Vrmsのときの液晶分子の配向方向であるY軸方向に対し45°の角度をなす直線偏光の光をZ軸方向に沿って第1の透明基板111側から入射した。液晶位相変調素子における光の出射側となる第2の透明基板121側には入射偏光方向と直交するY軸方向に対し−45°の角度の光のみ透過する偏光子を配置し、交流電源118により液晶位相変調素子に電圧を印加(OFF→ON)した場合、また、遮断(ON→OFF)した場合における光透過光量の時間的変化を光検出器とオシロスコープを用いて測定した。尚、交流電源118により、10kHzの0Vrms(OFF)から15Vrms(ON)の矩形波電圧を印加し、また、遮断することにより行った。また、液晶位相変調素子の側面には不図示のペルチェ素子を設け、液晶位相変調素子の温度が45℃となるように温度制御を行った。尚、電圧のON→OFF、OFF→ONは、液晶の位相変調の応答時間よりも非常に速い時間(ナノ秒単位)で切り替えを行った。
このようにして測定した不図示の偏光子を透過する光量の、電圧の切り替えに対する時間的変化を(10)に示す式を用いて、位相の時間変化に換算し、位相が90%遷移する時間変化(位相応答速度)を求めた。
I∝(sin(Γ/2))・・・・・・・・・(10)
ここで、Iは透過光量、Γは液晶位相変調素子の位相差である。この結果、6μmのギャップを有する液晶層において、
0Vrmsから15Vrmsの電圧印加:0.7msec、
15Vrmsから0Vrmsの電圧遮断:19.5msec、
であり、液晶位相変調素子における位相応答速度は、一般的に、液晶層のギャップの2乗に比例することから、液晶層のギャップと位相応答速度の関係は計算により導くことができ、表1に示すものとなる。
Figure 2011043588
以上の結果より、液晶層のギャップが4μm以下で位相応答速度が10msec以下の高速の応答を示すものを得ることができる。よって、液晶層のギャップが4μm以下の液晶層を積層させて光を直進透過させる第9の実施の形態に基づく液晶位相変調デバイスの構成にするかまたは、例えば、4μm以下の液晶素子層に複数回、光を往復して入射させる第1〜第8の実施の形態に基づく構成を有する液晶位相変調デバイスの構成にすることにより、所望の位相変調量を高速で制御することができる。尚、液晶層のギャップを狭めるほど位相応答速度を速くすることが可能である。
以上、入射光の偏光方向に依存することなく、10msec以下の速い位相応答速度を有する液晶位相変調デバイスを得ることができる。
(比較例)
波長1550nmの光で1波長(2π)の位相変化を得るためには、約10μmの液晶層のギャップが必要であり、その際の位相応答速度は、
温度が、45℃において、
0Vrmsから15Vrmsの電圧印加:2msec、
15Vrmsから0Vrmsの電圧遮断:54msec、
温度が、室温において、
0Vrmsから15Vrmsの電圧印加:4.2msec、
15Vrmsから0Vrmsの電圧遮断:103msec、
である。以上より、比較例に対し、実施例は位相応答速度が極めて速くなり、本実施の形態における液晶位相変調デバイスは、顕著な効果を有するものである。
2 位相変調素子
3 光反射部
4 電圧制御部
5 温度制御部
11 第1の液晶層
11a、11b、12a、12b、13a、13b、14a、14b 透明電極
12 第2の液晶層
13 第3の液晶層
14 第4の液晶層
15a 第1の透明基板
15b 第2の透明基板
15c 第3の透明基板
15d 第4の透明基板
15e 第5の透明基板
A1 入射光
B1 出射光

Claims (14)

  1. 液晶層と、
    前記液晶層を挟持する複数の透明基板と、
    複数の前記透明基板の前記液晶層側の面に形成された透明電極と、を有する液晶位相変調素子を備え、入射する波長λの光の位相変調を行う液晶位相変調デバイスにおいて、
    入射する前記波長λの光は、前記液晶層を3度以上透過して前記液晶位相変調素子を出射し、前記液晶層に電圧を印加して、前記波長λの光のうち少なくとも1方向の直線偏光の光の位相差を0〜2πの範囲で変えることができる液晶位相変調デバイス。
  2. 前記液晶位相変調素子は、前記液晶層が2層以上重ねられた構成であり、
    前記波長λの光が入射する前記液晶位相変調素子とは反対側に光反射部を有し、
    前記波長λの光は、前記光反射部で反射され、前記液晶層を往復して透過する請求項1に記載の液晶位相変調デバイス。
  3. 前記液晶位相変調素子は、前記液晶層がm層以上重ねられた構成であり(m≧4の偶数)、
    m層の前記液晶層のうちの半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記透明基板面に沿った第1の方向に配向され、
    残り半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記第1の方向と直交し前記透明基板面に沿った第2の方向に配向され、前記波長λの光の偏光状態に関わらず位相差を0〜2πの範囲で変えることができる請求項2に記載の液晶位相変調デバイス。
  4. 前記液晶位相変調素子と前記光反射部との間の前記波長λの光の光路中に、1/4波長板が設けられている請求項2または請求項3に記載の液晶位相変調デバイス。
  5. 前記液晶位相変調素子から前記光反射部に向かう前記波長λの光の光路中または、前記光反射部から前記液晶位相変調素子に向かう前記波長λの光の光路中に、1/2波長板が設けられている請求項2または請求項3に記載の液晶層変調デバイス。
  6. 前記反射部は、三角プリズムにより構成されており、
    前記三角プリズムに入射する前記波長λの光は、前記三角プリズムの第1の面、第2の面の順に反射され、
    m層の前記液晶層(m≧2の偶数)のうちの半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記透明基板面に沿っているとともに、前記第1の面で反射されて前記第2面に進行する方向を基準に略45°となる第1の方向に配向され、
    残り半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記第1の方向と直交し前記透明基板面に沿った第2の方向に配向され、前記波長λの光の偏光状態に関わらず位相差を0〜2πの範囲で変えることができる請求項2に記載の液晶位相変調デバイス。
  7. 前記液晶位相変調素子は、前記液晶層がm層以上重ねられた構成であり(m≧3の整数)、
    m層の前記液晶層はそれぞれ、前記光反射部に向かう前記波長λの光の光路中に配置された第1の液晶領域と、前記光反射部で反射された前記波長λの光の光路中に配置された第2の液晶領域と、を有し、
    それぞれの前記液晶層の前記第1の液晶領域と前記第2の液晶領域とは、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記透明基板面に沿った第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向と、の組み合わせとなるように配向され、前記波長λの光の偏光状態に関わらず位相差を0〜2πの範囲で変えることができる請求項2に記載の液晶位相変調デバイス。
  8. 前記液晶位相変調素子は、1つまたは複数の前記液晶層を有し、
    前記液晶位相変調素子のうち、前記波長λの光が入射する側とは反対側に第1の光反射部を有するとともに、前記波長λの光が入射する側に第2の光反射部を有し、
    前記波長λの光は、前記第1の光反射部および前記第2の反射部で少なくとも1度以上反射されて、前記液晶層を透過する請求項1に記載の液晶位相変調デバイス。
  9. 前記液晶位相変調素子と前記第1の光反射部との間の前記波長λの光の光路中または、前記液晶位相変調素子と前記第2の光反射部との間の前記波長λの光の光路中に、1/4波長板が設けられている請求項8に記載の液晶位相変調デバイス。
  10. 前記液晶位相変調素子は、前記液晶層がm層以上重ねられた構成であり(m≧2の偶数)、
    m層の前記液晶層のうちの半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記透明基板面に沿った第1の方向に配向され、
    残り半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記第1の方向と直交し前記透明基板面に沿った第2の方向に配向され、前記波長λの光の偏光状態に関わらず位相差を0〜2πの範囲で変えることができる請求項8に記載の液晶位相変調デバイス。
  11. 前記液晶位相変調素子は、前記液晶層が3層以上重ねられた構成であり、
    前記波長λの光は、前記液晶層を1度ずつ透過する請求項1に記載の液晶位相変調デバイス。
  12. 前記液晶位相変調素子は、前記液晶層がm層以上重ねられた構成であり(m≧6の偶数)、
    m層の前記液晶層のうちの半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記透明基板面に沿った第1の方向に配向され、
    残り半分は、電圧を印加しない状態または電圧を印加した状態において、液晶が前記第1の方向と直交し前記透明基板面に沿った第2の方向に配向され、前記波長λの光の偏光状態に関わらず位相差を0〜2πの範囲で変えることができる請求項11に記載の液晶位相変調デバイス。
  13. 前記液晶層の液晶の温度を調整する温度制御部が設けられている請求項1〜12のいずれか1項に記載の液晶位相変調デバイス。
  14. 前記波長λは、1450nm〜1650nmである請求項1〜13いずれか1項に記載の液晶位相変調デバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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