JP2011043140A - 点火装置およびこれを備えた内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】可燃性混合物を点火する段階において、点火パルスによる直流放電と電磁波照射とを燃焼室にて一緒に行うことができる小形で高効率の点火装置を得る。
【解決手段】電磁波発生装置5から点火プラグ9へと電磁波を伝送する導波管8の上記点火プラグ9を接続する端部に、中央部側より上記短部側が細くなる第1テーパ形状部位8cをもうけ、この第1テーパ形状部位8cの外縁に近接して、点火パルス発生装置14と点火プラグ9との間に電気的に直列接続されるインダクタ11を配置する。
【選択図】図1
【解決手段】電磁波発生装置5から点火プラグ9へと電磁波を伝送する導波管8の上記点火プラグ9を接続する端部に、中央部側より上記短部側が細くなる第1テーパ形状部位8cをもうけ、この第1テーパ形状部位8cの外縁に近接して、点火パルス発生装置14と点火プラグ9との間に電気的に直列接続されるインダクタ11を配置する。
【選択図】図1
Description
この発明は、点火装置およびこれを備えた内燃機関に関して、特に、可燃性混合物を点火する段階において点火パルスによる直流放電と電磁波照射とを燃焼室にて一緒に行うことができる点火装置およびこれを備えた内燃機関に関する。
従来の可燃性混合物を点火する手段(点火装置)においては、内燃機関の燃焼室における空気と燃料混合物の燃焼効率を改善するため、燃焼室内のスパークプラグチップ(点火プラグの中心電極および接地電極)に、直流放電を発生させるDC電圧(点火パルス)と電磁エネルギーを放射するRFエネルギー(電磁波)とを、可燃性混合物の点火段階において一緒に供給している。このように、同一スパークプラグチップにDC電圧とRFエネルギーを一緒に供給する場合、DC電圧を発生する電圧源(点火パルス発生装置)とRFエネルギーを発生するRF発生源(電磁波発生装置)とがスパークプラグチップを介し電気的につながることに起因して誤動作や故障が発生することがある。そのため、従来の可燃性混合物を点火する手段では、DC電圧とRFエネルギーを燃焼室に導く同軸導体(中心電極)とRF発生源との間にDC阻止手段(ハイパスフィルタ)を挿入し、RFエネルギーを通過させると同時に、DC電圧を遮蔽してRF発生源を保護すると共に、同軸導体とDC電源との間にRFフィルタ(ローパスフィルタ)を設けて、DC電圧を通過させると同時にRFエネルギーを遮蔽してDC電源を保護するようにしている。(例えば、特許文献1参照)。
また、電磁波を電磁波発生源(電磁波発生装置)から点火栓(点火プラグ)に伝達する手段としては、例えば、同軸ケーブルや導波管が用いられる。(例えば、特許文献2参照)。
内燃機関では、スパークプラグ(点火プラグ)周辺に内燃機関の他の装置が密集するので、点火プラグ装置(点火プラグとそのキャップ等の実質一体化した装置)を配置できる空間が制限される。従って、従来の可燃性混合物を点火する手段では、上述のDC阻止手段およびRFフィルタを点火プラグ装置に組み込んで上記制限された空間内に配置することが困難であり、上記制限された空間に配置できない部品、例えば、DC阻止手段またはRFフィルタを上記制限された空間の外で点火プラグ装置から引き出した配線に接続する必要があった。そのため、点火装置が大形化するという問題があった。また点火装置の大形化に伴う配線の増加により、燃焼室に向けて射出されるべきRFエネルギーの伝達損失が大きいという問題もあった。
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、小形で高効率の点火装置を提供することを目的とする。
また、高効率の内燃機関を得ることを目的とする。
この発明に係る点火装置は、電磁波を放射する点火プラグと、上記点火プラグが接続される端部側が中央部側より細くなる第1テーパ形状部位を有する導波管と、上記導波管に電磁波を供給する電磁波発生装置と、上記第1テーパ形状部位の外縁に近接して配置され、且つ上記点火プラグに点火パルスを供給する点火パルス発生装置と上記点火プラグとの間に電気的に直列接続されるインダクタとを備えたものである。
また、この発明に係る内燃機関は、上記点火装置を装備したエンジンと、上記点火装置による燃焼室内での直流放電および電磁波放射の時機を制御する内燃機関制御手段とを備えたものである。
この発明によれば、点火装置を小形化および高効率化できる。
さらに、内燃機関を高効率化できる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による点火装置を示す部分断面図である。図1において、点火装置は、点火プラグ装置1、直流電源2、信号発生装置3、コイルドライバ4、電磁波発生装置5およびこれらを電気的に接続する配線などにて構成されている。図1では、点火プラグ装置1と燃焼室6の一部を、断面図にて示している。点火プラグ装置1は、電磁波伝送路7、円形の断面を有する導波管8、点火プラグ9、トランス10、インダクタ11、点火プラグ9とインダクタ11を電気的に接続する配線12、インダクタ11とトランス10とを電気的に接続する配線13、および周辺の機器と絶縁をとるための絶縁性筐体16、例えば樹脂製の筐体などにて構成されている。
図1は、この発明の実施の形態1による点火装置を示す部分断面図である。図1において、点火装置は、点火プラグ装置1、直流電源2、信号発生装置3、コイルドライバ4、電磁波発生装置5およびこれらを電気的に接続する配線などにて構成されている。図1では、点火プラグ装置1と燃焼室6の一部を、断面図にて示している。点火プラグ装置1は、電磁波伝送路7、円形の断面を有する導波管8、点火プラグ9、トランス10、インダクタ11、点火プラグ9とインダクタ11を電気的に接続する配線12、インダクタ11とトランス10とを電気的に接続する配線13、および周辺の機器と絶縁をとるための絶縁性筐体16、例えば樹脂製の筐体などにて構成されている。
また、点火パルス発生装置14は、図1中の破線で囲んだ、直流電源2、信号発生装置3、コイルドライバ4、トランス10およびこれらを電気的に接続する配線などにて構成されており、これにローパスフィルタとしてはたらくインダクタ11を加えたものを点火パルス形成装置15(図示せず)としている。このインダクタ11は、トランス10と点火プラグ9との間に電気的に直列に接続されている。また、電磁波発生装置5は、例えば、高周波電源にて構成されており、この電磁波発生装置5は、ハイパスフィルタとしてはたらく導波管8に接続されている。また、点火プラグ装置1が設置される内燃機関の燃焼室6は、燃焼室壁6aとピストン(図示せず)に囲まれた燃焼空間6bにて構成されている。
さらに各構成部を説明すると、電磁波伝送路7は、導波管8に固着される電磁波伝送路片7aと、この電磁波伝送路片7aと電磁波発生装置5を接続する電磁波伝送配線7b、例えば同軸ケーブルにて構成される。ハイパスフィルタとしてはたらく導波管8は、導波管壁8aおよび導波空間8bにて構成され、点火プラグ9側および電磁波伝送路7側の端部が夫々細くなる第1テーパ形状部位8cおよび第2テーパ形状部位8dを有している。第1テーパ形状部位8cおよび上記第2テーパ形状部位8dに囲まれる空間は夫々円錐台になっている。導波管壁8aには、電磁波伝送路7、点火プラグ9、および配線12を、夫々導波空間8b内に導く開口部が設けられている。配線12を導波空間8b内に導く開口部では、配線12と導波管壁8aとが電気的に接触しないように絶縁性固定部材17、例えばエポキシ樹脂にて上記配線を固定している。配線12は、導波管8外の配線部位12aと導波管8内の配線部位12bとを有している。この導波管8の第1テーパ形状部位8cの外縁を取り囲むように近接してインダクタ11が、第2のテーパ形状8dの部位の外縁を取り囲むように近接してトランス10が夫々配置されている。
また、点火プラグ9は、中心電極18、誘電体19、ネジ部20および接地電極21にて構成され、ネジ部20にて燃焼室壁6aに固定されている。中心電極18は、誘電体19により導波管8と絶縁されている。導波管壁8aと燃焼室壁6aと接地電極21とは、ネジ部20を介して電気的に接続されている。直流放電を発生させる点火プラグ9のスパークギャップは、中心電極18の燃焼室6側の端部と接地電極21にて構成される。
図2は、図1のインダクタ11を含むA―A断面図である。インダクタ11では、トロイダル形状の第1フェライトコア22に、巻線23が同軸状且つ放射状に巻きつけられている。また、図3は、図1のトランス10を含むB―B断面図を示す。トランス10では、トロイダル形状の第2フェライトコア24に、内側に一次巻線25が、外側に二次巻線26が、夫々同軸状且つ放射状に巻きつけられている。
図4は、点火パルス形成装置15の各部品の電気的な接続状態を示した図である。直流電源2は、例えば、バッテリであり、他の電装品に使用されるバッテリと併用されている。直流電源2は、トランス10の一次巻線25と二次巻線26の両方に接続されている。一方、信号発生装置3で形成されるパルス信号は、コイルドライバ4を介してトランス10の一次巻線25に入力される。この入力に基づいて、点火パルスが、トランス10からインダクタ11を介して点火プラグ9の中心電極18へと供給される。
このように構成された点火装置を用いて、可燃性混合物を点火する段階において点火パルスと電磁波の両方を一緒に燃焼室6に供給することについて説明する。
まず、電磁波の発生、伝送および放射について説明する。電磁波発生装置5は、例えば固体素子、マグネトロンまたは進行波増幅管などにより構成することができ、電磁波(5.73GHzの正弦波)を発生、増幅させる役割を果たす。5.73GHzはISMバンド(5.725GHz〜5.875GHz)と呼ばれる周波数帯に含まれ、他周波数に比べて空間に放出される電磁波規制の上限値が高く制定されている。また、IMSバンドの5.80GHzはETC(Electronic Toll Collection)で使用されているため、干渉を避ける観点から5.73GHzを使用することが好ましい。電磁波発生装置5は、電磁波のゲインを制御することで、その出力を制御することができる。
電磁波発生装置5から出力された電磁波は、電磁波伝送路7、導波管8、点火プラグ9の中心電極18を経由して、燃焼空間6bへ放射される。電磁波伝送配線7bは、同軸ケーブルなどのシールド付きのケーブルで構成され、導波管8へ電磁波を入射する電磁波伝送路片7aが電磁波伝送配線7bに接続されている。電磁波伝送路片7aの導波管8への挿入長は、5.73GHzにおける1/4波長に相当する13mm程度とすることが好ましい。
導波管8の電磁波伝送路7側の端部は、電磁波伝送路7側から中央部に向かって次第に広くなる第2テーパ形状部位8dを有している。第2テーパ形状部位8dに囲まれる空間は、導波管8が円形断面を有する管であることから、図1において下底が下の円錐台となる。また、第2テーパ形状部位8dの最も広い部分の位置(上記円錐台の下底に相当)は、電磁波伝送片7aの導波管8内側端部より点火プラグ9側に設けており、つまり電磁波伝送片7aの導波管8内側端部が、第2テーパ形状部位8dに囲まれた空間内に位置するようにしている。このように、導波管8の電磁波伝送路7側端部を中央部側より細くテーパ形状にし、電磁波伝送片7aの導波管8内側端部を第2テーパ形状部位8dに囲まれた空間内に配置することで、電磁波伝送路7側で定まった電磁波伝送のインピーダンスから導波管8のインピーダンスへの変化を段階的もしくは連続的にすることができる。これにより、伝送路のインピーダンスの不連続性に起因する電磁波の反射が低減され、この反射による伝送損失を低減できるので、高い効率で電磁波を伝送できる。
また、導波管8の中央に位置する円柱部の断面の半径は25mm程度にすることが好ましい。図5は、この実施の形態1による円形導波管の半径が25mmの場合の電磁波伝送の周波数依存特性を示した図である(マイクロ波工学(森北出版)P67、第1版、1975参照)。縦軸の減衰定数が小さいほど、電磁波伝送のインピーダンスは低くなり、電磁波を高効率で伝送できる。つまり、半径を25mm程度にすることにより、IMSバンドの電磁波伝送を高効率にすることが分かる。
さらに、導波管8の中心電極18側においても、電磁波伝送路7側と同様な理由で、導波管8に中央部から中心電極18側へ向かって次第に細くする第1テーパ形状部位8cを設けている。この第1テーパ形状部位8cに囲まれる空間は、導波管8が円形断面を有する管であることから、図1において下底が上の円錐台となる。また、第1テーパ形状部位8cの最も広い部分の位置(上記円錐台の下底に相当)は、中心電極18の導波管8内側の一方の端部より電磁波伝送片7a側に設けており、つまり中心電極18の導波管8内側の一方の端部が、第1テーパ形状部位8cに囲まれた空間内に位置するようにしている。このように導波管8の中心電極18側を中央部側より細くテーパ形状にし、中心電極18の導波管8内側の一方の端部が、第1テーパ形状部位8cに囲まれた空間内に配置することにより、中心電極18側で定まる電磁波伝送のインピーダンスから導波管8のインピーダンスへの変化を段階的もしくは連続的にすることができる。これにより、伝送路のインピーダンスの不連続性に起因する電磁波の反射が低減され、この反射による伝送損失を低減できるので、高い効率で電磁波を伝送できる。
導波管8から中心電極18に伝送された電磁波は、中心電極18の燃焼空間6bに突出している他方の端部から燃焼空間6bに放射され、燃焼空間6b内の可燃性混合物に電磁波のエネルギーを与える。
続いて、点火パルスの発生、伝送および点火プラグでの直流放電の発生について説明する。信号発生装置3で形成されたパルス信号に基づきコイルドライバ4が動作し、直流電源2からエネルギーがトランス10に供給されて点火パルスが発生する。このトランス10は、導波管8の第2テーパ形状部位8dの外縁を近接し取囲むように設置されおり、絶縁性筐体16の寸法を大形化することなくトランス10を配置できる。つまり、従来、点火プラグ装置とは別途設置する必要があったトランスを、点火プラグ装置に組み込むことができるので、点火装置を小形化できる。
トランス10に用いる第2フェライトコア24の材質は、図6(出典、「電気工学ハンドブック」電気学会、2001年、第6版、P200、図70)に示す材料A(図中、x=0.30の材料。透磁率の実数成分μ’を実線で、虚数成分μ''を破線で夫々示す。)のように、他の材質と比較して周波数f=1MHzにおいて最も透磁率の高い磁気特性を示すものを選択した。これは、点火用パルスの立ち上がり時間が1μs程度であり、単純に周波数に換算すると1MHzとなるので、1MHz時の透磁率に着目して材料を選択することが好ましいためである。また、点火パルスの振幅には、点火パルス印加時間である1msに対応する1kHz時の透磁率も影響するが、図6に示すように透磁率は、ある周波数を臨界点として減衰するので、1MHzで透磁率の高い材料を選択しておけば、1kHzでも充分に高い透磁率が得られる。
トランス10から出力される立ち上りが1μs程度の点火パルスが、インダクタ11に入力される。インダクタ11は、上述の通りローパスフィルタとしての役割を担うので、インダクタ11に用いられるフェライトコア21の材質としては、立ち上りが1μsの点火用パルスを減衰させることなく、5.73GHzの電磁波を遮蔽できる磁気特性を有することが好ましい。つまり、1MHzでインピーダンスが1Ω以下と低く、周波数が高くなるほどインピーダンスが高くなる材料、例えば図7(出典、TDK社カタログ2007年版「EMC対策用フェライトコア コモンモードフィルタ用」から抜粋)に示すGT7などが好ましい。
このような材質を選定することにより、インダクタ11を形成するコアの透磁率を、点火パルスの立ち上がり時の周波数を超えた周波数領域から立ち上るように設定することができ、上記周波数領域より低い周波数成分によって構成されている点火パルスがインダクタ11で減衰することが無く通過し、さらに、上記周波数領域より圧倒的に周波数が高いGHz帯の電磁波のみを効率的に遮蔽することができる。
なお、図7には500MHz以上のインピーダンス特性が示されておらず、電磁波の周波数である5.73GHzの特性が記載されていない。そこで、図6に示す透磁率特性と合わせて推定する。例えば、材料B(図中、x=1.00の材料)の100MHz以上で、透磁率の実数成分μ’は周波数に対して減衰傾向を示し、虚数成分μ''は周波数に対し一旦増加するがその後は減少する傾向を示す。この周波数特性から、数GHzではインピーダンス特性も低下し、5.73GHzで所望の特性を得られない可能性が考えられる。仮に、図6で周波数に対して透磁率一定とすると、図7に相当するインピーダンス特性は、周波数に比例してインピーダンスが増加する。従って、図6で周波数に対して透磁率が減少する時は必ずインピーダンスも減少するとまでいえない。しかし、透磁率が周波数に対して大きな減少特性を持つ場合はインピーダンスも低下する可能性がある。その場合には、主にGHz帯の周波数領域で使用されている材料、例えばガーネットフェライトや六方晶フェライトを用いることが好ましい。
インダクタ11から出力された点火パルスは、配線12によって導波管壁8aに設けた開口部を通り導波空間8b内に位置する中心電極18の一方の端部まで伝送される。この伝送された点火パルスにより、燃焼空間6b内に露出した中心電極18の他方の端部と接地電極21との間で直流放電を発生させる。
以上のような伝送経路にて、電磁波発生装置5で発生させた電磁波と、直流電源2をエネルギー源とする点火パルスが夫々伝送されるので、可燃性混合物を点火する段階において電磁波と点火パルスを一緒に発生させると、中心電極18にて高周波と点火パルスが重畳される。重畳された電磁波と点火パルスは、燃焼室側に突出した中心電極18の他方の端部から燃焼空間6bに向けて射出される。
この実施の形態1の点火装置では、導波管8の中心電極18側の端部に第1テーパ形状部位8cをもうけ、この第1テーパ形状部位8cの外縁に近接して囲むようにインダクタ11を設けたので、点火プラグ装置1全体の寸法を大きくすることなく、従来別置きであったインダクタ11を点火プラグ装置1に組み込むことができる。これにより、点火装置を小形化できる。
また、導波管8の電磁波伝送路7側の端部に第2テーパ形状部位8dをもうけ、この第2テーパ形状部位8dの外縁に近接して囲むようにトランス10を設けたので、点火プラグ装置1全体の寸法を大きくすることなく、従来別置きであったトランス10を点火プラグ装置1に組み込むことができる。これにより、点火装置を小形化できる。
また、導波管8の中心電極18側の端部に第1テーパ形状部位8cをもうけ、この第1テーパ形状部位8cに囲まれる空間内に中心電極18の導波空間8b内側の一方の端部が位置するよう構成したので、電磁波の伝送経路上のインピーダンスの不連続性を減らせる。これにより、電磁波の高い伝送効率を実現できる。
また、導波管8の電磁波伝送路7側の端部に第2テーパ形状部位8dをもうけ、この第2テーパ形状部位8dに囲まれる空間内に電磁波伝送片7aの導波空間8b内側の端部が位置するよう構成したので、電磁波の伝送経路上のインピーダンスの不連続性を減らせる。これにより、電磁波の高い伝送効率を実現できる。
また、インダクタ11を、第1テーパ形状部位8cを囲むように近接配置することで、中心電極18からインダクタ11まで配線12の長さを短くしたので、配線12に流入する電磁波を最小とすることができる。さらに、配線12の内、導波管8外に位置する配線部位12aの長さを短くすることができるので、配線部位12aから空間に放出される電磁波を小さくできる。これらの電磁波の配線12への流入および外部への放出は、本来、中心電極18から燃焼室6に向けて射出されるべきエネルギーが漏洩する伝達損失であるので、これらの低減は電磁波伝達の高効率化につながる。
さらに、インダクタ11が、点火パルス発生装置14へと電磁波が流れないように遮蔽するローパスフィルタとしてはたらくので、電磁波が点火パルス発生装置14側まで漏洩することによる伝送損失を防止できる。
以上より、この実施の形態1の発明では、導波管8の点火プラグ9に接続される側の端部に第1テーパ形状部位8cを採用することで空いた空間を利用して、インダクタ11を点火プラグに近接させ、点火プラグ装置と一体化させて設けることができるので、小形で高効率の点火装置を提供することができる効果がある。
また、トロイダル形状の第1フェライトコア22に巻線を巻いたインダクタ11を適用することで、上記空間にインダクタ11を高密度で実装でき、一層小形の点火装置を提供することができる効果がある。
また、点火プラグ9のスパークギャップと反対側の電極端部が、第1テーパ形状部位8cに囲まれた空間内に位置するように構成することで伝送路のインピーダンスの不連続性を低減できるので、電磁波の伝送損失を一層低減することができる効果がある。
また、導波管8の電磁波伝送路7側に接続される側の端部に第2テーパ形状部位8dを採用することで空いた別の空間を利用して、トランス10を点火プラグ装置と一体化させて設けることができるので、一層小形の点火装置を提供することができる効果がある。
また、トロイダル形状の第2フェライトコア24に1次巻線および2次巻線を巻いたトランス10を適用することで、上記別の空間にトランス10を高密度で実装でき、さらに小形の点火装置を提供することができる効果がある。
また、電磁波伝送路7の導波管8内側の端部が、第2テーパ形状部位8dに囲まれた空間内に位置するように構成することで伝送路のインピーダンスの不連続性を低減できるので、電磁波の伝送損失を一層低減することができる効果がある。
なお、この実施の形態1において、断面形状が長方形の第2フェライトコア24を有するトランス10を用いた例を示したが、導波管8の第2テーパ形状部位8dに沿うように第2フェライトコア24のトロイダル形状の内側面をテーパ形状とし、第2フェライトコア24の断面形状を台形にしても良い。このように台形にすることにより、同じ点火プラグ装置の外形でコアの断面積を大きくすることができるので、コアの材質がもつ透磁率特性が同じでも、トランスとしてのインダクタンスを大きくすることができ、より一次巻線25や二次巻線26の巻数を減らすことができて、小形化できる。
実施の形態2.
図8には、この発明の実施の形態2による点火装置を示す。上述のように導波管8に電磁波を伝送する電磁波伝送配線7bは同軸ケーブルなどで構成されるため、非常に曲がりにくく、エンジンルームの高さ制限がある場合、図1に示すように点火プラグ装置1の上部に電磁波伝送配線7bを設けること難しい。また、たとえ電磁波伝送配線7bを点火プラグ装置の上部に設けることが出来たとしても、配線に不要な力がかかりやすく配線故障の原因となる。この実施の形態では、このような制限がある場合にも実施の形態1と同様な効果が得られる構成を示すもので、その他の構成は基本的には実施の形態1の構成と同様であるので、以下では主に実施の形態1と異なる点について説明する。
図8には、この発明の実施の形態2による点火装置を示す。上述のように導波管8に電磁波を伝送する電磁波伝送配線7bは同軸ケーブルなどで構成されるため、非常に曲がりにくく、エンジンルームの高さ制限がある場合、図1に示すように点火プラグ装置1の上部に電磁波伝送配線7bを設けること難しい。また、たとえ電磁波伝送配線7bを点火プラグ装置の上部に設けることが出来たとしても、配線に不要な力がかかりやすく配線故障の原因となる。この実施の形態では、このような制限がある場合にも実施の形態1と同様な効果が得られる構成を示すもので、その他の構成は基本的には実施の形態1の構成と同様であるので、以下では主に実施の形態1と異なる点について説明する。
図8では、導波管8の上部側の側面から電磁波伝送片7aを引き出し、電磁波伝送配線7bを電磁波伝送片7aの導波管外部の端部より絶縁性筐体16側面へと引き出している。このような構成を用いることにより、点火プラグ装置1の設置できる空間に高さ制限がある場合でも、電磁波伝送配線7bに不要な力をかけることなく点火プラグ装置1を設置できる。また、厚さが薄いトロイダル状のトランス10を、電磁波伝送配線7bを取囲むように配置することで、点火プラグ装置1に従来別置きであったトランス10を組み込んでいる。
また、導波管8の中心電極18と反対側に位置する上部壁面に、導波管8の軸方向に垂直な面に対して、電磁波伝送路7を引出した側の高さが低くなる勾配を設け、電磁波伝送路7側で定まった電磁波伝送のインピーダンスから導波管8のインピーダンスへの変化を段階的または連続的にしている。これにより、伝送路のインピーダンスの不連続性に起因する電磁波の反射が低減され、この反射による伝送損失を低減できるので、高い効率で電磁波を伝送できる。
以上より、この実施の形態2の発明では、点火プラグ装置1の側面から電磁波伝送配線7bを引出すようにしたので、点火プラグ装置の設置できる空間に高さ制限がある場合でも、本発明の点火装置を適用できると共に、電磁波伝送配線7bに不要な力がかかることを防止できる効果がある。
また、点火プラグ装置1の側面から電磁波伝送配線7bを引出す場合であっても、導波管8の上部壁面に勾配を設けることで、伝送路のインピーダンスの不連続性を低減できるので、電磁波の伝送損失を低減することができる効果がある。
なお、この実施の形態2において、図8にトランス10を導波管8の側面に配置して出来るだけ高さを低くするようにした場合を示したが、導波管8の勾配を設けた上部壁面の近傍にトランス10を収納できるスペースがあれば、導波管8の上部にトランス10を配置しても良い。
また、設置制限が、高さ制限のみで、点火プラグ装置の前後もしくは左右に設置空間を設けることが可能な場合は、トロイダル状のトランス10の厚さ方向を大きくして、その分、径方向を小さくしても良い。
実施の形態3.
図9は、この発明の点火装置を自動車用の内燃機関に適用した一例を示している。エンジンが収納されるエンジンルームには、左右方向に並んだ複数の燃焼室6(図示せず)を有するエンジン本体27、上記エンジン本体27の上部に接続される点火プラグ装置1、バッテリ2、電磁波発生装置5、燃料供給手段、例えば燃料バルブ(図示せず)、空気供給手段28、例えば吸気用フィルタ、可燃性混合物発生手段29、例えばキャブレター、排気手段、例えば排気管(図示せず)、冷却手段30、例えばラジエーター、エンジン始動手段31、例えばスターター、および、内燃機関制御手段32、例えばECU(Engine Control Unit)など多数の機器が高密度で実装されている。
図9は、この発明の点火装置を自動車用の内燃機関に適用した一例を示している。エンジンが収納されるエンジンルームには、左右方向に並んだ複数の燃焼室6(図示せず)を有するエンジン本体27、上記エンジン本体27の上部に接続される点火プラグ装置1、バッテリ2、電磁波発生装置5、燃料供給手段、例えば燃料バルブ(図示せず)、空気供給手段28、例えば吸気用フィルタ、可燃性混合物発生手段29、例えばキャブレター、排気手段、例えば排気管(図示せず)、冷却手段30、例えばラジエーター、エンジン始動手段31、例えばスターター、および、内燃機関制御手段32、例えばECU(Engine Control Unit)など多数の機器が高密度で実装されている。
このように多数の機器が高密度で実装されている自動車のエンジンルーム内において、特に、エンジン本体27とエンジンルームの蓋33との間の空間は小さく、設置できる点火プラグ装置1の高さ寸法が制限される。さらに、エンジン本体27の燃焼室6に点火プラグ装置1を設置する部位の前後には、吸気用バルブ、排気用バルブ、およびその駆動機構、例えばカム機構など(図示せず)が設置されるので、設置できる点火プラグ装置1の前後方向の寸法が制限される。また、上記複数の燃焼室6の夫々の間隔により、設置できる点火プラグ装置1の左右方向の寸法が制限される。
このように制限された空間においても、この発明の点火装置を自動車用の内燃機関に適用することで、従来別置きであったローパスフィルタ11とトランス10を点火プラグ装置1に格納できる。
また、特に、実施の形態2で示した構成の点火装置を適用すれば、特に高さ制限が厳しい場合においても、電磁波伝送路7を点火プラグ装置1の側面から引出すことにより、電磁波伝送配線7bに不要な力を加えることなく、本発明の点火装置を自動車用の内燃機関に適用することができる。これにより、点火装置の信頼性が向上する。
また、この内燃機関では、各種センサにて収集したデータ、例えば可燃性混合物の空燃比やエンジン吸排気のタイミングなどに基づいて、最適なタイミングにて直流放電もしくは電磁波照射を開始し終了するように、内燃機関制御手段32により点火装置を制御する。これにより、直流放電のみでは点火が困難であった希薄燃焼領域においても、最適な点火が可能となり、高い効率で低NOxの燃焼を実現できる。
つまり、エンジンルーム内の制限された空間においても、点火パルスによる直流放電と電磁波照射とを燃焼室にて一緒に行うことができる点火装置を提供することで、燃費の改善と環境性の向上を実現できる。
以上より、この実施形態3の発明では、本発明の点火装置1を内燃機関に適用することで、従来別置きであったローパスフィルタ11とトランス10を点火プラグ装置1に格納し、少ない伝送損失で電磁波のエネルギーを可燃性混合物に供給できる。これにより、小形、高効率の内燃機関を得ることができる効果がある。
また、上記エンジンに装備された上記点火装置を内燃機関制御手段で最適に制御することで、高い効率で低NOxの内燃機関を得ることができる効果がある。
なお、この実施の形態3では、自動車用内燃機関にこの発明の点火装置を適用する一例を示したが、この発明は自動車用に限定するものではなく、船舶用、航空機用、機関車用、およびその他の動力として用いられる内燃機関であっても良い。
ところで、以上の実施の形態においては、断面形状が長方形の第1フェライトコア22にて構成されるインダクタ11を用いた例を示したが、導波管8の第1テーパ形状部位8cに沿うように第1フェライトコア22のトロイダル形状の内側面をテーパ形状とし、第1フェライトコア22の断面形状を台形にしてもよい。このように台形にすることにより、同じ点火プラグ装置の外形でコアの断面積を大きくすることができるので、コアの材質がもつインピーダンス特性が同じでも、インダクタとしてのインピーダンスを大きくすることができ、より電磁波を効率的に遮蔽することができる。
また、以上の実施の形態では、円形断面の導波管8を用いたものを示したが、方形断面の導波管を用いても良い。その場合は、導波管のテーパ形状で囲まれる空間は四角錐台となるので、これに合わせて、トランス10およびインダクタ11の形状を四角の枠状にしても良い。
1 点火プラグ装置、2 直流電源、3 信号発生装置、4 コイルドライバ、5 電磁波発生装置、6 燃焼室、6a 燃焼室壁、6b 燃焼空間、7 電磁波伝送路、7a 電磁波伝送路片、7b 電磁波伝送配線、8 導波管、8a 導波管壁、8b 導波空間、8c 第1テーパ形状部位、8d 第2テーパ形状部位、9 点火プラグ、10 トランス、11 インダクタ、12 配線、12a 配線部位、12b 配線部位、13 配線、14 点火パルス発生装置、15 点火パルス形成装置、16 絶縁性筐体、17 絶縁性固定部材、18 中心電極、19 誘電体、20 ネジ部、21 接地電極、22 第1フェライトコア、23 巻線、24 第2フェライトコア、25 一次巻線、26 二次巻線、27 エンジン本体、28 空気供給手段、29 可燃性混合物発生手段、30 冷却手段、31 エンジン始動手段、32 内燃機関制御手段、33 エンジンルームの蓋
Claims (9)
- 電磁波を放射する点火プラグと、上記点火プラグが接続される端部側が中央部側より細くなる第1テーパ形状部位を有する導波管と、上記導波管に電磁波を供給する電磁波発生装置と、上記第1テーパ形状部位の外縁に近接して配置され、且つ上記点火プラグに点火パルスを供給する点火パルス発生装置と上記点火プラグとの間に電気的に直列接続されるインダクタとを備えたことを特徴とする点火装置。
- インダクタは、トロイダル形状の第1フェライトコアと上記第1フェライトコアに巻いた巻線とを有し、且つ第1テーパ形状部位を取囲むように配置されたことを特徴とする請求項1記載の点火装置。
- 点火プラグのスパークギャップと反対側の端部は、第1テーパ形状部位に囲まれた空間内に位置するように配置されたことを特徴とする請求項1または2記載の点火装置。
- 電磁波発生装置から導波管へ電磁波を伝える電磁波伝送路に接続される上記導波管の端部は、上記端部側が中央部側より細くなる第2テーパ形状部位を有し、上記第2テーパ形状部位の外縁に近接して点火パルス発生装置の一部を構成するトランスが一体に配置されたことを特徴とする請求項1記載の点火装置。
- トランスは、トロイダル形状の第2フェライトコアと上記第2フェライトコアに巻いた1次巻線および2次巻線とを有し、且つ第2テーパ形状部位を取囲むように配置されたことを特徴とする請求項4記載の点火装置。
- 電磁波伝送路の導波管の内側の端部は、第2テーパ形状部位に囲まれた空間内に位置するように配置されたことを特徴とする請求項4または5記載の点火装置。
- 電磁波発生装置から導波管へ電磁波を伝える電磁波伝送路と上記導波管との接続部位は、上記導波管の側面に設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の点火装置。
- 導波管の点火プラグが接続される一端部と反対側の他端部の壁面は、上記導波管の軸方向に垂直な面に対して、電磁波伝送路と上記導波管との接続部位側の高さが低くなる勾配を有することを特徴とする請求項7記載の点火装置。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の点火装置を有するエンジンと、上記点火装置による燃焼室内での直流放電および電磁波放射の時機を制御する内燃機関制御手段とを備えたことを特徴とする内燃機関。
Priority Applications (1)
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JP2009193057A JP2011043140A (ja) | 2009-08-24 | 2009-08-24 | 点火装置およびこれを備えた内燃機関 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103597202A (zh) * | 2011-04-04 | 2014-02-19 | 费德罗-莫格尔点火公司 | 用于在电晕放电点火系统中控制电弧形成的系统及方法 |
WO2015030247A3 (ja) * | 2013-09-02 | 2015-04-23 | イマジニアリング株式会社 | プラズマ発生装置及び内燃機関 |
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2009
- 2009-08-24 JP JP2009193057A patent/JP2011043140A/ja active Pending
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