JP2011042575A - 無機繊維質成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【解決課題】生体溶解性繊維の成形体であって、保管時に劣化が少ない無機繊維質成形体及びその製造方法、並びに製造時に生体溶解性繊維の劣化が少ない無機繊維質成形体の製造方法を提供することにある。
【解決手段】被覆層形成無機繊維(a)及びバインダーを含有し、該被覆層形成無機繊維(a)は、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上であることを特徴とする無機繊維質成形体。溶媒に、被覆層形成剤を混合し、次いで、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上である無機繊維(b)及びバインダーを混合し、被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリーを得るスラリー製造工程、及び該スラリー中の水を、吸引ろ過し、無機繊維質成形体を得る脱水成形工程を有することを特徴とする無機繊維質成形体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、熱処理装置、工業窯炉内又は焼却炉内で、断熱材として使用される無機繊維質成形体、あるいは、特開平2004−263860号公報等に記載されている、ディスクロールと呼ばれる高温物の運搬用ロールの基材又は特開平2003−292380号公報等に記載されている、耐熱性セッターと呼ばれる高温物の運搬用治具の基材として使用される無機繊維質成形体、並びにその製造方法に関し、より具体的には、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上の無機繊維を主成分とする無機繊維質成形体に関する。以下、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上の無機繊維を、生体溶解性繊維とも記載する。
従来、無機繊維をバインダーで固めた繊維質成形体が、断熱材、ディスクロール、耐熱性セッターとして使用されており、該無機繊維としては、ガラス繊維、グラスウール、セラミックウール、ロックウール、アルミナ質繊維、ジルコニア質繊維、シリカ・アルミナ質繊維等(以下、従来の繊維質成形体の無機繊維等とも記載する。)が使用されていた。
この従来の繊維質成形体の無機繊維等は、人に吸入されて肺に侵入すると、肺胞マクロファージ(食細胞)により異物として取り囲まれ、繊毛がある場所(気管や気管支)まで運び込まれ痰とともに体外に排出されたり、リンパ液・リンパ管を経て肺胞表面から排出されたりする。しかし、異物の取り囲みにより肺胞マクロファージが刺激を受けたり、損傷を受けることもあり、それにより蛋白質分解酵素やコラーゲン繊維分解酵素が細胞から出て、これらの酵素の量が多くなると肺胞細胞が炎症を起こしたり、コラーゲン化を呈するようになることがある。こうした炎症を起こした細胞は抵抗力が弱まっており、細胞内の核の中にあるDNAが損傷されやすくなるとともに、細胞の破壊と再製過程とが頻繁になり、異常細胞が出現する機会が多くなる。このように、従来の繊維質成形体の無機繊維では、人体への影響が懸念されてきた。
そのため、該従来の無機繊維質成形体の無機繊維等を使用しない無機繊維質成形体の開発が望まれていた。
40℃における生理食塩水溶解率が1%以上の無機繊維(生体溶解性無機繊維)は、肺に吸入されても体内で溶解されやすい。そこで、従来の無機繊維質成形体の無機繊維等の代わりに、生体溶解性無機繊維を使用することが行われてきた。例えば、特開2003−82569号公報(特許文献1)には、SiO及びCaOを主成分とする無機繊維と、バインダーと、必要に応じて無機粉体とからなり、NaとKの合計が4000ppm以下である無機繊維質成形体、及び該無機繊維、バインダー及び無機粉体を、水に入れ、攪拌してスラリーとし、次いで、成形し、乾燥する無機繊維質成形体の製造方法が開示されている。
特開2003−82569号公報(請求項1、実施例)
無機繊維質成形体は、通常、大気中で保管されるので、保管中に大気中の水分を吸湿する。特に、輸出する際には、該無機繊維質成形体は、船底等の湿度が高い条件下で保管されるので、多くの水分を吸湿することになる。ところが、特許文献1に開示されている無機繊維質成形体は、主成分である無機繊維の一部が、水に溶解する性質を有しているため、吸湿した水分により該無機繊維が浸食され、該無機繊維が断裂したり、あるいは、該無
機繊維が水分に溶解することにより生じるアルカリ成分が、有機バインダーを劣化させるため、該無機繊維質成形体の強度が低下するという問題が生じていた。このように、従来の生体溶解性無機繊維を主成分とする無機繊維質成形体では、保管中に劣化し、商品価値が低下するという問題があった。
また、無機繊維質成形体は、通常、特許文献1に開示されている無機繊維質成形体の製造方法のように、無機繊維及びバインダーを水に分散させたスラリーを調製し、次いで、該スラリー中の水を、吸引ろ過する吸引成形を行い得られる。すなわち、無機繊維質成形体中の無機繊維は、必ず、水と接触する。そのため、特許文献1に開示されている無機繊維質成形体の製造方法には、無機繊維質成形体の製造時に、無機繊維が劣化するとういう問題もあった。
従って、本発明の目的は、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上の無機繊維(生体溶解性無機繊維)の成形体であって、保管時に劣化が少ない無機繊維質成形体及びその製造方法、並びに製造時に生体溶解性無機繊維の劣化が少ない無機繊維質成形体の製造方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、(1)40℃における生理食塩水溶解率が1%以上である無機繊維(b)の表面を、被覆層で被覆して得られる、被覆層形成無機繊維(a)は、該被覆層が水分の保護膜として働くので、水と接触しても劣化し難いこと、そのため、(2)該被覆層形成無機繊維(a)を成形して得られる無機繊維質成形体は、保管中に吸湿しても、劣化が少ないことなどを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、被覆層形成無機繊維(a)及びバインダーを含有し、該被覆層形成無機繊維(a)の40℃における生理食塩水溶解率が1%以上である無機繊維質成形体を提供するものである。
また、本発明は、溶媒に、被覆層形成剤を混合し、次いで、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上である無機繊維(b)及びバインダーを混合し、被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリーを得るスラリー製造工程、及び該スラリー中の溶媒を、吸引ろ過し、無機繊維質成形体を得る脱水成形工程を有する無機繊維質成形体の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、生体溶解性無機繊維の成形体であって、保管時に劣化が少ない無機繊維質成形体及びその製造方法、並びに製造時に生体溶解性無機繊維の劣化が少ない無機繊維質成形体の製造方法を提供することができる。
トリポリリン酸アルミニウムが被覆された無機繊維(a)の写真である。 トリポリリン酸アルミニウムで被覆する前の無機繊維(b)の写真である。
本発明の無機繊維質成形体は、被覆層形成無機繊維(a)及びバインダーを含有する。
該被覆層形成無機繊維(a)は、表面に被覆層が形成されている繊維であり、且つ40℃における生理食塩水溶解率が1%以上の無機繊維である。
該被覆層形成無機繊維(a)の40℃における生理食塩水溶解率が1%以上であるためには、該被覆層形成無機繊維(a)の該被覆層以外の部分、すなわち、該被覆層が形成される前の無機繊維も、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上であることが必要である。従って、該被覆層形成無機繊維(a)は、40℃における生理食塩水溶解率が1%以
上である無機繊維(b)の表面に、該被覆層が形成されている繊維である。なお、本発明において該無機繊維(b)とは、該被覆層が形成されておらず、且つ40℃における生理食塩水溶解率が1%以上である無機繊維を指す。
該被覆層形成無機繊維(a)及び該無機繊維(b)の生理食塩水溶解率の測定方法について説明する。先ず、無機繊維を200メッシュ以下に粉砕した試料1g及び生理食塩水150mlを三角フラスコ(300ml)に入れ、40℃のインキュベーターに設置する。次に、該三角フラスコに、毎分120回転の水平振盪を50時間継続して与える。振盪後、ろ過し、得られたろ液中に含有されているケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムについて、各元素の濃度(mg/L)を、ICP発光分析にて測定する。そして、該ろ液中の各元素の濃度及び溶解前の無機繊維中の各元素の含有量(質量%)から、下記式(1)により、生理食塩水溶解率C(%)を算出する。なお、ICP発光分析により得られる各元素の濃度を、ケイ素元素の濃度:a1(mg/L)、マグネシウム元素の濃度:a2(mg/L)、カルシウム元素の濃度:a3(mg/L)及びアルミニウム元素の濃度a4(mg/L)とし、溶解前の無機繊維中の各元素の含有量を、ケイ素元素の含有量:b1(質量%)、マグネシウム元素の含有量:b2(質量%)、カルシウム元素の含有量:b3(質量%)及びアルミニウム元素の含有量:b4(質量%)とする。
C(%)={ろ液量(L)×(a1+a2+a3+a4)×100}/{溶解前の無機繊維の量(mg)×(b1+b2+b3+b4)/100} (1)
該無機繊維(b)としては、例えば、特開2000−220037号公報、特開2002−68777号公報、特開2003−73926号公報、あるいは特開2003−212596号公報に記載されている無機繊維が挙げられる。具体的には、SiO及びCaOの合計含有量が85質量%以上であり、0.5〜3.0質量%のMgO及び2.0〜8.0質量%のPを含有し、かつドイツ危険物質規制による発癌性指数(KI値)が40以上である無機繊維、SiO、MgO及びTiOを必須成分とする無機繊維、SiO、MgO及び酸化マンガンを必須成分とする無機繊維、SiO 52〜72質量%、Al 3質量%未満、MgO 0〜7質量%、CaO 7.5〜9.5質量%、B 0〜12質量%、BaO 0〜4質量%、SrO 0〜3.5質量%、NaO 10〜20.5質量%、KO 0.5〜4.0質量%及びP 0〜5質量%を含む無機繊維、SiO 75〜80質量%、CaO+MgO 19〜25質量%、Al 1〜3質量%を含む無機繊維である。
該被覆層形成無機繊維(a)の表面に形成されている該被覆層は、水に難溶であり且つ生理食塩水には溶け易い。従って、表面に該被覆層が形成されている該被覆層形成無機繊維(a)は、水に難溶であり且つ生理食塩水には溶け易く、該被覆層が形成されていない該無機繊維(b)に比べ、水への溶解率(以下、水溶解率とも記載する。)が低くなる。すなわち、該被覆層は、該被覆層形成無機繊維(a)の保護膜として働く。
該被覆層形成無機繊維(a)の表面に該被覆層が形成されているか否かは次のようにして判断することができる。先ず、表面に該被覆層が形成されている生体溶解性無機繊維(以下、試料1とも記載する。)と、該被覆層が形成されていない生体溶解性無機繊維(以下、試料2とも記載する。)とを用意する。そして、該試料1を200メッシュ以下に粉砕した試料1g及び蒸留水150mlを三角フラスコ(300ml)に入れ、40℃のインキュベーターに設置する。次に、該三角フラスコに、毎分120回転の水平振盪を50時間継続して与える。振盪後、ろ過し、得られたろ液中に含有されているケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムについて、各元素の濃度(mg/L)を、ICP発光分析にて測定する。そして、該ろ液中の各元素の濃度及び溶解前の無機繊維中の各元素の含有量(質量%)から、下記式(2)により、蒸留水溶解率D(%)を算出する。なお、ICP発光分析により得られる各元素の濃度を、ケイ素元素の濃度:e1(mg/L)
、マグネシウム元素の濃度:e2(mg/L)、カルシウム元素の濃度:e3(mg/L)及びアルミニウム元素の濃度e4(mg/L)とし、溶解前の無機繊維中の各元素の含有量を、ケイ素元素の含有量:b1(質量%)、マグネシウム元素の含有量:b2(質量%)、カルシウム元素の含有量:b3(質量%)及びアルミニウム元素の含有量:b4(質量%)とする。
D(%)={ろ液量(L)×(e1+e2+e3+e4)×100}/{溶解前の無機繊維の量(mg)×(b1+b2+b3+b4)/100} (2)
該試料2のついても、該試料1に代えて該試料2とする以外は、該試料1と同様の方法で、蒸留水溶解率D(%)を算出する。そして、該試料1の蒸留水溶解率D(%)の値が、該試料2の蒸留水溶解率D(%)の値より小さい場合、すなわち、下記式(3):
該試料1の蒸留水溶解率D(%)<該試料2の蒸留水溶解率D(%) (3)
を満たせば、該被覆層形成無機繊維(a)の表面に該被覆層が形成されていると判断する。
該被覆層形成無機繊維(a)の該被覆層を形成する物質としては、リン酸塩、モリブデン化合物、亜鉛化合物等の無機化合物、ポリアミジン化合物、エチレンイミン化合物等の有機化合物が挙げられる。該リン酸塩としては、トリポリリン酸アルミニウム、トリポリリン酸二水素アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム等が挙げられ、該モリブデン化合物としては、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム等が挙げられ、該亜鉛化合物としては酸化亜鉛が挙げられ、該ポリアミジン化合物としては、アクリルアミド、アクリロニトリル、N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩、N−ビニルアクリルアミド、ビニルアミン塩酸塩、N−ビニルホルムアミド共重合体等が挙げられ、該エチレンイミン化合物としては、アミノエチレン、ジメチレンイミン等が挙げられる。
該被覆層を形成する物質がリン酸塩の場合、該被覆層は、通常、薄膜と言うより、むしろ該無機繊維(b)の表面に、リン酸塩の微粒子が密に付着又は吸着している状態である。モリブデン化合物、亜鉛化合物等の該リン酸塩以外の無機化合物、ポリアミジン化合物、エチレンイミン化合物等の有機化合物物についても同様である。
該被覆層が、リンを含有する場合、本発明の無機繊維質成形体中のリンの含有量は、酸化物換算で、好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.3〜6質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%である。該リンの含有量が、上記範囲にあることにより、保管時に、無機繊維質成形体が劣化し難くなる。
また、該被覆層がリンを含有する場合には、該被覆層は、珪素、亜鉛、カルシウム、マグネシウムを含有しても良い。この時、該被覆層中のこれらの物質の含有量は、酸化物換算で、珪素が0.01〜50質量%、亜鉛が0.01〜30質量%、カルシウムが0.01〜15質量%、マグネシウムが0.01〜10質量%であることが好ましく、珪素が10〜40質量%、亜鉛が10〜25質量%、カルシウムが5〜10質量%、マグネシウムが2〜7質量%であることが特に好ましい。特に、マグネシウムを含有することが好ましい。
該被覆層形成無機繊維(a)は、該無機繊維(b)の表面が、該被覆層で完全に覆われていることが好ましいが、極一部に被覆が欠落していてもよい。該被覆層形成無機繊維(a)の表面に形成されている該被覆層は、電子顕微鏡あるいは組成分析など、公知の方法により確認することができる。
また、該被覆層形成無機繊維(a)は、1種又は2種以上の組み合わせのいずれでもよ
い。すなわち、該被覆層を形成する物質又は該被覆層が形成されている該無機繊維(b)のいずれか一方又は双方が異なる被覆層形成無機繊維(a)を組合わせることもできる。
該被覆層形成無機繊維(a)の平均繊維径は1〜50μm、好ましくは1.5〜10μm、特に好ましくは2〜6μmである。該平均繊維径が、1μm未満だと繊維が破断し易くなるので、無機繊維質成形体の強度が低くなり易く、また、50μmを超えると無機繊維質成形体の密度が低くなるため、無機繊維質成形体の強度が低くなり易い。また、該被覆層形成無機繊維(a)の平均繊維長は1〜200mm、好ましくは2〜50mm、特に好ましくは10〜50mmである。該平均繊維長が、上記範囲内にあることにより、適切な密度を有する無機繊維質成形体が得易くなる。
該被覆層形成無機繊維(a)は、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上である。該被覆層形成無機繊維(a)の、40℃における生理食塩水溶解率が、1%以上であることにより、肺に吸収されても生体内で溶解され易い。一方、該被覆層形成無機繊維(a)の、40℃における生理食塩水溶解率が、1%未満だと、肺に吸入されても生体内で溶解され難いので、該被覆層形成無機繊維(a)は肺に蓄積し、各種の呼吸器疾患を発生させる原因となることが懸念される。
本発明の無機繊維質成形体中、該被覆層形成無機繊維(a)の含有量は、65〜99.8質量%、好ましくは70〜95質量%、特に好ましくは80〜90質量%である。なお、該被覆層形成無機繊維(a)の一部を後述する耐熱性粉末に置き換える場合は、該被覆層形成無機繊維(a)及び該耐熱性粉末の合計の含有量が、65〜99.5質量%、好ましくは70〜95質量%、特に好ましくは80〜90質量%である。
該バインダーとしては、無機バインダー又は有機バインダーのいずれもでもよく、あるいは、無機バインダー及び有機バインダーの組合せでも良い。該無機バインダーとしては、特に制限されず、例えば、アニオン性のコロイダルシリカ、カチオン性のコロイダルシリカ等のコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、ジルコニアゾル、チタニアゾル、アルミナゾル、ベントナイト等が挙げられ、有機バインダーとしては、特に制限されず、例えば、アクリル樹脂、澱粉、ポリアクリルアミド等が挙げられる。施工時に壁面等の形状への追随性が高い無機繊維質成形体、すなわち、軟らかい無機繊維質成形体に使用される該バインダーとしては、アクリル樹脂が好ましい。また、使用温度が高い無機繊維質成形体又は硬い無機繊維質成形体に使用される該バインダーとしては、該無機バインダーと、澱粉又はポリアクリルアミドの組合わせが好ましい。
本発明の無機繊維質成形体中、該無機バインダーの含有量は、0.05〜20質量%、好ましくは2〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%である。該無機バインダーの含有量が、0.05質量%未満だと、工業炉等内での使用による無機繊維質成形体の強度向上効果が得られ難く、また、20質量%を超えると、脱水成形時の濾水性が悪くなり、製造効率が悪くなり易い。また、該有機バインダーの含有量は、0.03〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%である。該有機バインダーの含有量が0.03質量%未満だと、脱水成形後の無機繊維質成形体の強度が低くなり易く、15質量%を超えると無機繊維質成形体からの燃焼ガスの排出が多くなる。
また、本発明の無機繊維質成形体では、該被覆層形成無機繊維(a)の一部を、耐熱性粉末に置き換えることができる。本発明の無機繊維質成形体は、該被覆層形成無機繊維(a)の一部が、該耐熱性粉末で置き換えられることにより、すなわち、該耐熱性粉末を含有することにより、耐火性が高くなる。該耐熱性粉末としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス粉末、カーボンブラック等の炭素粉末等が挙げられ、これらのうち、好ましくはシリカ、アルミナ、窒化ケ
イ素、炭化ケイ素等のセラミックス粉末、カーボンブラック等の炭素粉末であり、特に好ましくはシリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックス粉末である。
該耐熱性粉末の平均粒子径は、0.1〜100μm、好ましくは0.2〜50μm、特に好ましくは0.2〜10μmである。該平均粒子径が、0.1μm未満だと、乾燥又は焼成時に、無機繊維質成形体が割れ易くなり、また、該平均粒子径が、100μmを超えると、無機繊維質成形体の強度が低くなり易い。
本発明の無機繊維質成形体中の該被覆層形成無機繊維(a)の一部を、該耐熱性粉末に置き換える場合、本発明の無機繊維質成形体中の該被覆層形成無機繊維(a)と該耐熱性粉末の質量比(被覆層形成無機繊維(a):耐熱性粉末)は、好ましくは95:5〜25:75、特に好ましくは90:10〜50:50、更に好ましくは80:20〜70:30である。該被覆層形成無機繊維(a)と該耐熱性粉末の質量比が、上記範囲にあることにより、該耐熱性粉末による耐熱性の向上効果が得られ易く、且つ無機繊維質成形体の耐スポーリング性が良好である。
本発明の無機繊維質成形体では、水に難溶性の該被覆層が、該無機繊維(b)と水分の接触を遮断する保護膜として働くので、本発明の無機繊維質成形体は、保管中に、大気中の水分を吸湿しても、劣化が少ない。さらに詳細に説明すると、該被覆層が、該被覆層形成無機繊維(a)中の該被覆層より内部の部分、すなわち、該無機繊維(b)に相当する部分と水分の接触を遮断するので、該被覆層を形成させることにより、水分の吸湿を原因とする無機繊維質成形体の劣化を少なくすることができ、また、繊維が該水分により浸食されて、断裂するのを防ぐことができる。更には、バインダーとして、有機バインダーが使用されている場合、該被覆層を形成させることにより、該水分が繊維を溶解して、アルカリ成分が生じるのを防ぐことができるので、該溶出液が、該有機バインダーを劣化させ、無機繊維質成形体から繊維が脱落するのを防ぐことができる。従って、本発明の無機繊維質成形体は、保管中の劣化が少ない。
本発明の無機繊維質成形体の製造方法は、溶媒に、被覆層形成剤を混合し、次いで、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上である無機繊維(b)及びバインダーを混合し、被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリーを得るスラリー製造工程、及び該スラリー中の溶媒を、吸引ろ過し、無機繊維質成形体を得る脱水成形工程を有する。
該スラリー製造工程では、先ず、溶媒に、被覆層形成剤を混合し、被覆層形成剤を含有する混合液を調製する。該被覆層形成剤には、無機化合物の被覆層形成剤と有機化合物の被覆層形成剤がある。
該被覆層形成剤としては、リン酸塩、モリブデン化合物、亜鉛化合物等の無機化合物、ポリアミジン化合物、エチレンイミン化合物等の有機化合物が挙げられる。該リン酸塩としては、トリポリリン酸アルミニウム、トリポリリン酸二水素アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム等が挙げられ、該モリブデン化合物としては、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム等が挙げられ、該亜鉛化合物としては酸化亜鉛が挙げられ、該ポリアミジン化合物としては、アクリルアミド、アクリロニトリル、N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩、N−ビニルアクリルアミド、ビニルアミン塩酸塩、N−ビニルホルムアミド共重合体等が挙げられ、該エチレンイミン化合物としては、アミノエチレン、ジメチレンイミン等が挙げられる。
また、該被覆層形成剤として該リン酸塩を混合する場合には、更に、珪素、亜鉛、カルシウム又はマグネシウムを有する化合物(以下、これらを総称して、珪素等を有する化合
物Aとも記載する。)を、該被覆層形成剤として混合することができる。該珪素等を有する化合物Aは、酸化物、水酸化物、炭酸塩等が挙げられ、化合物の形態は特に制限されず、具体的には、酸化珪素、珪酸カルシウム、メタ珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、六珪酸マグネシウム、四珪酸マグネシウム、三珪酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウムが挙げられる。
該溶媒としては、特に制限されないが、水及び極性有機溶媒が挙げられ、該極性有機溶媒としては、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール類、エチレングリコール等の2価のアルコール類が挙げられる。これらのうち、水が、作業環境の悪化がなく、環境への負荷がない点で好ましい。また、該水としては特に制限されず、蒸留水、イオン交換水、水道水、地下水、工業用水等が挙げられる。
該溶媒に、該被覆層形成剤を混合して得られる、該被覆層形成剤を含有する混合液は、該被覆層形成剤が該溶媒に溶解している溶液であっても、該被覆層形成剤が該溶媒に固体のまま分散している懸濁液であってもよい。
次いで、該被覆層形成剤を含有する混合液に、該無機繊維(b)及び該バインダーを混合し、該被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリーを得る。
本発明の無機繊維質成形体の製造方法に係る無機繊維(b)は、前記本発明の無機繊維質成形体に係る無機繊維(b)と同様である。
また、本発明の無機繊維質成形体の製造方法に係る無機繊維(b)の平均繊維径は、1〜50μm、好ましくは1.5〜10μm、特に好ましくは2〜6μmである。該平均繊維径が、1μm未満だと無機繊維が破断し易くなるので、無機繊維質成形体の強度が低くなり易く、また、50μmを超えると無機繊維質成形体の密度が低くなるので、無機繊維質成形体の強度が低くなり易い。また、該無機繊維の平均繊維長は1〜200mm、好ましくは2〜50mm、特に好ましくは10〜50mmである。該平均繊維長が、上記範囲内にあることにより、適切な密度を有する無機繊維質成形体が得易くなる。
本発明の無機繊維質成形体の製造方法に係るバインダーは、前記本発明の無機繊維質成形体に係るバインダーと同様である。
本発明の無機繊維質成形体の製造方法に係るバインダーの形態としては、固形物、懸濁液又は溶液等、いずれでもよく、特に制限されない。
また、該無機繊維(b)の一部を、耐熱性粉末に置き換えることができる。該無機繊維の一部が、該耐熱性粉末で置き換えられることにより、耐火性が高くなる。
該スラリー製造工程に係る耐熱性粉末は、前記本発明の無機繊維質成形体に係る耐熱性粉末と同様である。
該被覆層形成剤を含有する混合液に、該無機繊維(b)及び該バインダーを混合する順序は、特に制限されず、該無機繊維(b)が先であっても、該バインダーが先であってもよく、また、同時に混合してもよい。
このように、該被覆層形成剤を含有する混合液に、該無機繊維(b)を混合することにより、該無機繊維(b)の表面に、該被覆層形成剤が付着し、該被覆層が形成される。そして、該被覆層の形成は、該無機繊維(b)の混合後、速やかに起こるので、該無機繊維
質成形体の製造中に、該無機繊維(b)が、水と接触して、劣化するのを防ぐことができる。
該スラリー製造工程における各成分の混合量について説明する。該被覆層形成剤の混合量は、該溶媒に混合する該被覆層形成剤、該無機繊維(b)、該バインダー及び該耐熱性粉末の混合量の合計を100質量%とした場合、該被覆層形成剤の質量割合が、0.05〜10質量%、好ましくは0.3〜6質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%となる量である。該被覆剤形成剤の混合量が、上記範囲にあることにより、保管中に劣化が少ない無機繊維質成形体が得られるという効果が高くなる。なお、該バインダーが、溶媒に分散された懸濁液又は溶液の形態の場合、溶媒分を除いた固形分の質量が、上記混合量の合計を算出するための該バインダーの混合量である。また、該被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリーが、該耐熱性粉末を含有しない場合があるが、この場合は、該被覆層形成剤、該無機繊維(b)及び該バインダーの合計の混合量を100質量%とする。これらについては、以下同様である。
また、該被覆層形成剤として該リン酸塩を混合する場合、該珪素等を有する化合物Aを混合することができるが、該珪素等を有する化合物Aの混合量は、該被覆層形成剤(該リン酸塩及び該珪素等を有する化合物Aの合計量)の総量を100質量%として、酸化物換算で、珪素が0.01〜50質量%、亜鉛が0.01〜30質量%、カルシウムが0.01〜15質量%、マグネシウムが0.01〜10質量%であることが好ましく、珪素が10〜40質量%、亜鉛が10〜25質量%、カルシウムが5〜10質量%、マグネシウムが2〜7質量%であることが特に好ましい。特に、該珪素等を有する化合物Aとしては、マグネシウムを含有する化合物が好ましい。
該耐熱性粉末を混合しない場合は、該無機繊維(b)の混合量は、該溶媒に混合する該被覆層形成剤、該無機繊維(b)及び該バインダーの混合量の合計を100質量%とした場合、該無機繊維(b)の質量割合が、65〜99.8質量%、好ましくは70〜95質量%、特に好ましくは80〜90質量%となる量である。また、該無機繊維(b)の一部を該耐熱性粉末に置き換える場合は、該無機繊維(b)及び該耐熱性粉末の合計の混合量は、該被覆層形成剤、該無機繊維(b)、該バインダー及び該耐熱性粉末の混合量の合計を100質量%とした場合、該無機繊維(b)及び該耐熱性粉末の合計の質量割合が、65〜99.5質量%、好ましくは70〜95質量%、特に好ましくは80〜90質量%となる量である。
該無機バインダーを混合する場合、該無機バインダーの混合量は、該溶媒に混合する該被覆層形成剤、該無機繊維(b)、該バインダー及び該耐熱性粉末の混合量の合計を100質量%とした場合、該無機バインダーの質量割合が、0.05〜20質量%、好ましくは2〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%となる量である。該無機バインダーの質量割合が、0.05質量%未満だと、工業炉等内での使用による無機繊維質成形体の強度向上効果が得られ難く、また、20質量%を超えると、脱水成形時の濾水性が悪くなり、製造効率が悪くなり易い。また、該有機バインダーを混合する場合、該有機バインダーの混合量は、該溶媒に混合する該被覆層形成剤、該無機繊維(b)、該バインダー及び該耐熱性粉末の混合量の合計を100質量%とした場合、該無機バインダーの質量割合が、0.03〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%となる量である。該有機バインダーの質量割合が、0.03質量%未満だと、成形乾燥後の無機繊維質成形体の強度が低くなりやすく、15質量%を超えると無機繊維質成形体からの燃焼ガスの排出が多くなる。
該無機繊維(b)の一部を、該耐熱性粉末に置き換える場合、該被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリー中の該無機繊維(b)と該耐熱性粉末の質量比(無機繊維(b)
:耐熱性粉末)は、好ましくは95:5〜25:75、特に好ましくは90:10〜50:50、更に好ましくは80:20〜70:30である。該無機繊維(b)と該耐熱性粉末の質量比が、上記範囲にあることにより、該耐熱性粉末による耐熱性の向上効果が得られ易く、且つ無機繊維質成形体の耐スポーリング性が良好である。
該被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリーのスラリー濃度は、好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.3〜8質量%、更に好ましくは0.5〜3質量%である。該スラリー濃度が、0.1質量%未満だと該脱水成形工程で除去する水の量が多くなり過ぎるので、非効率であり、また、10質量%を超えると、スラリーに固形分が均一に分散し難くなる。なお、本発明において、スラリー濃度とは、該被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリー中に占める固形分の質量割合(質量%)を示す。また、該固形分には、該被覆層形成剤も含まれる。
該スラリー製造工程中、該溶媒及び該スラリーの温度は、5〜50℃、好ましくは10〜40℃、特に好ましくは15〜30℃である。
該脱水成形工程は、該被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリー中の該溶媒を除去し、次いで、乾燥し、目的とする製品形状を有する無機繊維質成形体を得る工程である。該被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリー中の該溶媒が水の場合は、該スラリー中の水を脱水し、次いで、乾燥し、目的とする製品形状を有する無機繊維質成形体を得る工程、すなわち、該スラリーを脱水成形し、無機繊維質成形体を得る工程である。なお、本発明の無機繊維質成形体の製造方法では、該溶媒として水が使用されることが多いので、脱水成形の文言を用いた。
該スラリー中の該溶媒の除去(該溶媒が水の場合は、水の脱水)は、例えば、底部に網が設置された成形型中に該スラリーを流し込み、該溶媒(該溶媒が水の場合は、水)を吸引することにより行われる。
次いで、脱水物を乾燥機中で加熱して、乾燥させる。該乾燥の際の乾燥温度は、40〜180℃、好ましくは60〜150℃、特に好ましくは80〜120℃である。
本発明の無機繊維質成形体の製造方法によれば、該被覆層形成剤を含有する混合液に、該無機繊維(b)を混合して、該無機繊維(b)の表面に被覆層を形成させるので、無機繊維質成形体の製造中に、該無機繊維(b)が、溶媒と接触して劣化するのを防ぐことができる。
また、本発明の無機繊維質成形体の製造方法は、本発明の無機繊維質成形体の製造に好適に用いられる。すなわち、本発明の無機繊維質成形体の製造方法によれば、保管の際に劣化が少ない無機繊維質成形体を製造することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
(被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリーの製造)
先ず、水に、被覆層形成剤として、予めトリポリリン酸二水素アルミニウム1.1質量%、酸化珪素0.6質量%、酸化マグネシウム0.1質量%を混合した混合物を加え、被覆層形成剤を含有する混合液を得た。次いで、該混合液に、無機繊維(b)89.3質量%、無機バインダーとしてコロイダルシリカ4.9質量%、有機バインダーとして澱粉2
.2質量%及びカチオン性紙力増強剤1.8質量%を加え、更に、スラリー濃度が3質量%となるように、水を加え、攪拌し、スラリーを得た。なお、該被覆層形成剤を含有する混合液に、該無機繊維(b)を混合しても、該スラリーのpHは高くならなかった。
・無機繊維(b):SiO 75〜80質量%、CaO+MgO 19〜25質量%、Al 1〜3質量%、平均繊維径4μm、平均繊維長5.0mm、40℃における生理食塩水溶解率5.9%
・無機バインダー:30%コロイダルシリカ、「シリカドール30」(日本化学工業社製)、固形分が30%の懸濁液、固形分の平均粒子径15nm、pH10.0
・有機バインダー:澱粉、「ペトロサイズJ」(日澱化学社製)
・有機バインダー:カチオン性紙力増強剤、「ポリストロン311」(荒川化学工業社製)、カチオン性、不揮発分10質量%、pH4.2〜4.8、粘度500〜1500cps
(吸引ろ過)
上記のようにして得られたスラリーを、脱水成形し110℃で乾燥することにより、密度250kg/mの無機繊維質成形体(試料A0とする。)を得た。
(無機繊維質成形体の長期保管試験)
上記のようにして得た無機繊維質成形体(試料A0)を、湿度90RH、40℃の室内で、所定の期間保管した後(1ヶ月保管後の試料を試料A1、3ヶ月保管後の試料を試料A3とする。)に、加熱線収縮率及び曲げ強度の測定を行った。その結果を表1に示す。
(1)加熱線収縮率
上記のようにして得られた無機繊維質成形体を、電気炉中1100℃で24時間加熱し、加熱後の無機繊維質成形体の長さを測定する。加熱線収縮率は、加熱前の無機繊維質成形体の長さをXmm、加熱後の長さをYmmとし、次式により求める。
加熱線収縮率(%)={(X−Y)/X}×100
(2)曲げ強度
試料A0、A1及びA3の曲げ強度を、3点曲げ強度試験機を用いて、ヘッドスピード10mm/分の速度で荷重を加え、破断荷重を測定し、次式により算出した。
曲げ強度(MPa)={3×最大荷重(N)×下部支点間距離(mm)}/{2×無機繊維質成形体の幅(mm)×(無機繊維質成形体の厚さ(mm))
(実施例2〜4、比較例1)
各成分の混合量を表1に示す量とする以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を表1に示す。
Figure 2011042575
(参考例)
室温下、予め混合したトリポリリン酸二水素アルミニウム2.3質量%、酸化珪素1.3質量%及び酸化マグネシウム0.2質量%を被覆層形成剤として水に添加し攪拌して白濁液を得た。次いで、この白濁液に生体溶解性無機繊維96.2質量%を添加し、スラリー濃度が3質量%となるまで更に水を加え、生体溶解性無機繊維が均一に分散するまで攪拌した。得られたスラリーを孔径0.45μmの濾紙(「DISMIC−25cs」;ADVANTEC社製)で濾過して、濾紙上に固形物を得た。固形物は組成分析の結果、無機繊維の表面にトリポリリン酸アルミニウムが被覆されたものであった。また、トリポリリン酸アルミニウムが被覆された生体溶解性無機繊維の写真を図1に示し、トリポリリン酸アルミニウムによる被覆処理をする前の生体溶解性無機繊維の写真を図2に示すが、図1の写真から、明らかに生体溶解性無機繊維の表面が被覆されていることが判る。このトリポリリン酸アルミニウムが被覆された生体溶解性無機繊維(以下、試料1aとも記載する。)及び被覆処理をする前の生体溶解性繊維(以下試料2aとも記載する。)を前述の生理食塩水溶解率及び蒸留水溶解率の測定方法により、40℃における生理食塩水溶解率及び蒸留水溶解率を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2011042575
参考例の結果から、本発明の無機繊維質成形体に含有されている被覆層形成無機繊維(a)は、例え施工時等の作業時に、粉塵となって空気中に飛散し、作業者が該粉塵を吸入しても体内で溶解されやすい。
本発明によれば、生体溶解性を有する無機繊維を用いる無機繊維質成形体であって、保管中に劣化し難くい無機繊維質成形体及び製造時に該無機繊維が劣化し難い無機繊維質成形体の製造方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. 被覆層形成無機繊維(a)及びバインダーを含有し、該被覆層形成無機繊維(a)の40℃における生理食塩水溶解率が1%以上であることを特徴とする無機繊維質成形体。
  2. 前記被覆層形成無機繊維(a)が水に難溶であることを特徴とする請求項1記載の無機繊維質成形体。
  3. 前記被覆層が、リン酸塩で形成されていることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の無機繊維質成形体。
  4. 前記無機繊維質成形体中のリンの含有量が、酸化物換算で0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項3記載の無機繊維質成形体。
  5. 溶媒に、被覆層形成剤を混合し、次いで、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上である無機繊維(b)及びバインダーを混合し、被覆層形成無機繊維(a)を含有するスラリーを得るスラリー製造工程、及び該スラリー中の溶媒を、吸引ろ過し、無機繊維質成形体を得る脱水成形工程を有することを特徴とする無機繊維質成形体の製造方法。
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