JP2011040933A - イヤホン - Google Patents

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【課題】ハウジングから延びる音導管の空気抵抗を小さくすることができるように工夫し、効率よく音波を伝搬させて能率の良いイヤホンを得る。
【解決手段】音声信号により振動板を駆動するドライバーユニット2と、ドライバーユニット2を収納するハウジング1と、ハウジング1から伸び出ていて上記振動板の振動によって発せられる音波を伝搬する音導管3と、音導管3の先端部に取り付けられているイヤピース4と、を備え、音導管3の内壁31は、ハウジング1側から先端側に向かって連続的に径が大きくなるホーン形である。音導管3の内壁31は、その断面積がハウジング1側から先端側に向かって指数関数的に増加するエクスポネンシャルホーン形であればなおよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、カナル型あるいは耳栓型(以下、単に「カナル型」という)といわれる形式のイヤホンに関するもので、特に、空気抵抗を低減して音波を効率よく伝搬させることができるように工夫したものである。
カナル型イヤホンは、ドライバーユニットを収納したハウジング、このハウジングに突設された円筒形状の音導管、この音導管の先端部に取り付けられたイヤピースを備えてなる。使用者は上記イヤピースを外耳道に挿入して使用する。外部から入力される音声信号によってドライバーユニットが駆動され、ドライバーユニットの振動板が音声信号にしたがい振動して音波を発する。この音波は音導管を経て使用者の外耳道に導かれ、さらに使用者の鼓膜に達する。
従来の一般的なカナル型イヤホンは、ドライバーユニットが備える振動板が音導管の音導入口に正対し、振動板の面に直交する方向に音導管が延びている。そのため、ドライバーを収納したハウジングは耳甲介腔内に嵌まることができる大きさに制限され、ドライバーの振動板の大きさが制限されるとともに、振動板の前面に形成される空間の大きさも制限される。これにより、振動板が十分な空気振動を発生させることができず、入力信号に対して効率よく音声を出力することが困難であった。
そこで、ハウジングに収納するドライバーユニットの向きを工夫し、振動板の前面側のハウジングに振動板を投影したときの投影面に相当する領域以外から音導管を突設させるとともに、振動板の前面の空間を、音導管を介して外部に連通させたイヤホンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の発明によれば、ハウジングの大きさが使用者の耳甲介腔の大きさに制限されないため、大きなハウジングで大きなドライバーユニットを使用することができ、入力信号に対して効率よく音声を出力することが可能である。
特許文献1記載の発明は、上記のように、ハウジングと、ドライバーユニットと、音導管相互の配置関係に関して工夫されていて所期の効果を奏することができるが、音導管の形状に関してまでは工夫が及んでいない。すなわち、特許文献1に記載されている音導管は、その長さ方向全体にわたって均一な内径の円筒形状である。かかる形状の音導管によれば、ドライバーユニットで発生する音波に対する音導管の空気抵抗が大きくなり、音波を効率よく伝搬させることができないといった問題がある。
ところで、イヤホンのドライバーユニットの方式としてバランスド・アマチュア型ドライバーユニットがある。バランスド・アマチュア型ドライバーユニットは、例えば、筒型の巻線内に棒状のマグネットを配置し、マグネットに連結棒を介して振動板の自由端を連結したものである。振動板は平板状の金属板で、基端部が支点になっている。音声信号を巻線に入力すると音声信号に従ってマグネットが振動し、マグネットの振動が振動板に伝達されて音を発する。ダイナミック型ドライバーユニットをムービングコイル型とすれば、バランスド・アマチュア型ドライバーユニットはムービングマグネット型ということができる。
バランスド・アマチュア型ドライバーユニットは、振動板が剛性の高い金属板からなるため、空気の影響を受けることなく振動し、音声信号に忠実に振動する。したがって、音の歪が少ない、過渡特性が良好であるなど、高い音質を得ることができる利点がある。また、ダイナミック型に比べて、小型化が可能であり、感度すなわち入力信号に対する音響出力の音圧が高いといった特徴がある。補聴器に用いられているドライバーユニットはバランスド・アマチュア型が多いが、最近は、カナル型イヤホンのドライバーユニットとしても採用されるようになってきた。
バランスド・アマチュア型ドライバーユニットを備えたイヤホンの例として、以下のような構成を備えたものがある。
ドライバーユニットは、落下時の衝撃緩和および気密性の確保のために、シリコンや熱可塑性エラストマー(TPE)などの柔軟性のある素材からなるブーツによって保持されている。ドライバーユニットの前方には、使用者の外耳道に挿入するための音導管がドライバーユニットを収納したハウジングから延び出ている。音導管の先端部外周には、使用者の外耳道壁面との気密性を確保して低域の再生特性を向上させるために、シリコンなどの素材で作られたイヤピースが嵌められている。上記音導管の先端部内周にはメッシュ状のフィルタが装着され、このフィルタによって3〜10kHz付近の高域特性を調整している。上記フィルタは、外部から、ほこりや耳垢などが内部に侵入するのを阻止する役目も兼ねている。上記フィルタは、ダンパーとも呼ばれる。
バランスド・アマチュア型ドライバーユニットを備えたイヤホンの音響特性は、バランスド・アマチュア型ドライバーユニット自体の特性、音導管の長さおよび内径、上記メッシュの通気量などによって決定される。
上記従来のバランスド・アマチュア型ドライバーユニットを備えたイヤホンによれば、以下のような技術的に解決すべき課題がある。
ドライバーユニットの前方に音導管を配置すると、音導管の内壁面で生じる空気の粘性抵抗と媒質すなわち空気の慣性により音響的な抵抗が発生する。この音響的な抵抗は、音導管の内径が小さくなればなるほど、また、音導管の長さが長くなればなるほど大きくなる。この音響抵抗は、高音域の特性に及ぼす影響が大きい。したがって、音導管の内径を大きくし、長さを短くすれば音響的な抵抗を小さくして高音域の特性を高めることができるが、音導管は外耳道に挿入する部分であるから、内径を大きく、長さを短くするには自ずと限界がある。
特許文献1に記載されているようなダイナミック型ドライバーを採用したイヤホンにせよ、バランスド・アマチュア型ドライバーユニットを備えたイヤホンにせよ、従来のカナル型イヤホンは、音導管が、その長さ方向全体にわたって均一な内径の円筒形状であるため、既に述べたとおり、ドライバーユニットで発生する音波に対する音導管の空気抵抗が大きくなり、音波を効率よく伝搬させることができない。
特願2009−55248号公報
本発明は、以上説明した従来のカナル型のイヤホンに見られる解決すべき技術課題を解決すること、すなわち、ハウジングから延びる音導管の空気抵抗を小さくすることができるように工夫し、効率よく音波を伝搬させて能率の良いイヤホンを提供することを目的とする。
本発明に係るイヤホンは、音声信号により振動板を駆動するドライバーユニットと、上記ドライバーユニットを収納するハウジングと、上記ハウジングから伸び出ていて上記振動板の振動によって発せられる音波を伝搬する音導管と、上記音導管の先端部に取り付けられているイヤピースと、を備え、上記音導管の内壁は、ハウジング側から先端側に向かって連続的に径が大きくなるホーン形であることを最も主要な特徴とする。
上記音導管の内壁は、その断面積がハウジング側から先端側に向かって指数関数的に増加するエクスポネンシャルホーン形であればなおよい。
上記音導管の先端部内周側に、倍音によって発生するピークを平滑化するためのダンパーを配置するとなおよい。
ドライバーユニットは、バランスド・アマチュア型ドライバーユニットであるとなおよい。
また、上記バランスド・アマチュア型ドライバーユニットは、再生周波数域を分担する複数のユニットで構成するとなおよい。
ドライバーユニットが音声信号によって駆動されることにより振動板が振動して音波が発せられ、この音波は音導管を伝搬して使用者の鼓膜に達する。音導管は、その内壁がハウジング側から先端側に向かって連続的に径が大きくなるホーン形に形成されているため、ハウジング側から音導管の先端の方に向かう音波に対する抵抗が小さくなり、音波が効率よく伝搬され、能率の良好なイヤホンを得ることができる。また、使用者の外耳道に挿入する音導管の先端部分の径が小さくても、音響特性の良好なイヤホンを得ることができる。
本発明に係るイヤホンの実施例を示す縦断面図である。 カナル型イヤホンの例を概略的に示すもので、(a)は従来例の縦断面図、(b)は上記本発明の実施例の縦断面図である。 上記実施例の周波数特性を従来例の周波数特性と比較して示すグラフである。
以下、本発明に係るイヤホンの実施例を、図面を参照しながら説明する。
図1は、カナル型イヤホンの実施例を示しており、このカナル型イヤホンは、ハウジング1と、ハウジング1に内蔵されたドライバーユニット2と、ハウジング1の一端部から一体的に延び出た音導管3と、音導管3の先端部外周に嵌められたイヤピース4を主たる構成部材として有している。
ハウジング1は、ベース11と、このベースに被せられたカバー12を有してなり、ベース11とカバー12で所定の容積の内部空間が形成されている。この内部空間にはドライバーユニット2が組み込まれている。この実施例におけるドライバーユニット2はバランスド・アマチュア型ドライバーユニットである。バランスド・アマチュア型ドライバーユニットについてはすでに説明した通りで、例えば、筒型の巻線内に棒状のマグネットを配置し、マグネットに連結棒を介して振動板の自由端を連結したものである。振動板は平板状の金属板で、基端部が支点になっている。音声信号を巻線に入力すると音声信号に従ってマグネットが振動し、マグネットの振動が振動板に伝達されて音を発する。バランスド・アマチュア型ドライバーユニットの利点についても既に説明したので、ここでは説明を省略する。
図1に示す実施例では、複数のバランスド・アマチュア型ドライバーユニットが組み込まれている。具体的には、第1バランスド・アマチュア型ドライバーユニット21が上側に、その下に第2バランスド・アマチュア型ドライバーユニット22が組み込まれている。第1バランスド・アマチュア型ドライバーユニット21が第2バランスド・アマチュア型ドライバーユニット22よりも大きく、第1バランスド・アマチュア型ドライバーユニット21が低音域の再生周波数を分担し、第2バランスド・アマチュア型ドライバーユニット22が中・高音域の再生周波数を分担している。バランスド・アマチュア型ドライバーユニット21,22は図1においてハウジング1の左端側から音波を発するようになっていて、この音波の進行方向に音導管3が設けられている。すなわちハウジング1の左端側から音導管3が延び出ている。
音導管3の内壁31は、ハウジング1側から先端側に向かって連続的に径が大きくなるホーン形に形成されている。より具体的に説明すると、音導管3の内壁31は、その断面積がハウジング1側から先端側に向かって指数関数的に増加するエクスポネンシャルホーン形に形成されている。音導管3の外周面は径が一定の円柱形で、先端部が小径部になっていて、この小径部がイヤピース取り付け部32となっている。また、音導管3の先端部内周側にダンパー5が配置されている。音導管3は、ハウジング1を構成するベース11と一体成形されているが、音導管3とハウジング1は別の部品として製作して互いに固着する構成であってもよい。
上記イヤピース4は、シリコンゴムやエラストマーなどの柔軟性がありかつ弾性のある素材からなり、球体の一部を切断したような形の外表部分と管軸41とが一体成形されることによって形成されている。上記管軸41が音導管3の先端部外周のイヤピース取り付け部32に嵌められることによりイヤピース4が音導管3に取り付けられている。音導管3の先端部がイヤピース4とともに使用者の外耳道に挿入されることによりイヤホンが使用される。この使用状態において、イヤピース4の外表部分が使用者の外耳道の大きさおよび形状に倣って圧縮され外耳道の壁面に密着する。
上記ダンパー5は、ウレタンなどの素材からなり、音波を通すことができる一種の音響抵抗材である。ダンパー5は、倍音によって発生するピークを平滑化する役目を担っている。特に、周波数が5〜10kHz付近に発生するピークを平滑化するのに有効である。
第1、第2バランスド・アマチュア型ドライバーユニット21、22は、その音波の進行方向がハウジング1の長手方向の中心軸線と平行になるように配置されている。これに対し、音導管3の中心軸線はハウジング1の長手方向の中心軸線に対し一定の角度を持ち、ハウジング1に対して傾いた態様でハウジング1から延び出ている。ハウジング1に対して音導管3を傾斜させた理由は、使用時のイヤピース4の外耳道壁面への密着性を高めるための人間工学的な理由によるものである。ハウジング1のベース11には、音導管3とは反対側の端部の底面にブッシュ6の一端が固着されている。ブッシュ6は、イヤホンの内蔵部品と外部とを電気的に接続するコードを貫通させ、コードがハウジング1からの引き出し部において鋭角的に折り曲げられることを防止してコードにダメージを与えることを防止する。
以上説明したイヤホンの実施例において、外部から入力される音声信号はドライバー2に入力され、ドライバー2が音声信号で駆動されて音声信号に対応した音波がドライバー2から発せられる。この音波は、ハウジング1のドライバー2の前面の空間、音導管3およびイヤピース4の内部空間を伝搬し、使用者の外耳道を通って鼓膜に至る。
音導管3は、その内壁31がハウジング1側から先端側に向かって連続的に径が大きくなるホーン形になっているため、ハウジング1側から音導管3の先端の方に向かう音波に対する抵抗が小さくなり、音波が効率よく伝搬され、能率の良好なイヤホンを得ることができる。また、使用者の外耳道に挿入する音導管の先端部分の径が小さくても、音響特性の良好なイヤホンを得ることができる。
図2は、従来のイヤホンにおける音導管の形状(a)と、本発明の上記実施例における音導管の形状(b)を比較して示す。図2(a)に示すように、ドライバー102を組み込んだハウジング101から一体的に延びた音導管103は、内壁131が長さ方向に均一な径の円筒形である。これに対して本発明の上記実施例に係るイヤホンは、図2(b)に示すように、また、上記のとおり、音導管3の内壁31の形状がホーン形になっている。これにより上記のような効果を得ることができる。
本発明の上記実施例における音導管3の内壁31の形状が、上記のようにホーン形になっていることによって上記の効果を得ることができるが、さらに、上記内壁31の断面積がハウジング側から先端側に向かって指数関数的に増加するエクスポネンシャルホーン形になっていると、音波に対する空気抵抗がさらに小さくなって、さらに能率および音響特性の良好なイヤホンを得ることができる。
図示の実施例のように、ドライバーユニット2としてバランスド・アマチュア型ドライバーユニットを用いることにより、バランスド・アマチュア型ドライバーユニットの特性を活かした高音質のイヤホンを得ることができる。
さらに、図示の実施例のように、複数のバランスド・アマチュア型ドライバーユニット21,22をハウジング1に組み込み、それぞれのドライバーユニットに再生周波数域を分担させることにより、低域から高域までバランスの良い再生音を得ることができる。
バランスド・アマチュア型ドライバーユニットは小型化が容易であるため、ハウジング内に複数のドライバーユニットを組み込んで、再生周波数帯域を分担させることが容易である。また、ダイナミック型ドライバーユニットに比べて細長い形にすることも容易であるから、ドライバーユニットを収納したハウジングも細長い形態にして耳甲介腔から突出させることが可能で、全体の大きさが耳甲介腔に収まる大きさでなければならないといった制限はない。
図3は、上記実施例に係るイヤホンの周波数特性を、従来のイヤホンの周波数特性と比較して示す。グラフAが本発明の実施例に係るイヤホンの周波数特性、グラフBは音導管の内壁面形状がストレートの従来のイヤホンの周波数特性である。図3のグラフからわかるように、特に高音域における再生能力が高まっていて、低音域から高音域までバランスよく再生することができる。
また、前記ダンパー5がないとすれば、5〜10kHz付近にピーク(倍音)が発生しやすいが、上記実施例に係るイヤホンでは、ダンパー5を設けたことにより、上記のピークを平滑化することができる。図3のグラフAを参照しても、5〜10kHz付近のピークが平滑化されていることがわかる。
図示の実施例では、ドライバーユニットがバランスド・アマチュア型になっているが、本発明に適用されるドライバーの形式は特定の形式のものに限定されない。したがって、一般的に広く用いられているダイナミック型ドライバーを用いてもよい。
ドライバーユニットの数も任意で、1個でも複数であってもよい。
ドライバーユニットの振動板の面に対する音導管の延び出し方向も任意で、振動板の面に対し直交する方向、振動板の面と平行な方向、あるいは適宜の角度をもって斜め方向に延び出ていてもよい。
1 ハウジング
2 ドライバーユニット
3 音導管
4 イヤピース
5 ダンパー
21 第1バランスド・アマチュア型ドライバーユニット
22 第2バランスド・アマチュア型ドライバーユニット
31 音導管の内壁

Claims (5)

  1. 音声信号により振動板を駆動するドライバーユニットと、
    上記ドライバーユニットを収納するハウジングと、
    上記ハウジングから伸び出ていて上記振動板の振動によって発せられる音波を伝搬する音導管と、
    上記音導管の先端部に取り付けられているイヤピースと、を備え、
    上記音導管の内壁は、ハウジング側から先端側に向かって連続的に径が大きくなるホーン形であるイヤホン。
  2. 音導管の内壁は、その断面積がハウジング側から先端側に向かって指数関数的に増加するエクスポネンシャルホーン形である請求項1記載のイヤホン。
  3. 音導管の先端部内周側に、倍音によって発生するピークを平滑化するためのダンパーが配置されている請求項1記載のイヤホン。
  4. ドライバーユニットは、バランスド・アマチュア型ドライバーユニットである請求項1記載のイヤホン。
  5. バランスド・アマチュア型ドライバーユニットは、再生周波数域を分担する複数のユニットからなる請求項4記載のイヤホン。
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