JP2011039525A - 光学表示装置の製造システム及びその製造方法 - Google Patents

光学表示装置の製造システム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光学フィルムの歩留まり向上、コスト低下、在庫管理の改善を可能にする光学表示装置の製造システム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】光学表示装置の製造システムであって、光学フィルムを有する帯状シート状製品3が巻き取られたロール4から帯状シート状製品3を引き出して供給する供給手段と、供給手段によって引き出された帯状シート状製品の欠陥を検出する検出手段12と、検出結果に基づいて帯状シート状製品を切断し、個々のシート状製品に加工する切断加工手段13と、切断加工されたシート状製品を貼合わせ加工を行うために移送する移送手段16と、移送されたシート状製品と光学表示ユニットを貼合わせる貼合わせ加工手段17とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学表示装置の製造システム及びその製造方法に関する。より詳細には、少なくとも帯状シート状製品と光学表示ユニットを貼り合わせた光学表示装置の製造システム及びその製造方法に関するものである。
従来、光学フィルム製造メーカーでは、光学フィルム部材を有する帯状のシート状製品をロールに巻き取るようにして連続して製造している。この「帯状のシート状製品」として、例えば、液晶表示装置に用いられる偏光板原反、位相差板原反、偏光板と位相差板の積層フィルム原反等がある。そして、光学フィルム部材(偏光板、位相差板)と光学表示ユニット(例えば、液晶セルが封入されたガラス基板ユニット)を組み立て加工するパネル加工メーカーに光学フィルム部材を納品する際には、パネル加工メーカーが所望する所定のサイズに帯状シート状製品を打ち抜き、打ち抜き後のシート状製品を数枚に重ねて梱包し、納品していた。
ところで、シート状製品と光学表示ユニットを貼り合わせるために粘着剤が用いられるが、この粘着剤は予めシート状製品に粘着層として形成され、さらに、粘着層の保護用に離型フィルムが形成されるものであった。そのため、シート状製品を打ち抜き加工すると粘着層が打ち抜き断面からはみ出すことがあり、数枚に重ねて梱包する場合に、そのはみ出した粘着層(粘着剤)の影響で、重ねたシート状製品同士がくっつき、さらにはシート状製品の表面に傷や汚れを生じ、品質を低下する原因となり問題であった。かかる問題に対し、打ち抜き後にシート状製品の端面を加工し、粘着層のはみ出しの影響を改善する提案がなされている。(特許文献1参照)。
特開2004−167673号公報
上記したように所定サイズに打ち抜いたシート状製品を数枚に重ね梱包する場合において、埃や汚れ等が生じないように、クリーン度の高い作業環境が求められている。また、輸送中に傷やクラック等が生じないように、梱包資材は特別に選定され、梱包作業も入念に行われるものであった。
一方、パネル加工メーカーでは、厳重に梱包されたシート状製品を組み立て加工に用いるが、梱包が厳重であるため、その解体作業が大変であり、かつ、解体中に傷やクラックが生じないように厳重に注意して行わなければならず、作業者の負担が大きいものとなっていた。
さらに、梱包解体後に、シート状製品に付着した埃や汚れを洗浄する際に、個々のシート状製品に対して行わなければならず、大変手間のかかる煩雑な作業となっていた。
また、打ち抜き後のシート状製品が梱包中、輸送中、梱包解体中に傷やクラックが生じた場合には不良品となる。このように作業工程の多さ・煩雑さを原因とした、製品の歩留まり低下やコスト高に対して改善が望まれていた。また、最終製品の光学表示装置の種類やサイズは多種多様であることから、切断・打ち抜き後のシート状製品も多種・多様である。例えば、50種類の光学表示装置があれば、それに対応する50種類のシート状製品を製造し、各メーカにおいて在庫として保管・管理する必要があった。しかし、全てのシート状製品を適正に保管・管理することは大変煩雑なものとなっており、適切な状況に保って在庫管理するには、十分な倉庫スペース(クリーンルーム環境の倉庫)を必要としていた。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、光学フィルム部材の歩留まり向上、コスト低下、在庫管理の改善を可能にする光学表示装置の製造システム及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下の発明を完成するに至った。
本発明における光学表示装置の製造システムは、光学表示装置の部材である光学フィルムを有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品を引き出して供給する供給手段と、
供給手段によって引き出された帯状シート状製品の欠陥を検出する検出手段と、
検出手段の検出結果に基づいて帯状シート状製品を切断し、個々のシート状製品に加工する切断加工手段と、
切断加工手段で切断加工されたシート状製品を貼合わせ加工を行うために移送する移送手段と、
移送手段によって移送されたシート状製品と光学表示装置の部材である光学表示ユニットを貼合わせる貼合わせ加工手段とを具備し、
これら各手段を連続した製造ライン工程上に配置したことを特徴とする。
以下に、本発明の作用効果を示す。光学表示装置は、少なくとも光学フィルムと光学表示ユニットで構成されている。帯状シート状製品は、少なくとも光学フィルム層を有し、さらに、例えば保護フィルム層を有して構成されている。帯状シート状製品は、長尺状でありロールに巻き取られた形態である。このロールに巻き取られた形態の帯状シート状製品を引きだし、例えば、汚れ、傷、クラック等の欠陥があるか否かを検出手段によって検出する。
この検出結果によって、帯状シート状製品を切断加工手段によって所定サイズに切断する。「所定サイズ」は、光学表示装置の製品サイズに依存するものである。切断加工手段は、検出結果で欠陥があると判断された場合に、例えば、その欠陥を避けるように所定サイズに切断するように制御される。次いで、切断加工されたシート状製品を貼合わせ加工を行うために移送手段によって移送する。移送されたシート状製品と、光学表示ユニットを貼合わせ加工手段によって貼合わせる。これら各手段は、連続した製造ライン工程上に配置されている。
上記の製造システムにおいては、光学フィルムを有する帯状シート状製品から直接、所望のサイズに切断加工して、この切断されたシート状製品を光学表示ユニットに張り合わせることができる。よって、従来であれば、帯状シート状製品を打ち抜き、打ち抜き後のシート状製品を厳重に梱包し、パネル加工メーカーに納品していたところを、ロールに巻き付けた帯状シート状製品を直接梱包して納品することが可能となる。そして、ロール状態で梱包することで、梱包資材の選定を容易にし、かつ、従来の切断後のシート状製品を重ね合わせて梱包するための梱包用治具、機器を用いる必要がなく梱包作業を簡単にでき、作業者の負担を軽減できる。また、従来の端面加工を行う必要がなくなり、光学フィルム部材メーカーにおいて、作業工程削減による利益が大きいものとなる。
また、納入先のパネル加工メーカーでは、梱包解体作業が簡単にでき、作業者の負担軽減となる。また、ロール状態で輸送されることで輸送中の傷、クラック等の発生を低下させ、品質低下を防げる。
また、梱包資材を簡素にできるので、梱包資材コストを低下でき、輸送中に傷、クラック等の発生も低下できるため、製品全体のコストパフォーマンスが大幅に向上する。さらに、最終製品の光学表示装置の種類やサイズに対応したシート状製品を光学フィルム部材メーカー側で切断する必要がなく、シート状製品ごとに保管・管理を必要とせず、帯状シート状製品(原反としてロール上に巻き取られて形態)として保管・管理できるので、在庫管理が簡素化でき、管理業務を大幅に改善できる。また、このことはパネル加工メーカー側でも有益なものであり、すなわち、ロール状原反の帯状シート状製品を1種類あるいは複数種類のみ在庫として保管・管理し、生産時には、必要な分(サイズ)だけ必要な形態に切断して用いることが可能となり、高価な光学フィルムの在庫を大幅に圧縮できる。したがって、本発明によれば、いずれのメーカーにおいても生産性が大幅に向上する。
また、本発明の好適な実施態様として、帯状シート状製品は、光学表示ユニットと接着する粘着剤と当該粘着剤を保護する離型フィルムを有し、
検出手段による欠陥の検出前に、離型フィルムを帯状シート状製品から剥離する剥離手段と、
離型フィルムを剥離した帯状シート状製品を洗浄する洗浄手段と、をさらに具備することが好ましい。
かかる構成によれば、帯状シート状製品は、光学表示ユニットと接着する粘着剤と当該粘着剤を保護する離型フィルムを有している。検出手段による欠陥の検出前に、離型フィルムが帯状シート状製品から剥離手段によって剥離され、その後の帯状シート状製品を洗浄手段によって洗浄し、埃、汚れを取り除くことができる。これによって、検査手段が光学フィルム部材の傷、クラック、汚れ等を的確に検出でき、離型フィルムの傷、汚れ等を検出することがない。
また、他の本発明の好適な実施態様として、貼合わせ加工手段で貼合わせた後に、欠陥を検出する第二検出手段をさらに具備することが好ましい。
かかる構成によれば、光学表示ユニットとシート状製品を貼合わせ後の欠陥を即座に検出できる。例えば、検出結果において、シート状製品(光学フィルム部材)側に欠陥が検出された場合に、シート状製品(光学フィルム部材)を光学表示ユニットから剥離して、剥離後の光学表示ユニットを再利用することが可能になる(以下、「リワーク処理」と称す)。
また、本発明における光学表示装置の製造方法は、
光学表示装置の部材である光学フィルムを有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品を引き出して供給する供給工程と、
供給工程によって引き出された帯状シート状製品の欠陥を検出する検出工程と、
検出工程での検出結果に基づいて帯状シート状製品を切断し、個々のシート状製品に加工する切断加工工程と、
切断加工工程で切断加工されたシート状製品移送する移送工程と、
移送工程で移送されたシート状製品と光学表示装置の部材である光学表示ユニットを貼合わせる貼合わせ加工工程と、を含み、
これら各工程を連続した製造ラインで行うことを特徴とする。
かかる構成の作用効果は、上記した作用効果と同様である。
製造システムの全体構成の概略を示す図 貼合わせ手段の一例を示す図 製造方法のフローチャート
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
<シート状製品・光学表示ユニット・光学表示装置>
本発明において扱うシート状製品の例として、偏光板原反をあげて説明する。偏光板原反は、長い帯状に形成され、フィルム状の偏光板原反から個々の大きさの偏光板を打ち抜き(又は切断)により得るようにしている。偏光板原反は、予め製造しておいたポリビニルアルコール系フィルム(偏光子)の表裏両面に例えばトリアセチルセルロースフィルム(透明保護フィルム)を貼り合わせることで得ることができる。この多層構造とされた偏光板原反の表面あるいは内部に存在する欠陥(キズや異物など)を検出する必要がある。これは、後述する検出手段によって検出される。
偏光板原反は、(A)染色、架橋および延伸処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを乾燥して偏光子を得る工程、(B)該偏光子の片側または両側に保護層を貼り合わせる工程、(C)貼り合わせた後に加熱処理する工程、を含む製造方法により製造される。
ポリビニルアルコール系フィルムの染色、架橋、延伸の各処理は、別々に行う必要はなく同時に行ってもよく、また、各処理の順番も任意でよい。なお、ポリビニルアルコール系フィルムとして、膨潤処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを用いてもよい。一般には、ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素や二色性色素を含む溶液に浸漬し、ヨウ素や二色性色素を吸着させて染色した後洗浄し、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中で延伸倍率3倍〜7倍で一軸延伸した後、乾燥する。ヨウ素や二色性色素を含む溶液中で延伸した後、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中でさらに延伸(二段延伸)した後、乾燥することにより、ヨウ素の配向が高くなり、偏光度特性が良くなるため、特に好ましい。
上記のポリビニルアルコール系ポリマーとしては、例えば、酢酸ビニルを重合した後にケン化したものや、酢酸ビニルに少量の不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、カチオン性モノマー等の共重合可能なモノマーを共重合したもの、等が挙げられる。ポリビニルアルコール系ポリマーの平均重合度は、特に制限されず任意のものを使用することができるが、1000以上が好ましく、より好ましくは2000〜5000である。また、ポリビニルアルコール系ポリマーのケン化度は85モル%以上が好ましく、より好ましくは98〜100モル%である。
製造される偏光子の厚さは、5〜80μmが一般的であるが、これに限定するものではなく、また、偏光子の厚さを調整する方法に関しても、特に限定するものではなく、テンター、ロール延伸や圧延等の通常の方法を用いることができる。
偏光子と保護層である透明保護フィルムとの接着処理は、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。かかる接着層は、水溶液の塗布乾燥層等として形成されるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。
偏光子の片側又は両側に設ける保護フィルムには、適宜な透明フィルムを用いることができる。中でも、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーからなるフィルムが好ましく用いられる。そのポリマーとしては、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。フィルムは、キャスティング法、カレンダー法、押出し法のいずれで製造したものでもよい。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
偏光特性や耐久性などの点から、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂が好ましく、特に表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムが好ましい。なお、偏光フィルムの両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で異なるポリマーからなる透明保護フィルムを用いてもよい。
保護フィルムの厚さは、任意であるが、一般には偏光板の薄型化等を目的に、500μm以下、好ましくは1〜300μm、特に好ましくは5〜200μmとされる。なお、偏光フィルムの両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で異なるポリマー等からなる透明保護フィルムとすることもできる。
透明保護フィルムは、本発明の目的を損なわない限り、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等を施したものであってもよい。ハードコート処理は、偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばシリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。
一方、反射防止処理は、偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止は隣接層との密着防止を目的に、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止などを目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式等による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。
前記の透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等が挙げられ、導電性を有する無機系微粒子を用いてもよく、また、架橋又は未架橋のポリマー粒状物等からなる有機系微粒子などを用いることができる。透明微粒子の使用量は、透明樹脂100質量部あたり2〜70質量部、特に5〜50質量部が一般的である。
さらに、透明微粒子配合のアンチグレア層は、透明保護層そのものとして、あるいは透明保護層表面への塗工層などとして設けることができる。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視角補償機能など)を兼ねるものであってもよい。なお、上記した反射防止層やスティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、それらの層を設けたシートなどからなる光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
本発明によるシート状製品は、実用に際して各種光学層を積層して光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定されるものではないが、例えば、前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面(前記接着剤塗布層を設けない面)に対して、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理を施したり、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層する方法があげられる。また、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられる光学フィルムを1層または2層以上貼りあわせたものもあげられる。特にシート状製品が偏光板であれば、反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、視角補償層または視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板として好ましく適用される。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて、液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行なうことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行なうことができる。
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
他の例としては位相差板が挙げられる。位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる福屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。延伸処理は、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法などにより行うことができる。延伸倍率は、一軸延伸の場合には1.1〜3倍程度が一般的である。位相差板の厚さも特に制限されないが、一般的には10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
前記高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネイト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
前記液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶性ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組合せにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また、本発明のシート状製品(例えば偏光板)は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着剤層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
本発明による偏光板や、前記の積層光学部材には、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。その粘着層は、特に限定されるものではないが、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨脹差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性等の点により、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などとすることができる。粘着層は必要に応じて必要な面に設ければよく、例えば、偏光子と保護フィルムからなる偏光板について言及するならば、必要に応じて、保護フィルムの片面または両面に粘着層を設ければよい。
前記粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータ(離型フィルムに相当する。)が仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明によるシート状製品は、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置(光学表示装置に相当する。)の形成に好ましく用いることができる。
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セル(光学表示ユニットに相当する。)と偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体。光学表示ユニットに相当する。)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組合せをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
本発明によるシート状製品(例えば偏光板)は、液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置は、本発明によるシート状製品(例えば偏光板)を液晶セルの片側または両側に配置してなる透過型や反射型、あるいは透過・反射両用型の従来に準じた適宜な構造を有するものとして形成することができる。従って、液晶表示装置を形成する液晶セルは任意であり、例えば薄膜トランジスタ型に代表される単純マトリクス駆動型のものなどの適宜なタイプの液晶セルを用いたものであってもよい。
また液晶セルの両側に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じ物であってもよいし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
<光学表示装置の製造システムの構成>
図1は、本発明の光学表示装置の製造システムの構成を説明する図である。以下の説明上、帯状シート状製品を偏光板原反として説明する。
搬送手段(供給手段に相当する)は、偏光板原反3が巻き取られたロール4を設置可能とし、このロール4から偏光板原反3を引き出せるように構成される。搬送手段は、搬送ローラ11等を有して構成されるが、上記機能を実現するものであれば特に制限されない。
剥離手段(不図示)は、後述する検出手段12による欠陥の検出前または検出後に、離型フィルム(不図示)を偏光板原反3から剥離する。検出手段12による欠陥検出前に行うことが好ましい。また、洗浄手段は、離型フィルムを剥離した偏光板原反3を洗浄する。剥離手段、洗浄手段は、公知の技術が適用できる。
検出手段12は、ロール4から引き出された偏光板原反3の片面または両面の欠陥を検出する。「欠陥」は、例えば、傷、汚れ、クラック等が例示される。検出手段12は、例えば、偏光板原反3の幅方向に沿って一列上に配置した複数のCCDカメラ、照明装置等で構成される(特開2005−62165号公報、13頁を参照)。
例えば、偏光板原反3の表面欠陥を検出するために、第1カメラ列12aと第2カメラ列12bとが配置されている。第1カメラ列12aには、偏光板原反3の幅方向に沿って4台のCCDカメラが設けられ、第2カメラ列12bには、同じく幅方向に沿って4台のCCDカメラが設けられている。第2カメラ列12bは、第1カメラ列12aの下流側に配置されており、欠陥検出を確実に行うために2列配列としている。裏面用に第3カメラ列12c、第4カメラ列12dが同様に配置される。さらに、後述する切断加工処理の直前に、第5カメラ列12eを配置して、欠陥を検出するように構成し、搬送過程で生じる欠陥、あるいは第1〜第4カメラ列等での検出の漏れ等に対処できるようにすることは好ましい。
これら第1〜第5カメラ列12a〜12eにより取得された画像は、画像処理部(不図示)に送られて、画像処理技術を用いて偏光板原反3の表面や内部に存在する欠陥の検出を行う。画像処理部は、画像処理プログラム等のソフトウェアにより構成することができる。もちろん、画像処理部をハードウェアにより構成しても良い。画像処理部により、欠陥であるか否かの判定を行うと共に、欠陥位置も求める。以上のように、第1〜第5カメラ列12a〜12e及び画像処理部は、偏光板原反3の欠陥を検出する検出手段12として機能する。また、画像処理プログラムにより行う場合の、欠陥判定アルゴリズムは公知のものを採用することができる。
切断加工手段13は、検出手段12の検出結果に基づいて偏光板原反3を、所定サイズに切断し、個々のシート状製品(偏光板3a)に加工する。「切断」は、例えば、ギロチン方式、打ち抜き方式、レーザーによる切断方式等による切断が可能である。レーザーによる切断方式を採用する場合に、切断後の切断面が滑らかで、帯状シート状製品が粘着剤層を含む積層フィルム原反である場合には粘着剤のはみ出しを防止できることから、レーザーによる切断方式が好ましい。偏光板原反3は、吸着手段14によって負圧吸着され、所定サイズ分搬送され、切断加工手段13によって切断される。
この切断加工において、所定サイズで切断が行われるが、サイズは、予めメモリに格納されていても良いし、適宜、装置のオペレータによってサイズ値の入力或いは選択できるように構成できる。
欠陥が検出されている場合の切断加工について以下に説明する。欠陥の検出処理後の偏光板原反3が搬送ローラ11、吸着手段14等の供給手段により、順次、搬送されてくる。切断加工手段13は欠陥部分が含まれる偏光板原反3を切断する場合に、例えば、欠陥が直前の切断端面から20cm長の位置に存在している場合、偏光板原反3が、切断断面から21cm長の位置で切断されるように搬送され切断される。このように切断された偏光板3aは、不良品と判断され不良品の搬送手段15に沿って搬送され除去される。所定のサイズが切断断面から50cm長であれば、このように切断加工することで、偏光板3aの歩留まりを大幅に改善できる。搬送手段15は、例えば、ベルトコンベアで実現され不良品を搬送することができる。
なお、切断加工手段13として打ち抜き方法を採用する場合に、打ち抜き型を変えることで、種々の大きさの偏光板3aを打ち抜くことができる。つまり、同じ偏光板原反3からいろいろな大きさの偏光板3aを得ることができる。また、レーザーによる切断方式を採用する場合に、切断領域の設定を変更することにより、種々の大きさの偏光板3aを切り出すことができる。
欠陥がない場合には、所定のサイズに切断された偏光板3aが、貼合わせ加工工程に移送される。吸着手段16(移送手段に相当する)は、偏光板3aを傷つけないように、負圧吸着することで移送する。図2に示すように、液晶セル基板5(光学表示ユニット)を予めセットしておき、吸着手段16は偏光板3aを液晶セル基板5の上に載せる。この際に、吸着手段16と連動したローラ部材17(貼合わせ加工手段に相当する)が転がりながら偏光板3aを押し当てるように液晶セル基板5に載せて貼り合わせる。これによって、気泡の混入を抑制でき、後述する脱泡処理工程を削除又は短時間で行える。なお、ローラ部材17による貼り合わせ方法に限定されず、例えば、吸着手段16とは物理的に連結されていないローラ部材で貼り合わせ処理を行ってもよい。また、移送手段は、上記の吸着方式に限定されず、ベルトコンベア方式を採用してもよい。
次いで、吸着手段19は、偏光板3aを液晶セル基板5に貼合わせた液晶表示装置(光学表示装置に相当する)を、次の工程に移送する。吸着手段19は、上記の吸着手段14、16と同様の機能を有する。
次いで、第二検出手段18は、移送されてきた液晶表示装置上の欠陥を検出する。検出方法は、上記検出手段12と同様の手段を用いることができる。欠陥が検出された場合、リワーク処理が行われる。欠陥が検出されなければ、脱泡処理がなされる。そして、偏光板3aが貼り合わせられていない他の面に対しても同様に偏光板3aを貼合わせることができるように反転させて、貼合わせ処理に戻すように構成できる。なお、脱泡処理は、第二検出手段18による欠陥検出前に実施されても良い。
<製造方法のフローチャート>
以下に、本発明の光学表示装置の製造方法について図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、帯状シート状製品(例えば、偏光板原反)を製造システムにセットする(S1)。帯状シート状製品は、ロール状で光学フィルム製造メーカーから送られ、組み立て加工メーカーは、梱包解体し、ロール表面を洗浄し、製造システムにセットする。
次に、離型フィルムを剥離処理し(S2)、剥離後の帯状シート状製品の洗浄を行う(S3)。洗浄は、粘着性の弱い粘着剤を用いたもので行うことが好ましい。
次に、欠陥の検出処理が行われ(S4)、この検査結果に基づいて、良品として所定サイズに切断、或いは欠陥部分を含む不良品として切断が行われる(S5)。切断されたものが欠陥部分の存在している不良品であれば(S6)、不良品として除去される(S7)。良品であれば(S6)、貼合わせ処理がなされる(S8)。なお、検出処理は、数段階に分けて行ってもよい。
次いで、光学表示装置としての欠陥の検出が行われる(S9)。検出結果で不良品と判断されれば(S10)、リワーク処理が行われる(S11)。良品と判断されれば(S10)、次の処理工程に進む(S12)。次の処理としては、脱泡処理が例示される。また、シート状製品が貼り合わされていない他の面に対してもシート状製品を貼り合わせできるように反転させて、貼り合わせ処理に移行できるように構成する処理が例示される。
<別実施形態>
本発明は、偏光板のみを光学表示ユニットに貼り合わせる製造システム及び製造方法に限定するものではなく、位相差板を光学表示ユニットに、又は、偏光板及び位相差板を光学表示ユニットに一体に貼り付けることにも適用できる。また、光学表示ユニットは、液晶セル基板に制限されない。
3 帯状シート状製品
3a 偏光板
4 ロール
5 光学表示ユニット
11 搬送ローラ(供給手段) 12 検出手段
13 切断加工手段
14 吸着手段(供給手段)
16 吸着手段(移送手段)
17 ローラ部材(貼合わせ加工手段)
18 第二検出手段

Claims (4)

  1. 光学表示装置の部材である光学フィルムを少なくとも有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品を引き出して供給する供給手段と、
    前記供給手段によって引き出された帯状シート状製品の欠陥を検出する検出手段と、
    前記検出手段の検出結果に基づいて帯状シート状製品を切断し、個々のシート状製品に加工する切断加工手段と、
    前記切断加工手段で切断加工されたシート状製品を貼合わせ加工を行うために移送する移送手段と、
    前記移送手段によって移送されたシート状製品と前記光学表示装置の部材である光学表示ユニットを貼合わせる貼合わせ加工手段と、
    を具備し、
    これら各手段を連続した製造ライン工程上に配置したことを特徴とする光学表示装置の製造システム。
  2. 前記帯状シート状製品は、
    前記光学表示ユニットと接着する粘着剤と当該粘着剤を保護する離型フィルムを有し、
    前記検出手段による欠陥の検出前に、前記離型フィルムを前記帯状シート状製品から剥離する剥離手段と、
    前記離型フィルムを剥離した帯状シート状製品を洗浄する洗浄手段と、
    をさらに具備する請求項1に記載の光学表示装置の製造システム。
  3. 前記貼合わせ加工手段で貼合わせた後に、欠陥を検出する第二検出手段と、
    をさらに具備する請求項1又は請求項2に記載の光学表示装置の製造システム。
  4. 光学表示装置の部材である光学フィルムを有する帯状シート状製品が巻き取られたロールから帯状シート状製品を引き出して供給する供給工程と、
    前記供給工程によって引き出された帯状シート状製品の欠陥を検出する検出工程と、
    前記検出工程での検出結果に基づいて帯状シート状製品を切断し、個々のシート状製品に加工する切断加工工程と、
    前記切断加工工程で切断加工されたシート状製品を移送する移送工程と、
    前記移送工程で移送されたシート状製品と前記光学表示装置の部材である光学表示ユニットを貼合わせる貼合わせ加工工程と、
    を含み、
    これら各工程を連続した製造ラインで行うことを特徴とする光学表示装置の製造方法。
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