JP2011037638A - 管状窒化アルミニウムおよびその製造方法 - Google Patents

管状窒化アルミニウムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】μmオーダーの外径を有し、例えば、高熱伝導プラスチック用のフィラーとして有用な、内部に空洞有する、新規な管状の窒化アルミニウム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】平均外径3〜150μm、好ましくは3〜15μmであることを特徴とする管状窒化アルミニウム。また、上記管状窒化アルミニウムにおいて、形成される空洞部の大きさ、即ち、管状窒化アルミニウムの内径は、平均内径が、前記平均外径の20〜75%、特に50〜75%であることが好ましい。上記管状窒化アルミニウムは、原料として、繊維状アルミナを用い、窒素ガス雰囲気下、1600℃〜1900℃で、還元窒化することで製造することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な管状窒化アルミニウム及びその製造方法に関する。詳しくは、μmオーダーの外径を有し、例えば、高熱伝導プラスチック用のフィラーとして有用な、新規な管状窒化アルミニウム及びその製造方法を提供するものである。
窒化アルミニウムは、高熱伝導性、電気絶縁性などの優れた特性を有しており、これらの性質を利用して、半導体製造装置材料等の用途向けに用いられている。上記材料等は特定形状に成形した後に焼結するか、焼結後に加工することによって所望の形状を有する製品に製造されている。また、一方で、窒化アルミニウムは、粉状、或いは繊維状として、高熱伝導プラスッチック用のフィラーとしての用途において使用されている。この用途では、プラスッチックに充填した際のフィラー同士の接触効率を高め、熱伝導性を高くするため、特に、繊維状の窒化アルミニウムが注目されつつある。
従来、上記繊維状の窒化アルミニウムの製造方法としては、高純度アルミナ繊維前駆体を主成分とする棒使役を紡糸して得られる前駆体繊維を400〜1000℃に仮焼して、繊維表面に微細なポアが均一に存在する仮焼体繊維を得、次いで該繊維に炭素粉末を付着させた後に1300〜1700℃で還元窒化することで繊維状の窒化アルミニウムを得る製造方法が提案されている(特許文献1参照)。また、δ−アルミナ及びθ−アルミナの少なくとも一方を含む球状或いは繊維状のアルミナをアンモニア及び炭化水素ガスを用いて1200〜1700℃で還元窒化反応を起こさせることにより、原料となるアルミナの形状を保持した、即ち、球状或いは繊維状の窒化アルミニウムを得る製造方法も提案されている(特許文献2参照)。
特開平8−60443号公報 特開2002−97006号公報
上記特許文献記載の方法により得られる繊維状窒化アルミニウムは、いずれも原料として使用される直径3〜100μm程度の繊維状アルミナをその形状を維持したまま内部まで窒化したものであり、かかる繊維が中空となった、いわゆる、管状の窒化アルミニウムは、これまで得られておらず、かかる形状の窒化アルミニウムについての報告は存在しない。
そして、平均外径3〜100μm程度の外径を有する管状窒化アルミニウムは、樹脂フィラーやマイクロリアクターとして使用した場合、その形状と窒化アルミニウムの性状が融合した新たな効果が期待される。
従って、本発明の目的は、上記管状の窒化アルミニウム及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った。その結果、繊維状のアルミナの還元窒化を特定の条件下で行うことにより、該繊維状アルミナの内部に存在するアルミナが消失し、該繊維の表面に新たに窒化アルミニウムの層が形成され、還元窒化を続けると、元の繊維状アルミナの外径を内径とする管状窒化アルミニウムが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、平均外径3〜150μmであることを特徴とする管状窒化アルミニウムが提供される。
また、本発明によれば、繊維状アルミナを窒素ガス雰囲気下、1600℃〜1900℃で、還元窒化することを特徴とする上記管状窒化アルミニウムの製造方法が提供される。
本発明によれば、従来得られなかった繊維状の内部が中空となった、μmオーダーの外径の管状窒化アルミニウムが提供される。従来、かかる外径を有する窒化アルミニウム成形体は、内部に空洞を形成していない、いわゆる、繊維状窒化アルミニウムが知られているのみであり、ミクロンオーダーの外径を有する管状窒化アルミニウムは、本発明によって初めて提供されるものである。
上記本発明の管状窒化アルミニウムは、内部が中空であるという特徴的な形状と、高熱伝導性、電気絶縁性などの窒化アルミニウムの性状とが融合した新たな効果が期待される。例えば、上記の管状窒化アルミニウムを高熱伝導性プラスチックのフィラーとして用いた場合には、管状窒化アルミニウムの中空部分に樹脂が入り込むことで、樹脂との混練性が向上し、高強度の高熱伝導プラスチックが得られると共に、上記紡糸状の窒化アルミニウムと比較して少量で同等の熱伝導率の向上効果が期待される。
また、上記用途の他にも、耐薬品性を有するマイクロリアクターを構成する配管用部材として、或いは割れの発生の少ない、多孔質焼結体の原料としての用途も期待される。
さらに、本発明によれば、繊維状アルミナを窒素ガス雰囲気下、1600℃〜1900℃で、還元窒化することを特徴とする上記管状窒化アルミニウムの製造方法が提供される。上記製造方法により、繊維状の内部が中空となったμmオーダーの外径の管状窒化アルミニウムを再現性良く得ることが可能である。
本発明の管状窒化アルミニウムの形状を示す写真である。 本発明の管状窒化アルミニウムの長軸方向の断面を示す写真である。
<管状窒化アルミニウム>
本発明の管状窒化アルミニウムは、平均外径3〜150μm、特に、3〜15μmの、ミクロンオーダーの外径を有することを最大の特徴とする。従来、かかる外径を有する窒化アルミニウム成形体は、内部に空洞を形成していない、いわゆる、繊維状窒化アルミニウムが知られているのみである。
上記本発明の管状窒化アルミニウムにおいて、形成される空洞部の大きさ、即ち、管状窒化アルミニウムの内径は、平均内径が、前記平均外径の20〜75%、特に50〜75%であることが好ましい。
また、本発明の管状窒化アルミニウムは、後述するように、アルミナ繊維を原料とし、これを窒化して得ることができるが、窒化アルミニウムが元来有する性質を十分に発揮するためには、不純物は、少ないほど好ましく、特に、上記管状窒化アルミニウムに含有される酸素量は2.0質量%以下、特に、1.0質量%以下であることが好ましい。また、その他の不純物として、アルミニウム以外の陽イオン不純物、具体的には窒化アルミニウムの熱伝導率を低下することが知られている、Fe,Si,Mg,Cr,Ni,Cr,Ni,Tiなどの総量が窒化アルミニウムに対して、2000ppm以下、好ましくは600ppm以下、更に好ましくは200ppm以下、特には100ppm以下とすることが好ましい。かかるアルミニウム以外の陽イオン不純物は、原料に由来する場合が多く、後述するように、原料のアルミナ繊維として、上記純度を達成可能な程度の高純度のものを使用することが好ましい。
本発明の管状窒化アルミニウムは、中空の形状である限り、その長さについては、特に制限されない。一般に、本発明の管状窒化アルミニウムは、原料となる繊維状アルミナの長さによって、得られる管状窒化アルミニウムの長さが殆ど決まる。そして、得られた長さの管状窒化アルミニウムは、そのままの長さで使用してもよいし、必要に応じて、適当な長さに粉砕して使用してもよい。因みに、本発明の管状窒化アルミニウムを前記フィラーとしての用途に使用する場合には、平均長で10〜500μmのものが、また、多孔質焼結体の原料として使用する場合には平均長で1〜15μm、特に、5〜10μm、更に、マイクロリアクターとして使用する場合は、平均長で10〜500μmのものが好適である。
本発明の管状窒化アルミニウムは、未処理のまま各用途に使用することもできるが、前記各用途において、樹脂への拡散や濡れ性を良くする目的で、管状窒化アルミニウムに対し、表面処理等を行うことも可能である。例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等の疎水性シラン化合物やメルカプトシラン等のシランカップリング剤、Zrキレート、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等の表面処理剤を使用することが挙げられる。
また、上記本発明の管状窒化アルミニウムは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂やポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネ−ト、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性樹脂、またシリコーンゴム、EPR、SBR等のゴム等に対してフィラーとして用いることで高熱伝導プラスチックを得ることができる。上記高熱伝導プラスチックを得る方法としては、管状窒化アルミニウムの形状を損なうことなく樹脂を調製が容易で、管状の形状による効果が十分に発揮されるという観点から上記管状窒化アルミニウムを液体状のモノマー或いはオリゴマーに配合し、これを硬化することにより得ることが好ましい。また、管状窒化アルミニウムと液体状のモノマー或いはオリゴマーとを配合した混合物に、硬化促進剤や離形剤、シランカップリング剤などの樹脂添加剤を更に添加してもよい。
上記本発明の管状窒化アルミニウムの前記性状は走査電子顕微鏡にて確認することが可能である。さらに、上記管状窒化ルミニウムの平均外径、平均内径、及び長さは、走査電子顕微鏡にて20本を観察し、上記20本の最大直径及び最小直径を測定し、その平均径を算出して求めることが可能である。管状窒化アルミニウムの酸素含有量は、該窒化アルミニウムを粉末に破砕後、該粉末を酸素気流中で燃焼させ、発生したCOガス量から定量することで、また、原料の繊維状アルミナ及び得られた管状窒化アルミニウムの純度及び金属不純物の含有量はICP発光分析により求めることができる。さらに、上記管状窒化アルミニウムの窒化率は、X線回折(CuKα 10°〜70°)により得られた回折パターンから同定した相のピーク強度により算出することができる。
<管状窒化アルミニウムの製造方法>
上記本発明の管状窒化アルミニウムは、繊維状アルミナを窒素ガス雰囲気下、1600℃〜1900℃で、還元窒化することによって製造することができる。
上記の製造方法によって管状窒化アルミニウムが生成する機構は明らかではないが、本発明者らは以下の機構を推測している。すなわち、上記製造方法では、還元窒化時の温度が1600℃〜1900℃と高温であり、繊維状アルミナ中のγ−、θ−等の結晶形のアルミナが存在する場合には、γ−、θ−等の結晶形のアルミナは、より結晶構造が堅固なα−アルミナに変化しているものと推測される。一般的に、種々のアルミナの結晶構造のうち、α−アルミナは反応性が低い傾向にあるとされており、従って、繊維状アルミナの表面は、窒化アルミニウムに窒化されるが、繊維内部に存在するα−アルミナは、容易に窒化せず、上記温度において、繊維外に揮散し、繊維外に揮散したα−アルミナは、雰囲気ガスである窒素ガスによって還元窒化され、生成した窒化アルミニウムによって、繊維表面に窒化アルミニウムの層が形成されるものと推測される。また、前記還元窒化の条件として高温下の条件とすると共に還元窒化反応における雰囲気ガスを反応が比較的穏和な窒素ガスとすることで、繊維表面からのアルミナの窒化反応を穏和に進行させることとなり、その結果、繊維内部での空洞の生成を、より有利に進行させることができる。
(繊維状アルミナ)
本発明において、出発原料として用いる繊維状アルミナとしては、工業的に入手可能なものが特に制限されず、好適に用いることができる。
アルミナは、α−、γ−、θ−等の種々の結晶形が知られているが、本発明においては、いずれの結晶形のアルミナも用いることが可能である。さらに、上記結晶形は、単独であっても、複数の結晶形の混合物であっても用いることが可能である。
また、高純度の管状窒化アルミニウムを得るという観点から、出発原料として用いる繊維状アルミナも高純度のものが好ましく、特にアルミニウム以外の陽イオン不純物、具体的には窒化アルミニウムの熱伝導率を低下することが知られている、Fe,Si,Mg,Cr,Ni,Cr,Ni,Tiなどの総量が窒化アルミニウムに対して、2000ppm以下、好ましくは600ppm以下、更に好ましくは200ppm以下、特には100ppm以下とすることが好ましい。
また、上記本発明において用いる繊維状アルミナの直径、及び長さについても特に制限されず、種々の直径、及び長さのアルミナ繊維を用いることが可能である。繊維状アルミナは、塩基性塩化アルミニウム、硅素化合物、有機重合体および水を含有する紡糸液をブローイング法で紡糸し、得られたアルミナ短繊維前駆体の集合体を必要に応じてニードリングを施した後に焼成するといった前駆体繊維化法により、平均直径が3〜100μm程度の繊維状アルミナを得ることが可能である。本発明の製造方法では、上記の直径の繊維状アルミナを特に制限無く使用することが可能である。また、繊維状アルミナの長さについては、製造時の取扱いの観点から、適宜の長さに切断して使用することも可能である。上記繊維状アルミナの中でも、工業的に入手が容易である点、及び製造時の取扱いが容易である点から、直径3〜10μm、特に直径3〜5μm、長さ5mm〜7cm、特に長さ1cm〜3cmの繊維状アルミナを用いることが好適である。
(還元窒化)
本発明の管状窒化アルミニウムの製造方法では、上記繊維状アルミナを窒素ガス雰囲気下で還元窒化を行うことが特徴である。また、上記還元窒化における、繊維状アルミナの反応収率、即ち窒化率は、窒化率が高いほど得られる管状窒化アルミニウムの空洞部が大きくなる傾向にあるため好ましく、窒化率が85%以上であることが好ましい。特に窒化率が90%以上まで反応を行うことが、得られる管状窒化アルミニウム中の酸素含有量が低く、高純度の該窒化アルミニウムを得ることが可能であるため好ましい。
還元窒化における雰囲気ガスとしては、アンモニアガスも知られているが、アンモニアの分解により生成する水素ガスの還元反応性が高く、アンモニアガスによる還元窒化は、窒素ガスと比較して、反応性が高い傾向にある。前記のとおり、本発明の管状窒化アルミニウムの製造方法では、繊維状アルミナ表面における還元窒化の反応が早すぎると、中空部の直径が小さくなる傾向にあるため、還元窒化の雰囲気ガスとして反応性の比較的低い窒素ガスを用いることが好ましい。
また、窒素ガス雰囲気下で還元窒化反応を行うに当たっては、アルミナを還元するための炭素分の存在が必要である。還元窒化反応を行う際に、炭素分を雰囲気中に存在させる方法については、公知の方法を特に制限なく使用することができる。例えば、炭素分としてカーボンを存在させる方法、窒素ガスと炭化水素ガス等の混合ガスを用いる方法等が挙げられる。
上記の方法のうち、炭素分としてカーボンを存在させる方法として具体的には、繊維状アルミナに直接粉末状のカーボンを混合し、繊維状アルミナにカーボンを付着させる方法、繊維状アルミナをカーボン製の容器に入れて還元窒化反応を行う方法、または繊維状アルミナを入れる容器内にカーボンを共存させる方法等が挙げられる。
上記カーボンの形状としては、特に制限されず、粉末状、繊維状、フェルト状、シート状、板状のいずれもよく、またそれらを組み合わせてもよい。更には、還元窒化処理を行う炉の材質にカーボンを用いている場合、ここから発生する炭素分によっても還元窒化を行うことが可能である。その中でも、高純度窒化アルミニウムを短時間で得るためには粉末状のカーボンをアルミナ繊維と混合することが好適である。
上記炭素分としてカーボンを存在させる方法における、繊維状アルミナとカーボンの混合割合は、繊維状アルミナを還元窒化させるのに十分な量のカーボンがあれば特に制限されず、公知の割合でカーボンを存在させて還元窒化を行う事が可能である。一般的に、繊維状アルミナ100質量部に対して、カーボンを20質量部以上、好ましくは、40質量部以上存在させれば十分である。
上記繊維状アルミナに、炭素分としてカーボンを共存させる場合には、窒素ガス雰囲気とは、窒素ガスを単独で用いることが好適である。
また、上記、カーボンを用いずに、窒素ガスと炭化水素ガス等の混合ガスを用いる方法における炭化水素ガスとしては、還元窒化において用いる公知の炭化水素ガスを特に制限なく用いることが可能である。
炭化水素ガスとして具体的には、メタン、プロパン等の炭化水素ガスが挙げられる。上記炭化水素ガスと窒素ガスとの混合ガスにおける炭化水素の使用量は、あまり低すぎると、還元窒化が進行しにくく、反応時間が長時間となるため、好ましくなく、あまり多すぎると還元窒化が進みすぎて、大きな空洞部を有する管状の窒化アルミニウムが得られにくい傾向にある。係る場合の窒素ガスと炭化水素ガスの混合比は、50〜1000ppmの範囲で、好ましくは、200〜400ppmの範囲で適宜決定すれば十分である。
上記本発明において、窒素ガス或いは炭化水素ガスと窒素の混合ガスの流量は、繊維状アルミナが十分に還元窒化される量であれば特に制限されず、用いる繊維状アルミナの種類や、反応装置の能力及び装置の構造等を勘案して適宜決定すれば良い。上記窒素ガスの流量としては、4L/min〜10L/min程度流通させれば十分である。
(反応温度及び反応時間)
上記本発明の管状窒化アルミニウムの製造方法において、還元窒化反応を1600℃〜1900℃の温度で行う。上記温度で還元窒化を行うことで、繊維状アルミナ内部に存在するα−アルミナを効率良く繊維外に揮散させることが可能であり、これにより、管状の窒化アルミニウムを製造することが可能となる。繊維状アルミナ中に、γ−、θ−等の結晶形のアルミナが存在する場合、1600℃未満の温度でもγ−、θ−等のアルミナは、α−アルミナ化に変化しているものと推測されるが、還元窒化反応の温度が1600℃未満であると、繊維状アルミナの繊維内部に存在するα−アルミナの揮散が起こりにくく、管状の窒化アルミニウムが得られないばかりでなく、還元窒化反応が進行しにくいため窒化率が低い傾向にある。一方、1900℃以上であっても本発明の管状窒化アルミニウムを得ることは可能であるが、1900℃以上では窒化アルミニウム自身の分解が生じるため効率的ではない。上記反応温度のうち、エネルギーコストや環境上の観点から、反応温度を特に1600〜1700℃の範囲で設定するのが好適である。
上記本発明における還元窒化反応の反応時間は、繊維状アルミナが十分に還元窒化されるだけの時間あれば特に制限されず、用いる繊維状アルミナの種類や、反応装置の能力及び装置の構造等を勘案して適宜決定すれば良い。上記反応時間は、通常2〜20時間、好ましくは4〜8時間の範囲で適宜決定すれば十分である。
(反応後の処理)
上記本発明の管状窒化アルミニウムの製造方法を行うことで、窒化率85%以上の高い窒化率で管状窒化アルミニウムを効率良く製造することが可能である。
繊維状アルミナに直接粉末状のカーボンを混合し、繊維状アルミナにカーボンを付着させる方法で還元窒化反応を行った場合、得られた管状窒化アルミニウムから余剰炭素の除去を行うために、大気中400〜800℃、好ましくは500℃〜600℃で4〜6時間加熱処理により、余剰炭素の酸化除去を行うことが望ましい。上記後処理の温度が800℃以上では管状窒化アルミニウムの表面の酸化が生じるため、該管状窒化アルミニウムの表面を酸化処理しない場合には好ましくない。また、上記方法で製造した管状窒化アルミニウムは例えばメノウ乳鉢や振動ミルなどで粉砕し、その繊維長さを所望の値に調整することも可能である。その場合は用途に応じて、1μm〜500μmの範囲で調整することが望ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、原料のアルミナ繊維及び得られた管状窒化アルミニウムは以下の測定により分析を行った。
<原料アルミナ繊維中のα―アルミナの含有率の評価>
原料アルミナ繊維中のα―アルミナの含有率はX線回折装置(株式会社リガク製RINT−1400)を用いてX線回折パターンから(CuKα 10°〜70°)、α―アルミナの(012)面とその他同定した相のメインピーク強度を用いて下記式(1)により算出した。
Figure 2011037638
<窒化アルミニウムの窒化率評価>
得られた窒化アルミニウムの窒化率はX線回折装置(株式会社リガク製RINT−1400)を用いてX線回折(CuKα 10°〜70°)得られた回折パターンから同定した相のピーク強度を用いて下記式(2)により算出した。
Figure 2011037638
<管状窒化アルミニウムの酸素濃度評価>
管状窒化アルミニウムの酸素濃度は試料を粒状にした後、堀場製作所製「EMGA−620W」を使用して、粉末を酸素気流中で燃焼させ、発生したCOガス量から定量した。
<アルミナ繊維及び管状窒化アルミニウムの形態観察>
走査電子顕微鏡(株式会社日立製作所製S−2600N)にて倍率1.0K〜10.0K倍で観察を行った。また、アルミナ繊維径、管状窒化アルミニウミの平均外径及び平均内径は上記20本の最大直径及び最小直径を測定し観察し、その平均径を算出して求めた。
実施例1
アルミナ純度が>99.9%、α−アルミナの含有率が98.6%、平均繊維径5μm、平均繊維長3cmである繊維状アルミナに対し重量換算で50%のカーボンブラックを混合し、カーボン製の容器に仕込み、窒素を流通下1620℃にて8hrの還元窒化処理を実施した。その後大気中600℃にて4時間酸化処理を行ったものをめのう乳鉢で粉砕した。得られた管状窒化アルミニウムの物性を表2に、走査電子顕微鏡で観察した形状の写真を図1に示す。また、エポキシ樹脂(BUEHLER社製、製品名 EPOXICURE RESIN)、及び硬化剤(BUEHLER社製、製品名 EPOXICURE HARDENER)を1:5で混合した樹脂に得られた管状窒化アルミニウムを埋包し、硬化後、これを研磨することによって管状窒化アルミニウムの断面を観察した。断面の写真を図2に示す。図2の暗色の部分がエポキシ樹脂、白色部分が管状窒化アルミニウムである。図2に示すように、管の中に樹脂が含浸されていることが分かる。
Figure 2011037638
実施例2〜5
表2に示す繊維状アルミナを用い、表2の反応温度及び反応時間とした以外は、実施例1と同様に還元窒化及び酸化処理を行った。得られた管状窒化アルミニウムの物性を表1に示す。
Figure 2011037638
比較例1〜2
表2に示す繊維状アルミナを用い、表2の反応温度及び反応時間とした以外は、実施例1と同様に還元窒化及び酸化処理を行った。得られた管状窒化アルミニウムの物性を表1に示す。

Claims (5)

  1. 平均外径3〜150μmであることを特徴とする管状窒化アルミニウム。
  2. 平均外径3〜15μmである請求項1記載の管状窒化アルミニウム。
  3. 平均内径が、平均外径の20〜75%である請求項1又は2記載の管状窒化アルミニウム。
  4. 繊維状アルミナを窒素ガス雰囲気下、1600℃〜1900℃で、還元窒化することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の管状窒化アルミニウムの製造方法。
  5. 窒化率85%以上まで窒化を行う、請求項4記載の管状窒化アルミニウムの製造方法。
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