JP2011037132A - 表面形状転写樹脂シートの製造方法 - Google Patents

表面形状転写樹脂シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】転写型の表面形状を精度よく、速やかに転写して、効率よく表面形状転写樹脂シートを製造し得る方法を提供する。
【解決手段】樹脂を加熱溶融状態でダイ4から連続的に押し出して連続樹脂シートを製造するシート製造工程と、連続樹脂シートを第一押圧ロール5aと第二押圧ロール5bとで挟み込む第一押圧工程とを含み、上記第一押圧ロール5aまたは第二押圧ロール5bのいずれかの表面に金属製の転写型を備え、この転写型は、複数の凹部または凸部を有し、該凹部または該凸部のピッチ間隔が10μm〜500μmであり、該凹部の溝深さまたは該凸部頂部高さは30μm〜1500μmであり、上記第一押圧工程において、連続樹脂シートの表面に第一押圧ロール5aまたは第二押圧ロール5b表面に備えた転写型が転写され、上記樹脂は、結晶化温度ピークの幅が9℃以下である結晶性高分子樹脂。
【選択図】図2

Description

本発明は、表面形状転写樹脂シートの製造方法に関し、詳しくは転写型の表面形状が転写された樹脂シートの製造方法に関する。
表面に形状を有する樹脂シート(表面形状転写樹脂シート)を製造する方法として、押出機を用いて、樹脂を加熱溶融状態でダイから押し出して得られる連続した樹脂シート(連続樹脂シート)に転写型の表面形状を転写する方法が知られている(たとえば、特許文献1)。従来の押出機を用いた方法では、図4に示すように、ダイ4から連続的に押し出されたアクリル樹脂等の連続樹脂シート2は、第一押圧ロール5aと第二押圧ロール5bとの間に挟み込まれ、第二押圧ロール5bの表面に沿って搬送し、第二押圧ロール5bと第三押圧ロール5cとの間に挟み込まれる。ここで、特許文献1においては、第二押圧ロール5bに金属製の転写型が設けられており、第一押圧ロール5aと転写型が設けられた第二押圧ロール5bとの間に連続樹脂シート2を挟み込むことにより、転写型の表面形状が連続樹脂シート2に転写され、表面形状転写樹脂シートを得る方法が知られている。
特許文献1は、3〜30mm程度のピッチで設けられる形状を転写するものであり、このような粗い形状であれば非晶性高分子樹脂にも精度よく転写できることが開示されている。しかしながら、上記のような従来の製造方法では、転写型の微細な表面形状を連続樹脂シートに精度よく転写できるものでなく、また、より精度のよい転写を達成するためには転写速度を遅くする必要があり、必ずしも生産性のよい方法であるとは言えなかった。
また、転写型が複数の凹部を有する場合において、凹部のピッチ間隔に対する溝深さの比率が大きい場合には、従来のような製造方法では、転写型の微細な表面形状を連続樹脂シートに精度よく転写することがさらに困難であり、より精度のよい転写を達成するためには転写速度をさらに遅くする必要があり、生産性のよい方法であるとは言えなかった。
特開平4−091905号公報
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、転写型の表面形状を転写型どおりに精度よく、速やかに転写して、効率よく表面形状転写樹脂シートを製造し得る方法および装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討した結果、連続樹脂シートの材料および転写型の表面形状を特定のものとすることにより、転写型の表面形状を精度よく、速やかに転写することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを製造するシート製造工程と、連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとで挟み込む第一押圧工程とを含み、上記第一押圧ロールまたは第二押圧ロールのいずれかの表面に金属製の転写型を備え、この転写型は、複数の凹部または凸部を有し、該凹部または該凸部のピッチ間隔が10μm〜500μmであり、該凹部の溝深さまたは該凸部の頂部高さは30μm〜1500μmであり、該凹部のピッチ間隔に対する該溝深さの比率、または該凸部のピッチ間隔に対する該凸部の頂部高さの比率が1以上であり、上記第一押圧工程において、連続樹脂シートの表面に第一押圧ロールまたは第二押圧ロール表面に備えた転写型が転写され、上記樹脂は、結晶化温度ピークの幅が9℃以下である結晶性高分子樹脂であることを特徴とする表面形状転写樹脂シートの製造方法に関する。
本発明は、上記第一押圧工程の後に、転写型が転写された連続樹脂シートを第二押圧ロールに密着させたまま搬送する搬送工程をさらに含み、転写型を第二押圧ロールの表面に備える形態としてもよく、また、搬送工程の後に、搬送された連続樹脂シートを第二押圧ロールと第三押圧ロールとで挟み込む第二押圧工程をさらに含む形態も本発明に含まれる。
本発明には、上記第一押圧工程の前に、連続樹脂シートを予圧ロールと上記第一押圧ロールとの間に挟み、上記第一押圧ロールに密着させたまま搬送する予圧工程を含む態様も含まれる。
また、上記結晶性高分子樹脂は、重合体中のプロピレン単位含有量が75〜100質量%、エチレン単位含有量が0〜25質量%、1−ブテン単位含有量が0〜25質量%であるプロピレン重合体を含有することが好ましく、結晶性高分子樹脂は、造核剤を含有することが好ましい。
転写型の上記凹部または上記凸部は、その断面形状の頂部が三角形であり、該三角形の頂角が10°〜100°であることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、転写型の表面形状を精度よく、速やかに転写して、生産性よく、目的の表面形状転写樹脂シートを製造することができる。
転写型に施されるV字凹みの溝のレプリカの断面形状を示す模式図である。 本発明の表面形状転写樹脂シートの製造に用いる製造装置の一例の模式図であり、第二押圧ロールの表面に転写型が備えられた製造装置の模式図である。 図2に示される製造装置において転写型が第一押圧ロールの表面に備えられた製造装置の模式図である。 図2に示される製造装置において、連続樹脂シートが第二押圧ロールに密着して搬送される場合の製造装置の模式図である。 図3に示される製造装置において、連続樹脂シートが第二押圧ロールに密着して搬送される場合の製造装置の模式図である。 図4に示される製造装置において、さらに第三押圧ロールが備えられた態様の製造装置の模式図である。 図5に示される製造装置において、さらに第三押圧ロールが備えられた態様の製造装置の模式図である。 転写型に施される半円凹みの溝のレプリカの断面形状の模式図である。 シリンドリカルレンズの模式図である。 本発明の表面形状転写樹脂シートの製造に用いる製造装置の一例の模式図であり、第二押圧ロールの表面に転写型が備えられた製造装置の模式図である。 転写型に施されるV字溝−曲面複合形状である凹み溝のレプリカの断面形状の一例の模式図である。 V字溝−曲面複合形状である凹み溝の一部の断面形状の一例の模式図である。 転写型に施される凹み溝のレプリカの断面形状の別の一例の模式図である。
以下、本発明の製造方法および製造装置についてさらに詳細に説明する。なお、以下の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
<表面形状転写樹脂シートの製造装置>
本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法は、樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを製造するシート製造工程と、この連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとで挟み込む第一押圧工程とを含む。このような製造方法を可能にする製造装置の一例を図面に基づき説明する。
図2および図3に表面形状転写樹脂シートの製造装置の一例を示す。図2および図3示すように、このような製造装置としては、加熱溶融状態の樹脂を連続的に押し出して連続樹脂シート2を得るダイ4と、押圧ロール5とを備える。押圧ロール5は、連続樹脂シート2を押圧するための第一押圧ロール5aと第二押圧ロール5bとを備え、上記連続樹脂シート2を、第一押圧ロール5aと第二押圧ロール5bとに挟み込むことにより、所望の表面形状を連続樹脂シート2に転写して、表面形状転写樹脂シートを製造することができる。図2においては、第二押圧ロール5bの表面に転写型6が設けられており、図3では、第一押圧ロール5aの表面に転写型6が設けられている。
上記第一押圧工程において転写型6の表面形状が転写された連続樹脂シート2は、図2に示すように第一押圧ロール表面および第二押圧ロール表面から離れた状態で連続的に搬送される態様とすることができる。また後述するように、第一押圧工程の後に、表面形状が転写された連続樹脂シート2を第二押圧ロール5bに密着させたまま搬送する搬送工程を含む場合は、図4および図5に示すように、第二押圧ロール5bの表面に連続樹脂シート2が密着した状態で搬送される。この場合、上記押圧ロール5の他に、連続樹脂シートを第二押圧ロールに密着させておくためのガイドロール(タッチロール)を設けてもよい(図示せず)。
また、上記搬送工程の後に、搬送された連続樹脂シートを第二押圧ロールと第三押圧ロールとで挟み込む第二押圧工程をさらに含む形態も本発明に含まれ、この場合は図6および図7に示すような製造装置を用いることができる。図6および図7に示す製造装置は、それぞれ図4および図5に示す製造装置に押圧ロール5としてさらに第三押圧ロール5cを備える点で相違するものである。
また本発明には、上記第一押圧工程の前に、連続樹脂シートを予圧ロールと上記第一押圧ロールとの間に挟み、上記第一押圧ロールに密着させたまま搬送する予圧工程を含む態様も含まれ、この場合は図10に示すように、押圧ロール10として、予圧ロール10aと、第一押圧ロール10bと、第二押圧ロールとを備える装置を用いることができる。
上記製造装置においては、押圧ロール5の他に本発明に技術上無関係なロールを設けてもよい。このようなロールは連続樹脂シート2に接するものであり、たとえば、連続樹脂シートを第一押圧ロールに搬送するためのガイドロール(タッチロール)や、連続樹脂シートを第二押圧ロールに密着させておくためのタッチロールを挙げることができる。
また、本発明において各押圧ロールの表面温度は特に限定されないが、樹脂の結晶化温度(℃)をTcとした場合、転写型の設けられた押圧ロールの表面温度TTが、(Tc−50℃)以上(Tc−5℃)以下であることが好ましく、(Tc−35℃)以上(Tc−15℃)以下であることがより好ましい。転写型の設けられた押圧ロールの表面温度TTが上記範囲を満たす場合は、形状転写率をより良好に保つことができる。また、上記表面温度が(Tc−5℃)を超える場合は、第一押圧工程において結晶化高分子が結晶化されていないため、以降の工程に連続樹脂シートが搬送されず、第一押圧工程において、押圧ロールに樹脂がとられる(残留する)現象が発生する場合がある。なお、その他の押圧ロールの表面温度は、成形品の反りやタックマークが低減される範囲で任意に設定する。
例えば第一押圧ロールの表面温度(℃)をT1とし、第二押圧ロールの表面温度(℃)をT2とするとき、転写型が第一押圧ロールに設けられる場合、すなわちT1=TTの場合、T2は(T1−15℃)以上(T1−1℃)以下であることが好ましい。また、転写型が第二押圧ロールに設けられる場合、すなわちT2=TTの場合、T1は(T2−15℃)以上(T2−1℃)以下であることが好ましい。また、第二押圧ロールと第三押圧ロールの表面温度について、第三押圧ロールの表面温度(℃)をT3とし、結晶性高分子樹脂の融点(℃)をTmとすると、T3は(T2+1℃)以上Tm未満であることが好ましく、(T2+1℃)以上(Tm−5℃)未満であることがより好ましい。T3が低すぎると、第二押圧ロールに樹脂が取られてシート加工ができなかったり、反りが発生する場合があり、T3が高すぎると、反りやタックマークの発生する原因となる場合がある。
<表面形状転写樹脂シートの製造方法>
本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法は、樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを製造するシート製造工程と、連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとで挟み込む第一押圧工程とを含む。
<シート製造工程>
シート製造工程は、樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを製造する工程である。
本発明の製造方法に用いられる樹脂は結晶性高分子樹脂である。結晶性高分子樹脂は、結晶性高分子を含有する樹脂であって、結晶性高分子単独で構成された樹脂であってもよいし、結晶性高分子に添加剤を添加した組成物であってもよい。結晶性高分子とは、化学辞典(東京化学同人)等に定義されるように、固体状態で結晶になる性質をもった高分子化合物であり、X線回折スペクトルにおいて結晶性回折ピークを示す高分子をいう。結晶性高分子を用いることにより、従来公知の押圧ロールを用いた単純な転写方法においても、微細な転写型を精度の高い状態でシート表面に転写させることが可能となる。結晶性高分子としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アイソタクチックポリスチレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、上記のようにX線回折スペクトルにおいて結晶性回折ピークを示す高分子であればいずれも用いることができる。ここで、上記アイソタクチックポリスチレンとは、サイドグループであるベンゼン環が一方向に配列しているポリスチレンをいう。このようなアイソタクチックポリスチレンは、公知の方法により製造することができ、たとえばチーグラ−ナッタ触媒を用いた合成方法により製造される。なお、本発明の製造方法に適用できる範囲で、加熱されることにより軟化する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を使用してもよい。
本発明の製造方法に用いられる樹脂は、結晶化温度ピークの幅が9℃以下である結晶性高分子である。この結晶化温度ピークの幅が狭い方が、転写型の表面形状を転写型どおりに精度よく転写することができる。結晶化温度ピークの幅は、7.5℃以下であることが好ましい。上記結晶化温度ピークの幅を満たす結晶性高分子樹脂としては、後述のように造核剤等の添加物を含む樹脂を用いることができる。結晶化温度ピークは、造核剤等の添加量により公知の方法で調整すればよい。
なお、本発明において結晶化温度ピークの幅とは、示差走査熱量測定(DSC測定)条件を、以下サイクル1〜3で行なった際に観測される発熱ピークについて、発熱ピークの値の半分の値(半値)となるときの温度を、結晶化温度の前後2点について算出し、この2点の半値温度の差を、結晶化温度ピークの幅と定義する。なお、発熱ピークの値および半値は、いずれも発熱ピークが存在しないときのベースラインをゼロとした発熱量として計算する。なお、結晶化温度が複数観測される場合は、観測された結晶化温度(発熱ピーク)のうち最大であるものについての上記幅を本発明における結晶化温度ピークの幅とする。
サイクル1:室温25℃から190℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱ピーク温度を測定する。
サイクル2:190℃で5分間保持する。
サイクル3:190℃から室温25℃まで降温速度10℃/分で降温し、発熱ピーク温度を測定する。
上記結晶性高分子は、単一のユニットからなる単独重合体であってもよいし、2以上のユニットを含む共重合体であってもよい。このような重合体としては、たとえば、重合体中にプロピレン単位(プロピレンに由来する繰返し単位をいう)が75質量%以上含有されるプロピレン重合体を例示することができ、具体的にはプロピレン単位含有量が75〜100質量%、エチレン単位(エチレンに由来する繰返し単位をいう)が0〜15質量%かつ1−ブテン単位(1−ブテンに由来する繰返し単位をいう)が0〜25質量%含まれるプロピレン重合体が好ましい。より好ましくは、プロピレン単位が95質量%以上、エチレン単位が0〜5質量%かつ1−ブテン単位が0〜5質量%含まれるプロピレン重合体であり、さらに好ましくはプロピレン単位が99質量%以上、エチレン単位が0〜1質量%かつ1−ブテン単位が0〜1質量%含まれるプロピレン重合体である。また、プロピレン単位含有量が100質量%であるポリプロピレンであってもよい。上記結晶性高分子がこのようなプロピレン重合体である場合は、結晶化度が高くなって、得られるシートの剛性が向上するので、微細な転写型においても後述の形状転写率を95%以上とすることが可能である。結晶性高分子がプロピレン重合体である場合、結晶性高分子樹脂としてプロピレン重合体を単独で用いてもよいが、プロピレン重合体と共に造核剤を含有する組成物であることが好ましい。造核剤を含有することにより結晶性高分子の結晶化が促進され、これによりシートの製造効率を向上させることができる。造核剤としては、環状脂肪族カルボン酸金属塩系、ソルビトール系、有機リン酸塩系、ロジン系などの公知のものを用いることができ、たとえばプロピレン重合体100重量部に対して、0.03〜1.0重量部の含有量とすればよいが、この範囲に限られるものではない。
結晶性高分子樹脂には、光拡散剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤などの添加剤が添加されていてもよい。これらの添加剤の配合量は本発明の効果を相する範囲において調整して用いればよく、特に限定されない。
結晶性高分子樹脂は、非晶性高分子についても本発明の効果を損なわない程度に添加されていてもよい。非晶性高分子とは、固体状態において結晶にならない性質を持った高分子化合物である。特に結晶性高分子としてプロピレン重合体を用いた場合に、非晶性高分子としてアクリル系高分子が添加されていると、これらの高分子の屈折率はほぼ同等であることから、得られるシートの透明度を損なわずに剛性などの機械特性を向上させる方法として有用である。
上記光拡散剤は、無機系光拡散剤であってもよいし、有機系光拡散剤であってもよい。
無機系光拡散剤としては、たとえば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、無機ガラス、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などのような無機化合物の粒子が挙げられる。無機系光拡散剤は、脂肪酸などの表面処理剤により表面処理されていてもよい。
また、有機系光拡散剤としては、たとえばスチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子などのような有機化合物の粒子が挙げられる。
光拡散剤を添加する場合、添加される光拡散剤の屈折率と樹脂の屈折率との差の絶対値は、光拡散の効果の点で、通常0.02以上であり、得られる表面形状転写樹脂シートの光透過性の点で、通常は0.13以下である。このように樹脂に光拡散剤を添加した場合、得られる表面形状転写樹脂シートは、光拡散板として使用することができる。
本発明の製造方法のシート製造工程では、かかる樹脂を加熱溶融状態でダイから押し出す。上記樹脂を加熱溶融状態で連続的に押し出すダイとしては、通常の押出成形法に用いられると同様の金属製のTダイなどが用いられる。ダイから樹脂を加熱溶融状態で押し出すには、通常の押出成形法と同様に、押出機が用いられる。押出機は一軸押出機であってもよいし、二軸押出機であってもよい。樹脂は押出機内で加熱され、溶融された状態でダイに送られ、押し出される。ダイから押し出された樹脂は、連続的にシート状となって押し出され、連続樹脂シートとなる。
連続樹脂シートの厚みは、得られたシートの用途に応じて適宜調整すればよく、たとえば、光拡散板として用いる場合は0.1mm〜3.0mmとすればよい。
上記連続樹脂シートは、単層でもよいし2以上の層としてもよい。連続樹脂シートが単層の場合は、ダイから樹脂を加熱溶融状態で押し出す際にダイに1種の樹脂を供給し押し出しをすればよく、2以上の層の場合は、2種以上の樹脂をダイに供給し、積層した状態で共押し出しをしてもよい。なお、2種以上の樹脂を積層した状態で共押し出しをするには、たとえば、公知の2種3層分配型フィードブロックを用い、これを経由してダイに樹脂を供給すればよい。
<第一押圧工程>
上記シート製造工程で得られた連続樹脂シート2は、第一押圧工程により、図2〜図7に示すように、第一押圧ロール5aと第二押圧ロール5bとで同時に挟み込まれる。第一押圧ロールと、第二押圧ロールとして、通常はステンレス鋼、鉄鋼などの金属で構成された金属製ロールが用いられ、その直径は通常100mm〜500mmである。これらの第一押圧ロールおよび第二押圧ロールとして金属製ロールを用いる場合、その表面は、たとえばクロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキなどのメッキ処理が施されていてもよい。また、押圧ロールの表面は、鏡面であってもよいし、精度よく転写する必要がなければ、エンボスなどの任意の凹凸が施された転写面となっていてもよい。
上記第一押圧ロールまたは第二押圧ロールの表面に金属製の転写型が備えられ、第一押圧工程において連続樹脂シートの表面に第一押圧ロールまたは第二押圧ロール表面に備えられた転写型が転写されて、表面形状転写樹脂シートが製造される。なお、転写型を備えた押圧ロールを転写ロールともいう。上記転写型は、第一押圧ロールまたは第二押圧ロール表面のいずれか、または第一押圧ロールと第二押圧ロールの両方の表面に備えられることが好ましい。
<転写型>
上記転写型は、上記転写ロール表面に備えられ、連続樹脂シートの表面に押し当てられ、その表面形状を逆型として連続樹脂シートに転写するものである。転写型は、転写ロール表面に設けられた複数の凹部または凸部からなり、凹部または凸部のピッチ間隔は、転写型の作製が容易であることから通常10μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上である。また、その上限は特に限定されないが、通常、500μm以下、好ましくは250μm以下である。
また、凹部の溝深さ、または凸部の頂部高さは、転写型の作製の点から30μm〜1500μmであるが、この範囲に限定されるものではない。
転写型の凹部のピッチ間隔に対する溝深さの比率(溝深さ/ピッチ間隔)または凸部のピッチ間隔に対する頂部高さの比率(頂部高さ/ピッチ間隔)は、樹脂として結晶化温度ピークの幅が9℃以下である結晶性高分子樹脂を用いているので、上記比率を1以上、さらには1.2以上としても好適な転写を行なうことが可能である。この転写型の凹部のピッチ間隔に対する溝深さの比率(溝深さ/ピッチ間隔)または凸部のピッチ間隔に対する頂部高さの比率(頂部高さ/ピッチ間隔)は、通常5以下、好ましくは3以下である。上記比率が1未満であっても転写を行なうことは可能であるが、上記比率が1以上の場合、さらには1.2以上の場合に本発明の効果が顕著である。
図1は転写型表面の一例であって、断面形状がV字(三角形)の転写型の表面断面図である。図1においては、断面形状の頂部および凹部または凸部の断面形状全体がV字(三角形)となっている。図1に示すように、転写型には複数の凹部または凸部が設けられており、凹部または凸部のピッチ間隔(P)とは隣接する凹部の溝部間の距離(図1中、P1)または隣接する凸部の頂部間の距離(図1中、P2)をいい、凹部の溝深さ(H)とは転写ロール表面から凹部の最深部までの垂直距離をいい、凸部の頂部高さは、凸部底面から転写ロール表面までの垂直距離をいい、図1では凹部の溝深さ(H)と同様である。
断面形状の頂部がV字(三角形)である場合、該三角形の頂角は10°〜100°とすることができる。頂角は10°〜90°の範囲であってもよい。本発明においては、樹脂として結晶化温度ピークの幅が9℃以下である結晶性高分子樹脂を用いるので、三角形の頂角が10°である微細な転写型を用いた場合であっても、精度よく転写を行なうことができ、得られたシートの表面形状は転写型とほぼ等しいものである。
また、上記転写型の形状としては、図1に示すようなV字の断面形状を有するものに限らず、たとえば図8に示すような略半円形状である略半円凹部(略半円凹み)の溝や、たとえば図11に示すようなV字溝−曲面複合形状である直線11により形成されるV字(三角形)の頂角および曲面状の辺12を有する凹部の溝を例示することができる。図8において、ピッチ間隔(P)は図1と同様に、隣接する凹部の溝部間の距離をいい、凹部の溝深さ(H)とは転写ロール表面から凹部の最深部までの垂直距離をいう。また、略半円凹部の溝を反転したような略半円凸部も転写型の形状に含まれる。転写型を略半円凸部とする場合は、ピッチ間隔は隣接する凸部の頂部間の距離をいい、凸部の頂部高さとは、凸部底面から転写ロール表面までの垂直距離をいう。上記略半円とは、図8に示すように、断面が半円弧状である形状に限定されるものではなく、たとえば図9に示すシリンドリカルレンズのように、円柱体をその軸線に平行であって、該軸線を含まない平面で切断した場合の断面のいずれかの弧状である形状であってもよいし、或いは断面が半楕円弧状や、該半楕円弧状の一部である扁平湾曲状等の形状であってもよい。上記「略半円凹部」または「略半円凸部」とは、このような略半円形状の断面の凹部または凸部をも含むものとする。
図11において、ピッチ間隔(P)は図1と同様に、隣接する凹部の溝部間の距離または隣接する凸部の頂部間の距離をいい、凹部の溝深さ(H)とは転写ロール表面から凹部の最深部までの垂直距離をいう。また、凸部の頂部高さは、凸部底面から転写ロール表面までの垂直距離をいい、凹部の溝深さ(H)と同じ距離である。上記V字溝−曲面複合形状とは、たとえば図12に示すように、断面が直線11により形成されるV字(三角形)の頂角および曲面状の辺12からなる斜面を有していれば、該曲面を含む円柱体の軸線を含まない平面で切断した場合の断面のいずれかの形状であってもよい。ここでいう曲面とは、円弧状の一部、または楕円弧状の一部であってもよいし、楕円弧状以外の曲線からなる形状であってもよい。上記「V字溝−曲面複合形状凹部」とは、このような略V字溝−曲面複合形状の断面の凹部をも含むものとする。また、凹部または凸部の形状には、図11のように直線部分を含まず、図13に示されるように曲線13が交差して形成される形状の溝も含まれる。
また、転写型における各凹部または各凸部は、図1に示されるように連続して設けたり、図8および図11に示すように任意の間隔dをあけて平行に設ける場合がある。これら凹部の間隔または凸部の間隔は得られるシート用途により選択する。なお、本発明において上記転写型におけるピッチ間隔(P)および溝深さ(H)または頂部高さは、転写型全体で必ずしも一定ではなく、部分的に隣接する凹部間または凸部間で異なる形状である場合も含まれるものとする。また、上記V字凹みの溝が反転したV字凸部、略半円凹みの溝が反転した略半円凸部を備える場合も本発明の範囲に含まれる。上記間隔dは得られるシートの用途により任意に設定すればよいが、本発明においては樹脂として結晶化温度ピークの幅が9℃以下である結晶性高分子樹脂を用いるので、上記間隔dが10μm以下、または間隔dが設けられないような微細な転写型であっても転写率や製造効率のよい表面形状転写樹脂シートの製造方法とすることができる。
上記転写型の作製方法としては、公知の方法を採用することができ、上記ステンレス鋼、鉄鋼などからなる転写ロールの表面に、たとえばクロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキなどのメッキ処理を施した後に、そのメッキ面に対してダイヤモンドバイトや金属砥石等を用いた除去加工や、レーザー加工や、またはケミカルエッチングを行ない、形状を加工する方法が例示されるが、これらの方法に限定されるものではない。
また、転写ロールの表面は、上記転写型を形成した後に、たとえば表面形状の精度を損なわないレベルで、クロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキなどのメッキ処理を施してもよい。
<搬送工程>
本発明において、上記第一押圧工程の後に、搬送工程を含んでもよい。搬送工程は、連続樹脂シートを第二押圧ロールに密着させた状態で、第二押圧ロールの回転に従って搬送する工程である。このような工程は、上記の図4および図5の説明に示すような上記押圧ロール5の他に、連続樹脂シートを第二押圧ロールに密着させておくためのガイドロール(タッチロール)を設けた装置を用いればよい(図示せず)。なお、上記搬送工程を含む場合は、転写型は第二押圧ロールの表面に備えることが好ましい。第二押圧ロールに転写型を備え、かつ連続樹脂シートを第二押圧ロールに密着させたまま搬送することにより、熱による型崩れを抑制または排除することができる。
連続樹脂シートは、上記第一押圧工程および搬送工程において、押圧ロールに接することによる冷却や、外気との接触による冷却によって、ダイから押し出された加熱溶融状態よりも温度が低下する。このように加熱溶融状態よりも温度が低下した状態で、連続樹脂シートは搬送され、任意で次の第二押圧工程に供される。なお、押圧ロールは、温度調節機能を備え、所望の温度に調節可能であることが望ましい。
<第二押圧工程>
本発明の製造方法には、上記搬送工程の後にさらに第二押圧工程を含む態様も含まれる。第二押圧工程では、上記搬送された連続樹脂シート2が、図6および図7に示されるように、第二押圧ロール5bと第三押圧ロール5cとに挟み込まれ押圧される。上記連続樹脂シート2は、この第二押圧工程において、第二押圧ロール5bと第三押圧ロール5cとで再度押圧され、第二押圧ロールから剥離し、第三押圧ロールに密着し、今度は転写ロールの回転に従って搬送される。
<予圧工程>
本発明の製造方法には、上記シート製造工程と上記第一押圧工程との間に予圧工程を備える態様を含む。予圧工程は、第一押圧工程の前に、シート製造工程においてダイより押し出され形成された連続樹脂シートを、図10に示すように、予圧ロール10aと上記第一押圧ロール10bとの間に挟み込み、その後上記第一押圧ロール10bに密着させたまま搬送する工程である。予圧工程後に、連続樹脂シートは上記第一工程に供され、第一押圧ロール10bと第二押圧ロール10cとにより押圧されて、たとえば第二押圧ロールに備えられた転写型6の表面形状が転写される。このような予圧工程を含むことによって、連続樹脂シートの厚みを調整したり、連続樹脂シートが転写型に接触する際の樹脂の温度を調整することができる。このような厚みの調整は、予圧ロールと第一押圧ロールとの間隔により行ない、温度の調整はたとえばロール径の変更による搬送距離の調整により行なうことができる。
<その他の工程>
上記シート製造工程と上記第一押圧工程とを備える限り、本発明には上記各工程の他に、得られた表面形状転写樹脂シートを所望の大きさに切断する工程や、切断面を研磨する工程など、公知の付加的な工程を含めてもよい。
上記のように、本発明においては第一押圧工程において転写ロールの表面形状(転写型)を連続樹脂シートに転写することにより、目的の表面形状転写樹脂シートを製造することができる。得られた表面形状転写樹脂シートは通常、さらに冷却されたのち枚葉に切断されて、たとえば液晶表示装置を構成するプリズムシートなどとして用いられる。また、樹脂として光拡散剤が添加されたものを用いた場合には、表面に形状が転写された光拡散板として好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<原材料>
本実施例および比較例においては、連続樹脂シートを形成させるために以下の樹脂(原材料)を用いた。なお、下記のエチレン単位含有量は、高分子ハンドブック(1995年、日本分析化学会高分子分析研究懇談会編集)に開示された13C−NMR法にしたがい測定した値である。また、結晶性高分子樹脂C1〜C3について、それぞれX線回折測定を行なったところ、いずれからも結晶性のピークが確認された。また、結晶性高分子樹脂C1〜C3と造核剤の各ブレンド物である結晶性高分子樹脂の融点、結晶化温度、および結晶化温度ピークの幅は、下記条件における示差走査熱量測定の結果である。
(DSC測定条件)
サイクル1:室温25℃から190℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱ピーク温度を測定し、この温度を融点とした。
サイクル2:190℃で5分間保持した。
サイクル3:190℃から室温25℃まで降温速度10℃/分で降温し、発熱ピーク温度を測定し、この温度を結晶化温度とした。
この発熱ピークについて、発熱ピークの値の半分の値(半値)となるときの温度を、結晶化温度の前後2点について算出した。この2点の半値温度の差を、結晶化温度ピークの幅と定義した。なお、発熱ピークの値および半値は、いずれも発熱ピークが存在しないときのベースラインをゼロとした発熱量として計算した。
結晶性高分子樹脂C1:プロピレン−エチレンランダム共重合樹脂(住友化学(株)製、D101、プロピレン単位含有量99質量%以上、エチレン単位含有量0.2〜0.3質量%)
結晶性高分子樹脂C2:プロピレン−エチレンランダム共重合樹脂(住友化学(株)製、W101、プロピレン単位含有量99重量%以上、エチレン単位含有量0.2質量%未満)
結晶性高分子樹脂C3:プロピレン−エチレンランダム共重合樹脂(住友化学(株)製、FH3315、プロピレン単位含有量98質量%、エチレン単位含有量3.0〜3.4質量%)
造核剤1:環状脂肪族カルボン酸金属塩系造核剤(Milliken社製、商品名「ハイパーフォームEXP20」)
造核剤2:ソルビトール系造核剤(Milliken社製、商品名「NX8000」)
<転写型>
下記表1において、P、H、Θは、図11に示す転写型に施されているV字溝−曲面複合形状凹み溝(以下、凹み溝Aとする)のレプリカの断面形状の各距離または角度を示し、「ピッチ間隔P」は転写型の隣接する凹みの溝部間距離(P)、「溝深さH」は凹みの最深(頂角)部までの垂直距離、「Θ」は凹みの断面形状の頂点の角度(頂角)を示す。上記凹み溝Aは、V字溝−曲面複合形状凹みであり、図11に示すように各凹みの溝部が、間隔d=2μmをあけて、平行に等間隔(ピッチ間隔P)で構成されている。図11に示されるレプリカは、得られるシートの形状の反転形状である。
また、表2には、各実施例および比較例の製造条件および得られた表面形状転写樹脂シートの形状転写率T(%)を示す。形状転写率T(%)は、以下の式(1)で定義する。式(1)において、成形シートの断面形状の凹みの溝深さは、得られた表面形状転写樹脂シートの凹みの最大溝深さの実測値である。なお、凸部形状の場合は、凹部溝深さを凸部頂部高さに置き換えて同様に求めることができる。
形状転写率T(%)=成形シートの断面形状の凹みの溝深さ/レプリカの断面形状の凹みの溝深さH×100・・・(1)
Figure 2011037132
(実施例1)
100重量部の結晶性高分子樹脂C1と、0.10重量部の造核剤1とをドライブレンドした後、スクリュー径40mmの押出機に供給して210℃〜260℃で溶融混練し、フィードブロックおよび幅250mmのTダイを経由してTダイ温度245℃〜260℃でシート状に押出して連続樹脂シートを製造した。この押出された連続樹脂シートを、表面にクロムメッキを施した鏡面冷却ロールである第一押圧ロール(図6中、5a)と表面に転写型6を備えた第二押圧ロール(図6中、5b)とで挟持(押圧)して、各押圧ロールの回転により順次搬送しながら連続樹脂シートの表面に転写型を転写させた。その後、この連続樹脂シートを第二押圧ロールに密着させた状態で搬送して、次いで第二押圧ロール(図6中、5b)と表面にクロムメッキを施した鏡面ロールである第三押圧ロール(図6中、5c)とで挟持(押圧)して、各押圧ロールの回転により順次搬送して、その後、引き取りロール(図示せず)で引き取り、表面形状転写樹脂シートを得た。表面形状転写樹脂シートの製造条件、シート厚み、および形状転写率T(%)を表2に示す。
なお、上記ドライブレンドした結晶性高分子樹脂C1と造核剤1とのブレンド物の融点は164.6℃であり、結晶化温度は125.4℃であり、結晶化温度ピークの幅は5.9℃であった。また、結晶性高分子樹脂C1のメルトフローレイト(MFR)は1.3g/10min.であった。MFRはJIS K 7210(1999)に準じて測定し、測定条件は、加熱温度を230℃とし、荷重を3.8kgとして行なった。また、上記第二押圧ロールの表面には、表面形状が図11および表1に示すV字溝−曲面複合形状の凹み溝Aである転写型が設けられており、転写型の上にクロムメッキが施されている。また、第一押圧ロール5aおよび第三押圧ロール5cの表面温度は、それぞれ103℃、110℃に設定し、V字溝−曲面複合形状の凹み溝Aである転写型をその表面に設けた第二押圧ロール5b(転写ロール)の表面温度は119℃に設定した。
(実施例2〜4)
引取速度とロール温度の押出条件を変えた以外は、実施例1と同様の方法により、表面形状転写樹脂シートを得た。表面形状転写樹脂シートの製造条件、シート厚み、および形状転写率T(%)を表2に示す。
(実施例5)
100重量部の結晶性高分子樹脂C1と、0.10重量部の造核剤1とをドライブレンドした後、スクリュー径40mmの押出機に供給して210℃〜260℃で溶融混練し、フィードブロックおよび幅250mmのTダイを経由してTダイ温度245℃〜260℃でシート状に押出して連続樹脂シートを製造した。この押出された連続樹脂シートを、表面にクロムメッキを施した鏡面冷却ロールである予圧ロール(図10中、10a)と表面にクロムメッキを施した鏡面ロールである第一押圧ロール(図10中、10b)とで挟持(押圧)して、各押圧ロールの回転により順次搬送し、その後、この連続樹脂シートを第一押圧ロールに密着させた状態で搬送して、次いで第一押圧ロールと表面に転写型6を備えた第二押圧ロール(図10中、10c)とで挟持(押圧)して、各押圧ロールの回転により順次搬送して、その後、引き取りロール(図示せず)で引き取り、表面形状転写樹脂シートを得た。表面形状転写樹脂シートの製造条件、シート厚み、および形状転写率T(%)を表2に示す。
なお、上記ドライブレンドした結晶性高分子樹脂C1と造核剤1とのブレンド物の融点は164.6℃であり、結晶化温度は125.4℃であり、結晶化温度ピークの幅は5.9℃であった。また、結晶性高分子樹脂C1のメルトフローレイト(MFR)は1.3g/10min.であった。MFRはJIS K 7210(1999)に準じて測定し、測定条件は、加熱温度を230℃とし、荷重を3.8kgとして行なった。また、上記第二押圧ロールの表面には、表面形状が図11に示すV字溝−曲面複合形状凹み溝Aである転写型が設けられており、転写型の上にクロムメッキが施されている。また、予圧ロール10aおよび第一押圧ロール10bの表面温度は、それぞれ103℃、106℃に設定し、凹み溝Aである転写型をその表面に設けた第二押圧ロール10c(転写ロール)の表面温度は110℃に設定した。
(実施例6)
引取速度とロール温度の押出条件を変えた以外は、実施例5と同様の方法により、表面形状転写樹脂シートを得た。表面形状転写樹脂シートの製造条件、シート厚み、および形状転写率T(%)を表2に示す。
(実施例7)
100重量部の結晶性高分子樹脂C2と、0.10重量部の造核剤1とをドライブレンドした後、スクリュー径40mmの押出機に供給して210℃〜260℃で溶融混練し、フィードブロックおよび幅250mmのTダイを経由してTダイ温度245℃〜260℃でシート状に押出して連続樹脂シートを製造した。この押出された連続樹脂シートを、表面にクロムメッキを施した鏡面冷却ロールである第一押圧ロール(図6中、5a)と表面に転写型6を備えた第二押圧ロール(図6中、5b)とで挟持(押圧)して、各押圧ロールの回転により順次搬送しながら連続樹脂シートの表面に転写型を転写させた。その後、この連続樹脂シートを第二押圧ロールに密着させた状態で搬送して、次いで第二押圧ロール(図6中、5b)と表面にクロムメッキを施した鏡面ロールである第三押圧ロール(図6中、5c)とで挟持(押圧)して、各押圧ロールの回転により順次搬送して、その後、引き取りロール(図示せず)で引き取り、表面形状転写樹脂シートを得た。表面形状転写樹脂シートの製造条件、シート厚み、および形状転写率T(%)を表2に示す。
なお、上記ドライブレンドした結晶性高分子樹脂C2と造核剤1とのブレンド物の融点は167.0℃であり、結晶化温度は126.8℃であり、結晶化温度ピークの幅は5.8℃であった。また、結晶性高分子樹脂C2のメルトフローレイト(MFR)は22.4g/10min.であった。MFRはJIS K 7210(1999)に準じて測定し、測定条件は、加熱温度を230℃とし、荷重を3.8kgとして行なった。また、第一押圧ロール5aおよび第三押圧ロール5cの表面温度は、それぞれ93℃、110℃に設定し、V字溝−曲面複合形状凹み溝Aである転写型をその表面に設けた第二押圧ロール5b(転写ロール)の表面温度は115℃に設定した。
(実施例8〜10)
引取速度とロール温度の押出条件を変えた以外は、実施例7と同様の方法により、表面形状転写樹脂シートを得た。表面形状転写樹脂シートの製造条件、シート厚み、および形状転写率T(%)を表2に示す。
(比較例1)
100重量部の結晶性高分子樹脂C3と、0.50重量部の造核剤2とをドライブレンドした後、スクリュー径40mmの押出機に供給して210℃〜260℃で溶融混練し、フィードブロックおよび幅250mmのTダイを経由してTダイ温度245℃〜260℃でシート状に押出して連続樹脂シートを製造した。この押出された連続樹脂シートを、表面にクロムメッキを施した鏡面冷却ロールである第一押圧ロール(図6中、5a)と表面に転写型を備えた第二押圧ロール(図6中、5b)とで挟持(押圧)して、各押圧ロールの回転により順次搬送しながら連続樹脂シートの表面に転写型を転写させた。その後、この連続樹脂シートを第二押圧ロールに密着させた状態で搬送して、次いで第二押圧ロール(図6中、5b)と表面にクロムメッキを施した鏡面ロールである第三押圧ロール(図6中、5c)とで挟持(押圧)して、各押圧ロールの回転により順次搬送して、その後、引き取りロール(図示せず)で引き取り、表面形状転写樹脂シートを得た。表面形状転写樹脂シートの製造条件、シート厚み、および形状転写率T(%)を表2に示す。
なお、上記ドライブレンドした結晶性高分子樹脂C3と造核剤2とのブレンド物の融点は148.9℃であり、結晶化温度は119.1℃であり、結晶化温度ピークの幅は11.0℃であった。また、結晶性高分子樹脂C3のメルトフローレイト(MFR)は6.2g/10min.であった。MFRはJIS K 7210(1999)に準じて測定し、測定条件は、加熱温度を230℃とし、荷重を3.8kgとして行なった。また、第一押圧ロール5aおよび第三押圧ロール5cの表面温度は、それぞれ97℃、108℃に設定し、V字溝−曲面複合形状凹み溝Aである転写型をその表面に設けた第二押圧ロール5b(転写ロール)の表面温度は103℃に設定した。
(比較例2〜4)
引取速度とロール温度の押出条件を変えた以外は、比較例1と同様の方法により、表面形状転写樹脂シートを得た。表面形状転写樹脂シートの製造条件、シート厚み、および形状転写率T(%)を表2に示す。
Figure 2011037132
表2の結果から明らかなように、樹脂が結晶化温度ピークの幅が9℃以下である結晶性高分子樹脂である本発明の表面形状転写樹脂シートの製造方法によれば、形状転写率の非常に高い表面形状転写樹脂シートを製造することができる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の製造方法により製造される表面形状転写樹脂シートは、その転写型を適宜選択することで、光拡散版などとして好適に用いることができる。
1 転写型表面、2 連続樹脂シート、3 樹脂投入口、4 ダイ、5,10 押圧ロール、5a,10b 第一押圧ロール、5b,10c 第二押圧ロール、5c 第三押圧ロール、6 転写型、7 押出機、8 シリンドリカルレンズ、10c 予圧ロール。

Claims (7)

  1. 樹脂を加熱溶融状態でダイから連続的に押し出して連続樹脂シートを製造するシート製造工程と、
    前記連続樹脂シートを第一押圧ロールと第二押圧ロールとで挟み込む第一押圧工程とを含み、
    前記第一押圧ロールまたは前記第二押圧ロールのいずれかの表面に金属製の転写型を備え、
    前記転写型は、複数の凹部または凸部を有し、該凹部または該凸部のピッチ間隔が10μm〜500μmであり、該凹部の溝深さまたは該凸部の頂部高さは30μm〜1500μmであり、該凹部のピッチ間隔に対する該溝深さの比率、または該凸部のピッチ間隔に対する該凸部の頂部高さの比率が1以上であり、
    前記第一押圧工程において、前記連続樹脂シートの表面に前記第一押圧ロールまたは前記第二押圧ロール表面に備えた前記転写型が転写され、
    前記樹脂は、結晶化温度ピークの幅が9℃以下である結晶性高分子樹脂であることを特徴とする表面形状転写樹脂シートの製造方法。
  2. 前記第一押圧工程の後に、転写型が転写された前記連続樹脂シートを前記第二押圧ロールに密着させたまま搬送する搬送工程をさらに含み、
    前記転写型は前記第二押圧ロールの表面に備えられる請求項1に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
  3. 前記搬送工程の後に、搬送された前記連続樹脂シートを前記第二押圧ロールと第三押圧ロールとで挟み込む第二押圧工程をさらに含む請求項2に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
  4. 前記第一押圧工程の前に前記連続樹脂シートを予圧ロールと前記第一押圧ロールとの間に挟み込み、前記第一押圧ロールに密着させたまま搬送する予圧工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
  5. 前記結晶性高分子樹脂は、重合体中のプロピレン単位含有量が75〜100質量%、エチレン単位含有量が0〜25質量%、1−ブテン単位含有量が0〜25質量%であるプロピレン重合体を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
  6. 前記結晶性高分子樹脂は、造核剤を含有する請求項5に記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
  7. 前記凹部または前記凸部は、その断面形状の頂部が三角形であり、該三角形の頂角が10°〜100°である請求項1〜6のいずれかに記載の表面形状転写樹脂シートの製造方法。
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