JP2011037011A - 焼結樹脂製シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結により得られた成型体を刃物を用いて薄切りにしてシート材とするものにあって、負荷が繰返して作用した際の耐久性を向上させる。
【解決手段】粒状のフッ素樹脂材料を、成形型内で加圧焼結して成型体を得る焼結工程P1を実行し、次に、円柱状の成型体を切断刃を用いて薄切り(スカイブ)してシート材とする切断工程P2を実行する。シート材を円形に打抜いた後、打抜かれたシート材(フッ素樹脂シート)の裏面側に、加硫成型によりゴム層を接合する接合工程P3を実行する。この後、フッ素樹脂シートの表面に対して、粒子を高速で吹付けて平坦化するブラスト処理工程P4を実行する。これにより、クラック発生の原因となる表面のツールマークを消すことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばフッ素樹脂や超高分子量ポリエチレン樹脂等の、粒状の樹脂材料を成形型内で加圧焼結した成型体を、刃物を用いて薄切りにしてシート材とするようにした焼結樹脂製シートの製造方法に関する。
例えば塗料や薬品などを移送(圧送)するためのポンプとして、安全性を重視したエア駆動式の複動型のダイアフラムポンプが知られている(例えば特許文献1参照)。この種のダイアフラムポンプは、ポンプ室に臨むように配置されたダイアフラムを、所定のストロークで往復動することにより、ポンプ室への流体の吸入、吐出が繰返されるようになっている。このとき、上記ダイアフラムとしては、耐薬品性に優れたフッ素樹脂製シートの裏面側に、補強用繊維によって補強された薄板状をなすゴム材を配して構成されたものが供されている。
この場合、フッ素樹脂製のシートは、例えば射出成型や押出成型といった一般的な合成樹脂において用いられる成型方法による成形が不可能な事情がある。そのため、上記ダイアフラムに用いるフッ素樹脂製のシートを製造するには、図4に示すように、まず、ペレット状のフッ素樹脂材料1を成形型4内で加圧状態で焼結して円柱状の成型体2を得、その成型体2の外周面に切断刃7を宛がい、いわば「大根の桂剥き」の如く、薄切り(スカイブ)していく方法が採用されている(図4(a)〜(c))。
特開2003−239866号公報
ところで、上記したような製造方法により得られたフッ素樹脂製のシート材3は、図4(d)に示すように、表面に、ツールマークTといわれる切断刃7の痕が、程度の大小はあるものの平行な筋となって残ることが知られている。
一方、上記のようなダイアフラムポンプにあっては、ダイアフラムと同軸上にエアシリンダ(或いは第2のダイアフラム)を組込んで、ダイアフラムを駆動するシャフトに対して、駆動エアによる駆動力に加えて機械的なアシスト力を付与するようにしたものが考えられている。この種のダイアフラムポンプでは、駆動用の高圧エアの入力圧力を1としたときに、2:1或いは3:1の圧力比率(ポンプ比率)で流体の吐出圧力を得ることができる。
ところが、そのようにポンプ比率を2:1或いは3:1としたダイアフラムポンプでは、ダイアフラムの内外両面側の圧力比率が、2:1或いは3:1となるので、ダイアフラムに大きな負荷が繰返して作用する事情がある。上記したフッ素樹脂製のシート材3からなるダイアフラムに、そのような大きな負荷が繰返して作用すると、表面のツールマークTがクラックに成長し、比較的短時間で破損してしまう不具合があった。特に、流体が有機溶剤等である場合には、有機溶剤がクラックを通して裏面側のゴム層にまで侵入し、ダイアフラムが早期に(例えば数時間程度で)破れてしまう不具合を招くことになる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、焼結により得られた成型体を刃物を用いて薄切りにしてシート材とするものにあって、負荷が繰返して作用した際の耐久性を向上することができる焼結樹脂製シートの製造方法を提供するにある。
焼結により得られた成型体を、刃物を用いて薄切りにしてシート材とするようにした焼結樹脂製シートにおいては、シート材の表面にツールマークと呼ばれる刃物の痕つまり平行な筋状の凹凸が生じていることが、負荷が繰返して作用した際のクラック発生等の原因となっていると考えられる。従って、切断の工程においてシート材の表面に生じたツールマークを、その後の処理によって、容易に消すことができれば、実使用時においてツールマークがクラックに成長することを抑制し、上記目的を達成することができる。
本発明の焼結樹脂製シートの製造方法は、粒状の樹脂材料を成形型内で加圧焼結して成型体を得る焼結工程と、前記成型体を刃物を用いて薄切りにしてシート材とする切断工程と、前記シート材の表面を平坦化する平坦化工程とを含むところに特徴を有する(請求項1の発明)。これによれば、切断工程において得られたシート材に対し、平坦化工程が実行されることにより、シート材の表面が全体として平坦化され、これにより、シート材の表面に生じていたツールマークを消すことができる、或いはツールマークが残っていてもその凹凸の度合を緩やかなものとすることができる。
より具体的には、上記平坦化工程を、前記シート材の表面に対し粒子を高速で吹付けるブラスト処理により行うことができる(請求項2の発明)。これによれば、ブラスト処理により、シート材の表面に生じていたツールマークのうち凸状の部分が潰されるようにしてシート材の表面を全体として平坦化することができる。この場合、ブラスト処理は、比較的安価な装置で簡単に行うことができ、工程の複雑化やコストアップを抑制することができる。
またこのとき、前記切断工程により得られたシート材の一方の面に対し、別の部材を接合する接合工程を実行する場合には、平坦化工程の後にその接合工程を実行することも可能であるが、その接合工程後に、平坦化工程を前記シート材の他方の面に対して実行する方が好ましい(請求項3の発明)。接合工程が、シート材を加圧、加熱しながら行われるものである場合には、接合工程中に、シート材の他方の面の一定の平坦化が図られることが期待でき、順序を逆にした場合と比べて、その後の平坦化工程をより短時間で効率的に行うことが可能となる。また、平坦化工程の実行前であれば、ツールマークの凹凸によって別の部材との間の接合性がより良好となることも期待できる。
或いは、上記平坦化工程を、前記シート材を加熱しながら加圧する熱プレス処理により行うようにしても良い(請求項4の発明)。これによれば、シート材の表面部分を構成する材料が熱により軟化した状態でプレスされることによって、シート材の表面に生じていたツールマークの凹凸を均すようにして表面全体を平坦化することができる。この場合も、熱プレスという比較的簡単な処理により、平坦化工程を実行することができ、シート材の両面に対して一括して平坦化することも可能となる。
本発明の焼結樹脂製シートの製造方法によれば、焼結により得られた成型体を刃物を用いて薄切りにしてシート材とするものにあって、切断工程後に、シート材の表面を平坦化する平坦化工程を実行することにより、シート材の表面に形成されたツールマークを消すことができ、負荷が繰返して作用した際のクラックの発生ひいては破損等を抑制して耐久性を向上することができるという優れた効果を奏する。
本発明の第1の実施例を示すもので、ダイアフラムの製造工程を示す図 ダイアフラムの縦断面図 ダイアフラムポンプの内部構成を概略的に示す縦断面図 樹脂材料をシート材とするまでの製造工程を順に示す図 ブラスト処理を実行している様子を模式的に示す図 本発明の第2の実施例を示す図1相当図
(1)第1の実施例
以下、本発明を、フッ素樹脂シートを主体として構成されるダイアフラムの製造に適用した第1の実施例について、図1ないし図5を参照しながら説明する。尚、詳しくは後述するが、本実施例において製造されるダイアフラム11,11´は、焼結樹脂製シートとしてのフッ素樹脂シート12を主体として構成されている。このダイアフラム11,11´は、例えば、塗装システムの一部を構成するダイアフラムポンプ21に用いられるようになっている。
詳しく図示はしないが、塗装システムは、スプレーガン等の塗装装置、塗料供給源、この塗料供給源の塗料(あるいはシンナ等の洗浄液)を前記塗装装置に向けて圧送するエア駆動式の複動型のダイアフラムポンプ21(図3参照)、ダイアフラムポンプ21に駆動用の高圧エアを供給するエア供給機構等を備えて構成される。図3は、駆動用の高圧エアの入力圧力に対し、3:1の圧力比率(ポンプ比率)で流体の吐出圧力を得ることができるアシスト機構付きのダイアフラムポンプ21の構成を概略的に示している。このダイアフラムポンプ21の構成について簡単に述べる。
即ち、ダイアフラムポンプ21のハウジング(ボディ)22は、軸を左右方向に向けた円筒(ドラム)状の外形を有しており、その左右両端部分に、第1及び第2のポンプ室23,23′が左右対称的に設けられる。なお、第2のポンプ室23′における第1のポンプ室23と同等の部材(部位)には、共通の数字に「′」を付した符号とする。
前記第1のポンプ室23は、ハウジング22の左壁部に設けられ内面中央部に円形凹状部24aを有するフランジ部24と、その右側に前記円形凹状部24aを塞ぐように設けられる円板状のダイアフラム11とにより形成される。一方、前記第2のポンプ室23′は、ハウジング22の右壁部に設けられ内面中央部に円形凹状部24a´を有するフランジ部24´と、その左側に前記円形凹状部24a´を塞ぐように設けられる円板状のダイアフラム11´とにより形成される。このとき、ダイアフラム11の中心部は、ハウジング22内を左右方向に延びるシャフト25の左端部に連結され、該シャフト25の右端部がダイアフラム11´の中心部に連結されている。ダイアフラム11,11´の詳細については後述する。
また、ハウジング22の図で左側面部には、マニホールド26が取付けられている。このマニホールド26は、上下方向に延びる液体通路27を有していると共に、その液体通路27の下端部には、バルブシート、バルブボール、スプリング等を備える逆止弁からなる吸入弁28が組込まれ、液体通路27の上端部には、同様の逆止弁からなる吐出弁29が組込まれている。前記液体通路27の途中部と、前記フランジ部24の円形凹状部24a(第1のポンプ室23)と間は、出入口穴27aによって連通されている。
さらに、前記マニホールド26(液体通路27)の下端には、前記ハウジング22の下部を左右方向に延びる吸込パイプ30の左端部が接続されており、マニホールド26(液体通路27)の上端には、ハウジング22の上部を左右方向に延びる吐出パイプ31の左端部が接続されている。前記吸込パイプ30の左端部には吸込口30aが下向きに設けられ、また、前記吐出パイプ31の左端部には吐出口31aが上向きに設けられている。図示はしないが、吸込口30aは、管路を介して塗料供給源に接続され、吐出口31aは、管路を介して塗装装置に接続される。
これにより、シャフト25によってダイアフラム11が図で右方に変位すると、第1のポンプ室23の容積が増大して負圧となり、吸入弁28が開放(吐出弁29は閉塞)して吸込口30a(吸込パイプ30)から液体(塗料や洗浄液)を第1のポンプ室23内に吸込む吸入工程が行われる。これに対し、シャフト25によってダイアフラム11が図で左方に変位すると、第1のポンプ室23内の液体が押出され、吐出弁29が開放(吸入弁28は閉塞)して吐出口31a(吐出パイプ31)に向けて液体(塗料や洗浄液)を吐出する吐出工程が行われる。
一方、前記第2のポンプ室23′においても、ハウジング22の図で右側面部には、マニホールド26´が取付けられている。このマニホールド26´は、やはり同様に、液体通路27´、吸入弁28´及び吐出弁29´等を有し、前記液体通路27´の途中部と、前記フランジ部24´の円形凹状部24a´(第2のポンプ室23´)と間は、出入口穴27a´によって連通されている。液体通路27′の下端部が、前記吸込パイプ30の右端部に接続され、液体通路27′の上端部が前記吐出パイプ31の右端部に接続されている。
そして、ハウジング22内には、右寄り部位に位置して、前記シャフト25を所定のストロークで左右方向に往復駆動するエア駆動機構32が設けられると共に、その左側に位置して、アシスト用のシリンダ33が設けられている。このシリンダ33内には、前記シャフト25の途中部に連結されたエアピストン34が設けられている。
これにて、ダイアフラム11,ダイアフラム11′及びシャフト25が図で左右方向に所定のストロークで一体的に往復動し、一方のポンプ室23,23´が吸入工程にあるときに、他方のポンプ室23′,23が吐出工程となることが、交互に繰返され、もって連続的な液体の圧送が行われるのである。このとき、エアピストン34によるアシスト力の付加によって、駆動用の高圧エアの入力圧力に対し、3:1の圧力比率で流体の吐出圧力を得ることができるようになっている。
さて、前記ダイアフラム11.11´について述べる。これらダイアフラム11.11´は左右対称的に設けられるだけで、同一部品であるため、以下、ダイアフラム11を代表させて述べる。図2に示すように、ダイアフラム11は、全体としてほぼ円板状をなし、表面側に、例えばPTFEからなるフッ素樹脂シート12を有し、そのフッ素樹脂シート12の裏面側に、別の部材としてのNBR製のゴム層14を一体的に接合して構成されている。
また、前記ゴム層14内の中間層部分には、例えばナイロン製の薄い布からなる繊維製補強材13が埋め込まれるように設けられている。このとき、焼結樹脂製シートとしてのフッ素樹脂シート12は、後述する製造方法により製造される円形薄板状のフッ素樹脂製のシート材3から構成されている。このシート材3は、厚み寸法が例えば1mm〜1.5mm程度とされている。
さらに、前記ゴム層14の裏面側中央部には、取付用のディスク15が埋め込まれた形態で設けられていると共に、そのディスク15の裏面中心部に、六角穴付きの止めネジ16が固着され裏面側に突出している。このダイアフラム11は、その外周側部分が表裏両面から挟まれた形態で、ダイアフラムポンプ21のハウジング22内に組付けられ、このとき、前記止めネジ16によって前記シャフト25に連結される。
次に、本実施例における、上記ダイアフラム11(フッ素樹脂シート12)の製造方法について、図1、図4、図5も参照して述べる。図1は、本実施例におけるフッ素樹脂シート12(シート材3)及びダイアフラム11の製造工程を概略的に示している。即ち、ダイアフラム11を製造するにあたっては、焼結工程P1、切断工程P2、接合工程P3、平坦化工程としてのブラスト処理工程P4が、順に実行される。
そのうち焼結工程P1及び切断工程P2は、フッ素樹脂(例えばPTFE)製のシート材3を製造する工程であり、図4に示すようにして実行される。即ち、まず、焼結工程P1では、図4(a)に示すように、粒状(ペレット状)のフッ素樹脂材料1を、成形型4内で加圧焼結して成型体2を得ることが行われる。このとき、成形型4は、円筒状のキャビティ5aを有する下型(固定型)5、この下型5に対して上方から接離すると共にキャビティ5a内のフッ素樹脂材料1を加圧する上型(可動型)6、それらを加熱するヒータ(図示せず)などを備えている。
この焼結工程P1の実行により、図4(b)に示すように、フッ素樹脂材料からなる円柱状の成型体2が得られる。次の切断工程P2では、前記円柱状の成型体2を、刃物である切断刃7を用いて薄切りにすることが行われる。具体的には、図4(c)に示すように、その成型体2の外周面に、切断刃7をその刃先の延びる方向が軸方向に平行(平行に近い角度)になるようにして宛がい、いわば「大根の桂剥き」の如く、薄切り(スカイブ)していく方法が採用される。
この切断工程P2によって、フッ素樹脂製の薄板状のシート材3が得られる。このとき、図4(d)に示すように、シート材3の表面(両面)には、程度の大小はあるものの、ツールマークTといわれる切断刃7の痕(凹凸)が、切断刃7の相対的進行方向に延びる平行な筋状となって残ることが知られている。
このシート材3は、連続した長尺なものとなっているので、図示はしないが、切断工程P2の後に、シート材3を、プレス装置を用いて円形状に打抜くことが行われると共に、そのプレスによって、フッ素樹脂シート12の最終形状(面方向に対して凹凸を有したやや立体的な形状)に近くなるようにいわばクセが付けられた状態とされる。
次の接合工程P3では、前記打抜かれたシート材3(フッ素樹脂シート12)の裏面側に、別部材としてのゴム層14を接合し、ダイアフラム11を得ることが行われる。図示はしないが、この接合工程P3では、例えば、ダイアフラム11の外形形状(止めネジ16を除く)に対応したキャビティを有した成形型が用いられる。ダイアフラム11を得る(ゴム層14を接合する)にあたっては、その成形型内に、前記打抜かれたシート材3(フッ素樹脂シート12)、繊維製補強材13、取付用のディスク15を配置した状態で、ゴム材料(NBR)を加硫成型する。これにより、いわばインサート成形が行われ、フッ素樹脂シート12の一方の面である裏面側に、繊維製補強材13を埋込んだゴム層14が一体的に接合され、また、ゴム層14内に取付用ディスク15が埋込まれたダイアフラム11が得られるのである。
最後に、前記フッ素樹脂シート12の表面(シート材3の他方の面)を平坦化する平坦化工程としてのブラスト処理工程P4が実行される。このブラスト処理工程P4では、例えば図5に示すような、ブラスト処理装置(ブラストガン)8が用いられる。周知のように、このブラスト処理装置8は、セラミック或いは金属等の研磨用の粒子9を、圧縮空気により混合しながら搬送し、先端のノズル8aから高速で噴射させるように構成されており、本実施例では、ダイアフラム11のフッ素樹脂シート12の表面に対し、粒子9が高速で吹付けられる。
このブラスト処理工程P4により、ダイアフラム11のフッ素樹脂シート12の表面に生じていたツールマークTのうち凸状の部分が潰されるようにして、フッ素樹脂シート12の表面全体が平坦化され、これにより、フッ素樹脂シート12表面のツールマークを消すことができる。或いはツールマークが残っていてもその凹凸の度合を緩やかなものとすることができる。
以上のようにして製造されたダイアフラム11(フッ素樹脂シート12)は、上記したポンプ比率を3:1としたダイアフラムポンプ21に用いられるのであるが、ダイアフラム11の表裏両面側に作用する圧力の比率が、3:1となるので、ダイアフラム11に大きな負荷が繰返して作用する事情がある。
ここで、従来例で述べたように、もし、ダイアフラム11を構成するフッ素樹脂シート12の表面にツールマークTが残ったままであるとすると、ダイアフラム11に負荷が繰返して作用することによって、フッ素樹脂シート12表面のツールマークTがクラックに成長し、比較的短時間で破損してしまう虞がある。特に、圧送すべき流体がシンナ等の有機溶剤である場合には、有機溶剤がそのクラックを通して裏面側のゴム層14にまで侵入し、ダイアフラム11が早期に(例えば数時間程度で)破れてしまう不具合を招くことになる。
ところが、本実施例のダイアフラム11(フッ素樹脂シート12)においては、切断工程P2においてシート材3の表面に生じたクラック発生の原因となるツールマークTを、ブラスト処理工程P4を経ることにより、容易に消す(或いは凹凸度合を緩やかにする)ことができ、この結果、ツールマークTがクラックに成長することを抑制して耐久性の大幅な向上を図ることができたのである。ちなみに、本発明者らの実験によれば、上記ブラスト処理工程P4を実行しない従来のダイアフラムにあっては、有機溶剤の圧送時において、数時間程度で破れが発生したが、本実施例のダイアフラム11では、数百時間の寿命が得られることが確認されている。
このように本実施例によれば、フッ素樹脂材料1の加圧焼結により得られた成型体2を切断刃7を用いて薄切りにしてシート材3(フッ素樹脂シート12)とするようにしたダイアフラムの製造方法にあって、切断工程P2においてシート材3(フッ素樹脂シート12)の表面にツールマークTの発生が避け得ないものであったとしても、その後のブラスト処理工程P4によって、フッ素樹脂シート12の表面を全体として平坦化することができる。従って、フッ素樹脂シート12表面のツールマークTを消すことができ、ダイアフラム11に負荷が繰返して作用した際のクラックの発生ひいては破損等の不具合を防止して、耐久性を向上することができるという優れた効果を奏する。
また、特に本実施例では、平坦化工程として、ブラスト装置8を用いたブラスト処理を採用するようにしたので、平坦化工程を比較的安価な装置で簡単且つ確実に行うことができ、工程の複雑化やコストアップを抑制することができる。更に、特に本実施例では、ブラスト処理工程(平坦化工程)P4を、接合工程P3の後に実行するようにしたので、接合工程P3中に、シート材3の他方の面の一定の平坦化が図られることが期待でき、それらの順序を逆にした場合と比べて、その後の平坦化工程P4をより短時間で効率的に行うことが可能となる。また、平坦化工程P4の実行前であれば、ツールマークTの凹凸によって別の部材(ゴム層14)との間の接合性がより良好となることも期待できる。
(2)第2の実施例、その他の実施例
図6は、本発明の第2の実施例を示すもので、焼結樹脂製シートとしての、例えば単体のフッ素樹脂シートを製造する工程を示している。この第2の実施例では、上記第1の実施例と同様に、まず、粒状(ペレット状)のフッ素樹脂(PTFE)材料1を、成形型4内で加圧焼結して成型体2を得る焼結工程P1が実行され、次に、円柱状の成型体2を切断刃7を用いて薄切り(スカイブ)して、フッ素樹脂製の薄板状のシート材3とする切断工程P2が実行される。
そして、その切断工程P2の後に、得られたシート材3の表面を平坦化する平坦化工程としての熱プレス処理工程P5を実行する点が、上記第1の実施例と異なっている。この熱プレス処理工程P5は、前記シート材3を、プレス装置により、加熱しながら加圧することにより行われ、この場合、加熱温度としては、PTFEの分解(昇華)温度が、約350℃であるのに対し、それよりやや低い温度、例えば300℃程度とされる。この熱プレス処理工程P5の実行により、シート材3の表面部分を構成する材料が熱により軟化した状態でプレスされることによって、シート材3の表面に生じていたツールマークTの凹凸を均すようにして表面全体を平坦化することができる。
従って、この第2の実施例においても、フッ素樹脂材料1の加圧焼結により得られた成型体2を切断刃7を用いて薄切りにしてシート材3とするようにした製造方法にあって、クラック発生の原因となるツールマークTを、熱プレス処理工程P5を経ることにより、容易に消す(或いは凹凸度合を緩やかにする)ことができ、この結果、シート材3に比較的大きな負荷が作用しても、ツールマークTがクラックに成長することを抑制して耐久性の大幅な向上を図ることができるという優れた効果を奏する。
この場合、平坦化工程としての熱プレス処理工程P5を採用したので、平坦化工程を比較的安価な装置で簡単且つ確実に行うことができ、工程の複雑化やコストアップを抑制することができる。しかも、シート材3の両面に対し、一括して(同時)に平坦化工程を実行することができる。
尚、上記各実施例では、切断工程P2として、円柱状の成型体2をいわば「大根の桂剥き」の如く薄切り(スカイブ)していく場合を例示したが、切断工程としては、円柱状の成型体2をいわば輪切り状に切断(スライス)するものであっても良く、その後の平坦化工程によって同様にツールマークを消すことができる。また、上記第1の実施例では、接合工程として、シート材3を成形型内に配置してゴムの加硫成型を行う場合を例としたが、例えばシート材3と、別部材(異なる材料のシート等)とを接着剤によって貼合せるものであっても良い。シート材3単独でも利用できることは勿論である。
さらに、成形型内で加圧焼結する樹脂材料としては、フッ素樹脂(PTFE)に限らず、PTFE以外の他のフッ素樹脂であっても良く、また、超高分子量ポリエチレン樹脂などであっても良い。樹脂材料中に、フィラー等の添加剤が含まれていても良い。熱プレス処理の加熱温度などについては、樹脂材料の種類等によって適宜設定すれば良いことは勿論である。その他、本発明に製造方法により製造される焼結樹脂製シート(シート材)は、ダイアフラムポンプ21用のダイアフラム11に限らず、各種の用途に利用することができる等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
図面中、1は樹脂材料、2は成型体、3はシート材、4は成形型、7は切断刃(刃物)、8はブラスト装置、9は粒子、11はダイアフラム、12はフッ素樹脂シート(焼結樹脂製シート)、14はゴム層(別の部材)、Tはツールマークを示す。

Claims (4)

  1. 粒状の樹脂材料を成形型内で加圧焼結して成型体を得る焼結工程と、
    前記成型体を、刃物を用いて薄切りにしてシート材とする切断工程と、
    前記シート材の表面を平坦化する平坦化工程とを含むことを特徴とする焼結樹脂製シートの製造方法。
  2. 前記平坦化工程は、前記シート材の表面に対し粒子を高速で吹付けるブラスト処理により行われることを特徴とする請求項1記載の焼結樹脂製シートの製造方法。
  3. 前記切断工程により得られたシート材の一方の面に対し、別の部材を接合する接合工程を実行すると共に、
    前記平坦化工程は、前記接合工程後に、前記シート材の他方の面に対して実行されることを特徴とする請求項1または2記載の焼結樹脂製シートの製造方法。
  4. 前記平坦化工程は、前記シート材を加熱しながら加圧する熱プレス処理により行われることを特徴とする請求項1記載の焼結樹脂製シートの製造方法。
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