JP2011036508A - 緩衝パーツ並びにこのものがソール部に組み込まれた履物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 可撓性を有するケーシング2と、このケーシング2の内部に収容され、主に緩衝機能材として機能する超変形吸振体3とを具えて成るものであり、前記ケーシング2は、少なくともその一部が開口されて成り、緩衝パーツ1の支承面21としての上面側に加えられる圧縮荷重を、荷重方向とほぼ直交する方向への超変形吸振体3の膨らみ変形として逃がす変形許容部構造4を具えて成り、且つ前記ケーシング2は、支承面21またはその対向面22のいずれか一方または双方に複数の凸部23が形成されて成り、荷重支承時において前記凸部23による誘導変形を生起させるように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
これらの特許文献で開示された緩衝パーツは、熱可塑性樹脂製の柔軟なケーシング(チューブ)の内部にゲル状の緩衝機能材を充填した状態で、ケーシングの両端を封止したものであり、このような構造に因み、緩衝資材を汎用的なものとし得る点で相応の効果を奏している。しかしながら、この種の緩衝資材やこれを装着した履物にあっては、以下のような点でまだ改良の余地があった。
ところで、この種の緩衝資材や履物にあっては、常に緩衝性能の拡充が求められ、且つまた、より一層の低コスト化も併せて要求されており、本出願人も、この種の緩衝パーツや履物について更なる機能性の向上等を探究し、鋭意、研究・開発を継続していた。
特に着地時の緩衝性を考慮した場合、緩衝パーツの素材を柔軟なものとすれば垂直方向の衝撃保護という点では良好であるものの、水平方向での荷重ポイントのブレが生じ易く、不安定になりがちであったため、この点において改善が求められていた。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として、前記課題の解決が図られる。
また、例えばケーシングの端部において超変形吸振体が突出変形する場合には、この突出変形を外観目視させることにより、ユーザに緩衝パーツが組み込まれていること、つまり履物が有する高い緩衝性能を、より強くアピールすることができる。
更にまた履物に加わった圧縮荷重を、緩衝パーツによって超変形吸振体の膨らみ変形として逃がすため、単に衝撃を吸収するだけでなく、超変形吸振体の膨らみ方(変形)を制御することにより、衝撃力の弱め方をコントロールすることができる。
更にまた本発明の緩衝パーツは、超変形吸振体の膨らみ変形によって衝撃を吸収・緩和するため、チューブが完全潰れを起こすまで緩衝性能をコントロールすることができ、また緩衝特性そのものも適宜設定することができるものである。
更にまた本発明の緩衝パーツは、荷重によって誘導変形するものであるため、ケーシングの形態に応じて、踵等を包み込むように保護したり、荷重ポイントのブレを抑えたり、荷重ポイントの偏移を誘導すること等が可能となる。
以下、本発明の緩衝パーツ1について詳しく説明すると、このものは、一例として図3(a)(b)に示すように、両端部が開口(開放)され全体的に自由に撓み得る中空状のケーシング2と、この内部に収容され主に緩衝機能材としての作用を担う超変形吸振体3とを具えて成るものである。そしてこの超変形吸振体3は、履物Sに加えられる圧縮荷重(衝撃)等を吸収・緩和するとともに、圧縮荷重が除去された際には、初期付与形状(無負荷の状態)に復元するものである。
もちろん、どんな過少な圧縮荷重であっても、即、超変形吸振体3が膨らみ変形を起こすものではなく、ある一定以上の圧縮荷重が掛かった場合に、膨らみ変形が生じるものである(圧縮荷重の掛かり方や、緩衝パーツ1のどの部位に圧縮荷重が作用するか等によっても異なる)。
はじめに前記ケーシング2は、少なくともその一部(一方の端部)が開口されて成り、緩衝パーツ1の上面(支承面21)側に加えられる圧縮荷重を、荷重方向とほぼ直交する方向への超変形吸振体3の膨らみ変形として逃がす変形許容部構造4を構成することができる形状となっている。
またケーシング2には、支承面21またはその対向面22のいずれか一方または双方に複数の凸部23が形成されて成り、荷重支承時において前記凸部23による誘導変形が生起するように構成されている
ここで前記ケーシング2は請求項2で定義されたように、前記ケーシング2の対向面22には、緩衝パーツ1が受入空間36に収容された状態で、この受入空間36上面に接地する接地凸部23a、23cと、前記受入空間36上面に接地しない浮上凸部23bとが形成され、前記浮上凸部23bが接地する際に、支承面21の誘導変形を生起させるように構成されたものである。
なお本明細書において「接地」とは、受入空間36の上面に浮上凸部23bが接触することを意味し、「着地」とは、履物Sが地面に接触することを意味するものとする。
またケーシング2の形状は請求項7で定義されたように、超変形吸振体3の収容空間が区画されていない単一の空間として形成されたものとすることもできるが、これについては後程説明する。
またケーシング2の寸法は、一例として幅寸法が50〜60mm程度、奥行き寸法が30〜40mm、高さ寸法(最大値)が15〜30mm程度、肉厚(外皮厚)は0.2〜0.5mm程度とした。
なおここでは緩衝パーツ1を製造するにあたり、超変形吸振体3とケーシング2とを溶融状態で同時に押し出す「同時押出成形」(押出硬化成型)によって形成することを想定しているため、上記ケーシング2の素材は、超変形吸振体3との硬度差を少なくでき、同時押出成形が行い易い点でも好ましい。特に上記素材は後述する超変形吸振体3との固着性が優れた素材であるため、安定した緩衝性能を維持することができる。更に外観目視させる場合にも、耐久性が優れているため好ましい素材であると言える。
なおケーシング2の伸び率は、後述する超変形吸振体3の伸び率に応じて適宜選択されるものであるが、100%以上とすることが好ましく、更に好ましくは300%以上とする。
因みに、超変形吸振体3について、本明細書で記述する伸び率は、JIS K6251 (加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方)に準拠して測定した数値であり、測定にあたってはダンベル型の規定形状の試料(本願ではダンベル3号を使用)を引張試験機で引張り、元の長さに対してどのくらい伸びたかを求めたものである。
具体的には、前記超変形吸振体3は、ケーシング2よりも高い伸び率を有するものであって、例えば500%以上の伸び率、好ましくは1000%以上の伸び率が望ましく、またアスカーC硬度が0〜60を有するゲル状のポリエチレン(オレフィン)系エラストマーもしくはスチレン系エラストマー素材が適用される。
なおこのような素材としては、一例として株式会社リケンテクノス社製のスチレン系エラストマーゲルが挙げられる。
因みにケーシング2及び超変形吸振体3の伸び率を上述した値とすることにより、緩衝パーツ1に対して圧力が加わった際に、丁度良い具合にケーシング2が直径方向に広がり、変形許容部構造4からの超変形吸振体3の膨出等を好適な状態とすることができる。
なお後程詳しく説明するが、同時押出成形によって緩衝パーツ1を製造する場合には、押出速度や材料温度を調節することにより、上記境界面を自然に固着することができる。
このように、超変形吸振体3がケーシング2に固着されたときには、これらの境界面は、密着して常に動かず、そのため圧縮荷重を受けて緩衝パーツ1が変形しても(潰れても)、境界面は元の位置が固定されたまま、例えば超変形吸振体3の端部のみが軸方向に延びるように突出変形を起こすものである。
なお押出成形時の押出速度や材料温度を調節することにより、ケーシング2と超変形吸振体3とが固着しないで密着しただけの状態としたり、容易に引き剥がすことができる程度に僅かに一部が固着した状態とすることもできる。
更にケーシング2と超変形吸振体3とが固着しないで密着しただけの状態としたり、容易に引き剥がすことができる程度に僅かに一部が固着した状態とした場合には、常に強圧が掛かる個所では超変形吸振体3の変形に加え、超変形吸振体3のケーシング2に対する移動(ズレ)により緩衝することができる。一方、弱圧しか掛からない個所では、超変形吸振体3の変形により緩衝するようにすればよい。
また、スポーツシューズ等にあっては、対象スポーツ等によって、踵部に掛かった衝撃をどの方向に逃がすのか設定したい場合がある。例えばランニングシューズの場合には、踵部に掛かる衝撃を吸収・緩和しながら、これをその後の蹴り出し動作につなげるように(シューズを履いた人がスムーズに次なる蹴り出し動作に移れるように)、踵部に掛かった荷重をトゥ側(つま先側)に逃がすことが考慮される。
より具体的には、図2及び図3(c)に示すように、アウターベース32aに凹陥状の受入空間36が形成され、ここに緩衝パーツ1が収容される。なお受入空間36は、変形許容部構造4が構成できるように、ケーシング2の開口部に面する個所に遊び空間ができるように設定される。
またこの実施例で示す緩衝パーツ1は、荷重支承時(衝撃吸収時)において支承面21に誘導変形を生起させるように構成されたものであり、この誘導変形が所望の方向に行われるように考慮したうえで、受入空間36内に設置される。
図4(a)は、足が上がって履物Sが非着地状態であって、緩衝パーツ1が略無負荷の状態を示すものである。このとき緩衝パーツ1は略原形状態となっており、更に二個の接地凸部23a、23cが受入空間36の底面に接触した状態であり、且つ浮上凸部23bが受入空間36の底面に非接触状態となっている。
このように緩衝パーツ1においては、接地凸部23a、23cでの超変形吸振体3の圧縮変形が起こるよりも前に、支承面21が下方に撓むような変形が起こるものであり、このような誘導変形はケーシング2の形状に因んで生起されるものである。
なお当然ながら緩衝パーツ1の支承面21は、ミッドベース32b、インナーベース32c及びインナーソール33を介在させた状態で踵と接するものである。
やがてある一定以上の圧縮荷重が掛かると、ケーシング2が略完全潰れ状態となり、このとき変形許容部構造4において超変形吸振体3が膨らみ変形を起こすものであり、図3(c)に仮想線で示すようにケーシング2の端部から張り出すように突出する。このため圧縮荷重を、荷重方向とほぼ直交する方向への超変形吸振体3の膨らみ変形として逃がすことにより、緩衝性能が発揮されることとなる。
また、蹴り上げ動作が終了すると圧縮荷重が除去されることとなり、超変形吸振体3は図4(a)に示すように容易に元の状態に復元するものであり、ケーシング2の端部から張り出すように突出していた部分は再びケーシング2内に収まることとなる。
図5に示すグラフは、緩衝パーツ1に圧縮荷重を加えて行った際の緩衝特性を示すグラフであり、縦軸は緩衝パーツ1の「見掛け硬さ」を示し、横軸は緩衝パーツ1の断面方向での「潰れ度合い」を示している。ここで、「見掛け硬さ」とは、適用素材(部材)そのものの硬度とは異なるものであり、無負荷時の状態の緩衝資材の硬さ(見掛け硬さ)を0と仮定して示している。また、「潰れ度合い」とは、緩衝資材の特定断面(例えば圧縮荷重が最も大きく作用する断面)において考慮した場合の、断面方向の潰れ度合い(潰れ量)を示すものである。
このようにこの実施例で示す本発明の緩衝パーツ1は、潰れ度合いの変化に対する見掛け硬さの変化の割合が、少なくとも三段階の異なる値を示す、段階的な緩衝作用を奏するものである。
このような特性からも、本発明の緩衝パーツ1は、見掛け硬さが急激に増加するc点に至るまでの間に、支承面21が踵を広範囲に渡って包み込むような状態で変形することとなるため、踵部に掛かる衝撃を一点に集中することなく、踵部全域に分散させるとともに、支承面21に掛かる荷重をその全域に分散することが理解できる。
なお、本発明の緩衝パーツ1では、圧縮荷重がある程度までに至ると、ケーシング2の端部から超変形吸振体3が突出変形するが、実際に、どの程度の圧縮荷重が掛かった際に突出変形が起こるかは、荷重の掛かり方や、ケーシング2や超変形吸振体3の素材、緩衝パーツ1の断面形状や全体構造などにより異なるものである。
次に本発明の緩衝パーツ1を製造する方法の一例について説明する。
なお、ここでは溶融した樹脂原料を金型から押し出す押出成形を適用するものであり、特に、超変形吸振体3がケーシング2の内部に収容される構造であることに因み、超変形吸振体3の外側からケーシング2の溶融原料を同時に押し出して硬化させることにより、緩衝パーツ1を製造するものである。
まず押出機6aは、原料となるペレット状の樹脂を溶融し、これを金型6b内に送り込むものであって、一例として略筒状を成す押出機本体61に対して、樹脂原料の投入口となるホッパ62と、ホッパ62から本体内に供給された樹脂原料を加熱、溶融するヒータ(図示略)と、溶融した原料をその回転力で金型6bに押し込むスクリュー63とを具えて成るものである。
なお、ここでは、押出機6aを少なくとも二基用いるものであり、これはケーシング2内に超変形吸振体3を収容した構造を採ることに起因する。つまりケーシング2用の樹脂を送り込む押出機6aと、超変形吸振体3用の樹脂を送り込む押出機6aとを具備するものである。
なお、同じ金型6bを使用しても、例えば前記スクリュー63の回転速度を調整すること等により、溶融樹脂の押込圧力を制御し、ケーシング2や超変形吸振体3の肉厚を変化させることができる。更には、部分的に超変形吸振体3のみの送り込みを停止させることもでき、これにより図9(c)に示したようなフリー空間11を有した緩衝パーツ1を押出成形で製造することができる。
成形機6cは、冷却槽65を具え、この中で金型6b(フォーミングダイ64)から押し出された成形品(緩衝パーツ1)を冷却し、押出成形品の形状を安定化させるものである。
また引取機6dは、前記冷却槽65(成形機6c)を通過した長尺状の成形品を引き出すものであって、例えば上下一対で回転するローラベルトによって成形品を挟み込んで引き取るものである。なお、引取機6dは、溶融樹脂が金型6bに送り込まれてから成形されるまでの一連の過程、すなわち押出機6a、金型6b、成形機6c(冷却槽65)をスムーズに経由するように、その引取力(引抜力)が調整される。このため、押出機6aから金型6bに送り込まれた溶融樹脂が、金型6bによって賦形され、その後、冷却槽65(成形機6c)で形状の安定化が図られ、引取機6dに至るまでの流れが安定して行えるものである。
因みに、図10(e)に示したような、一方の端部のみに小孔13が開口された緩衝パーツ1を得るには、真っ直ぐカットを行う際、二回に一回の割合で、端部を潰しながらカットすることで上記緩衝パーツ1が得られるものである。
また、緩衝パーツ1を馬蹄形の湾曲状態で履物Sに装着するのであれば、組み付け段階でストレート状の緩衝パーツ1を初めて曲げるのではなく、製造段階で押出成形品に曲げ癖を付与しておくことが好ましく、これには例えば上述したように押出成形時に緩衝パーツ1の断面における肉厚を異ならせて成形を行うものであり、これに適宜以下の手法を適用することが好ましい。すなわち、肉厚差を設けた押出成形に加え、予め金型6b(フォーミングダイ64)を適宜のR状に形成しておき、長尺状の押出成形品に適宜のR付けを行ったり、あるいはストレート状に成形した押出成形品を、肉厚の薄い方を内側とするように巻き取り(適宜冷却することが可能)、巻き癖を付ける手法等が採用できる。
また、このような同時押出成形では、ケーシング2と超変形吸振体3との境界面を自然に固着することができるため、別途、固着する工程が不要となり、製造工程全体を簡略化できる。
次いで本発明の緩衝パーツ1の形態を異ならせた種々の実施例について説明する。
図7にケーシング2の種々の形状例を示すものであり、図7(a)(d)(f)(g)(h)(i)に示したものは、請求項7で定義されたように、超変形吸振体3の収容空間が単一の空間として形成されたものである。
一方、図7(b)(c)(e)に示したものは、請求項8で定義されるとともに基本となる実施例(図3)で示したものと同様に、超変形吸振体3の収容空間が複数に区画されたものである。
具体的には図7(c)に示したケーシング2は、個々の凸部23の間を隔壁16によって区画し、更に接地凸部23a、23c内を仕切壁17によって二つの空間に区画するとともに、それぞれの空間に独立した状態で超変形吸振体3が収容されるようにしたものである。
また図7(e)に示したケーシング2は、個々の凸部23の間を隔壁16によって区画し、個々の凸部23(接地凸部23a、、浮上凸部23b)内に独立した状態で超変形吸振体3が収容されるようにしたものである。なおこの図7(e)に示した接地凸部23a、23cは、詳しくは後述するが、それ自体の変形によって緩衝性能を発揮することができる形状とされている。
また図7(b)に示したケーシング2は、浮上凸部23b内に収容される超変形吸振体3が、その両側の接地凸部23a、23c内にも位置するように形成されたものであり、更に接地凸部23a、23c内は仕切壁17によって区画され、ここに他の超変形吸振体3が収容されるようにしたものである。
また図7(i)に示したケーシング2は、高さ寸法が最も短い凸部23を浮上凸部23bとし、その左右に同じ高さ寸法の凸部23を配置するとともに、右側の凸部23の更に右側に、高さ寸法が最も高い凸部23を配置して、これを接地凸部23cとしたものである。なおこの実施例では、受入空間36に段差を設けることにより、左端の凸部23を接地凸部23aとして機能させ、接地凸部23aと接地凸部23cとの間にある二つの凸部23を浮上凸部23bとして機能させるようにした。
まず図3に示した基本となる実施例では、凸部23の形状を紡錘状としたが、凸部23の形状を、それ自体が緩衝性能を発揮することができる形状とすることができる。
具体的には図8(a)に示すように、凸部23を蛇腹状に形成することも可能である。これは、緩衝パーツ1が圧縮荷重を受けた際、この圧縮荷重に抗することなく緩衝パーツ1が素直に潰れるように意図したものであり、超変形吸振体3が具備している高い緩衝性能をよりダイレクトに発揮させたい場合に好適な実施例と言える。
また、凸部23の断面を紡錘形とした場合であっても、例えば図8(b)(図7(c)も同様)に示すように、その内部(断面)を上下に二等分するような仕切壁17を形成し、この上下空間に異なった超変形吸振体3を収容することも可能である。
逆に言えば、例えば図8(f′)に示すように、ケーシング2の支承面21の内側を平坦なままにした場合には、支承面21の外側に塗布された接着剤ADが、緩衝パーツ1を通して外観目視され易いため(図中の破線参照)、履物Sとしてのデザイン的な見栄えが著しく低下することが懸念されるものである。
なお、変形許容部構造4における超変形吸振体3の膨らみ変形としては、上述した基本となる実施例または図9(a)に示すように、ケーシング2の端部から外部に必ずしも突出するものだけではなく、突出しない変形(はみ出ない変形)も含むものである。すなわち、例えば図9(b)に示すように、超変形吸振体3の両端部を最初から凹陥状態に形成したような場合には、圧縮荷重を受けて超変形吸振体3が外方への膨らみ変形を起こしても、この変形が最初の凹陥状態を補う状態となるだけで(埋める合わせるような状態になるだけで)、外観的には超変形吸振体3がケーシング2の端部から外部に何も突出していないかのような状態を呈するものである。
なお、上記図9(a)では、圧縮荷重が掛かった際に、緩衝パーツ1の中央部が凹むように図示したが、これはパーツ中央部に圧縮荷重が集中的に作用したことを示すものではなく、あくまでも緩衝パーツ1に荷重が掛かったことを概略的に示したに過ぎずない。
まず、上記図9(a)に示した実施例は、緩衝パーツ1(ケーシング2)の両端を双方とも軸方向にほぼ垂直にカットし、同じ開口面積(開口部の断面積)を有するように形成したものである。従って、この場合、緩衝パーツ1に均等に圧縮荷重が作用すれば、圧縮荷重による超変形吸振体3の突出変形も両サイドで同じように生じ、衝撃(圧縮荷重)も緩衝パーツ1の両側にほぼ均等に逃がすことになる。
なお、このような傾斜カットを全カット工程において同じ傾斜角度で行った場合には、例えば図10(g)に示すように、側面から視て平行四辺形状の緩衝パーツ1が得られるのである。また一回のカット工程毎に傾斜角度を交互に変えて傾斜カットを行った場合には、例えば図10(h)に示すように、側面から視て台形状(等脚台形状)の緩衝パーツ1が得られるものである(ただし、図10(g)、(h)は、両端部の開口面積が同じであるため、どちらの端部に、より多くの荷重を逃がすという思想はない)。
具体的には、例えば基本となる実施例(図3)で示した緩衝パーツ1を、図12(a)に示すように受入空間36内に上下逆に設置したものが該当するものであり、この場合、図3中の支承面21が対向面22として機能し、図3中の対向面22が支承面21として機能することとなる。
そして図12(b)に示すように、支承面21に荷重が掛かった際には、中央の凸部231に負荷が掛かっていない状態で、その両側の凸部232、233に負荷が掛かり、凸部231が浮き上がる方向に撓むような誘導変形が、対向面22側に生起する。このため、凸部232、233の下方の対向面22を受入空間36(ソール30)に対して食い付かせるように密着させることができ、着地時の水平方向での荷重ポイントのブレを効果的に抑え、安定性を向上することができる。
すなわち着地の際には踵に荷重が掛かるため、踵を両側から包み込むようなケーシング2の変形が好ましかった。一方、蹴り出し時においては母指球付近からつま先にむけて荷重点が移動することとなるため、緩衝パーツ1を、母指球付近を、長手方向から包み込むような支承面21の誘導変形が行われるものとすることにより、蹴り出し時の荷重を効果的に分散することができるものである。
このための構成は、請求項5で定義されるように、前記凸部23の軸25(重心ライン)を偏芯させることにより、誘導変形を生起させるように構成することによって実現されるものである。
具体的には一例として図14(a)に示ように、浮上凸部23bの軸25bの傾斜方向と、その両側に形成される接地凸部23a、23cの軸25a、25cの傾斜方向とを異ならせるものである。この場合、着地時には浮上凸部23bが下方に沈み込み、支承面21が母指球を包み込むように変形しつつ、接地凸部23a、23cが圧縮変形するものでり、この際、軸25a、25cは鉛直方向に対して偏芯しているため、図14(a)で示す実施例では緩衝パーツ1は右側に推移することとなる。やがて浮上凸部23bが接地すると、接地凸部23a、23cと浮上凸部23bとの双方が圧縮変形するものであり、この際、浮上凸部23bの軸25bは接地凸部23a、23cの軸25a、25cとは逆方向に偏芯しているため、緩衝パーツ1の右側への推移を止めるような力が作用することとなり、緩衝パーツ1の過度のズレを防止することができる。
因みに前記緩衝パーツ1のズレ(推移)を、履物Sの装着者の足からソール30に掛かる荷重の位置を変位・誘導することに積極的に活用するもできる。
具体的には図14(b)に示ように、接地凸部23a、23cの軸25a、25cを側面視でハの字形となるように偏芯させることにより、着地時には浮上凸部23bが下方に沈み込み、支承面21が踵等を包み込むように変形しつつ、接地凸部23a、23cが圧縮変形するものでり、この際接地凸部23a、23c内の超変形吸振体3が浮上凸部23b内に遅れて流入するような動きが見られることとなり、底付き感(着地感)がしんわりとした緩衝が行われるものである。
具体的には図14(c)に示すように、複数設けられた接地凸部23a、23c、23d、23eの軸25a、25c、25d、25eを側面視で順次傾斜角度を異ならせて設定することにより、 緩衝緩衝パーツ1部位毎の変形態様を異ならせ、履物Sの装着者の足からソール30に掛かる荷重の位置を変位・誘導することもできる。
更に凸部23を支承面21及び対向面22の双方に設けるとともに、軸25の偏芯具合を適宜選択することにより、緩衝パーツ1の変形及びこの変形に伴う荷重誘導を所望のものとすることができる。
11 フリー空間
12 エア通路
13 小孔
16 隔壁
17 仕切壁
18 空洞部
19 保持部材
2 ケーシング
21 支承面
22 対向面
23 凸部
23a 接地凸部
23b 浮上凸部
23c 接地凸部
231 凸部
232 凸部
233 凸部
25 軸
3 超変形吸振体
30 ソール
31 アウターソール
32 ミッドソール
32a アウターベース
32b ミッドベース
32c インナーベース
33 インナーソール
36 受入空間
39 当接面
4 変形許容部構造
6 押出成形機
6a 押出機
6b 金型
6c 成形機
6d 引取機
6e 切断機
61 押出機本体
62 ホッパ
63 スクリュー
64 フォーミングダイ(ダイス)
65 冷却槽
66 カッタ
AD 接着剤
S 履物
P 印刷
Claims (9)
- 履物のソールに組み込まれる緩衝パーツであって、この緩衝パーツは、可撓性を有するケーシングと、このケーシングの内部に収容され、主に緩衝機能材として機能する超変形吸振体とを具えて成るものであり、前記ケーシングは、少なくともその一部が開口されて成り、緩衝パーツの支承面としての上面側に加えられる圧縮荷重を、荷重方向とほぼ直交する方向への超変形吸振体の膨らみ変形として逃がす変形許容部構造を具えて成り、且つ前記ケーシングは、支承面またはその対向面のいずれか一方または双方に複数の凸部が形成されて成り、荷重支承時において前記凸部による誘導変形を生起させるように構成されていることを特徴とする緩衝パーツ。
- 前記ケーシングの対向面には、緩衝パーツが受入空間に収容された状態で、この受入空間底面に接地する接地凸部と、前記受入空間底面に接地しない浮上凸部とが形成され、前記浮上凸部が接地する際に、支承面の誘導変形を生起させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の緩衝パーツ。
- 潰れ度合いの変化に対する見掛け硬さの変化の割合が、少なくとも三段階の異なる値を示すことを特徴とする請求項2記載の緩衝パーツ。
- 前記ケーシングには、支承面に凸部が形成され、この凸部が変形することにより、対向面に誘導変形を生起させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の緩衝パーツ。
- 前記凸部の軸を偏芯させることにより、誘導変形を生起させるように構成されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の緩衝パーツ。
- 前記ケーシングと超変形吸振体とは、押出硬化成型によって一体形成されたものであることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の緩衝パーツ。
- 前記ケーシングは、超変形吸振体の収容空間が単一の空間として形成されたものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の緩衝パーツ。
- 前記ケーシングは、超変形吸振体の収容空間が複数に区画されたものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の緩衝パーツ。
- 前記請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の緩衝パーツがソール部に組み込まれたことを特徴とする履物。
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