JP2011036501A - 清掃用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】洗浄成分を使用しなくても水に濡らしただけでガスレンジ、IHクッキングヒーター及び電子レンジ等に固着したこげ汚れを十分に取り除くことができるとともに、取り除いた汚れを高度に吸着できる清掃用シートを提供すること。
【解決手段】本発明に係る清掃用シート10は、吸水量が400〜2000g/m2の紙又は不織布からなるシート状の基材1と、基材表面F1に研磨粒子とバインダー用樹脂とを含む塗工剤を塗布してなる塗工剤層3とを備え、塗工剤層3の合計面積は基材表面F1の面積の20〜100%であり且つ塗工剤層3は厚さが0.15〜1.0mmであることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明に係る清掃用シート10は、吸水量が400〜2000g/m2の紙又は不織布からなるシート状の基材1と、基材表面F1に研磨粒子とバインダー用樹脂とを含む塗工剤を塗布してなる塗工剤層3とを備え、塗工剤層3の合計面積は基材表面F1の面積の20〜100%であり且つ塗工剤層3は厚さが0.15〜1.0mmであることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、一般家庭もしくは厨房などで使用される掃除道具に関するものであり、特に、ガスレンジ、IHクッキングヒーター、電子レンジなどに固着したこげ汚れを取り除き、その汚れを吸着させる清掃用シートに関する。
ガスコンロの天板や汁受けリングや五徳、IHクッキングヒーターの天板、電子レンジなどの加熱される部位は、ふきこぼれや油はねなどがこげ汚れとなって固着する。こげ汚れは、台フキンで拭いただけでは落せないことが多く、これを取り除くための掃除用品が製品化されている。
例えば、クレンザーは洗剤成分と研磨剤とを含有したものであり、上記のような固着した汚れを落とすことができる。また、このような汚れを落とすための掃除具として、研磨剤が付いているスポンジも利用されており、付着した汚れが研磨剤によって除去される。シート状の掃除具も知られており、下記特許文献1には、調理器具等に固着した汚れを取り除くための掃除具であって、シート形状の不織布と、これに形成された研磨層とを備える掃除具が記載されている。また、下記特許文献2には、基材シートに含浸された水性洗浄剤と、基材シート表面の繊維集合体に保持固定された研磨粒子とを有する清掃用シートが記載されている。
ところで、クレンザーを使用して掃除する場合、別途、スポンジや布類などを準備する必要がある。また、クレンザーに含まれる洗剤成分と研磨剤で掃除部位が真っ白になり、汚れが落ちたかどうかが判りにくいという不具合がある。更に、ガスコンロ天板やIHクッキングヒーターは、大量の水で一気に洗い流すことができないため、固着した汚れを除去した後、研磨剤と洗剤成分を何度も布やキッチンペーパーで拭取る必要が生じ、大変手間がかかる。食材を調理する場所であり且つすすぎが充分にできない箇所の掃除に、洗剤成分を含むクレンザーは使いたくないといった意見も多く存在する。
研磨剤の付いたスポンジにあっては、手からスポンジに加えた力が分散しやすく、十分に汚れを落とすには力が必要である。しかも、水分を保持しやすいウレタンやセルロールなどの発泡体と一体化されているため、掃除の際に力をいれると、水分が大量に飛び出して落した汚れを周囲に飛び散らし、床や調理台まで汚してしまうケースも少なくない。そのため、掃除には台フキンやキッチンペーパーが何枚も必要で、飛び散った汚れを何度も拭取るといった作業が発生し、大変手間がかかる。
特許文献1,2に記載の掃除具は、上記と同様、取り除いた汚れを台フキンやキッチンペーパーで拭取るといった作業を要する。また、これらの掃除具にあっては、キッチン周りで食物や油が炭化し、ガラス天板等に強固に固着したこげ汚れを十分に落とすことができず、洗浄力の点においても改善の余地がある。これは、研磨剤のモース強度が不十分であることが主因と考えられる。なお、特許文献2に記載の清掃用シートは、クレンザーと同様、洗浄成分を含むものであり、これを十分に取り除くために二度拭きや清め拭きといった作業を強いられる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、洗浄成分を使用しなくても水に濡らしただけでガスレンジ、IHクッキングヒーター及び電子レンジ等に固着したこげ汚れを十分に取り除くことができるとともに、取り除いた汚れを高度に吸着できる清掃用シートを提供することを目的とする。
本発明に係る清掃用シートは、吸水量が400〜2000g/m2の紙又は不織布からなるシート状の基材と、当該基材表面に研磨粒子とバインダー用樹脂とを含む塗工剤を塗布してなる塗工剤層とを備え、基材の一方面に形成された塗工剤層の合計面積は当該一方面の面積の20〜100%であり且つ塗工剤層は厚さが0.15〜1.0mmであることを特徴とする。
上記基材は、密度が100〜500kg/m3であることが好ましい。ここでいう密度とは、JIS P8118に準拠して測定される繊維製基材の密度を意味する。
上記塗工剤が塗布された領域は、塗工剤の含有成分がドメインを形成するように分布していてもよい。すなわち、塗工剤層を形成するにあたり、塗工剤を必ずしも均一に塗布しなくてもよく、塗工剤の含有成分が不均一に分布していてもよい(図3参照)。
上記基材は、0.1〜2.0dtexの繊維を40〜100質量%含有することが好ましい。また、当該基材は、下記式(1)で示される吸水量の変化率が+10%〜−30%であることが好ましい。
変化率(%)=(A−B)/A ×100 …(1)
式中、Aは塗工剤の塗布前における基材の吸水量(単位:g)を示し、Bは塗工剤の塗布後における基材の吸水量(単位:g)をそれぞれ示す。
変化率(%)=(A−B)/A ×100 …(1)
式中、Aは塗工剤の塗布前における基材の吸水量(単位:g)を示し、Bは塗工剤の塗布後における基材の吸水量(単位:g)をそれぞれ示す。
本発明によれば、洗浄成分を使用しなくても水に濡らしただけでガスレンジ、IHクッキングヒーター及び電子レンジ等に固着したこげ汚れを十分に取り除くことができる。また、取り除いた汚れを高度に吸着できるため、二度拭きの手間を十分に軽減できる。
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図1,2に示す清掃用シート10は、固着したこげ汚れを落とすためのものである。清掃用シート10は、研磨粒子とバインダー用樹脂とを含む塗工剤を繊維製基材1の一方の面F1に塗布して塗工剤層3を形成することによって作製される。
繊維製基材1として、紙又は不織布を使用できる。繊維製基材1は、吸水量が400〜2000g/m2であり、好ましくは500〜1500g/m2である。吸水量が上記範囲の基材を使用することで、掃除をする前に清掃用シート10を濡らしたときに程好い水分量とすることができる。この状態で掃除を行うと、取り除いた汚れを布巾などでの二度拭きを必要としない程度にまで吸着できる。繊維製基材1の吸水量が400g/m2未満であると、こげ汚れを十分に吸着できず、これを別の布巾やキッチンペーパーで拭取る作業が必要となる。他方、吸水量が2000g/m2よりも多いと濡れすぎてしまい、掃除した後に水滴残りが多くなり、乾いた布やキッチンペーパーで拭取る手間がかかる。
吸水量が上記範囲の紙や不織布の製法としては、抄紙法、カード法、エアレイ法、ウオーターパンチ法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、スパンボンド法、メルトブロー法等があげられ、これら単独もしくは複数の製法を組み合わせてもよい。これらの中でも、カード法又はウオーターパンチ法及びこれらを組み合わせた製法は、好適な吸水量の基材を製造しやすく好ましい。また、基材1としては、単層構造の紙又は不織布、あるいは、多層構造の紙又は不織布を用いてもよい。
繊維製基材1の密度は100〜500kg/m3であることが好ましく、120〜400kg/m3であることがより好ましい。基材1の密度が上記範囲であると、塗工剤を表面に塗布しやすくなるとともに、吸水量を維持し、こげを容易に吸着することが可能となる。密度が100kg/m3以上の基材1を使用することで、塗工剤を塗布した際、基材1の裏側までもしくはその付近まで研磨粒子が分散することなく、研磨粒子を表面に保持しやすくなり、高いこげ汚れ落とし性能が発現しやすい。他方、密度が500kg/m3以下の基材を使用することで、塗工剤が塗布された領域(塗工剤層3)においても基材1の内部に空隙が維持され、基材1の内部にこげ汚れを取り込みやすく、高い汚れ吸着性能が発現しやすい。
基材1の製造に使用する繊維として、アクリル繊維、アクリル系繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン系繊維、セルロース系繊維などがあげられる。これらの繊度は0.1〜2.0dtexが好ましい。繊度が上記範囲の繊維を使用することにより、繊維の比表面積が十分に大きな値となり、基材1の内部に取り込んだこげ汚れを効率よく吸着することができる。繊度が0.1dtex以上の繊維は、比表面積が十分であるとともに、基材1を掃除に適した強度とすることができる。他方、繊度が2.0dtex以下の繊維は、比表面積が十分である。
基材1は、繊度0.1〜2.0dtexの繊維を40〜100質量%含むことが好ましい。当該繊維の含有量が40質量%以上であると、基材1の内部に取り込んだこげ汚れを吸着するのに十分な比表面積を得ることができる。これに加え、親水性繊維の組成割合に頼ることなく、疎水性繊維においても毛細管現象が発現しやすく吸水量の最適化を行うことができる。
塗工剤層3は、繊維製基材1の表面に、研磨粒子及びバインダー用樹脂を含む塗工剤を塗布することによって形成される。塗工剤層3は、平均厚さが0.15〜1.0mmになるように塗布されていることが必要である。塗工剤層3の平均厚さが0.15mm未満であると、研磨粒子の量が足りず、汚れ落ちが不十分となる。他方、塗工剤層3の平均厚さが1.0mmを超えると、基材1内の空隙が不十分となり、汚れの吸着性能が低下する。これに加え、研磨粒子が厚み方向に分散しやすくなるため、高い汚れ落とし性能を確保するのに比較的多量の研磨粒子を要する。塗工剤層3の厚さは、清掃用シートの断面を顕微鏡にて25倍もしくは50倍の倍率で5点観察し、その平均を算出して求めることができる。
研磨粒子は、公知のものであれば特に限定されず、例えば、研磨粒子としてアルミナ、ケイソウ土、シリカ、炭酸カルシウム、重曹、リン酸カルシウム、ガラスビーズ、樹脂製ビーズ、雲母、炭化ケイ素、ダイヤモンド又は酸化セリウム等を1種又は2種以上含有するものがあげられる。また、研磨粒子の粒径は、5〜600μmが好ましい。使用する研磨粒子は、その硬度とあわせて、被洗浄物の傷付き性などを考慮し、適宜選択することができる。なお、研磨粒子の形状には特に制限はない。
IHクッキングヒーターのガラス天板に採用されている結晶性耐熱ガラスの硬度は、鉛筆硬度(JIS K5600)にて評価した結果、9H以上である。他方、一般家庭における食物や油などが炭化してガラス天板に密着したこげ汚れの硬度は、鉛筆硬度(JIS K5600)にて評価した結果、6Hから9Hであることが多い。このことから、9Hの汚れを落とす研磨粒子(アルミナ、炭化ケイ素、シリカ等)を採用することが好ましい。なお、基材1として、厚さ0.5mm以上であり密度100〜500kg/m3の紙又は不織布を採用することにより、基材1に適度な弾力性を与えることができ傷付きを低減できる。
塗工剤に用いられるバインダーは、公知の接着剤であれば限定されない。スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、PVA樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などがあげられ、それら1種類でも複数種類用いてもよい。これらのなかでも塗布面からもこげ汚れが水分とともにスムーズに基材1の内部に取り込まれ吸着しやすくなるため、親水性が高いバインダーを使用することが好ましい。親水性の高い接着剤としては、PVA樹脂、酢酸ビニル系もしくは酢酸ビニルなどがあげられる。
塗工剤は、ロールコート、グラビアコート、バーコート等のコートなどの手段で基材1に塗布される。塗工剤層3は基材1の一方面全体に均一に塗布するか、あるいは不連続状もしくは連続状のブロック状のパターン(柄)に塗布するなどして形成される。特に、高い汚れ吸着性を達成する観点からは、ブロック状のパターン(柄)を配したものが好ましい(図1参照)。基材1の一方面F1全体に対する塗工剤層3の面積の比率RAは0.2〜1.0であり、好ましくは0.25〜1.0であり、より好ましくは0.3〜0.8である。比率RAが0.2より小さいと研磨粒子が少なくなり、汚れ落とし性能が不十分となる。
塗工剤層3は、塗工剤の含有成分(研磨粒子及びバインダー用樹脂)がドメインを形成するように分布していてもよい。すなわち、図3に示すように、塗工剤層3は、塗工剤の含有成分が高い濃度で含まれている部分3aと、塗工剤の含有成分が低い濃度で含まれているか又は含まれていない部分3bとを有するものであってもよい。なお、図3に示す領域Aは塗工剤を塗布した領域(塗工剤層)を示し、領域Bは塗工剤を塗布していない領域を示す。
塗工剤を塗布した全面積に対する上記部分3bの合計面積の比率RBは0.2〜0.9が好ましい。塗工剤層3の部分3bは、こげ汚れを基材1内部に取り込みやすくし、汚れの吸着率を高める。上記比率RBが0.2以上であると、こげの吸着率が向上し、0.9以下であると研磨粒子が適度で汚れ落ち性能が向上する。部分3aと部分3bとの区別は、塗工剤層3を25倍又は50倍の顕微鏡で5点をランダムに観察し、画像処理することによって行うことができる。なお、比率RBは、塗工剤の組成、塗工速度などを変更することによって調整することができる。
研磨粒子とバインダー用樹脂の混合割合は、特に限定されないが、乾燥後の質量として、研磨粒子1質量部に対して、バインダー用樹脂0.05〜0.5質量部が好ましい。汚れ落ち性能が発現しやすく、研磨粒子が脱落しにくくなるためである。また、塗工剤により塗布された部位が繊維製基材1の繊維同士の間の空隙が閉塞されることがなく、かつ研磨粒子とバインダー用樹脂とによる研磨剤成分が該繊維製基材の繊維表面に固着されやすくなるためである。研磨粒子が基材1に十分に固着されていないと、使用した際に研磨粒子が脱落し、掃除のあとざらついて二度拭きを行うこととなり手間がかかる。
基材1は、下記式(1)で示される吸水量の変化率が+10%〜−30%であることが好ましい。吸水量の変化率が上記範囲内であると、こげ落とし性能及び汚れ吸着性能の両方を高水準に達成できる。
変化率(%)=(A−B)/A ×100 …(1)
[式中、Aは塗工剤の塗布前における基材の吸水量(単位:g)を示し、Bは塗工剤の塗布後における基材の吸水量(単位:g)をそれぞれ示す。]
変化率(%)=(A−B)/A ×100 …(1)
[式中、Aは塗工剤の塗布前における基材の吸水量(単位:g)を示し、Bは塗工剤の塗布後における基材の吸水量(単位:g)をそれぞれ示す。]
なお、こげ落とし性能及び汚れ吸着性能を両立させる観点から、比率RAと比率RBとの積は0.02〜0.80であることが好ましく、0.05〜0.75であることがより好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、円形とその周りに配置された複数の三角形とからなる柄をなす塗工剤層3を例示したが、柄面積が所定の範囲内であれば、どのような柄であってもよい。また、上記実施形態においては、基材1の一方面に塗工剤層3を形成する場合を例示したが、比較的厚めの基材を使用した場合などにあっては、基材1の両面に塗工剤層3を形成してもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
基材又は清掃用シートの物性を以下の方法に従って評価した。
(1)吸水量
基材又は清掃用シートを10cm四方にカットして試料を作製し、その質量を測定する。水温23±3℃の水槽に10分以上にわたって試料を浸漬させた後、取り出して網上に1分静止させ、質量を測定する。室温は23±3℃、50±10%R.Hで評価する。浸漬前後に増えた質量を、吸水量とする。
(2)吸水量の変化率
基材及び清掃用シートの吸水量をそれぞれ測定し、これらの結果を式(1)に代入して吸水量の変化率を求める。
変化率(%)=(A−B)/A ×100 …(1)
[式中、Aは塗工剤の塗布前における基材の吸水量(単位:g)を示し、Bは塗工剤の塗布後における基材の吸水量(単位:g)をそれぞれ示す。]
(3)比率RB
比率RBは、塗工剤の塗布を行った領域のうち、塗工剤の含有成分が低い濃度で含まれているか又は含まれていない部分の比率を意味する。比率RBは、25倍もしくは50倍の顕微鏡でランダムに5箇所を選択し、塗工剤の含有成分が高濃度の部位と低濃度の部位とを画像処理で区別して求める。画像処理装置としてVHX−600(キーエンス社製)を使用し、色抽出を用いて色交差のレベルを10以下に設定し、面積を計測した。
(4)汚れ落ち回数
結晶化ガラスネオセラムの上に2.4g/m2の割合でサラダ油を塗り、300℃1時間加熱する。その後、12〜24時間冷却する。こげの鉛筆硬度をJIS K5600の方法によって評価した結果、H7の硬度であった。堅牢度試験機にて、250g/cm2の荷重にて上記汚れが何回で落せるか評価した。
(5)こげの吸着率
結晶化ガラスネオセラムの上に4.8g/m2の割合でサラダ油を塗り、300℃2時間加熱する。その後、12〜24時間冷却する。こげの鉛筆硬度をJIS K5600の方法によって評価した結果、H8の硬度であった。そのこげ汚れを5×9cmの範囲に印を付け、清掃用シートを一定量の水で湿潤させたのち汚れを落す。汚れを落した表面を、乾いたきれいな不織布で拭取る。
清掃用シートの使用前後の質量及び不織布の使用前後の質量をそれぞれ測定し、これらの結果を式(2)に代入してこげの吸着率を求める。
変化率(%)=(B−A)/[(B−A)+(Q−P)] ×100 …(2)
[式中、Aは清掃用シートの使用前の質量、Bは清掃用シートの使用後の質量をそれぞれ示し、Pは不織布の使用前の質量、Qは不織布の使用後の質量をそれぞれ示す。]
(1)吸水量
基材又は清掃用シートを10cm四方にカットして試料を作製し、その質量を測定する。水温23±3℃の水槽に10分以上にわたって試料を浸漬させた後、取り出して網上に1分静止させ、質量を測定する。室温は23±3℃、50±10%R.Hで評価する。浸漬前後に増えた質量を、吸水量とする。
(2)吸水量の変化率
基材及び清掃用シートの吸水量をそれぞれ測定し、これらの結果を式(1)に代入して吸水量の変化率を求める。
変化率(%)=(A−B)/A ×100 …(1)
[式中、Aは塗工剤の塗布前における基材の吸水量(単位:g)を示し、Bは塗工剤の塗布後における基材の吸水量(単位:g)をそれぞれ示す。]
(3)比率RB
比率RBは、塗工剤の塗布を行った領域のうち、塗工剤の含有成分が低い濃度で含まれているか又は含まれていない部分の比率を意味する。比率RBは、25倍もしくは50倍の顕微鏡でランダムに5箇所を選択し、塗工剤の含有成分が高濃度の部位と低濃度の部位とを画像処理で区別して求める。画像処理装置としてVHX−600(キーエンス社製)を使用し、色抽出を用いて色交差のレベルを10以下に設定し、面積を計測した。
(4)汚れ落ち回数
結晶化ガラスネオセラムの上に2.4g/m2の割合でサラダ油を塗り、300℃1時間加熱する。その後、12〜24時間冷却する。こげの鉛筆硬度をJIS K5600の方法によって評価した結果、H7の硬度であった。堅牢度試験機にて、250g/cm2の荷重にて上記汚れが何回で落せるか評価した。
(5)こげの吸着率
結晶化ガラスネオセラムの上に4.8g/m2の割合でサラダ油を塗り、300℃2時間加熱する。その後、12〜24時間冷却する。こげの鉛筆硬度をJIS K5600の方法によって評価した結果、H8の硬度であった。そのこげ汚れを5×9cmの範囲に印を付け、清掃用シートを一定量の水で湿潤させたのち汚れを落す。汚れを落した表面を、乾いたきれいな不織布で拭取る。
清掃用シートの使用前後の質量及び不織布の使用前後の質量をそれぞれ測定し、これらの結果を式(2)に代入してこげの吸着率を求める。
変化率(%)=(B−A)/[(B−A)+(Q−P)] ×100 …(2)
[式中、Aは清掃用シートの使用前の質量、Bは清掃用シートの使用後の質量をそれぞれ示し、Pは不織布の使用前の質量、Qは不織布の使用後の質量をそれぞれ示す。]
[実施例1]
基材として使用する不織布を次のようにして作製した。すなわち、1.0dtexアクリル繊維40質量%と1.7dtexレーヨン繊維60質量%とを混綿し、カード工程にてウエブを形成した後、高圧水流交絡により不織布を作製した。得られた不織布は、目付け150g/m2、厚さ0.97mm、密度155kg/m3、吸水量900g/m2であった。
基材として使用する不織布を次のようにして作製した。すなわち、1.0dtexアクリル繊維40質量%と1.7dtexレーヨン繊維60質量%とを混綿し、カード工程にてウエブを形成した後、高圧水流交絡により不織布を作製した。得られた不織布は、目付け150g/m2、厚さ0.97mm、密度155kg/m3、吸水量900g/m2であった。
上記のようにして得た不織布の一方面に、下記組成の塗工剤を200μmメッシュ、深度200μmのグラビア印刷ロールにて塗布した。なお、柄面積65%(比率RA=0.65)となるように設定した。塗工速度10m/分で塗布し、乾燥させ、清掃用シートを得た。塗工剤層の平均厚さは0.45mmであった。
アルミナ(宇治電化学社製 WA#500) 450g、
酢酸ビニル(昭和高分子社製 ビニロールSH) 200g(固形分50%)、
メタノール(住友化学社製) 350g。
アルミナ(宇治電化学社製 WA#500) 450g、
酢酸ビニル(昭和高分子社製 ビニロールSH) 200g(固形分50%)、
メタノール(住友化学社製) 350g。
[実施例2]
実施例1と同様の製法によって作製した目付け違いの不織布を使用した以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。基材として使用した不織布は、目付け200g/m2、厚さ1.3mm、密度154kg/m3、吸水量1398g/m2であった。
実施例1と同様の製法によって作製した目付け違いの不織布を使用した以外は実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。基材として使用した不織布は、目付け200g/m2、厚さ1.3mm、密度154kg/m3、吸水量1398g/m2であった。
[実施例3]
0.8dtexPET繊維80質量%と2.2dtexレーヨン繊維20質量%とを使用した以外は実施例1と同様にして不織布及び清掃用シートを作製した。基材として使用した不織布は、目付け200g/m2、厚さ0.65mm、密度308kg/m3、吸水量835g/m2であった。
0.8dtexPET繊維80質量%と2.2dtexレーヨン繊維20質量%とを使用した以外は実施例1と同様にして不織布及び清掃用シートを作製した。基材として使用した不織布は、目付け200g/m2、厚さ0.65mm、密度308kg/m3、吸水量835g/m2であった。
[実施例4]
基材として使用する不織布を次のようにして作製した。すなわち、0.1dtexアクリル繊維65質量%と、2.2dtex低融点PET繊維15質量%と、2.0dtexリヨセル繊維20質量%とを混綿し、湿式でウエブを形成した後、水流交絡(湿式スパンレース製法)により不織布を作製した。得られた不織布は、目付け80g/m2、厚さ0.44mm、密度182kg/m3、吸水量507g/m2であった。実施例1で使用したものと同様の塗工剤を、塗工剤層の平均厚さが0.2mmになるように塗工速度を25m/分に設定して塗布し、乾燥させ、清掃用シートを作製した。
基材として使用する不織布を次のようにして作製した。すなわち、0.1dtexアクリル繊維65質量%と、2.2dtex低融点PET繊維15質量%と、2.0dtexリヨセル繊維20質量%とを混綿し、湿式でウエブを形成した後、水流交絡(湿式スパンレース製法)により不織布を作製した。得られた不織布は、目付け80g/m2、厚さ0.44mm、密度182kg/m3、吸水量507g/m2であった。実施例1で使用したものと同様の塗工剤を、塗工剤層の平均厚さが0.2mmになるように塗工速度を25m/分に設定して塗布し、乾燥させ、清掃用シートを作製した。
[実施例5]
実施例2で使用したものと同様の不織布に、下記組成の塗工剤を、塗工剤層の平均厚さが0.9mmになるように塗工速度を5m/分に設定して塗布し、乾燥させ、清掃用シートを作製した。
アルミナ(宇治電化学社製 WA#500) 470g、
酢酸ビニル(昭和高分子社製 ビニロールSH) 180g(固形分50%)、
メタノール(住友化学社製) 350g。
実施例2で使用したものと同様の不織布に、下記組成の塗工剤を、塗工剤層の平均厚さが0.9mmになるように塗工速度を5m/分に設定して塗布し、乾燥させ、清掃用シートを作製した。
アルミナ(宇治電化学社製 WA#500) 470g、
酢酸ビニル(昭和高分子社製 ビニロールSH) 180g(固形分50%)、
メタノール(住友化学社製) 350g。
[比較例1]
基材として、スパンボンド製法で作られた旭化成せんい社製(エルタス ナイロンN01080)を使用した以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。
基材として、スパンボンド製法で作られた旭化成せんい社製(エルタス ナイロンN01080)を使用した以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。
[比較例2]
柄面積を65%とする代わりに、15%(RA=0.15)とした以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。
柄面積を65%とする代わりに、15%(RA=0.15)とした以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。
[比較例3]
グラビア印刷ロールの深度を200μmとする代わりに、50μmとした以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。
グラビア印刷ロールの深度を200μmとする代わりに、50μmとした以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。
[比較例4]
基材として、次のようにして作製した不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。本比較例で用いた不織布は、3.3dtexアクリル繊維90質量%と2.0dtex低融点PET繊維10質量%とを使用してニーパン製法にて作製した。この不織布は、目付け250g/m2、厚さ2.9mm、密度83.8kg/m3、吸水量2903g/m2であった。
基材として、次のようにして作製した不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。本比較例で用いた不織布は、3.3dtexアクリル繊維90質量%と2.0dtex低融点PET繊維10質量%とを使用してニーパン製法にて作製した。この不織布は、目付け250g/m2、厚さ2.9mm、密度83.8kg/m3、吸水量2903g/m2であった。
[比較例5]
実施例2で使用したものと同様の不織布の一方面全体に、下記組成の塗工剤を200μmメッシュのグラビア印刷ロールにて塗布した。なお、塗工速度5m/分の速度で塗布し、乾燥させ、清掃用シートを得た。
アルミナ(宇治電化学社製 WA#500) 450g、
酢酸ビニル(昭和高分子社製 ビニロールSH) 200g(固形分50%)、
メタノール(住友化学社製) 100g。
実施例2で使用したものと同様の不織布の一方面全体に、下記組成の塗工剤を200μmメッシュのグラビア印刷ロールにて塗布した。なお、塗工速度5m/分の速度で塗布し、乾燥させ、清掃用シートを得た。
アルミナ(宇治電化学社製 WA#500) 450g、
酢酸ビニル(昭和高分子社製 ビニロールSH) 200g(固形分50%)、
メタノール(住友化学社製) 100g。
[比較例6]
基材として不織布を使用する代わりに、目付け60g/m2、厚さ0.15mm、密度40kg/m3のパルプで抄紙した紙を使用した以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。
基材として不織布を使用する代わりに、目付け60g/m2、厚さ0.15mm、密度40kg/m3のパルプで抄紙した紙を使用した以外は、実施例1と同様にして清掃用シートを作製した。
[比較例7]
実施例4で使用したものと同様の不織布及び塗工剤を準備し、この塗工剤に不織布を浸して含浸加工した後、乾燥させることによって清掃用シートを作製した。
実施例4で使用したものと同様の不織布及び塗工剤を準備し、この塗工剤に不織布を浸して含浸加工した後、乾燥させることによって清掃用シートを作製した。
表1に実施例1〜5の結果を示し、表2に比較例1〜7の結果を示す。
※これらの比較例に係る清掃用シートは、こげ汚れを落とすことができないため、吸着率を0と評価した。
本発明は、家庭内におけるこびりついた汚れやキッチン周りでの炭化した焦げ汚れなどを効率的に取り除くのに有用である。
1…繊維製基材、3…塗工剤層、10…清掃用シート、F1…基材表面。
Claims (5)
- 吸水量が400〜2000g/m2の紙又は不織布からなるシート状の基材と、
当該基材表面に研磨粒子とバインダー用樹脂とを含む塗工剤を塗布してなる塗工剤層と、
を備え、
前記基材の一方面に形成された前記塗工剤層の合計面積は当該一方面の面積の20〜100%であり且つ前記塗工剤層は厚さが0.15〜1.0mmであることを特徴とする清掃用シート。 - 前記基材は、密度が100〜500kg/m3であることを特徴とする請求項1に記載の清掃用シート。
- 前記塗工剤層は、前記塗工剤の含有成分がドメインを形成するように分布していることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃用シート。
- 前記基材は、0.1〜2.0dtexの繊維を40〜100質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の清掃用シート。
- 前記基材は、下記式(1)で示される吸水量の変化率が+10%〜−30%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の清掃用シート。
変化率(%)=(A−B)/A ×100 …(1)
[式中、Aは塗工剤の塗布前における基材の吸水量(単位:g)を示し、Bは塗工剤の塗布後における基材の吸水量(単位:g)をそれぞれ示す。]
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013184050A (ja) * | 2012-03-09 | 2013-09-19 | Towa Sangyo Kk | ガラスビーズを用いて汚れを除去する清掃具 |
JP2017176650A (ja) * | 2016-03-31 | 2017-10-05 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 洗浄用具 |
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2009
- 2009-08-13 JP JP2009187797A patent/JP2011036501A/ja not_active Withdrawn
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