JP2011036180A - パウチ詰め流動性食品の殺菌方法およびその装置 - Google Patents

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健 福井
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Abstract

【課題】摺動レトルト殺菌において、パウチの底部の折り込み部に製品として許容できない大きさの擬似ピンホールが発生することを防止できるパウチ詰め流動性食品の殺菌方法を提供する。
【解決手段】可撓性パウチ3に流動性食品を秤量充填し、密封した後レトルト殺菌機内で摺動式殺菌する殺菌方法において、摺動時のパウチの波打ち現象におけるパウチの波打ちのピーク高さを距離センサー2で検出し、その検出値が所定値以下となるように摺動の加速度を調節する。
【選択図】図3

Description

本発明は、液状食品やカレー等の粘調な流動性食品あるいは経腸栄養剤等の流動性食品を可撓性パウチに充填、密封し摺動式殺菌を行う場合の殺菌方法およびその装置に関する。
パウチ詰め流動性食品等を殺菌する場合、一般には静置式の殺菌方式が用いられる。しかし、パウチのヘッドスペースガス量が多いとガスが熱伝達を妨げるために殺菌時間が長くなり殺菌効率が悪くなるので、ヘッドスペースガスをなるべく少なくして殺菌を行っている。また反対に、回転式殺菌や揺動式殺菌においては、回転や揺動によってパウチ内のヘッドスペースガスが移動して内容物を強制的に攪拌することにより、内容物の熱伝達を促進し殺菌時間の短縮が図られている。特許文献1は回転式殺菌方法および装置の1例を示すものであり、また特許文献2は揺動式殺菌方法および装置の1例を示すものである。
しかしながら、回転式殺菌や揺動式殺菌を行う場合には殺菌機内でパウチが移動することを防止するため、治具などを用いてパウチを拘束したり専用の載置棚を用いたりするが、これらの方法では載置できる数量が少なくなり生産効率が低下したり、専用載置棚を用いるためにコスト高となり経済性を欠くこととなる。
摺動式殺菌は、可撓性パウチに流動性食品を充填し、次いでヘッドスペース量を調整して密封し、このパウチをレトルト殺菌機の棚に載置し、殺菌棚を前後または左右に往復運動させてパウチ食品を摺動式殺菌(特許文献3参照)する方法である。この殺菌方法によれば、殺菌棚を摺動運動させて、パウチの波打ちによりパウチ内のヘッドスペースガスが移動して内容物を強制的に攪拌することにより、内容物の熱伝達を促進し殺菌時間の短縮が図られる上に、パウチを非拘束状態で棚上に載置して殺菌できるので、複雑な回転機構を必要とし、治具を用いてパウチを拘束する必要がある回転式殺菌や同じく複雑な揺動機構を必要とする揺動式殺菌に比べて、棚上に載置できるパウチ数が多く殺菌効率を向上させることができる。
一般にパウチ、特に大型スタンディングパウチを用いて摺動式レトルト殺菌を行う場合は、一定の摺動条件(摺動ストローク、摺動回転数)でパウチ内の内容物の殺菌処理を行う。内容物加熱により品温が上昇するにつれて徐々にその粘度が低下し、流動性が増加してくる。そしてこれに伴い、摺動によるパウチ自体の動き、すなわち波打ち現象も徐々に増大してくる。このパウチの波打ち現象が増大してくると、スタンディングパウチの底部が上下方向に開閉し、スタンディングパウチの底部の内側に折り込まれた折り込み部(図2〜図4参照)が激しく屈曲、伸長を繰り返す結果、この折り込み部に擬似ピンホール(パウチのアルミ箔層に亀裂が発生して外観上ピンホールができたように見える現象。クラックとも言われる場合がある。)が発生し、パウチの外観不良を生じる。
特開平5−161485号公報 特開平9−215732号公報 特開昭57−5678号公報
本発明は、上記従来のパウチ詰め流動性食品の殺菌方法における問題点に鑑みなされたものであって、本発明の目的は、摺動式レトルト殺菌において、パウチの波打ち現象に伴うパウチ底部の折り込み部における擬似ピンホールの発生を低減することができるパウチ詰め流動性食品の殺菌方法およびその装置を提供することにある。
本発明者等は上記目的を達成するため、種々実験と研究を重ねた結果、摺動式レトルト殺菌におけるパウチの波打ちの高さが一定の値以下である場合は、パウチ底部の折り込み部において外観上製品として問題となるような大きな擬似ピンホールは発生しないことを見出し、パウチの波打ちのピーク高さを検出してこのピーク高さを所定値以下となるように摺動の加速度を調節することにより擬似ピンホールの発生を防止することが可能であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、上記本発明の目的を達成する第1の構成は、可撓性パウチに流動性食品を秤量充填し、密封した後レトルト殺菌機内で摺動式殺菌する殺菌方法において、摺動時のパウチの波打ち現象におけるパウチの波打ちのピーク高さを検出し、その検出値が所定値以下となるように摺動の加速度を調節することを特徴とするパウチ詰め流動性食品の殺菌方法である。
本発明の第2の構成は、第1の構成に加え、該パウチの波打ちのピーク高さを該パウチの上方に配置された距離センサーによって検出することを特徴とする殺菌方法である。
本発明の第3の構成は、第2の構成に加え、該距離センサーによって検出された該パウチの波打ちのピーク高さの検出値に応じ、摺動の加速度をエラー信号を送出して調節することを特徴とする殺菌方法である。
本発明の第4の構成は、第2の構成に加え、該距離センサーによって検出された該パウチの波打ちのピーク高さを制御装置によりフィードバックすることにより摺動の加速度を自動的に調節することを特徴とする殺菌方法である。
本発明の第5の構成は、第1〜第4のいずれかの構成に加え、殺菌工程とその後の冷却工程を備え、該冷却工程において、該殺菌工程終了時の摺動の加速度を該冷却工程終了時まで維持することを特徴とする殺菌方法である。
本発明の第6の構成は、第1〜第5のいずれかの構成に加え、該パウチはスタンディングパウチであることを特徴とする殺菌方法である。
本発明の第7の構成は、流動性食品を秤量充填し、密封した可撓性パウチをレトルト殺菌機内で摺動殺菌する装置であって、レトルト殺菌機本体と、該レトルト殺菌機本体内に配置され該パウチが積載される可動台と、該可動台を水平往復運動させる駆動機構と、該パウチの上方に配置され、摺動時のパウチの波打ち現象におけるパウチの波打ちのピーク高さを検出し、この検出値を検出信号として送出する距離センサーと、該距離センサーが送出する検出信号を入力し、該検出信号が所定値を超えたとき、摺動の加速度を下げる制御信号を該駆動機構に送出する制御機構とを備えることを特徴とするパウチ詰め流動性食品の殺菌装置である。
本発明の第8の構成は、第7の構成に加えて、該距離センサーが送出する検出信号を表示する表示手段と、表示される検出信号が所定値を超えた時にエラー信号を送出するためのエラー信号送出機を有し、該エラー信号を制御機構に入力して制御信号を駆動機構に送出することを特徴とする殺菌装置である。
本発明の第9の構成は、第7の構成に加えて、該距離センサーが送出する検出信号を制御機構に入力してフィードバックし、該制御機構からの制御信号に応答して摺動の加速度を自動的に調節すること特徴とする殺菌装置である。
本発明の第10の構成は、第7〜第9のいずれかの構成に加え、該パウチはスタンディングパウチであることを特徴とする殺菌装置である。
本発明の第1の構成によれば、パウチの波打ち高さのピーク値を検出し、その検出値が所定の高さ以下となるように摺動の加速度を調節することによって、摺動レトルト殺菌の際にパウチ底部の折り込み部において外観上製品として問題となるような大きな擬似ピンホールが発生することを防止することができる。
本発明の第2の構成によれば、パウチの波打ちのピーク高さをパウチの上方に配置された距離センサーによって検出するので、摺動式レトルト殺菌機に複雑な装置を組み込むことなく、簡単な方法で波打ちのピーク高さを検出することができる。
本発明の第3の構成によれば、距離センサーによって検出されたパウチの波打ちのピーク高さの検出値に応じ、摺動の加速度をエラー信号を送出して調節するので、該検出値を目視で確認後、エラー信号の送出操作を手動で行うため摺動の加速度の操作人力を要するものの、摺動式レトルト殺菌機に複雑な装置を組み込むことなく、簡単な方法で波打ちのピーク高さを検出することができる。
本発明の第4の構成によれば、距離センサーによって検出されたパウチの波打ちのピーク高さを制御装置によりフィードバックすることにより摺動の加速度を自動的に調節するので、本発明にかかる波打ちピーク高さの検出およびそれに基づく摺動の加速度の調節を全自動制御により行うことができ、省力化を達成することができる。
本発明の第5の構成によれば、パウチ詰め流動性食品の殺菌方法は、殺菌工程とその後の冷却工程を備え、該冷却工程において、該殺菌工程終了時の摺動の加速度を該冷却工程終了時まで維持する。殺菌工程が終了し冷却工程に入ると、パウチ内容物は徐々に表面から固化していくが、内容物の内部はなお流動状態にあり摺動により攪拌されるので、摺動を続けることにより冷却が短時間ですむ利点があり通常冷却工程中も摺動は継続される。この場合、摺動の加速度が制御されず過大な加速度で摺動が継続されると、内容物が固化しかかったパウチを損傷したりパウチがずれたりすることがある。本発明の第5の構成によれば、冷却工程において、殺菌工程終了時の摺動の加速度を冷却工程終了時まで維持することにより、このような過大な加速度による摺動を防止し、パウチの損傷やずれを防止することができる。
本発明の第6の構成によれば、パウチはスタンディングパウチであるので、本発明の効果を最も顕著に発揮することができる。
本発明の第7の構成によれば、パウチの上方に配置され、摺動時のパウチの波打ち現象におけるパウチの波打ちのピーク高さを検出し、この検出値を検出信号として送出する距離センサーと、該距離センサーが送出する検出信号を入力し、該検出信号が所定値を超えたとき、摺動の加速度を下げる制御信号を該駆動機構に送出する制御機構とを備えるので、摺動レトルト殺菌の際にパウチ底部の折り込み部において外観上製品として問題となるような大きな擬似ピンホールが発生することを防止することができる。
本発明の第8の構成によれば、距離センサーが送出する検出信号を表示する表示手段を備え、該表示手段によって表示される検出信号が所定値を超えた時にエラー信号をエラー信号送出機から制御機構に送出し、制御機構はエラー信号に応答して摺動の加速度を下げる制御信号を駆動機構に送出するので、該表示手段の所定値を目視で確認して手動でエラー信号の送出操作を行うため人力を要するものの、摺動式レトルト殺菌機に複雑な装置を組み込むことなく、簡単な方法で波打ちのピーク高さを検出することができる。
本発明の第9の構成によれば、制御機構は距離センサーが送出する検出信号を入力し、該検出信号が所定値を超えたとき、摺動の加速度を下げるように制御信号を駆動機構に送出するので、本発明にかかる波打ちピーク高さの検出およびそれに基づく摺動の加速度の調節を全自動制御により行うことができ、省力化を達成することができる。
本発明の第10の構成によれば、パウチはスタンディングパウチであるので、本発明の効果をもっとも顕著に発揮することができる
本発明の方法を実施するための装置の1例を示す断面図である。 本発明の1実施形態を模式的に示す説明図である。 本発明の他の実施形態を模式的に示す説明図である。 本発明の他の実施形態を模式的に示す説明図である。 距離センサーにおける距離と電圧の関係を示すグラフである。
以下添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本発明の殺菌方法は可撓性材料からなるパウチ、特に内容量1〜10kg、好ましくは1〜5kgの大型スタンディングパウチに流動性食品を充填し密封して摺動式殺菌を行う場合に好適である。
パウチとしては可撓性の材料からなるものであれば特に限定はないが、通常カレー等の流動性食品大型パウチとしては外面側からPET(ポリエチレンテレフタレート)層、ナイロン層、アルミ箔層、ポリプロピレン層からなる4層構造のパウチが適用される。
流動性食品としては、低・中・高粘度の液状食品、カレー、ポタージュスープ等の肉や野菜などの具材を含む粘調な流動性食品、おかゆなどの粒子状固形物を含む粘調な流動性食品等を含む。
本発明に好適に用いられる流動性食品の粘度としては、殺菌温度において、B型粘度計を用いて50rpmの条件で測定または算出して0.2〜4500mPa・sが殺菌時間短縮の面から好ましく、10〜2500mPa・s、さらには10〜1500mPa・sがより好ましい。なお殺菌温度が100℃を超えており、殺菌中の内容物粘度を測定することが困難な場合、本願においてはandradeの粘度式(η∝exp(E/RT)、η:粘性率、E:流動の活性化エネルギー、R:気体定数、T:絶対温度(゜K))を用いて殺菌中の内容物の温度を算出する。粉体食品や固体食品は摺動によってパウチが波打つことが期待できずパウチの波打ちによる攪拌効果が期待できないので本発明の殺菌方法を適用するには不適な場合があるが、カレーなどのように、流動性食品の一部に固形食品が含まれていても問題はない。
パウチに内容物を充填密封した際に形成されるヘッドスペースは大気であってもよく、内容物の酸化劣化を防止する場合には、例えば、窒素ガスの他、炭酸ガスやアルゴンガス、ヘリウムガス、またはこれらの混合ガスを用いて適宜ガス置換充填することができる。
摺動式殺菌を行う装置としては、従来から使用されているクランク式または偏心カム式の摺動レトルト装置を使用することができる。
図1は本発明の方法を実施するための装置の一例を示す断面図であり、クランク方式による殺菌棚摺動機構を示す。A1はレトルト本体、A2はレール等の支持台である。この支持台A2の上には車輪A3を介して可動台A4が装架され、この可動台A4上に流動性食品詰めパウチを多数並べて収容した殺菌棚(トレー)A5が多段に積載されている。A6は覗き窓であり、レトルト本体A1に装備されている。A10はモーター、A11はモーターA10で駆動されるクランク機構であり、クランク機構A11の他端はレトルト本体A1のシール機構A9を介して可動棚A4から突出させた駆動軸A8に連結されている。
駆動時にモーターA10を駆動すればクランク機構A11によって可動台A4に収容されたパウチが水平往復運動して、パウチ内の流動性食品が移動して波打ち、攪拌が行われる。この流動性食品詰めパウチの波打ち現象は、覗き窓A6から目視で確認することが出来る。
摺動式レトルトは加速度が攪拌効果の要因の1つである。しかし、その加速度にも包材の耐久性や実生産を考慮すれば適正な範囲があると考えられる。
そのため、適正な加速度を導きだすための以下の条件にて実験を行った。
パウチサイズ;240mm×350mm×65mm(横×縦×折り込み幅のスタンディングパウチ)
パウチのラミネート構成;外面側からPETフィルム、ナイロンフィルム、アルミニウム箔、ポリプロピレンフィルムからなる4層構成
内容物;トマトソース(市販業務用トマトソース大型パウチ入り製品をリパック、粘度40℃−1040mPa・s、60℃−880mPa・s、80℃−724mPa・s)
充填量;2kg(パウチ満注内容積に対して充填率45%)
内容物充填温度;内容物を40℃でパウチ容器に充填し、試験に供する。
摺動方向;パウチ長手方向が摺動方向と同一方向となるようにパウチを積載し、水平に往復運動させた。
上記条件のパウチ製品において、ストロークと摺動回転数を変化させることにより加速度を変動させ([表1]参照)、その加速度による包材の波打ちの度合いおよび包材の整列乱れを観察した。観察した結果を表2に示す。
Figure 2011036180
Figure 2011036180

×:加速度が弱く、『容器の波打ちもごく僅かであった』または『撹拌効果が見られない』
◎:加速度が適正で、『容器の波打ちが適当に起こり』または『撹拌効果がありながら』、包材が大きく動くことがない
○:加速度が強く、『容器の波打ちが大きく起こり』または『大きな撹拌効果が期待できる』が、製品によっては包材の整列乱れを生じる
△:加速度が大変強く、包材の整列乱れおよびダメージを伴う
実験の結果、加速度が0.1G未満では容器の波打ちが極僅かであり、十分な攪拌効果を得られないと判断された。(もしくは、温度測定を行った結果、効果を得られなかった。)
また、そのまま加速度を上げていくと、包材の波打ちは大きくなり、比例して内容物の攪拌効果が得られた。しかし、加速度が0.3Gを超えると包材が殺菌棚上を大きく動き、整列乱れを起こす、または包材と殺菌棚との摩擦による擦り傷の発生や、包材の屈曲によるアルミ箔層の擬似ピンホール発生が起こる。
したがって、上記条件での実験では、十分な攪拌効果が発揮され、しかも製品の種類を問わず包材の乱れや擦り傷を生じるおそれのない加速度の範囲は0.1G〜0.3Gであった。
実際にパウチ詰め流動性食品を製造する場合は、十分な攪拌効果が発揮されながら、しかも包材の擬似ピンホール発生を生じるおそれのない加速度の範囲はパウチの大きさと厚みおよび材料構成、特にパウチ底部折り込み部の構造、寸法、材質、内容物の種類、パウチ内の充填度等種々の条件によって異なる。したがって、このような最適加速度の範囲は、個々の製品について実験を行い、その結果にしたがって決定されるものである。
個々の製品について最大の攪拌効果を得ながら擬似ピンホール発生を最小限に食い止めることができる最大の摺動加速度を決定するために、本発明においては、個々の製品について摺動時のパウチの波打ち高さのピーク値を検出し、その検出値が所定の高さを超えるときパウチ折り込み部に許容しがたいピンホールが発生することを実験により見出す。そして実際の製品の製造時においては、パウチの波打ち高さのピーク値を検出し、その検出値が所定値以下となるように摺動の加速度を調節することによって、摺動レトルト殺菌の際にパウチ底部の折り込み部において外観上製品として問題となるような擬似ピンホールが発生することを防止することができる。
摺動時のパウチの波打ち高さのピーク値を検出するため、本発明の1実施形態を図2の概略図に示す。この実施形態は、目視によって検出されたパウチの波打ちのピーク高さの検出値に応じ、摺動の加速度を手動操作により調節するものである。図2以下の実施形態において図1と同一構成要素は図1と同一符号で示し、その説明を省略する。図2において、1はモーターおよび該モーターによって駆動されるクランク又は偏心カム機構からなる駆動機構、3はスタンディングパウチ、4は操作員5が検出した波打ち高さのピーク値が所定値を超えたとき発送するエラー信号に応じて駆動機構1の摺動の加速度を減速する制御機構である。この実施形態においては、操作員5がレトルト本体A1に設けられたのぞき窓A6を介して摺動時のスタンディングパウチ3の波打ち高さを目視により観測する。波打ち高さのピーク値が所定値を超えたとき操作員5はエラー信号送出機6を操作してエラー信号を制御機構4に送出する。制御機構4はこのエラー信号に応答して制御信号を駆動機構1に送出する。駆動機構1はこの制御機構4からの制御信号に応答して摺動の加速度を下げる(例えばストロークを一定とすれば摺動回転数を減少させる)ことによりパウチの波打ち高さのピーク値を該所定値以下に減少させる。これによって、スタンディングパウチ3の折り込み部3aの屈曲、伸長の幅が小さくなり、製品の外観上好ましくない所定の大きさを超える擬似ピンホールの発生を防止することができる。
図3は本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、パウチの波打ちのピーク高さをパウチの上方に配置された距離センサーによって検出し、該距離センサーによって検出されたパウチの波打ちのピーク高さの検出値に応じ、摺動の加速度を手動操作により調節するものである。
図3において、1はモーターおよび該モーターによって駆動されるクランク又は偏心カム機構からなる駆動機構、2はスタンディングパウチ3の上方に配置され、スタンディングパウチ3の波打ち高さのピーク値を検出し、この検出値を検出信号として出力する距離センサー(近接センサー)、7は距離センサー2に接続され、距離センサー2が検出したパウチの波打ち高さのピーク値を示す電圧を表示する電圧表示計、4は該ピーク値が所定値を超えたときにエラー信号送出機6から発送されるエラー信号に応じて駆動機構1の摺動の加速度を減速する制御機構である。この実施形態においては、操作員5が摺動時のスタンディングパウチ3の波打ち高さを電圧表示計により観測し、波打ち高さのピーク値が所定値を超えたとき操作員5はエラー信号送出機6を操作してエラー信号を制御機構4に送出する。制御機構4はこのエラー信号に応答して制御信号を駆動機構1に送出する。駆動機構1はこの制御機構4からの制御信号に応答して摺動の加速度を下げる(例えばストロークを一定とすれば摺動回転数を減少させる)ことによりパウチの波打ち高さのピーク値を該所定値以下に減少させる。この場合距離センサー2からの検出信号は図示のような電圧表示計に表示される電気信号に限らず、光またはアラーム音等他の信号手段によるものであってもよい。
本発明の他の実施形態においては、図4の概略図に示すように、距離センサーによって波打ち高さのピーク値を検出し、距離センサーからの検出信号を制御機構にフィードバックすることにより駆動機構をフィードバック制御する。すなわちこの実施形態は操作員を必要としない全自動式摺動制御方法である
図4において、1はモーターおよび該モーターによって駆動されるクランク又は偏心カム機構からなる駆動機構、2はスタンディングパウチ3の上方に配置され、スタンディングパウチ3の波打ち高さのピーク値を検出し、この検出値を検出信号として出力する距離センサー(近接センサー)、4は距離センサー2が送出した検出信号を入力し、この検出値が所定値を超えたとき制御信号を駆動機構1に送出する制御機構である。この制御機構4からの制御信号に応答して摺動の加速度を下げる(例えばストロークを一定とすれば摺動回転数を減少させる)よう駆動機構1に指令を発送することによりパウチの波打ち高さのピーク値を該所定値以下に減少させる。
本発明の他の実施形態においては、殺菌工程終了後の冷却工程において、殺菌工程終了時の摺動の加速度を冷却工程終了時まで維持する。殺菌工程が終了し冷却工程に入ると、パウチ内容物は徐々に表面から固化していくが、内容物の内部はなお流動状態にあり摺動により攪拌されるので、摺動を続けることにより冷却が短時間ですむ利点があり通常冷却工程中も摺動は継続される。この場合、摺動の加速度が制御されず過大な加速度で摺動が継続されると、内容物が固化しかかったパウチを損傷したりパウチがずれたりすることがあるが、本実施形態によれば、冷却工程において、殺菌工程終了時の摺動の加速度を冷却工程終了時まで維持することにより、このような過大な加速による摺動を防止し、パウチの損傷やずれを防止することができる。
本発明の上記全自動制御方式による実施形態(図4の実施形態)の実施例について比較例とともに説明する。
実施例1
試験パウチとして大きさ270×400×65mmのスタンディングレト
ルトパウチを使用した。このパウチは、外側から厚さ12μmのPET層、厚さ25μmのナイロン層、厚さ7μmのアルミ箔層、厚さ100μmのポリプロピレン層の4層構造からなるものである。このパウチに、内容物としてカレー3kgをヘッドスペースなしで常温充填した。
スタンディングパウチの上方に配置する距離センサーとして、日本精密電気株式会社製の距離センサーUS21FH02S1−7を使用した。このセンサーの外寸はφ21*45mm、動作距離は0〜30mmである。
この距離センサーにおける距離(mm)と電圧(V)との関係(実測値)を図5および下表3に示す。
Figure 2011036180
図5および表3から明らかなように、距離センサー面と被測定物との間の距離が大きくなるほど、電圧値は大きくなる。距離センサーの作動距離で重要な距離は、パウチが波打つことによりセンサーに最も近づいた時であり、その部分は距離と電圧はほぼ直線性を持っており、距離測定の精度は高い。
摺動条件は、パウチの揺れ幅(波打ち幅)を一定とし、距離センサー電圧2.5V、ストロークは75mm、摺動回転数は50〜38rpmであった。また殺菌条件は、120℃蒸気殺菌、シャワー冷却とし、殺菌時間44分、冷却時間56分、全所要時間109分、最終F値11.0であった。
擬似ピンホールとしては、製品の外観を不良とする擬似ピンール(すなわち製品として許容できない擬似ピンホール)を面積10mm以上のものとした。
上記摺動レトルトの結果、発生した擬似ピンホール数は合計2であったが、上記面積に該当する擬似ピンホールではなく、製品として許容できる範囲のものであった。
実施例2
距離センサーの電圧を3V、摺動回転数50〜35rpm、殺菌時間49分、冷却時間59分、全所要時間118分、最終F値10.3とした以外は実施例1と同一条件で摺動レトルトを行った。発生した擬似ピンホールの合計数は2であったが、上記面積に該当する擬似ピンホールではなく、製品として許容できる範囲のものであった。
比較例
距離センサーによって波打ち高さのピーク値を測定することなく、また波打ち高さのピーク値に応じて摺動の加速度を調整することなく、全工程摺動方式により摺動レトルト殺菌を行った。摺動レトルト条件としては、摺動回転数45rpm、殺菌時間42分、冷却時間47分、全所要時間97分、最終F値12.3とした以外は実施例1と同一条件であった。上記摺動レトルト条件の結果、発生した上記面積以上の擬似ピンホールの合計数は7で、製品として許容範囲外であり、外観不良製品として廃棄されるべきものであった。

Claims (10)

  1. 可撓性パウチに流動性食品を秤量充填し、密封した後レトルト殺菌機内で摺動式殺菌する殺菌方法において、摺動時のパウチの波打ち現象におけるパウチの波打ちのピーク高さを検出し、その検出値が所定値以下となるように摺動の加速度を調節することを特徴とするパウチ詰め流動性食品の殺菌方法。
  2. 該パウチの波打ちのピーク高さを該パウチの上方に配置された距離センサーによって検出することを特徴とする請求項1記載の殺菌方法。
  3. 該距離センサーによって検出された該パウチの波打ちのピーク高さの検出値に応じ、摺動の加速度をエラー信号により調節することを特徴とする請求項2記載の殺菌方法。
  4. 該距離センサーによって検出された該パウチの波打ちのピーク高さを制御装置によりフィードバックすることにより摺動の加速度を自動的に調節することを特徴とする請求項2記載の殺菌方法。
  5. 殺菌工程とその後の冷却工程を備え、該冷却工程において、該殺菌工程終了時の摺動の加速度を該冷却工程終了時まで維持することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の殺菌方法。
  6. 該パウチはスタンディングパウチであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の殺菌方法。
  7. 流動性食品を秤量充填し、密封した可撓性パウチをレトルト殺菌機内で摺動殺菌する装置であって、レトルト殺菌機本体と、該レトルト殺菌機本体内に配置され該パウチが積載される可動台と、該可動台を水平往復運動させる駆動機構と、該パウチの上方に配置され、摺動時のパウチの波打ち現象におけるパウチの波打ちのピーク高さを検出し、この検出値を検出信号として送出する距離センサーと、該距離センサーが送出する検出信号を入力し、該検出信号が所定値を超えたとき、摺動の加速度を下げる制御信号を該駆動機構に送出する制御機構とを備えることを特徴とするパウチ詰め流動性食品の殺菌装置。
  8. 該距離センサーが送出する検出信号を表示する表示手段と、表示される検出信号が所定値を超えた時にエラー信号を送出するためのエラー信号送出機を有し、該エラー信号を制御機構に入力して制御信号を駆動機構に送出することを特徴とする請求項7に記載のパウチ詰め流動性食品の殺菌装置。
  9. 前記距離センサーが送出する検出信号を制御機構に入力してフィードバックし、該制御機構からの制御信号に応答して摺動の加速度を自動的に調節すること特徴とする請求項7に記載のパウチ詰め流動性食品の殺菌装置。
  10. 該パウチはスタンディングパウチであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の殺菌装置。
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