JP2011035350A - エピタキシャルウェーハおよび発光ダイオード - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、基板と、該基板上にエピタキシャル成長によって形成されたn型層および該n型層上にp型層とを有するエピタキシャルウェーハにおいて、前記n型層および前記p型層はGaAsPまたはGaPであり、前記p型層は少なくとも第1p型層と、該第1p型層より上にありキャリア濃度が高い第2p型層とを有し、更に、前記n型層と前記第1p型層との間にp型キャリア濃度が漸増する第1p型キャリア濃度増加層と、前記第1p型層と前記第2p型層との間にp型キャリア濃度が漸増する第2p型キャリア濃度増加層を有するものであることを特徴とするエピタキシャルウェーハ。
【選択図】図1
Description
そしてエピタキシャル成長は、通常、気相成長ないし液相成長法が使用されている。気相成長法では、石英製のリアクター内にグラファイト製、または石英製のホルダーを配置して基板を保持し、原料ガスを流し加熱する方法によってエピタキシャル成長を行っている。
気相成長法では、反応器中に原料ガスを流し、n型のGaP基板21上にn型層22を成長させる。この場合、基板21とn型層22の格子定数の違いによる格子歪が発生しないように、組成を段階的に変化させた組成変化GaAsP層を中間層として設けて、一定組成GaAsP層、アイソ・エレクトロニック・トラップとして窒素(N)をドープした一定組成窒素濃度増加GaAsP層および一定組成窒素ドープGaAsP層を形成する。
その後、第1p型層23bと第2p型層23dの2層からなる構造としたp型層23をエピタキシャル成長させることによって(例えば特許文献1等参照)、良好なオーミック接触を安定に得ることができ、また高輝度化を達成したエピタキシャルウェーハ20とすることができる。
このクレータリングが発生した発光ダイオードは、通電(ひいては発光)自体が不可能になるため、歩留りが低下するといった問題がある。
これによって、n型層から第1p型層にかけてや、第1p型層から第2p型層にかけて、p型キャリア濃度が急激に増加しないものとすることができ、格子定数の違いに起因する格子歪みとそれに伴う結晶欠陥の発生を抑制することができる。よって、p型層全体の結晶が従来に比べて良好なエピタキシャルウェーハとなり、ワイヤーボンディング工程において発生するクレータリングの発生率を従来より小さくすることができる。
また、格子歪みと結晶欠陥を少なくできるため、発光輝度や発光寿命も改善することができる効果を奏するものである。
尚、本発明における「漸増」とは、連続的(直線的)な増加のみならず、ステップ状(階段状)の増加も含む。
このように、第1p型キャリア濃度増加層のp型キャリア濃度の増加率が2×1016〜2×1017cm−3/μmであれば、p型キャリア濃度が急激に増加することがなく、n型層とp型層の界面の結晶性の悪化が抑制され、良好な結晶性のエピタキシャルウェーハとなっている。また、増加層の厚さが不必要に厚くなることが抑制され、生産性が高いものとすることができる。
このように、第2p型キャリア濃度増加層のp型キャリア濃度の増加率が上述の範囲内であれば、第1p型層と第2p型層にかけての結晶性が良好であり、また生産性が高いエピタキシャルウェーハとすることができる。
このように、第2p型層のキャリア濃度を0.6〜1.0×1019cm−3とすることによって、第2p型層の結晶性が良好な状態で維持されたものとすることができ、よりクレータリングの発生が抑制され、且つ発光輝度などの特性も良好な発光ダイオードの製造に適したエピタキシャルウェーハとすることができる。
このように、第1p型キャリア濃度増加層や第2p型キャリア濃度増加層の層の厚さを上述の範囲とすることによって、p型キャリア濃度増加層の形成に時間がかからず、生産性が高いものとすることができる。またp型キャリアの濃度が急激に上昇させたものとならず、結晶性が良好なエピタキシャルウェーハとなっている。
上述のように、本発明のエピタキシャルウェーハは、ワイヤーボンディング工程におけるクレータリングの発生率が従来より抑制されたものであり、また発光輝度や発光寿命特性が良好なものである。そしてこのようなエピタキシャルウェーハを用いて製造された発光ダイオードは、従来より発光特性が良好であり、また高歩留りである。
前述のように、発光ダイオード組み立て時のワイヤーボンディング工程においてクレータリングの発生を低減することができ、これによって歩留りを向上させることができるエピタキシャルウェーハ及び発光ダイオードの開発が待たれていた。
その結果、図6に示すように、クレータリングが発生した発光ダイオードチップを複数個観察した結果、クレータリングの発生によってえぐれた部分の深さが、主に第1p型層と第2p型層の界面付近、若しくはn型層と第1p型層との界面付近であり、この部分の結晶性が良好でなく弱いために、クレータリングが発生しているのではないかと推察した。
図1に示すように、本発明のエピタキシャルウェーハ10は、少なくとも基板11と、該基板11上にエピタキシャル成長によって形成されたn型層12と、該n型層12上のp型層13とを有している。
そしてn型層12とp型層13は、GaAsPまたはGaPからなっており、またp型層13は少なくとも第1p型層13bと、該第1p型層13bより上にあり、かつキャリア濃度が高い第2p型層13dとを有している。
更に、n型層12と第1p型層13bとの間に、p型キャリア濃度が漸増する第1p型キャリア濃度増加層13aと、第1p型層13bと第2p型層13dとの間にp型キャリア濃度が漸増する第2p型キャリア濃度増加層13cとを有するものである。
また、n型層12は、少なくとも組成変化層12a、一定組成層12b、窒素濃度増加層12c、窒素濃度一定層12dから構成されるものである。
これによって第2p型層の結晶性をより良好なものとすることができ、よりクレータリングの発生を抑制することができるエピタキシャルウェーハを得ることができる。
これによってn型層と第1p型層との間のp型キャリアの濃度が急激に増加したものでなく、また増加率が緩やか過ぎとなることを抑制することができる。よって、n型層と第1p型層の界面の結晶性がより良好なものとなり、クレータリングの発生率をより低減でき、また発光輝度や発光寿命特性をより改善することができる。且つ効率よく製造されたものとすることができる。
これによって、層の形成に時間がかかることなく、生産性が高いものとなる。更に、p型キャリアの濃度増加率が急激にならず、結晶性の悪化を抑制することができ、クレータリングの抑制効果をより高いものとすることができる。
これによって第1p型層と第2p型層との間のp型キャリアの濃度が急激に増加したものでなく、また増加率が必要以上に緩やかとなることを抑制することができる。従って、p型層の結晶性が更に良好になり、クレータリングの発生率や発光寿命特性などを更に改善することができるとともに、生産効率も低下させなくても済む。
これによって層の形成が長時間にならず、またp型キャリアの濃度増加率が急激なものとなることも抑制することができる。よって、高生産性で、結晶性が良好なエピタキシャルウェーハとすることができる。
このように、本発明のエピタキシャルウェーハでは、クレータリングの発生率が従来に比べて低減されていると共に、光出力を向上させることができるものであるが、その他の構成は従来と同じにすることができるため、n型層やp型層として上述のような組成のGaAsPとすることができ、また基板をGaPとすることができる。従って、簡単な構成で高品質なものとすることが出来る。
このように、n型層とp型層のうち少なくとも一方に、伝導電子を捕獲するアイソ・エレクトロニック・トラップとして窒素をドープすることによって、発光ダイオードとしての光出力を10倍程度向上することができるエピタキシャルウェーハとできる。
p型キャリアとしては特に限定されないが、亜鉛、マグネシウム等が挙げられる。例えばジメチル亜鉛(DMZn)等の有機金属化合物を反応器内に供給することでドープすることができる。これにより高濃度のキャリア濃度を得ることができ、気相成長だけで本発明のエピタキシャルウェーハの構成を容易に実現することができる。
以下に示す製造方法では、n型層およびp型層をGaAsPとし、基板にGaPを用いた場合について説明しているが、もちろんこれに限定されるものではなく、n型層やp型層をGaPとすることもできる。
次に、窒素(N2)ガスを該リアクター内に導入し、空気を十分置換除去した後、キャリヤ・ガスとして高純度水素(H2)を導入し、N2の流れを止め昇温工程に入る。
そして上記Ga入り石英ボート設置部分および単結晶基板11aの設置部分の温度が、所定の温度に一定に保持されていることを確認した後に、単結晶基板11aと同組成のGaPエピタキシャル膜の気相成長を開始する。
他方、周期律表第V族元素成分として、高純度りん化水素ガス(PH3)を導入しつつ、第1層である基板バッファー層11bを単結晶基板11a上に成長させた。
これによって、n型層と第1p型層の界面のp型キャリア濃度の違いによって発生する格子定数の違いに起因する結晶中のストレスを低減することができ、クレータリングの発生を抑制でき、また発光輝度や発光寿命特性を改善することができる。
尚、この時のp型キャリアドープ用ガスの導入量の増加方法は特に限定されず、直線的でもステップ状でも良いし、曲線状に導入量を増加させても良い。
これによって、第1p型層と第2p型層の界面のp型キャリア濃度の違いによる格子定数の違いに起因する結晶中のストレスを低減することができ、クレータリングの発生を抑制でき、また発光輝度や発光寿命特性を改善することができる。
尚、この時のp型キャリアドープ用ガスの導入量の増加方法も同様に特に限定されず、直線的でもステップ状でも良いし、曲線状に導入量を増加させても良い。
尚、この第2p型層13dのキャリア濃度が第1p型層13bより高くなるようにする。
(実施例1)
GaP基板および高純度ガリウム(Ga)を、Ga溜め用石英ボート付きのエピタキシャル・リアクター内の所定の場所に、それぞれ設置した。GaP基板はテルル(Te)が3〜10×1017/cm3添加され、直径50mmの円形で、(100)面から〔011〕方向に10°偏位した面をもつものである。これらを同時にホルダー上に配置し、ホルダーは毎分3回転させた。次に、窒素(N2)ガスを該リアクター内に20分間導入し、空気を十分置換除去した後、キャリヤ・ガスとして高純度水素(H2)を毎分6500sccm導入し、N2の流れを止め昇温工程に入った。上記Ga入り石英ボート設置部分およびGaP単結晶基板設置部分の温度が、それぞれ一定温度に保持されていることを確認した後、GaAs1−xPxエピタキシャル膜の気相成長を開始した。
第1p型キャリア濃度増加層の層厚は4μm、第1p型層の層厚は8μm、第2p型キャリア濃度増加層の層厚は10μm、第2p型層の層厚は4μmであった。
まず、ワイヤーボンディングの後のp型層側の電極形成面を観察し、クレータリングの発生の有無を評価した。その結果を図2に示す。図2は実施例と後述する比較例1〜3のエピタキシャルウェーハから作製した発光ダイオードのクレータリングの発生率を示した図であり、縦軸は、100万個の発光ダイオードのうち、クレータリングが発生した発光ダイオードの数を表している。
次に、製造した発光ダイオードの発光輝度の評価を行った。その結果を図3に示す。図3は実施例と後述する比較例1〜3の発光ダイオードの発光強度を比較した図であり、実施例を100とした時の相対値である。
そして、製造した発光ダイオードの発光寿命を評価した。その結果を図4に示す。図4は実施例と後述する比較例1〜3の発光ダイオードの発光寿命を比較した図であり、実施例を100とした時の相対値である。
実施例1において、第1p型キャリア濃度増加層と第2p型キャリア濃度増加層の形成を行わず、第1p型層の厚さを8μm、第2p型層の厚さを4μmとした以外は実施例1と同様の方法によって、図5(a)に示すようなGaP基板21とn型層22と第1p型層23bと第2p型層23dとからなるエピタキシャルウェーハ20を製造し、同様に発光ダイオードを製造した。そして、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、第1p型キャリア濃度増加層の形成を行わず、第1p型層の厚さを8μm、第2p型キャリア濃度増加層の厚さを10μm、第2p型層の厚さを4μmとした以外は実施例1と同様の方法によって、図5(b)に示すようなGaP基板21とn型層22と第1p型層23b’とp型キャリア濃度増加層23eと第2p型層23d’とからなるエピタキシャルウェーハ20’を製造し、同様に発光ダイオードを製造し、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1において、第2p型キャリア濃度増加層の形成を行わず、第1p型層の厚さを8μm、第1p型キャリア濃度増加層の厚さを4μm、第2p型層の厚さを4μmとした以外は実施例1と同様の方法によって、図5(c)に示すようなGaP基板21とn型層22とp型キャリア濃度増加層23e’と第1p型層23b’’と第2p型層23d’’とからなるエピタキシャルウェーハ20’’を製造し、同様に発光ダイオードを製造し、実施例1と同様の評価を行った。
11…基板、 11a…単結晶基板、 11b…基板バッファー層、
12…n型層、 12a…組成変化層、 12b…一定組成層、 12c…窒素濃度増加層、 12d…窒素濃度一定層、
13…p型層、 13a…第1p型キャリア濃度増加層、 13b…第1p型層、 13c…第2p型キャリア濃度増加層、 13d…第2p型層、
20,20’,20’’…エピタキシャルウェーハ、 21…GaP基板、 22…n型層、 23…p型層、 23b,23b’,23b’’…第1p型層、 23d,23d’,23d’’…第2p型層、 23e,23e’…p型キャリア濃度増加層。
Claims (7)
- 少なくとも、基板と、該基板上にエピタキシャル成長によって形成されたn型層および該n型層上にp型層とを有するエピタキシャルウェーハにおいて、
前記n型層および前記p型層はGaAsPまたはGaPであり、前記p型層は少なくとも第1p型層と、該第1p型層より上にありキャリア濃度が高い第2p型層とを有し、
更に、前記n型層と前記第1p型層との間にp型キャリア濃度が漸増する第1p型キャリア濃度増加層と、前記第1p型層と前記第2p型層との間にp型キャリア濃度が漸増する第2p型キャリア濃度増加層を有するものであることを特徴とするエピタキシャルウェーハ。 - 前記第1p型キャリア濃度増加層は、前記p型キャリアの濃度増加率が2×1016〜2×1017cm−3/μmであることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルウェーハ。
- 前記第2p型キャリア濃度増加層は、前記p型キャリアの濃度増加率が3×1017〜3×1018cm−3/μmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエピタキシャルウェーハ。
- 前記第2p型層は、キャリア濃度が0.6〜1.0×1019cm−3であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のエピタキシャルウェーハ。
- 前記第1p型キャリア濃度増加層の層厚が、2〜6μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のエピタキシャルウェーハ。
- 前記第2p型キャリア濃度増加層の層厚が、5〜15μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のエピタキシャルウェーハ。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のエピタキシャルウェーハを用いて製造されたものであることを特徴とする発光ダイオード。
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