JP2011035234A - コロナ放電処理装置用の高周波トランス - Google Patents

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国昭 光平
Akinobu Fujii
章伸 藤井
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友喜 中崎
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Abstract

【課題】漏れインダクタンスの調整が容易であり、鉄損や銅損が少なく、効率の高い、コロナ放電処理装置用の高周波トランスを提供する。
【解決手段】高周波トランス(1)を、棒状の中央部コア(6)を有する鉄心(2)と、中央部コア(6)に巻かれた1次巻線(3)と2次巻線(4)とから構成する。1次巻線(3)と2次巻線(4)は、2枚の第1、2の磁性体片(14、15)から構成されているインダクタンス調整用磁性体(12)を挿入できるように、所定の隙間(d)だけ離間させる。隙間(d)にインダクタンス調整用磁性体(12)を装着すると漏れインダクタンスを増加させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フィルム製造工程においてコロナ放電によりフィルムの表面を改質するコロナ放電処理装置に適用され、所定の漏れインダクタンスを備えている高周波トランスに関するものである。
フィルムは、押出機に供給された原料の樹脂材料を押出機内で溶融し、所定のダイス、例えばT型ダイから押し出して、冷却ロールに掛け回し空冷または水冷し、必要に応じて1軸延伸、2軸延伸等の延伸処理が施され、製造されている。このようなフィルム表面は、印刷し易くしたり、粘着材料や機能材料を塗布し易くするために、いわゆるコロナ放電処理装置によって処理され、ぬれ性が改善されている。
コロナ放電処理装置は、処理されるフィルムが巻き付けられる回転放電ロールと、該回転放電ロールと所定の隙間をおいて設けられている放電電極と、回転放電ロールと放電電極に高周波電圧を印加する電源装置とから構成されている。放電電極と回転放電ロールとは所定の隙間が空けられているので、所定の静電容量のコンデンサが形成されていると見なすことができ、この隙間に流れるコロナ放電による電流は、所定の抵抗を流れる電流と見ることができる。また、電源装置に設けられている、1次側の供給電圧を変換して2次側に高電圧として供給する高周波トランスには、変圧作用に寄与しない所定のインダクタンス成分、いわゆる漏れインダクタンスが含まれている。図4に示されている、高周波トランス51によって、漏れインダクタンスを簡単に説明する。高周波トランス51は、全体的に四角形状を呈する環状の鉄心52と、鉄心52に巻かれている1次巻線53と2次巻線54とから構成されている。1、2次巻線53、54によって生じている磁束は、1次巻線53と2次巻線54を共に鎖交して変圧作用に寄与している鎖交磁束56と、1次巻線53だけに鎖交している1次側漏れ磁束57、57と、2次巻線54だけに鎖交している2次側漏れ磁束58、58とから構成されている。この2次側漏れ磁束58、58によって生じるインダクタンス成分を2次側の漏れインダクタンスと呼ぶ。しかしながら、工学的には、2次巻線54を短絡した状態で1次巻線53側から測定されるインダクタンスを便宜的に漏れインダクタンスとしている。コロナ放電処理装置には、このような漏れインダクタンスLと静電容量Cと抵抗RとからなるLCR直列共振回路が形成されることになる。LCR直列共振回路の共振周波数fは1式で与えられる。
Figure 2011035234
コロナ放電は、共振周波数fと等しい周波数、もしくは共振周波数fの近傍の周波数であって、10〜15kVの高電圧を高周波トランスから供給して発生させる。このようにして発生させるコロナ放電は、LCR直列共振回路の共振周波数fが適切な範囲、例えば、10〜30kHzの範囲にあるときに安定し、運転効率も高い。従って、漏れインダクタンスLは、共振周波数fがこの範囲に入るように放電電極と回転放電ロール間の静電容量Cに応じて決定されることになる。ところで、コロナ放電の放電容量を増減するには、放電電極の面積を増減する必要があるが、放電電極と回転放電ロール間の静電容量Cは、放電電極の面積の大きさに比例する。従って、必要な放電容量を調節すると、静電容量Cが変化してしまうので、共振周波数fが変化してしまう。放電電極の面積を増減した場合であっても、静電容量Cが放電電極と回転放電ロール間の隙間に反比例することを利用して、この隙間を調整することによって静電容量Cが変化しないようにすることもできる。そうすると、共振周波数fを一定に維持することができる。しかしながら、放電電極と回転放電ロール間の隙間を狭くすると、回転放電ロールの偏心の影響によって生じる静電容量Cの変動の度合いが大きくなってしまうし、回転放電ロールに送り出されるフィルムが放電電極に接触して破損してしまう可能性もある。一方、この隙間を広げると回転放電ロールの偏心による影響は小さくなるが、安定したコロナ放電が得られなくなってしまう。つまり、静電容量Cを一定に維持するために、放電電極と回転放電ロール間の隙間を調整することは適切でない。そうすると、放電容量の調節に伴って静電容量Cが変化してしまうのは避けられないので、共振周波数fが10〜30kHzの適切な範囲に維持されるようにするために、漏れインダクタンスLの大きさを調整する必要がある。漏れインダクタンスLの値が異なる複数個の高周波トランスを予め用意しておき、適宜最適な高周波トランスを選択することもできるが、高周波トランスを複数個用意するのは費用が嵩んでしまい無駄であるし、交換作業が煩雑でもある。そこで、漏れインダクタンスLを調整することができる色々な高周波トランスが提案されている。
特開2008−166624号公報 特開2007−180352号公報
特許文献1には、中央に設けられている中脚と、中脚と所定の間隔を空けて両側に設けられている2本の側脚と、中脚と側脚のそれぞれの上端部と下端部同士を接続している2本の接続部とからコアが構成され、1次巻線は中脚に、2次巻線は中脚と側脚とに、それぞれ所定の巻数だけ同心円状に巻かれた高周波トランスが記載されている。1次巻線によって生じた中脚を通る磁束は、1/2の磁束に分岐して2本の側脚に分配され、再び中脚において合流している。従って、2次巻線のうち中脚に巻かれている巻線には、1次巻線によって生じた磁束がほとんど鎖交しているのに対して、側脚に巻かれているそれぞれの巻線には、1/2の磁束だけが鎖交して、他方の1/2の磁束は漏れ磁束になっている。特許文献1に記載の高周波トランスにおいては、2次巻線のうち、側脚に巻かれている巻線の巻数を調整して、この漏れ磁束によって構成される漏れインダクタンスを調整することができる。
特許文献2には、いわゆるエッジワイズ巻きからなる、1次コイルと2次コイルから構成された高周波トランスが記載されている。特許文献2に記載の高周波トランスによると、1次コイルと2次コイルのうち、所定の長さの巻線部分が噛合状態に重ねられる。より詳しく説明すると、1次コイルを構成している螺旋状の銅線の上下のピッチの間に、2次コイルを構成している銅線が挿入されるようにして、互いに重ねられる。1次コイルと2次コイルのうち、重なり合った部分によって生じる磁束はそれぞれのコイルをほぼ完全に鎖交することになるが、重なり合っていない部分によって生じる磁束は、一部が他方のコイルには鎖交しない漏れ磁束になる。従って、1次コイルと2次コイルの重なり長さを調整すると、漏れインダクタンスを調整することができる。
特許文献1または2に記載の高周波トランスによっても、漏れインダクタンスを調整することは可能であり、静電容量Cの変化に対応して漏れインダクタンスを調整すると、コロナ放電に適した共振周波数fを得ることはできる。しかしながら、解決すべき問題点も見受けられる。例えば、特許文献1に記載の高周波トランスによると、漏れインダクタンスLを調整するには側脚に巻かれている巻線の巻数を格別に調整する必要があるので、巻線に接続されている配線を一旦外して実施する必要があり調整が煩雑である。また、側脚の巻数を増やすと、1次側と2次側の巻線比が変化してしまって2次側に供給される電圧が変化してしまうという問題もある。さらには、1次巻線と2次巻線は磁気脚に対して同心円状に巻かれているので、単純に巻線数を増やすことが難しいという問題もある。特許文献2に記載の高周波トランスによると、1次コイルと2次コイルとは所定の長さだけ噛合状態に重ねられているので、相互に必要な絶縁を確保することが難しいという問題があり、高電圧を安全に供給することが難しい。また、1次コイルと2次コイルの重なり長さを調整するには、1次コイル、または2次コイルを必要な回数だけ螺旋状に回転させる必要があり、このように回転させるためには1次コイルまたは2次コイルに接続されている配線を外さなければならない。従って、調整が煩雑である。
他の方法によって漏れインダクタンスLを調整することも考えられる。漏れインダクタンスLは、高周波トランスを構成している鉄心の形状や、1次、2次巻線の形状、1次巻線と2次巻線の配置等によって変化することになるが、例えば、1次巻線と2次巻線を鉄心に対して同心円状に巻き込んで、1次巻線と2次巻線の距離を実質的に零にすると、漏れインダクタンスLを最小にすることができ、逆に1次巻線と2次巻線を離間すると漏れインダクタンスLを増加することができる。従って、1次巻線と2次巻線の距離を調整すると漏れインダクタンスLを容易に調整することが出来る。しかしながら、この場合ある程度の長さの鉄心を備える必要があり、そうすると高周波トランスの重量が増すと共に大型になってしまう。また、漏れインダクタンスLを増加させるために、1次巻線と2次巻線の距離を大きく取ると、漏れ磁束が通過する鉄心の長さが長くなってしまって、鎖交磁束と漏れ磁束を合わせた鉄心内の磁束密度が上昇してしまう。通常、鉄心は飽和磁束密度が低いフェライトコア等から構成されているので、磁束密度の上昇には制限があり、このような方法には問題がある。また、鉄心において、各巻線間からの漏れ磁束が通過する部分の長さが長いと、磁性体のヒステレシスに伴う損失、すなわち鉄損も増えて効率が低くなってしまう。
巻線の巻数を増減して、漏れインダクタンスLを増減する方法もある。具体的には、1次側から観測した漏れインダクタンスは、1次側の巻数の2乗に比例して増加するので、1次側の巻線数を増減して漏れインダクタンスを調整する。しかしながら、通常、供給したい電圧によって巻線比が決定されているので、1次側の巻数を増減すると2次側の巻数も増減する必要がある。従って、漏れインダクタンスLを増加させるために巻線数を増加する方法を採ると、1次側と2次側の両方で巻数が増加してしまって、高周波トランスの重量が増えてしまうし、巻線の抵抗による損失、いわゆる銅損も増加してしまう。
本発明は、上記したような問題点を解決した、コロナ放電処理装置用の高周波トランスを提供することを目的としており、具体的には、小型で軽量でありながら、漏れインダクタンスの調整が容易であり、鉄損や銅損が少なく、効率の高い、コロナ放電処理装置用の高周波トランスを提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、コロナ放電処理装置用の高周波トランスを、磁性材料からなる鉄心と、鉄心に巻かれており直列に所定の隙間を空けて配置されている1次巻線と2次巻線とから構成する。そして、1次巻線と2次巻線の隙間には、磁性材料からなるインダクタンス調整用磁性体が着脱可能に挿入出来るようになっている。また、インダクタンス調整用磁性体には複数種類が用意され、異なる種類のインダクタンス調整用磁性体を挿入すると、高周波トランスの漏れインダクタンスを変更することが出来るようになっている。また、このようなインダクタンス調整用磁性体を板状を呈する第1、2の磁性体片から構成して、1次巻線と2次巻線の隙間に異なる方向から第1、2の磁性体片を挿入するように構成する。
かくして、請求項1記載の発明は、上記目的を達成するために、樹脂製のフィルムの表面を改質するコロナ放電処理用の、所定の漏れインダクタンスを備えている高周波トランスにおいて、前記高周波トランスは、磁性材料からなる鉄心と、前記鉄心に巻かれている1次巻線と2次巻線とからなり、前記1次巻線と前記2次巻線は、所定の隙間を空けて直列に配置され、磁性材料からなるインダクタンス調整用磁性体は、前記隙間に着脱可能に挿入できるように構成されている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のトランスにおいて、前記インダクタンス調整用磁性体には複数種類が用意され、所定のインダクタンス調整用磁性体が選択されて前記隙間に挿入されるように構成されている。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のトランスにおいて、前記インダクタンス調整用磁性体は、板状を呈する第1、2の磁性体片から構成され、前記第1、2の磁性体片は、前記1次巻線と前記2次巻線の前記隙間に、それぞれ異なる方向からスライド的に挿入されるようになっていると共に、挿入長さを調整できるように構成されている。
そして、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載のトランスにおいて、前記鉄心は、所定長さの棒状を呈している中央部コアと、前記中央部コアと所定の間隔を空けて両側に平行に設けられている第1、2の側部コアと、前記中央部コアと前記第1、2の側部コアの上下端部をそれぞれ接続している第1、2の接続コアとから一体的に形成され、前記1次巻線と前記2次巻線は、前記中央部コアに巻かれるように構成されている。
以上のように、本発明によると、樹脂製のフィルムの表面を改質するコロナ放電処理用の、所定の漏れインダクタンスを備えている高周波トランスにおいて、高周波トランスは、磁性材料からなる鉄心と、鉄心に巻かれている1次巻線と2次巻線とからなるだけであるので、小型で軽量に構成することができる。また、1次巻線と2次巻線は、所定の隙間を空けて直列に配置され、磁性材料からなるインダクタンス調整用磁性体を、前記隙間に着脱可能に挿入できるように構成されているので、1次巻線と2次巻線の間隔を格別に広げたり、巻線数を増加したりすることなく、インダクタンス調整用磁性体を装着するだけで漏れインダクタンスを増加させることができる。従って、鉄損や銅損が少なく、効率の高いコロナ放電処理装置用の高周波トランスを提供することができる。そして、インダクタンス調整用磁性体の装着は、1次、2次巻線の配線を接続した状態においても実施できるので、漏れインダクタンスの変更が容易であるという本発明に特有の効果も得られる。また、他の発明によると、インダクタンス調整用磁性体には複数種類が用意され、所定のインダクタンス調整用磁性体が選択されて1次、2次巻線の隙間に挿入されるようになっているので、きめ細かく漏れインダクタンスを調整することが可能になる。さらには、インダクタンス調整用磁性体は板状を呈する第1、2の磁性体片から構成され、第1、2の磁性体片は、1次巻線と2次巻線の隙間に、それぞれ異なる方向からスライド的に挿入されるようになっていると共に、挿入長さを調整できるように構成されている発明によると、挿入長さを調整するだけで漏れインダクタンスを調整することが可能になるので、調整がさらに容易になるという本発明に特有の効果が得られる。
本発明の実施の形態に係る高周波トランスを模式的に示す図であり、その(ア)は高周波トランスの正面図、その(イ)はインダクタンス調整用磁性体の斜視図、その(ウ)、(エ)、(オ)は、それぞれインダクタンス調整用磁性体が装着された高周波トランスの正面図と側面断面図と上面図である。 本発明の実施の形態に係る高周波トランスの作用を説明する図であり、その(ア)はインダクタンス調整用磁性体が未装着の高周波トランスの、その(イ)はインダクタンス調整用磁性体が装着されている高周波トランスの、それぞれの磁束を示す側面断面図である。 本発明の実施の形態に係る高周波トランスの作用を説明する図であり、インダクタンス調整用磁性体が装着されている高周波トランスの1次巻線と2次巻線のそれぞれに生じている仮想的な磁束を示す側面断面図である。 従来例に係る高周波トランスを示す正面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る高周波トランスは、コロナ放電処理装置に適用されるトランスであって、漏れインダクタンスの調整が可能な高周波トランスである。本実施の形態に係る高周波トランス1は、図1の(ア)に示されているように、所定の形状の鉄心2と、鉄心2に巻き掛けられている1次巻線3と2次巻線4とから構成されている。鉄心2は、フェライト、ファインメット(登録商標)等から構成され、所定の太さで所定の長さの棒状を呈する中央部コア6と、中央部コア6と同じ長さの棒状を呈し中央部コア6と所定の間隔を空けて両側に平行に配置されている第1、2の側部コア7、8と、中央部コア6と第1、2の側部コア7、8のそれぞれの上端部を結合している第1の接続コア9と、それぞれの下端部を結合している第2の接続コア10とから一体的に形成されている。1次巻線4と2次巻線5は、所定の巻数だけ中央部コア6に巻かれ、縦方向に、すなわち直列に所定の隙間dだけ離間して並べられている。このように所定の隙間dだけ離間しているので、本実施の形態に係る高周波トランス1は、この隙間dにインダクタンス調整用磁性体を挿入することが出来るようになっている。本実施の形態においては、いわゆる表皮効果や渦電流によって巻線が発熱することを防止するために、1次巻線4と2次巻線5は、リッツ線によって巻かれている。
本実施の形態に係るインダクタンス調整用磁性体12は、フェライト、ファインメット(登録商標)等の磁性材料からなり、図1の(イ)に示されているように、2枚の所定の厚さの板状を呈する磁性体、すなわち、第1、2の磁性体片14、15から構成されている。第1、2の磁性体片14、15は、1次巻線4と2次巻線5の隙間dに互いに逆方向からスライド的に挿入することができる。図1の(ウ)〜(オ)には、第1、2の磁性体片14、15が隙間dに挿入された状態の高周波トランス1の正面図と側面断面図と上面図が示されている。第1、2の磁性体片14、15の挿入長さは調整することができるようになっている。換言すると、鉄心2と第1、2の磁性体片14、15のそれぞれの隙間sは調整することができるようになっている。隙間sを広くすると漏れインダクタンスは減少し、隙間sを狭くすると漏れインダクタンスは増加するが、隙間sが狭すぎると磁性密度が高くなって鉄損の問題が生じるので、隙間sは鉄損も考慮して調整される必要がある。
本実施の形態に係る高周波トランス1の作用を説明する。高周波トランス1の1次巻線3に所定の周波数の交流電圧を供給すると、2次巻線4から昇圧された交流電圧が得られる。このとき、1次巻線3と2次巻線4には磁束が発生する。大部分の磁束は鉄心2の中を通り、1次巻線3と2次巻線4の両方に鎖交するが、一部の磁束については、部分的に鉄心2を通るだけで外部に抜けたり、鉄心2を通らない。このような一部の磁束の中には、1次巻線3と2次巻線4の一方の巻線だけに鎖交する磁束が存在することになり、このような磁束によって、漏れインダクタンスが生じる。図2の(ア)には、インダクタンス調整用磁性体12が未装着の高周波トランス1において発生している磁束を、側方から見た様子が示されている。高周波トランス1に発生している磁束は、1次巻線3と2次巻線4のいずれにも鎖交している鎖交磁束17、17と、1次巻線3にのみ鎖交して2次巻線4には鎖交していない1次側漏れ磁束18、18と、2次巻線4にのみ鎖交して1次巻線3には鎖交していない2次側漏れ磁束19、19とから構成されている。1、2次側漏れ磁束18、19、…によって生じるインダクタンス成分は、コロナ放電処理装置において必要となる漏れインダクタンスLであるが、インダクタンス調整用磁性体12が未装着の状態においては、1、2次側漏れ磁束18、19、…はわずかであり、漏れインダクタンスLは小さい。
高周波トランス1にインダクタンス調整用磁性体12を装着して運転する。具体的には第1、2の磁性体片14、15を隙間dにスライド的に挿入する。インダクタンス調整用磁性体12が装着された状態において高周波トランス1に発生している磁束を、側方から見た様子が、図2の(イ)に示されている。インダクタンス調整用磁性体12は透磁率が高いのでインダクタンス調整用磁性体12には磁束が密に集中することになる。従って、インダクタンス調整用磁性体12の近傍Aの磁束密度が高くなり、鎖交磁束17’、17’は磁束が減少して、1次漏れ磁束18’、18’と2次漏れ磁束19’、19’は磁束が増加する。これらの漏れ磁束18’、19’、…の磁束が増加するので、漏れインダクタンスLは増加する。
高周波トランス1にインダクタンス調整用磁性体12を装着すると漏れ磁束の磁束が増加する理由については、1次巻線3と2次巻線4のそれぞれに個別に発生している仮想的な磁束を検討することによっても説明することができる。本来の磁束は、1次巻線3と2次巻線4の双方から受ける磁界が合成されたものであるが、図3には、1次巻線3と2次巻線4のそれぞれ一方のみの磁界だけを考慮して、他方による磁界を無視して作図された仮想的な磁束が示されている。すなわち、1次巻線3に流れる電流によって生じている1次側仮想磁束21、21と、誘導起電力に伴って2次巻線4に流れる電流によって生じている2次側仮想磁束22、22とが示されている。1次側仮想磁束21、21を構成している、1本の磁力線21aについて考えると、インダクタンス調整用磁性体12が無い場合には、点線で示されている磁力線21bのようになっている。インダクタンス調整用磁性体12が装着されていると、インダクタンス調整用磁性体12に引き込まれるので、図3に示されているように、磁力線21aはインダクタンス調整用磁性体12の近傍において湾曲する。同様に、1次側仮想磁束21、21を構成している他の磁力線も、2次側仮想磁束22、22を構成している他の磁力線もインダクタンス調整用磁性体12に引き込まれることになる。そうすると、1次側仮想磁束21、21と2次側仮想磁束22、22とから合成される本来の磁束も、インダクタンス調整用磁性体12の近傍において磁束密度が高くなることが分かる。従って、インダクタンス調整用磁性体12が装着されると、高周波トランス1の漏れインダクタンスLは増加する。
本実施の形態においては、形状、厚さ、大きさ等が異なる複数種類のインダクタンス調整用磁性体が用意されており、適宜選択されて高周波トランス1に装着され、所望の漏れインダクタンスLを得ることが出来るようになっている。
本発明の実施の形態は色々な変形が可能である。例えば、インダクタンス調整用磁性体は2枚の磁性体片から構成されているように説明されているが、1枚から構成されていても良いし、3枚以上から構成されていても良い。さらには、インダクタンス調整用磁性体の形状は板状に限定される必要はなく、他の形状に形成されていても実施することが可能であり、1次巻線と2次巻線の隙間の一部に挿入することができれば、漏れインダクタンスを増加させることができる。また、鉄心2の形状は本実施の形態に限定される必要は無く、棒状を呈する形状であっても同様に実施することができる。巻線に関しても変形が可能である。本実施の形態においては、1次巻線、2次巻線については、リッツ線から構成されているように説明されているが、断面形状が扁平な長方形状を呈する平角線からなる銅線によって、いわゆるエッジワイズ巻されていても良い。
本発明に係る高周波トランスは、コロナ放電処理装置だけでなく、他の用途に使用される装置にも適用が可能である。
1 高周波トランス 2 鉄心
3 1次巻線 4 2次巻線
6 中央部コア
7 第1の側部コア 8 第2の側部コア
9 第1の接続コア 10 第2の接続コア
12 インダクタンス調整用磁性体
14、15 第1、2の磁性体片

Claims (4)

  1. 樹脂製のフィルムの表面を改質するコロナ放電処理用の、所定の漏れインダクタンスを備えている高周波トランスにおいて、
    前記高周波トランスは、磁性材料からなる鉄心と、前記鉄心に巻かれている1次巻線と2次巻線とからなり、
    前記1次巻線と前記2次巻線は、所定の隙間を空けて直列に配置され、磁性材料からなるインダクタンス調整用磁性体は、前記隙間に着脱可能に挿入できるように構成されていることを特徴とするコロナ放電処理用の高周波トランス。
  2. 請求項1に記載のトランスにおいて、前記インダクタンス調整用磁性体には複数種類が用意され、所定のインダクタンス調整用磁性体が選択されて前記隙間に挿入されるようになっていることを特徴とするコロナ放電処理用の高周波トランス。
  3. 請求項1または2に記載のトランスにおいて、前記インダクタンス調整用磁性体は、板状を呈する第1、2の磁性体片から構成され、前記第1、2の磁性体片は、前記1次巻線と前記2次巻線の前記隙間に、それぞれ異なる方向からスライド的に挿入されるようになっていると共に、挿入長さを調整できるようになっていることを特徴とするコロナ放電処理装置用の高周波トランス。
  4. 請求項1〜3のいずれかの項に記載のトランスにおいて、前記鉄心は、所定長さの棒状を呈している中央部コアと、前記中央部コアと所定の間隔を空けて両側に平行に設けられている第1、2の側部コアと、前記中央部コアと前記第1、2の側部コアの上下端部をそれぞれ接続している第1、2の接続コアとから一体的に形成され、
    前記1次巻線と前記2次巻線は、前記中央部コアに巻かれていることを特徴とするコロナ放電処理装置用の高周波トランス。
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