JP2011034930A - パターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】FPDの隔壁欠陥部の検出においては高速欠陥検出を、隔壁欠陥部の修正においては欠陥部と正常箇所に形状差や特性差を生じさせることなく、基板全面に亘り一括修正する方法を、それぞれ提供すること。
【解決手段】基板上の欠陥検出を、隔壁樹脂分散液にドーパントとして蛍光体を添加することで、この隔壁欠陥部を含む基板表面にUV光照射により、隔壁表面に凝集した蛍光体を励起、発光させ、欠陥部を顕在化させる。また、欠陥部を含む基板全面に亘り、隔壁樹脂のみを分散させた溶液を塗布し、基板とレチクルとをアライメント位置補正し、同位置で隔壁パターン状に再露光、再現像し、隔壁を形成した後、隔壁を熱硬化することで隔壁欠陥部を修復する。
【選択図】図7

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイの隔壁のパターン形成方法に関し、特に、フラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」と称す)の隔壁パターン欠陥部の検出及び修正方法に関する。
例えばFPDとして、隔壁で区切られた領域に有機発光材料が充填された有機ELディスプレイ(以下、「OLED」と称す)や、無機蛍光材料が充填されたプラズマディスプレイ(以下、「PDP」と称す)を挙げることができる。また、充填物に顔料分散熱硬化型有機材料(以下、「RGB」と称す)を用いることで、液晶ディスプレイ(LCD)用カラーフィルターが製造できる。
OLEDは、2つの電極間に有機発光層を挟持した構造を有し、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させるものである。有機発光層は一層から多層のものがあるが、効率よく発光させるためには、それぞれの層の膜厚が非常に重要であり、有機発光層全体では1μm以下の薄膜にする必要がある。更に、これをディスプレイとして機能するためには、有機発光層を高精細にパターニングする必要があり、このパターニング方法が重要な課題となる。
有機EL層の成膜法は、「乾式法」と「湿式法」に大別される。
乾式法は、低分子材料を真空蒸着させて薄膜を形成する。低分子系の正孔注入材料、発光材料は、真空中での基板からの再蒸発を防ぐため、少なくとも分子量(Mw)350程度以上の化合物であるのが好ましい。かつ分解や炭化を防ぐため、500℃以下の低い蒸発源温度で十分な蒸着速度が得られるよう、通常はMw1200程度以下の材料が使用される。
蒸着可能な低分子材料には分子間力が低い材料が多い。このような材料は、分子が動き易く、分子量が小さく、単純な分子構造を有するため、有機溶媒に溶解して得た溶液を用いて成膜した有機膜は、時間が経つと分子同士が会合して結晶化し、膜に凹凸が生じ易い。そのため、このような有機膜を用いて有機EL素子を作製すると、膜にピンホールが生じて駆動時にショートするという問題があった。これに対し、低分子材料であっても、非対称性の立体的なアモルファス性分子構造にすることで結晶化を防ぐことが可能であるため、このような分子構造の低分子材料により有機膜を形成することが考えられる。
また、乾式法(低分子蒸着法)は、抵抗加熱により、るつぼに入れた有機EL材料を蒸発させ、基板上に薄膜を積層する。3色の有機発光層を併置する場合にフォトリソグラフィなどの湿式法(後述)は下地の有機層にダメージを与えるため適用できない。そこで、シャドーマスクを用いて、必要な箇所にだけ成膜する必要がある。パターン精度を上げるためには、るつぼと基板の距離は大きくとる必要があり、装置が大型になる。連続運転のためには有機材料毎の蒸着槽も必要となる。このため装置が大掛かりとなり、初期投資が大きくなる。また、高精度のマスクアライメントが必要になる。
湿式法は、高分子材料を溶媒に溶解または分散させ、溶液(インキ)として、スピンコート法や印刷法(インクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法等)により基板上に塗布、乾燥して薄膜を形成する。また、正孔注入層として水溶性のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(以下PEDOT/PSS)を使用することにより、その上に水と混ざらない有機溶媒を用いたインターレイヤ(電子ブロッキング層)や発光層を積層することが可能となる。一方、印刷法ではインキに流動性があるため隔壁(仕切部材)を設け、その中にインキを充填してインキ混じり(混色)、ドット形状崩れをなくす必要がある。
画素領域に有機発光材料(インキ)を充填する場合、吐出されたインキが隣の画素領域に流出することを防止するために、前述の画素領域を仕切る隔壁を設けて、隔壁に囲まれる画素領域にインキを充填する。隔壁で囲まれた画素領域には、成膜後の体積に比べてはるかに大きいインキが充填される。しかし表示装置は一般に薄いことが要求されるため、隔壁をむやみに高く形成することができない。このことから隔壁や隔壁で囲まれた画素領域が、インキに対してどのような濡れ性(親和性)を示すかで充填されたインキの挙動が異なる。
従来から、半導体基板、液晶表示装置、あるいはカラーフィルター用基板等に対して、膜厚が比較的薄い塗布膜を形成する技術として、スピンコート法、ロールコート法等の塗布方法が知られている。これらの塗布方法のうち、μmオーダーの薄くて均一な塗布膜を形成する場合には、スピンコート法が一般に好適とされている。このスピンコート法は塗布膜が形成される被塗布基板をスピンチャックに保持して、その中央部に塗布すべき液状物、例えば、レジスト材料を滴下し、その後、その基板を高速回転させて発生した遠心力により基板中央部から外周部に向かって、その液状物を拡散させて塗布膜を形成する方法である。
フォトリソグラフィ法は、基板上へのフォトレジスト(感光性樹脂分散液)塗布に始まり、露光、現像、エッチングを行い、使用済みのフォトレジストを除去する一連のプロセスである。プロセスを大きく二つに分類すると、前半はフォトレジスト膜への回路パターンの転写、即ち、フォトレジスト処理工程を行う。後半はそのフォトレジストパターンを用いた下地膜の加工、即ち、エッチングとフォトレジスト除去である。フォトリソグラフィ工程の前半は、写真製版工程でいえば現像までであり、最終的にフォトレジストに回路パターンが焼付けられるまでである。回路パターンはレチクルから露光装置によって、フォトレジスト膜上に選択的に紫外線(UV)照射され、フォトレジスト内部の光化学反応によりパターンが潜像として出来上がる。それを現像によってイメージとして顕在化させる。
フォトレジストは、各世代ごとに用いられる紫外線の波長に対して十分な感度を持ち、高い解像度が得られるような感光性ポリマー材料開発の成果物である。金属汚染やパーティクル管理が厳重に行われ、ロット内、ロット間の均質性が問われる材料でもある。一般的な材料でありながら、ULSI(大規模集積回路)用としての付加価値は極めて高い。光源の短波長化と同時にフォトレジスト特性に対する要求も厳しくなり、ベーキングや現像条件などで高い管理レベルが必要である。
フォトレジストは通常、感光性樹脂成分を有機溶剤中に溶解させたものであり、基板上に回転塗布などによって膜付けする。装置はスピンコーターやベーキングオーブンなどをインライン化させた「ウェハトラック」と呼ばれる方式が用いられる。フォトレジストには「ネガ型」と「ポジ型」の二種類があるが、現在では解像度の点からポジ型が主流となっている。ネガ型では露光された部分が重合して硬化し、現像によって未露光部が溶出して露光部による像が出来上がる。一方、ポジ型では露光部が解重合するか、あるいは現像液に対して可溶性の構造に変わり、現像によって未露光部分を残す。従って、同一の下地膜パターンを形成する場合、ネガ型とポジ型では白黒反転のパターンを持つレチクルを用いることになる。
ネガ型は残すべきレジストパターン(露光部分)が現像液で膨潤して解像度を低下させるため、安定性や定着性、取扱いが微妙で困難であっても、高解像度が得られることからポジ型が用いられる。ポジ型は感光性材料(キノンジアジド系化合物)とフェノール系樹脂が有機溶剤中に含まれるもので、アルカリ不溶性である。しかし、光照射によって分解(カルボン酸に変化しアルカリへの溶解性向上)してアルカリ可溶性となる。従って、アルカリ溶液を用いればパターンの現像が可能な状態となる。
ネガ型は感光特性を持つビスジアジド系化合物と環化ゴム系樹脂が有機溶剤中に含まれるもので、光照射により架橋が起こり、重合して硬化し、現像液として用いられるキシレンなどに不溶となる。即ち、露光部と未露光部の溶解度に差が生じることでパターンが現像できる。なお、フォトレジストはフォトアライナー光源の短波長化(g線436nm〜i線365nm)とともに改良が進められている。
隔壁樹脂分散液にドーパントとして添加するシンチレータは、荷電粒子による励起エネルギーを可視光に変換する性質を持ち、その主成分によって無機シンチレータ、有機シンチレータと大きく二分される。発光量、減衰長、減衰時間といった諸性質はシンチレータの種類によって異なる。
無機結晶シンチレータとしてよく用いられるNaIやLiIといったイオン結晶の内部電子のエネルギー状態は、離散的なバンド構造になる。純粋な結晶では価電子帯と伝導帯の間のエネルギーギャップ幅が大きく、励起された電子が可視光を放出しながら価電子帯へ戻ることはない。そこでシンチレータは通常、純粋な結晶中に不純物として活性化物質を添加する。
これによりエネルギーバンドの形が変化し、禁制帯中に価電子帯へ可視光を放出しながら戻っていくことのできるエネルギー準位を形成する(活性化センター)。生成した正孔は素早く活性化センターへ移動してそれを電離する。一方、電子は結晶内を自由に移動して電離された活性化物質に出会うまで動く。そして独自の励起エネルギーを持った中性の不純物配位を形成し、光子を放出して基底状態へ落ち込む。
電子−正孔対を形成するのに荷電粒子から得る必要なエネルギーに比べて、活性化物質のある場所で遷移が起こるときの価電子帯への遷移エネルギーシフトは小さい。従って、そこから放出される光の波長は長波長側にシフトすることになり、再び電子−正孔対形成に使われることはない。即ち、活性化物質を含んだ結晶はシンチレーション光をよく透過し、自己吸収は起こらない。
一方、有機シンチレータは有機物質の単一分子のエネルギー準位の遷移によって発光が起こる。代表的な有機シンチレータにアントラセンやスチルベンなどがあり、ほとんどの有機シンチレータでは励起された有機物質分子のエネルギーは遷移が起こる前に分子から分子へと受け渡される。溶液中に発光効率の良い蛍光体を少量添加した場合、溶媒分子がまず励起され、そのエネルギーがやがて発光効率の良い蛍光体分子に移り発光を起こすことになる。このような溶媒に蛍光体が添加されたシンチレータは液体シンチレータやプラスチックシンチレータとして広く利用されている。
そして、近年、基板大型化に伴うOLED面内のゴミや異物の増加によって、全くの無欠陥でOLEDを製造することが困難になってきている。そこで、OLEDの製造工程においてゴミや異物の発生起点を把握し除去対策を取るとともに、ゴミや異物付着により欠陥が発生した隔壁や有機発光層に関しては、欠陥箇所を修正して良品化し、全体的な製造コストを低減させることが重要となってきている。
なお、図8に、(a)正常でない隔壁形状、(b)正常な隔壁の形状をそれぞれ示す(特許文献1)。図8において50は液状体、255は隔壁、Sはガラス基板である。
特開2006−088091号公報(第4頁)
しかしながら、カラーフィルターやOLEDなどの電子機器における隔壁は、例えば、光感光性樹脂を基板上に塗布した後、フォトリソグラフィ法を用いることで形成しており、エッチング等の条件によって得られる隔壁形状が変化してしまう。更に、隔壁の側縁部が丸まってなだらかになってしまった場合には、隔壁の撥インキ性が高く、インキの接触角が高い場合でも、インキが隣接画素の領域内にまで流れ込んでしまう。それ故、隣接画素領域のインキと混液することでカラーフィルターやOLEDが正確な色を表現できず、不良となってしまう。隔壁の角部が丸まっていない場合でも、隔壁上に微小な埃やゴミ等の異物が存在すると、この異物を介してインキが隔壁上から流れ出てしまい、隣接画素のインキと混色による不良を起こしてしまう恐れがある。
従って、インキを画素領域に吐出する前に隔壁の形状を確認することが望ましいが、隔壁の撥インキ性を調べるためには、隔壁が形成された基板上にインキを実際に吐出することでしか確認できず、一度インキを吐出した基板は再使用することができない。また、基板に形成されている全ての隔壁形状を測定するのは多くの時間がかかり実用的ではない。
一方で、埃やゴミ等の異物付着により隔壁に発生した欠陥部の検出には、高精度かつ面形状の一括計測が可能な点で光干渉法によるインライン計測が用いられている。光干渉法は光源から出た光(束)を2つ以上の光に分割し、別々の光路を通った後、再び重ね合わせ、光路差により発生する干渉縞を捉え、これを解析して被検体の表面形状や透過波面形状を求めるものである。
それ故、干渉計測を実施するためには、光源、光分割手段、光重ね合わせ手段、検出手段が必要となる。干渉計は光の波長を物差しとしているので、高精度測定を行える特長があり、観察される明暗の縞は等高線となっていて、その間隔は光源の波長と入射角により決定される。通常、光は被検面に対し、垂直に入射し、そのときの等高線間隔は半波長となる。斜め入射の場合には、入射角に比例して等高線間隔が広くなる(低感度)。
最近では、検査タクト数秒かつナノオーダーの精度で計測可能な装置が望まれているが、従来の光干渉(白色干渉)法では光学系を光軸方向に走査する(Z軸走査)ため、60秒以上の計測時間が必要である。このことは計測速度不足という点で、オフラインの抜取検査など限定的使用に留まっていることを示唆するものである。また、基板(下地層)側からの反射光強度が高い場合は、反射光と参照波面(光)、被検波面がそれぞれ干渉し合うことで精緻な表面プロファイリングが行えない。更に、面内に多様な反射率を有する層が重なった場合や2層以上の膜において両者の反射率差が小さい場合には、個々の層の層厚を計測することが困難となる。
隔壁や有機発光層の欠陥箇所の修正方法としては、針方式、ディスペンス方式、インクジェット方式等の局所吐出法が知られている。しかし、局所吐出法では欠陥形態によって吐出量の制御範囲を大きくする必要があり、更に吐出後の液滴濡れ広がりと相まって、正常箇所と修正箇所の形状、表面撥水性能などに差が生じるという問題がある。一方で形成膜の環境感受性(耐性)を考慮して、修正箇所の乾燥時間を短くするため、溶媒を低沸点化し、かつ濡れ広がり抑制のため、分散液の高粘度化を図る必要があるが、これを行った場合、分散液がヘッド目詰まりや不吐出などを引き起こす原因となる。
また、隔壁や有機発光層の修正において、吐出後の局所加熱(熱硬化)が周辺部への熱伝播(潜熱履歴の変化)から困難であり、このことも正常箇所と修正箇所の架橋または重合度合の差という点で特性に違いを及ぼす。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、FPDの隔壁欠陥部の検出においては高速欠陥検出を、隔壁欠陥部の修正においては欠陥部と正常箇所に形状差や特性差を生じさせることなく、基板全面に亘り一括修正する方法を、それぞれ提供することである。
本発明は上記課題を解決させるために、フォトリソグラフィ技術を用いて基板上に所定のパターンで形成された隔壁の欠陥を検出及び修正する方法であり「基板上への隔壁樹脂分散液塗布に始まり、露光、現像、洗浄、熱硬化させることで基板上に所定のパターンで形成された隔壁において、隔壁樹脂分散液にドーパントとして添加された蛍光体が、熱硬化(これを「PEB」と称す)を経ることで隔壁表面に凝集し、隔壁へのUV光照射により、凝集した蛍光体が励起発光することで、欠陥部を非発光として顕在化(可視化)させることを特徴とする隔壁パターン形成方法である。
また、顕在化された隔壁欠陥の修正においては、この隔壁欠陥部を含む基板全面に亘り、隔壁樹脂のみを分散させた溶液を再被覆(塗布)し、本基板とレチクルとをアライメントを取り、同位置で隔壁パターン状に再露光、再現像し、隔壁を形成した後、本基板を再加熱し、隔壁を熱硬化することを特徴とする隔壁パターン形成方法である。
隔壁のパターンの欠陥部に対し、隔壁樹脂分散液の局所吐出や局所加熱を行うことなく、また現像タイプが初期と異なる隔壁樹脂を用いた場合に対しても、隔壁形成工程を繰り返し行うという簡便な方法で、当該隔壁の欠陥部修正を行うことができる。
本発明のネガ型フォトリソグラフィ工程(マスク合わせ〜PEB)の説明図 本発明のポジ型フォトリソグラフィ工程(マスク合わせ〜PEB)の説明図 本発明の基材全面へのレジスト塗布工程の模式図 本発明の基材全面にレジスト塗布した後、プリベーク処理した基材の模式図 本発明の基材全面への露光工程の模式図 本発明の基材全面への現像工程の模式図 本発明の欠陥部を含めたPEB後の基材と、隔壁欠陥部を含む基材表面にUV光を照射し表面を励起発光させた状態の模式図 特許文献1の図10における、(a)は正常でない隔壁形状を示す図、(b)は正常な隔壁の形状を示す図
以下に本発明の実施形態を、OLEDにおける隔壁パターンの欠陥検出及び修正に基づいて、具体的に説明する。
図1はネガ型フォトリソグラフィ工程(マスク合わせ〜PEB)の説明図であり、同図に図示していないものについては別図にて後述する。
図1(a)において、下地層である正孔注入層6が形成されたガラス基板5には、ネガ型レジスト7がスピンコート法、若しくは、スリットコート法により基板全面に塗布されており、その直上にはアライメント位置補正がされた状態でレチクル2が対向配置されている。図1(b)は、図1(a)の状態で、UV光1をCrマスキング部2bを介してガラス基板上にパターン照射し露光を行うことで、図1(c)は図1(b)の状態で、露光処理をした基板にシャワーヘッド26にてアルカリ現像液29を噴射し、未露光部を溶出させることで、図1(d)は図1(c)の状態で、基板を乾燥、熱硬化(PEB:Post Exposure Bake)することで、それぞれ発現する。
図2は、ポジ型フォトリソグラフィ工程(マスク合わせ〜PEB)の説明図である。
図2(a)から図2(c)は、図1(a)から図1(c)と同様の工程を経ることで、それぞれ発現し、図2(d)は図2(c)、すなわち、露光処理基板にシャワーヘッド26にてアルカリ現像液29を噴射し、解重合した露光部を溶出させた基板を、乾燥、熱硬化することで発現する。
隔壁樹脂材料と蛍光体を溶媒に溶解または分散させたレジストは、数μm程度のレジスト塗布膜を基板に対し均一に形成し、乾燥後の形成膜を1μm程度の薄膜とするため、分散液粘度は10mPa・s程度となる。分散液粘度が10mPa・s以上では、レジスト塗布膜が特に周辺部において遠心力により厚く形成され、基板面内に形成される隔壁高さが不均一となる。
また、塗布、現像、洗浄、熱硬化において、塗布材料へのコンタミ、ダスト等の混入を抑制するため、ウェハトラック内のクリーン度を高める必要がある。更に、現像、熱硬化においては、レジストに撥液作用付与のためドープされたフッ素成分が残渣として隣接する各隔壁間に露出(マイグレーション)するのを防ぐとともに、残留水分や硬化未反応によるアウトガスを抑制するため、減圧状態で熱硬化(乾燥、焼成)を行う必要もある。
隔壁樹脂材料と蛍光体を分散させる溶媒の要求性能は、溶媒自身が高純度でクエンチング(消光)の原因となる物質を含まない、塗布後、レジスト塗布膜が素早く乾燥する、などであり、該当溶媒としてはメチルセロソルブアセテート(2−メトキシエチルアセタート)やプソイドクメンなどがある。また、隔壁樹脂分散液にドーパントとして添加される蛍光体の要求性能は、上記溶媒中で両者(各単量体)が会合しない、少量添加された蛍光体自身の発光効率が良好な場合、溶媒分子がまず励起され、そのエネルギーが遅れて発光効率の良い蛍光体分子に移り発光を起こす、などであり、該当原体としてはアントラセン、クマリン6などがある。
なお、本蛍光体の隔壁樹脂(母材)に対する分散比は、濃度比で5%以下であることが望ましい。
一方、レジストは大気中の水分を吸着しやすく、更に隔壁樹脂原体が吸着水分により加水分解することで分子量低下を引き起こし、粘性変化を生じやすい。このため、レジスト粘性の変化に対応するのに完全密閉型の液供給、塗布機構が必要となる。
図3において、基板吸着ステージ13にはガラス基板5が載せてあり、更にステージには基板と吐出ヘッド10先端のギャップ調整用昇降軸11が設けられている。基板吸着ステージは基板吸着ステージ回転軸14を中心に高速回転(500rpm以上)する機構が具備されている。また、レジスト供給容器16と吐出ヘッド10はレジスト供給配管17により直結され、レジスト供給容器16にはレジスト粘性変化及びコンタミ、ダスト等のレジスト混入防止のため、マイクロポアフィルター15が具備されている。これにより、不純物が混入することなく、均整のとれた塗布膜が基板上に形成される。
なお、プロセスフローは図3(b)の通りであり、図3(a)はレジスト塗布を行う際の装置状態を示すものである。
図4において、基板吸着ステージ13には、レジストが塗布された基板18が載せてあり、基板吸着ステージに昇温機構を設けることで塗布基板の溶媒乾燥(プリベーク)が可能な仕様となっている。これにより、溶媒乾燥前の基板移載に伴い発生する膜の揺らぎ(形成膜厚不均整)が生じない。なお、プロセスフローは図4(b)の通りであり、図4(a)はプリベークを行う際の装置状態を示すものである。
図5において、露光用XYθ基板ステージ21には、プリベークが完了したレジスト塗布基板18が載せてあり、更に基板と一定の間隔を設けた直上部にプロキシミティ(近接)露光を行うためのレチクル2が、フォトアライナー光源より照射されたUV光1をスプリットし、塗布基板面内の所定位置にラインスペースを形成するよう、アライメント位置補正し配置される。なお、アライメント位置補正はXYθ基板ステージ21に対し、対角位置に配置されたCCDカメラ22にてアライメントマーク23ズレ(オフセット量)を検知、補正することでなされる。これにより、フォトレジストがネガ型であれば隔壁形成位置を、ポジ型であれば分散液充填位置を露光するようなパターン露光が可能となる。なお、プロセスフローは図5(b)の通りであり、図5(a)は露光を行う際の装置状態を示すものである。
図6において、現像用XY基板ステージ27には、ストライプパターン状にパターン露光処理をした基板が載せてあり、ガントリー24に具備されたシャワーヘッド26及びシャワーノズル28からアルカリ現像液(TMAH:Tetramethyl ammonium hydroxide)29が基板全面に噴射されるよう、これらがガイドレール25を介してY方向に一定速度で可動する機構となっている。なお、シャワーヘッドには噴射量制御のための調圧弁が設けられていることが望ましい。なお、プロセスフローは図6(b)の通りであり、図6(a)は現像を行う際の装置状態を示すものである。また、図6(c)は、露光後の基板の拡大図である。
図7は、図3に示す隔壁樹脂分散液塗布工程から、図4に示す乾燥工程、図5に示す露光工程、更には図6に示す現像工程を経て、形成された欠陥部を含む隔壁パターン基板と、本基板にブラッグライトによりUV光を照射することで、隔壁表面を励起発光させ、未発光部であるパターン欠陥を顕在化させた状態の模式図である。
UV光は蛍光体に照射する場合、構造破壊(分子結合断裂等)や量子収率低下を引き起こす要因となるが、本発明での欠陥検出における被検体(隔壁樹脂)は非蛍光材であり、かつ熱硬化(PEB)により隔壁材自身が強固な三次元的架橋(網目)構造をとるため、これら特性劣化を生じる懸念がない。
熱硬化性樹脂は主に、単量体(モノマー)の縮合重合で形成され、最初から液状や加熱溶融により流動化するものもあるが、どの樹脂においても加熱し続けると固体になってしまい、元の状態に戻ることはない性質を有している。構造は隣接する高分子鎖の間に結合している側鎖があり、全体的に三次元的架橋構造をつくる。流動状態になるということは分子振動が大きくなることであるから、この構造は互いの鎖が結合により分子が動くことが出来ない状態で、物質の固体状態を保つことに他ならない。よって熱硬化性の硬化反応は不可逆反応であり、熱による変質が強いことになる。
また、母材である隔壁樹脂を構成する単量体が単体で三次元的架橋構造を形成するため、前述した蛍光体物質と会合しクエンチングを引き起こすことなく、網目形状を形成する構造体の中に分散析出される。
以上の実施形態から、本発明における隔壁パターン欠陥部の検出方法は、干渉計などの計測手段を用いずに、被検体である隔壁表面にUV光を照射し、自身を励起発光させることで、形状異常部(隔壁ライン幅異常、未形成)と、正常部との発光面積差、強度差の顕在化を行うことであり、本欠陥部の修正方法は、局所でのレジスト塗布、露光、現像、洗浄、熱硬化を行うことなく、露光時に基板とレチクルをアライメント位置補正した上で、繰り返しフォトリソグラフィ工程を行うことである。
それ故に欠陥検出は、広面積でのUV光照射を可能にすることで大面積一括検査の実現を、欠陥修正はレジストや現像液の局所塗布装置や形成膜の局所加熱装置が不要で、既設(知)の装置、工法にて実現できることを、それぞれ示唆するものである。
<実施例>
基板として板厚0.7mmのガラス基板を用い、基板上に反応性スパッタリング法にてタングステン酸化物(WOx)を50nm形成した後、フッ素がドープされたネガ型アクリル樹脂に対し、アントラセンからなる蛍光体が重量比3%となるよう、溶媒に共分散させレジストとし、本分散液を基板上にスピンコート法にて塗布した。なお、スピンコーターの基板吸着ステージの大きさは一辺が150mmの正方形をなしており、パネル基板サイズで5インチまでの搭載が可能な仕様である。
次に温風循環乾燥機にて110℃で3min、基板プリベーク(溶媒乾燥)を行った後、基板と一定の間隔を設けた直上部にレチクルが配置された状態で、波長405nmのh線をレチクル上部より60sec間照射することでプロキシミティ露光を行った。最後に、この基板全面にアルカリ現像液(0.2%TMAH)を噴射し、更にオゾン水にて洗浄した後、温風循環乾燥機にて220℃で60min、基板PEB(隔壁熱硬化)を行うことで、隔壁ピッチ60μm、隔壁幅40μm、隔壁高さ1μmのストライプパターンテーパー形状隔壁をガラス基板上に形成した。
基板上に形成されたテーパー形状隔壁に関しては、ブラッグライトにて波長365nmの紫外光を隔壁表面に照射することで、蛍光体励起発光異常部である隔壁幅、高さ異常、微小異物による隔壁欠け等のパターン欠陥検出を行った。
また、検出されたパターン欠陥に対して、図3の模式図に示すように、隔壁パターン欠陥部を含む基板全面に隔壁樹脂のみを分散させたレジストをスピンコート法にて塗布した(プロセスフロー:隔壁形成工程−レジスト塗布)。この塗布は、PEB後の隔壁頂部上面の撥水作用により、隣接する各隔壁間のみにレジストが充填されるというもので、既に形成されている隔壁の高さが変化することがない。
次に図4及び図5の模式図に示すように、初期工程と同様、塗布基板にプリベークを行った後、隔壁形成位置を露光するよう、基板とレチクルとをアライメント位置補正し、再度プロキシミティ露光を行った(プロセスフロー:隔壁形成工程−プリベーク、アライメント露光)。この露光は、アライメント位置補正により、隣接する各隔壁間へのUV光照射をマスキング(遮光)し、隔壁形成位置のみ照射を行うというもので、既に形成されている隔壁の幅が変化することがない。また、初期工程で形成された隔壁は光照射による架橋、加熱による重合硬化により反応が終端化しているため、再露光による隔壁表面の親撥水性が変化することもない。
最後に図6の模式図に示すように、初期工程と同様、露光処理基板全面に、アルカリ現像液(0.2%TMAH)を噴射し、現像を行い(プロセスフロー:隔壁欠陥修正工程−現像)、再度洗浄、基板PEBを行うことで、図7の模式図に示すようなパターンを再度、潜像させた。
上記工程完了後、隔壁パターン欠陥に対し、同様にブラッグライトにて波長365nmの紫外光を基板表面に照射し、蛍光体励起発光にてパターン欠陥の修正状態を確認した結果、アライメント位置ズレなく、隔壁ピッチ、幅の正常部に対する差±50nm、隔壁高さの正常部に対する差±100nmで隔壁が修復された。
本修正工程は隔壁パターン欠陥部に対して、局所的な塗布、露光、現像、洗浄、熱硬化を行うことなく、2回フォトリソグラフィ工程を行うのみで欠陥修復が可能であり、微小吐出を行うための設備導入、レジストフォーミュレーションなども行う必要がない。以上の点を鑑みて、この手法は隔壁正常部との形状及び特性差異の簡便な検出、及び差異そのものを低減させるのに効果的であるといえる。
本発明は、有機ELディスプレイ作製のほか、PDPなどの表示デバイスに用いることができ、その他、薄膜トランジスタの配線パターンやカラーフィルターの着色部欠陥修正などにも適用可能である。
1 UV光(h線)
2 レチクル
2a ガラス板
2b Crマスキング部
5 ガラス基板
6 下地層(正孔注入層)
7 ネガ型レジスト
8 露光部(重合硬化、解重合)
9 PEB(熱硬化)後パターン隔壁
10 吐出ヘッド(スピンコート)
11 ギャップ調整用昇降軸
12 レジスト(隔壁樹脂、蛍光体分散液)
13 基板吸着ステージ(スピンチャック)
14 基板吸着ステージ回転軸
15 マイクロポアフィルター
16 レジスト供給容器
17 レジスト供給配管
18 レジスト塗布基板(プリベーク)
19 フォトアライナー(UV)光源
20 UVスプリット照射光(h線)
21 XYθ基板ステージ(露光用)
22 CCDカメラ
23 アライメントマーク
24 ガントリー
25 ガイドレール
26 シャワーヘッド
27 現像用XY基板ステージ
28 シャワーノズル
29 アルカリ現像液(TMAH)
30 露光後基板
31 隔壁欠陥部
32 ガラス基板(隔壁基板グランド部)
33 ブラッグライト
34 UV光(Long wave)
35 隔壁励起発光部
50 液状体
255 隔壁
S ガラス基板

Claims (8)

  1. フォトリソグラフィ技術を用いて基板上に所定のパターンで隔壁を形成する方法において、
    少なくとも、
    前記基板上に隔壁樹脂とドーパントとして蛍光体を分散させた溶液を塗布する第1工程と、
    前記基板のうち前記第1工程にて溶液が塗布された面を、隔壁パターン状に露光する第2工程と、
    前記基板を現像したのち洗浄し、前記基板上に隔壁を形成する第3工程と、
    前記基板を加熱することで前記隔壁を熱硬化させる第4工程と、
    前記基板の隔壁欠陥部の有無を検出する第5工程と、
    前記第5工程における基板上の隔壁欠陥部の検査結果から隔壁の欠陥を判別する第6工程と、
    前記第6工程にて基板上に隔壁欠陥部が検出された場合、隔壁の欠陥部を修正する第7工程と、
    前記隔壁の欠陥部の修正を確認する第8工程と、とを行うこと
    を特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記第5工程は、
    隔壁の欠陥部を含む基板表面にUV光を照射する第51工程と、
    前記UV光照射により隔壁表面に凝集した蛍光体が励起し、隔壁を発光させる第52工程と、
    隔壁発光により欠陥部を顕在化させる第53工程と、を含むこと
    を特徴とする、請求項1記載のパターン形成方法。
  3. 前記第7工程は、
    隔壁の欠陥部を含む基板全面に亘り、隔壁樹脂のみを分散させた溶液を再塗布する第71工程と、
    前記基板とフォトマスクとのアライメントを取り、同位置で隔壁パターン状に再露光する第72工程と、
    前記基板を再現像したのち洗浄し、隔壁を形成する第73工程と、
    前記基板を再加熱し、隔壁を熱硬化させる第74工程と、を含むこと
    を特徴とする、請求項1または2に記載のパターン形成方法。
  4. 前記第8工程は、
    隔壁の欠陥修正部を含む基板表面にUV光を照射する第81工程と、
    UV光照射により欠陥修正部以外の隔壁表面に凝集した蛍光体が励起し、隔壁を発光させる第82工程と、
    隔壁発光により、欠陥部を非発光として顕在化させる第83工程と、と含むこと
    を特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載のパターン形成方法。
  5. 基板全面にストライプパターンで形成された隔壁樹脂に撥液材料を用いて、
    前記第71工程と、前記第72工程から前記第74工程に至る工程と、を繰り返し行うこと
    を特徴とする、請求項3に記載のパターン形成方法。
  6. 基板全面にストライプパターンで形成された隔壁樹脂に分散させる蛍光体にシンチレータを用いたこと、を特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
  7. ストライプパターンで隔壁が形成された基板全面に塗布する隔壁樹脂分散液と、初期に塗布した隔壁樹脂分散液の現像タイプが異なること、を特徴とする、請求項1、3、5、6の何れか一項に記載のパターン形成方法。
  8. 基板上に形成された現像タイプの異なる上下2層の隔壁樹脂層を選択露光用マスクパターンを介して露光する工程と、前記上下2層の隔壁樹脂層をスプレー法にて選択局所現像する工程と、隔壁樹脂層を熱硬化させる工程と、を行うことを特徴とする、請求項1、3、5、6、7の何れか一項に記載のパターン形成方法。
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