JP2011033769A - 走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 波長特性と温度補償特性の両立を図り、かつ組立性や生産性の向上を図ることのできる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置を得ること。
【解決手段】 複数の光源手段から出射した複数の光束の集光状態を変換する光束変換手段と複数の光束を偏向走査する偏向手段と偏向走査された複数の光束を各光束毎に対応した被走査面上に結像させる結像光学手段とを有し、複数の光源手段のうち少なくとも2つの光源手段は光束が出射する方向と直交する方向に配置されており、光束変換手段は複数の光源手段の発光部から同一方向に出射する複数の光束を反射させて同一方向に偏向する複数の光束変換素子を有しており、複数の光束変換素子は各々パワーを有する反射面を少なくとも1面、パワーを有する回折面を少なくとも1面有しており、かつ主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワーを有していること。
【選択図】 図1

Description

本発明は走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置に関し、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタ(LBP)やデジタル複写機やマルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等の画像形成装置に好適なものである。
従来よりレーザービームプリンター(LBP)やデジタル複写機等の走査光学装置においては画像信号に応じて光源手段から光変調され出射した光束をコリメータレンズで平行光束に変換している。また、倒れ補正を行うために平行光束に変換された光束をシリンドリカルレンズで回転多面鏡(ポリゴンミラー)より成る光偏向器の偏向面に線像として形成している。そして光偏向器の偏向面で偏向走査された光束をfθ特性を有する結像光学系によって感光性の記録媒体(感光ドラム)面上にスポット状に集束させ、その面上を光走査して画像記録を行っている。
また、従来よりタンデム型の走査光学装置が種々と提案されている(特許文献1参照)。このタンデム型の走査光学装置は、複数の光源手段から放射した複数の発散光束が対応する複数の絞りによりその光束が制限され、複数のコリメータレンズにより平行光束となって、複数のシリンドリカルレンズに入射する。複数のシリンドリカルレンズから出射した複数の光束は偏向手段としての光偏向器(ポリゴンミラー)の異なる偏向面に線像となり入射し、それぞれ異なる方向に偏向走査される。偏向走査されたそれぞれの光束は異なる結像光学手段を介して異なる被走査面(感光ドラム面)に導光される。これにより画像記録を行っている。
また、従来より走査光学装置においては環境変化として温度変化による結像性能の変化(温度補償特性)やレーザ光の波長変化に伴う結像性能変化(波長特性)を小さく抑えた走査光学装置が種々と提案されている(特許文献2参照)。
特開2003−222812号公報 特開2002−287062号公報
上述した従来のタンデム型の走査光学装置において、複数のシリンドリカルレンズは組立性の観点から、複数の光学素子を主走査方向に並べプラスチックモールドにより一体的に形成して製造されている。特許文献1には通常、光源毎に配置されるシリンドリカルレンズを一体形成した例が開示されており、これにより装置全体の小型化が可能である旨が説明されている。
近年、タンデム型の走査光学装置においても、更なるコンパクト化や組立性の観点から、光源手段からの光束の状態を他の状態に変換するコリメータレンズの一体化も必要とされている。しかしながら、コリメータレンズの一体化は、次の理由から困難とされてきた。
(1-1)複数の光源手段の発光部(発光点)に対し、それぞれ対応するコリメータレンズの光軸方向の位置、ならびに光軸方向に垂直な方向の位置を調整(以下レーザ調整)する必要があること、
(1-2)レーザ調整において光源手段側を調整する場合、レーザパッケージの形状が複雑であることから一旦中間部材に圧入し、それを調整する必要があること、
(1-3)複数の光源手段同士が近接していることから、調整機構そのものや、それを把持する治工具が物理的に干渉してしまうこと、
等が挙げられる。
一方、各部材の複合化を行う場合、生産性の観点からプラスチックモールドでの生産が望まれる。プラスチックモールドを用いた場合、上記項目(1)に加え、環境(温度)変化により、プラスチック内部の屈折率が変化し、光束変換後のピント位置にずれが生じる。特に複数の発光部を有するマルチビーム光源の場合、発光部間に製造公差として波長差を生じるため、従来の屈折面と回折面を用い昇温による波長変化を利用した温度補償の適用が困難になること、が課題として挙げられる。
一方、コリメータレンズのプラスチック化が実現されると、アナモフィック面を容易に形成できるため、従来は別体であったコリメータレンズとシリンドリカルレンズの機能を一体化することが可能となる。特許文献2のレーザ走査光学装置において図2には2面の透過面と少なくとも1面の反射面を有する光学素子の温度補償を行った例が開示されている。しかしながらタンデム型の走査光学装置に適用した場合の組立性を考慮した光学配置や、マルチビーム光源の適用時の波長特性の問題点に関しては、解決策が示されていない。
本発明は波長特性(レーザ光の波長変化による結像特性の変化)と温度補償特性(温度変化による結像特性の変化)の両立を図り、かつ組立性や生産性の向上を図ることのできる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
本発明の走査光学装置は、複数の光源手段と、前記複数の光源手段の発光部から出射した複数の光束の集光状態を変換する光束変換手段と、前記光束変換手段から出射した複数の光束を偏向走査する偏向手段と、前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された複数の光束を各光束毎に対応した被走査面上に結像させる結像光学手段と、を有する走査光学装置において、前記複数の光源手段のうち、少なくとも2つの光源手段は光束が出射する方向と直交する方向に配置されており、前記光束変換手段は、前記複数の光源手段の発光部から同一方向に出射する複数の光束を反射させて同一方向に偏向する複数の光束変換素子を有しており、前記複数の光束変換素子は、各々パワーを有する反射面を少なくとも1面、パワーを有する回折面を少なくとも1面有しており、かつ主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワーを有していることを特徴としている。
本発明によれば波長特性(レーザ光の波長変化による結像特性の変化)と温度補償特性(温度変化による結像特性の変化)の両立を図り、かつ組立性や生産性の向上を図ることのできる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置を達成することができる。
本発明の実施例1の走査光学装置の主走査断面図 本発明の実施例1の走査光学装置の副走査断面図 本発明の実施例1の走査光学装置の入射光学系の主走査断面図 本発明の実施例1の走査光学装置の入射光学系の副走査断面図 本発明の実施例1の走査光学装置におけるアナモフィックコリメータレンズの波長特性を示す図 本発明の実施例1の走査光学装置におけるアナモフィックコリメータレンズの温度特性を示す図 本発明の実施例2の走査光学装置の入射光学系の主走査断面図 本発明の実施例2の走査光学装置における光路Aのアナモフィックコリメータレンズの波長特性を示す図 本発明の実施例2の走査光学装置における光路Aのアナモフィックコリメータレンズの温度特性を示す図 本発明の実施例2の走査光学装置における光路Bのアナモフィックコリメータレンズの波長特性を示す図 本発明の実施例2の走査光学装置における光路Bのアナモフィックコリメータレンズの温度特性を示す図 本発明の実施例のタンデム型の走査光学装置の主走査断面図
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
[実施例1]
図1は本発明の実施例1の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。図2は本発明の実施例1の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。
尚、以下の説明において、副走査方向(Z方向)とは、偏向手段の回転軸と平行な方向である。主走査断面とは、副走査方向(偏向手段の回転軸と平行な方向)を法線とする断面である。主走査方向(Y方向)とは、偏向手段で偏向走査される光束を主走査断面に投射した方向である。副走査断面とは、主走査方向を法線とする断面である。
図中、SR、SLは各々第1、第2のステーション(走査ユニット)である。1a〜1dは各々複数の発光部(発光点)を有する光源手段(マルチビーム光源)であり、例えばマルチビーム半導体レーザより成っている。なお、マルチビーム半導体レーザを以下、単に「半導体レーザ」とも称す。
本実施例においては図1に示すように複数の光源手段1a〜1dのうち、少なくとも2つの光源手段を光束が出射する方向と直交する方向に配置している。詳しくは少なくとも2つの光源手段を主走査方向と副走査方向との少なくとも一方において並列して配置している。また、本実施例の複数の光源手段1a〜1dは、同一の電気基板9の上に配置されている。
2a〜2dは各々絞りであり、光束(光量)を制限している。3(3a〜3d)は光束変換手段であり、複数の光源手段1a〜1dの発光部から出射した複数の光束の集光状態を変換している。本実施例における光束変換手段3はプラスチックモールド製より成り、複数の光源手段1a〜1dから同一方向に出射する複数の光束を反射させて同一方向に偏向する複数の光束変換素子3a〜3dを有している。尚、絞り2a〜2d及び光束変換素子3a〜3dの各要素はそれぞれ入射光学系(集光光学系)La〜Ldの一要素を構成している。
5は偏向手段としての光偏向器であり、複数の偏向面を有する回転多面鏡(ポリゴンミラー)よりなり、モータ等の駆動手段により矢印A方向に等速で回転しており、入射光学系La〜Ldからの光束を偏向走査している。6a〜6dは各々結像光学系としての結像光学手段であり、偏向手段5からの複数の光束を各光束毎に対応した被走査面8a〜8d上に結像させる。第1のステーション(走査ユニット)SR側の結像光学手段6a、6bは、各々共通の第1の結像レンズ61abと第2の結像レンズ62a、62bを有している。第2のステーション(走査ユニット)SL側の結像光学手段6c、6dは、各々共通の第1の結像レンズ61cdと第2の結像レンズ62c、62dを有している。結像光学手段6a〜6dは、各々光偏向器5によって偏向反射された画像情報に基づく光束を対応する被走査面としての感光ドラム面8a〜8d上に結像させている。かつ結像光学手段6a〜6dは、各々副走査断面内において光偏向器5の偏向面51、52と感光ドラム面8a〜8dとの間を共役関係にすることにより偏向面の面倒れ補償を行っている。
7a,7b1,7b2は各々第1のステーションSR側のミラー(反射ミラー)であり、ステーションSR内で光路を折り曲げている。7c1、7c2,7dは各々第2のステーションSL側のミラー(反射ミラー)であり、ステーションSL内で光路を折り曲げている。8a,8bは各々第1のステーションSR側の被走査面としての感光ドラム面(感光ドラム)である。8c,8dは各々第2のステーションSL側の被走査面としての感光ドラム面(感光ドラム)である。
<走査光学装置>
本実施例の走査光学装置は4つの光源手段1a〜1dの発光部から出射した光束を異なる4つの被走査面8a〜8dに導光し、光走査するものである。以下、走査光学装置の機能説明においては簡単のため1つの光源手段1aから出射した光束について説明する。なお、他の光源手段1b〜1dから出射した光束についても同様である。
光源手段である半導体レーザ1aから出射した発散光束は絞り2aによって光量を制限され、対応する光束変換手段3の光束変換素子3aに入射する。なお、本実施例では光源手段から2本の光束が出射されているが、特に断りのない限り図中では1本の光束として記している。
光束変換素子3aは、光源手段1aからの光束を主走査断面内(主走査方向)に関しては平行光束に近い光束に変換し、副走査断面内(副走査方向)に関しては偏向手段5の偏向面51に結像するよう収束光束に変換している。偏向手段5に入射した光束は偏向面51により被走査面方向に偏向走査され、結像光学手段6aに入射する。本実施例において結像光学手段6aは主に主走査方向にパワーを有するプラスチック製の第1のトーリックレンズ(結像レンズ)61abと主に副走査方向にパワーを有するプラスチック製の第2のトーリックレンズ(結像レンズ)62aとより構成される。また結像光学手段6aは、偏向面51からの偏向光束を被走査面8aに結像させるとともに偏向面51の倒れを補償している。
本実施例における第1のトーリックレンズ61abは、上記の如く2組の結像光学手段6a、6bで共通に使用されている。なお、結像光学手段6aの形態、製法はこれに限定されるものではない。上記結像光学手段6aにより被走査面8a上に結像した光束は、モータ軸(不図示)に取り付けられたポリゴンミラー(偏向手段)5の回転により被走査面8a上を矢印B方向(主走査方向)に等角速度で偏向走査する。
<タンデム型の走査光学装置>
本実施例における走査光学装置はこれらの走査機能を4つ有することで、異なる色相に対応する画像情報を同時に異なる被走査面上に記録するタンデム型の走査光学装置であり、以下、それについて、詳細に説明する。
本実施例における4つの光源手段1a〜dは上述した如く光束が出射する方向と直交する方向に配置されている。このうち光源手段1a、1bの発光部から出射した光束を偏向手段5の偏向面51へ、光源手段1c、1dの発光部から出射した光束を偏向手段5の偏向面52へ入射させ、それぞれの光束を偏向手段5の左右に分離している。さらに光源手段1a、1bの発光部から出射した光束は、副走査断面内で異なる入射角をもち、偏向手段5の偏向面51に対して斜入射させることにより、第1のトーリックレンズ61ab後に配置したミラー7b1により空間分離している。尚、光源手段1c、1dの発光部から出射したの光束に関しても同様である。
このように偏向手段5に対し異なる斜入射角を有する複数の光束を、該偏向手段5の異なる2つの偏向面51、52に入射させることにより、一つの偏向手段5で4つの光束を同時に走査可能としている。
<入射光学系>
次に本実施例における入射光学系に関し図3、図4を用いて説明する。図3は本発明の実施例1の入射光学系の主走査断面、図4は本発明の実施例1の入射光学系の副走査断面図である。なお、図3において、サフィックス(接尾語)xはa,bを表わす。
本実施例における光束変換素子3a〜3dは各々光源手段1a〜1dの発光部からの光束を平行光束化するコリメータレンズとしての機能と、面倒れ補正のため光偏向器の偏向面に副走査方向の光束のみを集光させるシリンドリカルレンズの機能とを有している。
光束変換手段3は、この光束変換素子3a〜3dをプラスチックモールドにより複合化(一体化)しており、1つの光学素子でコリメータレンズ4枚分、シリンドリカルレンズ4枚分の機能を併せ持っている。これにより本実施例では光学系の簡素化はもちろんのこと、装置の組立性の向上や、小型化にも充分寄与するものとなっている。なお、以下、光束変換手段3を「アナモフィックコリメータレンズ」とも称す。表1に本実施例における光源手段LDから偏向手段の反射面Porまでの設計値を示す。なお、以下の各表において、E−xは10−xを意味する。
ここで光束変換素子3aを例にとってその形状と光学的な機能に関し説明する。本実施例においては他の光束変換素子3b〜3dも光束変換素子3aと同様の構成である。本実施例における光束変換素子3aは、パワーを有する反射面を少なくとも1面(本実施例ではR2、R3の2面)、パワーを有する回折面を少なくとも1面(本実施例ではR1の1面)有している。かつ光束変換素子3aは、主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワーを有している。
つまり、光束変換素子3aの入射面(R1)31aは平面のベース形状上にアナモフィックな回折面が形成されており、その大きな色収差特性を用い、昇温に伴う屈折率変化や形状変化による光学特性変化を補償している。光束変換素子3aの第1反射面(R2)32aは主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワーを有するアナモフィックな面よりなり、かつ全反射条件を満たす全反射面よりなっている。
光束変換素子3aの第2反射面(R3)33aは平面な形状より成り、光束を偏向手段5の偏向面方向に偏向(反射)する機能を有している。光束変換素子3aの出射面(R4)34aはパワーが0もしくはパワーが小さい平面(屈折面)より成っている。ここで本実施例の回折面はベース屈折面上に以下の位相関数で表される回折格子を付加した形状より成っている。
φ=mλ=d2mY2+d2sZ2
(但しmは回折次数で、本実施例は+1次光を使用)
複数の光源手段1a〜1dから射出された複数の光束は絞り2a〜2dを介し光束変換手段3のそれぞれ対応する光束変換素子3a〜3dへ入射し、それぞれ光束が変換され、対応する偏向面51、52に導光される。
<波長特性と温度補償特性の両立>
ここでアナモフィックコリメータレンズ3の光束変換素子3aにパワーを有する反射面(第1反射面32a)を用いている理由を記す。なお、他の光束変換素子3b〜3dも光束変換素子3aと同様である。
第1の理由は、温度変化に伴う光学特性の変化量自体を抑えることにより、アナモフィックコリメータレンズの波長特性(温度変化を伴わず波長変化した場合の光学特性)と温度特性(温度変化により波長変化した場合の光学特性)の両立を図るためである。特に本実施例は複数の光束を出射するマルチビーム光源を用いており、複数の光源間の波長差による光学特性変化を光源毎に調整することができず、上記波長特性がより重要となる。
通常、温度変化に伴い媒質中の屈折率が変化することにより光学特性変化が発生するが、反射面の場合、反射前後の媒質の屈折率が同一であるため、屈折率変化により光学特性変化を生じない。このため本実施例では光束変換素子3aの主たるパワーを反射面である第1反射面32aに付与している。この結果、光束変換素子3aの屈折面(出射面34a)のパワーは0もしくは小さく、結果、屈折面にて生じる温度変化による屈折率変化に伴う光学特性変化を小さくすることが可能となる。
本実施例ではこの屈折率変化による光学特性変化の他、全ての光学面で発生する温度変化による光学面の膨張収縮に伴う光学特性変化を温度補正の対象としているが、その補償量自体も小さくなる。温度補償の原理は温度変化により半導体レーザの波長変化と屈折率変化が同時に発生することを利用し、前述の光学特性の変化を回折面による強い軸上色収差で補正するものであり周知の技術である。しかしながら本実施例においては補償量自体を小さくしているため、その回折面のパワーも相対的に小さくなることが特徴である。
図5は本実施例のアナモフィックコリメータレンズ3の光束変換素子3aの波長特性を示す図である。同図においては波長変化が生じたときの主走査方向(dm)及び副走査方向(ds)のピント変化を示している。なお、他の光束変換素子3b〜3dの波長特性も光束変換素子3aと同様である。
一般的に半導体レーザの複数の発光部(発光点)からの光束の間には公差上2nm程度の波長差を生じる。同図によれば本実施例では2nmの波長差による光学特性変化(結像位置の変化)は主走査方向で9μm、副走査方向で11μmであり、十分小さい量に抑えられている。なお、半導体レーザの絶対波長自体はこれよりも大きい量変動するが、複数の発光部からの光束の波長が揃っていれば、所謂レーザ調整(光源手段−アナモフィックコリメータレンズ間距離の調整)により補正することが可能で問題とならない。
図6は本実施例のアナモフィックコリメータレンズ3の光束変換素子3aの温度特性を示す図である。同図においては温度変化により波長変化と屈折率変化が同時に生じたときの主走査方向(dm)及び副走査方向(ds)のピント変化を示している。なお、他の光束変換素子3b〜3dの温度特性も光束変換素子3aと同様である。
一般的に画像形成装置本体内で想定される温度変化は±25℃程度であり、同図によればそのときの光学特性変化は主走査方向及び副走査方向とも1μm以下であり、十分小さい量に抑えられている。なお、図5、図6とも光源手段側の値でピント変化を議論しているが、被走査面側への変換は光学系全体の縦倍率を乗ずればよく、その値は一般的に25〜100倍程度の値となる。
<光源間隔の確保>
次に第2の理由は、タンデム型の走査光学装置の各色相に対応する入射光学系の複合化の時に課題となる光源間隔を広くし、レーザ調整のスペースを確保するためである。レーザ調整は通常以下の工程よりなる。
(2-1)ピント調整工程:出射光束が特定の平行光束、あるいは収束光束、発散光束となるよう、半導体レーザとコリメータレンズ間の距離を調整する。
(2-2)照射位置調整工程:出射光束が特定のターゲットに照射するよう、半導体レーザとコリメータレンズ間の同軸度(光軸に垂直な方向の位置)を調整する。
(2-3)ピッチ間隔調整工程:マルチビーム走査光学装置の場合、被走査面上で複数の光束のピッチ間隔が特定の値となるよう、半導体レーザを出射軸中心に回転させ調整する。
これらの調整は光学的には半導体レーザ、コリメータレンズのどちらを移動させても同じであるが、半導体レーザは半田付け等で電気基板に取り付ける必要があるため、より調整しやすいコリメータレンズ側を移動させることが一般的である。
しかしながら本実施例においては、コリメータレンズ側が4つの光学素子を一体構造としているため個別に位置を調整することは困難である。よって、本実施例においては光束変換素子3a〜3dに対し各々対応する半導体レーザ1a〜1dの位置を調整することにより、該半導体レーザ1a〜1dのピント及び照射位置及びピント間隔を調整している。このとき重要なのは調整工具において各々の半導体レーザを調整のためチャッキングするスペース及び調整後の半導体レーザを固定するスペースを確保することである。なお、半導体レーザを固定するスペースとは、半導体レーザとそのホルダーを紫外線硬化樹脂を用いて接着固定するために必要な、紫外線照射装置の光ファイバーの設置場所等である。
本実施例では図3に示す通り光源手段1a〜1dから出射する光束の方向を、対応する光束変換素子3a〜3dの反射面を用い、一旦それぞれの光束が相対する方向に偏向し、さらに全ての光束が偏向手段5の偏向面へ入射するよう偏向している。これによりアナモフィックコリメータレンズ3の出射面における少なくとも2つの光源手段と対応する光束の主走査方向の間隔(L2)10mmに対し、光源手段の主走査方向の間隔(1a、1bと1c、1dの間隔(L1))が20mmと広くなるようにしている。
その結果、本実施例では反射面を用いないコリメータレンズで構成した場合の光源間隔10mmと比較し、新たに10mmのスペースを確保することができる。これにより、半導体レーザを調整のためチャッキングするスペース及び調整後の半導体レーザを固定するスペースとして生かすことが可能となる。
なお、上記のような入射光学系の配置にすることにより、4つの光源手段1a〜1dを光束が出射する方向と直交する方向に配置することができるため、該4つの光源手段1a〜1dを同一の電気基板9の上に配置することができる。
このように複数の光源手段1a〜1dを光束が出射する方向と直交する方向に配置することにより、複数の光源手段1a〜1dの発光回路を集約化による効率的な回路設計が可能となり、光源発光基板(電気基板)の簡素化が実現できる。
なお、本実施例では光学箱のレーザ鏡筒取付け部にレーザ鏡筒を直接取付る構成であるが、複数のレーザ鏡筒を同時に保持するサブユニット(所謂レーザユニット)を作成し、その状態でレーザ調整をした後、光学箱に組込んでも同様の効果を得ることができる。
本実施例においては上述した如く光束変換手段3を、複数の光源手段1a〜1dの発光部から同一方向に出射する複数の光束を反射させて同一方向に偏向する複数の光束変換素子3a〜3dより構成している。さらに複数の光束変換素子3a〜3dを、各々パワーを有する反射面を少なくとも1面、パワーを有する回折面を少なくとも1面有するように構成し、かつ主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワーを有するように構成している。これにより本実施例ではプラスチック等の生産性の高い材料を用いた光束変換素子においても、波長特性と温度補償特性の両立が可能となり、樹脂を用いて製作することからシリンドリカルレンズ機能との一体化も図ることができる。さらに複数の光束変換素子3a〜3dの反射面を各々適切に配置することにより、走査光学装置の光源の間隔を各々レーザ調整が実施できるレベルに確保することができ、さらには走査光学装置の複数の光束に対応する光学素子間の複合化が可能となる。
このように本実施例は光学性能を犠牲にすることなく、組立性や生産性を確保したまま入射光学系の機能を一体化し、光学素子を複合化することができ、これにより高性能で、かつ組立性の良好なるタンデム型の走査光学装置を実現している。なお、本実施例では光源手段を複数の発光部を有するマルチビーム光源より構成したが、これに限らず、単一の発光部を有する光源より構成してもよい。
[実施例2]
図7は本発明の実施例2の走査光学装置の入射光学系の主走査方向の要部断面図である。同図において図3に示した要素と同一要素には同符番を付している。
本実施例において、前述の実施例1と異なる点は、複数の光源手段11a〜11dの配置及び光束変換手段としてのアナモフィックコリメータレンズ13の構成を異ならせたことである。その他の構成及び光学的作用は実施例1と同様であり、これにより同様な効果を得ている。
つまり、図7において、11a〜11dは各々複数の発光部を有する光源手段であり、例えばマルチビーム半導体レーザより成っている。本実施例においては、図7に示すように複数の光源手段11a〜11dのうち、少なくとも2つの光源手段を光束が出射する方向と直交する方向に配置している。詳しくは少なくとも2つの光源手段を主走査方向と副走査方向との少なくとも一方において並列して配置している。
13は光束変換手段としてのアナモフィックコリメータレンズであり、プラスチックモールド製より成っている。本実施例におけるアナモフィックコリメータレンズ13は複数の光源手段11a〜11dから同一方向に出射する複数の光束を反射させて同一方向に偏向する複数の光束変換素子13a〜13dを有している。表2に本実施例における光源手段LDから偏向手段の反射面Porまでの設計値を示す。

本実施例においては前述の実施例1と異なり、複数の光源手段11a〜11dの複数の発光部から出射した複数の光束をそれぞれ1回の反射で偏向手段5に導光している。そのため光源手段11c、11dからの光束が通過する光路A(SL)の光束変換素子13c、13dと光源手段11a、11bからの光束が通過する光路B(SR)の光束変換素子13a、13bとでは主たるパワーを有する反射面の位置が互いに異なる。つまり、本実施例では複数の光束変換素子13a〜13dのうち、少なくとも2つの光束変換素子(13a,13bと13c,13d)が互いに異なる光学配置より成っている。
通常、このような光学配置では光路Aの光束変換素子13c、13dと光路Bの光束変換素子13a、13bとで主走査方向の焦点距離が異なり、それぞれの光束の利用効率が異なってしまうという問題点がある。しかしながら、本実施例では屈折面を含めたパワー配置(屈折力)を光路A,Bで互いに異ならせることにより、両者の主走査方向の焦点距離を揃えている。つまり、本実施例では複数の光束変換素子13a〜13dのうち、少なくとも2つの光束変換素子(13a,13bと13c,13d)の主走査方向の焦点距離が等しくなるように構成している。
ここで、光路Aの入射光学系に関し光源手段11cから出射する光束を例にとり説明する。なお、光源手段11dから出射する光束も同様である。光源手段11cからの光束は光束変換素子13cの入射面(R1)35cに入射し、全反射面(R2)36cで偏向手段方向に偏向された後、出射面(R3)37cを介し偏向手段5の偏向面に導光される。各光学面の構成であるが、本実施例においても前述の実施例1と同様、反射面36cをアナモフィック面とすると共に、主たるパワーを同面に付している。
ここでこの反射面36cの位置は光路Bの反射面36aと比較し、光源手段から離れた場所に位置することから、入射面35cを正のパワーを有するアナモフィック面としている。これにより、光路Aの光束変換素子13cの主走査方向の主平面を反射面36cから光源手段11cよりに移動させている。出射面37cはアナモフィックなパワーを有する回折面であり、実施例1と同様、光束変換素子13cの温度補償を行っている。入射面35cは平面である。
光路Bの入射光学系に関し光源手段11aから出射する光束を例にとり説明する。なお光源手段11bから出射する光束も同様である。光源手段11aからの光束は光束変換素子13aの入射面(R1)35aに入射し、全反射面(R2)36aで偏向手段方向に偏向された後、出射面(R3)37aを介し偏向手段の偏向面に導光される。各光学面の構成であるが、本実施例においても実施例1と同様、反射面36aをアナモフィック面とすると共に、主たるパワーを同面に付している。
ここでこの反射面36aの位置は光路Aの反射面36cと比較し光源手段から近い場所に位置することから、出射面37aを正のパワーを有するアナモフィック面としている。これにより、光路Bの光束変換素子13aの主走査方向の主平面を反射面36aから偏向手段よりに移動させている。出射面37aはさらにアナモフィックなパワーを有する回折面であり、実施例1と同様、光束変換素子13aの温度補償を行っている。入射面35aは平面である。
このように光路Aと光路Bの光束変換素子13a,13cの各々のパワー(パワー配置)を異ならせ、各々の主平面を制御することにより、両者の主平面位置を揃え焦点距離が同一となるよう構成し、光源手段11a,11cからの光束の利用効率を揃えている。
図8は本実施例の光路Aにおける光束変換素子13c,13dの波長特性を示す図、図10は本実施例の光路Bにおける光束変換素子13a,13bの波長特性を示す図である。図8、図10は各々波長変化が生じたときの主走査方向(dm)及び副走査方向(ds)のピント変化を示している。
一般的に半導体レーザの複数の発光部の間には公差上2nm程度の波長差を生じる。図8、図10によれば本実施例では2nmの波長差による光学特性変化は光路Aにおいて主走査方向で7μm、副走査方向で8μm、光路Bにおいて主走査方向で10μm、副走査方向で6μmであり、十分小さい量に抑えられている。なお、半導体レーザの絶対波長自体はこれよりも大きい量変動するが、複数の発光部の波長が揃っていれば、所謂レーザ調整(光源−アナモフィックコリメータレンズ間距離の調整)により補正することが可能で問題とならない。
図9は本実施例の光路Aにおける光束変換素子13c,13dの温度特性を示す図、図11は本実施例の光路Bにおける光束変換素子13a,13bの温度特性を示す図である。図9、図11は各々温度変化により波長変化と屈折率変化が同時に生じたときの主走査方向(dm)及び副走査方向(ds)のピント変化を示している。
一般的に画像形成装置本体内で想定される温度変化は±25℃程度であり、図9、図11によればそのときの光学特性変化は光路A、光路Bにおいて主走査方向、副走査方向とも1μm以下であり、十分小さい量に抑えられている。なお、図8〜図11とも光源側の値でピント変化を議論しているが、被走査面側への変換は光学系全体の縦倍率を乗ずればよく、その値は一般的に25〜100倍程度の値となる。
本実施例では図7に示すとおり光路Bにおける反射面36a,36bから出射面37a,37bまでの距離を、光路Aにおける入射面35c,35dから反射面36c,36dまでの距離より4mm長く取っている。これにより光源手段の主走査方向の間隔(11a、11bと11c、11dとの間隔)L1を出射面における2つの光源手段と対応する光束の主走査方向の間隔L2より4mm広く取ることが可能となる。これにより半導体レーザを調整のためチャッキングするスペース及び調整後の半導体レーザを固定するスペースとして生かすことが可能となる。
<カラー画像形成装置>
図12は本発明の実施例のカラー画像形成装置の要部概略図である。図12において、160はカラー画像形成装置、110は各々実施例1〜2に示した構成を有する走査光学装置、121,122,123,124は各々像担持体としての感光ドラム、131,132,133,134は各々現像器、151は搬送ベルトである。
図12において、カラー画像形成装置160には、パーソナルコンピュータ等の外部機器152からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ153によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、それぞれ走査光学装置110に入力される。そして、これらの走査光学装置からは、各画像データに応じて変調された光ビーム141,142,143,144が出射され、これらの光ビームによって感光ドラム121,122,123,124の感光面が主走査方向に走査される。
本実施例におけるカラー画像形成装置は上述の如く走査光学装置110からの各々の画像データに基づいた複数の光ビームを用いて各色の潜像を各々対応する感光ドラム121,122,123,124面上に形成している。その後、記録材に多重転写して1枚のフルカラー画像を形成している。
前記外部機器152としては、例えばCCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置160とで、カラーデジタル複写機が構成される。
本発明で使用される画像形成装置の記録密度は、特に限定されない。しかし、記録密度が高くなればなるほど、高画質が求められることを考えると、1200dpi以上の画像形成装置において本発明の実施例1、2の構成はより効果を発揮する。
1a〜1d 光源手段(半導体レーザ)、3 光束変換手段(アナモフィックコリメータレンズ)、3a〜3d 光束変換素子、5 偏向手段(ポリゴンミラー)、6a〜6d 結像光学手段(fθレンズ系)、8a〜8d 被走査面(感光ドラム面)

Claims (12)

  1. 複数の光源手段と、前記複数の光源手段の発光部から出射した複数の光束の集光状態を変換する光束変換手段と、前記光束変換手段から出射した複数の光束を偏向走査する偏向手段と、前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された複数の光束を各光束毎に対応した被走査面上に結像させる結像光学手段と、を有する走査光学装置において、
    前記複数の光源手段のうち、少なくとも2つの光源手段は光束が出射する方向と直交する方向に配置されており、前記光束変換手段は、前記複数の光源手段の発光部から同一方向に出射する複数の光束を反射させて同一方向に偏向する複数の光束変換素子を有しており、前記複数の光束変換素子は、各々パワーを有する反射面を少なくとも1面、パワーを有する回折面を少なくとも1面有しており、かつ主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワーを有していることを特徴とする走査光学装置。
  2. 前記複数の光源手段のうち少なくとも2つの光源手段は、その主走査方向の間隔が、前記光束変換手段の出射面における前記少なくとも2つの光源手段と対応する光束の間隔より広くなるよう、前記複数の光束変換素子が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  3. 前記複数の光源手段の発光部から出射した複数の光束は、前記光束変換手段により主走査方向が平行光束、副走査方向が前記偏向手段の偏向面で結像する収束光束に変換されていることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  4. 前記複数の光源手段は、各々複数の発光部を有するマルチビーム光源であることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  5. 前記複数の光源手段は、同一の電気基板の上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  6. 前記複数の光束変換素子の反射面は、各々主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワーを有していることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  7. 前記複数の光束変換素子のうち、少なくとも2つの光束変換素子の主走査方向の焦点距離は等しいことを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  8. 前記複数の光束変換素子の光学配置は、互いに異なることを特徴とする請求項7に記載の走査光学装置。
  9. 前記複数の光束変換素子の反射面は、各々全反射面であることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  10. 前記光束変換手段は、プラスチックモールド製より成ることを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の走査光学装置の被走査面に配置され、互いに異なった色の画像を形成する複数の像担持体を有することを特徴とする画像形成装置。
  12. 外部機器から入力した色信号を異なった色の画像データに変換して各々の走査光学装置に入力せしめるプリンタコントローラを有していることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
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