JP2011032399A - 難燃剤、難燃性組成物および絶縁電線 - Google Patents

難燃剤、難燃性組成物および絶縁電線 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性組成物の耐寒性および生産性を高めることが可能な難燃剤と、これを用いた難燃性組成物および絶縁電線を提供すること。
【解決手段】海水中の塩化マグネシウムを原料とした水酸化マグネシウムを主成分とする粒子12aが凝集した凝集体12の表面に、140℃における溶融粘度が500mPa・s以上の比較的高粘度の有機高分子を含有する表面処理剤14を表面処理することにより得られる難燃剤10とする。この有機高分子は、融点が100℃以上の樹脂であることが好ましい。有機高分子としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂が好ましい。また、この難燃剤10と、マトリックスポリマーとを含有する難燃性組成物とする。この難燃性組成物を導体の外周に被覆して絶縁電線を作製する。
【選択図】図1

Description

本発明は、難燃剤、難燃性組成物および絶縁電線に関し、さらに詳しくは、車両部品や電気・電子機器部品などの配線に用いられる絶縁電線の被覆材における難燃成分として好適な難燃剤と、これを用いた難燃性組成物および絶縁電線に関するものである。
従来、自動車部品などの車両部品、電気・電子機器部品などの配線に用いられる絶縁電線としては、一般に、導体の外周に、ハロゲン系難燃剤を添加した塩化ビニル樹脂組成物を被覆したものが広く用いられてきた。
ところが、この種の塩化ビニル樹脂組成物は、ハロゲン元素を含有しているため、車両の火災時や電気・電子機器の焼却廃棄時などの燃焼時にハロゲン系ガスを大気中に放出するおそれがあり、環境汚染が懸念されていた。
そのため、地球環境への負荷を低減するなどの観点から、近年では、燃焼時にハロゲン系ガスを放出しないオレフィン系樹脂などに、ノンハロゲン系難燃剤として水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を添加した、いわゆるノンハロゲン系難燃性組成物への代替が進められている。
例えば特許文献1には、電線、ケーブルの被覆材に、水酸化マグネシウムを主成分とする天然鉱物を粉砕して得られた難燃剤を用いることが開示されている。この際、難燃剤は、脂肪酸、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、または、チタネートカップリング剤を主成分とする表面処理剤を用いて表面処理されている。
また、電線分野においては、海水中の塩化マグネシウムを原料とし、水酸化カルシウムとの水溶液反応により得られた水酸化マグネシウムの微粒子を結晶成長させることにより得られた結晶成長体品の水酸化マグネシウムを用いる提案もなされている。
一方、電線分野ではなく、鉄鋼業界においては、排煙脱硫を目的として、海水中の塩化マグネシウムを原料として得られた水酸化マグネシウムの微粒子を、凝集剤を用いて凝集させた凝集体品が用いられた例がある。
特許第3339154号公報
しかしながら、従来、電線分野において提案がなされた水酸化マグネシウムの結晶成長体品は、天然品と比較して製造コストが高いため、コスト面から用いられにくいという問題があった。
一方、水酸化マグネシウムの凝集体品は、結晶成長体品と比較すると製造コストが低いという利点がある。しかしながら、電線分野とは全く分野の異なる鉄鋼業界において、しかも、排煙脱硫を目的として用いられた例があるだけである。そのため、これまで電線分野においては、これを難燃剤として用いるということは全く思いもよらないものであった。したがって、これまで、水酸化マグネシウムの凝集体品を難燃剤として用いるという試みは全くなされていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、従来にない構成の難燃剤を提案するものであり、これを配合する難燃性組成物の耐寒性および生産性を高めることが可能な難燃剤と、これを用いた難燃性組成物および絶縁電線を提供することにある。
そこで、本発明者らが初めて水酸化マグネシウムの凝集体品を電線被覆材用の組成物に配合することを試みたところ、被覆材の耐寒性が十分ではないという知見を得た。また、電線被覆材用の組成物を調製する際には、組成物を混練する混練機からの吐出量が少なく、生産性が十分ではないという知見を得た。さらに、本発明者らは、特許文献1に記載される一般的な表面処理剤により凝集体品を表面処理して用いることも試みたが、耐寒性および生産性の改善が十分ではないという知見を得た。したがって、水酸化マグネシウムの凝集体品を電線分野に適用するためには、さらなる工夫が必要であった。そして、本発明は、これらの知見を得て、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明に係る難燃剤は、水酸化マグネシウムを主成分とする粒子の凝集体と、前記凝集体の表面を覆う有機高分子を含有する表面処理剤とを備え、前記有機高分子は、140℃における溶融粘度が500mPa・s以上の樹脂であることを要旨とするものである。
この際、前記有機高分子は、融点が100℃以上の樹脂であることが望ましい。
そして、前記有機高分子は、オレフィン系樹脂であると良い。オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、および、エチレン−ビニルアセテート共重合体から選択された1種または2種以上を好適に示すことができる。
また、前記表面処理剤の含有量は、前記凝集体100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲内にあることが望ましい。
一方、本発明に係る難燃性組成物は、上記難燃剤と、マトリックスポリマーとを含有することを要旨とするものである。そして、本発明に係る絶縁電線は、上記難燃性組成物を導体の外周に被覆してなることを要旨とするものである。
本発明に係る難燃剤を含有する難燃性組成物は、耐寒性に優れる。また、本発明に係る難燃剤を含有する難燃性組成物は、混練機からの吐出量が低下しにくいため、生産性に優れる。
このことは、次のように推察される。すなわち、本発明に係る難燃剤においては、水酸化マグネシウムを主成分とする粒子の凝集体の表面を覆う表面処理剤が、比較的溶融粘度が高く、また、従来の表面処理剤である脂肪酸などと比較して熱分解されにくい有機高分子を含むため、上記難燃剤を含む難燃性組成物を加熱混練し、あるいは、成形する際の熱履歴によっても、表面処理剤が凝集体の表面に留まりやすい。これにより、凝集体同士の凝集が抑えられ、難燃剤が難燃性組成物中に高分散されるためと推察される。
また、従来の表面処理剤である脂肪酸などと比較して熱分解されにくい有機高分子を含むため、上記難燃剤を含む難燃性組成物を加熱混練し、あるいは、成形する際の熱履歴による揮発性ガスの発生が抑えられる。これにより、上記難燃剤を含む難燃性組成物の混練機内への供給がスムーズに行なわれるため、生産性の低下を抑止できる。
この際、有機高分子が、融点が100℃以上の樹脂であると、上記難燃剤を含む難燃性組成物を加熱混練し、あるいは、成形する際の熱履歴によっても、表面処理剤が凝集体の表面に留まりやすい。
そして、有機高分子がオレフィン系樹脂であると、オレフィン系樹脂よりなるマトリックスポリマーとなじみやすい。そのため、より一層、難燃性組成物中に難燃剤が高分散されやすい。
また、表面処理剤の含有量が特定範囲内にあると、難燃性組成物の耐寒性と生産性とを高める効果が一層高い。
一方、本発明に係る難燃性組成物は、上記難燃剤と、マトリックスポリマーとを含有する。そのため、耐寒性および生産性に優れる。また、本発明に係る絶縁電線によれば、耐寒性および生産性に優れる。
本発明の一実施形態に係る難燃剤を示す断面図である。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る難燃剤10は、水酸化マグネシウムを主成分とする粒子12aの凝集体12と、有機高分子を含有する表面処理剤14とを備えたものである。凝集体12の表面は、表面処理剤14により覆われている。
凝集体12は、水酸化マグネシウムを主成分とする難燃成分である。凝集体12は、海水中の塩化マグネシウムを原料とし、水酸化カルシウムとの水溶液反応により析出(晶出)した水酸化マグネシウムを主成分とする粒子を凝集剤を用いて凝集させることにより得られる。塩化マグネシウムと水酸化カルシウムとの水溶液反応では、粒径が非常に細かい(サブミクロンオーダーの)微粒子状の水酸化マグネシウムが析出(晶出)するため、水酸化マグネシウムは沈降しないで水中に浮遊している。得られた微粒子状の水酸化マグネシウムは、ろ過等により水と分離することができないため、凝集剤を用いて凝集させることにより、凝集体として沈降分離できる。
凝集体12は、その製法に起因して、水酸化マグネシウムを主成分とする粒子12aが凝集したものであるため、全体としては球状に近い形状をしているが、その表面には粒子12aが付着しているため、その表面は滑らかでなく、ごつごつしている。そのため、凝集体12どうしは凝集しやすい。これに対し、結晶成長体品の水酸化マグネシウムは、きれいな結晶よりなるため、その表面はごつごつしていない。
凝集体12の平均粒径は、特に限定されるものではないが、沈降分離しやすいなどの観点から、下限としては0.1μm以上であることが好ましい。一方、例えば電線被覆材の難燃剤として用いたときに、被覆材の外観の悪化を抑えるなどの観点から、上限としては20μm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.2〜10μmの範囲内であり、さらに好ましくは、0.5〜5μmの範囲内である。
凝集体12の表面を表面処理する表面処理剤14は、表面がごつごつしている凝集体12の表面を滑らかにする。表面処理剤14は、有機高分子を含有するものである。表面処理剤14は、有機高分子以外に、添加剤等を含有していても良い。添加剤としては、例えば、酸化防止剤などを例示することができる。
表面処理剤14の有機高分子は、140℃における溶融粘度が500mPa・s以上である。より好ましくは550mPa・s以上、さらに好ましくは600mPa・s以上である。比較的溶融粘度が高いため、熱履歴によっても表面処理剤は凝集体の表面に留まりやすい。これにより、凝集体同士の凝集が抑えられる。有機高分子の溶融粘度は、ブルックフィールド粘度計により測定することができる。
一方で、その溶融粘度が高すぎる場合には、有機高分子が凝集体同士のバインダになりやすい。そうすると、凝集体同士は凝集され、比較的粒径の大きい粒子が形成されやすくなる。この場合には、粒径の小さい粒子の収率が低下するため、製造ロスが多く発生しやすい。このような観点から、有機高分子の140℃における溶融粘度は、好ましくは30000mPa・s以下、より好ましくは、28000mPa・s以下、さらに好ましくは25000mPa・s以下である。
また、表面処理剤14の有機高分子は、熱履歴によっても表面処理剤が凝集体の表面に留まりやすいなどの観点から、比較的融点の高い樹脂が好ましい。具体的には、好ましくは融点が100℃以上であり、より好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上である。
一方、融点が高すぎる場合には、コーティングが難しくなる可能性がある。したがって、有機高分子の融点は、好ましくは200℃以下、より好ましくは195℃以下、さらに好ましくは190℃以下である。有機高分子の融点は、熱分析法(DSC法)により測定することができる。
表面処理剤14の有機高分子の種類としては、特に限定されるものではないが、オレフィン系樹脂が好ましい。オレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレンなどのオレフィンの単独重合体あるいは共重合体、もしくは、オレフィンと、アクリレートやビニルモノマーなどの他のモノマーとの共重合体が挙げられる。これらは1種または2種以上併用することができる。より具体的には、好ましいものとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)などが挙げられる。
ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン重合ポリエチレンなどを例示することができる。
表面処理剤14の有機高分子は、酸変性されていても良い。酸としては、不飽和カルボン酸やその誘導体などを用いることができる。具体的には、不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。また、その誘導体としては、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステルなどが挙げられる。このうち、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましい。これらは1種または2種以上併用しても良い。酸変性されていると、無機物である凝集体になじみやすい。
表面処理剤14の有機高分子に酸を導入する方法としては、グラフト法や直接(共重合)法などが挙げられる。酸変性量としては、有機高分子に対して0.1〜20質量%にすることが好ましい。より好ましくは、0.2〜10質量%であり、さらに好ましくは、0.2〜5質量%である。酸変性量が少ないと、凝集体との親和性を高める効果が小さくなりやすく、酸変性量が多いと、自己重合することがあり、凝集体との親和性を高める効果が小さくなりやすい。
難燃剤10における表面処理剤14の含有量は、100質量部の凝集体12に対し、0.1〜10質量部の範囲内にあることが好ましい。表面処理剤14の含有量が0.1質量部未満であると、凝集体12の表面を滑らかにする効果が低下しやすい。一方、表面処理剤14の含有量が10質量部を超えると、難燃性組成物の耐寒性や生産性を向上させる効果への影響は少ないが、コストが増大する。表面処理剤14の含有量としては、100質量部の凝集体12に対し、より好ましくは0.5〜8質量部の範囲内であり、さらに好ましくは1〜5質量部の範囲内である。
難燃剤10において、表面処理剤14は凝集体12表面の全部を覆っていても良いし、その一部を覆っていても良い。また、凝集体12表面を覆う表面処理剤14の厚さは、特に限定されるものではない。好ましくは、0.001〜0.01μmの範囲内にあると良い。
表面処理剤14による凝集体12の表面処理方法としては、特に限定されるものではない。表面処理剤14の有機高分子を溶解させるための溶媒を用いた湿式方法であっても良いし、溶媒を用いない乾式方法であっても良い。湿式方法による場合、好適な溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒などを例示することができる。溶融状態、あるいは溶解状態にある表面処理剤14中に凝集体12を浸漬するか、凝集体12に対して表面処理剤14を噴霧等することにより、表面処理を行なうことができる。
次に、本発明に係る難燃性組成物について説明する。本発明に係る難燃性組成物は、上記難燃剤とマトリックスポリマーとを含有するものである。
マトリックスポリマーとしては、特に限定されるものではないが、ポリオレフィンやスチレン系共重合体などが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレンゴム、スチレンーエチレンーブチレンースチレンブロック共重合体などを例示することができる。
マトリックスポリマーは、酸変性されていても良い。酸としては、不飽和カルボン酸やその誘導体などを用いることができる。具体的には、不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。また、その誘導体としては、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステルなどが挙げられる。このうち、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましい。これらは1種または2種以上併用しても良い。
マトリックスポリマーに酸を導入する方法としては、グラフト法や直接(共重合)法などが挙げられる。酸変性量としては、有機高分子に対して0.1〜20質量%にすることが好ましい。より好ましくは、0.2〜10質量%であり、さらに好ましくは、0.2〜5質量%である。酸変性量が0.1質量%未満であると、耐寒性や耐摩耗性が低下する傾向が見られる。また、20質量%を越えると、成形加工性が悪化する傾向が見られる。
難燃剤は、マトリックスポリマー100質量部に対して30〜250質量部含有していることが好ましい。より好ましくは、50〜200質量部であり、さらに好ましくは、60〜180質量部である。30質量部未満では、難燃性が低下しやすい。一方、250質量部を超えると、十分な機械特性が得られにくい。
本発明に係る難燃性組成物中には、必要に応じて、当該組成物の物性を損なわない範囲で他の添加剤が配合されていても良い。例えば、電線被覆材などに用いられる一般的な充填剤や、顔料、酸化防止剤、老化防止剤などが配合されていても良く、特に限定されるものではない。
難燃性組成物は、例えば、難燃剤とマトリックスポリマーと、必要に応じて配合される添加剤とを加熱混練することにより調製できる。この際、バンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの通常の混練機を用いることができる。加熱混練する前に、タンブラーなどで予めドライブレンドすることもできる。加熱混練後は、混練機から取り出して当該組成物を得る。その際、ペレタイザーなどで当該組成物をペレット状に成形しても良い。
上述するように、難燃性組成物を調製する際には、混練時および押出成形時に、マトリックスポリマー等とともに難燃剤は加熱される。
本発明に係る難燃剤においては、水酸化マグネシウムを主成分とする粒子の凝集体の表面を覆う表面処理剤は、比較的溶融粘度が高く、また、従来の表面処理剤である脂肪酸などと比較して熱分解されにくい有機高分子を含む。そのため、難燃性組成物を調製する際の熱履歴によっても表面処理剤は凝集体の表面に留まりやすいと推察される。
したがって、この難燃剤を含む難燃性組成物によれば、難燃剤の凝集体同士の凝集が抑えられ、難燃剤が難燃性組成物中に高分散されるものと推察される。その結果、難燃性組成物は耐寒性に優れるものと推察される。また、難燃性組成物は、混練機からの吐出量が低下しにくくなり、生産性に優れるものと推察される。
また、従来の表面処理剤である脂肪酸などと比較して熱分解されにくい有機高分子を含むため、この難燃剤を含む難燃性組成物を加熱混練し、あるいは、成形する際の熱履歴による揮発性ガスの発生が抑えられる。これにより、難燃性組成物の混練機内への供給がスムーズに行なわれるため、生産性の低下を抑止できる。
次に、本発明に係る絶縁電線について説明する。本発明に係る絶縁電線は、上述する難燃性組成物を被覆材の材料として用いたものである。絶縁電線の構成としては、導体の外周に直接、被覆材が被覆されていても良いし、導体とこの被覆材との間に、他の中間部材、例えば、シールド導体や他の絶縁体などが介在されていても良い。
導体は、その導体径や導体の材質など、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。また、被覆材の厚さについても、特に制限はなく、導体径などを考慮して適宜定めることができる。
上記絶縁電線は、例えば、バンバリミキサー、加圧ニーダー、ロールなどの通常用いられる混練機を用いて混練した本発明に係る難燃性組成物を、通常の押出成形機などを用いて導体の外周に押出被覆するなどして製造することができる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(供試材料および製造元など)
本実施例および比較例において使用した供試材料を製造元、商品名などとともに示す。
・マトリックスポリマー(ポリプロピレン)[日本ポリプロ(株)製、商品名「EC7」]
・水酸化マグネシウム(凝集体)[日本海水化工(株)製、商品名「MS−1H」]
・表面処理剤
(a)ポリプロピレン(PP)(サンアロマー社製、商品名「PMA20V」)
(b)ポリプロピレン(PP)(サンアロマー社製、商品名「PMA20V」)
(c)ポリエチレン(PE)(日本ポリエチレン社製、商品名「UJ790」)
(d)ポリエチレン(PE)(日本ポリエチレン社製、商品名「UJ790」)
(e)エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)[三井化学社製、商品名「EV550」]
(f)エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)[日本ポリエチレン社製、商品名「LV371」]
(g)メタロセンポリエチレン[日本ポリプロ社製、商品名「RFG4VA」]
(h)PPワックス[クラリアント社製、商品名「2602」]
(i)PEワックス[クラリアント社製、商品名「PE190」]
(j)ポリプロピレン(PP)(サンアロマー社製、商品名「PMA20V」)
(k)ポリプロピレン(PP)(サンアロマー社製、商品名「PMA20V」)
(l)ポリエチレン(PE)(日本ポリエチレン社製、商品名「UJ790」)
(m)ポリエチレン(PE)(日本ポリエチレン社製、商品名「UJ790」)
(n)ステアリン酸(試薬)
(o)ステアリン酸亜鉛(試薬)
(p)メタクリルシラン(試薬)
・酸化防止剤[チバスペシャルティケミカルズ(株)製、商品名「イルガノックス1010」]
(難燃剤の調製)
水酸化マグネシウム(凝集体)を温度200℃にてスーパーミキサー内で撹拌しながら、表面処理剤を約5分かけてミキサー内に徐々に投入した。所定量投入後、さらに約20分撹拌して、実施例および比較例に係る難燃剤を調製した。各表面処理剤の種類、含有量、融点(℃)、および、140℃における溶融粘度(mPa・s)は、表1に示す通りである。各表面処理剤の含有量(処理量)は、水酸化マグネシウム(凝集体)100質量部に対する割合(質量部)により示している。また、表1に示す粘度は、各表面処理剤の140℃における溶融粘度(mPa・s)である。溶融粘度の測定方法および融点の測定方法は以下に示した。
(難燃性組成物および絶縁電線の作製)
二軸混練機を用いて、表1または表2に示す各成分(質量部)を混合温度200℃にて混練した後、混練物を二軸混練機より吐出し、ペレタイザーにてペレット状に成形して実施例および比較例に係る難燃性組成物を得た。次いで、得られた各難燃性組成物を、押出成形機により、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅撚線の導体(断面積0.5mm)の外周に0.2mm厚で押出被覆し、実施例および比較例に係る絶縁電線を作製した。
(試験方法)
以上のようにして作製した各難燃性組成物の二軸混練機からの吐出量(kg/h)を評価した。また、各絶縁電線について、耐寒性試験を行った。結果を表1および表2に示す。
(溶融粘度)
ブルックフィールド粘度計を用いて、各表面処理剤の140℃における溶融粘度を測定した。
(融点)
示差走査熱量計(DSC)を用いて、温度上昇速度10℃/分で各表面処理剤の融点を測定した。
(吐出量)
バレル温度230℃、樹脂温度230℃で、各難燃性組成物の二軸混練機からの吐出量(kg/h)を測定した。
(耐寒性試験)
JIS C3005に準拠して行なった。すなわち、作製した絶縁電線を38mmの長さに切り出して試験片とした。そのサンプルを試験機にかけ、冷却しながら打撃具でたたき、5本すべてが割れたときの温度を耐寒温度とした。耐寒温度が−20℃以下となるものを合格とした。
Figure 2011032399
Figure 2011032399
比較例1〜4は、水酸化マグネシウムを主成分とする粒子の凝集体の表面に、溶融粘度の低い樹脂をコートしたものからなる難燃剤を用いている。比較例1〜4に係る絶縁電線によれば、耐寒性に劣っていることが分かる。また、比較例1〜4において、難燃性組成物を調製する際の混練物の吐出量が少なく、生産性に劣っていることが分かる。
比較例5〜7は、水酸化マグネシウムを主成分とする粒子の凝集体の表面に、有機高分子ではない、従来の表面処理剤をコートしたものからなる難燃剤を用いている。比較例1〜4に係る絶縁電線によれば、耐寒性に劣っていることが分かる。また、比較例1〜4において、難燃性組成物を調製する際の混練物の吐出量が少なく、生産性に劣っていることが分かる。
これに対し、実施例は、水酸化マグネシウムを主成分とする粒子の凝集体の表面に、溶融粘度の高い樹脂をコートしたものからなる難燃剤を用いている。実施例に係る絶縁電線によれば、耐寒性に優れることが確認できた。また、難燃性組成物を調製する際の混練物の吐出量が多く、生産性に優れることが確認できた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 難燃剤
12 凝集体
12a 水酸化マグネシウムを含有する粒子
14 表面処理剤

Claims (7)

  1. 水酸化マグネシウムを主成分とする粒子の凝集体と、
    前記凝集体の表面を覆う有機高分子を含有する表面処理剤とを備え、
    前記有機高分子は、140℃における溶融粘度が500mPa・s以上の樹脂であることを特徴とする難燃剤。
  2. 前記有機高分子は、融点が100℃以上の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の難燃剤。
  3. 前記有機高分子は、オレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃剤。
  4. 前記オレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、および、エチレン−ビニルアセテート共重合体から選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項3に記載の難燃剤。
  5. 前記表面処理剤の含有量は、前記凝集体100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲内にあることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の難燃剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の難燃剤と、マトリックスポリマーとを含有することを特徴とする難燃性組成物。
  7. 請求項6に記載の難燃性組成物を導体の外周に被覆してなることを特徴する絶縁電線。
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