JP2011031791A - 回転慣性力増大部材およびこれを備えた自転車の駆動輪 - Google Patents
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Abstract
【課題】自転車の始動時の必要トルクを大幅に増加させることなく、回転慣性力を増加させることが可能であり、かつ、構成が簡素で安価な、回転慣性力増大部材およびこれを備えた自転車の駆動輪を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の回転慣性力増大部材は、ハブと、リムと、ハブ及びリムを固定するスポークと、を備える自転車の駆動輪に設けられ、当該駆動輪の回転によって回転することで駆動輪の回転慣性力を増大させるものであり、ハブの軸部、リム、及びスポークのうちの少なくとも一つに設けられ、且つその設けられる位置が駆動輪の半径方向における重心位置よりもハブ寄りであることを特徴とする。
【選択図】図6
【解決手段】本発明の回転慣性力増大部材は、ハブと、リムと、ハブ及びリムを固定するスポークと、を備える自転車の駆動輪に設けられ、当該駆動輪の回転によって回転することで駆動輪の回転慣性力を増大させるものであり、ハブの軸部、リム、及びスポークのうちの少なくとも一つに設けられ、且つその設けられる位置が駆動輪の半径方向における重心位置よりもハブ寄りであることを特徴とする。
【選択図】図6
Description
本発明は、自転車の駆動輪に設けられ、走行中における駆動輪の回転慣性力を増大するための回転慣性力増大部材およびこれを備えた自転車の駆動輪に関する。
従来のタウン用自転車の駆動輪110は、図8(a)及び(b)に示すように、その中心部を構成するハブ115と、外周部を構成するリム111と、ハブ115とリム111を連結するスポーク112とを主に備えて構成されている。
ハブ115は、円筒状の回転体である軸部117と、軸部の両側に設けられるフランジ部116と、を主に有して構成される。
軸部117は、その内部の軸受(図示せず)に車軸(図示せず)が挿通されており、車軸(図示せず)の回転が軸受(図示せず)に伝えられることにより回転するようになっている。
フランジ部116は、スポーク112を取り付けるものであって、円周方向に等間隔で形成された、スポーク112を取り付けるためのスポーク孔116aを複数有している。
軸部117は、その内部の軸受(図示せず)に車軸(図示せず)が挿通されており、車軸(図示せず)の回転が軸受(図示せず)に伝えられることにより回転するようになっている。
フランジ部116は、スポーク112を取り付けるものであって、円周方向に等間隔で形成された、スポーク112を取り付けるためのスポーク孔116aを複数有している。
リム111は、フレーム部材であり、表面に、円周方向に等間隔で形成された、スポーク112を取り付けるためのスポーク孔(図示せず)を複数有している。またリム111は、外周側からチューブ(図示せず)と、タイヤ114とが取り付けられており、内周側からスポーク112の他端側が取り付けられている。
スポーク112は、ハブ115とリム111と共に駆動輪110の骨格を構成する棒状部材であり、一端側がフランジ部116のスポーク孔116aに取り付けられ、他端側がリム111のスポーク孔(図示せず)に所定の張力で取り付けられている。
スポーク112は、ハブ115とリム111と共に駆動輪110の骨格を構成する棒状部材であり、一端側がフランジ部116のスポーク孔116aに取り付けられ、他端側がリム111のスポーク孔(図示せず)に所定の張力で取り付けられている。
ここで、自転車の走行性能は、主に、漕ぎ出し加速力、運動慣性力によって左右される。
第一に漕ぎ出し加速力は、運転者の脚力が同じである場合、漕ぎ出し加速力は、主に、タイヤの径と、自転車の車台総重量と、クランク一回転で進む距離との三つの要因によって左右される。
第一に漕ぎ出し加速力は、運転者の脚力が同じである場合、漕ぎ出し加速力は、主に、タイヤの径と、自転車の車台総重量と、クランク一回転で進む距離との三つの要因によって左右される。
まず、タイヤの径については、小径タイヤの方が大径タイヤよりも車輪を回転させるときに必要とされるトルク(静止状態から自転車を駆動させるのに必要なモーメント)が小さくて済むので、漕ぎ出しの加速力が大きくなる。なお、始動時の必要トルクNは、式(1)により表される。
(数1)
N=L・F・・・式(1)
N=L・F・・・式(1)
ここで、Lは、クランクアームの長さ(クランクアームの中心とペダルの中心との距離)であり、Fは、脚力が踏みおろす力(踏力)であって、式(2)により表される。
(数2)
F=Momω2・・・式(2)
F=Momω2・・・式(2)
mは、駆動輪(ここでは、後車輪とする)の質量であり、Moは、後車輪の回転中心Cから車輪の半径方向における重心位置Gまでの距離であり、ωは、後車輪の単位時間当たりの回転角速度である。なお、後車輪の半径方向における重心位置Gとは、図9に示すように、後車輪の半径方向における質量がつりあう位置である。一般的なタウン用自転車では、重心位置Gが、半径の5〜6割程度の位置となっている。例えば、26インチの自転車では、半径13インチの約6割程度である半径7.8インチ付近が、重心位置となっている。図9に示す例では、破線で示す重心位置Gの内側の領域の質量と、外側の領域の質量とがつり合っている。
小径タイヤの自転車は、大径タイヤの自転車よりも質量m及びモーメントMoが小さいため、前記式(1)、(2)により、始動時の必要トルクNが小さくて済むので、小さな踏力でも楽に走り出すことができる。
ここで、回転する車輪を除く、利用者の体重を含めた全体としての自転車の総重量を自転車の車台総重量とする。この総重量が軽ければ軽いほど、加速するときの負荷が小さくて済むので、漕ぎ出しの加速力が大きくなる。
さらに、クランク一回転で進む距離は、ギア比とタイヤの径との関係で言い換えることができる。同じギア比なら、大径タイヤの自転車は、小径タイヤの自転車よりも、タイヤの径が大きい分、クランク一回転で進む距離が長くなるが、小径タイヤの自転車は、大径タイヤの自転車とクランク一回転で進む距離が同程度となるようにギア比の変更がなされていないことが多い。このため、小径タイヤの自転車は、利用者が乗りにくさを感じることが多い。
第二に、運動慣性力は、一定の速度で走っている自転車の場合、主にタイヤの径と、自転車の車台総重量と、後車輪の回転慣性力との三つの要因によって左右される。
まず、タイヤの径については、一般に、小径タイヤの方が大径タイヤよりも、いわゆる転がり抵抗が大きいので、運動慣性力が小さくなる。これは、小径タイヤは、大径タイヤよりも、接地面から車軸までのモーメントが短い分、車軸が水平移動する際に、より大きなエネルギーを消費してしまうためである。
次に、車台総重量は、水平移動に限っていえば、ある程度までは慣性力にプラスに作用する。しかし、ある限度を超えれば、同じタイヤの径で同じモーメントであっても、接地面積が大きくなり摩擦抵抗が増大するので、必然的に転がり抵抗が大きくなってしまい、運動慣性力にマイナスの影響を及ぼすこととなる。
次に、車台総重量は、水平移動に限っていえば、ある程度までは慣性力にプラスに作用する。しかし、ある限度を超えれば、同じタイヤの径で同じモーメントであっても、接地面積が大きくなり摩擦抵抗が増大するので、必然的に転がり抵抗が大きくなってしまい、運動慣性力にマイナスの影響を及ぼすこととなる。
さらに、第三の要因である後車輪の回転慣性力とは、タイヤを回転させ続けようとするエネルギーのことであり、式(3)により表される。
(数3)
Es=Moω2・・・式(3)
Es=Moω2・・・式(3)
ここで、Moは、タイヤの質量に後車輪の半径方向の重心位置から回転中心までの距離(モーメント)を乗算した値であり、ωは、後車輪の単位時間当たりの回転角速度である。小径タイヤの自転車よりも大径タイヤの自転車の方が、後車輪の回転部分(ハブ、スポーク、リム等のクランクアームによって回転する部分)の質量が大きいため、同じ速度で走らせる場合、小径タイヤの方が、回転角速度ωが大きいにも関らず、前記式(3)により、小径タイヤの自転車よりも大径タイヤの自転車の方が、回転慣性力Esが少し大きくなる。
以上のように、大径タイヤの自転車は、小径タイヤの自転車よりも転がり抵抗が小さく、回転慣性力Esが大きいため、一旦走りだした後は乗りやすいといえるが、その一方で、漕ぎ出しが重い(始動時の必要トルクNが大きい)ため、成人に比べて脚力が小さい子供や高齢者等にとっては負担が大きかった。このため、成人に比べて脚力が小さい子供や高齢者等は、乗りやすさの点では大径タイヤの自転車に劣るが、漕ぎ出しが軽い小径タイヤの自転車を選択せざるを得なかった。
このような事情に鑑み、主に小径タイヤの自転車の利用者から、漕ぎ出しが軽いという小径タイヤの自転車のメリットを維持しつつ、回転慣性力Esを増大させ、乗りやすさを改善することが要望されている。例えば、マウンテンバイクには、後車輪に、重いブロックタイヤと頑丈なリムと太いスポークを使用したことにより、前記式(3)により、後車輪の回転慣性力Esを増大させることができる。このような手法を、小径タイヤのタウン用自転車に適用することによって、後車輪の回転慣性力Esを増大させることが考えられる。
しかしながら、この手法によると、回転慣性力Esの増大が期待できる一方で、後車輪の半径方向の重心位置よりも外側の質量を増やすことで、半径方向の重心位置が外側に移動するため、前記式(1)及び式(2)における質量及び半径が大きくなり、その結果、始動時の必要トルクNが大幅に増加してしまうこととなる。このような始動時の必要トルクNの大幅な増加は、脚力が比較的小さい利用者にとって過度の負担となってしまうため、この手法を小径タイヤのタウン用自転車に適用することができなかった。このように、従来の手法では、自転車の始動時の必要トルクNの増加を抑制しつつ、駆動輪の回転慣性力Esを増大させることができなかった。
また、一般的なタウン用自転車では、タイヤの径によらず、上り坂走行になれば自然と走行速度が低下する。これは、脚力が負荷に耐えられなくなって自然とクランクの回転数が減少することで後車輪の回転角速度ωが低下し、後車輪の回転慣性力Esが急激に減少してしまうことが原因である。このような上り坂走行では、多段階ギア付の自転車の場合、ギアを低くすることで脚力の負荷を軽くできるが、これに伴い、クランク一回転で進む距離も短くなるので、自転車が止まりやすくなってしまう。つまり、ギアを低くすればするほど後車輪の回転慣性力Esが減少するため、後車輪の回転慣性力Esを維持するには、その分、クランクの回転数を増加させる必要があるが、利用者の足への負担が大きかった。このため、タイヤの径によらず、駆動輪の回転慣性力Esを改善することが求められていた。この一手法として、例えば、バッテリでモータを回して駆動輪の回転慣性力Esを増大させた電動補助自転車があるが、高額であるため、ユーザが容易に購入することができなかった。
そこで、本発明は、自転車の始動時の必要トルクの増加を抑制しつつ、回転慣性力を増大することが可能であり、かつ、構成が簡素で安価な、回転慣性力増大部材およびこれを備えた自転車の駆動輪を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1に係る発明は、ハブと、リムと、前記ハブ及び前記リムを固定するスポークと、を備える自転車の駆動輪に設けられ、当該駆動輪の回転によって回転することで前記駆動輪の回転慣性力を増大させる回転慣性力増大部材であって、前記ハブの軸部、前記リム、及び前記スポークのうちの少なくとも一つに設けられ、且つその設けられる位置が前記駆動輪の半径方向における重心位置よりも前記ハブ寄りであることを特徴とする。
これによれば、駆動輪の半径方向の重心位置よりも内側に回転慣性力増大部材を設けることで、駆動輪の質量が回転慣性力増大部材の質量の分だけ大きくなると共に、駆動輪の重心位置が、回転慣性力増大部材を設けていない場合と比べてハブ寄りの位置に移動する、つまり、駆動輪の半径方向の重心位置から回転中心までの距離が小さくなる。このため、回転慣性力増大部材を設けたことによる始動時の必要トルクの増加を抑制することができると共に、駆動輪の回転慣性力を増大させることができる。また、ハブ、リム、スポークのうちの少なくとも一つに設けることで、構成が簡素となり、回転慣性力増大部材が安価となる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の回転慣性力増大部材は、外径が、前記駆動輪の半径方向における重心位置から回転中心までの距離よりも若干小さいリング状部材であり、表面に、一端側が前記リム又は前記スポークに取り付けられた支持部材の他端側が取り付けられており、当該支持部材によって前記ハブの軸部を囲むように支持されていることを特徴とする。
これによれば、回転慣性力増大部材は、外径が、駆動輪の半径方向における重心位置から回転中心までの距離よりも若干小さいリング状部材であり、支持部材によってハブの軸部を囲むように支持される構成としたことにより、始動時の必要トルクを過度に増大させない範囲でモーメントを大きくすることができる。このため、漕ぎ出しを過度に重くすることなく、回転慣性力を効率良く増大させることができる。また、回転慣性力増大部材を、支持部材によりリム又はスポークに取り付ける構成としたため、構成が簡素となり、また、駆動輪に容易に取り付けることが可能となるので、導入コストが安価となる。
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の回転慣性力増大部材が、前記軸部と別体の二以上のブロック状部材からなり、固定部材によって前記軸部に固定されていることを特徴とする。
これによれば、回転慣性力増大部材を、ハブの軸部と別体の二以上の部材により構成したことにより、既存の自転車の駆動輪に、固定部材によって後から取り付けることができるので、既存の自転車の駆動輪の回転慣性力を増大させることが可能となる。このため、既存の自転車をそのまま用いることが可能となり、導入コストが安価となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の回転慣性力増大部材が、前記軸部と一体成形され、当該軸部の周面から突出して設けられる円板状部材であることを特徴とする
これによれば、回転慣性力増大部材を、軸部の周面から突出して設けられる円板状部材としたことにより、駆動輪の回転運動のバランスが良好となり、かつ、回転慣性力を増大させることができる。また、回転慣性力増大部材を、ハブの軸部と一体成形したことにより、ハブの製造工程で同時に製造することができるので、製造工程が簡素化され、導入コストが安価となる。
請求項5に記載の発明は、自転車の駆動輪であって、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の回転慣性力増大部材を備えたことを特徴とする。
これによれば、始動時の必要トルクの増大を抑制しつつ、駆動輪の回転慣性力を増大させることができるので、自転車の漕ぎ出しが軽いままで、乗りやすくすることができる。
請求項1に記載の発明によれば、自転車の漕ぎ出しに負担をかけずに、駆動輪の回転慣性力を増大することができるので、自転車の乗りやすさを向上させることができる。特に、上り坂の走行や、長距離を走行した場合の、利用者の足への負担を軽減することができる。また、構成が簡素であり、導入コストが安価となる。
請求項2に記載の発明によれば、始動時の必要トルクを過度に増大させない範囲で、モーメントを大きくすることができるので、回転慣性力を効率良く増大させることができる。また、構成が簡素となり、さらに、駆動輪に容易に取り付けることが可能となるので、導入コストが安価となる。
請求項3に記載の発明によれば、回転慣性力増大部材が、既存の自転車の駆動輪に後から取り付けることが可能となるため、既存の自転車をそのまま利用することができ、導入コストが安価となる。
請求項4に記載の発明によれば、回転慣性力増大部材を、製造工程が簡素化され、導入コストが安価となる。
請求項5に記載の発明によれば、自転車の漕ぎ出しに負担をかけずに乗りやすくすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、始動時の必要トルクを過度に増大させない範囲で、モーメントを大きくすることができるので、回転慣性力を効率良く増大させることができる。また、構成が簡素となり、さらに、駆動輪に容易に取り付けることが可能となるので、導入コストが安価となる。
請求項3に記載の発明によれば、回転慣性力増大部材が、既存の自転車の駆動輪に後から取り付けることが可能となるため、既存の自転車をそのまま利用することができ、導入コストが安価となる。
請求項4に記載の発明によれば、回転慣性力増大部材を、製造工程が簡素化され、導入コストが安価となる。
請求項5に記載の発明によれば、自転車の漕ぎ出しに負担をかけずに乗りやすくすることができる。
<第一実施形態>
次に、本発明の第一実施形態に係る回転慣性力増大部材(請求項4に係る回転慣性力増大部材)について説明する。まず、図1を参照して、本発明の第一実施形態に係る回転慣性力増大部材が設けられる自転車(図示せず)の駆動輪の構成について説明する。
なお、「駆動輪」とは、自転車を駆動させるための車輪のことをいい、一般的なタウン用自転車では主に後輪である。ただし、前輪で駆動する自転車の場合は、本発明の第一実施形態に係るハブを前輪に設けても良い。
次に、本発明の第一実施形態に係る回転慣性力増大部材(請求項4に係る回転慣性力増大部材)について説明する。まず、図1を参照して、本発明の第一実施形態に係る回転慣性力増大部材が設けられる自転車(図示せず)の駆動輪の構成について説明する。
なお、「駆動輪」とは、自転車を駆動させるための車輪のことをいい、一般的なタウン用自転車では主に後輪である。ただし、前輪で駆動する自転車の場合は、本発明の第一実施形態に係るハブを前輪に設けても良い。
図1(a)に示すように、駆動輪10Aは、中心部を構成するハブ15Aと、外周部を構成するリム11と、ハブ15Aとリム11を連結するスポーク12とを主に備えて構成されている。この駆動輪10Aは、一般的なタウン用自転車の車輪を想定している。
ハブ15Aは、軸部17Aと、この軸部17Aの両側に設けられるフランジ部16と、を主に備えて構成される。
フランジ部16は、スポーク12を取り付けるものであり、軸部17Aの左右の端部に連続して形成されている。フランジ部16は、外周近傍の表面に、円周方向に等間隔で形成された複数のスポーク孔16aを有している。スポーク孔16aは、スポーク12の一端側が取り付けられるものであり、スポーク12の設置数に応じて設けられている。ここでは、左右のフランジ部16、16のそれぞれに18個のスポーク孔16a、16a・・・が設けられており、駆動輪10Aに合計36本のスポーク12が取り付けられるようになっている。また、一方のフランジ部16と他方のフランジ部16とでは、スポーク孔16aの設置位置が円周方向にずらされている。
フランジ部16の寸法は、適宜設定することができるが、軸部17Aの内部に、一般的な内装多段変速システムを搭載した場合の寸法と同等とすると好ましい。
近年、ハブの軸部の中空状の内部に内装多段変速システムを搭載することが主流となっており、これに合わせて軸部の寸法、スポークの寸法、設置角度等が定められている。このため、軸部17Aに内装多段変速システムを搭載しない場合であっても、フランジ部16の寸法を、当該システムを搭載した場合の寸法と同等とすることで、当該システムを搭載する場合に合わせて設計した公知のスポーク12をそのまま使用できるため、製造効率を向上させることができる。
近年、ハブの軸部の中空状の内部に内装多段変速システムを搭載することが主流となっており、これに合わせて軸部の寸法、スポークの寸法、設置角度等が定められている。このため、軸部17Aに内装多段変速システムを搭載しない場合であっても、フランジ部16の寸法を、当該システムを搭載した場合の寸法と同等とすることで、当該システムを搭載する場合に合わせて設計した公知のスポーク12をそのまま使用できるため、製造効率を向上させることができる。
軸部17Aは、円筒状の回転体であり、クランクアーム(図示せず)から伝えられたトルクによって回転するようになっている。軸部17Aは、その中空の内部に、車軸13が挿通される軸受(図示せず)が設けられている。この車軸13には、図示しないチェーンが懸架されており、クランクアーム(図示せず)の回転力が、チェーン(図示せず)により車軸13に伝えられて回転し、この車軸13の回転が軸受(図示せず)を介して軸部17Aに伝えられ、軸部17Aが回転するようになっている。
リム11は、駆動輪10Aの外周部分を構成するフレーム部材であり、表面に、円周方向に等間隔で、スポーク12を取り付けるためのスポーク孔(図示せず)が複数設けられている。ここでは、スポーク12の本数に合わせて、36個のスポーク孔(図示せず)が設けられているものとする。リム11は、外周側から、チューブ(図示せず)と、タイヤ14が取り付けられており、内周側からスポーク12の他端側が取り付けられている。リム11は、タイヤ14の径に合わせた寸法で形成されている。ここで、タイヤ14の径は、特に限定されないが、小径(例えば、20インチ以下)とすると、第一実施形態に係るハブ15Aを設けることによる作用をより効果的に得ることができる。リム11は、公知のものを適宜用いることができる。
スポーク12は、ハブ15Aとリム11を固定すると共に駆動輪10Aの骨格を構成する細棒状部材であり、後記するハブ15Aのフランジ部16のスポーク孔16a(図1(b)参照)に取り付けられ、他端側が、リム11のスポーク孔(図示せず)に所定の張力で取り付けられている。スポーク12は、ハブ15Aに、一般的な内装多段変速システムを搭載した場合に用いられる公知のものを適宜用いることができ、ハブ15A及びリム11への取り付け方も公知のものと同様である。このスポーク12の寸法は、ハブ15Aの軸部17Aに、一般的な内装多段変速システムを搭載した場合の寸法と略同等とすることができる。
次に、本発明の第一実施形態に係る回転慣性力増大部材1について詳細に説明する。
図1(a)及び(b)に示すように、第一実施形態に係る回転慣性力増大部材1は、軸部17Aと一体成形されており、駆動輪10Aのハブ15Aの軸部17Aの周面から突出して設けられる円板状部材である。回転慣性力増大部材1は、ここでは、軸部17Aの長さ方向の略中央部の周面から突出して設けられている。
図1(a)及び(b)に示すように、第一実施形態に係る回転慣性力増大部材1は、軸部17Aと一体成形されており、駆動輪10Aのハブ15Aの軸部17Aの周面から突出して設けられる円板状部材である。回転慣性力増大部材1は、ここでは、軸部17Aの長さ方向の略中央部の周面から突出して設けられている。
また、回転慣性力増大部材1は、その外周縁部に、円周方向に所定間隔で切欠部1aが設けられている。
切欠部1aは、スポーク12を組み上げる際に邪魔にならないようにするための、スポーク12の通路となるものである。
ここでは、1つの切欠部1aは、左右のフランジ部16、16のスポーク孔16a、16aに一端側が取り付けられた2本のスポーク12、12を通している。
切欠部1aは、スポーク12を組み上げる際に邪魔にならないようにするための、スポーク12の通路となるものである。
ここでは、1つの切欠部1aは、左右のフランジ部16、16のスポーク孔16a、16aに一端側が取り付けられた2本のスポーク12、12を通している。
この切欠部1aの幅及び深さ寸法は、フランジ部16の径方向の寸法、回転慣性力増大部材1の径方向の寸法及びスポーク12の設置角度等に応じて適宜設定することができる。このような切欠部1aを設けることにより、回転慣性力増大部材1の寸法に合わせてスポーク12の寸法や設置角度を変更しなくても良くなるため、導入コストを低減することができる。
なお、回転慣性力増大部材1の寸法を調整することによって、スポーク12を組み上げる際に、回転慣性力増大部材1とスポーク12とが接触するおそれがない場合には、切欠部1aを設けなくても良い。
なお、回転慣性力増大部材1の寸法を調整することによって、スポーク12を組み上げる際に、回転慣性力増大部材1とスポーク12とが接触するおそれがない場合には、切欠部1aを設けなくても良い。
また、回転慣性力増大部材1は、外周縁部1bが円弧状に形成されている。このようにすると、空気抵抗を少なくすることができるので好ましい。
さらに、回転慣性力増大部材1は、駆動輪10Aの半径方向の重心位置よりもハブ15A寄りの位置に設けられており、半径r1の寸法が、駆動輪10Aの半径方向における重心位置Gから回転中心Cまでの距離よりも小さくなっている。
ここで、回転慣性力増大部材1を設けることによる駆動輪10Aの回転慣性力及び自転車(図示せず)の始動時の必要トルクに与える影響について、図1、図2に加えて、適宜図9を参照して説明する。
ここで、回転慣性力増大部材1を設けることによる駆動輪10Aの回転慣性力及び自転車(図示せず)の始動時の必要トルクに与える影響について、図1、図2に加えて、適宜図9を参照して説明する。
例えば、駆動輪10Aの重心位置Gよりも外側に回転慣性力増大部材1を設けた場合、回転慣性力増大部材1を設けていない場合に比べて、回転慣性力増大部材1の分だけ駆動輪10Aの質量が増えると共に、重心位置Gが外側に移動するため、半径Rが大きくなる。
ここで、前記式(3)により、半径及び質量が大きくなると、その分、回転慣性力が増加することとなる。また、前記式(1)、式(2)により、半径及び質量が大きくなると、その分、始動時の必要トルクが増加することとなる。つまり、駆動輪10Aの重心位置Gよりも外側に回転慣性力増大部材1を設けた場合、回転慣性力増大部材1を設けていない場合に比べて、駆動輪10Aの回転慣性力が増加する一方で、始動時の必要トルクも増加する。
ここで、前記式(3)により、半径及び質量が大きくなると、その分、回転慣性力が増加することとなる。また、前記式(1)、式(2)により、半径及び質量が大きくなると、その分、始動時の必要トルクが増加することとなる。つまり、駆動輪10Aの重心位置Gよりも外側に回転慣性力増大部材1を設けた場合、回転慣性力増大部材1を設けていない場合に比べて、駆動輪10Aの回転慣性力が増加する一方で、始動時の必要トルクも増加する。
一方、駆動輪10Aの半径方向における重心位置Gよりもハブ15A寄りに回転慣性力増大部材1を設けた場合、回転慣性力増大部材1を設けていない場合に比べて、回転慣性力増大部材1の分だけ駆動輪10Aの質量が増える一方で、駆動輪10Aの半径方向における重心位置Gがハブ15A側に移動するため、半径Rが小さくなる。このように半径Rが小さくなるため、駆動輪10Aの質量が回転慣性力増大部材1の分だけ増えたとしても、前記式(1)、式(2)により、始動時の必要トルクの増加を抑制することができる。その一方で、回転慣性力増大部材1の分だけ駆動輪10Aの質量が増えるため、前記式(3)により、回転慣性力増大部材1を設けていない場合に比べて、駆動輪10Aの回転慣性力を増大させることができる。
以上から、回転慣性力増大部材1を、駆動輪10Aの回転中心であるハブ15Aの軸部17Aに設けることで、始動時の必要トルクの増加を抑制しつつ、駆動輪10Aの回転慣性力を増大させることができる。好ましくは、回転慣性力増大部材1の半径r1を、駆動輪10Aの回転中心Cから重心位置Gまでの距離と略同等とすると、始動時の必要トルクの増加を抑制しつつ、より大きなモーメント効果を得ることができる。
次に、タイヤの径に応じた、回転慣性力増大部材1の望ましい質量について説明する。
(タイヤの径が26インチの場合)
タイヤの径が26インチの自転車(26インチ自転車)は、前記したように転がり抵抗が小さく、後車輪の重量も比較的大きいが、ある一定の走行スピードにおける後車輪の回転角速度ωは、他の小径タイヤ(例えば、24インチ、22インチ、20インチ)の自転車よりも遅いことになる。したがって、26インチ自転車についても、ゆるい上り坂などでは、回転慣性力を増大させることが望ましいといえる。
タイヤの径が26インチの自転車(26インチ自転車)は、前記したように転がり抵抗が小さく、後車輪の重量も比較的大きいが、ある一定の走行スピードにおける後車輪の回転角速度ωは、他の小径タイヤ(例えば、24インチ、22インチ、20インチ)の自転車よりも遅いことになる。したがって、26インチ自転車についても、ゆるい上り坂などでは、回転慣性力を増大させることが望ましいといえる。
以下、具体的に、26インチ自転車に回転慣性力増大部材を適用する場合の望ましい質量について説明する。
クランク1回転で進む距離は、式(4)により表される。また、26インチ自転車に回転慣性力増大部材を設けない場合における回転慣性力En26は、式(5)により表される。
クランク1回転で進む距離は、式(4)により表される。また、26インチ自転車に回転慣性力増大部材を設けない場合における回転慣性力En26は、式(5)により表される。
式(4)において、rは、後車輪の半径とし、前歯数は、自転車の前車輪のクランクスプロケット歯数とし、後歯数は、後車輪のスプロケット歯数とする。また、式(5)において、sは、タイヤのサイズとし、Wは、後車輪の重量とする。
ここで、26インチ自転車の前車輪のクランクスプロケット歯数を32Tとし、後車輪のスプロケット歯数を14Tとして、後車輪の重量Wを2.3Kgと想定する。半径rは、13(インチ)であるので、回転慣性力増大部材を設けない場合における26インチ自転車の回転慣性力Ens(s=26)は、前記式(4)、(5)により、約37.97ω2(Kg・cm・ω2)となる。
そして、回転慣性力増大部材を設けない場合の26インチ自転車の回転慣性力En26が約37.97ω2であることから、この状態から、26インチ自転車の回転慣性力を10パーセント増大させる場合には、約3.797ω2プラスすれば良く、例えば20パーセント増大する場合には、約7.594ω2プラスすれば良く、また例えば、30パーセント増大する場合には、約11.391ω2プラスすれば良い。
次に、前記したプラス分の回転慣性力Pis(s=26)を得るために必要な回転慣性力増大部材の質量xiは、式(6)により表される。
ここで、iは、増大分の割合とし、sは、タイヤのサイズとする。
回転慣性力増大部材の後車輪の車軸からの共通モーメント位置(タイヤの径に寄らずに共通のモーメント位置)をM=12(cm)と想定する。なお、共通モーメント位置Mを12(cm)と想定したのは、以下の理由による。つまり、回転慣性力増大部材が設けられることが想定される自転車(20〜26インチ自転車)のうち最もタイヤの径が小さいのは20インチ自転車であり、この20インチ自転車の後車輪の半径方向の重心位置から回転中心までの距離が約12.7cmであるので、この重心位置よりも若干ハブの軸部寄りの位置を共通モーメント位置とすることで、回転慣性力増大部材が設けられることが想定される自転車の全てに対応させることができるためである。
このように、共通モーメント位置をM=12(cm)と想定した場合において、26インチ自転車の回転慣性力En26を、例えば10パーセント増大させた回転慣性力E10sを得るのに必要な回転慣性力増大部材の質量x10は、前記式(6)により約316gとなる。同様に、26インチ自転車の回転慣性力En26を例えば20パーセント増大させた回転慣性力E20sを得るのに必要な回転慣性力増大部材の質量x20は、前記式(6)により約633gとなり、また例えば30パーセント増大させた回転慣性力E30sを得るのに必要な回転慣性力増大部材の質量x30は、前記式(6)により約949gとなる。
このように、26インチ自転車に回転慣性力増大部材を設けることによって後車輪の質量が約316〜949g増えたとしても、この範囲であれば、漕ぎ出しが過度に重くなることがないので、始動時の必要トルクが少なくて済み、漕ぎ出しに負担をかけずに回転慣性力を増大させることができる。
(タイヤの径が20インチの場合)
次に、タイヤの径が20インチの自転車(20インチ自転車)の転がり抵抗は、26インチ自転車の1.3倍であるので、この差を補う場合には、少なくとも、通常の、つまり、回転慣性力増大部材を設けない場合の26インチ自転車の回転慣性力En26の1.3倍程度、回転慣性力を増大させなければならない。ここで、20インチ自転車において、26インチ自転車と同等の回転慣性力とした場合の総合的な回転慣性力Ets(s=20)は、式(7)により表される。
次に、タイヤの径が20インチの自転車(20インチ自転車)の転がり抵抗は、26インチ自転車の1.3倍であるので、この差を補う場合には、少なくとも、通常の、つまり、回転慣性力増大部材を設けない場合の26インチ自転車の回転慣性力En26の1.3倍程度、回転慣性力を増大させなければならない。ここで、20インチ自転車において、26インチ自転車と同等の回転慣性力とした場合の総合的な回転慣性力Ets(s=20)は、式(7)により表される。
そして、前記式(4)、(5)により、En26=約37.97ω2であるので、総合的な回転慣性力Et20は、前記式(7)により、約49.361ω2となる。
次に、20インチ自転車の前車輪のクランクスプロケット歯数を42Tとし、後車輪のスプロケット歯数を14Tとして、後車輪の重量を1.7Kgと想定する。半径rは、10(インチ)であるので、通常の、つまり、回転慣性力増大部材を設けない場合の20インチ自転車の回転慣性力En20は、前記式(4)、(5)により、約36.49ω2となる。
そして、通常の26インチ自転車の回転慣性力En26と同等の回転慣性力を得るために、通常の20インチ自転車の回転慣性力En20に加算されるべき回転慣性力の増大分Pis(s=20)は、式(8)により表される。
次に、20インチ自転車の前車輪のクランクスプロケット歯数を42Tとし、後車輪のスプロケット歯数を14Tとして、後車輪の重量を1.7Kgと想定する。半径rは、10(インチ)であるので、通常の、つまり、回転慣性力増大部材を設けない場合の20インチ自転車の回転慣性力En20は、前記式(4)、(5)により、約36.49ω2となる。
そして、通常の26インチ自転車の回転慣性力En26と同等の回転慣性力を得るために、通常の20インチ自転車の回転慣性力En20に加算されるべき回転慣性力の増大分Pis(s=20)は、式(8)により表される。
ここで、iは、増大分の割合とする。
前記したように、総合的な回転慣性力Et20は、前記式(7)により、約49.361ω2であり、通常の回転慣性力En20は、前記式(4)、(5)により、約36.49ω2となるので、20インチの自転車において、通常の26インチ自転車の回転慣性力En26と同等の回転慣性力を得るために必要とされる回転慣性力の増大分Pi20は、前記式(8)により、約12.871ω2となる。
次に、増大分Pi20を得るために必要な回転慣性力増大部材の質量x13は、式(9)により表される。
ここで、iは、増大分の割合とする。
前記式(8)により、増大分Pi20が約12.871ω2であり、共通モーメント位置をM=12(cm)と想定すると、20インチ自転車の回転慣性力En20を、通常の26インチ自転車の回転慣性力En26と同等とするのに最低限必要な回転慣性力増大部材の質量x13は、前記式(9)により、約635gである。つまり、20インチ自転車の後車輪に、質量が635gの回転慣性力増大部材を設けることで、通常の26インチ自転車の回転慣性力と同等の回転慣性力を得ることができる。
さらに、通常の20インチ自転車の回転慣性力En20を、例えば10パーセント増大させるのに必要な回転慣性力増大部材の質量x10は、前記式(6)により約243gとなる。
そして、前記式(9)により求めた質量x13は、約635gであるので、20インチ自転車の回転慣性力En20を、通常の26インチ自転車の回転慣性力En26と同等とし、さらに、10パーセント増大させるために必要な回転慣性力増大部材の総質量は約848gとなる。
また同様に、通常の20インチ自転車の回転慣性力En20を、例えば20パーセント増大させるのに必要な回転慣性力増大部材の質量x20は、前記式(6)により約487gとなり、20インチ自転車の回転慣性力En20を、通常の26インチ自転車の回転慣性力En26と同等とし、さらに、10パーセント増大させるために必要な回転慣性力増大部材の総質量は、約1122gとなる。
そして、前記式(9)により求めた質量x13は、約635gであるので、20インチ自転車の回転慣性力En20を、通常の26インチ自転車の回転慣性力En26と同等とし、さらに、10パーセント増大させるために必要な回転慣性力増大部材の総質量は約848gとなる。
また同様に、通常の20インチ自転車の回転慣性力En20を、例えば20パーセント増大させるのに必要な回転慣性力増大部材の質量x20は、前記式(6)により約487gとなり、20インチ自転車の回転慣性力En20を、通常の26インチ自転車の回転慣性力En26と同等とし、さらに、10パーセント増大させるために必要な回転慣性力増大部材の総質量は、約1122gとなる。
このように、回転慣性力増大部材を設けることによって、後車輪の質量が約848〜1122g増えたとしても、この範囲であれば、漕ぎ出しが過度に重くなることがないので、始動時の必要トルクが少なくて済み、漕ぎ出しに負担をかけずに回転慣性力を増大させることができる。
以上から、回転慣性力増大部材1の質量は、約300〜1150gの範囲で、タイヤの径および回転慣性力の増大分に応じて設定することができる。
なお、前記式(7)〜(9)は、通常の20インチの自転車において通常の26インチの自転車と同等の回転慣性力を得ようとする場合を例にとって説明したが、これに限られるものではなく、他の径の自転車であっても適用可能である。
例えば、通常の22インチまたは24インチの自転車において通常の26インチの自転車と同等の回転慣性力を得ようとする場合にも適用可能であるし、また例えば、通常の20インチまたは22インチの自転車において通常の24インチの自転車と同等の回転慣性力を得ようとする場合にも適用可能である。このような場合、求めたいものに応じて、前記式(7)〜(9)に代入する数値を適宜変更すれば良い。
なお、前記式(7)〜(9)は、通常の20インチの自転車において通常の26インチの自転車と同等の回転慣性力を得ようとする場合を例にとって説明したが、これに限られるものではなく、他の径の自転車であっても適用可能である。
例えば、通常の22インチまたは24インチの自転車において通常の26インチの自転車と同等の回転慣性力を得ようとする場合にも適用可能であるし、また例えば、通常の20インチまたは22インチの自転車において通常の24インチの自転車と同等の回転慣性力を得ようとする場合にも適用可能である。このような場合、求めたいものに応じて、前記式(7)〜(9)に代入する数値を適宜変更すれば良い。
このような回転慣性力増大部材1は、軸部17Aと同じ材料を用いて形成することができる。また、回転慣性力増大部材1の形成寸法は、予め設定された質量となるように、使用する金属の比重に応じて適宜設定される。
次に、以上説明したような第一実施形態に係る回転慣性力増大部材1の作用について図1、図2及び適宜図9を参照して説明する。
利用者が、回転慣性力増大部材1を、駆動輪10Aのハブ15Aに設けた自転車のペダル(いずれも図示せず)を踏み込むと、クランクアーム(図示せず)の回転により、駆動輪10Aの回転部分が、自転車(図示せず)を前進させる方向に回転する。このとき、駆動輪10Aのハブ15Aに回転慣性力増大部材1を設けたことにより、駆動輪10Aの質量が、回転慣性力増大部材1の質量の分だけ大きくなる一方で、駆動輪10Aの半径方向における重心位置Gがハブ15A寄りの位置に移動するので、駆動輪10Aの半径方向における重心位置Gから回転中心Cまでの距離(半径R)が小さくなり、その結果、式(1)、(2)により、始動時の必要トルクの増加を抑制することができると共に、式(3)により、回転慣性力増大部材1を設けていない場合に比べて、駆動輪10Aの回転慣性力を増大させることができる。
利用者が、回転慣性力増大部材1を、駆動輪10Aのハブ15Aに設けた自転車のペダル(いずれも図示せず)を踏み込むと、クランクアーム(図示せず)の回転により、駆動輪10Aの回転部分が、自転車(図示せず)を前進させる方向に回転する。このとき、駆動輪10Aのハブ15Aに回転慣性力増大部材1を設けたことにより、駆動輪10Aの質量が、回転慣性力増大部材1の質量の分だけ大きくなる一方で、駆動輪10Aの半径方向における重心位置Gがハブ15A寄りの位置に移動するので、駆動輪10Aの半径方向における重心位置Gから回転中心Cまでの距離(半径R)が小さくなり、その結果、式(1)、(2)により、始動時の必要トルクの増加を抑制することができると共に、式(3)により、回転慣性力増大部材1を設けていない場合に比べて、駆動輪10Aの回転慣性力を増大させることができる。
このように、駆動輪10Aに回転慣性力増大部材1を設けることにより、始動時の必要トルクの増加を抑制しつつ、駆動輪10Aの回転慣性力を増大させることができるので、利用者の足への負担を軽減することができる。
また、例えば小径タイヤの自転車の駆動輪10Aに回転慣性力増大部材1を設けた場合には、漕ぎ出しが軽く、初期加速性が良好であるという小径タイヤの自転車の利点を維持しつつ、駆動輪10Aの回転慣性力を増大させることができるので、小径タイヤの自転車を乗りやすくすることができる。さらに、ハブ15Aに回転慣性力増大部材1を設けることにより、駆動輪10Aの回転慣性力を増大させることができるので、上り坂での走行を滑らかにすることができる。
また、例えば小径タイヤの自転車の駆動輪10Aに回転慣性力増大部材1を設けた場合には、漕ぎ出しが軽く、初期加速性が良好であるという小径タイヤの自転車の利点を維持しつつ、駆動輪10Aの回転慣性力を増大させることができるので、小径タイヤの自転車を乗りやすくすることができる。さらに、ハブ15Aに回転慣性力増大部材1を設けることにより、駆動輪10Aの回転慣性力を増大させることができるので、上り坂での走行を滑らかにすることができる。
以上説明したように、第一実施形態に係る回転慣性力増大部材1によれば、ハブ15Aの軸部17Aに一体的に設けることによって、自転車(図示せず)の漕ぎ出しに負担をかけずに、回転慣性力を増大させることができる。このため、自転車の乗りやすさを向上させることができ、脚力が比較的小さい利用者であっても快適に利用することができる。特に、上り坂の走行や長距離を走行した場合の、利用者の足への負担を軽減することができる。また、ハブ15Aの製造工程で回転慣性力増大部材1を一体的に製造することができるので、製造工程を簡素化することができ、導入コストを抑えることができる。
さらに、回転慣性力増大部材1に、スポーク12を通す切欠部1aを設けることで、既存の自転車のスポーク12の設置角度や各部品の寸法を変更する必要がないため、導入コストを抑えることができる。
さらに、回転慣性力増大部材1に、スポーク12を通す切欠部1aを設けることで、既存の自転車のスポーク12の設置角度や各部品の寸法を変更する必要がないため、導入コストを抑えることができる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る回転慣性力増大部材(請求項3に係る回転慣性力増大部材)について図3〜図5を参照して説明する。本発明の第二実施形態に係る回転慣性力増大部材は、ハブの軸部と別部材となっている点で、第一実施形態と異なる。なお、第二実施形態に係る回転慣性力増大部材の説明において、第一実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
次に、本発明の第二実施形態に係る回転慣性力増大部材(請求項3に係る回転慣性力増大部材)について図3〜図5を参照して説明する。本発明の第二実施形態に係る回転慣性力増大部材は、ハブの軸部と別部材となっている点で、第一実施形態と異なる。なお、第二実施形態に係る回転慣性力増大部材の説明において、第一実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、第二実施形態に係る回転慣性力増大部材が取り付けられる自転車(図示せず)の駆動輪の構成について簡単に説明する。
図3及び図4に示すように、駆動輪10Bは、ハブ15Bと、リム11と、スポーク12とを主に備えて構成されている。この駆動輪10Bは、一般的なタウン用自転車の車輪を想定している。
図3及び図4に示すように、駆動輪10Bは、ハブ15Bと、リム11と、スポーク12とを主に備えて構成されている。この駆動輪10Bは、一般的なタウン用自転車の車輪を想定している。
ハブ15Bは、フランジ部16と、軸部17Bとを備えている。
フランジ部16は、第一実施形態と同様の構成及び機能を備えるものである。なお、図5に示した例では、フランジ部16の表面に平面視台形状の切欠が複数設けられているが、設けなくても良い。
軸部17Bは、円筒状の回転体として構成されており、その中空の内部に、車軸13が挿通される軸受(図示せず)が設けられている。その他の寸法や機能等については、第一実施形態のハブ15Aと同様である。
フランジ部16は、第一実施形態と同様の構成及び機能を備えるものである。なお、図5に示した例では、フランジ部16の表面に平面視台形状の切欠が複数設けられているが、設けなくても良い。
軸部17Bは、円筒状の回転体として構成されており、その中空の内部に、車軸13が挿通される軸受(図示せず)が設けられている。その他の寸法や機能等については、第一実施形態のハブ15Aと同様である。
第二実施形態に係る回転慣性力増大部材2は、軸部17Bと別部材となっており、固定部材30によって、ハブ15Bの軸部17Bに取り付けられている。
図5に示すように、回転慣性力増大部材2は、ここでは、軸部17Bと別体の、線対称となる2つの多角形状のブロック部材21、21からなる。ブロック部材21、21は、軸部17Bを一方側と他方側から挟んだ状態で、固定部材30によって互いに固定されることによって、一体的に軸部17Bに取り付けられている。回転慣性力増大部材2の形状は、ここでは、八角柱状となっている。
図5に示すように、回転慣性力増大部材2は、ここでは、軸部17Bと別体の、線対称となる2つの多角形状のブロック部材21、21からなる。ブロック部材21、21は、軸部17Bを一方側と他方側から挟んだ状態で、固定部材30によって互いに固定されることによって、一体的に軸部17Bに取り付けられている。回転慣性力増大部材2の形状は、ここでは、八角柱状となっている。
回転慣性力増大部材2の質量は、前記した第一実施形態と同様に、約300〜1150gの範囲で、タイヤの径および回転慣性力の増大分に応じて設定することができる。
また、ブロック部材21、21は、それぞれの質量が、回転慣性力増大部材2の質量の略半分となっている。回転慣性力増大部材2の質量をこの範囲とすると、始動時の必要トルクを大幅に増加させることなく、回転慣性力を増加させることができる。なお、回転慣性力増大部材2の質量は、前記数値範囲内で、タイヤ14の径等に応じて適宜設定することができる。
また、ブロック部材21、21は、それぞれの質量が、回転慣性力増大部材2の質量の略半分となっている。回転慣性力増大部材2の質量をこの範囲とすると、始動時の必要トルクを大幅に増加させることなく、回転慣性力を増加させることができる。なお、回転慣性力増大部材2の質量は、前記数値範囲内で、タイヤ14の径等に応じて適宜設定することができる。
ブロック部材21は、当接面21aの長手方向における略中央部に、半円柱状の凹部21bが設けられている。この凹部21bの径は、軸部17B(図5参照)の径と略同等となっている。ブロック部材21、21の当接面21a、21aを当接させると、凹部21b、21bが連続し、円柱状の軸部貫通孔22が形成される。
さらに、ブロック部材21は、当接面21aから、当接面21aと平行な面21cまで貫通する固定用孔21dを有している。図3に示す例では、固定用孔21dは、当接面21aの長さ方向に、互いに平行となるように2本設けられているが、設置数は特に限定されるものではない。また、固定用孔21dの表面の形状は、挿通される固定部材30の形状に応じて適宜設定される。例えば、固定用孔21dに、固定部材30としてねじが挿通される場合、ねじ溝に対応する溝が固定用孔21dの表面に形成される。また例えば、固定用孔21dに、固定部材30として水平断面視で多角形状のボルトが挿通される場合、ボルトの形状に沿うように固定用孔21dの表面を水平断面視で多角形状とする。
ブロック部材21、21の凹部21b、21bを、軸部17B(図4参照)の一方側と他方側に嵌め込み、当接面21a、21a同士を密着させて、ブロック部材21、21で軸部17Bを挟みこむと、固定用孔21d、21dが連続して、略2倍の長さの固定用孔23となる。この固定用孔23には、固定部材30が挿通されるようになっている。
また、回転慣性力増大部材2の半径r2は、駆動輪10の回転中心Cから重心位置G(いずれも図3参照)までの距離以下であって、かつ、駆動輪10の回転中心Cから重心位置G(いずれも図3参照)までの距離に近づけた値としている。ここでは、図4に示すように、回転慣性力増大部材2を軸部17B(図4参照)に取り付けた状態で、回転慣性力増大部材2がスポーク12と接触しないように、寸法を調整している。回転慣性力増大部材2の半径r2を大きくすることで、回転慣性力増大部材2がスポーク12と接触するおそれがある場合には、外周部に、第一実施形態におけるのと同様な切欠部を設けることで、スポーク12との接触を避けることができる。
また、回転慣性力増大部材2の半径r2は、駆動輪10の回転中心Cから重心位置G(いずれも図3参照)までの距離以下であって、かつ、駆動輪10の回転中心Cから重心位置G(いずれも図3参照)までの距離に近づけた値としている。ここでは、図4に示すように、回転慣性力増大部材2を軸部17B(図4参照)に取り付けた状態で、回転慣性力増大部材2がスポーク12と接触しないように、寸法を調整している。回転慣性力増大部材2の半径r2を大きくすることで、回転慣性力増大部材2がスポーク12と接触するおそれがある場合には、外周部に、第一実施形態におけるのと同様な切欠部を設けることで、スポーク12との接触を避けることができる。
このようなブロック部材21、21は、合成樹脂等の弾性力を有する材料により形成することができる。ブロック部材21、21を金属製の軸部17B(図4参照)に取り付けるときに、弾性力によって、凹部21bと軸部17Bとの密着度を向上させることができるためである。なお、合成樹脂は、鉄や、アルミニウム等の軽合金と比べて比重が小さいことから、ブロック部材21、21を合成樹脂で製造する場合には、厚み寸法を増やすことによって、ブロック部材21の径、つまり、回転慣性力増大部材2の半径r2が所望の値となるように調整することができる。
固定部材30は、ブロック部材21、21を軸部17B(図4参照)に一体的に固定するためのものであり、ここでは、本体部材31と、止め部材32を有して構成される。
本体部材31は、固定用孔23に挿通されるものであり、例えば、ねじやボルト等で構成され、一端側に、他の部分よりも径を大きくした頭部31aを有している。本体部材31は、径が、固定用孔23の径と同等であり、ここでは、長さが、固定用孔23の長さより若干大きくなっている。
止め部材32は、固定用孔23に挿通された本体部材31、31の他端側に嵌合され、本体部材31が固定用孔23から抜けないようにするものであり、例えば、ナットやOリング等で構成される。なお、止め部材32としてナットを用いる場合、ブロック部材21との間に、例えば図5に示すようなワッシャーを介在させるとより好ましい。
なお、本体部材31と止め部材32の種類は、これに限られるものではなく、適宜選択することができる。
なお、本体部材31と止め部材32の種類は、これに限られるものではなく、適宜選択することができる。
このような固定部材30により、ブロック部材21、21を軸部17Bに着脱自在に固定する手順について説明する。まず、ブロック部材21、21で軸部17Bを挟むように配置した状態で、固定用孔23の一端側に、固定部材30の本体部材31の他端側を挿入し、固定用孔23の他端側まで挿通させる。そして、固定用孔23の他端側から突出した本体部材31の他端側に止め部材32を嵌合し、本体部材31に締め付けることによって、本体部材31の一端側に設けた頭部31aと、他端側に嵌合された止め部材32とによりブロック部材21、21が軸部17B(図4参照)に押し付けられる。これにより、図3に示すように、ブロック部材21、21が、軸部17B(図4参照)に一体的に、安定して固定される。
なお、図3〜図5に示す例では、紙面左側の固定用孔23と、紙面右側の固定用孔23とで、本体部材31の挿入方向を逆向きにしている。これによれば、凹部21b、21bの軸部17B(図4参照)への密着度をより向上させることができ、ブロック部材21、21を軸部17Bに、より安定させて取り付けることができる。
また、これと逆の手順により、ブロック部材21、21を軸部17Bから容易に取り外すことができる。
このようにして、回転慣性力増大部材2を軸部17B(図4参照)に、着脱自在に取り付けることができる。
また、これと逆の手順により、ブロック部材21、21を軸部17Bから容易に取り外すことができる。
このようにして、回転慣性力増大部材2を軸部17B(図4参照)に、着脱自在に取り付けることができる。
なお、ここでは、固定部材30を本体部材31と止め部材32とにより構成したが、これに限られるものではない。例えば、回転慣性力増大部材2を軸部17B(図4参照)に取り付けたままであっても良い場合には、固定部材30を、接着剤等としても良い。例えば、ブロック部材21、21の当接面21a、21a及び凹部21b、21bにそれぞれ接着剤を塗布し、この状態で、凹部21b、21bにより軸部17B(図4参照)を挟み、当接面21a、21a同士を密着させることにより、ブロック部材21、21を、軸部17B(図4参照)に一体的に固定することができる。この場合は、ブロック部材21、21に固定用孔21d、21dを設けなくて良いため、構成がより簡素化される。
以上のような回転慣性力増大部材2は、ハブ15Bに取り付けられた状態で、第一実施形態に係る回転慣性力増大部材1と同様の作用を奏する。
第二実施形態に係る回転慣性力増大部材2によれば、自転車(図示せず)の駆動輪10Bのハブ15Bの軸部17Bの周囲に取り付けられることによって、始動時の必要トルクを大幅に増加させずに、駆動輪10Bの回転慣性力を増加させることができるため、脚力が比較的小さい利用者であっても、快適に自転車を利用することができる。特に、長距離を走行する場合の利用者の足への負担を軽減することができる。
また、回転慣性力増大部材2を、ハブ15Bの軸部17Bと別部材で構成することによって、例えば図8に示すような、既存のハブ115の軸部117に後から取り付けることができるので、既存の自転車の回転慣性力を増加させることができる。これによれば、例えば、既存の自転車をそのまま利用することができるため、導入コストを抑えることができる。
また、回転慣性力増大部材2を、ハブ15Bの軸部17Bと別部材で構成することによって、例えば図8に示すような、既存のハブ115の軸部117に後から取り付けることができるので、既存の自転車の回転慣性力を増加させることができる。これによれば、例えば、既存の自転車をそのまま利用することができるため、導入コストを抑えることができる。
さらに、回転慣性力増大部材2をブロック部材21、21により構成し、ブロック部材21、21を軸部17Bの周囲に配置した状態で、固定部材30により、ブロック部材21、21同士を互いに固定するだけで、回転慣性力増大部材2を軸部17Bに容易に固定することができる。またさらに、回転慣性力増大部材2を軸部17Bに着脱自在に取り付けることができるので、自転車の利用者や利用状況等に応じて、回転慣性力増大部材2を着脱することが可能となり、利用者の利便性をより向上させることができる。
加えて、回転慣性力増大部材2を、例えば合成樹脂で形成することで、回転慣性力増大部材2を安価に製造することができると共に、軸部17Bへの密着度を向上させることができる。
加えて、回転慣性力増大部材2を、例えば合成樹脂で形成することで、回転慣性力増大部材2を安価に製造することができると共に、軸部17Bへの密着度を向上させることができる。
なお、第二実施形態では、回転慣性力増大部材2の形状を八角柱状としたが、これに限られるものではなく、例えば、円板状としても良い。また、第二実施形態では、回転慣性力増大部材2を線対称となるブロック部材21、21により構成したが、これに限られるものではない。例えば、ブロック部材21、21の形状や大きさを変えても良いし、回転慣性力増大部材2を三以上の部材で構成しても良い。
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態に係る回転慣性力増大部材(請求項1、2に係る回転慣性力増大部材)について図6及び図7を参照して説明する。第三実施形態に係る回転慣性力増大部材は、リムに取り付けられている点で第一及び第二実施形態と異なる。なお、ここでは、第三実施形態に係る回転慣性力増大部材は、第二実施形態に例示した駆動輪10Bに取り付けられているものとする。以下、第三実施形態に係る回転慣性力増大部材の説明において、第一及び第二実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
次に、本発明の第三実施形態に係る回転慣性力増大部材(請求項1、2に係る回転慣性力増大部材)について図6及び図7を参照して説明する。第三実施形態に係る回転慣性力増大部材は、リムに取り付けられている点で第一及び第二実施形態と異なる。なお、ここでは、第三実施形態に係る回転慣性力増大部材は、第二実施形態に例示した駆動輪10Bに取り付けられているものとする。以下、第三実施形態に係る回転慣性力増大部材の説明において、第一及び第二実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図6に示すように、第三実施形態に係る回転慣性力増大部材3は、駆動輪10Bの回転慣性力を補助するためのものであり、ここでは、中心部分をくり抜いたドーナツ型の薄肉のディスク状部材であって、表面に、一端側がリム11に取り付けられたスポーク12B(支持部材)の他端側が取り付けられて、駆動輪10Bの半径方向における重心位置(図9参照)よりもハブ15B寄りの位置に、ハブ15Bの軸部17Bを囲むように支持されている。
また、回転慣性力増大部材3は、図7に示すように、外径r4が、駆動輪10Bの半径方向における重心位置よりも若干小さく形成されており、外周面に、周方向に略等間隔で、スポーク12Bの胴体部分の径と略同等の径を有するスポーク孔3aが6個設けられており、それぞれのスポーク孔3aに、一端側がリム11のスポーク孔(図示せず)に取り付けられたスポーク12Bの他端側が取り付けられ、このスポーク12Bの張力によって駆動輪10Bの半径方向における重心位置よりもハブ15B寄りの位置に支持されている。なお、図7では、便宜上、スポーク12を省略している。
ここで、回転慣性力増大部材3をリム11に取り付けるスポーク12Bについて説明する。スポーク12Bは、棒状部材であって、一端側(リム11に取り付けられる側)に、ねじ溝(図示せず)が設けられており、他端側(回転慣性力増大部材3に取り付けられる側)に、胴体部分よりも径を大きくした頭部12Baが設けられている。スポーク12Bの一端側を、スポーク孔3aとリム11のスポーク孔(図示せず)に通すと、頭部12Baが回転慣性力増大部材3に引っかかるので、この状態で、一端側のねじ溝(図示せず)にねじ(図示せず)を所定の張力となるように締め付けることで、回転慣性力増大部材3がリム11に取り付けられる。
なお、ここでは、回転慣性力増大部材3が、6本のスポークによってリム11に支持されている。スポークの本数は、5本以上とする。より好ましくは偶数本であって、なおかつ、2で割ったら奇数になる本数とし、望ましくは、最小本数である6本とする。その理由は、第一に、1本が壊れても安定した3点の支持が確保されるのは、5本以上であるためである。第二に、偶数本だと、後車輪の中心に対して点対称の位置でスポークを支持できるため、回転慣性力増大部材3の中心をとりやすいためである。第三に、点対称の関係にある2本のスポーク同士は、回転慣性力増大部材3を、左右反対側からそれぞれ支持することができるためである。
回転慣性力増大部材3は、鉄やアルミニウム等の軽合金、ステンレス鋼等の剛性の高い金属により製造することが望ましい。回転慣性力増大部材3を、剛性が高い金属を用いて製造することにより、スポーク12Bの張力に対する強度・剛性を向上させることができ、スポーク12Bの張力によって破断するのを防止することができる。
このような回転慣性力増大部材3の質量は、第一実施形態と同様に、約300〜1150gの範囲で、タイヤの径および回転慣性力の増大分に応じて設定することができる。
回転慣性力増大部材3の厚みは、前記したようにスポーク6本での支持が一平面上であることから、安定した支持を得るために、できるだけ薄くすることが望ましい。
例えば、駆動輪10Bのタイヤ14の径を20インチとした場合、回転慣性力増大部材3の質量を630g、外径r4を14cm、内径r3を9.5cm、厚みを2.4mmとして、鉄で形成することができる。
なお、回転慣性力増大部材3の周縁部(外周縁部・内周縁部)は、空気抵抗を考慮し、角をなくした円弧状に形成すると好ましい。
回転慣性力増大部材3の厚みは、前記したようにスポーク6本での支持が一平面上であることから、安定した支持を得るために、できるだけ薄くすることが望ましい。
例えば、駆動輪10Bのタイヤ14の径を20インチとした場合、回転慣性力増大部材3の質量を630g、外径r4を14cm、内径r3を9.5cm、厚みを2.4mmとして、鉄で形成することができる。
なお、回転慣性力増大部材3の周縁部(外周縁部・内周縁部)は、空気抵抗を考慮し、角をなくした円弧状に形成すると好ましい。
次に、回転慣性力増大部材3を、リム11に取り付ける方法の一例について説明する。
まず、回転慣性力増大部材3を設置位置、つまり、ハブ15Bの軸部17Bを囲むように配置し、この状態で、フランジ部16のスポーク孔16aにスポーク12の他端側を順次取り付け、リム11にスポーク12の一端側を所定の張力で順次取り付けていく。このとき、回転慣性力増大部材3がスポーク12と接触しないように、適宜、回転慣性力増大部材3の位置を上下左右方向にずらすようにする。そして、スポーク12を全て取り付けた後に、リム11のスポーク孔(図示せず)に、スポーク12Bの一端側を順次取り付け、回転慣性力増大部材3のスポーク孔3aに、スポーク12Bの他端側を所定の張力で順次取り付けていく。このようにして、回転慣性力増大部材3は、スポーク12Bを介してリム11に取り付けられ、駆動輪10Bの半径方向における重心位置よりもハブ15B寄りの位置に支持される。
まず、回転慣性力増大部材3を設置位置、つまり、ハブ15Bの軸部17Bを囲むように配置し、この状態で、フランジ部16のスポーク孔16aにスポーク12の他端側を順次取り付け、リム11にスポーク12の一端側を所定の張力で順次取り付けていく。このとき、回転慣性力増大部材3がスポーク12と接触しないように、適宜、回転慣性力増大部材3の位置を上下左右方向にずらすようにする。そして、スポーク12を全て取り付けた後に、リム11のスポーク孔(図示せず)に、スポーク12Bの一端側を順次取り付け、回転慣性力増大部材3のスポーク孔3aに、スポーク12Bの他端側を所定の張力で順次取り付けていく。このようにして、回転慣性力増大部材3は、スポーク12Bを介してリム11に取り付けられ、駆動輪10Bの半径方向における重心位置よりもハブ15B寄りの位置に支持される。
以上のように、回転慣性力増大部材3を、スポーク12Bによって、駆動輪10Bの半径方向の重心位置よりもハブ15B寄りの位置でリム11に取り付けることによって、始動時の必要トルクの大幅な増加を抑制することができる範囲内で、最大限のモーメントを得ることが可能となるので、回転慣性力を最大限に増加させることができる。
第三実施形態に係る回転慣性力増大部材3を自転車(図示せず)に設けることによって、自転車の乗りやすさを向上させることができ、脚力が比較的小さい利用者であっても快適に利用することが可能となる。特に、上り坂の走行や長距離を走行した場合の、利用者の足への負担を軽減することができる。また、回転慣性力増大部材3を、金属製のリング状部材とし、スポーク12Bによってリム11に取り付ける構成としたため、構成が簡素であり、回転慣性力増大部材3を安価に製造することが可能となる。これにより、導入コストを抑えることができる。また、第三実施形態に係る回転慣性力増大部材3によれば、軸部17Bの形状が変更された場合でも、それに合わせて形状を変更する必要がないので、より簡単に製造することが可能となる。
なお、本発明は、前記した各実施形態に限定されるものではない。例えば、前記第三実施形態では、回転慣性力増大部材3をリム11に取り付けたが、これに替えて、スポーク12に取り付けても良い。これによっても、本発明の作用効果を得ることができることはもちろんである。
また、前記第三実施形態では、回転慣性力増大部材3の形状を、ドーナツ型の薄肉のディスク状部材としたが、これに限られるものではなく、例えば、リング状部材としても良いし、適宜変更可能である。回転慣性力増大部材3の形状を変更する場合であっても、空気抵抗を考慮し、周縁部の角をなくすことが好ましい。例えば、回転慣性力増大部材3をリング状部材とする場合、垂直断面形状が円状となるように形成すると良い。
また、前記第三実施形態では、回転慣性力増大部材3の形状を、ドーナツ型の薄肉のディスク状部材としたが、これに限られるものではなく、例えば、リング状部材としても良いし、適宜変更可能である。回転慣性力増大部材3の形状を変更する場合であっても、空気抵抗を考慮し、周縁部の角をなくすことが好ましい。例えば、回転慣性力増大部材3をリング状部材とする場合、垂直断面形状が円状となるように形成すると良い。
1 回転慣性力増大部材
1a 切欠部
1b 外周縁部
2 回転慣性力増大部材
3 回転慣性力増大部材
3a スポーク孔
10A、10B 駆動輪
11 リム
12、12B スポーク(支持部材)
13 車軸
14 タイヤ
15A、15B ハブ
16 フランジ部
16a スポーク孔
17A、17B 軸部
30 固定部材
1a 切欠部
1b 外周縁部
2 回転慣性力増大部材
3 回転慣性力増大部材
3a スポーク孔
10A、10B 駆動輪
11 リム
12、12B スポーク(支持部材)
13 車軸
14 タイヤ
15A、15B ハブ
16 フランジ部
16a スポーク孔
17A、17B 軸部
30 固定部材
Claims (5)
- ハブと、リムと、前記ハブ及び前記リムを固定するスポークと、を備える自転車の駆動輪に設けられ、当該駆動輪の回転によって回転することで前記駆動輪の回転慣性力を増大させる回転慣性力増大部材であって、
前記ハブの軸部、前記リム、及び前記スポークのうちの少なくとも一つに設けられ、且つその設けられる位置が前記駆動輪の半径方向における重心位置よりも前記ハブ寄りであることを特徴とする回転慣性力増大部材。 - 前記回転慣性力増大部材は、
外径が、前記駆動輪の半径方向における重心位置から回転中心までの距離よりも若干小さいリング状部材であり、表面に、一端側が前記リム又は前記スポークに取り付けられた支持部材の他端側が取り付けられており、当該支持部材によって前記ハブの軸部を囲むように支持されていることを特徴とする請求項1に記載の回転慣性力増大部材。 - 前記回転慣性力増大部材は、
前記軸部と別体の二以上のブロック状部材からなり、固定部材によって前記軸部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の回転慣性力増大部材。 - 前記回転慣性力増大部材は、
前記軸部と一体成形され、当該軸部の周面から突出して設けられる円板状部材であることを特徴とする請求項1に記載の回転慣性力増大部材。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の回転慣性力増大部材を備えたことを特徴とする自転車の駆動輪。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009181354A JP2011031791A (ja) | 2009-08-04 | 2009-08-04 | 回転慣性力増大部材およびこれを備えた自転車の駆動輪 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009181354A JP2011031791A (ja) | 2009-08-04 | 2009-08-04 | 回転慣性力増大部材およびこれを備えた自転車の駆動輪 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2011031791A true JP2011031791A (ja) | 2011-02-17 |
Family
ID=43761297
Family Applications (1)
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JP2009181354A Pending JP2011031791A (ja) | 2009-08-04 | 2009-08-04 | 回転慣性力増大部材およびこれを備えた自転車の駆動輪 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2011031791A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103358809A (zh) * | 2012-03-26 | 2013-10-23 | 江南大学 | 橡胶轮胎车轮辅助驱动装置 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5317548Y1 (ja) * | 1970-02-12 | 1978-05-11 | ||
JPS5352551A (en) * | 1976-10-26 | 1978-05-13 | Toyota Motor Corp | Electrostatic powder coating |
JPS62292584A (ja) * | 1986-06-10 | 1987-12-19 | 富山 晴夫 | 高速自転車 |
JPH0219698A (ja) * | 1988-07-07 | 1990-01-23 | Hitachi Ltd | ベーンコントロール装置 |
-
2009
- 2009-08-04 JP JP2009181354A patent/JP2011031791A/ja active Pending
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