JP2011031403A - アクチュエーター、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液滴噴射装置 - Google Patents

アクチュエーター、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液滴噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い信頼性を持つアクチュエーター、液体噴射ヘッドおよびそれらの製造方法並びに液体噴射装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るアクチュエーター50は、振動板10と、振動板10の上方に、形成された第1導電部20と、第1導電部20の上方に形成された圧電体層30と、圧電体層30の上方であって、第1導電部20の少なくとも一部とオーバーラップするように形成された第2導電部21と、を含み、第1導電部20および第2導電部21の少なくとも一方が、電気的に絶縁された第1および第2導電層を有し、第1導電層25は、第1駆動電圧範囲内における第1の駆動電圧が印加され、第2導電層26は、第2駆動電圧範囲内における第2の駆動電圧が印加され、または接地される。
【選択図】図1

Description

本発明は、アクチュエーター、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液滴噴射装置に関する。
例えば、画像記録装置およびディスプレー製造装置等に用いることができるインクジェットプリンター等の液滴噴射装置において、インク等の液滴を噴射するための液体噴射ヘッドに圧電素子を備えたアクチュエーターを用いること知られている。このようなアクチュエーターは、例えば、駆動信号等の電圧を印加することによってアクチュエーターの圧電体を変形させることにより、アクチュエーターが備える振動板を振動させることができる。このようなアクチュエーターを備えた液体噴射ヘッドによれば、例えばアクチュエーターの下方に形成された圧力室内の圧力をアクチュエーターの振動によって変化させることができる。これによって、液体噴射ヘッドは、ノズル孔から圧力室内に供給されたインクなどの液滴を噴射させることができる。
このような液体噴射ヘッドにおいて、アクチュエーターの圧電素子に繰り返し駆動信号を印加して、長期的に使用した場合、圧電素子の変位量が変化することが知られている。その結果、液体噴射ヘッドの吐出特性が変化し、信頼性を低下させるという課題が知られている(特許文献1)。このような課題から、例えば、比較的高い電圧の駆動パルスをアクチュエーターの圧電素子に印加するなどの処理を行い、圧電素子の変位特性を安定化させることによって液体噴射ヘッドの吐出特性を安定化させるエージング工程を行うことが必要とされている(特許文献1)。
特開2004−202849号公報
本発明の様態の1つは、高い信頼性を持つアクチュエーターを提供することにある。
本発明の様態の1つは、高い信頼性を持つアクチュエーターを有する液体噴射ヘッドを提供することにある。
本発明の様態の1つは、上記液体噴射ヘッドを有する液滴噴射装置を提供することにある。
本発明の様態の1つは、高い信頼性を持つアクチュエーターの製造方法を提供することにある。
本発明の様態の1つは、高い信頼性を持つ液体噴射ヘッドの製造方法を提供することにある。
(1)本発明の様態の1つであるアクチュエーターは、
振動板と、
前記振動板の上方に、形成された第1導電部と、
前記第1導電部の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方であって、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように形成された第2導電部と、
を含み、
前記第1導電部および前記第2導電部の少なくとも一方が、電気的に絶縁された第1および第2導電層を有し、
前記第1導電層は、第1駆動電圧範囲内における第1の駆動電圧が印加され、
前記第2導電層は、第2駆動電圧範囲内における第2の駆動電圧が印加され、または接地される。
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。同様に、「下方」という文言は、A下に直接Bを形成するような場合と、A下に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとする。
本発明によれば、高い信頼性を持つアクチュエーターを提供することができる。
(2)本発明の様態の1つにおいて、
前記第1および第2導電層は、交互に隣り合うように配置されてもよい。
(3)本発明の様態の1つにおいて、
前記第1駆動電圧範囲は、前記圧電体層の第1の抗電界を最小値とする電圧範囲であり、
前記第2駆動電圧範囲は、前記圧電体層の第2の抗電界を最大値とする電圧範囲であってもよい。
(4)本発明の様態の1つにおいて、
前記第1の駆動電圧の駆動波形は、前記第2の駆動電圧の駆動波形を反転させた波形であってもよい。
(5)本発明の様態の1つにおいて、
前記圧電体層の残留分極の方向を第1の方向としたとき、
前記第1の駆動電圧は、前記第1の方向に印加され、
前記第2の駆動電圧は、前記第1の方向と反対の第2の方向に印加されてもよい。
(6)本発明の様態の1つである液体噴射ヘッドは、
上記のいずれかのアクチュエーターを有する液体噴射ヘッドであって、
圧力室を有する基板を更に含み、
前記基板は、前記振動板の下方に形成され、
前記第1および第2導電部は、前記振動板の前記圧力室とオーバーラップする振動領域内に形成される。
本発明によれば、高い信頼性を持つ液体噴射ヘッドを提供することができる。
(7)本発明の様態の1つにおいて、
前記振動板の上の前記振動領域において前記圧電体層が延びる方向を第2の方向とし、前記第2の方向に対して直交する方向を第3の方向とするとき、
前記第1導電層は、前記第2の方向に延びる第1の部分と、前記第3の方向に延びる第2の部分とを有し、
前記第2導電層は、前記第2の方向に延びる第3の部分と、前記第3の方向に延びる第4の部分とを有していてもよい。
(8)本発明の様態の1つにおいて、
前記第2導電部は、前記第1導電層および前記第2導電層を有し、
前記第1導電層の前記第1の部分と、前記第2の導電層の前記第3の部分とが、前記第3の方向において隣り合うように配置されてもよい。
(9)本発明の様態の1つにおいて、
前記第2導電部は、前記第1導電層および前記第2導電層を有し、
前記第1導電層の前記第2の部分と、前記第2の導電層の前記第4の部分とが、前記第2の方向において隣り合うように配置されてもよい。
(10)本発明の様態の1つにおいて、
前記第1導電部は、前記第1導電層および前記第2導電層を有し、
前記第1導電層の前記第1の部分と、前記第2の導電層の前記第3の部分とが、前記第3の方向において隣り合うように配置されてもよい。
(11)本発明の様態の1つにおいて、
前記第1導電部は、前記第1導電層および前記第2導電層を有し、
前記第1導電層の前記第2の部分と、前記第2の導電層の前記第4の部分とが、前記第2の方向において隣り合うように配置されてもよい。
(12)本発明の様態の1つにおいて、
前記第1導電部および前記第2導電部は、それぞれ前記第1導電層および前記第2導電層を有し、
前記第1導電層の前記第2の部分と、前記第2の導電層の前記第4の部分とが、前記第2の方向において隣り合うように配置されてもよい。
(13)本発明の様態の1つである液体噴射装置は、
上記いずれかに記載の液体噴射ヘッドを有する。
本発明によれば、高い信頼性を持つ液体噴射装置を提供することができる。
(14)本発明の様態の1つであるアクチュエーターの製造方法は、
第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面とを有した振動板を形成する工程と、
前記第1の面において第1導電部を形成する工程と、
前記第1導電部を覆うように圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の一部を覆い、かつ、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように第2導電部を形成する工程と、
を含み、
前記第1導電部および第2導電部の少なくとも一方が、電気的に絶縁された第1および第2導電層から形成される。
本発明によれば、高い信頼性を持つアクチュエーターの製造方法を提供することができる。
(15)本発明の様態の1つである液体噴射ヘッドの製造方法は、
圧力室を有する基板を形成する工程と、
前記基板の上方に形成される振動板であって、第1の面と、前記第1の面と反対側の前記基板と対向した第2の面とを有し、前記第1の面において、前記圧力室とオーバーラップする振動領域を有した振動板を形成する工程と、
前記第1の面の前記振動領域内に第1導電層を形成する工程と、
前記第1の導電層を覆うように圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の一部を覆い、かつ、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように第2の導電層を形成する工程と、
を含み、
前記第1導電部および第2導電部の少なくとも一方が、電気的に絶縁された第1および第2導電層から形成される。
本発明によれば、高い信頼性を持つ液体噴射ヘッドの製造方法を提供することができる。
本実施形態に係るアクチュエーターの要部を模式的に示す断面図。 圧電体の変位量と印加電圧との関係を模式的に示すグラフ。 本実施形態に係るの駆動電圧の駆動波形を模式的に示すグラフ。 本実施形態に係るアクチュエーターの要部を模式的に示す回路図。 本実施形態に係る液滴噴射ヘッドを模式的に示す斜視図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す平面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す平面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す平面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す平面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す平面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す平面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液滴噴射装置を模式的に示す斜視図。 本実験例に係る圧電素子の変位量の経時変化を示すグラフ。
以下に、本発明を適用した実施形態の一例について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。本発明は、以下の実施形態およびその変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
1. アクチュエーター
以下、図面を参照して、本実施形態に係るアクチュエーターについて説明する。
図1(A)は、本実施形態に係るアクチュエーター50の要部の構成を模式的に示す断面図である。図1(B)は、本実施形態に係るアクチュエーター50の変形例を模式的に示す断面図である。図2は、圧電体の変位量(S)と印加電圧(E)との関係を模式的に示すグラフである。図3は、本実施形態に係る駆動電圧の駆動波形を模式的に示すグラフである。図4は、本実施形態に係るアクチュエーター50の要部を模式的に示す回路図である。
図1(A)に示すように、本実施形態に係るアクチュエーター50は、第1の面11と、第1の面11と反対側の第2の面12とを有する振動板10と、第1の面11の上方に、形成された第1導電部20と、第1導電部20の上方に形成された圧電体層30と、圧電体層30の上方であって、第1導電部20の少なくとも一部とオーバーラップするように形成された第2導電部21と、を含む。つまりは、図1(A)に示すように、本実施形態に係るアクチュエーター50は、第1導電部20、第2導電部21および圧電体層30を有する圧電素子40を含む。
振動板10は、図1(A)に示すように、第1導電部20の下方に形成される。振動板10は、第1導電部20と対向した第1の面11と、第1の面11と反対の面である第2の面12とを有する。振動板10は、プレート状の部材であればよく、平面視上の形状(第1の面11または第2の面12を底面とした場合の平面視における形状)は特に限定されない。振動板10の平面視の形状は、アクチュエーターの形状に合わせて適宜設計することができる。振動板10の構造及び材料は、振動板10が、弾性を有する限り、特に限定されない。例えば、振動板10は、図示されないが、複数の膜の積層体で形成されていてもよい。このとき、振動板10は、例えば、酸化ジルコニウムや酸化シリコンなどの絶縁膜、ニッケルなどの金属膜、ポリイミドなどの高分子材料膜等から選択される複数の膜の積層体であってもよい。
振動板10は、圧電体層30が変形(膨張または収縮)することによって力が加えられ、変形することができる。これにより、例えば振動板10の第2の面12に対向した対象物もしくは対象領域に対し、力学的に作用することができる。ここで、図1(A)に示すように、振動板10において、1方向に変位する1ユニットの圧電素子40が上方に形成され、振動板10が、連続して一体的に変位する領域をユニット領域13と定義する。例えば、圧電素子40が、インクジェットプリンター等の液体噴射装置の液体噴射ヘッドに用いられる場合は、ユニット領域13は、振動板10が、下方に形成された圧力室とオーバーラップし、一体的に変位することができる領域であってもよい。
第1導電部20は、図1(A)に示すように、振動板10の第1の面11の上方のユニット領域13内に形成される。第1導電部20は、図1(A)に示すように、プレート状部材であってもよい。また、図1(B)に示すように、第1導電部20は、第1の面11の上方に並列に配置された複数の導電層から構成されていてもよい。詳細は後述される。第1導電部20は、導電性を有した層からなり、アクチュエーター50に含まれる圧電素子40の下部電極を構成する。第1導電部20の構造及び材料は、導電性を有する限り、特に限定されない。例えば、第1導電部20は、単層で形成されていてもよい。あるいは、第1導電部20は、複数の膜の積層体で形成されていてもよい。第1導電部20は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)などのいずれかを含む金属層であってもよい。
また、図示はしないが、第1導電部20は、ユニット領域13の外へ延びるリード部に電気的に接続される。ユニット領域13以外の導電層は、リード部であってもよい。リード部は、図示しない駆動電圧発生回路または接地回路に接続されていてもよい。第1導電部20が、複数の導電層から構成される場合、複数の導電層が、それぞれのリード部と電気的に接続されていてもよい。
圧電体層30は、図1(A)に示すように、ユニット領域13において、第1導電部20の少なくとも一部を覆うように形成される。圧電体層30の形状は特に限定されず、圧電体層30は、所望の厚みに調整されることができる。圧電体層30は、圧電特性を有した多結晶体からなる。圧電体層30の構造及び材料は、圧電特性を有していればよく、特に限定されない。圧電体層30は、公知の圧電材料から形成されればよく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O)、チタン酸ビスマスナトリウム((Bi、Na)TiO3)などを用いてもよい。
また、圧電体層30は、製造された後に行われる分極処理によって、特定のベクトル量である残留分極(Pr)を有している。圧電体層30の残留分極の分極方向は、特に限定されるものではなく、アクチュエーター50の構成に対して適宜、分極処理によって任意の方向に規定されることができる。圧電体層30の残留分極の分極方向は、電圧が印加される方向と平行である限り特に限定されず、例えば、図1(A)および図1(B)に示される構成を有するアクチュエーター50の場合、圧電体層30の残留分極の分極方向は、第1の面11から第2の面12に対する法線方向(以下、「第1の方向100」ともいう)であってもよい。
第2導電部21は、図1(A)に示すように、圧電体層30の上方のユニット領域13内に形成される。第2導電部21は、図1(A)に示すように、圧電体層30の上方に並列に配置された複数の導電層から構成されていてもよい。詳細は後述される。第2導電部21は、導電性を有した層からなり、圧電素子の上部電極を構成する。第2導電部21の構造及び材料は、導電性を有する限り、特に限定されない。例えば、第2導電部21は、単層で形成されていてもよい。あるいは、第2導電部21は、複数の膜の積層体で形成されていてもよい。第2導電部21は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)などのいずれかを含む金属層であってもよい。また、第1導電部20と同じ構成を有していてもよい。
また、図示はされないが、第2導電部21は、ユニット領域13の外へ延びるリード部に電気的に接続されている。リード部は、図示しない駆動電圧発生回路または接地回路に接続されていてもよい。第2導電部21が、複数の導電層から構成される場合、複数の導電層が、それぞれのリード部と電気的に接続されていてもよい。詳細は後述される。
図1(A)および図1(B)に示すように、本実施形態に係るアクチュエーター50において、第1導電部20および第2導電部21の少なくとも一方は、2以上の導電層から構成されていてもよい。以下に詳細を説明する。
図1(A)に示すように、第2導電部21の一方のみが、複数の導電層から構成されていている場合、第2導電部21は、互いに電気的に絶縁された第1導電層25および第2導電層26から構成される。図1(A)に示すように、第1導電層25および第2導電層26は、ユニット領域13内において、隣り合うように並列に配置される。図示はされないが、第1導電層25および第2導電層26は、圧電体層30の上方において平面視上(第2の面12を底面とした場合の平面視)同じ方向に延びるように形成されてもよい。第1導電層25および第2導電層26がそれぞれ複数形成される場合、一の方向において交互に隣り合うように形成されてもよい。
また、図示されないが、第2導電部21は、一対の第1導電層25と第2導電層26から構成されていてもよい。第1導電層25および第2導電層26の形状は特に限定されない。第1導電層25および第2導電層26は、同じ膜厚を有し、同じ構成および材料からなる導電層であってもよい。また、第1導電層25および第2導電層26は、互いに異なる膜厚を有し、異なる構造および材料からなる導電層であってもよい。
また、図示はされないが、第1導電層20のみが複数の導電層、つまりは第1導電層25および第2導電層26から構成されていてもよい。
図1(B)に示すように、第1導電部20および第2導電部21が、複数の導電層から構成されていている場合、第1導電部20および第2導電部21は、互いに電気的に絶縁された第1導電層25および第2導電層26から構成される。図1(B)に示すように、第1導電層25および第2導電層26は、ユニット領域13内において、隣り合うように並列に配置される。図示はされないが、第1導電層25および第2導電層26は、圧電体層30の上方において平面視上(第2の面12を底面とした場合の平面視)同じ方向に延びるように形成されていてもよい。また、図1(B)に示すように、第1導電部20を構成する複数の導電層にオーバーラップするように第2導電部21を構成する複数の導電層が配置される。例えば、第1導電部20の第1導電層25の上方には第2導電部21の第2導電層26がオーバーラップするように配置される。また、第1導電部20の第2導電層26の上方には第2導電部21の第1導電層25がオーバーラップするように配置される。つまりは、第1導電部20および第2導電部21を構成する第1導電層25および第2導電層26は同じの間隔のピッチで並列に配置され、かつ第1導電部20と第2導電部21との間で、第1導電層25と第2導電層26とが対向するように配置されればよい。
図1(A)に示すように、第1導電部20および第2導電部21の一方のみが、第1導電層25および第2導電層26から構成される場合、第1導電層25には、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加され、第2導電層26には、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が印加される。また、図1(B)に示すように、第1導電部20および第2導電部21の両方が、第1導電層25および第2導電層26から構成される場合、第1導電層25には、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加され、第2導電層26は、接地される。これによれば、図1(A)および図1(B)に示すように、圧電体層30のユニット領域13内に、互いに隣接する第1駆動領域33と第2駆動領域34とを形成することができる。
以下に、図面を参照して第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1および第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2と、第1駆動領域33および第2駆動領域34と、の関係を説明する。
図2は、圧電特性を有する圧電体の変位量(S)と印加電圧(E)との関係を模式的に示すグラフであって、圧電体の所謂バタフライカーブである。図3(A)および図3(B)は、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1および第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2の駆動波形の一例を模式的に示すグラフである。
図2に示すように、圧電特性を有する圧電体は、分極量の極性が、陽極から陰極へ反転する境界の電圧値である第1抗電界(Ec1)と、陰極から陽極へ反転する境界の電圧値である第2抗電界(Ec2)と、を有する。また、印加される電圧の最大値をEm1とし、最小値をEm2とする。Em1およびEm2は、アクチュエーター50の変位量を最大とする電圧値であってよい。言い換えれば、Em1およびEm2は、所望の変位量に対して適宜決定される。このとき、図2に示すように、Ec1以上、Em1以下の電圧範囲を第1駆動電圧範囲E1(Ec1≦E1≦Em1)とし、Em2以上、Ec2以下の電圧範囲を第2駆動電圧範囲E2(Em2≦E2≦Em1)とすることができる。
図3(A)に示すように、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1は、第1駆動電圧範囲(Ec1≦E1≦Em1)内において、駆動波形を有することができる。つまりは、駆動波形の最大値は、Em1であり、最小値は、Ec1となる。ここで、駆動波形のパターンは特に限定されるものではなく、所望の動作を目的として、適宜決定されればよい。例えば、待機時に印加される共通電圧をCom1(Ec1<Com1<Em1)とするとき、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1は、Com1から電圧をEm1およびEc1へ適宜変化する駆動パルスを形成すればよい。
図3(B)に示すように、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2は、第2駆動電圧範囲(Em2≦E1≦Ec2)内において、駆動波形を有することができる。つまりは、駆動波形の最大値は、Ec2であり、最小値は、Em2となる。ここで、駆動波形のパターンは特に限定されるものではなく、所望の動作を目的として、適宜決定されればよい。例えば、待機時に印加される共通電圧をCom2(Em2<Com2<Ec2)とするとき、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2は、Com2から電圧をEm2およびEc2へ適宜変化する駆動パルスを形成すればよい。また、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2の波形は、第1駆動電圧1の波形を、電圧値が零の地点を反転軸とし、反転させた電圧パターンであってもよい。これによれば、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1を印加された圧電体層30の変位量(歪量)と、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2を印加された圧電体層30の変位量(歪量)と、を実質的に同一にすることができる。
圧電体層30における第1駆動領域33とは、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が、圧電体層30の残留分極の分極方向と同じ方向に印加される領域をいう。また、圧電体層30における第2駆動領域34とは、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が、圧電体層30の残留分極の分極方向に印加される領域、または第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が、圧電体層30の残留分極の分極方向と反対の方向に印加される領域をいう。
第1駆動領域33における圧電体層30の所定電圧値に対する変位量は、後述される実権例から明らかなように、経時的に減少する傾向を示す。また、本発明者は、第2駆動領域34における圧電体層30の所定電圧値に対する変位量は、第1駆動領域33の変位量の経時的変化を異なる変化をし、逆相関の傾向を示すことを見出した(図20参照)。以上より、第1駆動領域33および第2駆動領域34を、互いに隣接するように形成し、交互に隣り合うように形成することにより、アクチュエーター50の全体としての変位量の経時変化を安定的にすることができる。この詳細は実験例において後述される。
図4(A)および図4(B)に示すように、アクチュエーター50は、第1駆動電圧発生回路200、第2駆動電圧発生回路210および接地回路220を備えることができる。第1駆動電圧発生回路200は、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1を発生することができる。第2駆動電圧発生回路210は、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2を発生することができる。第1駆動電圧発生回路200および第2駆動電圧発生回路210と、圧電素子40とは、第1導電部20および第2導電部21から延びるリード部によって電気的に接続される。ここで、図4(A)および図4(B)に示すように、第1駆動電圧発生回路200と電気的に接続されたリード部を第1リード部27とし、第2駆動電圧発生回路210と電気的に接続されたリード部を第2リード部28とし、接地回路220(GND)に電気的に接続されたリード部を第3リード部29とする。
本実施例に係るアクチュエーター50が、例えば、図1(A)に示される構成からなる場合、図4(A)に示すように、第1導電層25は、第1リード部27によって、第1駆動電圧発生回路200に電気的に接続される。
また、第2導電層26は、第2リード部28によって、第2駆動電圧発生回路210に電気的に接続される。また、第1導電部20は、第3リード部29によって、接地回路220に電気的に接続される。
また、本実施形態に係るアクチュエーター50が、例えば、図1(B)に示される構成からなる場合、図4(B)に示すように、第1導電部20および第2導電部21に含まれる第1導電層25は、第1リード部27によって、第1駆動電圧発生回路200に電気的に接続され、第1導電部20および第2導電部21に含まれる第2導電層26は、第3リード部29によって、接地回路220に電気的に接続される。
このように、本実施形態に係るアクチュエーター50において、第1リード部27〜第3リード部29、第1駆動電圧発生回路200および第2駆動電発生回路210並びに接地回路220は、アクチュエーター50の第1導電部20および第2導電部21の構成によって適宜形成されることができる。
以上のいずれかの構成により、本実施形態に係るアクチュエーター50の構成とすることができる。
本実施形態に係るアクチュエーター50は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係るアクチュエーター50によれば、少なくとも一対の隣り合う第1駆動領域33および第2駆動領域34が、ユニット領域13内の圧電素子40に形成される。上述のように、第1駆動領域33は、経時的に所定電圧値に対する変位量が減少する傾向を示し、第2駆動領域34は、逆相関の傾向を示す。このように、第1駆動領域33および第2駆動領域34が圧電体層30内において、隣り合うように形成されることによって、第1駆動領域33および第2駆動領域34の変位量の経時的な変化が、平均化される。その結果、所定電圧に対する圧電体層30の全体としての変位量を、経時的に安定的なものとすることができる。よって、所定電圧に対する変位量が経時的に安定した高い信頼性を持つアクチュエーター50を提供することができる。
また、本実施形態に係るアクチュエーター50によれば、その製造工程において、圧電体層に対して所定数の駆動パルスを印加することで圧電素子40の変位量を安定化させるエージング等の処理工程を必要としないアクチュエーター50を提供することができる。
2. 液体噴射ヘッド
以下、図面を参照して、本実施形態に係る液体噴射ヘッドについて説明する。
図5は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300の分解斜視図である。
図5に示すように、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300は、アクチュエーター50を有する液体噴射ヘッドであって、圧力室61を有する基板60を更に含み、基板60は、アクチュエーター50の振動板10の下方(第2の面12の上方)に形成される。
基板60は、図5に示すように、圧力室61を有する。図5に示すように、基板60は、圧力室61の側壁を構成する壁部62を有する。また、基板60は、圧力室61と供給路63および連通路64を介して連通したリザーバ65を有していてもよい。リザーバ65には、図示されない貫通孔が形成されてもよく、該貫通孔を通って外部からリザーバ65内に液体が供給されてもよい。これによれば、リザーバ65に液体を供給することによって、供給路63および連通路64を介して圧力室61に液体を供給することができる。圧力室61の形状は、特に限定されない。圧力室61の形状は、例えば、平面視において平行四辺形であってもよく、矩形であってもよい。圧力室61の数は特に限定されず、1つであってもよいし、複数設けられていてもよい。基板60の材質は、特に限定されない。基板60は、例えば、単結晶シリコン、ニッケル、ステンレス、ステンレス鋼、ガラスセラミックス等から形成されてもよい。
ノズル板70は、図5に示すように、圧力室61の下方に形成される。ノズル板70は、プレート状の部材であって、ノズル孔71を有する。ノズル孔71は、圧力室61に連通するように形成される。ノズル孔71の形状は、液体を吐出することができる限り、特に限定されない。ノズル孔71を介することで、圧力室61内の液体を、例えば、ノズル板70の下方に向けて吐出することができる。また、ノズル孔71の数は特に限定されず、1つであってもよいし、複数設けられていてもよい。ノズル板70の材質は、特に限定されない。ノズル板70は、例えば、単結晶シリコン、ニッケル、ステンレス、ステンレス鋼、ガラスセラミックス等から形成されてもよい。
本実施形態に係る液体噴射ヘッド300は、図5に示すように、基板60の上方にアクチュエーター50を有する。本実施形態に係る液体噴射ヘッド300のアクチュエーター50の要部に係る詳細な説明は後述される。
封止板80は、図5に示すように、アクチュエーター50の上方に形成される。封止板80は、圧電素子40を所定の空間領域に封止することができる封止領域81を有している。封止領域81は、圧電素子40の振動運動を阻害しない程度の空間領域であればよい。封止板80の構造及び材料は、特に限定されない。例えば、封止板80は、例えば、単結晶シリコン、ニッケル、ステンレス、ステンレス鋼、ガラスセラミックス等から形成されてもよい。また、液体噴射ヘッド300は、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料からなり、上述された構成を収納することができる筐体を有していてもよい(図示せず)。
以下、図6(A)および図6(B)を参照して、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300のアクチュエーター50の要部の詳細について説明する。
図6(A)は、液体噴射ヘッド300に係る要部である振動板10及び圧電素子40のみを便宜的に示した平面図である。図6(B)は、図6(A)に示す要部のVIB−VIB線断面図である。
図6(A)に示すように、振動板10は、第1の面11(図2(B)参照)において振動領域15(図6(A)の破線部分)を有する。振動領域15は、第1の面11の圧力室61とオーバーラップする領域である。図6(A)に示すように、振動領域15は圧力室61毎に形成されている。振動領域15は、圧力室61の平面視の形状と同じ形状を有する。このとき、振動領域15は、アクチュエーター50におけるユニット領域13であってもよい。また、図6(B)に示すように、隣り合う振動領域15の間で、基板60の壁部62とオーバーラップしている領域を非振動領域16とする。
ここで、振動領域15において圧力室61の長手方向を第2の方向120とし、第2の方向に対して垂直な方向を第3の方向130とする。圧力室61は、第3の方向130に沿って、所定の間隔で、複数形成されていてもよい。
第1導電部20は、図6(A)に示すように、振動領域15内において、第2の方向120に延びるように形成される。図6(A)に示すように、第1導電部20は、第2の方向120における両端部である端部20aを有する。両端部20aの位置は、振動領域15内であって、振動領域15の短辺(第2の方向120に延びる長辺に挟まれる辺)にオーバーラップしない限り特に限定されない。図6(B)に示すように、第1導電部20は、非振動領域16の上に形成された導電層によって、隣り合う第1導電部20が連続するように形成されていてもよい。つまりは、複数の圧電素子40の下部電極が、連続して形成された共通下部電極であってもよい。
また、図6(A)に示すように、第1導電部20は、第3リード部29によって、図示されない接地回路230に電気的に接続されていてもよい。また、図示はされないが、非振動領域16に導電層を形成せずに、振動領域15内のみに第1導電部20を形成し、第1導電部20と電気的に接続された第3リード部29を所望の形状にて形成してもよい。
圧電体層30は、図6(A)に示すように、振動領域15において、第2の方向120に延び、第1導電部20を覆うように形成される。圧電体層30は、図6(B)に示すように、振動領域15内において、第3の方向130における両端部30aを有していてもよい。また、図示はされないが、圧電体層30は、非振動領域16内において、第3の方向130における両端部30aを有していてもよい。圧電体層30は、図6(A)に示すように、振動領域15において第1導電部20の少なくとも一部を覆うように形成されていればよく、第2の方向120に沿うように連続して延びていてもよいし、図示はされないが、振動領域15内のみに形成されていてもよい。圧電体層30の形状は特に限定されず、図6(B)に示すように、第1導電部20の上方に上面31を有し、上面31と連続したテーパー状の側面32を有していてもよい。また、図示はされないが、側面32は、第1導電層20の上面(第1の面11上の面と対向する面)に至らずに、振動領域15から非振動領域16に連続して形成された圧電体層30に連続していてもよい。
圧電体層30は、製造された後に行われる分極処理によって、特定のベクトル量である残留分極(Pr)を有している。図6(B)に示すように、圧電体層30の残留分極の分極方向は、電圧が印加される方向に平行な方向であれば特に限定はされない。例えば、圧電体層30の残留分極の分極方向は、第1の面11から第2の面12に対する法線方向である第1の方向100であってもよい。また、図示はされないが、圧電体層30の残留分極の分極方向は、第1の方向100と反対の方向(第2の面12から第1の面11に対する法線方向)であってもよい。
第2導電部21は、図6(A)に示すように、電気的に絶縁された第1導電層25および第2導電層26から形成される。図6(A)に示すように、第1導電層25および第2導電層26は、振動領域15内において第1導電部20とオーバーラップし、圧電体層30の一部を覆うように形成される。第1導電層25および第2導電層26の配線パターンは、圧電体層30の上において第1導電部20とオーバーラップする限り特に限定されない。
図6(A)に示すように、第1導電層25は、振動領域15内において第2の方向120に延びる第1の部分25aと、第3の方向130に延びる第2の部分25bとから構成されていてもよい。また、図6(A)に示すように、第2導電層26は、振動領域15内において第2の方向120に延びる第3の部分26aと、第3の方向130に延びる第4の部分26bとから構成されていてもよい。
本実施の形態においては、図6(B)に示すように、少なくとも一対の第1の部分25aおよび第3の部分26aが、第3の方向130に沿って隣り合うように、第1導電層25および第2導電層26が配置される。また、図6(B)に示すように、複数の第1の部分25aおよび第3の部分26aが、第3の方向130に沿って交互に隣り合うように配置されていてもよい。ここで、図6(A)に示すように、第1導電層25の第2の部分25bは、第3の方向130において隣り合う第1導電層25の第1の部分25aを電気的に接続する部分であってもよい。また、図6(A)に示すように、第2導電層26の第4の部分26bは、第3の方向130において隣り合う第2導電層26の第3の部分26aを電気的に接続する部分であってもよい。ここで、第2の部分25bおよび第4の部分26bの形状は、隣り合う第1の部分25aおよび隣り合う第3の部分26aを電気的に接続し得る限り特に限定されないため、第3の方向130に対して交差する方向に延びていてもよい(図示せず)。
第1導電層25は、振動領域15の外に延びる第1リード部27に電気的に接続される。また、第2導電層26は、振動領域15の外に延びる第2リード部28に電気的に接続される。図6(A)に示すように、第1リード部27および第2リード部28は、それぞれ、第1導電層25および第2導電層26に対して同じ方向から延びていてもよいし、それぞれ反対方向に延びていてもよい。上述のように、第1リード部27は、図示しない第1駆動電圧発生回路200と電気的に接続され、第2リード部28は、図示しない第2駆動電圧発生回路210と電気的に接続される(図4参照)。これによれば、第1導電層25には、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加され、第2導電層26には第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が印加される。
図6(B)に示すように、圧電体層30の残留分極の分極方向が、第1の方向100である場合、接地される第1導電部20と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第2導電部21の第1導電層25とによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となり、接地される第1導電部20と、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が印加される第2導電部21の第2導電層26とによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となる。ここで、圧電体層30の残留分極の分極方向が第1の方向100と反対である場合(第2の面12から第1の面11に対する法線方向である場合)、接地される第1導電部20と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第2導電部21の第1導電層25とによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となり、接地される第1導電部20と、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が印加される第2導電部21の第2導電層26とによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となる。
以上によって、振動領域15における圧電体層30において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34が隣り合う構造を形成することができる。また、図6(B)に示すように、複数の第1駆動領域33および第2駆動領域34が、圧電体層30において、交互に隣り合うように、配置されていてもよい。
以上のいずれかの構成により、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300の構成とすることができる。
本実施形態に係る液体噴射ヘッド300は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係る液体噴射ヘッド300によれば、振動領域15内の圧電素子40において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34を、隣り合うように配置することができる。上述のように、第1駆動領域33は、経時的に所定電圧値に対する変位量が減少する傾向を示し、第2駆動領域34は、逆相関の傾向を示す。圧電体層30内において、このような駆動領域が隣り合うように配置されることによって、アクチュエーター50の動作時における全体としての変位量が、第1駆動領域33および第2駆動領域34のそれぞれの変位量を力学的に合成したものとして得られる。その結果、それぞれの駆動領域における変位量の経時変化が平均化され、所定電圧に対するアクチュエーター50の全体としての変位量を、長期的に安定的なものとすることができる。よって、所定電圧値に対する変位量が経時的に安定することにより、長期的に所定の電圧値に対して吐出される液滴の体積が安定した(吐出特性が安定した)、高い信頼性を有する液体噴射ヘッド300を提供することができる。
また、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300によれば、その製造工程において、圧電体層に対して所定数の駆動パルスを印加することで圧電素子40の変位量を安定化させるエージング等の処理工程を省略することができ、製造工程を、より簡便な工程とすることができる。
2.2 第1変形例
以下、図面を参照して、本実施の形態の第1変形例に係る液体噴射ヘッド300について説明する。
図7(A)は、本変形例に係る液体噴射ヘッド300の要部である振動板10および圧電素子40のみを便宜的に示した平面図である。図7(B)は、図7(A)に示す要部のVIIB−VIIB線断面図である。図7(C)は、図7(A)に示す要部のVIIC−VIIC線断面図である。
本変形例では、第2導電部21の構成において本実施の形態と異なる。以下に、第2導電部21の構成について説明する。なお、本変形例に係る液体噴射ヘッドにおいて、本実施の形態と同様の構成およびその製造方法等は、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
第2導電部21は、図7(A)に示すように、本実施の形態に係る液体噴射ヘッド300と同様に、電気的に絶縁された第1導電層25および第2導電層26から形成される。しかしながら、本変形例においては、図7(B)に示すように、少なくとも一対の第1導電層25の第1の部分25aおよび第2導電層26の第3の部分26aが、第2の方向120に沿って隣り合うように形成される点で、本実施の形態に係る液体噴射ヘッド300と異なる。図7(B)に示すように、複数の第1の部分25aおよび第3の部分26aが、第2の方向120に沿って交互に隣り合うように配置されていてもよい。ここで、図7(A)に示すように、第1導電層25の第1の部分25aは、第2の方向120において隣り合う第2の部分25bを電気的に接続する部分であってもよい。また、図7(A)に示すように、第2導電層26の第3の部分26aは、第2の方向120において隣り合う第4の部分26bを電気的に接続する部分であってもよい。ここで、第1の部分25aおよび第3の部分26aの形状は、隣り合う第2の部分25bおよび隣り合う第4の部分26bを電気的に接続し得る限り特に限定されないため、第2の方向120に対して交差する方向に延びていてもよい(図示せず)。また、図7(A)に示すように、第1導電層25は、複数の第1の部分25aおよび第2の部分25bからなる、所謂くし状の形状を有していてもよい。また、第2導電層26は、複数の第3の部分26aおよび第4の部分26bからなる、所謂くし状の形状を有していてもよい。
第2導電部21を構成する第1導電層25は、振動領域15の外に延びる第1リード部27に電気的に接続される。また、第2導電部21を構成する第2導電層26は、振動領域15の外に延びる第2リード部28に電気的に接続される。図7(A)に示すように、第1リード部27および第2リード部28は、それぞれ同じ方向から延びていてもよいし、それぞれ反対方向に延びていてもよい。
図7(B)に示すように、圧電体層30の残留分極の分極方向が、第1の方向100である場合、接地される第1導電部20と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第2導電部21の第1導電層25とによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となり、接地される第1導電部20と、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が印加される第2導電部21の第2導電層26とによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となる。ここで、圧電体層30の残留分極の分極方向が第1の方向100と反対である場合(第2の面12から第1の面11に対する法線方向である場合)、接地される第1導電部20と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第2導電部21の第1導電層25とによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となり、接地される第1導電部20と、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が印加される第2導電部21の第2導電層26とによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となる。
以上によって、振動領域15における圧電体層30において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34が隣り合う構造を形成することができる。また、図7(B)に示すように、複数の第1駆動領域33および第2駆動領域34が、圧電体層30において、交互に隣り合うように、配置されていてもよい。
以上、本変形例に係る液体噴射ヘッド300によれば、振動領域15内の圧電素子40において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34を、隣り合うように配置することができる。
2.3 第2変形例
以下、図面を参照して、本実施の形態の第2変形例に係る液体噴射ヘッド300について説明する。
図8(A)は、本変形例に係る液体噴射ヘッド300の要部である振動板10および圧電素子40のみを便宜的に示した平面図である。図8(B)は、図8(A)に示す要部のVIIIB−VIIIB線断面図である。図8(C)は、図8(A)に示す要部のVIIIC−VIIIC線断面図である。
本変形例では、第1導電部20および第2導電部21の構成において本実施の形態と異なる。以下に、第1導電部20および第2導電部21の構成について説明する。なお、本変形例に係る液体噴射ヘッドにおいて、本実施の形態と同様の構成およびその製造方法等は、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
第1導電部20は、図8(A)に示すように、電気的に絶縁された第1導電層25および第2導電層26から形成される。
図8(A)に示すように、第1導電層25は、本実施の形態に係る液体噴射ヘッド300の第2導電部21と同様に、第2の方向120に延びる第1の部分25aと、第3の方向130に延びる第2の部分25bとから構成されていてもよい。また、図8(A)に示すように、第2導電層26は、振動領域15内において第2の方向120に延びる第3の部分26aと、第3の方向130に延びる第4の部分26bとから構成されていてもよい。
本変形例においては、図8(B)に示すように、少なくとも一対の第1の部分25aおよび第3の部分26aが、第3の方向130に沿って隣り合うように、第1導電層25および第2導電層26が配置される。また、図8(B)に示すように、複数の第1の部分25aおよび第3の部分26aが、第3の方向130に沿って交互に隣り合うように配置されていてもよい。ここで、図8(A)に示すように、第2の部分25bは、第3の方向130において隣り合う第1の部分25aを電気的に接続する部分であってもよい。また、図8(A)に示すように、第4の部分26bは、第3の方向130において隣り合う第3の部分26aを電気的に接続する部分であってもよい。ここで、第2の部分25bおよび第4の部分26bは、隣り合う第1の部分25aおよび隣り合う第3の部分26aを電気的に接続し得る限り特に限定されないため、第3の方向130に対して交差する方向に延びていてもよい(図示せず)。
第1導電部20を構成する第1導電層25は、振動領域15の外に延びる第1リード部27に電気的に接続される。また、第1導電部20を構成する第2導電層26は、振動領域15の外に延びる第2リード部28に電気的に接続される。図8(A)に示すように、第1リード部27および第2リード部28は、それぞれ同じ方向から延びていてもよいし、それぞれ反対方向に延びていてもよい。
第2導電部21は、図8(A)に示すように、振動領域15(ユニット領域13)内において、圧電体層30の上方に、第2導電部21を構成する第1導電層25の第1の部分25aおよび第2導電層26の第3の部分26aの少なくとも一部とオーバーラップするように形成される。図8(A)に示すように、第2導電部21は、振動領域15において、第2の方向120に延びるように形成され、第2の方向120における両端部である端部21aを振動領域15内に有していてもよい。図8(B)に示すように、第2導電部21は、非振動領域16の上に形成された導電層によって、隣り合う複数の第2導電部21が連続するように形成されていてもよい。つまりは、複数の圧電素子40の上部電極が連続して形成された共通上部電極であってもよい。
第2導電部21は、振動領域15の外に延びる第3リード部29に電気的に接続される。また、図示はされないが、振動領域15内のみに第1導電部20を形成し、第1導電部20を電気的に第3リード部29に接続してもよい。
図8(B)に示すように、圧電体層30の残留分極の分極方向が第1の方向100である場合、接地される第2導電部21と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第1導電部20の第1導電層25とによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となり、接地される第1導電部20と、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が印加される第1導電部20の第2導電層26とによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となる。ここで、圧電体層30の残留分極の分極方向が第1の方向100と反対方向(第2の面12から第1の面11に対する法線方向)である場合、接地される第2導電部21と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第1導電部20の第1導電層25とによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となり、接地される第2導電部21と、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が印加される第1導電部20の第2導電層26とによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となる。
以上によって、振動領域15における圧電体層30において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34が隣り合う構造を形成することができる。また、図8(B)に示すように、複数の第1駆動領域33および第2駆動領域34が、圧電体層30において、交互に隣り合うように、配置されていてもよい。
以上、本変形例に係る液体噴射ヘッド300によれば、振動領域15内の圧電素子40において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34を、隣り合うように配置することができる。
2.4 第3変形例
以下、図面を参照して、本実施の形態の第3変形例に係る液体噴射ヘッド300について説明する。
図9(A)は、本変形例に係る液体噴射ヘッド300の要部である振動板10および圧電素子40のみを便宜的に示した平面図である。図9(B)は、図9(A)に示す要部のIXB−IXB線断面図である。図9(C)は、図9(A)に示す要部のIXC−IXC線断面図である。
本変形例では、第1導電部20および第2導電部21の構成において本実施の形態と異なる。なお、本変形例に係る液体噴射ヘッドにおいて、本実施の形態と同様の構成は、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、第2導電部21の構成についても、第2変形例の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。よって、以下に、第1導電部20の構成について説明する。
第1導電部20は、図9(A)に示すように、電気的に絶縁された第1導電層25および第2導電層26から形成される。
図9(A)および図9(C)に示すように、第1導電層25は、第2の方向120に延びる第1の部分25aと、第3の方向130に延びる第2の部分25bとから構成されていてもよい。また、図9(A)および図9(C)に示すように、第2導電層26は、第2の方向120に延びる第3の部分26aと、第3の方向130に延びる第4の部分26bとから構成されていてもよい。
本変形例においては、図9(B)に示すように、少なくとも一対の第2の部分25bおよび第4の部分26bが、第2の方向120に沿って隣り合うように、第1導電層25および第2導電層26が配置される。また、図9(B)に示すように、複数の第2の部分25bおよび第4の部分26bが、第2の方向120に沿って交互に隣り合うように配置されていてもよい。ここで、図9(A)に示すように、第1の部分25aは、第2の方向120において隣り合う第2の部分25bを電気的に接続する部分であってもよい。また、図9(A)に示すように、第3の部分26aは、第2の方向120において隣り合う第4の部分26bを電気的に接続する部分であってもよい。ここで、第1の部分25aおよび第3の部分26aの形状は、隣り合う第2の部分25bおよび隣り合う第4の部分26bを電気的に接続し得る限り特に限定されないため、第2の方向120に対して交差する方向に延びていてもよい(図示せず)。また、図9(A)に示すように、第1導電層25は、複数の第1の部分25aおよび第2の部分25bからなる、所謂くし状の形状を有していてもよい。また、第2導電層26は、複数の第3の部分26aおよび第4の部分26bからなる、所謂くし状の形状を有していてもよい。
第1導電部20を構成する第1導電層25は、振動領域15の外に延びる第1リード部27に電気的に接続される。また、第1導電部20を構成する第2導電層26は、振動領域15の外に延びる第2リード部28に電気的に接続される。図9(A)に示すように、第1リード部27および第2リード部28は、それぞれ同じ方向から延びていてもよいし、それぞれ反対方向に延びていてもよい。
図9(B)に示すように、圧電体層30の残留分極の分極方向が第1の方向100である場合、接地される第2導電部21と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第1導電部20の第1導電層25とによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となり、接地される第1導電部20と、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が印加される第1導電部20の第2導電層26とによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となる。ここで、圧電体層30の残留分極の分極方向が第1の方向100と反対方向(第2の面12から第1の面11に対する法線方向)である場合、接地される第2導電部21と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第1導電部20の第1導電層25とによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となり、接地される第2導電部21と、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2が印加される第1導電部20の第2導電層26とによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となる。
以上によって、振動領域15における圧電体層30において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34が隣り合う構造を形成することができる。また、図8(B)に示すように、複数の第1駆動領域33および第2駆動領域34が、圧電体層30において、交互に隣り合うように、配置されていてもよい。
以上、本変形例に係る液体噴射ヘッド300によれば、振動領域15内の圧電素子40において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34を、隣り合うように配置することができる。
2.5 第4変形例
以下、図面を参照して、本実施の形態の第4変形例に係る液体噴射ヘッド300について説明する。
図10(A)は、本変形例に係る液体噴射ヘッド300の要部である振動板10および圧電素子40のみを便宜的に示した平面図である。図10(B)は、図10(A)に示す要部のXB−XB線断面図である。図10(C)は、図10(A)に示す要部のXC−XC線断面図である。
本変形例では、圧電体層30、第1導電部20および第2導電部21の構成において本実施の形態と異なる。以下に、第1導電部20および第2導電部21の構成について説明する。なお、本変形例に係る液体噴射ヘッドにおいて、本実施の形態と同様の構成およびその製造方法等は、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
圧電体層30は、図10(A)〜図10(C)に示すように、振動領域15内に形成されてもよい。つまりは、圧電体層30は、図10(A)に示すように、第3の方向130における両端部30aおよび第2の方向120における両端部30bを振動領域15内に
有していてもよい。
第1導電部20および第2導電部21は、図10(A)〜図10(C)に示すように、それぞれ、第1導電層25および第2導電層26から形成される。
図10(A)に示すように、第1導電層25は、第2の方向120に延びる第1の部分25aと、第3の方向130に延びる第2の部分25bとから構成されていてもよい。また、図10(A)および図10(C)に示すように、第2導電層26は、第2の方向120に延びる第3の部分26aと、第3の方向130に延びる第4の部分26bとから構成されていてもよい。
本変形例においては、図10(B)に示すように、少なくとも一対の第2の部分25bおよび第4の部分26bが、第2の方向120に沿って隣り合うように、第1導電層25および第2導電層26が配置さることによって、第1導電部20および第2導電部21が構成される。また、図10(B)に示すように、複数の第2の部分25bおよび第4の部分26bが、第2の方向120に沿って交互に隣り合うように配置されていてもよい。ここで、図10(A)に示すように、第1の部分25aは、第2の方向120において隣り合う第2の部分25bを電気的に接続する部分であってもよい。また、図10(A)に示すように、第3の部分26aは、第2の方向120において隣り合う第4の部分26bを電気的に接続する部分であってもよい。ここで、第1の部分25aおよび第3の部分26aの形状は、隣り合う第2の部分25bおよび隣り合う第4の部分26bを電気的に接続し得る限り特に限定されないため、第2の方向120に対して交差する方向に延びていてもよい(図示せず)。また、図10(A)に示すように、第1導電層25は、複数の第1の部分25aおよび第2の部分25bからなる、所謂くし状の形状を有していてもよい。また、第2導電層26は、複数の第3の部分26aおよび第4の部分26bからなる、所謂くし状の形状を有していてもよい。
図10(B)および図10(C)に示すように、第1導電部20を構成する第1導電層25の第2の部分25bが、第2の導電部21を構成する第2導電層26の第4の部分26bとオーバーラップするように形成される。また、図10(B)および図10(C)に示すように、第1導電部20を構成する第2導電層26の第4の部分26bが、第2の導電部21を構成する第1導電層25の第1の部分25bとオーバーラップするように形成される。つまりは、第1導電部20を構成する第1導電層25が、第2導電部21を構成する第2導電層26とオーバーラップするように形成され、第1導電部20を構成する第2導電層26が、第2導電部21を構成する第1導電層25とオーバーラップするように形成される。
図10(A)および図10(B)に示すように、第1導電部20および第2導電部21を構成する第1導電層25は、第1リード部27に電気的に接続される。図10(A)に示すように、第1導電部20および第2導電部21を構成する第1導電層25は、共通の第1リード部27に接続されていてもよい。
図10(A)および図10(B)に示すように、第1導電部20および第2導電部21を構成する第2導電層26は、第3リード部29に電気的に接続される。図10(A)に示すように、第1導電部20および第2導電部21を構成する第2導電層26は、共通の第3リード部29に接続されていてもよい。
図10(B)に示すように、圧電体層30の残留分極の分極方向が第1の方向100である場合、接地される第2導電部21の第2導電層26と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第1導電部20の第1導電層25とによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となり、接地される第1導電部20の第2導電層26と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第2導電部21の第2導電層26とによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となる。ここで、圧電体層30の残留分極の分極方向が第1の方向100に対して反対方向(第2の面12から第1の面11に対する法線方向)である場合、接地される第2導電部21の第2導電層26と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第1導電部20の第1導電層25とによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となり、接地される第1導電部20の第2導電層26と、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1が印加される第2導電部21の第2導電層26とによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となる。
以上によって、振動領域15における圧電体層30において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34が隣り合う構造を形成することができる。また、図10(B)に示すように、複数の第1駆動領域33および第2駆動領域34が、圧電体層30において、交互に隣り合うように、配置されていてもよい。
以上、本変形例に係る液体噴射ヘッド300によれば、振動領域15内の圧電素子40において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34を、隣り合うように配置することができる。
2.6 第5変形例
以下、図面を参照して、本実施の形態の第5変形例に係る液体噴射ヘッド300について説明する。
図11(A)は、本変形例に係る液体噴射ヘッド300の要部である振動板10および圧電素子40のみを便宜的に示した平面図である。図11(B)は、図11(A)に示す要部のXIB−XIB線断面図である。図11(C)は、図11(A)に示す要部のXIC−XIC線断面図である。
本変形例では、圧電体層30、第1導電部20および第2導電部21の構成において本実施の形態と異なる。以下に、第1導電部20および第2導電部21の構成について説明する。なお、本変形例に係る液体噴射ヘッドにおいて、本実施の形態と同様の構成およびその製造方法等は、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、圧電体層30の構成についても、第4変形例の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。よって、以下に、第1導電部20および第2導電層21の構成について説明する。
第1導電部20および第2導電部21は、図11(A)〜図11(C)に示すように、それぞれ、第1導電層25および第2導電層26から形成される。
図11(A)に示すように、第1導電層25は、第2の方向120に延びる第1の部分25aと、第3の方向130に延びる第2の部分25bとから構成されていてもよい。また、図11(A)および図11(C)に示すように、第2導電層26は、第2の方向120に延びる第3の部分26aと、第3の方向130に延びる第4の部分26bとから構成されていてもよい。
本変形例においては、図11(A)に示すように、少なくとも一対の第1の部分25aおよび第3の部分26aが、第3の方向130に沿って隣り合うように、第1導電層25および第2導電層26が形成される。また、図11(C)に示すように、複数の第1の部分25aおよび第3の部分26aが、第3の方向130に沿って交互に隣り合うように配置されていてもよい。ここで、図11(A)に示すように、第2の部分25bは、第3の方向130において隣り合う第1の部分25aを電気的に接続する部分であってもよい。また、図11(A)に示すように、第4の部分26bは、第3の方向130において隣り合う第3の部分26aを電気的に接続する部分であってもよい。図11(A)に示すように、第2の部分25bおよび第4の部分26bは、振動領域15の外に形成されてもよい。つまりは、振動領域15内において、第1導電部20および第2導電部21は、第1の部分25aおよび第3の部分26aのみから構成されていてもよい。
また、第2の部分25bおよび第4の部分26bの形状は、隣り合う第1の部分25aおよび隣り合う第3の部分26aを電気的に接続し得る限り特に限定されないため、第3の方向130に対して交差する方向に延びていてもよい(図示せず)。
また、第1導電部20を構成する第1導電層25の第1の部分25aは、図11(B)および図11(C)に示すように、第2の導電部21を構成する第2導電層26の第3の部分26aとオーバーラップするように配置される。また、図11(B)および図11(C)に示すように、第1導電部20を構成する第2導電層26の第3の部分26aは、第2の導電部21を構成する第1導電層25の第1の部分25aとオーバーラップするように配置される。つまりは、第1導電部20を構成する第1導電層25が、第2導電部21を構成する第2導電層26とオーバーラップするように配置され、第1導電部20を構成する第2導電層26が、第2導電部21を構成する第1導電層25とオーバーラップするように配置される。
図11(A)および図11(B)に示すように、第1導電部20および第2導電部21を構成する第1導電層25の第1の部分25aは、第1リード部27に電気的に接続される。図11(A)に示すように、第1導電部20および第2導電部21を構成する第1導電層25は、第1導電層25の第2の部分25bを介して共通の第1リード部27に接続されていてもよい。
図11(A)および図11(B)に示すように、第1導電部20および第2導電部21を構成する第2導電層26の第3の部分26aは、第3リード部29に電気的に接続される。図11(A)に示すように、第1導電部20および第2導電部21を構成する第2導電層26は第2導電層26の第4の部分26bを介して共通の第3リード部29に接続されていてもよい。
図11(C)に示すように、圧電体層30の残留分極の分極方向が第1の方向100である場合、第1導電部20を構成する第2導電層26の第3の部分26aと、第2導電部21を構成する第1導電層25の第1の部分25aとによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域33となり、第1導電部20を構成する第1導電層25の第1の部分25aと、第2導電部21を構成する第2導電層26の第3の部分26aとによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となる。ここで、圧電体層30の残留分極の分極方向が第1の方向100に対して反対方向(第2の面12から第1の面11に対する法線方向)である場合、第1導電部20を構成する第2導電層26の第3の部分26aと、第2導電部21を構成する第1導電層25の第1の部分25aとによって挟まれる圧電体層30は、第2駆動領域34となり、第1導電部20を構成する第1導電層25の第1の部分25aと、第2導電部21を構成する第2導電層26の第3の部分26aとによって挟まれる圧電体層30は、第1駆動領域32となる。
以上によって、振動領域15における圧電体層30において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34が隣り合う構造を形成することができる。また、図10(B)に示すように、複数の第1駆動領域33および第2駆動領域34が、圧電体層30において、交互に隣り合うように、配置されていてもよい。
以上、本変形例に係る液体噴射ヘッド300によれば、振動領域15内の圧電素子40において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34を、隣り合うように配置することができる。
3. アクチュエーターおよび液体噴射ヘッドの製造方法
以下、図面を参照して、本実施形態に係るアクチュエーターおよび液体噴射ヘッドの製造方法について説明する。
図12〜図18は、本実施形態に係るアクチュエーター50および液体噴射ヘッド300の製造方法を模式的に示す断面図である。
本実施形態に係るアクチュエーターの製造方法は、図12〜図18に示すように、振動板10を形成する工程と、第1の面11において第1導電部20を形成する工程と、第1導電部20を覆うように圧電体層30を形成する工程と、圧電体層30の一部を覆い、かつ、第1導電部20の少なくとも一部とオーバーラップするように第2導電部21を形成する工程と、を含み、第1導電部20および第2導電部21の少なくとも一方が、電気的に絶縁された第1および第2導電層から形成される。
また、本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、図12〜図18に示すように、圧力室61を有する基板60を形成する工程と、基板60の上方に形成される振動板10であって、第1の面11と、第1の面11と反対側の基板60と対向した第2の面12とを有し、第1の面11において、圧力室61とオーバーラップする振動領域15を有した振動板10を形成する工程と、第1の面11の振動領域15内に第1導電部20を形成する工程と、第1導電部20を覆うように圧電体層30を形成する工程と、圧電体層30の一部を覆い、かつ、第1導電部20の少なくとも一部とオーバーラップするように第2導電部21を形成する工程と、を含み、第1導電部20および第2導電部21の少なくとも一方が、電気的に絶縁された第1および第2導電層から形成される。
本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、基板60、ノズル板70を形成するために用いられる材質が単結晶シリコン等を用いる場合と、ステンレス等を用いる場合とによって異なる。以下において、単結晶シリコンを用いた場合の液体噴射ヘッドの製造方法を一例として記載する。本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、特に以下の製造方法に限定されず、ニッケルやステンレス鋼、ステンレス等を材料として用いる場合は、公知の電鋳法等の工程を含んでいてもよい。また、各工程の先後は、以下に記載の製造方法に限定されるものではない。
まず、図12(A)に示すように、準備された単結晶シリコンからなる基板60aの上に、振動板10を形成する。図12(A)に示すように、後述される製造工程において、基板60aの圧力室61が形成される領域を領域61aとする。振動板10は、公知の成膜技術によって形成される。図3(A)に示すように、例えば、振動板10は、弾性板を構成する弾性層10aをスパッタリング法等によって形成した後、絶縁層10bを弾性層10aの上にスパッタリング法等によって形成してもよい。例えば、弾性層10aは酸化ジルコニウムを用い、絶縁層10bは酸化シリコンを用いてもよい。ここで、第1の面11において、領域61aとオーバーラップした領域を振動領域15(ユニット領域13)とする。
振動板10を形成した後に、図12(B)に示すように、振動板10の第1の面11上の振動領域15に第1導電部20を形成する。ここで、第1導電部20は、実施の形態に応じて所望の形状にパターニングされる。例えば、第1導電部20が第1導電層25および第2導電層26からなる場合、所望の形状を有する第1導電層25および第2導電層26がパターニングされる。なお、第1導電部20の詳細な構成は、前述されているため、省略する。第1導電部20は、公知の成膜技術によって形成されてもよい。例えば、白金、イリジウム等をスパッタリング法等によって積層することによって導電層(図示せず)を形成し、導電層を所定の形状にエッチングすることによって第1導電部20を形成してもよい。また、第1導電部20をパターニングする際に、同時に第1導電部20に電気的に接続されるリード部を形成してもよい。
次に、図13(A)に示すように、第1導電部20を覆うように圧電体層30cを形成する。圧電体層30cをパターニングすることによって、圧電体層30が形成される。詳細は後述される。圧電体層30cは、公知の成膜技術によって形成されてもよい。圧電体層30cは、例えば、公知の圧電材料である前駆体を第1の面11の上に塗布して加熱処理されて形成されてもよい。用いられる前駆体としては、加熱処理によって焼成した後、分極処理され、圧電特性を発生させるものであれば特に限定されず、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛等の前駆体を用いてもよい。
次に、図14に示すように、圧電体層30cがエッチングによって所望の形状にパターニングされる前に、圧電体層30cを覆うように導電性を有するマスク層21bを形成してもよい。マスク層21bは、後述される第2導電部21と同じ材料から形成された金属層である。図15に示すように、マスク層21bを形成後、圧電体層30cがエッチングによりパターニングされ、圧電体層30が所望の形成にパターニングされる。ここで、マスク層21bを形成することによって、マスク層21bがエッチング工程においてハードマスクとして作用するため、図15に示すように圧電体層30にテーパー状の側面32を容易に形成することができる。なお、圧電体層30の詳細な構成は、前述されているため、省略する。
図16に示すように、圧電体層30を覆うように導電層21cが形成される。よって、導電層21cは、第2導電部21と同じ材料によって形成される。導電層21cは、公知の成膜技術によって形成されてもよい。例えば、白金、イリジウム等をスパッタリング法等によって積層することによって導電層21cを形成してもよい。マスク層21bが形成されていた場合、マスク層21bは、第2導電部21と同じ材料を用いているため、マスク層21bは導電層21cと一体化することができる。
次に、図17に示すように、導電層21cをエッチングによって所望の形状にパターニングし、第2導電部21を形成する。このとき、第2導電部21は、振動領域15内において圧電体層30の一部を覆い、第1導電部20とオーバーラップするようにパターニングされる。ここで、第2導電部21は、実施の形態に応じて所望の形状にパターニングされる。例えば、第2導電部21が第1導電層25および第2導電層26からなる場合、所望の形状を有する第1導電層25および第2導電層26がパターニングされる。なお、第2導電部21の詳細な構成は、前述されているため、省略する。また、第2導電部21をパターニングする際に、同時に第2導電部21に電気的に接続されるリード部を形成してもよい。
以上のいずれかの方法により、アクチュエーター50を製造することができる。
次に、図18(A)に示すように、封止領域81が形成された封止板80を圧電素子40の上方より搭載する。ここで、圧電素子40は、封止領域81内に封止されることができる。封止板80は、例えば、接着剤によって圧電素子40を封止してもよい。次に、図18(B)に示すように、基板60aを所定の厚みに薄くし、圧力室61などを区画する。例えば、所定の厚みを有した基板60aに対し、所望の形状にパターニングされるようにマスク(図示せず)を振動板10が形成された面と反対の面に形成し、エッチング処理することによって、圧力室61、壁部62、供給路63、連通路64およびリザーバ65を区画する(図示せず)。以上によって、振動板10の下方に圧力室61を有した基板60を形成することができる。基板60を形成した後、図18(C)に示すように、ノズル孔71を有したノズル板70を、例えば接着剤等により所定の位置に接合する。これによって、ノズル孔71は、圧力室61と連通する。
以上のいずれかの方法により、液体噴射ヘッド300を製造することができる。なお、前述の通り、液体噴射ヘッド300の製造方法は、上述の製造方法に限定されずに、基板60およびノズル板70を、電鋳法等を用いて一体形成してもよい。
本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係るアクチュエーター50および液体噴射ヘッド300の製造方法によれば、振動領域15内の圧電素子40において、少なくとも一対の第1駆動領域33および第2駆動領域34を、隣り合うように配置することができる。
以上によって、本実施形態に係るアクチュエーター50および液体噴射ヘッド300によれば、高い信頼性を持つアクチュエーターおよび液体噴射ヘッドを提供することができる。
4. 液体噴射装置
次に、本実施形態に係る液滴噴射装置について説明する。本実施形態に係る液滴噴射装置は、本発明に係る液体噴射ヘッドを有する。ここでは、本実施形態に係る液滴噴射装置1000がインクジェットプリンターである場合について説明する。図19は、本実施形態に係る液滴噴射装置1000を模式的に示す斜視図である。
液滴噴射装置1000は、ヘッドユニット1030と、駆動部1010と、制御部1060と、を含む。また、液滴噴射装置1000は、装置本体1020と、給紙部1050と、記録用紙Pを設置するトレイ1021と、記録用紙Pを排出する排出口1022と、装置本体1020の上面に配置された操作パネル1070と、を含むことができる。
ヘッドユニット1030は、例えば、上述した液体噴射ヘッド300から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット1030は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ1031と、ヘッドおよびインクカートリッジ1031を搭載した運搬部(キャリッジ)1032と、を備える。
駆動部1010は、ヘッドユニット1030を往復動させることができる。駆動部1010は、ヘッドユニット1030の駆動源となるキャリッジモータ1041と、キャリッジモータ1041の回転を受けて、ヘッドユニット1030を往復動させる往復動機構1042と、を有する。
往復動機構1042は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸1044と、キャリッジガイド軸1044と平行に延在するタイミングベルト1043と、を備える。キャリッジガイド軸1044は、キャリッジ1032が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ1032を支持している。さらに、キャリッジ1032は、タイミングベルト1043の一部に固定されている。キャリッジモータ1041の作動により、タイミングベルト1043を走行させると、キャリッジガイド軸1044に導かれて、ヘッドユニット1030が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
制御部1060は、ヘッドユニット1030、駆動部1010および給紙部1050を制御することができる。
給紙部1050は、記録用紙Pをトレイ1021からヘッドユニット1030側へ送り込むことができる。給紙部1050は、その駆動源となる給紙モータ1051と、給紙モータ1051の作動により回転する給紙ローラ1052と、を備える。給紙ローラ1052は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラ1052aおよび駆動ローラ1052bを備える。駆動ローラ1052bは、給紙モータ1051に連結されている。制御部1060によって供紙部1050が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット1030の下方を通過するように送られる。
ヘッドユニット1030、駆動部1010、制御部1060および給紙部1050は、装置本体1020の内部に設けられている。
液滴噴射装置1000では、本発明に係る液体噴射ヘッド300を有することができる。本発明に係る液体噴射ヘッド300は、上述のように、経時的に安定した吐出特性を有する。そのため、高い信頼性を有する液滴噴射装置1000を得ることができる。
なお、上述した例では、液滴噴射装置1000がインクジェットプリンターである場合について説明したが、本発明のプリンタは、工業的な液体吐出装置として用いられることもできる。この場合に吐出される液体(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したもの、または、メタルフレーク等を含むものなどを用いることができる。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
5. 実験例
以下、本実験例を、図面および表を参照しながら説明する。
本発明者は、セラミックス圧電素子を実験試料として準備し、試料に第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1の電圧領域の耐久パルスを印加した場合の変位量の経時変化と、試料に第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2の電圧領域の耐久パルスを印加した場合の変位量の経時変化と、をプロットし、第1駆動領域33と第2駆動領域34とが1つの圧電素子ユニット内に隣り合うように形成された場合の合成変位量の経時変化をシュミレーションする実験を行った。
本実験例においては、チタン酸バリウムからなる圧電素子を本実験例の試料とした。圧電体層は、チタン酸バリウムのペレット形状のセラミックスを、例えば0.5〜0.8mmの厚さに研磨した後、公知の手法、例えばスパッタ法またはスクリーン印刷によって電極を塗布した。電極の材料にはAgを用いた。Agを塗布した後、700℃の温度にて電極を焼付けた。分極処理は、シリコンオイルの中で、5kVmm−1の電界を3分間程度印加して行った。特性の評価については、周波数10Hz、室温でP−Eヒステリシスを測定し、残留分極Prおよび抗電界Ecを求めた。本実験例に使用された圧電体層の抗電界Ecは、−2Vおよび2Vであった。
以上より、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1の電圧領域の耐久パルス(P1)は、−2≦P1≦33の条件で設定された。第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2の電圧領域の耐久パルス(P2)は、−33≦P2≦2の条件で設定された。
発明者は、実験試料として、上記条件により、圧電素子Aから圧電素子Dの4つの試料を作成した。
発明者は、試料A〜Dに対して、それぞれ、第1駆動電圧範囲における第1駆動電圧1の電圧領域の耐久パルス(P1)を印加する実験と、第2駆動電圧範囲における第2駆動電圧2の電圧領域の耐久パルス(P2)を印加する実験とを行った。ここで、P1およびP2を印加する際、試料の圧電体層の残留分極の方向に沿って印加された。つまりは、P1を印加された試料は、第1駆動領域33のみの変位量の経時変化を示し、P2を印加された試料は、第2駆動領域34のみの変位量の経時変化を示す。
まず、試料A−Cに対してP1を印加した場合の試料A−Cの変位量の経時変化を表2と図20に示す。図20は、本実験例の結果をプロットしたグラフであって、P1を印加した場合の試料A−Cの変位量の経時変化は、一点破線によって示される。
Figure 2011031403
図20に示めすように、試料A−Cは、実験開始後、変位量の減少傾向を示した。また、50億ショット付近から、微増傾向を示した。
次に、試料A、B、Dに対してP2を印加した場合の試料A、B、Dの変位量の経時変化を表3と図20に示す。図20において、P2を印加した場合の試料A、B、Dの変位量の経時変化は、破線によって示される。
Figure 2011031403
図20に示すように、試料A、B、Dは、実験開始後、変位量の増加傾向を示した。また、50億ショット付近から、微減傾向を示した。
以上のように、耐久パルスのP1またはP2を印加された試料は、その変位量が経時的に大きく変動した。しかしながら、図20に示すように、P1を印加された試料とP2を印加された試料は、その変位量の変化において、お互いに逆相関の傾向を示した。
次に、P1が印加された試料Aの変位量と、P2が印加された試料Aの変位量の平均値を取り、第1駆動領域33および第2駆動領域34が互いに隣り合い、それぞれの変位量が力学的に合成された場合の変化を図20に実線にてプロットした。試料Bについても同様の処理を行い図20にプロットした。
図20に示すように、圧電体層内に第1駆動領域33および第2駆動領域34が隣り合うように形成された場合の変位量の経時変化が最も安定的であることが確認された。これによれば、本発明に係るアクチュエーター50の変位量の経時変化が安定的なものとなり、液体噴射ヘッド300の吐出特性が安定し、信頼性が高まることが確認された。
また、P1を印加された試料の変位量は、長期的には微増傾向を示し、P2を印加された試料の変位量は、長期的には微減傾向を示すことから、変位量の初期変動のみならず、長期的な変位量も安定的となることが確認された。
1 第1駆動電圧、2 第2駆動電圧、10 基板、11 第1の面、
12 第2の面、13 第1領域、15 振動領域、20 第1導電部、
20a 両端部、20b 両端部、21 第2導電部、21a 両端部、
21b マスク層、21c 導電層、25 第1導電層、25a 第1の部分、
25b 第2の部分、26 第2導電層、26a 第3の部分、26b 第4の部分、
27 第1リード部、28 第2リード部、29 第3リード部、30 圧電体層、
30a 両端部、30b 両端部、30c 圧電体層、31 上面、32 テーパー面、
33 第1駆動領域、34 第2駆動領域、40 圧電素子、50 アクチュエーター、
60 基板、61 圧力室、62 壁部、63 供給路、64 連通路、65 リザーバ、70 ノズル板、71 ノズル孔、80 封止板、81 封止領域、
100 第1の方向、120 第2の方向、130第3の方向、
200 第1駆動電圧発生回路、210 第2駆動電圧発生回路、220 接地回路、
300 液体噴射ヘッド、1000 液体噴射装置、
1010 駆動部、1020 装置本体、1021 トレイ、1022 排出口、
1030 ヘッドユニット、1031 インクカートリッジ、1032 キャリッジ、
1041 キャリッジモータ、1042 往復動機構、1043 タイミングベルト、1044 キャリッジガイド軸、1050 給紙部、1051 給紙モータ、
1052 給紙ローラ、1060 制御部、1070 操作パネル

Claims (15)

  1. 振動板と、
    前記振動板の上方に、形成された第1導電部と、
    前記第1導電部の上方に形成された圧電体層と、
    前記圧電体層の上方であって、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように形成された第2導電部と、
    を含み、
    前記第1導電部および前記第2導電部の少なくとも一方が、電気的に絶縁された第1および第2導電層を有し、
    前記第1導電層は、第1駆動電圧範囲内における第1の駆動電圧が印加され、
    前記第2導電層は、第2駆動電圧範囲内における第2の駆動電圧が印加され、または接地される、アクチュエーター。
  2. 請求項1において、
    前記第1および第2導電層は、交互に隣り合うように配置される、アクチュエーター。
  3. 請求項1または2において、
    前記第1駆動電圧範囲は、前記圧電体層の第1の抗電界を最小値とする電圧範囲であり、
    前記第2駆動電圧範囲は、前記圧電体層の第2の抗電界を最大値とする電圧範囲である、アクチュエーター。
  4. 請求項1から3のいずれか1項において、
    前記第1の駆動電圧の駆動波形は、前記第2の駆動電圧の駆動波形を反転させた波形である、アクチュエーター。
  5. 請求項1から4のいずれか1項において、
    前記圧電体層の残留分極の方向を第1の方向としたとき、
    前記第1の駆動電圧は、前記第1の方向に印加され、
    前記第2の駆動電圧は、前記第1の方向と反対の第2の方向に印加される、アクチュエーター。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアクチュエーターを有する液体噴射ヘッドであって、
    圧力室を有する基板を更に含み、
    前記基板は、前記振動板の下方に形成され、
    前記第1および第2導電部は、前記振動板の前記圧力室とオーバーラップする振動領域内に形成される、液体噴射ヘッド。
  7. 請求項6において、
    前記振動板の上の前記振動領域において前記圧電体層が延びる方向を第2の方向とし、前記第2の方向に対して直交する方向を第3の方向とするとき、
    前記第1導電層は、前記第2の方向に延びる第1の部分と、前記第3の方向に延びる第2の部分とを有し、
    前記第2導電層は、前記第2の方向に延びる第3の部分と、前記第3の方向に延びる第4の部分とを有する、液体噴射ヘッド。
  8. 請求項7において、
    前記第2導電部は、前記第1導電層および前記第2導電層を有し、
    前記第1導電層の前記第1の部分と、前記第2の導電層の前記第3の部分とが、前記第3の方向において隣り合うように配置される、液体噴射ヘッド。
  9. 請求項7において、
    前記第2導電部は、前記第1導電層および前記第2導電層を有し、
    前記第1導電層の前記第2の部分と、前記第2の導電層の前記第4の部分とが、前記第2の方向において隣り合うように配置される、液体噴射ヘッド。
  10. 請求項7において、
    前記第1導電部は、前記第1導電層および前記第2導電層を有し、
    前記第1導電層の前記第1の部分と、前記第2の導電層の前記第3の部分とが、前記第3の方向において隣り合うように配置される、液体噴射ヘッド。
  11. 請求項7において、
    前記第1導電部は、前記第1導電層および前記第2導電層を有し、
    前記第1導電層の前記第2の部分と、前記第2の導電層の前記第4の部分とが、前記第2の方向において隣り合うように配置される、液体噴射ヘッド。
  12. 請求項7において、
    前記第1導電部および前記第2導電部は、それぞれ前記第1導電層および前記第2導電層を有し、
    前記第1導電層の前記第2の部分と、前記第2の導電層の前記第4の部分とが、前記第2の方向において隣り合うように配置される、液体噴射ヘッド。
  13. 請求項6ないし12のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドを有する、液体噴射装置。
  14. 第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面とを有した振動板を形成する工程と、
    前記第1の面において第1導電部を形成する工程と、
    前記第1導電部を覆うように圧電体層を形成する工程と、
    前記圧電体層の一部を覆い、かつ、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように第2導電部を形成する工程と、
    を含み、
    前記第1導電部および第2導電部の少なくとも一方が、電気的に絶縁された第1および第2導電層から形成される、アクチュエーターの製造方法。
  15. 圧力室を有する基板を形成する工程と、
    前記基板の上方に形成される振動板であって、第1の面と、前記第1の面と反対側の前記基板と対向した第2の面とを有し、前記第1の面において、前記圧力室とオーバーラップする振動領域を有した振動板を形成する工程と、
    前記第1の面の前記振動領域内に第1導電層を形成する工程と、
    前記第1の導電層を覆うように圧電体層を形成する工程と、
    前記圧電体層の一部を覆い、かつ、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように第2の導電層を形成する工程と、
    を含み、
    前記第1導電部および第2導電部の少なくとも一方が、電気的に絶縁された第1および第2導電層から形成される、液体噴射ヘッドの製造方法。
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