JP2011029026A - 負極およびその製造方法ならびに非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】負極集電体および負極集電体の表面に形成されかつ珪素系活物質を含有する負極活物質層を含む負極板と、負極リードとの接合性を向上させ、負極集電体と負極リードとが導通可能に接合した負極を得る。
【解決手段】負極活物質層26の表面に、銅またはニッケルとの合金化が可能である、銅およびニッケル以外の異種金属元素を含む被覆層27を形成する。この被覆層27と負極リード21とを接触させ、接触部分の少なくとも一部をアーク溶接する。負極リード21は、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金よりなる群から選ばれる1つの金属または合金を含有する。アーク溶接により、負極リード21と負極集電体25との間に介在し、これらを導通可能にかつ強固に接合する合金層が形成される。
【選択図】図4

Description

本発明は、負極およびその製造方法ならびに非水電解質二次電池に関する。さらに詳しくは、本発明は主に、珪素系活物質を含有する負極における、負極集電体と負極リードとの接合構造の改良に関する。
非水電解質二次電池は、高容量および高エネルギー密度を有し、小型化および軽量化が容易なことから、電子機器の電源として汎用されている。電子機器には、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノート型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯ゲーム機などがある。代表的な非水電解質二次電池は、リチウムコバルト複合酸化物を含有する正極と、黒鉛などの炭素材料を含有する負極と、ポリオレフィン製セパレータとを含む。
正極および負極は、集電体と活物質層とリードとからなる。活物質層は集電体表面に形成される。リードは、活物質層が形成されていない集電体露出部に溶接される。リードの溶接には、抵抗溶接や超音波溶接が利用されている。集電体露出部は、集電体表面に間隔を空けて活物質層を形成するか、または集電体に活物質層を形成した後、活物質層の一部を除去することにより形成される。
現在の電子機器は多機能化が進み、その電力消費量が増大している。それにもかかわらず、電子機器の充電を伴わない連続使用時間の延長が望まれている。このため、非水電解質二次電池のさらなる高容量化が必要になり、炭素材料よりも高容量である合金系負極活物質の開発が盛んに行われている。代表的な合金系負極活物質には、珪素、珪素酸化物などの珪素系活物質がある。
合金系負極活物質を含有する負極は、一般的には、負極集電体と、負極集電体表面に気相法により形成される合金系負極活物質の薄膜とを含む。気相法には、真空蒸着法、化学的気相成長法、スパッタリング法などがある。気相法は、負極集電体表面の全面に均一な薄膜を形成するのには適している。
しかしながら、気相法を利用して、負極集電体の表面に集電体露出部を設けるには、煩雑な作業が必要になる。たとえば、負極集電体表面の所定位置にマスク層を形成し、薄膜形成後にマスク層を除去する方法が考えられる。マスク層を除去した部分が集電体露出部になる。この場合、マスク層の形成、マスク層の除去などの余分な作業が必要になる。
また、合金系負極活物質の薄膜を部分的に除去して、集電体露出部を形成するのも非常に困難である。特に、珪素系活物質の薄膜はガラス質であり、高い機械的強度を有し、負極集電体表面に強力に固着する。このガラス質薄膜を負極集電体から除去すると、負極集電体が損傷し、その集電性能および電極性能が低下するおそれがある。
また、合金系負極活物質の薄膜に負極リードを接触させ、接触部分を抵抗溶接または超音波溶接する方法が考えられる。この方法では、負極リードと負極集電体との間に介在する合金系負極活物質の薄膜が比較的高い電気抵抗を有しているため、負極集電体と負極リードとの導通性が不十分になり、電池性能が低下するおそれがある。また、負極集電体と負極リードとの接合性が不十分になり、断線が発生するおそれがある。すなわち、合金系負極活物質を用いる負極では、負極集電体と負極リードとを効率よくかつ確実に接合することが非常に困難である。
この問題に鑑み、たとえば、負極板と負極リードとを厚さ方向に重ね合わせ、これを厚さ方向に貫通する連通孔を形成し、この連通孔の内部表面で負極集電体と負極リードとを接続した負極が提案されている(特許文献1参照)。前記連通孔は、負極板に対して垂直にレーザを照射することにより形成されている。レーザを照射すると、連通孔の内部表面に露出する負極集電体および負極リードの一部が溶融し、連通孔の内部表面を流れて接触することにより、負極集電体と負極リードとが接続される。
しかしながら、レーザを照射すると、負極集電体および負極リードだけでなく、連通孔の内部表面に露出する負極活物質層も溶融する。したがって、負極集電体と負極リードとの接続部分には、合金系負極活物質が含まれている。このため、接続部分において、電気抵抗の増大や導通性の低下などが発生し易い。
また、負極集電体、負極リードおよび負極活物質層のそれぞれの溶融部分は、連通孔の内部表面をレーザの照射方向に流れる。その結果、溶融部分に含有される成分が均一に拡散せず、冷却固化後の接続部分の組織が不均一になる。これにより、接続不良や導通不良が一層起こり易くなる。さらに、負極集電体の溶融部分と負極リードの溶融部分とが確実に接触するわけでもない。したがって、この点でも導通不良が発生するおそれがある。
また、レーザにより形成される連通孔は孔径が微細であるため、仮に連通孔の内部表面で負極集電体と負極リードとが良好に接続されても、その接続面積は非常に小さい。したがって、負極集電体と負極リードとが、電池性能が十分に発揮される程度に接続されていないおそれがある。また、負極集電体と負極リードとの接合強度も十分ではない。しかも、負極活物質層に含まれる合金系負極活物質が、膨張および収縮を繰り返すので、負極集電体と負極リードとの断線が起り易い。特許文献1の負極は、実使用には耐え難い。
合金系負極活物質を含有する負極活物質層の表面に、銅、銅合金または銅のクラッド材からなる負極リードを抵抗溶接により接合した負極が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2では、前記負極リードを用いることにより、負極集電体と負極リードとの接合性を向上させようとしている。特許文献2は、負極リードの一部が、負極活物質層との界面において合金化していることが好ましいと記載している。
抵抗溶接では、負極集電体と負極リードとが接合または導通するほど合金化が進むことはない。仮に負極リードの一部が合金化しても、負極活物質層の合金化はほとんど起らない。このため、負極集電体と負極リードとの接合は不十分になり、その接合強度は低い。また、電池組立時、電池使用時などに、負極リードと負極集電体との断線が起り易い。しかも、負極の集電性能が著しく低下するおそれがある。
特開2007−214086号公報 特開2007−115421号公報
本発明の目的は、珪素系活物質を含有する負極活物質層を含み、負極集電体と負極リードとが効率よくかつ強固に接合された負極およびその製造方法、ならびに前記負極を含み、高容量および高出力を有する非水電解質二次電池を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するための研究過程において特許文献2の技術に着目し、珪素系活物質の薄膜を介して負極集電体と負極リードとを導通可能に接合する技術について研究を重ねた。その結果、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金から選ばれる金属または合金を含有する負極リードを用いるとともに、この負極リードと珪素系活物質の薄膜とを接触させ、接触部分をアーク溶接する構成を見出した。
この構成によれば、負極リードと負極集電体との間に介在する負極活物質層が溶融し、合金化が起こることが判明した。負極リードと負極集電体とを導通可能に強固に接合するためには、負極リードや負極集電体が溶融することも重要であるが、負極活物質層が溶融することが一層重要であることが判明した。これにより、負極リードと負極集電体との接合性および導通性が、従来技術に比べて顕著に向上することが判明した。
しかしながら、本発明者らは、前記構成にさらなる改良の余地があると考え、さらに研究を重ねた。そして、珪素系活物質に含有される珪素の融点が高いことから、負極活物質層の溶融部分において、負極リードおよび負極集電体に含有される金属元素の均一な拡散が妨げられていることを見出した。
本発明者らは、前記知見に基づいてさらに研究を重ねた。その結果、珪素の融点を降下させることにより、負極活物質層の負極リードおよび負極集電体との接触部分において、金属元素だけでなく、珪素自体も均一に拡散し、極めて緻密な合金化が起こることを見出した。さらに、負極リードと負極集電体との接合性および導通性が飛躍的に向上することが判明した。
本発明者らは、前記知見に基づき、負極リードに含まれる金属元素との合金化が可能であり、かつ珪素の融点を降下させることができる異種金属元素を含む被覆層を負極活物質層の表面に形成する構成を想到するに至った。そして、この被覆層と負極リードとを接触させた状態で、接触箇所の少なくとも一部をアーク溶接することにより、負極リードと負極集電体とが導通可能に強固に接合することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、負極集電体と、珪素系活物質を含有しかつ負極集電体の表面に気相法により形成される負極活物質層と、負極リードと、負極集電体と負極リードとの間に介在しかつこれらを接合する合金層とを含む負極を提供する。
本発明の負極では、負極リードは、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金よりなる群から選ばれる少なくとも1つの金属または合金を含有する。合金層は、合金(A)と合金(B)と銅またはニッケルとを含有する。合金(A)は、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1つと珪素との合金である。合金(B)は、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1つと異種金属元素との合金である。
異種金属元素は、好ましくは、室温において珪素と合金を形成せず、かつ珪素系活物質との接触により珪素系活物質に含有される珪素の融点を降下させる金属元素である。
異種金属元素は、より好ましくは、周期律表第12族〜第14族から選ばれる少なくとも1つの金属元素である。
異種金属元素は、さらに好ましくは、Sn、ZnおよびInよりなる群から選ばれる少なくとも1つである。
珪素系活物質は、好ましくは、珪素、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素炭化物および珪素合金よりなる群から選ばれる少なくとも1つである。
合金層の電気抵抗は、珪素系活物質の電気抵抗よりも小さいことが好ましい。
本発明は、負極板作製工程と、被覆工程と、接合工程とを含む負極の製造方法を提供する。本発明の製造方法において、負極板作製工程では、負極集電体と、珪素系活物質を含有しかつ気相法により形成される負極活物質層とを含む負極板を作製する。被覆工程では、負極活物質層の表面の少なくとも一部に、銅またはニッケルとの合金化が可能である、銅およびニッケル以外の異種金属元素を含む被覆層を形成する。接合工程では、被覆層と、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金よりなる群から選ばれる1つの金属または合金を含有する負極リードとを接触させ、接触部分の少なくとも一部をアーク溶接する。
接合工程では、負極板の一端面と、被覆層の一端面と、負極リードの一端面とが隣接するように、負極板と負極リードとを配置することが好ましい。
アーク溶接は、好ましくは、プラズマ溶接またはTIG溶接である。
また、本発明は、正極集電体と、リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質を含有しかつ正極集電体の表面に形成される正極活物質層と、正極集電体に接合される正極リードとを含む正極、前記の負極、正極と負極との間に介在するように配置されるセパレータ、リチウムイオン伝導性の非水電解質および電池ケースを含む非水電解質二次電池を提供する。
本発明の負極は、珪素系活物質を含有するので、非水電解質二次電池の高容量化および高出力化に寄与できる。また、本発明の負極は、負極集電体と負極リードとが合金層を介して導通可能に強固に接合されているので、負極集電体と負極リードとの接合性および導通性が顕著に優れ、集電性能に優れている。また、本発明の負極の製造方法によれば、前記のような優れた効果を有する本発明の負極を効率よくかつ工業的に有利に製造できる。また、本発明の製造方法では、接合時に合金化が起こることから、接合温度を低くすることができるので、工業的に有利である。
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の負極を含むことにより、高容量および高出力を有し、出力特性、充放電サイクル特性などの電池性能に優れている。また、負極において負極集電体と負極リードとが強固に接合され、負極の集電性能、出力特性などが長期にわたって高水準で維持されるので、本発明の非水電解質二次電池は耐用寿命が長い。
本発明の実施形態の1つである非水電解質二次電池の構成を模式的に示す縦断面図である。 本発明の他の実施形態である負極の要部の構成を模式的に示す断面図である。 図2に示す負極の外観を模式的に示す斜視図である。 本発明の負極の製造方法における接合工程の好ましい形態を説明する縦断面図である。 電子ビーム式蒸着装置の構成を模式的に示す側面図である。 合金層断面の銅の元素マップである。 合金層断面の錫の元素マップである。 合金層断面の珪素の元素マップである。 別形態の負極集電体の構成を模式的に示す斜視図である。 別形態の負極活物質層の構成を模式的に示す縦断面図である。 別形態の電子ビーム式蒸着装置の構成を模式的に示す側面図である。
本発明の負極は、負極集電体、負極活物質層、負極リードおよび合金層を含む。本発明の負極は、下記(1)〜(4)の特徴を有している。
(1)負極活物質層は気相法により形成され、珪素系活物質を含有する。
(2)負極リードは、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金よりなる群から選ばれる少なくとも1つの金属または合金を含有する。
(3)合金層は、負極集電体と負極リードとを導通可能に接合する。
(4)合金層は、合金(A)と合金(B)と銅またはニッケルとを含有する。合金(A)は、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1つと珪素との合金である。合金(B)は、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1つと、異種金属元素との合金である。
本発明の負極では、合金層により、負極集電体と負極リードとが強固に接合し、かつ導通している。合金層は電気抵抗の低い良導体であるので、本発明の負極は高い集電性能を有している。
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の負極を含むことを特徴とし、それ以外の構成は、従来の非水電解質二次電池と同様の構成を採ることができる。
図1は、本発明の実施形態の1つである非水電解質二次電池1の構成を簡略化して示す縦断面図である。図2は、本発明の他の実施形態である負極4の要部の構成を簡略化して示す縦断面図である。図2は、負極4の長手方向の一端部近傍における厚さ方向の断面図である。図3は、図2に示す負極4の外観を簡略化して示す斜視図である。
非水電解質二次電池1は、捲回型電極群2、上部絶縁板6、下部絶縁板7、電池ケース8、正極端子9、封口板10および図示しない非水電解質を含む。
捲回型電極群2は、その軸方向の一端および他端に上部絶縁板6および下部絶縁板7をそれぞれ装着した後、電池ケース8内に収容される。正極リード16の一端は正極集電体に接続され、他端は正極端子9に接続される。負極リード21の一端は負極集電体25に接続され、他端は負極端子を兼ねる電池ケース8の底部内面に接続される。
電池ケース8内に非水電解質を注液した後、電池ケース8の開口部に、正極端子9を支持する封口板10を装着する。電池ケース8の開口端部を封口板10に向けてかしめ付けることにより、電池ケース8が封口され、非水電解質二次電池1が得られる。
捲回型電極群2は、帯状の正極3、帯状の負極4および帯状のセパレータ5を含む。捲回型電極群2は、たとえば、正極3と負極4との間にセパレータ5を介在させ、長手方向の一端部を捲回軸にしてこれらを捲回することにより得られる。本実施形態では、捲回型電極群2を使用するが、それに限定されず、正極3と負極4との間にセパレータ5を介在させて積層した積層型電極群を使用してもよい。
正極3は、正極板15および正極リード16を含む。
正極板15は、正極集電体と正極活物質層とを含む。正極集電体には、メッシュ体、ネット体、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、不織布などの多孔性導電性基板および箔、シートなどの無孔の導電性基板を使用できる。導電性基板の材質は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料、導電性樹脂などである。導電性基板の厚さは、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜30μmである。
本実施形態では、正極活物質層を正極集電体の厚さ方向の両方の表面に形成するが、正極集電体の厚さ方向の片方の表面に形成してもよい。正極活物質層は、正極活物質を含み、さらに導電剤、結着剤などを含んでもよい。
正極活物質には、リチウムイオンを吸蔵および放出できる物質を使用でき、その中でも、リチウム含有複合金属酸化物、オリビン型リン酸リチウムなどが好ましい。
リチウム含有複合金属酸化物は、リチウムと遷移金属元素とを含む金属酸化物または該金属酸化物中の遷移金属元素の一部が他の元素によって置換された金属酸化物である。遷移金属元素には、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Crなどがあり、Mn、Co、Niなどが好ましい。他の元素には、Na、Mg、Zn、Al、Pb、Sb、Bなどがあり、Mg、Alなどが好ましい。遷移金属元素および他の元素は、それぞれ1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
リチウム含有複合酸化物には、LilCoO2、LilNiO2、LilMnO2、LilComNi1-m2、LilCom1-mn、LilNi1-mmn、LilMn24、LilMn2-mn4(前記各式中、XはSc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Cr、Na、Mg、Zn、Al、Pb、SbおよびBよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を示す。0<l≦1.2、m=0〜0.9、n=2.0〜2.3である。)などがある。
これらの中でも、LilCom1-mnが好ましい。前記各式において、リチウムのモル比を示す「l」の値は充放電により増減する。リチウム含有複合酸化物は、酸素欠陥部分または酸素過剰部分を含むことがある。
オリビン型リン酸リチウムには、LiYPO4、Li2YPO4F(前記各式中、YはCo、Ni、MnおよびFeよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を示す。)などがある。正極活物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
導電剤には、天然黒鉛、人造黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料などがある。導電剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
結着剤には、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ヘキシル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ヘキシル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、スチレンブタジエンゴム、変性アクリルゴム、カルボキシメチルセルロースなどがある。結着剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
正極活物質層は、たとえば、正極合剤スラリーを正極集電体表面に塗布し、乾燥させ、圧延することにより形成できる。正極合剤スラリーは、正極活物質および必要に応じて導電剤、結着剤などを有機溶媒に溶解または分散させることにより調製できる。有機溶媒には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアミン、アセトン、シクロヘキサノンなどを使用できる。
正極リード16は、一端が正極集電体の集電体露出部に溶接され、他端が正極端子9に溶接される。集電体露出部は、正極合剤スラリーの間欠塗布または正極活物質層の部分的な除去により形成できる。正極リード16は、抵抗溶接、超音波溶接などにより溶接される。正極リード16の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金などである。アルミニウム合金には、アルミニウム−珪素合金、アルミニウム−鉄合金、アルミニウム−銅合金、アルミニウム−マンガン合金、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−亜鉛合金などがある。
負極4は、負極板20、負極リード21および合金層22を含む。
負極板20は、図2に示すように、負極集電体25と負極活物質層26とを含む。
負極集電体25には、箔、シートなどの無孔の導電性基板を使用する。導電性基板の材質は、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、銅、銅合金などであり、銅、銅合金などが好ましい。銅箔には、圧延銅箔、電解銅箔などがある。導電性基板の厚さは、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜40μm、さらに好ましくは10〜30μmである。
負極活物質層26は珪素系活物質を含有する。本実施形態では、負極活物質層26を負極集電体25の厚さ方向の両方の表面に形成するが、負極集電体25の厚さ方向の片方の表面に形成してもよい。負極活物質層26は、珪素系活物質を含有しかつ膜厚が3〜50μmである非晶質または低結晶性の薄膜であることが好ましい。負極活物質層26は、珪素系活物質とともに、その特性を損なわない範囲で、公知の負極活物質、添加剤などを含んでいてもよい。
珪素系活物質は合金系負極活物質の一種であり、リチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵し、負極電位下でリチウムを可逆的に吸蔵および放出する。珪素系活物質には、珪素、珪素化合物などがある。珪素化合物には、珪素酸化物、珪素炭化物、珪素窒化物、珪素合金などがある。珪素化合物の部分置換体や固溶体なども使用できる。これらの中でも、珪素酸化物が好ましい。
珪素酸化物には、式:SiOa(0.05<a<1.95)で表される酸化珪素などがある。珪素炭化物には、式:SiCb(0<b<1)で表される炭化珪素などがある。珪素窒化物には、式:SiNc(0<c<4/3)で表される窒化珪素などがある。珪素合金には、珪素と他の元素(L)との合金などがある。他の元素(L)には、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、SnおよびTiよりなる群から選ばれる少なくとも1つがある。
部分置換体とは、珪素や珪素化合物に含まれる珪素の一部を他の元素(M)で置換した化合物である。他の元素(M)には、B、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、NおよびSnよりなる群から選ばれる少なくとも1つがある。珪素系活物質は、1種を単独でまたは2種以上を併用できる。
負極活物質層26は、気相法により、負極集電体25表面に薄膜状に形成される。気相法には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition)法、プラズマ化学気相成長法、溶射法などがある。これらの中でも、真空蒸着法が好ましい。
本実施形態では、負極活物質層26は薄膜状に形成されるが、それに限定されず、柱状体の集合体として形成してもよい。この場合、負極集電体25の表面に、ミクロンオーダーの複数の凸部(図示せず)を形成し、1つの凸部に1つの柱状体を形成するのが好ましい。
凸部は、負極集電体25の表面からその外方に延びるように形成される。凸部は先端部分が平面状であることが好ましい。また、凸部の表面には、こぶめっきのような凹凸を形成するのが好ましい。これにより、凸部と柱状体との密着強度がさらに向上する。1つの凸部とそれに隣り合う凸部との間には、数μm〜数十μmの間隔が設けられる。凸部は、不規則な配置または千鳥配置、格子配置、最密充填配置などの規則的な配置で負極集電体25表面に形成される。凸部の鉛直方向上方からの正投影図における形状は、円形、多角形、楕円形、菱形などである。
柱状体は珪素系活物質を含有し、気相法により凸部表面から負極集電体25の外方に延びるように形成される。1つの柱状体とそれに隣り合う柱状体との間には空隙が存在し、柱状体同士は離隔している。柱状体は、径および高さが数μm〜数十μmである。柱状体は、複数個の柱状塊の積層体として形成するのが好ましい。
負極リード21は、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金よりなる群から選ばれる少なくとも1つの金属または合金を含有する。すなわち、負極リード21は、ニッケルまたは銅を含有する。ニッケル合金には、ニッケル−珪素合金、ニッケル−錫合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−鉄合金、ニッケル−マンガン合金、ニッケル−亜鉛合金などがある。これらの中でも、ニッケル−珪素合金、ニッケル−錫合金、ニッケル−亜鉛合金などが好ましい。
銅合金には、銅−ニッケル合金 、銅−鉄合金、銅−銀合金、銅−りん合金、銅−アルミニウム合金、銅−珪素合金、銅−錫合金、銅−ジルコニウム合金、銅−ベリリウム合金、銅−亜鉛合金、銅−インジウム合金などがある。これらの中でも、銅−珪素合金、銅−錫合金、銅−ニッケル合金、銅−亜鉛合金、銅−インジウム合金などが好ましい。銅合金は、負極集電体25の材料としても使用できる。
負極リード21の好ましい材料は、ニッケル、銅、銅−ニッケル合金であり、より好ましい材料は銅、銅−ニッケル合金のクラッド材である。負極リード21は、前記した金属または合金を用い、一般的なリードの形態に形成される。
合金層22は、図1〜図3に示すように、負極リード21と負極集電体25との間に介在し、負極集電体25と負極リード21とを導通可能に接合する。本実施形態では、負極集電体25と負極リード21とが隣接する部分に、所定の間隔を空けて4個の合金層22を形成している。
合金層22は、合金(A)、合金(B)および銅またはニッケルを含有し、良好な電導性を有する。なお、合金層22の表面には珪素が存在する場合があるが、それにより合金層22の電導性が低下することはない。
合金(A)は、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1つと、珪素との合金である。銅およびニッケルは、負極リード21および負極集電体25のいずれか一方または両方に含有されている。珪素は、負極活物質層26に含有され、さらに負極リード21や負極集電体25にも、これらを構成する合金の一成分として含有されていることがある。
合金(A)の具体例としては、銅−珪素合金、ニッケル−珪素合金などが挙げられる。
合金層22中の合金(A)の含有割合は、特に制限されないが、好ましくは合金層22全量の0.1〜40重量%、さらに好ましくは合金層22全量の0.1〜30重量%である。なお、合金(A)に含有される珪素により、合金層22の導通性が低下することがある。しかしながら、それでも合金層22の導通性は良好な範囲に保持され、電池性能に影響を及ぼすことはない。
合金(B)は、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1つと、異種金属元素との合金である。異種金属元素は、銅およびニッケルと合金を形成する、銅およびニッケル以外の金属元素である。異種金属元素は、好ましくは、室温(25℃)において珪素と合金を形成せず、かつ珪素系活物質との接触により珪素の融点を降下させる作用を有する。異種金属元素の中でも、周期律表第12族〜第14族から選ばれる少なくとも1つの金属元素がさらに好ましい。その中でも、Sn、ZnおよびInが好ましい。なお、珪素は半金属元素であり、異種金属元素には含まれない。
Sn、ZnおよびInは、室温で珪素と合金を形成しないが、珪素と接触した状態で、珪素の融点を降下させる作用が特に大きい。したがって、異種金属元素がSn、ZnおよびInよりなる群から選ばれる少なくとも1つである場合、溶融部分において珪素がさらに均一に拡散する。その結果、合金層22による負極リード21と負極集電体25との接合性および導通性がさらに向上する。
合金(B)の具体例としては、銅−錫合金、銅−亜鉛合金、銅−インジウム合金、ニッケル−錫合金、ニッケル−亜鉛合金、ニッケル−インジウム合金、銅−錫−珪素合金、銅−亜鉛−珪素合金、銅−インジウム−珪素合金、ニッケル−錫−珪素合金、ニッケル−亜鉛−珪素合金、ニッケル−インジウム−珪素合金などが挙げられる。珪素は異種金属元素とは室温では合金を形成しないが、銅またはニッケルが存在することにより、銅またはニッケルと異種金属元素との三成分の合金を形成する。
合金層22中の合金(B)の含有割合は、特に制限されないが、好ましくは合金層22全量の0.1〜40重量%、さらに好ましくは合金層22全量の0.1〜30重量%である。
珪素は、負極活物質層26に含有される珪素系活物質由来の珪素が、合金化せずに残存したものである。なお、負極リード21や負極集電体25を構成する合金が珪素を含有する場合は、前記合金由来の珪素が、合金化せずに残存していることもある。合金層22中の珪素の含有割合は、合金層22から合金(A)および合金(B)の含有量を減じた残部である。
さらに、合金層22は、合金(A)、合金(B)および銅またはニッケルの他に、合金化せずに残存する金属元素を含んでいることがある。この金属元素は、負極リード21や負極集電体25を構成する金属元素、負極リード21や負極集電体25を構成する合金に含有される金属元素などである。
合金層22は、後記する本発明の製造方法において、アーク溶接前に、負極集電体25と被覆層27との間に介在する負極活物質層26aのほぼ全体が合金化したものである。負極活物質層26aの合金化が起ることが重要である。これにより、負極リード21と負極集電体25とを導通可能に接合できる。
また、合金層22は、表面の少なくとも一部が負極活物質層26bに接触している。ここで、負極活物質層26bは、負極活物質層26から負極活物質層26aを除いた部分である。負極活物質層26bは合金化しておらず、珪素系活物質からなるので、電気抵抗が比較的高い。一方、合金層22は、合金(A)および合金(B)を主成分とする良導体である。したがって、合金層22と負極活物質層26bとが接触していても、両者間で導通が起こることはない。その結果、負極リード21と負極集電体25との導通性が低下することがない。
合金層22は、負極4の厚さ方向において、負極集電体25の少なくとも一部から負極リード21の少なくとも一部に及ぶ領域に形成すればよい。合金層22は、負極リード21に接するのとは反対側の負極活物質層26まで達していてもよい。また、合金層22は、負極リード21の負極活物質層26に接しない側の表面まで達していてもよい。合金層22が形成される領域は、条件を選択することにより調整できる。条件には、負極集電体25、負極活物質層26および負極リード21の材質や厚さ、アーク溶接における溶接条件などがある。また、合金層22が形成される領域は、負極4を適用しようとする非水電解質二次電池の用途や形状などに応じて変更してもよい。
合金層22の面積は、条件を選択することにより調整できる。合金層22の面積とは、負極4の面方向の正投影図における合金層22の面積である。条件には、負極集電体25、負極活物質層26および負極リード21の材質および厚さ、アーク溶接における溶接条件などがある。また、合金層22の面積は、負極4を適用しようとする非水電解質二次電池の用途や形状などに応じて変更してもよい。
合金層22は、複数箇所に設けてもよくまたは1箇所に設けてもよい。負極リード21と負極集電体25との接合強度を考慮すると、複数個所設けるのが好ましい。また、負極リード21と負極集電体25との隣接部分のほぼ全領域に合金層22を形成してもよい。
本実施形態では、負極板20の長手方向の一端部において、負極板20の幅方向に沿って所定の間隔を空けて合金層22が4箇所に設けられている。これは、負極板20の長手方向の一端部と、負極リード21の幅方向の一端部とが一致するように、負極リード21を負極板20に接合している。負極板20の長手方向の一端部と負極リード21の長手方向の一端部とが一致するように、負極リード21を負極板20に接合してもよい。その場合は、負極板20の長手方向に沿って、1箇所または複数個所に合金層22が設けられる。
負極4は、負極板作製工程と、被覆工程と、接合工程とを含む負極の製造方法により作製できる。
[負極板作製工程]
本工程では、負極集電体25の表面に負極活物質層26を形成し、負極板20を作製する。負極活物質層26は、珪素系活物質を含有する。
負極活物質層26は、気相法により形成される。たとえば、電子ビーム式真空蒸着装置において、シリコンターゲットの鉛直方向上方に負極集電体25を配置し、必要に応じて酸素、窒素などを供給しながら、シリコンターゲットに電子ビームを照射してシリコン蒸気を発生させ、このシリコン蒸気を負極集電体25表面に析出させる。これにより、珪素、珪素酸化物、珪素窒化物などの珪素系活物質を含有する負極活物質層26が負極集電体25の表面に形成される。負極活物質層26の厚さは、たとえば、5〜30μmである。負極活物質層26には、不可逆容量分のリチウムを蒸着法などにより充填してもよい。
[被覆工程]
本工程では、負極活物質層26の表面の少なくとも一部に、被覆層を形成する。被覆層は、異種金属元素を含有している。異種金属元素は、銅またはニッケルと合金を形成する、銅およびニッケル以外の金属元素である。
異種金属元素は、好ましくは、室温において珪素と合金を形成せず、かつ合金系負極活物質との接触により合金系負極活物質の融点を降下させる作用を有する金属元素である。異種金属元素は、より好ましくは、周期律表第12族〜第14族から選ばれる少なくとも1つであり、かつ前記作用を有する金属元素である。さらに好ましくは、異種金属元素は、Sn、ZnおよびInよりなる群から選ばれる少なくとも1つである。Sn、ZnおよびInは、銅またはニッケルと合金を形成し、かつ前記作用を有している。
被覆層は、めっき法、気相法などにより形成できる。めっき法は、溶融めっき法、電解めっき法および無電解めっき法(化学めっき法)のいずれでもよい。溶融めっき法においては、めっき浴温度、浸漬時間などを適宜選択すればよい。電解または無電解めっき法においては、めっき浴の組成、めっき浴温度、めっき時間、電解めっきの電流密度などは、適宜選択すればよい。気相法における各条件も適宜選択される。これらの方法の中では、工程の容易さなどから、溶融めっき法が好ましい。
電解めっき法および無電解めっき法では、通常、水性めっき浴が用いられる。この場合は、負極4のリード溶接を実施する箇所のみを水性めっき浴に浸漬し、負極活物質層26の表面に被覆層を形成するのが好ましい。被覆層形成後は、負極4を水などで洗浄し、良く乾燥するのが好ましい。
被覆層は、負極活物質層26の表面1cm当たり、異種金属元素の量が10−4mg〜20mgになるように形成するのが好ましい。或いは、被覆層の厚さが1μm〜500μmになるように、被覆層を形成するのが好ましい。
なお、本実施形態では、負極活物質層26の表面に被覆層を形成しているが、それに限定されず、負極リード21の表面に被覆層を形成してもよい。この場合、負極リード21表面の負極活物質層26と接触させる面に被覆層を形成する。
[接合工程]
本工程では、負極活物質層26aの表面に形成された被覆層27と負極リード21とを接触させ、接触部分の少なくとも一部をアーク溶接する。これにより、負極リード21と負極集電体25との間に合金層22が形成され、負極集電体25と負極リード21とが導通可能に接合される。図4は、接合工程の好ましい形態を説明する縦断面図である。図4は、負極板20の長手方向の一端部に負極リード21を接合する例を示している。図4は、負極板20は長手方向の断面および負極リード21は幅方向の断面を示している。
図4では、負極板20の長手方向の一端部の負極活物質層26表面に、帯状の被覆層27が形成されている。被覆層27は負極板20の幅方向に延び、所定の幅を有している。被覆層27は、幅方向の一端面27a(以下単に「端面27a」とする)を有している。なお、被覆層27は、負極板20の幅方向に沿って、所定の間隔を空けて複数個所に形成してもよい。
次に、負極板20と負極リード21との位置決めを行う。位置決めは、負極活物質層26と負極リード21との間に被覆層27を介在させ、かつ負極板20の長手方向の一端面20a(以下単に「端面20a」とする)と、被覆層27の端面27aと、負極リード21の幅方向の一端面21a(以下単に「端面21a」とする)とが連続した1つの平面になるように実施する。このとき、負極リード21と被覆層27とが接触している。
位置決めの後、負極板20と負極リード21とを押え治具28で挟持して固定する。押え治具28には、ロボットなどを使用できる。次に、端面20a、21a、27aに対して垂直な方向に配置したアーク溶接用電極の溶接トーチから矢符29の方向にエネルギーを照射する。溶接トーチから照射されるエネルギーは、主に、端面20aと端面27aとの境界部分、端面27a、および端面21aと端面27aとの境界部分に照射される。これにより、合金層22が形成される。
アーク溶接用電極を所定の間隔で負極板20の幅方向に移動させ、アーク溶接を行う。これにより、複数の合金層22が形成され、図1〜3に示す負極4が得られる。また、アーク溶接用電極を負極板20の幅方向に移動させながら、連続的にアーク溶接を行ってもよい。これにより、負極板20の長手方向の一端部のほぼ全域において、負極板20の幅方向に延びる合金層22が形成される。
このとき、図4の紙面において、負極リード21の端面21aが、負極板20の端面20aおよび被覆層27の端面27aよりも少しだけ上方に突出するように負極リード21を配置してもよい。突出量は特に制限されないが、好ましくは3mm以下、さらに好ましくは1mm以下である。これにより、合金層22による負極集電体25と負極リード21との接合性および導通性がさらに向上する。
アーク溶接法の中でも、プラズマ溶接法およびTIG(Tungsten Inert Gas)溶接法が好ましい。合金層22内での元素の均一分散性などを考慮すると、プラズマ溶接法がさらに好ましい。合金層22内で元素が均一に分散するほど、合金層22による負極リード21と負極集電体25との接合性および導通性が向上するものと推測される。プラズマ溶接およびTIG溶接は、それぞれ、市販されているプラズマ溶接機およびTIG溶接機を用いて行われる。
プラズマ溶接は、たとえば、溶接電流値、溶接速度(溶接トーチの移動速度)、溶接時間、プラズマガスおよびシールドガスの種類とその流量などの条件を適宜選択して実施できる。これらの条件を選択することにより、生成する合金層22による負極リード21と負極集電体25との接合強度および導通性を制御できる。
溶接電流値は、たとえば、1A〜100Aである。溶接トーチの掃引速度は、たとえば、1mm/秒〜100mm/秒である。プラズマガスには、アルゴンガスなどを使用できる。プラズマガス流量は、たとえば、10cc/分〜10L/分である。シールドガスには、アルゴン、水素などを使用できる。シールドガス流量は、たとえば、10cc/分〜10リットル/分である。
アーク溶接を実施すると、負極リード21を負極板20の任意の箇所に容易に接合できる。アーク溶接を実施すると、負極リード21と負極集電体25との間に介在する負極活物質層26aが溶融して合金化する。負極活物質層26aは、ほぼ全体が溶融する。
アーク溶接により負極活物質層26aの合金化が起る機構は、現段階では十分明らかではないが、次のように推測される。負極リード21および負極集電体25が銅または銅合金からなる場合を例に採って考察する。溶接部分において、まず、被覆層27に含有される異種金属元素により、負極活物質層26a中の珪素系活物質に含有される珪素の融点が降下し、負極活物質層26aおよび被覆層27が溶融する。
次に、負極集電体25が溶融し、負極集電体25に含有される銅の中に珪素および異種金属元素が均一に拡散する。その結果、銅−珪素合金、銅−異種金属元素合金が形成される。引き続き、負極リード21が溶融し、負極集電体25から負極リード21に及ぶ領域で溶融が起る。溶融部分では、合金化が進み、銅−珪素合金および銅−異種金属元素合金の量が増加するとともに、銅−異種金属元素−珪素合金が形成される。負極リード21が溶融した時点で、合金化が終了すると推測される。
なお、銅−珪素合金は合金(A)に相当し、銅−異種金属元素合金および銅−異種金属元素−珪素合金は、合金(B)に相当する。
こうして形成される合金層22は、銅−珪素合金、銅−異種金属元素合金および銅−異種金属元素−珪素合金を含み、さらに合金化しなかった銅を含んでいる。なお、合金層22の表面には、合金化しなかった異種金属元素および珪素、珪素系活物質、銅−珪素合金などが残存する。ここで、合金層22の表面とは、主に負極リード21との接触面以外の表面であるが、前記接触面にも異種金属元素、珪素、珪素系活物質などが残存することがある。
一方、抵抗溶接や超音波溶接では、負極リード21および負極集電体25の一部は、溶融および合金化する可能性がある。しかしながら、珪素系活物質の融点が高いことなどにより、負極活物質層26aはほとんど溶融しない。その結果、負極リード21と負極集電体25とを導通可能に接合できない。外観が接合しているように見えても、電池の組立て時などにほぼ確実に断線が生じる。
ここで、図1に示す非水電解質二次電池1の説明に戻る。
セパレータ5は、正極3と負極4との間に介在するように配置され、これらを電気的に絶縁する。セパレータ5には、厚さ方向に貫通する複数の細孔を有するリチウムイオン透過性の多孔質シートを使用できる。多孔質シートには、微多孔膜、織布、不織布などがある。セパレータ5の材料には、各種の電気絶縁材料を使用できるが、樹脂材料が好ましい。樹脂材料の中では、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。
セパレータ5の厚さは、通常10〜300μm、好ましくは10〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。セパレータ5の空孔率は、好ましくは30〜70%、より好ましくは35〜60%である。空孔率とは、セパレータ5の体積に占める、セパレータ5中に存在する細孔の総容積の比である。
セパレータ5には、リチウムイオン伝導性を有する非水電解質が含浸される。非水電解質には、液状非水電解質、ゲル状非水電解質などがある。
液状非水電解質は、溶質と非水溶媒とを含み、さらに添加剤を含んでもよい。
溶質には、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、LiBCl4、ホウ酸塩類、イミド塩類などがある。溶質は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。溶質の非水溶媒に対する溶解量は、好ましくは0.5〜2モル/Lである。
非水溶媒には、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどがある。環状炭酸エステルには、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどがある。鎖状炭酸エステルには、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどがある。環状カルボン酸エステルには、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどがある。非水溶媒は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
添加剤には、VC化合物、ベンゼン化合物などがある。VC化合物は、電池の充放電効率を向上させる。VC化合物には、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネートなどがある。VC化合物はフッ素原子を含んでいてもよい。ベンゼン化合物は、電池の過充電時に電池を不活性化する。ベンゼン化合物には、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどがある。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを含む。高分子材料は、液状物非水電解質をゲル化する。高分子材料には、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレートなどがある。
上部絶縁板6、下部絶縁板7および封口板10は、それぞれ、電気絶縁性材料、好ましくは樹脂材料やゴム材料により形成される。電池ケース8は長手方向の一方の端部に開口を有する、有底円筒状部材である。電池ケース8および正極端子9は、それぞれ、鉄、ステンレス鋼などの金属材料により形成される。
本実施形態では、非水電解質二次電池1は、捲回型電極群2を含む円筒型電池であるが、それに限定されず、種々の形態を採ることができる。その具体例としては、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ラミネートパック型電池などが挙げられる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
(1)正極活物質の作製
NiSO4水溶液に、Ni:Co=8.5:1.5(モル比)になるようにコバルトの硫酸塩を加えて金属イオン濃度2mol/Lの水溶液を調製した。この水溶液に撹拌下、2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を徐々に滴下して中和することにより、Ni0.85Co0.15(OH)2で示される組成を有する三元系の沈殿物を共沈法により生成させた。この沈殿物をろ過により分離し、水洗し、80℃で乾燥し、複合水酸化物を得た。
得られた複合水酸化物を大気中にて900℃で10時間加熱して熱処理を行い、Ni0.85Co0.152で示される組成を有する複合酸化物を得た。ここでNiおよびCoの原子数の和とLiの原子数とが等量になるように水酸化リチウム1水和物を加え、大気中にて800℃で10時間加熱して熱処理を行うことにより、LiNi0.85Co0.152で示される組成を有し、二次粒子の体積平均粒子径が10μmであるリチウムニッケル含有複合金属酸化物(正極活物質)を得た。
(2)正極の作製
前記で得られた正極活物質粉末93g、アセチレンブラック3g、ポリフッ化ビニリデン粉末4gおよびN−メチル−2−ピロリドン50mlを充分に混合して正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥し、圧延して、片面あたり厚さ50μmの正極活物質層を形成し、56mm×205mmの正極板を作製した。この正極板の両面の正極活物質層の一部(56mm×5mm)を切除し、正極集電体露出部を形成し、アルミニウム製正極リードを超音波溶接により溶接し、正極を作製した。
(3)負極板の作製
図5は、電子ビーム式蒸着装置30の構成を模式的に示す側面図である。蒸着装置30は、チャンバー31、搬送手段32、ガス供給手段38、プラズマ手段39、シリコンターゲット40a、40b、遮蔽板41および図示しない電子ビーム発生装置を含む。
真空チャンバー31は耐圧性容器であり、その内部に、搬送手段32、ガス供給手段38、プラズマ手段39、シリコンターゲット40a、40b、遮蔽板41および電子ビーム発生装置を収容する。
搬送手段32は、巻き出しローラ33、キャン34、巻き取りローラ35および搬送ローラ36、37を含む。これらのローラは、それぞれ軸心回りに回転自在に設けられている。巻き出しローラ33には帯状負極集電体25が捲き重ねられている。キャン34は他のローラよりも径が大きく、内部に図示しない冷却手段を備えている。負極集電体25がキャン34の表面を搬送されると、負極集電体25が冷却される。これにより、珪素系活物質の蒸気が負極集電体25の表面に析出し、負極活物質層26が形成される。
巻き取りローラ35は図示しない駆動手段によってその軸心回りに回転駆動可能に設けられている。巻き取りローラ35に負極集電体25の一端を固定し、巻き取りローラ35を回転させると、負極集電体25が巻き出しローラ33から搬送ローラ36、キャン34および搬送ローラ37を経由して搬送される。そして、負極集電体25の表面に負極活物質層26が形成された負極板20が巻き取りローラ55に巻き取られる。
ガス供給手段38は、酸素、窒素などの原料ガスを真空チャンバー31内に供給する。ガス供給手段38が原料ガスを供給すると、珪素酸化物、珪素窒化物などからなる負極活物質層26が形成される。ガス供給手段38が原料ガスを供給しないと、珪素などからなる負極活物質層26が形成される。プラズマ手段39は、ガス供給手段38から供給される原料ガスをプラズマ化する。シリコンターゲット40a、40bは、珪素である。
遮蔽板31は、鉛直方向におけるキャン34とシリコンターゲット40a、40bとの間において、水平方向に往復動可能に設けられている。負極集電体25表面の負極活物質層26の形成状況に応じて、遮蔽板51の水平方向の位置を調整する。電子ビーム発生装置は、シリコンターゲット40a、40bに電子ビームを照射し、珪素の蒸気を発生させる。
蒸着装置30を用いて、下記の条件で、負極集電体25の厚さ方向の両方の表面に、厚さ5μmの負極活物質層26(シリコン薄膜)を形成した。
真空チャンバー31内の圧力:8.0×10-5Torr
負極集電体25:粗面化処理した電解銅箔(古河電工(株)製)
負極集電体25の巻き取りローラ35による巻き取り速度(負極集電体25の搬送速度):2cm/分
原料ガス:供給せず。
ターゲット40a、40b:純度99.9999%のシリコン単結晶(信越化学工業(株)製)
電子ビームの加速電圧:−8kV
電子ビームのエミッション:300mA
(4)被覆層の形成
卓上はんだ槽((株)ジャパンユニックス製)のステンレス鋼製坩堝に、錫((株)高純度化学研究所製)を500g入れて、ヒーターを250℃に設定して錫を溶融し、錫浴を作製した。負極板の長手方向の一端部を錫浴に5秒間浸漬して取り出した。負極板に付着した錫の量は、溶融めっき前後の重量測定から、5mgであった。また、錫の単位面積当たりの付着量は約73mg/cm2であった。なお、錫の単位面積当たりの付着量は、付着面積を外観観察により見積もって算出した。
(5)負極リードの接合
前記で被覆層を形成した負極板に、次のようにして、銅箔(商品名:HCL−02Z、日立電線(株)製)から作製された、幅5mm、長さ70mm、厚さ26μmの負極リードをプラズマ溶接により接合し、本発明の負極を作製した。
まず、負極板の被覆層が形成された部分と負極リードとを隣接配置し、位置決めを行った。位置決めにより、負極板の長手方向の一端面と、被覆層の幅方向の一端面と、負極リードの幅方向の一端面とを、連続した1つの平面にした。前記平面に垂直な方向が鉛直方向と一致し、前記の平面が鉛直方向上方を臨むように配置した。これを、単軸ロボット(押え治具、(株)アイエイアイ製)で固定した。このとき、前記平面が、単軸ロボットの鉛直方向の上端面よりも鉛直方向上方に0.5mm突出するように、負極板および負極リードを固定した。
次に、プラズマ溶接機(商品名:PW−50NR、小池酸素工業(株)製)を、前記平面の鉛直方向上方に配置した。このプラズマ溶接機のトーチから、前記平面に対して垂直にエネルギーを照射した。トーチを負極板の幅方向に等間隔で移動させた。トーチを停止させた箇所において、前記平面に下記の条件でエネルギーを照射し、合金層を形成し、本発明の負極を作製した。
電極棒:径1.0mm
電極ノズル:径1.6mm
トーチ距離:2.0mm
トーチ掃引速度:30mm/s
プラズマガス:アルゴン
プラズマガス流量:100(sccm)
シールドガス:水素、アルゴン
シールドガス流量(水素):500(sccm)
シールドガス流量(アルゴン):1(slm)
溶接電流:8.0A
プラズマ溶接後に自然放冷し、前記平面を走査型電子顕微鏡(商品名:3Dリアルサーフェースビュー、(株)キーエンス製)で観察した。その結果、負極集電体と負極リードとの間に合金層が形成されていることを確認した。
また、走査型電子顕微鏡にエネルギー分散型X線分析装置(商品名:Genesis XM2、EDAX社製)を装着し、負極の厚さ方向における合金層断面の銅および珪素の元素マップを調べた。図6は、合金層断面の銅の元素マップである。図7は、合金層断面の錫の元素マップである。図8は、合金層断面の珪素の元素マップである。図6〜8は、銅濃度、錫濃度および珪素濃度を輝度(グレースケール)に変換している。図6および図7から、合金層断面のほぼ全領域に、銅および錫がほぼ均一な濃度で存在していることが明らかである。また、図8から、珪素が合金層断面の周縁部に存在していることが明らかである。
次に、合金層の断面を、微小部X線回折装置(商品名:RINT2500、理学電機(株)製)により定性分析したところ、銅のピークおよびCu5Siと、Cu3Sn、Cu6Sn5のピークが同定された。したがって、合金層には、Cu−Si合金とCu−Sn合金が含まれていること判る。
(6)電池の作製
前記で得られた正極と負極との間にポリエチレン微多孔膜(セパレータ、商品名:ハイポア、厚さ20μm、旭化成(株)製)を介在させて積層し、得られた積層物を捲回し、捲回型電極群を作製した。正極リードの他端を封口板に溶接し、負極リードの他端を有底円筒形の鉄製電池ケースの底部内壁に接続した。電極群の軸方向の一端部および他端部に、それぞれ、ポリエチレン製の上部絶縁板および下部絶縁板を装着し、電池ケース内に収容した。
次に、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを体積比1:1の割合で含む混合溶媒に、LiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させた非水電解質を電池ケースに注液した。さらに、電池ケースの開口に、ポリエチレン製のガスケットを介してステンレス鋼製封口板を装着し、電池ケースの開口端部を内側にかしめて電池ケースを封口し、本発明の円筒形非水電解質二次電池を作製した。
(実施例2)
(1)正極の作製
実施例1と同様にして、正極合剤スラリーを調製した。この正極合剤スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥し、圧延して、厚さ50μmの正極活物質層を形成して正極板を作製した。この正極板を30mm×35mmのサイズに切断した後、端部において正極活物質層の一部(5mm×30mm)を剥離して、正極集電体露出部を形成した。この正極集電体露出部に、アルミニウムリードの一端を超音波溶接により溶接し、正極を作製した。
(2)負極の作製
次のようにして、図9に示す負極集電体11を作製した。図9は、別形態の負極集電体11の構成を模式的に示す斜視図である。径50mmの鉄製ローラ表面に酸化クロムを溶射して厚さ100μmのセラミック層を形成した。このセラミック層の表面に、レーザ加工により、直径12μm、深さ8μmの円形の穴を形成し、凸部用ローラを作製した。この穴は、隣り合う穴との軸線間距離が20μmである最密充填配置とした。この穴の底部は中央部がほぼ平面状であり、底部周縁部と穴の側面とが繋がる部分が丸みを帯びた形状であった。穴の軸線は、穴の形状である円の中心を通り、セラミック層表面に対して垂直な方向に延びる仮想線である。穴の形状は、鉛直方向上方からの正投影図における穴の形状である。
一方、全量に対して0.03重量%の割合でジルコニアを含有する合金銅箔(商品名:HCL−02Z、厚さ20μm、日立電線(株)製)を、アルゴンガス雰囲気中、600℃で30分間加熱し、焼き鈍しを行った。この合金銅箔を、凸部用ローラと径50mmのステンレス鋼製ローラとの圧接部に線圧1t/cmで通過させて加圧成形し、先端部分が平面である凸部12が片方の表面に形成された負極集電体11を作製した。凸部12の平均高さは約8μmであった。この負極集電体11を寸法35mm×35mmに裁断した。
次に、図11に示す電子ビーム式蒸着装置50を用い、前記で得られた負極集電体11の凸部12表面に、図10に示す負極活物質層13を形成し、本発明の負極板を作製した。図10は、別形態の負極活物質層13の構成を模式的に示す縦断面図である。負極活物質層13は、複数の柱状体14の集合体である。柱状体14は、柱状塊14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hの積層体であり、凸部12表面から負極集電体11の外方に延びるように形成されている。柱状体14とそれに隣り合う柱状体14との間には空隙が存在している。
図11は、別形態の電子ビーム式蒸着装置50の構成を模式的に示す側面図である。図11では、蒸着装置50の内部も実線で示し、負極集電体11の表面の凸部12の図示を省略している。蒸着装置50は、チャンバー51、第1配管52、固定台53、ノズル54、ターゲット55、図示しない電子ビーム発生装置、電源56および図示しない第2配管を含む。チャンバー51は耐圧性容器であり、第1配管52、固定台53、ノズル54およびターゲット55を収容する。
第1配管52は、一端がノズル54に接続され、他端が原料ガスボンベまたは原料ガス製造装置に接続されている。第1配管52は、ノズル54に原料ガスを供給する。原料ガスには酸素を使用する。固定台53は、実線の位置と一点鎖線の位置との間で回転する板状部材であり、厚さ方向の一方の面に負極集電体23を固定する。実線の位置は、固定台53と鎖線で示す水平線とのなす角がα°である位置である。一点鎖線の位置は、固定台53と水平線とのなす角が(180−α)°である位置である。
ノズル54は、固定台53とターゲット55との間に設けられ、第1配管52の一端に接続されている。ノズル54は、第1配管52から供給される原料ガスをチャンバー51内部に供給すると、珪素酸化物、珪素窒化物などを含有する。ターゲット55は珪素を収容する。電子ビーム発生装置は、ターゲット55の珪素に電子ビームを照射し、蒸気化する。電源56は、電子ビーム発生装置に電圧を印加する。第2配管は、チャンバー51内の雰囲気になるガスを導入する。蒸着装置50は、アルバック(株)から市販されている。
固定台35に負極集電体11(35mm×35mm)を固定し、回転台35を実線の位置(α=60°)に配置し、下記に示す条件で3分間、珪素酸化物の蒸着を行い、柱状塊14aを形成した。次に、回転台35を一点鎖線の位置(180−α=120°)に配置し、下記に示す条件で3分間、珪素酸化物の蒸着を行い、柱状塊14bを積層した。以後、同様にして、固定台35を実線の位置および一点鎖線の位置に交互に配置し、柱状塊14c、14d、14e、14f、14g、14hを順次積層し、柱状体14を形成した。
ターゲット55:ケイ素、純度99.9999%、(株)高純度化学研究所製
ノズル54から放出される酸素:純度99.7%、日本酸素(株)製、
ノズル54から放出される酸素流量:80sccm
電子ビームの加速電圧:−8kV
エミッション:500mA
負極活物質層13の厚さは16μmであった。負極活物質層13の厚さは、10個の柱状体14の高さの平均値として求めた。柱状体14の高さは、負極板の厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、凸部12の先端の表面から柱状体14の頂点までの長さとして求めた。また、柱状体14に含まれる珪素酸化物の酸素量を燃焼法により定量したところ、SiO0.5の組成を有することが判った。
このようにして得られた負極板を用いる以外は、実施例1と同様にして、銅箔(HCL−02Z)から作製された幅5mm、長さ70mm、厚さ26μmの銅リードの一端をプラズマ溶接により接合し、本発明の負極を作製した。
(3)非水電解質の調製
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶媒に、LiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解し、非水電解質を調製した。
(4)電池の組立
前記で得られた正極と負極とを、これらの間にセパレータ(商品名:ハイポア、ポリエチレン多孔質膜、厚さ20μm、旭化成(株)製)を介在させて積層し、電極群を作製した。この電極群および前記で得られた非水電解質を、アルミニウムラミネートシートからなる外装ケースの開口からその内部に挿入した。次に、アルミニウムリードおよび銅リードの他端を外装ケースの開口から外装ケースの外部に導出した。引き続き、外装ケースの開口部を加熱により封止し、本発明の非水電解質二次電池を作製した。
(比較例1)
負極リードの負極集電体への接合方法をプラズマ溶接から抵抗溶接に変更して負極を作製する以外は、実施例1と同様にして円筒形非水電解質二次電池を作製した。なお、負極の作製は次のようにして実施した。
[負極の作製]
まず、実施例1と同様にして得られた負極板と銅リード(幅4mm、長さ70mm、厚さ100μm)とを、負極板の長手方向の一端面と、被覆層の幅方向の一端面と、負極リードの幅方向の一端面とが1つの連続した平面になるように配置した。負極板および負極リードを、先端径2mmの電極棒で挟持した。そして、抵抗溶接機(ミヤチテクノス(株)製)を用いて、電流値を1.3kAに設定し、負極板の長手方向端部の4箇所をスポット溶接し、負極を作製した。
(比較例2)
被覆層を形成せず、かつ負極リードの負極集電体への接合方法をプラズマ溶接から抵抗溶接に変更して負極を作製する以外は、実施例1と同様にして円筒形非水電解質二次電池を作製した。なお、負極の作製は、比較例1と同様にして行った。
(試験例1)
実施例1〜2および比較例1〜2で得られた負極を、下記の評価試験に供した。
[負極集電体と負極リードとの接合強度]
負極集電体と負極リードとの接合強度を測定した。万能試験機((株)島津製作所製)の下部固定治具に負極を固定し、上部固定治具に負極リードを固定した。上部固定治具を5mm/分で移動させて負極リードを引張り、負極集電体と負極リードとの接合部分(合金層)が破断する強度を測定し、接合強度とした。結果を表1に示す。
[負極集電体と負極リードとの導通性]
負極集電体と負極リードとの接合抵抗を測定した。負極集電体と負極リードとの接合部分(合金層)近傍の負極活物質層を、サンドペーパーを用いて除去した。次に、露出した負極集電体と負極リードとの接合部分の抵抗を、ミリオームメーター(商品名:ミリオームハイテスタ3540、日置電機(株)製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
表1における実施例1〜2の結果から、本発明の方法により負極集電体と負極リードとを接合することにより、負極集電体と負極リードとの間で、良好な接合強度および導通性が得られることがわかる。一方、抵抗溶接を実施した比較例1〜2では、導通性を有する接合が出来なかったことが明らかである。また、比較例1の結果から、負極集電体の表面に被覆層を形成しても、抵抗溶接では導通性を有する接合が出来ないことが明らかである。このことから、抵抗溶接では、負極リードを負極集電体に接合できないことが判る。
本発明の負極は、非水電解質二次電池の負極として好適に使用できる。また、本発明の非水電解質二次電池は、従来の非水電解質二次電池と同様の用途に使用でき、特に、携帯用電子機器の電源として有用である。携帯用電子機器には、たとえば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、モバイル機器、携帯情報端末(PDA)、携帯用ゲーム機器、ビデオカメラなどがある。また、本発明の非水電解質二次電池は、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインHEVなどの主電源および補助電源、電動工具、掃除機、ロボットなどの電源などとしての利用も期待される。
1 非水電解質二次電池
2 捲回型電極群
3 正極
4 負極
5 セパレータ
6 上部絶縁板
7 下部絶縁板
8 電池ケース
9 正極端子
10 封口板
11、25 負極集電体
12 凸部
13、26、26a、26b 負極活物質層
14 柱状体
15 正極板
16 正極リード
20 負極板
21 負極リード
22 合金層
27 被覆層
28 押え治具
30、50 電子ビーム式蒸着装置

Claims (10)

  1. 負極集電体と、珪素系活物質を含有しかつ前記負極集電体の表面に気相法により形成される負極活物質層と、負極リードと、前記負極集電体と前記負極リードとの間に介在しかつこれらを接合する合金層とを含み、
    前記負極リードは、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金よりなる群から選ばれる少なくとも1つの金属または合金を含有し、
    前記合金層は、合金(A)と合金(B)と銅またはニッケルとを含有し、前記合金(A)は銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1つと珪素との合金であり、前記合金(B)は銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1つと異種金属元素との合金である負極。
  2. 前記異種金属元素は、室温において珪素と合金を形成せず、かつ前記珪素系活物質との接触により前記珪素系活物質に含有される珪素の融点を降下させる金属元素である請求項1に記載の負極。
  3. 前記異種金属元素は、周期律表第12族〜第14族から選ばれる少なくとも1つの金属元素である請求項2に記載の負極。
  4. 前記異種金属元素は、Sn、ZnおよびInよりなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項3に記載の負極。
  5. 前記合金層の電気抵抗が、前記珪素活物質の電気抵抗よりも小さい請求項1に記載の負極。
  6. 前記珪素系活物質が、珪素、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素炭化物および珪素合金よりなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1〜5のいずれか1つに記載の負極。
  7. 負極集電体と、珪素系活物質を含有しかつ気相法により形成される負極活物質層とを含む負極板を作製する負極板作製工程と、
    前記負極活物質層の表面の少なくとも一部に、銅またはニッケルとの合金化が可能である、銅およびニッケル以外の異種金属元素を含む被覆層を形成する被覆工程と、
    前記被覆層と、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金よりなる群から選ばれる1つの金属または合金を含有する負極リードとを接触させ、接触部分の少なくとも一部をアーク溶接する接合工程とを含む負極の製造方法。
  8. 前記接合工程では、前記負極板の一端面と、前記被覆層の一端面と、前記負極リードの一端面とが隣接するように、前記負極板と前記負極リードとを配置する請求項7に記載の負極の製造方法。
  9. アーク溶接がプラズマ溶接またはTIG溶接である請求項7または8に記載の負極の製造方法。
  10. 正極集電体と、リチウムを吸蔵および放出可能な正極活物質を含有しかつ前記正極集電体の表面に形成される正極活物質層と、前記正極集電体に接合される正極リードとを含む正極、請求項1〜6のいずれか1つの負極、前記正極と前記負極との間に介在するように配置されるセパレータ、リチウムイオン伝導性非水電解質および電池ケースを含む非水電解質二次電池。
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