JP2011026983A - ポンプ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータの出力軸の動きを所定範囲内で規制することで発生する騒音を低減したポンプ装置を提供する。
【解決手段】モータ10と、該モータ10の出力軸14の一端に固定されたインペラ20と、前記モータ10が収納されたモータ室38、および前記インペラ20が収納されると共にそのインペラ20の回転によって移送される流体の流路となるインペラ室39が設けられたケース30と、前記出力軸14に接触して前記インペラ室39から前記モータ38室への流体の浸入を阻止するシール部材40とを備え、前記インペラ室39の内壁と前記インペラ20との当接により前記出力軸14の軸線方向への移動が規制された構成とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、流体を移送するポンプ装置に関し、さらに詳しくは、モータ室に収納されたモータ、およびこのモータの出力軸の先端に固定されてインペラ室に収納されたインペラを備え、このインペラの回転によって流体を移送するポンプ装置に関するものである。
一般家庭では、節約のため風呂の残り湯を洗濯水として利用することが行われている。このような作業を楽に行うことができるようにするため、洗濯機には、浴槽の残り湯を汲み上げて洗濯槽まで移送するポンプ装置を備えたものがある。なお、この種のポンプ装置としては、運転開始時に洗濯機と浴槽とを繋ぐホース内に溜まった空気を吸い出す(自吸動作を行う)必要があるため、いわゆる自吸式ポンプ装置が多く用いられている。
下記特許文献1には、従来の自吸式ポンプ装置の一例が開示されている。このポンプ装置は、モータの出力軸に固定されたインペラの回転によって流体が移送される構造を有するものであり、ケース内にモータおよびインペラが配設されてなる。図7は、特許文献1に記載されるような従来型の自吸式ポンプ装置が有するシール構造を示した概略図である。
図示されるように、モータ103は、出力側軸受108および反出力側軸受109に回転可能に支持された出力軸104を有する。この出力軸104の先端にインペラ102が固定されている。インペラ102は、モータ103の出力軸104が挿入(圧入)される固定孔が形成された筒部102aを有する。この筒部102aの外周面には、シール部材(オイルシール)106が、インペラ102と一体的に設けられた金属製の金具102bを介して接触している。シール部材106は、インペラ102の回転によって移送される流体(以下、単に水ということもある。)が、モータ103側に(インペラが収納されるインペラ室からモータが収納されるモータ室に)浸入しないよう阻止する。これにより、コイル等の電気的部品を有するモータ103が保護されると共に、装置外部への水漏れが防止される。
また、金具102bは、インサート成形等によりインペラ102と一体的に設けられている部材であり、シール部材106との摺接によってインペラ102が摩耗しないように保護する部材である。
なお、このポンプ装置において、モータ103の出力軸104は、軸線方向に少しがたつく程度に遊びを持たせた状態で、出力側軸受108および反出力側軸受109に支持されている。この出力軸104の軸線方向における動き(遊び量)は、一端に固定されたインペラ102の上端面102cと、出力側軸受108の下端面108aとの当接によって所定範囲内に規制される。
特開2002−81393号公報
ところで、かかる構成を有する従来のポンプ装置では、金具102bがプレスによって形成された金属部品であるため、シール部材106のような射出成形によって形成された部品に比して寸法精度(円筒度)が低い。つまり、従来型のポンプ装置では、金具102bと摺接するシール部材106の摩耗に伴うシール性能の低下により、モータ103側に水が浸入してしまうことがあった。
これに対し、本願発明者は、図8に示すように、シール部材106をモータの出力軸104と接触させることによってシール機能を発揮させるという対策を講じた。このような構成とすれば、モータ103の出力軸104は切削加工等によって形成される円筒度の高い部品であるため、金具102bとシール部材106とを接触させた構成よりもシール部材106の摩耗の進行が抑えられ、シール性能を向上させることができる。
ところが、この図8に示す構成では、インペラ102の径方向外側ではなく、軸方向外側(モータ103側)にシール部材106が配設される。つまり、シール部材106は、インペラ102と出力側軸受108との間に位置する。したがって、図7に示した構成のように、インペラ102の上端面102cと、出力側軸受108の下端面108aとを当接させることにより、出力軸104の軸線方向における動きを規制する構成とすることができない。例えば、インペラ102の上端面102cとシール部材106との当接によって出力軸104の動きを規制する構成とすることはできるが、シール部材106のシール性能が低下してしまうおそれがあり適当ではない。そのため、本願発明者は、出力軸104のインペラ102が固定された側とは反対側の端部(上端)104aと、ポンプ装置のケース110との当接により、出力軸104の軸線方向の動きが所定範囲内で規制される構成を採用した。
しかしながら、このような構成とした場合、装置運転中にインペラ102に掛かる流体の圧力が様々な条件により不規則に変化するため、出力軸104が不規則に上下動し、出力軸104とケース110との当接によってカタカタという衝突音が発生してしまうという問題があった。特に、図8に示されるような出力軸104とケース110との当接部分が装置の外側に位置する場合には、衝突音が外に漏れやすく、装置の静音性の面で大きな問題であった。
上記問題に鑑みて、本発明が解決しようとする課題は、インペラが配設されるインペラ室からモータが配設されるモータ室への流体の浸入を阻止するシール部材によるシール性能およびシール部材の耐久性を向上させると共に、モータの出力軸の動きを所定範囲内で規制することで発生する騒音を低減した静音性に優れるポンプ装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るポンプ装置は、モータと、該モータの出力軸の一端に固定されたインペラと、前記モータが収納されるモータ室、および前記インペラが収納されると共にそのインペラの回転によって移送される流体の流路となるインペラ室が設けられたケースと、前記出力軸に接触して前記インペラ室から前記モータ室への流体の浸入を阻止するシール部材とを備え、前記インペラ室の内壁と前記インペラとの当接により前記出力軸の軸線方向への移動が規制されていることを要旨とするものである。
このような構成を備える本発明に係るポンプ装置によれば、シール部材を出力軸に接触させて配設させることでシール部材による高いシール性能およびシール部材の高い耐久性を確保した上で、出力軸の動きを所定範囲内で規制することにより発生する騒音をインペラ室内を流れる流体によって低減することができる。つまり、モータの出力軸の軸線方向における動きが、インペラ室内に配設されたインペラとインペラ室内壁との当接により所定範囲内で規制されるように構成したため、インペラとインペラ室内壁との衝突音がインペラ室内を流れる流体によって低減され、静音性に優れたポンプ装置とすることができる。
この場合、前記モータのステータは、樹脂によりモールドされており、その樹脂部分に形成された凹部に前記シール部材が固定され、該凹部の開口は、部分的にまたは全面的に前記インペラ室の外壁に覆われていれば好適である。
このように、シール部材がステータをモールドする樹脂に形成された凹部に固定されている場合、その凹部の開口の少なくとも一部がインペラ室の外壁によって覆われるようにすれば、シール部材の凹部からの脱落が防止される。このように、インペラ室を構成する壁が、上述のようにモータの出力軸の動きを規制する規制部材として機能すると共に、シール部材の脱落を防止する脱落防止部材としても機能するため、部品点数を増加させずにすむ。
また、前記ケース内に、前記インペラ室から吐出された前記流体を液体と気体に分離するための気液分離室が設けられていればよい。
このように、気液を分離することができる、いわゆる自吸式ポンプ装置の場合には、上記モータ室およびインペラ室を構成するケースによってその気液分離室を構成すれば、部品点数を増加させずにすみ、装置の製造コスト削減につながる。
本発明に係るポンプ装置によれば、モータの出力軸の軸線方向における動きが、インペラ室内に配設されたインペラとインペラ室内壁に設けられた規制部との当接により所定範囲内で規制されるように構成したため、インペラとインペラ室内壁との衝突音がインペラ室内を流れる流体によって低減される。したがって、従来型のポンプ装置と比較して、シール部材の高いシール性能や、その高い耐久性を確保した上で、静音性に優れたポンプ装置とすることができる。
本発明の一実施形態に係るポンプ装置の断面図である。 図1に示したポンプ装置の断面の分解斜視図である。 シール部材およびインペラを拡大した、図1におけるA部拡大図である。 ステータ(モールド部)とケース本体との嵌合構造を拡大した、図3におけるB部拡大図である。 図1におけるC−C線断面図である。 図1におけるD−D線断面図である。 従来型のポンプ装置が有するシール構造を説明するための概略図である。 従来型のポンプ装置が有する軸線方向におけるモータ出力軸の位置規制構造を説明するための概略図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本実施形態に係る気液分離機能を備えた自吸式ポンプ装置1(以下、単にポンプ装置1という。)の概略構成を示す断面図であり、図2は、その断面の分解斜視図である。なお、以下の説明において軸線方向とは、モータ10の出力軸14の軸線方向、すなわち図1の上下方向をいい、径方向とは、モータ10の出力軸14の径方向、すなわち上記軸線方向に直交する方向をいうものとする。また、出力側(モータ10の出力側)とは、図1の下側をいい、反出力側(モータ10の反出力側)とは、図1の上側をいうものとする。
本実施形態に係るポンプ装置1は、モータ10と、このモータ10の出力軸14の一端に固定されたインペラ20と、モータ10が収納されたモータ室38およびインペラ20が収納されたインペラ室39が内部に設けられたケース30と、出力軸14に接触してインペラ室39からモータ室38への流体の浸入を阻止すると共に、装置外部への水漏れを防止するシール部材(オイルシール)40とを備える。
モータ10は、ロータ12およびステータ16とを備える。このモータ10は、ステータ16の外側にロータ12のマグネット(永久磁石)121が配設された、いわゆるアウターロータタイプのモータである。このようなアウターロータタイプのモータは、ロータのマグネットがステータ16の内側に配設された、同程度の大きさのインナーロータタイプのモータと比較し、ロータの外径を大きくすることができるため、出力トルクを大きくすることができるという利点を有する。
このようなアウターロータであるロータ12は、出力軸14と、マグネット121とが連結部材122で連結されてなる。上述のようにマグネット121は、ステータ16の外周面と対向するように位置する。一方、出力軸14は、ステータ16の内側に位置する。
マグネットの内側に位置するステータ16は、駆動コイル161や、この駆動コイル161から発生する磁界によって着磁されるステータコア162等を備える。このステータ16は、図1に示されるように、合成樹脂材料によりモールドされて(覆われて)いる(以下、ステータ16をモールドした樹脂部分をモールド部18と称する。)。ステータ16をこのように合成樹脂でモールドすることにより、電気的な部材である駆動コイル161等が保護され、湿気による腐食や短絡等の発生が防止されている。
ここで、モールド部18を構成する合成樹脂としては、熱可塑性樹脂よりも成形精度に優れる熱硬化性樹脂であることが好ましい。なお、ここでいう熱硬化性樹脂とは、熱硬化性樹脂を主成分とした材料を含むものとする。具体的な好適な材料としては、不飽和ポリエステルにガラス繊維等を混合したBMC(Bulk Mold Compound)等が例示できる。
モールド部18の中央には、ロータ12の出力軸14が挿通される貫通穴181が形成されている。また、モールド部18の反出力側には、貫通穴181と連通し、貫通孔181より大径の反出力側凹部182が形成されている。この反出力側凹部182には、出力軸14の反出力側端部を回転自在に支持する反出力側軸受192(ラジアル軸受)が圧入により固定されている。一方、モールド部18の出力側には、貫通孔181と連通した出力側凹部183が形成されている。この出力側凹部183は、貫通孔181より大径であって、相対的に小径の小径凹部183a、および相対的に大径の大径凹部183b(本発明における凹部に相当する。)とからなる。小径凹部183aには、出力軸14の中央からやや出力側よりを回転自在に支持する出力側軸受193(ラジアル軸受)が圧入により固定されている。つまり、出力軸14、すなわちロータ12は、反出力側軸受192および出力側軸受193によって、ステータ16の軸線を中心として回転自在に支持されている。
さらに、出力側凹部183の大径凹部183bには、シール部材40が圧入により固定されている。このシール部材40の構造および機能の詳細については、後述する。
インペラ20は、筒状部22および羽根部24を備え、モータ10の出力軸14の一端に固定されている。具体的には、出力軸14の端部にはローレット加工が施されており、そのローレット部分がインペラ20の筒状部22に形成された軸固定孔221に圧入されている。なお、かかる固定方法は例示であり適宜変更可能であるが、後述のようにインペラ20は出力軸14の軸線方向における位置規制部材として働くため、出力軸14に対するインペラ20のがたつきが発生しないように十分な固定強度を確保する必要がある。例えば、ボルト等の連結部材により出力軸14に固定された構成とすればさらに好適である。
このような構成のモータ10およびインペラ20は、ケース30に収納されている。このケース30は、ケース本体31に対し、底蓋32と、パイプ33と、インペラケース34と、上蓋35とが組み付けられてなり、内部にはモータ10が収納される空間であるモータ室38、インペラ20が収納される空間であるインペラ室39、移送される流体の流路5、および自吸工程(ポンプ装置1内やホース内の空気を排出する工程。後述の動作説明参照。)で流体と気体とを分離する気液分離室50等が構成される。
具体的には、ケース本体31に対し、底蓋32および上蓋35が組み付けられることにより、ケース30の外壁が構成される。底蓋32は、水漏れ防止用のOリング90を介して例えばボルト等によりケース本体31と連結されている。上蓋35は、爪部351がケース本体31の係止孔311に係止されることにより固定されている。このようにケース本体31に上蓋35が固定されることによって、モータ10が収納される空間であるモータ室38が構成されている。
さらに、ケース本体31の上部には、移送される流体をポンプ装置1内に引き込む吸引口312が形成されており、この吸引口312と連通するようにOリング91を介してパイプ33が連結されている。パイプ33は、逆止弁331を有する略L字形状の筒状部材である。そして、パイプ33の吸引口312と連結された反対側には、パイプ33の外側に嵌め込まれるようにしてインペラケース34が連結されている。このインペラケース34は、パイプ33と連結された反対側が、ケース本体31のインペラ室側壁313の外側に嵌め込まれるようにしてケース本体31と連結されている。このパイプ33およびインペラケース34とにより、ポンプ装置1内に引き込まれた流体の流路5が形成されている。このように、インペラ20が収納される空間であるインペラ室39は、ケース本体31とインペラケース34とにより構成されている。
以下、このモータ室38内およびインペラ室39内の具体的な構成について説明する。
図3は、モータ室38に収納されたシール部材40およびインペラ室39に収納されたインペラ20を拡大して示した図(図1におけるA部拡大図)である。シール部材40は、ケース30に形成されたインペラ室39からモータ室38への流体の浸入を阻止する役割を果たす合成樹脂製の部材であり、円筒部41と、その円筒部41の内側に形成された軸線方向に並んだ二つのリップ42,43とを有する。上述したように、シール部材40は、モールド部18に形成された出力側凹部183の大径凹部183bに、円筒部41を弾性変形させながら圧入により固定されている。具体的には、シール部材40の反出力側端面401が、出力側凹部183の小径凹部183aと大径凹部183bとの境界に存在する段部(大径凹部183bの底面)と当接する位置まで圧入される。
このようにして固定されるシール部材40のリップ42,43は、反出力側軸受192および出力側軸受193に回転自在に支持された出力軸14の外周面に接触している。つまり、装置運転中には、リップ42,43は回転する出力軸14と摺接する。これにより、インペラ20の回転によって移送される流体のインペラ室39からモータ室38への浸入が阻止されると共に、モータ室38を通っての装置外部への水漏れが防止される。なお、正確には、シール部材40はモータ室38内に設けられるため、シール部材40のリップ42,43が出力軸14と、シール部材40の円筒部41が出力側凹部183の大径凹部183bと当接する位置までは流体が浸入可能である。すなわち、モータ室38内における大径凹部183bまでは流体が入り込み、シール部材40によって出力側凹部183の小径凹部183aからの(軸線方向からの)流体の浸入が阻止される。つまり、本実施形態における「モータ室38への流体の浸入が阻止される」とは、モータ室38における出力側凹部183の大径凹部183b(すなわちシール部材40が配設された空間)を除いた部分への流体の浸入が阻止されることをいう。
一方、図2および図3に示すように、ケース本体31には、モータ室38の底面(下側の面)の中央から円筒状に突出した凸部395が設けられ、凸部395の中央には、出力軸14が挿通される貫通孔382が形成されている。また、凸部395の周囲には、環状に突出した環状突出部383が形成されている。この環状突出部383に、ステータ16(モールド部18)が位置決め固定されている。
この点について、図3および図4(図3におけるB部の拡大図)を参照して具体的に説明する。ステータ16のモールド部18の反出力側には、環状の突起である第一の壁部184と、この第一の壁部184よりも外側に設けられた第二の壁部185とが形成されている。この第一の壁部184と、第二の壁部185との間に環状突出部383を嵌め込むようにしてステータ16がモータ室38内に位置決め固定されている。このケース本体31に対するステータ16の位置決め固定される際、ケース本体31とモールド部18との間には、Oリング92が介在される。
具体的には、相対的に内側に位置する第一の壁部184は、外周面までの径が相対的に大径の大径壁部184aと相対的に小径の小径壁部184bとからなり、両者の境界に生じる段差を利用して第一の壁部184と環状突出部383との間にOリング92が挟み込まれている。つまり、第一の壁部184の小径壁部184bと環状突出部383との間にOリング92が挟み込まれる。これにより、大径凹部183bの径方向からモータ室38内(ステータ16の外側)への流体の浸入が阻止される。また、環状突出部383は、第一の壁部184の大径壁部184aと第二の壁部185との間に嵌合(圧入)される。
かかる構成とすることにより、ポンプ装置1では、シール部材40によって出力軸14の軸方向から流体の浸入が防止されると共に、Oリング92によって大径凹部183bの径方向からモータ室38内への流体の浸入が防止される。そのため、モータ室38内への流体の浸入が阻止され、ロータ12やステータ16の水濡れによる故障や腐食等が確実に防止される。また、モータ室38を経由してのポンプ装置1外部への水漏れが確実に防止される。
また、図1および図3から分かるように、モータ室38の底面の中央から円筒状に突出した凸部395は、大径凹部183bに入り込んで位置する。つまり、大径凹部183bの開口は、インペラ室39の外壁である凸部395に覆われている。
モータ室38内に配設されたモータ10の出力軸14は、凸部395に形成された貫通孔382を通ってその先端部分がモータ室38から突出し、インペラ室39内に位置する。インペラ20は、この出力軸14の先端部分に固定され、インペラ室39内に収容されている。具体的には、図3に示すように、インペラ20の筒状部22は、モータ室38の底面の中央から円筒状に突出した凸部395によってインペラ室39内に生まれた凹状の空間391内に位置し、筒状部22の反出力側端面222は、所定のクリアランス隔てて凹状の空間391の底部391aと対向している。つまり、出力軸14は、その軸線方向にある程度上下動可能となるように、遊びをもった状態で固定される。このような遊びが無いと、各構成部品の製造誤差等により、組み付けが困難になるおそれがあるからである。また、羽根部24は、その旋回径よりも大きく形成されたインペラ室39の主空間392内に位置する。
図5は、インペラ20の羽根部24を軸線方向と直交する方向に切断した断面図(図1におけるC−C線断面図)である。また、図6は、インペラ20の羽根部24より下を軸線方向と直交する方向に切断した断面図(図1におけるD−D線断面図)である。図5に示されるように、インペラ室39の側壁313には、二つの吐出口313aが形成されている。これにより、インペラ20の回転によって吸い込み口394からインペラ室39内に引き込まれた流体は、インペラ20の回転遠心力により、この吐出口313aを通って気液分離室50に押し出される。
また、図6に示されるように、インペラ室39の主空間392の側壁313には、戻り口313bが形成されている。戻り口313bは、気液分離室50の下部と連通しており、インペラ20の回転によって一旦気液分離室50に押し出された流体を、再びインペラ室39に戻すための流路となる。そのため、戻り口313bは、インペラ20の回転によって気液分離室50からインペラ室39内に流体が引き込まれるよう、負圧が発生するインペラ20の羽根部24より下方に設けられている。
インペラ20によって押し出された流体が移動する気液分離室50は、ケース30の内部空間の大部分を占める。具体的には、ケース30の内部空間における、モータ室38、インペラ室39、およびパイプ33やインペラケース34によって構成された流体の流路5を除く部分が気液分離室50となっている。図2に示すように、この気液分離室50(ケース本体31)の上部には、自吸工程において気液分離室50と連通して分離された空気を外部に排出するため、および自吸工程終了後の水を外部に排出するための排出口51が設けられている。また、この排出口51と並んで、予めケース30内に所定量の呼び水を導入するための呼び水供給口52が設けられている。
以下、このように構成されるポンプ装置1の動作について説明する。まず、ケース30の内部空間内には、インペラ20が空回りしないよう、少なくともインペラ20の羽根部24の全てが浸かる程度の呼び水が呼び水供給口52から供給される。
所定量の呼び水供給後、モータ10のステータ16が有する駆動コイル161に給電する。すると、駆動コイル161を備えるステータ16から磁界が発生し、ステータ16の外側に位置するマグネット121を備えるロータ12が回転する。ロータ12が回転すると、ロータ12が有する出力軸14の先端に固定されているインペラ20がインペラ室39内で回転する。
インペラ20の回転により、インペラ室39の主空間392内に存在していた呼び水が、側壁313に形成された二つの吐出口313aから気液分離室50へ押し出されて、インペラ室39内は負圧になる。すると、パイプ33に設けられた逆止弁331が開き、一方が吸引口312に連結されると共に他方が流体源に連結されている(例えば、風呂の残り湯を洗濯機に引き込む場合には、流体源である風呂釜の水中に落とし込まれている)ホースの内部に存在していた空気がケース30内に引き込まれる。ケース30内に取り込まれた空気は、パイプ33やインペラケース34によって形成された流体の流路5を通って吸い込み口394からインペラ室39内に吸い込まれれる。そして、インペラ20の回転によって呼び水と攪拌されながら混合され、インペラ室39から吐出口313aを通って気液分離室50へ押し出される。
押し出された流体(気液混合体)は、気液分離室50を上下方向に貫くパイプ33の周りを旋回しながら「縦渦」状態で上昇する。そのため、この流体の流れによる「縦渦」の中心位置が真空となり、呼び水がその真空部分に引き寄せられ、空気と水が容易に分離される。すなわち、気液分離室50内では、激しく気液混合体がかき回されるが、その流れが「縦渦」を形成しているため、「横渦」と比較すると気液混合体が上昇するのに時間が掛かる。その結果、気液混合体は、気液分離室50の上部に達するまでに空気と水とに分離され、質量の軽い空気は気液分離室50の上部に溜まる。したがって、分離された空気は徐々に排出口51から排出される。
一方、質量の重い水は気液分離室50の下部に移動し、上述の側壁313に形成された戻り口313bからインペラ室39内に引き込まれる。そして、再び空気と混合されたあと、気液分離室50へ押し出される。
このような動作を繰り返すことにより、ケース30内やホース内に存在していた空気のみが徐々に排出口51から排出される。空気が排出されると、流体源から水が徐々に引き込まれる。そして、完全に空気が排出され、ケース30内やホース内が水で満たされると、自吸運転状態から定常の給水運転状態(液体を移送している状態。風呂の残り湯を洗濯機に引き込む場合には、風呂釜の水を洗濯槽内に移送している状態。)となり、吸引口312から装置内に引き込まれた水が連続的に排出口51から排出される。
なお、給水動作終了後、モータ10への給電を停止し、インペラ20の回転が停止されると、インペラ室39内の負圧は消滅する。すると、ケース30内への流体の引き込み作用が無くなり、流体は逆流しようとするが、パイプ33に設けられた逆止弁331が流体の流路5を塞ぐため、流体が逆流することはない。
以上、本実施形態に係るポンプ装置1の構成ならびに動作について説明したが、かかる構成を備えるポンプ装置1によれば次のような作用効果が奏される。
上述のよう動作するポンプ装置1の運転中、インペラ室39内の流体圧力は、様々に変化する。そのため、若干軸線方向に上下動可能となるような遊びをもって配設されているインペラ20が固定された出力軸14は、インペラ室39内の圧力変化によってその遊びの大きさ分上下動する。本実施形態では、図3に示すインペラ20の筒状部22の反出力側端面222とインペラ室39の内壁(凹状の空間391の底部391a)とが当接することで、その上方向に移動する出力軸14の位置が規制される。つまり、出力軸14がその軸線方向に上下動しても、常に流体(気液混合体)で満たされているインペラ室39内においてインペラ20とインペラ室39の内壁が当接する構成であるため、両者の衝突音がインペラ室39内を流れる流体によって低減され、静音性に優れたポンプ装置1とすることができる。
また、ケース本体31に形成された、モータ室38の底面の中央から円筒状に突出した凸部395は、シール部材40が固定された大径凹部183b内に入り込んで位置する。つまり、大径凹部183bの開口側は、インペラ室39の外壁である凸部395に覆われた状態となる。このように、大径凹部183bの開口を凸部395で塞いだ構成とすることで、大径凹部183bに圧入により固定されたシール部材40の脱落が防止される。
なお、このようなシール部材40の脱落防止効果を得るという観点からすれば、凸部395の大きさは特に限定されない。つまり、大径凹部183bの開口の少なくとも一部が凸部395に覆われていれば、シール部材40が大径凹部183bから脱落することはない。
また、本実施形態に係るポンプ装置1は、運転開始時に流路内の空気を分離することができる、いわゆる自吸式のポンプ装置であり、気液分離室50を備える。そして、本実施形態では、この気液分離室50が、モータ10が収納されるモータ室38およびインペラが収納されるインペラ室39と共に、ケース30内に構成されているため、部品点数の増加が抑えられる。
さらに、モータ10の出力軸14を回転自在に支持する反出力側軸受192および出力側軸受193は、それぞれ、ステータ16を覆うモールド部18の反出力側凹部182、出力側凹部183(小径凹部183a)に圧入により固定されている。また、出力軸14に摺接するシール部材40は、モールド部18の出力側凹部183(大径凹部183b)に圧入により固定されている。つまり、反出力側軸受192、出力側軸受193、およびシール部材40のいずれもが、モールド部18に固定されているため、これらの部材を高い同軸度で配設することができる。その結果、反出力側軸受192および出力側軸受193に支持される出力軸14と、その出力軸14に摺接するシール部材40の高い同軸度を確保することができるため、シール部材40による高いシール性能を有するポンプ装置1とすることができる。
なお、反出力側軸受192、出力側軸受193、およびシール部材40の固定方法としては、圧入以外のものを採用することもできる。ただし、これらの部材の高い同軸度を確保するためには、モールド部18に対するそれぞれの部材の固定位置のばらつきを小さくしなければならない(反出力側凹部182や出力側凹部183内で、これらの部材ががたつくような固定方法は避けなければならない)ため、本実施形態のように圧入による固定方法が最も好適である。場合によっては、圧入による固定強度を向上させるため、接着剤等を用いてもよい。
また、本実施形態では、ステータ16を覆うモールド部18は、熱硬化性樹脂で形成されているため、成形品であるモールド部18の寸法精度が高い。したがって、モールド部18に固定される反出力側軸受192、出力側軸受193、およびシール部材40の固定位置精度も向上するため、出力軸14に摺接するシール部材40のシール性能がさらに向上する。
また、ポンプ装置1では、ケース本体31に形成された環状突出部383と、ステータ16を覆うモールド部18に形成された第一の壁部184の小径壁部184bとの間にOリング92が挟持されることにより、大径凹部183bの径方向からのモータ室38内への流体の浸入ならびにモータ室38を経由した装置外部への水漏れが防止されている。そして、このケース本体31とモールド部18とが嵌合される際、環状突出部383が第二の壁部185によって案内されるため、ケース本体31に対しモールド部18が傾いた状態で嵌合されるようなことはない。つまり、Oリング92を所定位置に確実に収めることができるため、上記モールド部18とケース本体31とによるシール構造は、高い信頼性を有する。
なお、本実施形態では、ケース本体31に設けられた環状突出部383が、モールド部18に設けられた第一の壁部184と第二の壁部185との間に嵌合される構成であることを説明したが、その逆、すなわちモールド部18に設けられた環状突出部が、ケース本体31に設けられた第一の壁部と第二の壁部との間に嵌合される構成としてもよい。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 ポンプ装置
10 モータ
14 出力軸
16 ステータ
18 モールド部
182 反出力側凹部
183 出力側凹部
192 反出力側軸受
193 出力側軸受
20 インペラ
30 ケース
38 モータ室
39 インペラ室
40 シール部材
50 気液分離室

Claims (3)

  1. モータと、該モータの出力軸の一端に固定されたインペラと、前記モータが収納されるモータ室、および前記インペラが収納されると共にそのインペラの回転によって移送される流体の流路となるインペラ室が設けられたケースと、前記出力軸に接触して前記インペラ室から前記モータ室への流体の浸入を阻止するシール部材とを備え、前記インペラ室の内壁と前記インペラとの当接により前記出力軸の軸線方向への移動が規制されていることを特徴とするポンプ装置。
  2. 前記モータのステータは、樹脂によりモールドされており、その樹脂部分に形成された凹部に前記シール部材が固定され、該凹部の開口は、部分的にまたは全面的に前記インペラ室の外壁に覆われていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
  3. 前記ケース内に、前記インペラ室から吐出された前記流体を液体と気体に分離するための気液分離室が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のポンプ装置。
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