JP2011026667A - 装飾部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属製の基板に、暗色の物質によって、光反射率の高い粉末を固定させた装飾部材、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】装飾部材900は、金属製の基板500と、前記基板上に形成された暗色の下地層350と、前記下地層に散在された光反射率の高い粉末450と、を有する。その製造方法は、前記金属製の基板500の表面に光反射率の高い粉末の投射を位置を移動しながら行うステップと、前記移動しながら前記粉末を投射する領域に隣接する領域に、暗色の物質を溶射するステップと前記暗色の物質により前記粉末を固定するステップとを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、金属製の基板に、暗色の下地と、光反射率の高い粉末とを固定させた装飾部材、およびその製造方法に関する。
従来、基材上にセラミックスとガラスの粉末を、同時に基材上に吹き付ける方法がある。例えば特許文献1に開示された方法は、セラミックス粉末とガラス粉末を混合し、比重および粒径の差を利用してプラズマ照射によってセラミックス層とガラス層を有する多層溶射皮膜を形成する。
また、金属基材の表面に、セラミックス粉末を溶射してセラミックス皮膜を形成し、次いでガラス粉末を溶射してガラス皮膜を形成する方法がある。例えば特許文献2に開示された方法は、金属母材の表面にセラミックス層を形成する工程と、500℃以上で熱処理して金属母材上にガラス質からなる被覆層を形成する工程を有する。さらに特許文献3に開示された方法は、金属の基材表面に、セラミックス粉末を溶射してセラミックス皮膜を形成し、ついでガラス粉末を溶射して、ガラス皮膜を形成する。
特開平8−225914号公報 特開平4−165087号公報 特開平2−282458号公報
上述の従来技術によって金属製基板上に暗色の下地層を配合した素材に高輝性を付与する場合、金属表面の酸化膜を除去し、暗色下地素材を溶射した後、高輝性ガラス粉末を配合した塗料やインキによる膜形成、クリア塗装など複数の工程が必要となり、工程が複雑である。また、塗料やインキに含有できる高輝性ガラス粉末は、装置の目詰まりなどが発生するため大きさに制限があり、粒子感、高輝性が低い。さらに、従来技術においては、ガラス粉末を溶融するため粒子感がなくなり、装飾部材の質感を低下させてしまう。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、金属製の基板に、暗色の物質によって、光反射率の高い粉末を固定させた装飾部材、およびその簡潔な製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、装飾部材は、金属製の基板と、前記基板上に形成された暗色の下地層と、前記下地層に散在された光反射率の高い粉末とを有する。
また、装飾部材の製造方法は、
金属製の基板表面に光反射率の高い粉末の投射を位置を移動しながら行うステップと、
前記移動しながら前記粉末を投射する領域に隣接する領域に、暗色の物質を溶射するステップと、
前記暗色の液体により前記粉末を固定するステップと、を有する。
また、装飾部材の製造方法は、前記光反射率の高い粉末がガラス粉末であってもよい。
また、装飾部材の製造方法は、前記暗色の物質がセラミックスであってもよい。
金属製の基板に、暗色の物質によって、光反射率の高い粉末を固定させた装飾部材、およびその簡潔な製造方法を提供することができる。
本実施の形態における装飾部材処理装置のブロック図 本実施の形態における溶射装置の溶射径とブラスト装置の投射径の概略図 本実施の形態における金属製基板上に形成される皮膜の概略図
以下、金属製の基板上への装飾部材製造の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における装飾部材処理装置のブロック図である。
装飾部材処理装置10は、装飾部材処理部20、ロボット制御装置30を具備する。装飾部材処理部20は、溶射装置100およびブラスト装置200を具備する。溶射装置100は不活性ガスを通電、溶射炎150を形成し、溶射炎150にセラミックス粉末300を投入してセラミックス粉末300を溶融させ、被加工物へ吹き付けて皮膜を形成させる。セラミックス粉末300は後述する高輝性ガラスの高輝性を高めるためZrO2などの暗色(特に黒色)が好ましい。溶射装置100はセラミックスが溶射可能な装置であり、プラズマ溶射装置などが好適である。
ブラスト装置200は粉末状の研摩材(図示せず)と光反射率の高い粉末状の高輝性ガラス(図示せず)を混合した投射材400を圧縮空気などにより被加工物へ投射し、研摩加工する装置である。研磨材は高輝性ガラスの高輝性を阻害しないガラスビーズが好適であり、研磨材と高輝性ガラスの混合比率は、少なくとも高輝性ガラスが投射材400全体の体積の10%以上であることが好適である。また、ブラスト装置200は、投射材400の粒度の選択性が高く、20μmから2mmの範囲で使用することができる。
金属製基板500は一般的には表面が酸化しており、セラミックス粉末300を溶着させるためには、酸化膜を除去する必要がある。酸化膜除去には、投射材400を金属製基板500へ投射し、研磨材により、金属製基板500の酸化膜を研摩除去する。投射材400は溶射炎150の溶射方向に対して傾斜させ投射することが好ましく、図では45°としているが、酸化膜の厚さ、研磨材の種類などにより適宜変化させることができる。
ロボット制御装置30は、装飾部材処理部20を移動させることができる。ブラスト装置200により酸化膜を除去した部分に、溶射装置100を移動させ、セラミックス粉末300を金属製基板500上に皮膜(下地層)として形成させる。酸化膜を除去した直後にセラミックス粉末300を溶射しているため下地層と金属製基板500との強固な密着を得ることができる。
図2は、本実施の形態における溶射装置100による溶射径600とブラスト装置200による投射径700の概略図である。溶射径600は投射径700よりも小さいことが好ましく、また溶射径と投射径は一部重なることが好適である。本実施の形態では溶射装置100とブラスト装置200の相対位置は、装飾部材処理部20で固定され一定であり、溶射装置100とブラスト装置200は金属製基板500に対して相対的に同時に移動している。なお、溶射装置100とブラスト装置200とは、個別制御してもよい。また、溶射装置100とブラスト装置200に対して、金属製基板500を移動してもよい。
次に、金属製基板500への装飾部材処理方法について説明する。
装飾部材処理部20の移動速度は、金属製基板500の表面状態や、形成するセラミックスの皮膜(下地層)の厚さなどより最適値が決定され、その移動速度はロボット制御装置30により制御される。ブラスト装置200で酸化膜を除去した直後、ロボット制御装置30により、溶射装置100を酸化膜除去した部分へ移動させる。溶射装置100により溶融したセラミックス粉末300が金属製基板500上で皮膜形成されるが、ブラスト装置200は移動した場所で酸化膜除去を実施しており、溶射装置200による溶射径600とブラスト装置200による投射径700は一部重複する部分があり、投射材400は金属製基板500の表面近くで溶融したセラミックス粉末300に接触し、金属製基板500の表面に固定される。投射材400に含まれる高輝性ガラスもこのとき、金属製基板500の表面に付着し固定される。プラズマ溶射では、溶射炎150は、10000℃以上とセラミックスが溶融可能な高温状態となるが、被加工物表面はおおよそ150℃程度と低温なため、高輝性ガラスは溶融せず粒子感を損なわず金属製基板500上に固定することができる。この動作を繰返し行い、装飾部材が形成される。さらに、この装飾部材へアクリル塗装など透明層を付与してもよい。
図3は、本実施の形態における金属製基板500上に形成される皮膜の概略図である。
金属製基板上500には、セラミックス粉末300が溶融したセラミックス皮膜350が形成されている。セラミックス皮膜350には、投射材400に含まれる高輝性ガラス450が固定されている。最表面には透明なアクリル層800が形成されている。固定された高輝性ガラス450は光の反射により高輝性を有する。また、固定された高輝性ガラス450の一部は、金属製基板500に積層しており、金属反射によって高輝性をさらに高めることができる。
上述した金属製の基板上への装飾部材処理によれば、光反射率の高い粉末により、金属製の基板表面の酸化物を除去した直後に、暗色の物質を溶射するため、酸化膜除去と高輝性の付与を同時に行うことができ、効率的な処理が可能となる。また、高輝性粉末を単独で投射するため、ブラストなどの粉末投射専用の装置を使用でき、使用できる粒子の制約が緩和され、粒子感や高輝性を向上させることが可能となる。さらに、溶融した液体が付着した、金属製の基板表面の温度は低く、光反射率の高い粉末は溶融しないため、粒子感を損なわず、装飾部材の処理をすることが可能となる。
(実施の形態の特徴)
上記実施形態において特徴的な部分を以下に列記する。なお、上記実施形態に含まれる発明は、以下に限定されるものではない。なお、各構成の後ろに括弧で記載したものは、各構成の具体例である。各構成はこれらの具体例に限定されるものではない。
装飾部材は、金属製の基板(金属製基板500)と、前記基板上に形成された暗色の下地層(セラミックス皮膜350)と、前記下地層に散在された光反射率の高い粉末(高輝性ガラス450)と、を有する。
装飾部材の製造方法は、金属製の基板(金属製基板500)表面に光反射率の高い粉末(投射材400の高輝性ガラス)の投射を位置を移動しながら行うステップと、前記移動しながら前記粉末を投射する領域に隣接する領域に、暗色の物質(セラミックス粉末300)を溶射するステップと、前記暗色の物質により前記粉末を固定するステップと、を有する。
さらに、前記光反射率の高い粉末はガラス粉末(高輝性ガラス450)であることを特徴とする。
さらに、前記暗色の物質がセラミックスであることを特徴とする。
上述の実施の形態によれば、光反射率の高い粉末により、金属製の基板表面の酸化物を除去した直後に、暗色の物質を溶射するため、酸化膜除去と高輝性の付与を同時に行うことができ、効率的な製造が可能となる。また、高輝性粉末を単独で投射するため、粉末投射専用の装置を使用でき、投射できる粒子の大きさの制約が緩和され、粒子感や高輝性を向上させることが可能となる。さらに、溶射した物質が付着する、金属製の基板表面の温度は低いため、光反射率の高い粉末を溶融させず、粒子感を損なわず、装飾部材を製造することが可能となる。
以上のように、本発明にかかる金属製の基板上への装飾部材処理は、例えば電子機器筐体などの装飾部材の製造に有用である。
10 装飾部材処理装置
20 装飾部材処理部
30 ロボット制御装置
100 溶射装置
150 溶射炎
200 ブラスト装置
300 セラミックス粉末
350 セラミックス皮膜
400 投射材
450 高輝性ガラス粉末
500 金属製基板
600 溶射径
700 投射径
800 透明アクリル層
900 装飾部材

Claims (4)

  1. 金属製の基板と、
    前記基板上に形成された暗色の下地層と、
    前記下地層に散在された光反射率の高い粉末と、
    を有する装飾部材。
  2. 金属製の基板表面に光反射率の高い粉末の投射を位置を移動しながら行うステップと、
    前記移動しながら前記粉末を投射する領域に隣接する領域に、暗色の物質を溶射するステップと、
    前記暗色の物質により前記粉末を固定するステップと、
    を有する装飾部材の製造方法。
  3. 前記光反射率の高い粉末はガラス粉末であることを特徴とする、請求項2に記載の装飾部材の製造方法。
  4. 前記暗色の物質がセラミックスであることを特徴とする、請求項2に記載の装飾部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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