JP2011026285A - プラノプロフェン含有水性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、性組成物においてプラノプロフェン及び/又はその塩に光安定性を備えさせ、澄明性を保持して、外観性状を安定に保つことができる、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性組成物を提供することである。
【解決手段】プラノプロフェン及び/又はその塩100重量部に対して、ペミロラスト及び/又はその塩を40重量部以上の比率で水性組成物に配合することによって、プラノプロフェン及び/又はその塩に光安定性を備えさせ、水性組成物の澄明性を安定に保持することが可能になる。
【選択図】なし

Description

本発明は、安定性が改善されたプラノプロフェン含有水性組成物に関する。より詳細には、澄明な状態を安定に保持できるプラノプロフェン含有水性組成物に関する。更に、本発明は、プラノプロフェン含有水性組成物を安定化する方法に関する。
プラノプロフェンは、優れた抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を併せ持つ非ステロイド系抗炎症剤として知られており、安全性も高いことから多くの医薬製剤に使用されている。しかしながら、プラノプロフェンは、水存在下で不安定化されるという欠点がある。そのため、プラノプロフェンを含む水性組成物では、沈殿物や不溶化物が生じ易くなり、長期間保存すると水性組成物の澄明性が損なわれて白濁し、外観が悪化するという欠点がある。特に、上記の欠点は、プラノプロフェンを含む水性組成物を光に晒すことによって一層顕著になることが分かっている。
そこで、プラノプロフェンを含む水性組成物を実用化する上で、澄明性を保持し、外観性状を安定に保つことができる処方の開発が望まれている。
これまでに、プラノプロフェンを含む水性組成物の白濁を抑制して、外観性状を安定に維持する技術が種々提案されている。例えば、プラノプロフェンを含む水性組成物に、炭酸塩(特許文献1)、有機アミン(特許文献2)、抗酸化剤(特許文献3)、プロピレングリコール(特許文献4)等の成分を配合することによって、プラノプロフェンの安定化を図る技術が報告されている。しかしながら、これらの手法では、プラノプロフェンの光安定化が不十分であったり、刺激があり安全性の観点から好ましくないという欠点がある。
一方、ペミロラストは、抗アレルギー作用があり、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の治療薬として使用されている。しかしながら、ペミロラストとプラノプロフェンを併用した組成物については報告されておらず、況して、プラノプロフェンの光安定性に対してペミロラストが如何なる影響を及ぼすかについては推測すらできないのが現状である。
特開平5−186349号公報 特開平8−291065号公報 特開平7−304670号公報 特開平10−236951号公報
本発明の目的は、水性組成物においてプラノプロフェン及び/又はその塩に光安定性を備えさせ、澄明性を保持して、外観性状を安定に保つことができる、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性組成物を提供することである。また、本発明の目的は、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性組成物を安定化する方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、プラノプロフェン及び/又はその塩100重量部に対して、ペミロラスト及び/又はその塩を40重量部以上の比率で水性組成物に配合することによって、プラノプロフェン及び/又はその塩に光安定性を備えさせ、水性組成物の澄明性を安定に保持することが可能になることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に改良を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる水性組成物を提供する:
項1-1. (A)プラノプロフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(B)ペミロラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、(A)成分の総量100重量部当たり、(B)成分が総量で40重量部以上の比率を充足することを特徴とする、水性組成物。
項1-2. (A)成分として、プラノプロフェンを含む、項1-1に記載の水性組成物。
項1-3. (B)成分として、ペミロラストカリウムを含む、項1-1又は1-2に記載の水性組成物。
項1-4. (A)成分の総量100重量部当たり、(B)成分が総量で40〜1000重量部の比率を充足する、項1-1乃至1-3のいずれかに記載の水性組成物。
項1-5. (A)成分を0.005〜0.2w/v%の配合割合で含有する、項1-1乃至1-4のいずれかに記載の水性組成物。
項1-6. (B)成分を0.005〜0.5w/v%の配合割合で含有する、項1-1乃至1-5のいずれかに記載の水性組成物。
項1-7. 眼科用組成物である、項1-1乃至1-6のいずれかに記載の水性組成物。
項1-8. 点眼剤又は洗眼剤である、項1-7に記載の水性組成物。
項1-9. 項1-1乃至1-7のいずれかに記載の水性組成物が、340〜365nmの波長の平均吸光度が2.2以下の容器に収容されてなる、医薬製品。
項1-10. 容器の450〜780nmの波長の平均吸光度が、0.6以下である、項1-9に記載の医薬製品。
また、本発明は、下記に掲げる水性組成物の安定化方法を提供する:
項2-1. (A)プラノプロフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する水性組成物に、(B)ペミロラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を、(A)成分の総量100重量部当たり(B)成分が40重量部以上の比率を充足するように配合することを特徴とする、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性組成物の安定化方法。
項2-2. (A)成分として、プラノプロフェンを含む、項2-1に記載の安定化方法。
項2-3. (B)成分として、ペミロラストカリウムを含む、項2-1又は2-2に安定化方法。
項2-4. (A)成分の総量100重量部当たり、(B)成分が総量で40〜1000重量部の比率を充足するように配合する、項2-1乃至2-3のいずれかに安定化方法。
項2-5. 水性組成物が、(A)成分を0.005〜0.2w/v%の配合割合で含有する、項2-1乃至2-4のいずれかに記載の安定化方法。
項2-6. 水性組成物において、(B)成分が0.005〜0.5w/v%の配合割合となるように配合される、項2-1乃至2-5のいずれかに記載の安定化方法。
項2-7. 水性組成物が眼科用組成物である、項2-1乃至2-6のいずれかに記載の安定化方法。
項2-8. 水性組成物が点眼剤又は洗眼剤である、項2-7に記載の安定化方法。
項2-9. プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性組成物の光に対する安定性を備えさせる方法である、項2-1乃至2-8のいずれかに記載の安定化方法。
項2-10. 水性組成物が340〜365nmの波長の平均吸光度が2.2以下の容器に収容されている、項2-1乃至2-9のいずれかに記載の安定化方法。
項2-11. 容器の450〜780nmの波長の平均吸光度が、0.6以下である、項2-10に記載の安定化方法。
本発明によれば、プラノプロフェン及び/又はその塩を含む水性組成物において、ペミロラスト及び/又はその塩を配合することにより、プラノプロフェン及び/又はその塩の光安定性が改善され、光暴露されても水性組成物が澄明な状態を保持して、外観性状を良好な状態に保つことができる。
従来、プラノプロフェン及び/又はその塩を含む水性組成物は、光暴露によって白濁し、外観性状が損なわれるために、光を遮断する容器に収容して提供されていた。このような容器では、容器内の水性組成物を肉眼で視認することができないため、使用者にとっては利便性が悪く、また製造業者にとっては品質管理が困難になるという欠点があった。これに対して、本発明の水性組成物は、プラノプロフェン及び/又はその塩の光安定性改善されているため、内部を視認可能な透明容器に収容することも可能になっており、使用者に対しては利便性を高め、製造業者に対しては品質管理を容易ならしめることができる。
試験例1において、水性組成物(実施例1及び比較例1−2)に対して光照射した後に、外観性状を観察した結果を示す。 試験例2において、水性組成物(実施例1'及び比較例1'−2')に対して光照射した後に、外観性状を観察した結果を示す。 試験例3において、水性組成物(実施例2−3及び比較例3−5)に対して光照射した後に、外観性状を観察した結果、及び外観性状を試験例3に示す判定基準に従って評価した結果を示す。 試験例4において、水性組成物(実施例4及び比較例6−7)に対して光照射した後に、外観性状を観察した結果、及び外観性状を試験例3と同様の判定基準に従って評価した結果を示す。
(I) 水性組成物
本発明の水性組成物は、プラノプロフェン及び/又はその塩を(以下、単に(A)成分と表記することもある)含有する。プラノプロフェンは、α−メチル−5H−[1]ベンゾピラノ[2,3-b]ピリジン−7−酢酸とも称される公知化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
また、プラノプロフェンの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。このような塩としては、例えば、無機塩基との塩[例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等]や、有機塩基との塩[例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機塩基との塩]等が挙げられる。これらのプラノプロフェンの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
また、プラノプロフェン及び/又はその塩は、水和物の形態でも使用できる。
本発明の水性組成物には、これらのプラノプロフェン及びその塩の中から、一種のものを選択して単独で使用してもよく、二種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。本発明の水性組成物に使用される(A)成分として、好ましくはプラノプロフェンである。
また、本発明の水性組成物は、ペミロラスト及び/又はその塩(以下、単に(B)成分と表記することもある)含有する。ペミロラストは、9−メチル−3−(1H-テトラゾール−5−イル)-4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オンとも称される公知化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
また、ペミロラストの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されることを限度として、特に制限されるものではない。このような塩としては、例えば、無機塩基との塩[例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等]等が挙げられる。これらのペミロラストの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の水性組成物には、これらのペミロラスト及びその塩の中から、一種のものを選択して単独で使用してもよく、二種以上のものを任意に組み合わせて使用してもよい。本発明の水性組成物に使用される(B)成分として、(A)成分に一層優れた光安定性を備えさせるという観点から、好ましくはペミロラストのアルカリ金属塩、更に好ましくはペミロラストのカリウム塩である。
本発明の水性組成物は、上記(A)成分の総量100重量部に対して、上記(B)成分の総量が40重量部以上のとなるように、上記(A)及び(B)成分の比率が設定される。このような比率を満たすことによって、上記(A)成分に対して光り安定性を備えさせ、水性組成物を澄明な状態で維持することが可能になる。(A)成分に一層優れた光安定性を備えさせるという観点から、上記(A)成分の総量100重量部に対して、上記(B)成分の総量が、好ましくは40〜1000重量部、更に好ましくは40〜500重量部、特に好ましくは40〜200重量部を満たすことが望ましい。
本発明の水性組成物において、上記(A)及び(B)成分の配合割合については、上記比率を充足する範囲内で、該水性組成物の製剤形態や用途等に応じて適宜設定される。具体的には、本発明の水性組成物における上記(A)成分の配合割合として、通常0.005〜0.5w/v%、好ましくは0.01〜0.2w/v%、更に好ましくは0.02〜0.1w/v%が例示される。また、本発明の水性組成物における上記(B)成分の配合割合として、通常0.005〜0.5w/v%、好ましくは0.01〜0.2w/v%、更に好ましくは0.02〜0.1w/v%が例示される。
本発明の水性組成物は、上記(A)及び(B)成分に加えて、更に緩衝剤を含有していてもよい。本発明の水性組成物に配合できる緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。かかる緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、ε−アミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩などが挙げられる。これらの緩衝剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。本発明の効果を一層効率的に奏させる観点から、上記緩衝剤の中でも、ホウ酸緩衝剤及びリン酸緩衝剤は好適であり、ホウ酸緩衝剤が特に好適である。当該ホウ酸緩衝剤の具体例として、ホウ酸及びその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂など)が例示される。特に、ホウ酸、ホウ砂が好適である。
本発明の水性組成物に緩衝剤を配合する場合、該緩衝剤の配合割合については、使用する緩衝剤の種類や期待される効果等に応じて異なり、一律に規定することはできないが、例えば、水性組成物において、該緩衝剤が0.01〜3w/v%、好ましくは0.1〜2w/v%、更に好ましくは0.3〜2w/v%、特に好ましくは0.5〜2w/v%となる割合が例示される。
また、本発明の水性組成物は、プラノプロフェン及び/又はその塩の化学的安定性が著しく損なわれない範囲で、生体に許容される範囲内のpHに調節することができる。適切なpHは、該水性組成物の製剤形態や用途等によって異なるが、通常6〜9、好ましくは6.5〜8.5、更に好ましくは6.8〜8.2、特に好ましくは7〜8程度である。pHの調節は、前記緩衝剤、或いは後述するpH調整剤、等張化剤、塩類等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
本発明の水性組成物は、更に必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は適用部位、剤形等により異なるが、通常0.3〜4.2、好ましくは0.3〜2.1、更に好ましくは0.5〜1.8、より好ましくは0.6〜1.5、特に好ましくは0.8〜1.5程度である。浸透圧の調整は無機塩及び多価アルコール、糖アルコール、糖類などを用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。行うことができる。
本発明の水性用組成物において浸透圧比は、第十五改正日本薬局方に基づき0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。浸透圧比測定用標準液は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650°Cで40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。
また、本発明の水性組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有してもよい。かかる成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造(輸入)承認基準2000年版(薬事審査研究会監修)に記載された各種医薬における有効成分が例示できる。具体的には、眼科用薬において用いられる成分としては、次のような成分が挙げられる。
抗ヒスタミン剤:例えば、ケトチフェン、イプロヘプチン、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等。
充血除去剤:テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリン等。
殺菌剤:例えば、アクリノール、セチルピリジニウム、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド等。
ビタミン類:フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、酢酸トコフェロール等。
アミノ酸類:アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸等。
消炎剤:例えば、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アズレンスルホン酸、アラントイン、トラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸、ベルベリン、リゾチーム、甘草等。
収斂剤:例えば、亜鉛華、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛等。
その他:例えば、クロモグリク酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、インドメタシン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、ケトプロフェン、フェルビナク、紫根、セイヨウトチノキ、及びこれらの塩等。
また、本発明の水性組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2005(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性担体。
増粘剤:例えば、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなど。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニド等)、グローキル(ローディア社製 商品名)等。
pH調節剤:例えば、塩酸、ホウ酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ砂、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、硫酸、リン酸、ポリリン酸、プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム等。等張化剤:例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、グリセリン、プロピレングリコール等。
安定化剤:ジブチルヒドロキシトルエン、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン等。
香料又は清涼化剤:メントール、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、リモネン、リュウノウ等。これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよく、また精油(ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油等)として配合してもよい。
本明細書において水性組成物とは、水を含有する組成物を意味し、通常は、組成物中に水を1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは50重量%以上含有するものを意味する。本発明の水性組成物に含有される水は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであればよい。例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等を使用できる。これらの定義は第一五改正日本薬局方に基づく。
本発明の水性組成物は、目的に応じて種々の製剤形態をとることができる。例えば、本発明の水性組成物の形態として、液剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。好ましくは液剤である。
また、本発明の水性組成物は、プラノプロフェン及び/又はその塩に基づく薬理作用のみならず、ペミロラスト及び/又はその塩に基づく薬理作用をも発現できるため、抗炎症、抗アレルギー等の用途に有効であり、とりわけ、外眼部及び前眼部の炎症性疾患の対症療法(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、前眼部ブドウ膜炎、術後炎症)やアレルギー性結膜炎、春季カタルの治療)等の用途で、医薬品や医薬部外品等の製剤として使用できる。
本発明の水性組成物の製剤形態としては、具体的には、点眼剤[但し、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む]、人工涙液、洗眼剤[但し、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む]、眼軟膏剤等の眼科用組成物;コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等];点鼻剤、鼻洗浄液等の鼻腔用組成物;口腔咽頭薬、含嗽薬(含嗽用剤)等の口腔用組成物;点耳薬等が挙げられる。(A)及び(B)成分の薬理作用を鑑みれば、中でも好ましくは眼科用組成物であり、更に好ましくは点眼剤及び洗眼剤であり、特に好ましくは点眼剤である。
なお、上記コンタクトレンズ用組成物は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズを含むあらゆるコンタクトレンズに適用可能である。
本発明の水性組成物は、目的とする製剤形態や用途に応じた公知の方法により製造できる。
本発明の水性組成物は、医薬分野で一般的に使用されている容器に収容して医薬製品として提供される。本発明の水性組成物を収容する容器については、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。また、本発明の水性組成物を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。
従来、プラノプロフェン及び/又はその塩の光不安定化には340〜365nmの波長の光が関与しており、340〜365nmの波長の光を遮断できる容器に収容することによってプラノプロフェン及び/又はその塩の光不安定化を抑制できることが明らかにされている(特開2006−249055号公報)。特に、従来は、340〜365nmの波長の平均吸光度が2.2以下の容器は、プラノプロフェン及び/又はその塩の光不安定化を回避するために禁忌すべきと考えられており、該平均吸光度が1.5以下(特に1.0以下)の容器は、プラノプロフェン及び/又はその塩の光不安定化を顕著に引き起こすことが分かっている。これに対して、本発明の水性組成物では、このような紫外線領域の光を遮断できるように特段の処理が施された容器を使用せずとも、プラノプロフェン及び/又はその塩の光安定化を図ることができ、使用可能な容器が制限されないという点で有利な効果が存している。特に、プラノプロフェン及び/又はその塩の安定性の観点から使用が禁忌されていた容器にも収容可能であるという本発明に特有の効果に鑑みれば、本発明の水性組成物を収容する容器の一例として、340〜365nmの波長の平均吸光度が2.2以下、好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.0以下の容器が例示される。このような容器は、当該技術分野で公知の方法で製造可能であり、容器の構成素材、容器に添加又は塗布する添加剤の種類や量を適宜調整することによって製造される。ここで、340nm〜365nmの平均吸光度とは、340nm〜365nmの間を5nm毎に、すなわち 340nm、345nm、350nm、355nm、360nm、365nmの各波長における光透過率(%)の平均光透過率(%)を基に、平均吸光度=−log(平均光透過率/100)の式から算出される値をいう。光透過率(%)は、プラスチックの光学的特性試験方法(JIS7105)に従い、市販の測定装置を用いて測定することができる。
また、340〜365nmの波長の平均吸光度が所定数値以下の上記容器は、水性組成物中の異物試験や残存容量の確認等のために、内部の視認が可能な程度に可視光線の透過性が高いものが望ましい。このように、内部視認が可能な容器としては、具体的には、450nm〜780nmの平均吸光度が、好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.4以下、さらに特に好ましくは0.2以下のものが例示される。こで、450nm〜780nmの平均吸光度が0.6以下である容器とは、450nm〜780nmの間を5nm毎に、すなわち 450nm、455nm、460nm、・・・・・・770nm、775nm、780nmの各波長における光透過率(%)の平均光透過率(%)を基に、平均吸光度=−log(平均光透過率/100)の式から算出される平均吸光度が0.6以下である容器である。光透過率(%)は、プラスチックの光学的特性試験方法(JIS7105)に従い、市販の測定装置を用いて測定することができる。
本発明の水性組成物を収容する容器として、プラスチック製を使用する場合、該プラスチック容器の構成材質については、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドのいずれか1種、これらの共重合体、または2種以上の混合体が挙げられる。また、上記共重合体としては、エチレン−2,6−ナフタレート単位、アリレート単位、エチレンテレフタレート単位、プロピレン単位、エチレン単位、イミド単位のいずれか1種を主体として、他のポリエステル単位、イミド単位を含む共重合体が挙げられる。
また、本発明の水性組成物を収容する容器は、紫外線遮断剤等の添加剤が添加又は塗布されていてもよく、また紫外線遮断剤等の添加剤が添加又は塗布されたシート状合成樹脂を容器にシュリンク包装したものであってもよい。
(II) 安定化方法
前述するように、水性組成物中で、プラノプロフェン及び/又はその塩と、ペミロラスト及び/又はその塩とを特定の比率で共存させることにより、プラノプロフェン及び/又はその塩に光安定性を備えさせて、水性組成物の安定性を向上させることが可能になる。よって、本発明は、別の観点から、(A)プラノプロフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する水性組成物に、(B)ペミロラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を、(A)成分の総量100重量部当たり(B)成分が40重量部以上の比率を充足するように配合することを特徴とする、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性組成物の安定化方法を提供する。
当該安定化方法において、使用するプラノプロフェン及び/又はその塩の種類、ペミロラスト及び/又はその塩の種類、プラノプロフェン及び/又はその塩とペミロラスト及び/又はその塩との比率、水性組成物中のプラノプロフェン及び/又はその塩の配合割合、ペミロラスト及び/又はその塩の配合割合、その他の配合成分の種類や濃度、水性組成物の製剤形態や用途等については、前記「(I)水性組成物」の場合と同様である。
以下に、実施例、試験例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、以下の試験で使用した各容器の340〜365nmの平均吸光度及び450〜780nmの平均吸光度は、以下の方法で測定した値である。即ち、容器の側面の湾曲や角のない部分を選んで2.0cm×2.0cmの断片を切り取り、これを検体として眼鏡レンズ分光透過率計TM−1(株式会社トプコン製)により各波長での光透過率(%)を測定し、340〜365nmにおける平均光透過率(%)及び340〜380nm及び450〜780nmにおける平均光透過率(%)を求めた。次いで、求めた平均光透過率から、次式により平均吸光度を算出した。
平均吸光度=−log(平均光透過率/100)
試験例1: プラノプロフェン含有水性組成物の安定性評価試験−1
表1に記載の処方に従い、水性組成物を調製した(実施例1及び比較例1−2)。これらの水性組成物を用いて、以下の試験を行い、光曝露条件下での安定性について評価した。
各々のプラノプロフェン含有水性組成物を透明ガラス製スクリュー管(容量10mL)に8mLずつ充填した。無色透明ガラス製スクリュー管(340〜365nmの平均吸光度0.043、450〜780nmの平均吸光度0.029)に収容した各水性組成物に対して、光安定性試験装置(「Light-Tron LT-120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、室温の下、5千lxの光を24時間連続照射し、水性組成物に対して積算照射量12万lx・hrの光を曝光した。光照射後の各水性組成物の外観を観察した。
Figure 2011026285
得られた結果を図1に示す。図1から明らかなように、プラノプロフェンを単独で配合した比較例1の水性組成物では、顕著な白濁が認められたが、プラノプロフェンとペミロラストカリウムを配合した実施例1の水性組成物では、白濁は全く認められず、澄明な状態が維持されており外観性状が良好であった。
試験例2: プラノプロフェン含有水性組成物の安定性評価試験−2
表2に記載の処方に従い、各水性組成物を調製した(実施例1'及び比較例1'−2')。これらの水性組成物は、pHを7.55に変更した点以外は、表1に記載の実施例1及び比較例1−2の水性組成物と同組成である。
Figure 2011026285
各々のプラノプロフェン含有水性組成物5mLを無色透明ポリエチレンテレフタレート製点眼容器(透明PET容器;340〜365nmの平均吸光度0.218、450〜780nmの平均吸光度0.049)に充填し、上記試験例1と同条件で曝光し、光照射後の各水性組成物の外観を観察した。
得られた結果を図2に示す。図2に示されるように、透明PET容器に収容した場合であっても、プラノプロフェンを単独で配合した比較例1'の水性組成物では顕著な白濁が認められたのに対して、プラノプロフェンとペミロラストカリウムを配合した実施例1'の水性組成物では、白濁は全く認められず、澄明な状態が維持されていた。
試験例3: プラノプロフェン含有水性組成物の安定性評価試験−2
表3に記載の処方に従い、水性組成物を調製した(実施例2−3及び比較例3−5)。これらの水性組成物を各種容器に収容して、上記試験例1と同条件で曝光し、光照射後の各水性組成物の外観を観察した。試験に使用した容器は、無色透明ガラス製容器(340〜365nmの平均吸光度0.043、450〜780nmの平均吸光度0.029)、無色透明ポリエチレンテレフタレート製容器(透明PET容器;340〜365nmの平均吸光度0.218、450〜780nmの平均吸光度0.049))、無色透明ポリプロピレン製容器(透明PP容器;340〜365nmの平均吸光度0.051、450〜780nmの平均吸光度0.044)、無色透明ポリエチレン製容器(透明PE容器;340〜365nmの平均吸光度0.162、450〜780nmの平均吸光度0.104))である。なお、これらの容器は、透明性が高い順に、透明ガラス製容器、透明PET容器、透明PP容器、透明PE容器である。
Figure 2011026285
また、光照射後の各水性組成物の外観については、下記の判定基準に従った評価も行った。
<外観の判定基準>
◎:白濁が全く観察されない。
○:やや白濁が観察されるが、製品として問題となるレベルではない。
×:白濁が明らかに観察され、製品として不適合である。
××:顕著な白濁が観察される。
得られた結果を図3に示す。プラノプロフェンを単独で配合した比較例4では、いずれの容器に収容した場合であっても、光照射後に明らかな白濁が観察され、外観性状が悪化していた。また、プラノプロフェンとペミロラストカリウムを併用した水性組成物であっても、プラノプロフェン100重量部に対するペミロラストカリウムの比率が20重量部の場合には、透明性の高い容器になる程、白濁が強く現れる傾向が見られた。これに対して、プラノプロフェン100重量部に対するペミロラストカリウムの比率が40重量部又は100重量部の場合には、いずれの容器に収容した場合であっても、白濁を顕著に抑制できていた。
以上の結果から、プラノプロフェン及び/又はその塩の光安定性を改善するには、プラノプロフェン及び/又はその塩100重量部に対してペミロラストカリウム及び/又はその塩を40重量部以上の比率を充足させることが重要であることが明らかとなった。
試験例3: プラノプロフェン含有水性組成物の安定性評価試験−2
表4に記載の処方に従い、水性組成物を調製した(実施例4及び比較例6−7)。これらの水性組成物を褐色透明のガラス容器(340〜365nmの平均吸光度0.851、450〜780nmの平均吸光度0.839)に収容して、上記試験例1と同条件で曝光し、光照射後の各水性組成物の外観を観察した。また、上記試験例3と同様の判定基準で、光照射後の各水性組成物の外観についても評価した。なお、各水性組成物の外観の観察は、光照射後の水性組成物を褐色透明のガラス容器に収容した状態に加えて、光照射後の水性組成物を褐色透明のガラス容器から無色透明ガラス製容器に移し替えた状態でも行った。また、本試験で使用した褐色透明容器は、無色透明容器程ではないものの、残量の確認等を行える程度には内部視認性(透明性)を備えているものである。
Figure 2011026285
得られた結果を図4に示す。プラノプロフェンを単独で配合した比較例7では、褐色透明の容器に収容した場合であっても、光照射後に明らかな白濁が観察され、外観性状が悪化していた。これに対して、プラノプロフェンとペミロラストカリウムを所定の比率で配合した実施例7では、白濁は全く認められず、澄明な状態が維持されていた。この結果から、340〜365nmの平均吸光度0.851の褐色透明容器を使用するだけでは、プラノプロフェン自体の安定性を損なってしまうが、プラノプロフェンとペミロラストカリウムを所定の比率で併用することによって、当該褐色透明容器では獲得困難であったプラノプロフェンの光安定性を付与できることが明らかとなった。
製剤例
表5に記載の処方で、点眼剤(実施例5−16)が調製される。
Figure 2011026285

Claims (5)

  1. (A)プラノプロフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種、並びに(B)ペミロラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、(A)成分の総量100重量部当たり、(B)成分が総量で40重量部以上の比率を充足することを特徴とする、水性組成物。
  2. (A)成分の総量100重量部当たり、(B)成分が総量で40〜1000重量部の比率を充足する、請求項1に記載の水性組成物。
  3. 眼科用組成物である、請求項1又は2に記載の水性組成物。
  4. 点眼剤又は洗眼剤である、請求項3に記載の水性組成物。
  5. (A)プラノプロフェン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する水性組成物に、(B)ペミロラスト及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を、(A)成分の総量100重量部当たり(B)成分が40重量部以上の比率を充足するように配合することを特徴とする、プラノプロフェン及び/又はその塩を含有する水性組成物の安定化方法。
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