JP2011025426A - 生コンクリート組成物の配合補正装置 - Google Patents

生コンクリート組成物の配合補正装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 生コンクリート組成物の適正な配合を決定するための、生コンクリート組成物の配合補正装置の提供。
【解決手段】 生コンクリート組成物の基本配合とその基本配合の組成物及び硬化後のコンクリートが示す物性値とが記録されている基本配合記録手段と、少なくとも二種の混和剤のデータが記録されている混和剤記録手段と、変動要因に基づき基本配合を修正するための修正ルールが記録されている修正ルール記録手段と、基本配合記録手段からデータを出力する基本配合データ出力手段と、選択された基本配合及びその物性値を一時記憶する基本配合選択データ一時記憶手段と、入力された変動要因を一時記憶する変動要因データ一時記憶手段と、選択された基本配合において、混和剤の添加により、変動要因による物性値の変動を相殺して目標物性値となるように修正ルールを適用し、補正値を演算する補正演算手段とを備えてなる、生コンクリート組成物の配合補正装置。
【選択図】 図2

Description

本発明は、生コンクリート組成物及び硬化後のコンクリートに要求される物性が、材料の状況、生コンクリートの混練り・打設時の気候、混練りから打設までの時間等の変動要因が存在しても、混和剤の使用及びその添加量の調整によって実現できる生コンクリート組成物の配合補正装置と、そのような配合補正装置を用いた生コンクリート組成物供給システムに関する。
コンクリートの一般的な材料は、セメント、水、細骨材、粗骨材、混和材及び混和剤である。コンクリート工場では、これらの材料を練り混ぜて生コンクリートを製造する。製造された生コンクリートは、ミキサー車で打ち込み場所まで運搬され、打設される。打設後には、セメントの水和反応によってコンクリートが硬化される。
生コンクリートの流動性、流動性保持時間、硬化後の圧縮強度等は、コンクリート組成物の配合、材料の状況、気候等の影響を受ける。そこで、通常は、硬化後の圧縮強度等のコンクリートの要求性能、材料の状況、セメント工場から打設現場までの所要時間、気候等の条件を考慮して基本配合を決定し、その基本配合に、高性能AE減水剤を初めとする混和剤を添加している。そのようなコンクリート組成物の配合の決定には、コンピュータ・プログラムが導入されている例もあり、例えば特許文献1には、基本配合を、例えばコンクリート練り上がり想定温度と想定される搬送時間を考慮して補正するための演算器を備えた生コンクリート材料の配合補正装置が開示されている。特許文献1においては、単位水量の増減でスランプを補正し、水・セメント比の変更で固化後の圧縮強度を補正し、AE剤の増減で空気量を補正している。
ところで、近年においては、良質な骨材の枯渇、配合の多様化、打設難易度の上昇、セメントの品質の変化(例えば廃棄物を混入させること)、スラッジ水の再利用、再生骨材の使用、地球温暖化による気候の変化等の、コンクリートの性能等に影響を与える新たな変動要因の出現により、単一の混和剤の使用では、所望のスランプやフロー(コンシステンシー)を示すコンクリート組成物を得ることが困難となってきている。そのため、コンクリート工場では、多種類の混和剤を準備し、複数の混和剤を組み合わせて使用している。使用する混和剤の選択及び添加量の決定は、刻々と変化する諸条件に応じて迅速に行わねばならない。このような混和剤の選択及び添加量の決定は、通常はコンクリート工場の従業員が行っているが、当該従業員のみでは対応できず、混和剤のメーカーや販売店に専門の技術員の派遣を要請し、対応を依頼しなければならない場合もある。
また、現在市販されている混和剤の中には、複数の化学成分が含有されているものや、計量の便宜のために希釈されているものがある。基本配合で所望のコンクリート組成物が得られる場合には、そのような予め複数の化学成分が含有されていたり、希釈されている混和剤の使用が便利である。しかし、コンクリート工場で生コンクリートの手直しのために混和剤を添加する場合や、各種変動要因に応じてコンクリート組成物の配合を決定する場合には、むしろ、単一成分の混和剤であって、濃度の大きいものの方が使用し易いといえる。
特開平8−183021
上記したように、近年におけるコンクリートの配合に影響する変動要因に対応するためには、従来の配合補正では十分ではなく、複数の混和剤、中でも高性能AE減水剤の組み合わせでの使用が必要とされる。そして、そのような混和剤の種類の選択や添加量の決定を、コンクリート工場の従業員や混和剤メーカーの専門技術員の経験に委ねておくのではなく、コンクリート工場において誰でもが行えるようにする必要がある。
本発明の目的は、各種変動要因に応じて、複数の高性能AE減水剤を含む混和剤を使用して生コンクリート組成物の適正な配合を決定するための、生コンクリート組成物の配合補正装置と、そのような配合補正装置を用いた生コンクリート組成物供給システムを提供することにある。
本発明者は、生コンクリート組成物や硬化後のコンクリートの性能に影響を与える変動要因に適正に対処するためには、複数の高性能AE減水剤を含む混和剤を使用することが必要であるとの認識を得、鋭意検討の結果、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、生コンクリート組成物の基本配合二種類以上について、各々の配合と、その基本配合の生コンクリート組成物及び硬化後のコンクリートが示すべき物性値とが記録されている基本配合記録手段と、
配合することができる少なくとも二種類の混和剤であって、それらの混和剤の中の少なくとも二種は互いに異なる化学構造のポリカルボン酸系高性能AE減水剤である混和剤に関するデータが記録されている混和剤記録手段と、
変動要因に基づき、基本配合を修正するための修正ルールが記録されている修正ルール記録手段と、
基本配合記録手段から基本配合及び物性値をデータ信号として出力する基本配合データ出力手段と、
外部から入力された、選択された基本配合の配合及び物性値をデータ信号として一時記憶する基本配合選択データ一時記憶手段と、
外部から入力された変動要因をデータ信号として一時記憶する変動要因データ一時記憶手段と、
一時記憶された変動要因のデータ中、容積保証と骨材の表面水率のデータから、一時記憶された選択された基本配合において、各材料について1mの生コンクリート組成物を入手するために実際に配合すべき第一の補正値を求めてその第一の補正値を第一の補正信号として出力する第一の補正演算手段と、
一時記憶された変動要因であって、容積保証と骨材の表面水率を除く変動要因から、任意の変動要因aを選択し且つそのデータを読み出し、混和剤記録手段からは混和剤の情報を読み出し、そして修正ルール記録手段からは修正ルールを読み出して、この変動要因aによる物性値の変動を相殺して選択された基本配合の生コンクリート組成物及び硬化後のコンクリートが示すべき物性値となるように、添加する混和剤の種類及び量を、第一の補正値に基づいて演算し、各材料について1mの生コンクリート組成物を入手するために実際に配合すべき第二の補正値を第二の補正信号として出力する第二の補正演算手段と、
を備えてなり、ここで、選択された基本配合の生コンクリート組成物及び硬化後のコンクリートが示すべき物性値は、スランプ、スランプロス、空気量、塑性粘度(plasticity)、フロー、フローロス及び硬化後の強度からなる群から選択される少なくとも一種であり、そして、容積保証と骨材の表面水率を除く変動要因が二以上存在する場合には、さらに、変動要因a以外の任意の変動要因について、第二の補正演算手段による演算及び補正信号の出力を繰返すことができる、生コンクリート組成物の配合補正装置に関する。
上記配合補正装置は、さらに、変動要因順位付けルール記録手段と、容積保証と骨材の表面水率を除く変動要因が複数である場合に、一時記憶された変動要因データを読み出すとともに、変動要因順位付けルール記録手段から順位付けルールを読み出し、変動要因を前記物性値に与える影響の大きい順に順位付けする変動要因順位付け手段を備えることができる。
前記変動要因順位付けルールには、入力され順位付けられた変動要因の中で第n位以下の要因は考慮する必要がないことの認定が含まれていることが好ましい。
また、本発明は、上記した本発明の生コンクリート組成物の配合補正装置と、原料混和剤を貯留できる少なくとも二槽の原料混和剤貯槽と、原料混和剤、セメント、細骨材、粗骨材及び水を含む生コンクリート組成物用原材料を、前記配合補正装置によって演算された量で供給する計量装置と、計量された原料を混練する練り混ぜミキサーとを備えることを特徴とする生コンクリート組成物供給システムに関する。
上記生コンクリート組成物供給システムは、さらに、計量された原料混和剤の水溶液を調製するための混和剤溶解槽を備えることができる。
本発明により、コンクリート工場の従業員や、混和剤のメーカーや販売店の専門の技術員の経験に頼らずに、生コンクリート組成物や硬化後のコンクリートの性能に影響を与える変動要因に応じた生コンクリート組成物の配合を決定することができるようになる。
また、本発明により、コンクリート工場は、混和剤混合物を調製している加工センターから混和剤混合物を調達するのではなく、種々の混和剤単品を調達して、自らその添加割合を決定できるようになる。一般に、混和剤混合物はその有効成分濃度が低く、そのために微生物の繁殖を防止するための殺菌剤の添加が必要であるが、混和剤単品はその有効成分濃度が高く、よって、殺菌剤が不要であるか又は使用する場合であっても従来よりも少量で済むようになる。
さらに、本発明により、生コンクリート組成物や硬化後のコンクリートの性能に影響を与える変動要因に、即座に対応することが可能となり、よって、生コンクリート組成物の廃棄のリスクが低くなる。
本発明の生コンクリート組成物の配合補正装置のシステム構成図である。 本発明の生コンクリート組成物の配合補正装置により実行される処理のフローを示す図である。 本発明の生コンクリート組成物の配合補正装置により実行される処理のフローを示す図である。 A、B2種のポリカルボン酸系高性能AE減水剤について、コンクリート組成物への練り混ぜ後の経過時間とスランプとの関係を模式的に示すグラフである。 本発明の生コンクリート組成物供給システムにおける各槽の配置関係を示す模式図である。
図1は、本発明の生コンクリート組成物の配合補正装置のシステム構成図であり、図2及び図3は、該装置により実行される処理のフローを示す。
先ず、本発明の装置を起動させ、コンピュータの基本配合記録手段に、基本配合データ・ファイルとして予め記録されているセメント、水、細骨材、粗骨材、混和材等からなる多くの基本配合と、各基本の生コンクリート組成物及び硬化後のコンクリートが示す物性値とを表示させる。次いで、キーボード等の入力装置から、適用すべき基本配合を選択し、入力する。ここで、基本配合記録手段に記録されている基本配合は、本発明が実施されるコンクリート工場で使用される一種類以上の配合である。各々の配合は、例えば、一般的なコンクリート用配合、高流動コンクリート用配合、高強度コンクリート用配合等である。本発明は、変動要因に応じて基本配合に添加すべき混和剤の種類の選択及び量の決定に係るものであるが、基本配合は混和剤が使用されていないものに限定されず、基本配合の一成分として混和剤が使用されているものも、本発明において基本配合として使用することができる。
基本配合が選択されると、選択された基本配合の配合組成と物性値、すなわち基本配合選択データが、ランダムアクセスメモリに一時記憶される。
次いで、キーボード等の入力装置から、変動要因を入力する。変動要因とは、同じ基本配合で生コンクリート組成物を調製し、硬化させても、生コンクリート組成物や硬化後のコンクリートの物性に変動をもたらし得る要因をいう。変動要因の詳細については、後記する。
入力された変動要因データも、ランダムアクセスメモリに一時記憶される。
中央演算装置は、メインメモリ中の制御プログラムの指令を受け、第一の補正演算手段によって、変動要因中、容積保証と骨材の表面水率から、一時記憶された基本配合において、各材料について1mの生コンクリート組成物を入手するために実際に配合すべき第一の補正値を演算する。容積保証とは、生コンクリート組成物の一部がミキサー内に残存しても必要な量が打設できるようにするために、容量を増やすことであるから、各材料の配合量は、容積保証の倍率に応じて増えることになる。また、骨材の表面水率を考慮するのは、基本配合では、水の量は、水が水以外の材料からは提供されないことを前提に決定されているので、骨材から提供される水を、実際に添加する水の量から差し引く必要があるためである。
次いで、容積保証と骨材の表面水率以外の変動要因を考慮した配合の補正を行う。第二の補正演算手段において、容積保証と骨材の表面水率以外の変動要因中、任意の変動要因aを選択し、混和剤記録手段中の混和剤データ・ファイルと修正ルール記録手段中の修正ルール・ファイルを読み出し、変動要因aと選択された基本配合との関係に基づき、適用すべき修正ルール(1)を選択する。そして、修正ルール(1)に基づいて、第一の補正値を修正すべく添加される混和剤の種類と量とを演算し、第二の補正値(その1)を得る。
ここで、修正ルール(1)は、変動要因aが存在しても、選択された基本配合の生コンクリート組成物及び硬化後のコンクリートが示すべき物性値が達成されるように、使用される混和剤の種類及び量を決定するためのルールであり、当該物性値は、スランプ、スランプロス、空気量、塑性粘度(plasticity)、フロー、フローロス及び硬化後の強度からなる群から選択される少なくとも一種である。これらの中で、スランプ、スランプロス、空気量及び塑性粘度(plasticity)が、特に重要な物性値である。例えば変動要因が再生骨材の使用である場合、再生骨材を使用することによって生じる生コンクリート組成物や硬化後のコンクリートの物性値の変化を相殺するために添加される混和剤の種類及び量の決定を、修正ルール(1)に基づいて行う。なお、基本配合の一成分として混和剤が使用されている場合、変動要因aに基づく物性値の変化を相殺するために、基本配合に含まれている混和剤の添加量を低減させるという決定がなされる場合も、本発明に包含される。
容積保証と骨材の表面水率以外の変動要因が複数ある場合には、その後、変動要因bと選択された基本配合や第二の補正値(その1)との関係に基づき、適用すべき修正ルール(2)が選択され、修正ルール(2)に基づいて、第二の補正値(その1)を修正すべく添加される混和剤の種類と量とが演算され、第二の補正値(その2)が決定される。さらに変動要因が存在する場合には、順次に、同様の処理が繰り返される。すべての変動要因について、修正ルールに基づいて添加すべき混和剤の種類及び量が修正され、最終的に、混和剤の種類及び量が決定される。この最終的に決定された混和剤の種類及び量が、他の材料の配合量とともに、出力手段によって出力される。なお、この際に出力されるすべての材料に関する配合量は、1mの生コンクリート組成物を入手するために必要な量であるので、通常は、この後に、ミキサーの容量等を考慮して、1バッチの練り混ぜに必要な量を算出する。
容積保証と骨材の表面水率以外の変動要因が複数ある場合、いずれの変動要因から修正ルールを適用していくかは、特に限定されない。例えば、入力した順でもよいし、使用する配合補正装置において、修正ルールを適用すべき変動要因に、予め順序が付されていてもよい。しかし、変動要因には、生コンクリート組成物や硬化後のコンクリートの物性に大きな影響を与える変動要因と、それほど大きな影響は与えない変動要因とが存在する場合がある。そして、影響の大きな変動要因による物性の変化を相殺するために、ある種の混和剤をある添加量で使用すると、他の、より影響の小さい変動要因による物性の変化も、同時に治癒されてしまう場合がある。従って、変動要因が複数ある場合には、生コンクリート組成物や硬化後のコンクリートの物性値に与える影響が大きい変動要因から順に、修正ルールを適用していくことが好ましい。よって、本発明の生コンクリート組成物の配合補正装置は、変動要因順位付けルール・ファイルを含む変動要因順位付けルール記録手段と、変動要因順位付け手段とを備えるものであることが好ましい。
変動要因順位付けルール記録手段及び変動要因順位付け手段を備える場合、変動要因が入力され、そのデータが一時記憶されたら、中央演算装置は、メインメモリ中の制御プログラムの指令を受け、先ず、基本配合との関係において、生コンクリート組成物や硬化後のコンクリートの物性値に与える影響が大きいものから順に、変動要因に順位付けを行う。また、変動要因順位付け手段は、第n位の変動要因に修正ルールを適用したところ、前工程までの修正ルール適用で決定された混和剤の種類及び添加量に修正を加える必要がないことが明らかとなった場合には、第n位以下の変動要因は考慮する必要がないと認定するようにプログラムされていることが好ましい。そうすれば、多数の変動要因の中、大きな影響を与えるいくつかの変動要因について修正ルールを適用するだけで、最終的な混和剤の種類及び添加量が決定される。
ここで、変動要因について説明する。変動要因には、大きく分けて三種類がある。材料に起因する変動要因、環境に起因する変動要因、そして配合の多様化に起因する変動要因である。本発明では、基本配合については予め用意しておき、主として前二者の変動要因に対し、混和剤の種類の選択及び添加量の決定で対応せんとするものである。但し、配合の多様化に関しても、従来からある基本配合に混和剤を添加することで対処できる範囲内は、本発明の適用範囲内である。以下に、変動要因の具体例を挙げる。
(1)材料に起因する変動要因
基本配合は、理想的な材料の組み合わせの場合に適切な物性を保証するが、現実には、そのような理想的な材料のみを使用することは殆ど不可能である。例えば、基本配合では水道水を使用することとなっているが、実際にはスラッジ水を使用する場合、そのようなスラッジ水を使用することやスラッジ水の性状が、練り混ぜ水に係る変動要因となる。材料に起因する変動要因の例は、次の通りである。
(1−1)セメント
日本工業規格(JIS)に規定されるセメントだけでも、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉スラグセメント、シリカセメント、フライアッシュセメントの9種類がある。そのほか、JISに規定されていないが使用されているセメントとして、低発熱型三成分セメント、油井セメント、白色セメント、超微粉末セメント等、10種類以上が知られている。基本配合において特定されているセメント以外のセメントを使用する場合、それが変動要因となる。
(1−2)練り混ぜ水
水道水、地下水、河川水、雨水、回収水、スラッジ水等が使用される。回収水やスラッジ水を使用する場合には、それらの含まれるスラッジ固形分が、単位水量に著しい影響を与えるので、回収水やスラッジ水の使用は変動要因となる。
(1−3)細骨材
天然砂(川砂、陸砂、海砂)、砕砂、混合砂が一般的に使用されているが、こうした資源は枯渇してきており、古いコンクリートを取り壊した後の再生砂の使用も増加している。例えば、通常使用される細骨材とは異なる粒度分布のものを使用する場合、その粒度分布の相違が変動要因となる。
(1−4)粗骨材
天然(川砂利、陸砂利)、砕石、又はこれらを混合した物が一般的に使用されている。再生骨材の利用も進んでいる。粗骨材の場合も、例えば通常使用される粗骨材とは異なる粒度分布のものを使用する場合、その粒度分布の相違が変動要因となる。
(1−5)混和材
急結材、膨張材、防水材、高強度材、ポラゾン、シリカヒューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、石灰石微粉末、高分子化合物、鋼繊維、合成繊維等が、コンクリートに新たな性能を付与する目的で使用されている。これらの使用そのものが、変動要因となり得る。
(1−6)混和剤
AE剤、減水剤標準型、減水剤遅延型、減水剤促進型、AE減水剤標準型、AE減水剤遅延型、AE減水剤促進型、高機能減水剤、高機能AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤標準型、高性能AE減水剤遅延型、高性能AE減水剤促進型、凝結遅延剤、凝結促進剤、防凍剤、乾燥収縮低減剤、防水剤、分離抑制剤、鉄筋防錆剤等からなる群から選択される一種乃至複数種が、配合に応じて使用される。減水剤、AE減水剤には、塩化物(塩化カルシウム)の混入量により、I種、II種、III種がある。これらの使用そのものが、変動要因となり得る。
(2)環境に起因する変動要因
(2−1)輸送時間
JIS A5308では、生コンクリートの運搬時間を、「練混ぜから荷降し完了まで90分以内でなければならない」と規定している。しかし、打設場所が遠隔地であるとか、交通渋滞、事故等により規定の時間を超えてしまう等の理由により、予想時間をはるかに超えてしまう場合がある。運搬時間の変動は、変動要因である。
(2−2)温度、湿度
気候の急激な変化は、コンクリートの物性の大きな影響を与える。これらも重要な変動要因である。
(2−3)繰り返し凍結融解作用の影響を受ける場合
(2−4)海水の影響を受ける場合
(2−5)融雪剤等の影響を考慮しなければならない場合
(2−6)繰り返し加重による構造疲労が大きい場合
(2−7)化学物質の影響を受ける場合、例えば、炭酸ガスの影響、放射線の影響、硫酸塩を含んだ地下水の影響。
以上の変動要因(1)及び(2)は、スランプロスや圧縮強度等に影響を与える。その影響を、二種以上の混和剤の併用によって、相殺又は治癒させるのである。
(3)配合に起因する変動要因
(3−1)要求される強度の高強度化
超高層ビルの建設では、コンクリートの圧縮強度の要求値が60N/mmを超える場合もある。
(3−2)水和熱を抑制する必要がある配合
(3−3)凍結による初期凍害を防ぐ配合
(3−4)長い距離をポンプ圧送しなければならない場合の配合
(3−5)コンクリートに曲げ靱性が要求される配合
(3−6)防水性、耐水性が要求される配合
(3−7)コンクリートの耐用年数が長い場合の配合
(3−8)コンクリート打設における環境を考慮する配合。
配合に起因する変動要因については、そのような要因を充足する基本配合(例えば高強度コンクリート配合)を用意しておくことで対処することが好ましい。しかし、一般的に要求される物性値(スランプ、スランプロス、空気量、塑性粘度(plasticity)、フロー、及び硬化後の強度からなる群から選択される少なくとも一種)が基本配合が示すべき物性値と同様で、他の性能が異なる、すなわち変動要因となる場合であって、混和剤の添加によって対処可能な場合には、本発明の範囲内である。
ここで、複数の変動要因が存在する場合、影響の大きい上位の変動要因4種について、第一位の要因がいずれかであるかにより、他の要因の順位がどのように変わるかを例示する。
(1)温度が第一位の場合、輸送時間、スラッジ水の使用、骨材中の微粒分が多いこと、
(2)スラッジ水の使用が第一位の場合、温度、輸送時間、骨材中の微粒分が多いこと、
(3)骨材中の微粒分が多いことが第一位の場合、輸送時間、温度、スラッジ水の使用。
また、以下に、各変動要因について、その変動要因に起因して大きく変動する物性値であって上位4種を、その順に示す。修正ルールは、これらの物性値、特に第一位の物性値の変動を相殺するための、混和剤の使用方法(種類及び添加量)を規定する。
(1)温度:スランプロス、スランプ、空気量、塑性粘度
(2)スラッジ水の使用:スランプ、空気量、スランプロス、塑性粘度
(3)骨材中の微粒分が多いこと:塑性粘度、スランプ、スランプロス、空気量
(4)輸送時間が長いこと:スランプロス、塑性粘度、空気量、スランプ
(5)細骨材の種類:塑性粘度、空気量、スランプ、スランプロス
(6)セメントの種類が異なること:スランプロス、スランプ、空気量、塑性粘度
(7)粗骨材の種類:塑性粘度、スランプ、スランプロス、空気量
(8)再生骨材の使用:スランプ、スランプロス、空気量、塑性粘度
(9)高強度化:塑性粘度、スランプロス、スランプ、空気量
(10)一般的な配合:スランプ、スランプロス、空気量、塑性粘度
(11)打設現場の相違:塑性粘度、スランプロス、空気量、スランプ。
続いて、本発明において、配合の修正に使用される混和剤について説明する。混和剤とは、AE剤、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、高機能減水剤、高機能AE減水剤、流動化剤、分離低減剤、起泡剤・発泡剤、凝結・硬化調節剤、急結剤、防錆剤、防水剤、収縮低減剤、グラウト用混和材料、防凍剤・耐寒剤、膨張コンクリート用特殊混和剤、水和熱低減剤、エフロレッセンス防止剤、凝結コントロール剤、アルカリ骨材反応抑制剤等の名称で呼称されている化合物である。
上記混和剤を化合物の面から見ると、各種界面活性剤、各種高分子化合物、無機塩、高級脂肪酸及びその塩やエステル等、様々である。また、その性状は特に限定されず、例えば、固形状や濃厚溶液状であってもよい。なお、混和剤は、各々が直接練り混ぜミキサーに装入されてもよいが、一旦、混和剤溶解槽において水で希釈し、複数の混和剤を含有する水溶液を調製した後、それを練り混ぜミキサーに装入する方が好ましい。前者の場合には、混和剤の性状は水溶液であることが好ましい。
本発明においては、基本配合の修正のために、混和剤を使用する。使用する混和剤の種類は多いほど最適な修正処方を得ることができると考えられるが、一方、コンクリート工場において、多種類の混和剤を在庫するのは、経費や保管場所の確保の点で好ましくない。本発明において、混和剤データ・ファイルに記録しておくべき混和剤は二種類以上であるが、三種以上であることが好ましく、三乃至五種類であることがより好ましい。
上記したように、混和剤を化合物の側面から見ると、多種多様である。本発明では、混和剤データ・ファイルに記録しておくべき混和剤として、高性能AE減水剤として知られているポリカルボン酸系化合物であって互いに異なる化学構造のものを、少なくとも二種選択する。
より具体的には、ポリカルボン酸系高性能AE減水剤には、ポリカルボン酸エーテル系複合体、ポリカルボン酸エーテル系化合物と架橋ポリマーとの複合体、ポリカルボン酸エーテル系化合物と配向ポリマーとの複合体、ポリカルボン酸エーテル系化合物と高変性ポリマーとの複合体、ポリエーテルカルボン酸系高分子化合物、マレイン酸共重合物、マレイン酸エステル共重合物、マレイン酸誘導体共重合物、カルボキシル基含有ポリエーテル化合物、末端にスルホン酸基を有するカルボキシル基含有多元高分子化合物、ポリカルボン酸系グラフト共重合物及びポリカルボン酸系高分子化合物等が知られているが、本発明では、基本配合の補正に使用する混和剤として、混和剤データ・ファイルに、互いに異なる化学構造のポリカルボン酸系高性能AE減水剤二種以上を記録しておく。
具体的な一例として、生コンクリート組成物調製後の経過時間とスランプとの関係が、図4に示す曲線Aである(すなわち、初期には高い減水能を示すが、時間の経過と共に減水能が低下するタイプの)ポリカルボン酸系高性能AE減水剤(以下、「Aタイプのポリカルボン酸系高性能AE減水剤」という)と、曲線Bである(すなわち、初期にはさして高い減水能を示さないが、時間の経過と共に減水能が向上していくタイプの)ポリカルボン酸系高性能AE減水剤(以下、「Bタイプのポリカルボン酸系高性能AE減水剤」という)とを記録しておくことが好ましい。両者の組合わせの微妙な調節により、多くの変動要因に基づく物性値の変動を相殺することができる。
混和剤データ・ファイルには、ポリカルボン酸系高性能AE減水剤以外の混和剤も記録されることが好ましい。そのようなポリカルボン酸系高性能AE減水剤以外の混和剤は、AE剤、減水剤、AE減水剤及び高性能AE減水剤に分類される化合物から選択することが好ましい。中でも、高性能AE減水剤に分類される化合物から選択することが好ましい。そのような化合物の具体例としては、変性リグニン、アルキルアリールスルホン酸及び活性持続ポリマーとの混合物、ポリアルキルアリールスルホン酸塩と反応性高分子との混合物、アルキルアリールスルホン酸塩高縮合物と特殊スルホン基カルボキシル基含有多元高分子化合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩と特殊界面活性剤との混合物、アルキルアリールスルホン酸塩変性リグニン共縮合物と変性リグニンとの混合物及びリグニン誘導体とアルキルアリールスルホネートとの混合物のようなナフタリン系高性能AE減水剤、変性メチロールメラミン縮合物と水溶性特殊高分子化合物との混合物やスルホン化メラミン高縮合物のようなメラミン系高性能AE減水剤、芳香族アミノスルホン酸系高分子化合物や芳香族スルホン酸縮合物とリグニンスルホン酸誘導体との混合物のようなアミノスルホン酸系高性能AE減水剤が挙げられる。
二種以上のポリカルボン酸系高性能AE減水剤を含む、好ましくは三種以上の混和剤を組み合わせて使用することにより、多種多様な変動要因に対して、適切に対応した修正処方を組むことができる。
次に、本発明に係る生コンクリート組成物供給システムについて、図5を参照しながら説明する。このシステムは、少なくとも二種の原料混和剤の水溶液を調製するための混和剤溶解槽を有する例である。符号1は、全ての原料を混練して製品生コンクリートを製造し、アジテータ車に供給する練り混ぜミキサーである。符号2は、少なくとも2種の原料混和剤の水溶液を調製するための混和剤溶解槽である。符号3a、3b……3zは、原料製造工場から直接供給された粉体状、固体状、濃厚溶液状等の原料混和剤貯槽であり、各原料混和剤貯槽3には、原則として1種類の混和剤が装入されている。符号V1、V2……Vzは、バルブであり、これらの開閉は図示されていない生コンクリート組成物の配合補正装置によって制御されている。
混和剤としては、例えば、原料混和剤貯槽3aには、図4におけるAタイプのポリカルボン酸系高性能AE減水剤を、原料混和剤貯槽3bにはBタイプのポリカルボン酸系高性能AE減水剤を装入する。練り混ぜ水にスラッジ水を使用する場合には、原料混和剤貯槽3c(図示を省略)に、凝結遅延剤を装入することができる。凝結遅延剤にオキシカルボン酸系凝結遅延剤を使用する場合には、往々にしてグルコースを併用するが、この場合にはオキシカルボン酸系凝結遅延剤とグルコースを一定比率で配合した凝結遅延剤を使用してもよく、或いはオキシカルボン酸系凝結遅延剤とグルコースを、別の原料混和剤貯槽に装入してもよい。
原料混和剤貯槽3の数は、各コンクリート工場によって異なる。凝結促進剤を必要とする工場もあれば防凍剤を必要とする工場もあり、少なくとも二槽、通常は三乃至五槽を使用する。多くても六槽あれば充分であると考えられる。仮に五槽の場合を想定すると、図5における3zは3eとなる。すなわち、Zは原料混和剤貯槽3の総数である。
符号4は、図示せぬモータにより駆動され、原料混和剤貯槽3から供給された混和剤を所定の濃度に希釈、混合する撹拌機である。
バルブVは、原料を、本発明の配合補正装置の指示に従った適正量で供給するための計量装置の一例である。供給量の調節は、液状物をパイプで供給する際にバルブを設ける方法に限らず、骨材等の固形物或いは粉体をベルトコンベア、バケットコンベア等の種々の公知の搬送手段に計量器を接続する等の手段によっても達成される。計量装置は、本発明の配合補正装置の指示に従って、各原材料について適正量を供給できる手段であればよい。
生コンクリート組成物の製造にあたり、先ず、配合補正装置に記憶された基本配合及び各基本配合の目標物性値を表示させ、それらの基本配合の中から、適切なものを一つ選択する。次いで、変動要因を順次入力する。
入力された変動要因中、容積保証と骨材(細骨材及び粗骨材)の表面水率のデータから、一時記憶された選択された基本配合において、各材料について1mの生コンクリート組成物を入手するために実際に配合すべき第一の補正値が、第一の補正演算手段によって演算され、第一の補正値が決定される。
次いで、入力された、容積保証と骨材の表面水率のデータを除く変動要因に基づく第二の補正値の演算が、第二の補正演算手段によって行われる。容積保証と骨材の表面水率のデータを除く変動要因は、一つのみの場合もあるし、二つ以上である場合もある。二つ以上の場合には、一つの変動要因に基づく第二の補正演算手段による演算が行われ、第二の補正値(その1)が示された後、その第二の補正値(その1)から出発して、二つ目の変動要因に基づく第二の補正演算手段による演算が行われ、第二の補正値(その2)が示される。これが繰り返される。第二の補正演算手段によって示される第二の補正値には、必ず、二種以上の混和剤の使用が含まれる。
配合補正装置により演算された最終配合に従って、二種以上の原料混和剤と水を混和剤溶解槽2に供給する。例えば、Aタイプのポリカルボン酸系高性能AE減水剤の一定量を混和剤貯槽3aからバルブV1を介して、Bタイプのポリカルボン酸系高性能AE減水剤の一定量を混和剤貯槽3bからバルブV2を介して、混和剤溶解槽2にそれぞれ供給する。次いで、配合補正装置から指示された量の水をバルブV3を介して供給し、攪拌機4にて攪拌して混和剤水溶液を調製する。
練り混ぜミキサー1には、配合補正装置により演算された量のセメントをバルブV5を介して供給し、同じく演算された量の細骨材をバルブV6を介して供給する。更に、同じく演算された量の粗骨材をバルブV7を介して供給し、演算された量の水をバルブV8を介して供給する。場合によっては、他のバルブVnを介して他の原材料を供給することもできる。演算された量の混和剤水溶液は、バルブV4を介して混和剤溶解槽2から供給される。全ての原剤料が、それぞれ所定量練り混ぜミキサー1に装入された後、混練されて生コンクリート組成物が調製され、それがアジテータ車に装入されて製品として出荷される。
以下に、基本配合に変動要因が生じた場合における、混和剤の使用によるコンクリート物性の調整例を示す。以下の実施例中、本発明方法における演算は、本発明の配合補正装置における演算と同様である。
[実施例1]
生コンクリート工場において、2008年10月に、従来の方法での配合修正と、本発明の方法での配合修正を行い、両者を比較した。セメントは普通ポルトランドセメントを使用し、目標物性は、強度が30N/mm、スランプが18cmであり、使用した粗骨材の最大寸法は20mmであった(30−18−20N)。また、打設量は450mであった。練り混ぜミキサーの最大容量は3mであり、このミキサーで2.25mを2回練り混ぜ、4.5mとして、一台のアジテータ車で出荷した。
基本配合は、表1のとおりであった。
Figure 2011025426
変動要因は、次の通りであった。
(1)容積保証: 1.015
(2)細骨材の表面水率: 5.2%
(3)粗骨材の表面水率: 0.5%
(4)スラッジ水の使用(スラッジ濃度:12%;スラッジ固形分率:2.5%)
(5)荷降し完了までの推定時間: 45分
(6)コンクリート温度: 18℃(気温:15乃至17℃)
(7)細骨材中の寸法が75μm以下のもの(微粒分)の割合: 8%
(従来の方法での配合修正)
表2に、従来の配合修正方法を示す。
Figure 2011025426
オペレーターの目視検査においてスランプロスを調整し、2バッチ分合計4.5mの生コンクリートを一台のアジテータ車に積載して出荷した。現場到着後、生コンクリートをアジテータ車から採取し、製品検査試験を行った。出荷から荷降しまでの時間は55分であった。試験結果を表3に示す。
Figure 2011025426
(本発明方法での配合修正)
表4に、本発明方法での配合修正方法を示す。
Figure 2011025426
変動要因に合わせて、その変動要因に基づく物性の変動を混和剤1乃至3を使用して調整した。その結果、セメントの増量を行わずに、オペレーターの目視検査においてスランプロスの調整もすることなく、2バッチ分合計4.5mの生コンクリートを一台のアジテータ車に積載して出荷することができた。現場到着後、生コンクリートをアジテータ車から採取し、製品検査試験を行った。出荷から荷降しまでの時間は60分であった。試験結果を表5に示す。
Figure 2011025426
本発明による配合の補正例では、生コンクリート試験結果においてスランプロスが1.5cmに止まり、ワーカブルな生コンクリートが得られた。圧縮強度については、従来例と比べて10乃至20%程度優れた結果が得られた。
[実施例2]
生コンクリート工場において、2009年2月に、従来の方法での配合修正と、本発明の方法での配合修正を行い、両者を比較した。セメントは低発熱ポルトランドセメントを使用し、目標物性は、強度が50N/mm、フローが60cmであり、使用した粗骨材の最大寸法は20mmであった(50−60−20N)。また、打設量は300mであった。練り混ぜミキサーの最大容量は3mであり、このミキサーで2.25mを2回練り混ぜ、4.5mとして、一台のアジテータ車で出荷した。
基本配合は、表6のとおりであった。
Figure 2011025426
変動要因は、次の通りであった。
(1)容積保証: 1.025
(2)細骨材の表面水率: 3.9%
(3)粗骨材の表面水率: 0.5%
(4)低発熱ポルトランドセメントの使用
(5)荷降し完了までの推定時間: 60分
(6)コンクリート温度: 10℃(気温:5乃至8℃)
(7)細骨材中の寸法が75μm以下のもの(微粒分)の割合: 9%
(従来の方法での配合修正)
表7に、従来の配合修正方法を示す。
Figure 2011025426
オペレーターの目視検査においてフローを調整し、2バッチ分合計4.5mの生コンクリートを一台のアジテータ車に積載して出荷した。現場到着後、生コンクリートをアジテータ車から採取し、製品検査試験を行った。出荷から荷降しまでの時間は70分であった。試験結果を表8に示す。
Figure 2011025426
(本発明方法での配合修正)
表9に、本発明方法での配合修正方法を示す。
Figure 2011025426
変動要因に合わせて、その変動要因に基づく物性の変動を混和剤1乃至3を使用して調整した。その結果、セメントの増量を行わずに、オペレーターの目視検査においてスランプロスの調整もすることなく、2バッチ分合計4.5mの生コンクリートを一台のアジテータ車に積載して出荷することができた。現場到着後、生コンクリートをアジテータ車から採取し、製品検査試験を行った。出荷から荷降しまでの時間は65分であった。試験結果を表10に示す。
Figure 2011025426
生コンクリート試験結果において、フローロスが、従来例では19.5cmであったのに対し、本発明による配合の補正例では5cmに止まり、本発明ではワーカブルな生コンクリートが得られた。また、本発明による配合の補正例では、低発熱セメントの特性でもある初期強度の発現の遅れを、回復させることができた。更に、本発明例では、圧縮強度について、従来例よりも優れた結果が得られた。
[実施例3]
生コンクリート工場において、2008年7月に、従来の方法での配合修正と、本発明の方法での配合修正を行い、両者を比較した。セメントは普通ポルトランドセメントを使用し、目標物性は、強度が33N/mm、スランプが21cmであり、使用した粗骨材の最大寸法は20mmであった(33−21−20N)。また、打設量は300mであった。練り混ぜミキサーの最大容量は3mであり、このミキサーで2.25mを2回練り混ぜ、4.5mとして、一台のアジテータ車で出荷した。
基本配合は、表11のとおりであった。
Figure 2011025426
変動要因は、次の通りであった。
(1)容積保証: 1.015
(2)細骨材の表面水率: 3.5%
(3)粗骨材の表面水率: 0.5%
(4)スラッジ水の使用(スラッジ濃度:7%;スラッジ固形分率:2%)
(5)コンクリート温度: 29.5℃(気温:28乃至30℃)
(6)細骨材中の寸法が75μm以下のもの(微粒分)の割合: 10%
(7)荷降し完了までの推定時間: 35分
(従来の方法での配合修正)
表12に、従来の配合修正方法を示す。
Figure 2011025426
オペレーターの目視検査においてフローを調整し、2バッチ分合計4.5mの生コンクリートを一台のアジテータ車に積載して出荷した。現場到着後、生コンクリートをアジテータ車から採取し、製品検査試験を行った。出荷から荷降しまでの時間は40分であった。試験結果を表13に示す。
Figure 2011025426
(本発明方法での配合修正)
表14に、本発明方法での配合修正方法を示す。
Figure 2011025426
変動要因に合わせて、その変動要因に基づく物性の変動を混和剤1乃至3を使用して調整した。その結果、セメントの増量を行わずに、オペレーターの目視検査においてスランプロスの調整もすることなく、2バッチ分合計4.5mの生コンクリートを一台のアジテータ車に積載して出荷することができた。現場到着後、生コンクリートをアジテータ車から採取し、製品検査試験を行った。出荷から荷降しまでの時間は45分であった。試験結果を表15に示す。
Figure 2011025426
生コンクリート試験結果において、スランプロスが、従来例では7cmであったのに対し、本発明による配合の補正例では3cmに止まった。また、本発明による配合の補正例では、圧縮強度について、従来例と同等の結果が得られた。
本発明の生コンクリート組成物の配合補正装置及び生コンクリート組成物供給システムは、コンクリート工場において、生コンクリート組成物の調製の際に使用することが出来る。
1 練り混ぜミキサー
2 原料混和剤溶解槽
3 原料混和剤貯槽
4 攪拌機
V1 混和剤貯槽3aから配合補正装置に指示された量の混和剤を供給するバルブ
V2 混和剤貯槽3bから配合補正装置に指示された量の混和剤を供給するバルブ
Vz 混和剤貯槽3zから配合補正装置に指示された量の混和剤を供給するバルブ
V3 混和剤溶解槽に配合補正装置に指示された量の希釈水を供給するバルブ
V4 混和剤溶解槽で得られた混和剤水溶液を練り混ぜミキサーに供給するバルブ
V5 配合補正装置に指示された量のセメントを練り混ぜミキサーに供給するバルブ
V6 配合補正装置に指示された量の細骨材を練り混ぜミキサーに供給するバルブ
V7 配合補正装置に指示された量の粗骨材を練り混ぜミキサーに供給するバルブ
V8 配合補正装置に指示された量の水を練り混ぜミキサーに供給するバルブ

Claims (5)

  1. 生コンクリート組成物の基本配合二種類以上について、各々の配合と、その基本配合の生コンクリート組成物及び硬化後のコンクリートが示すべき物性値とが記録されている基本配合記録手段と、
    配合することができる少なくとも二種類の混和剤であって、それらの混和剤の中の少なくとも二種は互いに異なる化学構造のポリカルボン酸系高性能AE減水剤である混和剤に関するデータが記録されている混和剤記録手段と、
    変動要因に基づき、基本配合を修正するための修正ルールが記録されている修正ルール記録手段と、
    基本配合記録手段から基本配合及び物性値をデータ信号として出力する基本配合データ出力手段と、
    外部から入力された、選択された基本配合の配合及び物性値をデータ信号として一時記憶する基本配合選択データ一時記憶手段と、
    外部から入力された変動要因をデータ信号として一時記憶する変動要因データ一時記憶手段と、
    一時記憶された変動要因のデータ中、容積保証と骨材の表面水率のデータから、一時記憶された選択された基本配合において、各材料について1mの生コンクリート組成物を入手するために実際に配合すべき第一の補正値を求めてその第一の補正値を第一の補正信号として出力する第一の補正演算手段と、
    一時記憶された変動要因であって、容積保証と骨材の表面水率を除く変動要因から、任意の変動要因aを選択し且つそのデータを読み出し、混和剤記録手段からは混和剤の情報を読み出し、そして修正ルール記録手段からは修正ルールを読み出して、この変動要因aによる物性値の変動を相殺して選択された基本配合の生コンクリート組成物及び硬化後のコンクリートが示すべき物性値となるように、添加する混和剤の種類及び量を、第一の補正値に基づいて演算し、各材料について1mの生コンクリート組成物を入手するために実際に配合すべき第二の補正値を第二の補正信号として出力する第二の補正演算手段と、
    を備えてなり、ここで、選択された基本配合の生コンクリート組成物及び硬化後のコンクリートが示すべき物性値は、スランプ、スランプロス、空気量、塑性粘度(plasticity)、フロー、フローロス及び硬化後の強度からなる群から選択される少なくとも一種であり、そして、容積保証と骨材の表面水率を除く変動要因が二以上存在する場合には、さらに、変動要因a以外の任意の変動要因について、第二の補正演算手段による演算及び補正信号の出力を繰返すことができる、生コンクリート組成物の配合補正装置。
  2. さらに、変動要因順位付けルール記録手段と、容積保証と骨材の表面水率を除く変動要因が複数である場合に、一時記憶された変動要因データを読み出すとともに、変動要因順位付けルール記録手段から順位付けルールを読み出し、変動要因を前記物性値に与える影響の大きい順に順位付けする変動要因順位付け手段を備える、請求項1に記載の生コンクリート組成物の配合補正装置。
  3. 前記変動要因順位付けルールに、順位付けられた変動要因の中で第n位以下の要因は考慮する必要がないことの認定が含まれている、請求項2に記載の生コンクリート組成物の配合補正装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載された生コンクリート組成物の配合補正装置と、原料混和剤を貯留できる少なくとも二槽の原料混和剤貯槽と、原料混和剤、セメント、細骨材、粗骨材及び水を含む生コンクリート組成物用原材料を、前記配合補正装置によって演算された量で供給する計量装置と、計量された原料を混練する練り混ぜミキサーとを備えることを特徴とする生コンクリート組成物供給システム。
  5. さらに、計量された原料混和剤の水溶液を調製するための混和剤溶解槽を備える、請求項4に記載の生コンクリート組成物供給システム。
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