JP2011023413A - 真空処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】真空処理室2外に配置された高周波電源から整合器10a,10bを介して真空処理室2内に配置された放電電極6に給電される高周波伝送路において、前記整合器10a,10bと前記放電電極6との間に略90度の方向転換をして接続されている給電コネクタ9a,9bが配設された製膜装置1において、給電コネクタ9a,9bの方向転換が滑らかなR形状の屈曲部Rにより行われている。
【選択図】図1
Description
また、特許文献3に記載された堆積膜の形成装置には、大面積で均一なプラズマを形成するため、給電導体とアースシールドとの間に配置された複数の絶縁部材からなる誘電体材料を冷却することにより、投入電力の損出を低減できることが開示されている。なお、この特許文献3には、給電導体の屈曲部に関する記載はない。
ここで、上述した給電コネクタ90の特性インピーダンスは、内部伝送路91と、絶縁体92と、外部導体93とのサイズにより決定されるが、絶縁体92と外部導体93との間には若干の隙間が設けられている。この隙間は、給電コネクタ90の組立を可能にすると共に、温度上昇による熱膨張に対して、各部品間の干渉を抑制するために設けられたものである。
このため、給電コネクタ90の隙間増大部分においては、インピーダンスの変化点となり、放電電極に供給する高周波電力の反射波電力が増加することで、放電電極に供給できる高周波電力量が減少してプラズマ処理に影響すると共に、反射波電力により高周波電源の内部素子が損傷したり、給電コネクタ90のL形屈曲部付近に発熱や時には異常放電が生じて機械的な損傷を生じる場合がある。このため、真空処理装置の信頼性や耐久性を向上させるためにも、給電コネクタの信頼性を改善するには、屈曲部における隙間の変化を抑制すること重要であることが明確になり、改善が望まれている。さらに、近年の大面積基板への高速製膜処理など、高高周波電力(30MHz〜数100MHz)を大電力量で供給するようになり、給電コネクタ90がますます損傷し易くなり、改善が急務とされている。
本発明に係る真空処理装置は、真空処理室外に配置された高周波電源から整合器を介して真空処理室内に配置された放電電極に給電される高周波伝送路において、前記整合器と前記放電電極との間に略90度の方向転換をして接続される給電コネクタが配設され、前記給電コネクタの方向転換が滑らかなR形状の屈曲部により行われることを特徴とするものである。
この場合、R形状とした屈曲部の曲率半径は、高周波伝送路を構成する管状絶縁体の外径を基準にして0.8〜1.5倍程度に設定すればよく、より好ましくは管状絶縁体の外径の1.0〜1.3倍に設定すればよい。
この場合に好適な位置決め部としては、二つ割り構造とした絶縁体及び/または外部導体の接合面をインロー構造として位置決めする構造、あるいは、外部導体の端部部分において、絶縁体と段差により相互の位置決めする構造がある。
この場合の好適な位置ずれ防止部は、たとえばボールプランジャーがあり、スプリング力で先端ボール部分を略均等に押さえることができる。
この場合、半径方向に弾力性を有するテープ素材は、薄い箔状の素材やメッシュ状のシールド材等が有効であり、このようなテープ素材は、複数箇所、またはスパイラル状に巻き付けることが好ましい。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の真空処理装置として製膜処理する装置(以下、「製膜装置」と呼ぶ)について、第1の実施形態に係る構成例を示す概略図であり、製膜装置の側面から見た図である。図2は、図1に示した製膜装置の放電電極及び給電コネクタの配置を説明する模式図である。図3は、図1及び図2に示した給電コネクタの構造を示す断面図である。
なお、本図において、ガス供給に関する構成は省略している。
基板Sとしては、縦横の大きさが1.4m×1.1mであり、厚さが3.0mmから4.5mmの透光性ガラス基板が例示される。
対向電極3は、放電電極6に対向する電極(たとえば接地側電極)となる。対向電極3は、一方の面が均熱板4の表面と密接し、製膜時に他方の面が基板Sの表面と密接して基板テーブルとなる。
上述の熱媒体は非導電性媒体であり、水素やヘリウムなどの高熱伝導性ガス、フッ素系不活性液体、不活性オイル、及び純水等が熱媒体として使用できる。中でも、150℃から250℃の範囲でも圧力が上がらずに制御が容易であることから、フッ素系不活性液体(たとえば商品名:ガルデン、F05など)の使用が好適である。
均熱板保持機構5は、製膜時に均熱板4等を放電電極6に接近させて、基板Sを放電電極6から、たとえば3mmから30mmの範囲内の所定値だけ離れて位置させることができる。
低真空排気部12は、初めに製膜室2内の気体を排気して、製膜室2内を低真空とする粗引き排気用の真空ポンプである。製膜時における製膜排出ガスは、低真空排気部12より排気される。弁15は、低真空排気部12と製膜室2との経路を開閉する。
なお上述のように、放電電極6は必ずしも8個に分割されている必要はなく、8個以外の個数でもよいし、あるいは分割されていない1個でもよい。
また、給電コネクタ9a,9bの中心部に配置された内部伝送路91は、放電電極6の温度を管理して所定の範囲に維持するため、放電電極6に熱媒を流通する熱媒体流通路91aが内部に形成された中空の管状となっている。この熱媒は、図示しない熱媒体供給装置から整合器10a,10bを介して供給,流通される。
放電電極6の上側となる給電点には、図1及び図2に示すように、図示しない上側の高周波電源から、出力側のインピーダンスを整合させる整合器10aを介して高周波電力が供給される。同様に、放電電極6の下側となる給電点には、図示しない下側の高周波電源から整合器10bを介して高周波電力が供給される。
絶縁体92は、外部導体93の内周面から離間して隙間d1(図3(b)参照)を形成し、外部導体93の内部に管状に設けられている。この絶縁体92は、たとえばアルミナセラミックス等の絶縁体よりなる円筒状部材である。
なお、外部導体93及び絶縁体93は、たとえば後述する組立上の問題等から、円筒を二つ割りにした半円筒断面形状とすることが望ましい。
図4によれば、外部導体93の内径を28〜30mm程度とした本実施形態の給電コネクタ9a,9bは、特性インピーダンス変化率について、一般に高周波電流の反射波が急増することのないと見なす範囲として、5%以内とする必要がある。このためには、隙間d1の間隔を0.3mm以内に設定する必要がある。
1)外部導体93
内径・・・φ30mm程度
材質及び熱膨張率・・・アルミニウム(24×10−6/℃)
2)絶縁体92
材質及び熱膨張率・・・アルミナ(7×10−6/℃)
δ=30mm×(24−7)×10−6×200℃
=0.1mm
となる。
一方、従来のL形屈曲部(図9参照)においては、縦方向及び横方向のズレが同時に生じて重なり、さらには中心位置のズレや工作精度の要因が加わることにより、上記の隙間変化管理範囲(≦0.3mm)を超える場合がある。さらに、上述したL形屈曲部のように、屈曲部分に鋭利な部分があると、この鋭利部分に電界が集中しやすいため、反射波を急増させる場合がある。
ここで、曲率半径Rの具体例を例示すると、反射波対策を優先する場合は、管状となる絶縁体92の外径を基準にして、曲率半径Rを絶縁体外径以上に大きく設定することが望ましい。なお、絶縁体中心軸での曲率半径Rは、絶縁体外径の0.8〜1.5倍程度に設定し、より好ましくは、絶縁体外径の1.0〜1.3倍に設定し、反射波対策に加えて装置の大型化を防ぐことが望ましい。
図8(a)に図示した性能比較結果のグラフは、放電電極6を8分割し、各放電電極6の上部給電点(No.1〜8)及び下部給電点(No.9〜16)において、各給電点の前進波(Pf)及び反射波(Pr)について平均値との相対値を示している。ここで、縦軸は、高周波電力量(RF Power)であり、放電電極6への実投入高周波電力量として、前進波電力(Pf)の平均値から反射波電力(Pr)の平均値を差し引いた値を100として換算している。なお、図中に白丸/実線表示したR給電(Pf)は、給電コネクタ9a,9bにR形状の屈曲部Rを採用した場合の前進波電力、図中に黒丸/実線表示したR給電(Pr)は、R形状の屈曲部Rを採用した場合の反射波電力、図中に白三角/破線表示したL給電(Pf)は、給電コネクタ9a,9bにL形屈曲部を採用した場合の前進波電力、図中に黒三角/破線表示したL給電(Pr)は、L形屈曲部を採用した場合の反射波電力である。
これらの性能比較結果によれば、給電コネクタ9a,9bに従来のL形屈曲部からR形状の屈曲部Rに変更することで、下記のような効果が得られた。
第1の効果は、反射波(Pr)電力の相対値が約半減したことである。すなわち、L形屈曲部で19〜20だった反射波(Pr)電力の相対値は、R形へ変更したことにより10〜11と半減している。なお、反射波(Pr)電力の平均値/前進波(Pf)電力の平均値については、L形屈曲部の約16%が、R形の採用により約9%まで減少している。
第3の効果は、前進波(Pf)電力のばらつき(最大値と最小値との差)を見ると、各給電部のばらつきが小さくなって半減(37〜38から15〜25)していることである。これは、各給電点の給電コネクタの性能が均一化していることを意味するので、装置の調整や製膜特性にとっては好適である。
また、給電コネクタ9a,9bにR形を用いたものの屈曲部Rでは、発熱や異常放電による機械的な損傷を生じることがなく、従って、製膜装置1の信頼性や耐久性を向上させることが可能となる。
続いて、上述した製膜装置1の給電コネクタ9a,9bについて、第2の実施形態を図5に基づいて説明する。
図示の給電コネクタ9Aは、内側から順に、内部伝送路91、絶縁体92及び外部導体93を同軸に配置した略円筒状のRF伝送路に屈曲部Rを形成したものであり、最も外側の外部導体93及びその内側の絶縁体92が、長手方向の二つ割り構造となっている。すなわち、中空円形断面となる外部導体93及び絶縁体92については、それぞれ軸線に沿って略二分割された半円筒形状の外部導体93a,93b及び絶縁体92a,92bを組み合わせたものとなる。
図5に示す位置決め部95は、二つ割り構造とした絶縁体92a,92bの接合面に凹凸を形成したインロー構造である。このインロー構造は、二つ割り構造とした絶縁体92a,92bの接合面において位置合わせの管理を行うとともに、完全に貫通している微小な隙間d1が開かないようにしている。すなわち、多数製造される給電コネクタ9Aについて、位置合わせや隙間d1の均一化が可能となるので、製品間の固体差を最小限に抑えることができる。
また、上述したインロー構造に代えて、外部導体93a,93bの端部部分において、絶縁体92a,92bの外周面と所定位置で係合するように段差(凹凸)98を設けておき、これを位置決めの基準点にして相互の位置決めをする構造としてもよい。この段差(凹凸)98により、組立時のみならず、運用時の温度変化による熱膨張でサイズが多少変化する事象においても、絶縁体92a,92bと外部導体93a,93bの位置関係を維持できるので、給電コネクタ9Aの特性を維持管理できるので好ましい。
位置ずれ防止部を備えた第1変形例の給電コネクタ9Bは、屈曲部Rにおいて、外部導体93a,93bの外側から略円筒状の高周波伝送路の軸中心方向へ向けてボールプランジャー96をねじ込み、外部導体93a,93bを貫通した先端部が、絶縁体92a,92bの外周面を押圧するように構成されている。
図示の構成例では、屈曲部Rの始点及び終点の近傍において、両側から合計4本のボールプランジャー96をねじ込んでいるが、これに限定されることはない。
また、この場合の位置ずれ防止部としては、スプリングを内蔵したボールプランジャー96が好適ではあるが、これに限定されることはない。
図7に示す第2変形例の給電コネクタ9Cでは、内部伝送路91及び絶縁体92を組み合わせた絶縁体外周面にテープ素材97を巻き付けている。ここで使用するテープ素材97は、たとえばステンレス箔をテープ状とした薄い箔状の素材であり、これを長手方向に複数箇所または比較的大きなピッチでスパイラル状に巻き付ければ(図7(a)参照)、隙間d1の変化を抑制することができ、従って、特性インピーダンスが変化する部分の集中を防止できる。
また、テープ素材97の巻き方は、長手方向に所定のピッチで複数箇所に巻き付ける外にも、たとえばスパイラル状に巻き付けてもよい。
また、上述したテープ素材97を内部伝送路91の周囲に巻き付ければ、隙間d2の変化を抑制することも可能である。
このような構造は、製膜処理により給電コネクタ9Aの端部分に膜が付着するような場合であっても、突き出した絶縁体92または引っ込んだ絶縁体92が端部分に存在することにより、内部伝送路91及び外部導体93から膜付着部分までの距離を設けることができる。この結果、付着膜が導電膜である場合や、膜厚が厚くなった場合であっても、外部導体93と内部伝送路91とが短絡することを抑制できる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
2 製膜室(真空処理室)
3 対向電極
4 斜熱板
5 均熱板保持機構
6 放電電極
7 防着板
8 保持部
9a,9b,9A〜9C 給電コネクタ(同軸給電部)
10a,10b 整合器
11 高真空排気部
12 低真空排気部
91 内部伝送路
91a 熱媒体流通路
92 絶縁体
93 外部導体
95 位置決め部
96 ボールプランジャー(位置ずれ防止部)
97 テープ素材
98 段差
R 屈曲部
Claims (6)
- 真空処理室外に配置された高周波電源から整合器を介して真空処理室内に配置された放電電極に給電される高周波伝送路において、
前記整合器と前記放電電極との間に略90度の方向転換をして接続される給電コネクタが配設され、
前記給電コネクタの方向転換が滑らかなR形状の屈曲部により行われることを特徴とする真空処理装置。 - 前記給電コネクタは、内側から順に、内部伝送路、絶縁体及び外部導体が同軸に配置された略円筒状の高周波伝送路であり、前記絶縁体及び前記外部導体を長手方向に二つ割り構造としたことを特徴とする請求項1に記載の真空処理装置。
- 前記絶縁体と前記外部導体との位置関係を規定する位置決め部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の真空処理装置。
- 少なくとも前記屈曲部に、前記絶縁体の前記接合面を略均等に押圧して互いの位置ずれを抑制する位置ずれ防止部を設けたことを特徴とする請求項2または3に記載の真空処理装置。
- 前記内部伝送路の周囲及び/または前記内部伝送路と前記絶縁体とを組み合わせた絶縁体外周面に、半径方向に弾力性を有するテープ素材が巻き付けられていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の真空処理装置。
- 前記絶縁体の端部は、前記外部導体の端部より突き出すか、あるいは、前記外部導体の端部より中に引っ込んでいることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の真空処理装置。
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