JP2011019654A - ブーツ型短下肢装具及びブーツ型短下肢装具を生産する方法 - Google Patents

ブーツ型短下肢装具及びブーツ型短下肢装具を生産する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短下肢型装具について、装具がブーツの外部に露出していて観察され得るという問題、及び、装具に起因して装具を着用する側の脚と着用しない側の脚とでブーツの外形が大きく異なるという問題を解決する。
【解決手段】ブーツの靴底に装具の下部を埋め込むことによって脚位置を左右同一にし、ブーツの外形寸法を左右同一にして、ブーツの外形が左右で大きく異なることがないようにする。ブーツによって装具を覆い、装具がブーツの外部に露出していて観察されることがないようにする。
【選択図】図4

Description

本発明は、歩行の矯正に使用するブーツ型の短下肢装具及びブーツ型の短下肢装具を生産する方法に関するものである。
脚に障害を持つ者が歩行の矯正に使用する装具は、装具を装着していることが外観から分かり、障害者であることを多くの人に知らしめてしまう。このため、装具を装着すべき患者の中には、人前で装具を着用することに心理的抵抗があり、矯正効果が減少することを承知しつつも装具を装着せずに外出する者が多かった。
装具を装着していることが外観から分かる理由としては、装具が靴等の外部に露出していて観察され得ること、及び、装具に起因して装具を着用する側の脚と着用しない側の脚とで靴等の外形が大きく異なることがあった。
特許文献1には、足首よりも下の部分のみに装着する装具について、装具が靴の外部に露出せず、かつ、装具を着用する側と着用しない側の靴の外形が同一の靴型装具が開示されている。これによれば、靴型装具については上記の問題が解消されている。
しかし、足首よりも上の部分を含めて膝の下から足先にかけて装着する短下肢装具については、かかる問題は解消されていなかった。
非特許文献1には、足首よりも上の部分を含むブーツ型装具(非特許文献1では「長靴」と言われている)が開示されている。これによれば、短下肢装具についても、装具が靴の外部に露出するという問題は解消されている。
しかし、非特許文献1には、装具を着用する側の脚と着用しない側の脚とで靴等の外形が大きく異なるという問題を解消する方法は開示されていない。一般に、装具を着用する側の脚は、装具の厚みによって着用しない側の脚よりも脚高が高くなってしまう。非特許文献1において「補高」と言われる方法を用いることにより、装具を着用しない側の脚の脚高を不自然に高くすれば、左右の脚の高さを同一にすることは可能である。(なお、非特許文献1は、かかる目的で「補高」を用いることを明示していない。)しかし、脚高以外の要素、例えば長靴の装具を着用する側の脚のふくらはぎ部が着用しない側の脚のふくらはぎ部よりも太いことは、解決されていない。
上記の脚高以外の要素に係る問題は、短下肢装具とブーツとを組み合わせたブーツ型装具を生産する方法に起因している。
装具は、個々の患者の症状に対応して個々の患者ごとに制作され、その大きさが患者ごとに異なる。
したがって、装具を制作した後に、その装具の大きさに合わせてブーツを制作することが行われてきた。かかる方法によってブーツ型装具を生産すれば、装具を着用する側の脚のブーツの寸法が、着用しない側の脚のブーツの寸法よりも大きいものとなってしまう。
特開2006−346130号公報
協和義肢製作所のホームページ(http://www5.ocn.ne.jp/〜po−kyowa/seihin0401.html) 2009年6月
短下肢型装具について、装具がブーツの外部に露出していて観察され得るという問題、及び、装具に起因して装具を着用する側の脚と着用しない側の脚とでブーツの外形が大きく異なるという問題を解決する。
本発明のブーツ型短下肢装具は、
ブーツの左右一方に短下肢装具を付したブーツ型短下肢装具であって、
前記ブーツを履いた際の足の位置が左右で同位置となるように、前記短下肢装具の下部が前記ブーツの靴底に埋め込まれたことを特徴とする。
短下肢装具の下部をブーツの靴底に埋め込むことにより、装具を装着する側の脚の足裏は、装着しない側の脚の足裏と同様に、靴底の上面に接する。したがって、左右の脚高(足裏の上下位置)は一致する。また、足裏の前後及び左右の位置についても左右で一致するように、装具を埋め込む位置を調整する。
これにより、脚高を含む脚の位置については左右同一となる。
なお、ここで「埋め込む」とは、装具の形状に合わせて靴底を削り、そこに装具を持設することを言う。装具が足裏全体に係る場合は靴底全体を削り、装具が足裏の一部のみに係る場合は靴底の対応部分を削る。靴底と装具とが接着されることが好ましいが、必ずしも接着せず装具の取り外しを可能としてもよい。
本発明のブーツ型短下肢装具は、
前記ブーツの外形寸法が左右で同一であることを特徴とする。
脚の位置が同じであれば、外観の違いはブーツの寸法の違いによって生じる。ブーツの外形寸法を左右同一とし、外観上明白な左右差がないようにする。
ここで、「外形寸法」とは、靴底、かかと、つま先、足首、ふくらはぎ等の部分に係る、ブーツの素材(布、皮革等)の寸法を言う。
一般に、健常な者が履くブーツは、左右の外形寸法が同一である。一方、前述のとおり、従来のブーツ型短下肢装具は、左右の外形寸法が同一ではなかった。外形寸法を左右同一とすることにより、外観上の左右差を減らし、健常な者が履くブーツに類似した外観を実現する。
装具を装着する脚の側のブーツには脚と装具が挿入され、装着しない側のブーツには脚のみが挿入される。このため、外形寸法が左右同一であっても、被挿入物の相違によって、外観には左右差が生じ得る。例えば、ふくらはぎ部分について、装具を装着する脚の側は装具の分だけ被挿入物が太くなり、外観が太く見えることがあり得る。しかし、かかる外観差は、外形寸法が同一でない場合に比して小さい。布、皮革等のブーツの素材が有する弾力が外観差を小さくする働きをするからである。
本発明のブーツ型短下肢装具は、
前記ブーツが前記短下肢装具の全部を覆い、前記ブーツを履いた際に前記短下肢装具が外部に露出しないことを特徴とする。
ブーツのふくらはぎ部分が短下肢装具よりも長く、膝の方に延伸していれば、ブーツが短下肢装具の全部を覆う。これにより、装具がブーツの外部に露出していて観察されることがなくなる。
本発明のブーツ型短下肢装具を生産する方法は、
ブーツと短下肢装具とを別個に生産し、該ブーツを履いた際の足の位置が左右で同位置となるように該ブーツの靴底に該短下肢装具を埋め込むことを特徴とする。
外形寸法が左右で同一のブーツは、大量に生産されており、入手が容易である。また、いわゆる「ブランド物」等のファッション性に優れたものも多い。かかるブーツと別個に生産した短下肢装具をブーツを履いた際の足の位置が左右で同位置となるようにブーツの靴底に埋め込むことにより、健常な者が履くブーツと同等のファッション性を持ったブーツ型短下肢装具が生産される。ブーツの外形寸法を変更せずに使用することができるからである。また、患者にとっては、自己の嗜好に合わせて、多くのデザインの中から使用するブーツを選択することができるようになる。
本発明は、装具がブーツの外部に露出していて観察され得るという問題、及び、装具に起因して装具を着用する側の脚と着用しない側の脚とでブーツの外形が大きく異なるという問題を解決する。これにより、障害者であることを多くの人に知らしめてしまうことを防止し、患者の装具を着用することに対する心理的抵抗を減らし、矯正効果を高めることができるという効果を有する。
本発明は、合わせて、健常な者が履くブーツと同等のファッション性を持ったブーツ型短下肢装具を実現し、患者が多くのデザインの中から使用するブーツを選択することができるという効果を有する。
図1は、短下肢装具の例を示す図である。 図2は、ブーツの例を示す図である。 図3は、従来技術における靴底と足底板の関係を示す図である。 図4は、本発明における靴底と足底板の関係を示す図である。
以下に、本発明のブーツ型短下肢装具及びブーツ型短下肢装具を生産する方法の実施例を示す。
(短下肢装具及びブーツ)
図1は、短下肢装具の例を示す図である。短下肢装具1は、本体11、足底板12、下部固定具13及び上部固定具14から構成されている。本体11及び足底板12は、患者の脚に合わせて患者ごとに制作される。下部固定具13及び上部固定具14によって短下肢装具1が患者の脚に密着して装着され、矯正効果をもたらす。
図2は、ブーツの例を示す図である。ブーツ2は、本体21及び靴底22から構成されている。本体21には図で実線により示した位置にファスナ23が設けられており、ファスナ23を開いて着用し、ファスナ23を閉じることでブーツ2が脚に固定される。歩行時にはファスナ23を閉じて使用する。ここで、ブーツ2は、短下肢装具のために特別に制作されたものではなく、健常者が着用するものと同一のものである。また、ブーツ2は左右で同一の外形寸法を持つものである。
本実施例においては、短下肢装具1及びブーツ2はいずれも左足用のものであり、左足に短下肢装具を着用し、右足には短下肢装具を着用しないものとする。
(ブーツ型短下肢装具の生産)
短下肢装具1をブーツ2に入れてブーツ型短下肢装具を生産する。図3は、従来技術における靴底と足底板の関係を示す図である。単純に短下肢装具をブーツに入れる場合には、足底板12は靴底22の上に載っている。短下肢装具を着用する左足の足裏は足底板12の上面に置かれる。右足には短下肢装具を着用しないので、右足の足裏は靴底22の上面に置かれる。この結果、左足の足裏は足底板22の厚みの分だけ右足の足裏よりも上にあることになり、左右の脚高が異なってしまう。
図4は、本発明における靴底と足底板の関係を示す図である。靴底22の上面を足底板12の形状に合わせて削り、足底板12の上面と靴底22の上面の高さを同一にする。短下肢装具を着用する左足の足裏は足底板12の上面に置かれるが、その高さは右足の足裏が置かれる靴底22の上面と同一である。この結果、左右の脚高が異なってしまうことがない。また、足底板12を靴底22に接着してブーツと短下肢装具の相対位置がずれないようにする。ただし、この接着は必ずしも行う必要はなく、短下肢装具を装着した後にその上からブーツを着用するようにしてもよい。これにより、一つの短下肢装具で複数のブーツに合わせて使用することができ、患者はいわゆるTPOに合わせてブーツを選んで着用することができる。
(短下肢装具の設計とブーツの選定)
装具士によって患者の脚に合わせた短下肢装具1が作成される。患者は、自己の嗜好に合わせてブーツ2を選定する。ここで、ブーツ2は健常者が着用するものと同一のものであるので、多くのブーツから選ぶことができる。
短下肢装具1とブーツ2を使用して上記の方法でブーツ型短下肢装具を生産する。このようにして生産されたブーツ型短下肢装具は、患者の脚に合わせて矯正効果を有し、かつ、患者の嗜好にあったデザインのものとなる。
(短下肢装具の装着とブーツの着用)
患者は、ブーツ2のファスナ23を開き、ブーツ内の短下肢装具を着用する。ファスナ23を開いた状態では、下部固定具13及び上部固定具14を操作することができ、短下肢装具1を装着することができる。短下肢装具1を装着した後に、ファスナ23を閉じてブーツ2を着用する。
(本実施例の効果)
本実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
短下肢装具1は、ブーツ2の中に置かれ、外部から見えない。また、ブーツ2は、左右で同一の外形寸法を持つ。したがって、障害者であることを多くの人に知らしめてしまうことによる装具着用に対する患者の心理的抵抗を減らすことができる。
ブーツ2は、健常者が着用するものと同一のものである。したがって、患者は、多くのブーツから自己の嗜好に合ったブーツを選ぶことができる。
(実施例の拡張)
本発明の実施形態は、上記実施例に限定されるものではない。本発明の本質を保ったままで、上記実施例とは異なる形態の実施が可能である。以下に、かかる例を示す。
実施例ではブーツがファスナを有しているが、必ずしもファスナを有さないブーツであってもよい。また、ファスナに替えてひも等によってサイズを調整してもよい。
装具着用に対する患者の心理的抵抗を減らすことができるブーツ型短下肢装具であり、多くの患者に向けて販売することが期待できる。また、医療機関における活用も期待できる。
1 短下肢装具
11 本体
12 足底板
13 下部固定具
14 上部固定具
2 ブーツ
21 本体
22 靴底
23 ファスナ

Claims (4)

  1. ブーツの左右一方に短下肢装具を付したブーツ型短下肢装具であって、
    前記ブーツを履いた際の足の位置が左右で同位置となるように、前記短下肢装具の下部が前記ブーツの靴底に埋め込まれたことを特徴とする、ブーツ型短下肢装具。
  2. 前記ブーツの外形寸法が左右で同一であることを特徴とする、請求項1に記載のブーツ型短下肢装具。
  3. 前記ブーツが前記短下肢装具の全部を覆い、前記ブーツを履いた際に前記短下肢装具が外部に露出しないことを特徴とする、請求項1または2に記載のブーツ型短下肢装具。
  4. ブーツと短下肢装具とを別個に生産し、該ブーツを履いた際の足の位置が左右で同位置となるように該ブーツの靴底に該短下肢装具を埋め込むことを特徴とする、ブーツ型短下肢装具を生産する方法。
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