JP2011017866A - 定着装置、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】用紙の剥離効果を低下させずに、圧縮空気による加熱部材の冷却を抑制する。
【解決手段】定着装置12は、加熱ローラ81と加圧ローラ82とエア剥離装置83と制御装置84とを有している。エア剥離装置83は、シートPと加熱ローラ81との間に向けて圧縮空気を噴出する複数のノズル61〜65を有し、この圧縮空気によってシートPを加熱ローラ81から剥離するものである。制御装置84は、シートPにおけるトナー像には前記圧縮空気が当たり、シートPにおけるトナー像の形成されていない領域において前記圧縮空気が当たらない部分が生じるように、ノズル61〜65のオンとオフとを切り替える。
【選択図】図1
【解決手段】定着装置12は、加熱ローラ81と加圧ローラ82とエア剥離装置83と制御装置84とを有している。エア剥離装置83は、シートPと加熱ローラ81との間に向けて圧縮空気を噴出する複数のノズル61〜65を有し、この圧縮空気によってシートPを加熱ローラ81から剥離するものである。制御装置84は、シートPにおけるトナー像には前記圧縮空気が当たり、シートPにおけるトナー像の形成されていない領域において前記圧縮空気が当たらない部分が生じるように、ノズル61〜65のオンとオフとを切り替える。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に設けられる定着装置に関するものであり、加熱ローラと用紙との間に向けて圧縮空気を噴出することで用紙を加熱ローラから剥離するエア剥離方式を利用した定着装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置(例えば、複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリ)には、用紙(記録用紙)に転写されたトナー像をこの用紙に熱融着して定着させる定着装置が備えられている。定着装置は、圧接し合う加熱ローラ(定着ローラ)及び加圧ローラを備えており、加熱ローラにヒータが内蔵されている。
加熱ローラはヒータによって加熱され、加熱ローラ及び加圧ローラとの間のニップ部(両ローラの接触部)を用紙が通過し、用紙は両ローラに圧接され且つ加熱される。この際、加熱ローラは、用紙の両面のうち、未定着トナー像の形成された面に圧接される。これにより、トナー像は用紙に熱融着するようになっている。
このような定着装置では、用紙上の溶融トナーが加熱ローラに接触するため、加熱ローラに用紙が巻き付く虞がある。そのため、従来、剥離爪などの機械的な剥離装置を加熱ローラに押し当てて用紙の巻き付きを防止する手法(剥離爪方式)が採用されていた。しかし、剥離爪方式を利用した定着装置では、加熱ローラ表面にキズが付くことがあった。
加熱ローラ表面にキズが付く事を抑制するためには、剥離爪等の剥離装置を定着ローラに接触させずに用紙を剥離すればよい。そこで、加熱ローラと用紙に圧縮空気(エア)を吹き付けることによって加熱ローラから用紙を剥離するエア剥離方式を利用した定着装置の開発が進んでいる。
エア剥離方式を利用した定着装置の一例が下記の特許文献1に示されている。特許文献1の定着装置は、複数のノズルからなる剥離装置を有し、用紙のスキュー(斜行)の程度に応じてエア噴出の開始タイミングを変化させるようになっている。
エア剥離方式を利用した定着装置では、圧縮空気の噴出開始後、用紙の後端が前記ニップ部を通過するまでの間、用紙に対して圧縮空気を常時大量に吹き付けている。したがって、加熱ローラに対して常時大量の圧縮空気が吹き付けられることになり、加熱ローラの冷却が促進され、ヒータに多くの電力を投入しなければならないという問題が生じる。
これに対し、用紙の先端領域がニップ部から排出されるときに限り圧縮空気を噴射し、先端領域以外の領域がニップ部から排出される期間は圧縮空気の噴出を停止する場合、噴出される圧縮空気の量を抑制でき、圧縮空気による加熱ローラの冷却を抑制できる。
しかし、このような手法によれば、用紙の先端領域以外の領域に部分的にトナー像が形成されているような場合、用紙の剥離効果が低下してしまうという問題が生じる。これは、圧縮空気の噴出の停止後、用紙に部分的に形成されている溶融トナーがニップ部に到達した場合、溶融トナーが加熱ローラに粘着することで、用紙と加熱ローラとの剥離性が悪くなるからである。そして、用紙と加熱ローラとの剥離性が悪くなると、剥離ポイントが変化してしまい、定着性に悪影響を及ぼす。また、最悪のケースとして、用紙がその中央部付近から加熱ローラに巻き付いてしまう。
本発明は、シートの剥離効果を低下させずに、圧縮空気による加熱部材の冷却を抑制可能なエア剥離方式の定着装置を提供することを目的とする。
加熱部材に対してシートが巻き付いてしまうのは、シート上の溶融トナーが加熱部材に接触するためである。したがって、加熱部材とシートとを剥離するためには、トナー像に圧縮空気を当てる必要があるが、トナー像の形成されていない領域(空白領域)の全体に圧縮空気を当てる必然性は無く、この空白領域の一部に圧縮空気の当たらない範囲が生じても構わない。そこで、本発明は、前記目的を達成するために、シートにトナー像を形成する電子写真方式の画像形成装置に設けられ、加熱部材と前記加熱部材に圧接する加圧部材とを有し、前記加熱部材と前記加圧部材との圧接部に前記シートを搬送することにより、前記シートにおける前記加熱部材に接触する側の処理面上のトナー像を熱溶融して当該処理面に定着させる定着装置において、前記圧接部よりもシート搬送方向の下流側に配され、搬送されるシートの先端の辺に平行な方向に沿って並列する複数のノズルを有し、各ノズルから前記シートと前記加熱部材との間に向けて圧縮空気を噴出して前記シートを前記加熱部材から剥離する剥離装置と、前記処理面上のトナー像の形成位置を示した位置情報を前記画像形成装置から入力し、前記トナー像には前記圧縮空気が当たり、前記処理面における前記トナー像の形成されていない領域に前記圧縮空気が当たらない部分が生じるように、前記位置情報に基づいて前記剥離装置の各ノズルのオンとオフとを切り替える制御装置とを含むことを特徴とする。これにより、少なくともトナー像には必ず圧縮空気を当てながら、圧縮空気の噴出量を制限できる。それゆえ、シートの剥離効果を低下させずに、圧縮空気による加熱部材の冷却を抑制できるという効果を奏する。
また、加熱部材と加圧部材との圧接部から排出されるシート全体に常に圧縮空気を吹き付けるような手法によれば、剥離装置に大量の空気を供給する必要があるが、本発明の構成の場合、シートにおける前記処理面のうち、圧縮空気の当たらない領域が生じるため、前記手法よりも剥離装置に対する空気供給量を抑制できる。
本発明の定着装置において、前記制御装置は、前記複数のノズルのうち、前記トナー像に前記圧縮空気を当てることができるノズルのみを選択し、選択したノズルをオンにするようになっていてもよい。これにより、少なくともトナー像には必ず圧縮空気を当てながら、圧縮空気の噴出量を制限できる。
本発明の定着装置において、前記制御装置は、選択したノズルから噴出される圧縮空気を前記トナー像に当てることができる期間において、当該ノズルをオンにするようになっていてもよい。これにより、少なくともトナー像には必ず圧縮空気を当てながら、圧縮空気の噴出量を制限できる。
本発明の定着装置において、前記制御装置は、前記剥離装置に含まれる全てのノズルを一括してオンにするようになっており、前記剥離装置から噴出される圧縮空気をトナー像に当てることができる期間において、前記剥離装置の各ノズルをオンにするようになっていてもよい。これにより、少なくともトナー像には必ず圧縮空気を当てながら、圧縮空気の噴出量を制限できる。
本発明の定着装置において、前記シートが前記圧接部から排出される期間のうち、前記シートの先端と後端との間に位置する所定箇所が前記圧接部から排出される時よりも前の期間を第1期間とし、前記第1期間の後の期間を第2期間とする場合、前記制御装置は、第1期間において、前記剥離装置に含まれる全てのノズルをオンにし、第2期間において、前記トナー像には前記圧縮空気が当たり、前記処理面における前記トナー像の形成されていない領域に前記圧縮空気が当たらない部分が生じるように、前記位置情報に基づいて前記剥離装置の各ノズルのオンとオフとを切り替えるようになっていてもよい。これにより、シートの先端部に対しては必ず圧縮空気を吹き付けることができるため、セルフストリッピングに頼ることなく、シートの先端と加熱部材とを剥離することが可能になる。
本発明の定着装置において、前記加熱部材は、加熱ローラおよび無端状の加熱ベルトのいずれであってもよいし、前記加圧部材は、加圧ローラおよび無端状の加圧ベルトのいずれであってもよい。
また、本発明の画像形成装置は、画像データに基づいて前記シート上に前記トナー像を形成する電子写真方式の装置であり、前記の定着装置を備えることを特徴としている。ここで、前記画像データを参照すれば、シート上に形成されるトナー像の各画素の位置を検知できるため、前記画像データを前記位置情報として利用できる。そこで、前記制御装置は、前記画像データを前記位置情報として入力するようになっていてもよい。これにより、前記画像データを前記位置情報として利用することになり、新たに前記位置情報を生成するための装置を設ける必要がなくなるという効果を奏する。なお、前記位置情報として利用される画像データは、スキャナによって生成される画像データであってもよいし、端末装置のアプリケーションによって生成される画像データであってもよい。
また、電子写真方式の画像形成装置には、感光体を露光して潜像を形成するための露光部が設けられている。ここで、この露光部を制御するための露光制御信号を参照すれば、感光体上に形成されるトナー像の各画素の位置を検知できるため、シート上に形成されるトナー像の各画素の位置も検知できる。そこで、本発明の画像形成装置においては、感光体と、前記感光体を露光して前記感光体に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像してトナー像を生成する現像部と、前記感光体のトナー像を前記シートに転写する転写部と、前記画像データに基づいて露光制御信号を生成する画像処理部とを有し、前記露光部は、前記露光制御信号に基づいて前記露光を行なうことによって、前記画像データに応じた潜像を生成するようになっており、前記制御装置は、前記露光制御信号を前記位置情報として入力するようになっていてもよい。これにより、前記露光制御信号を前記位置情報として利用することになり、新たに前記位置情報を生成するための処理部や装置を設ける必要がなくなるという効果を奏する。
また、本発明の画像処理装置は、前記シートに対して前記トナー像が転写される転写位置よりも前記シート搬送方向の下流側、且つ、前記圧接部よりもシート搬送方向の上流側に設けられ、前記シートの前記処理面を読み取ることによって読取画像データを生成する読取装置を有し、前記制御装置は、前記読取画像データを前記位置情報として入力するようになっていてもよい。この構成によれば、実際にシートに転写されたトナー像を読み取って得られた読取画像データを前記位置情報としているため、シート上のトナー像の位置を正確に解析できるという効果を奏する。また、搬送中のシート上のトナー像を読み取って得られる読取画像データを前記位置情報としているため、シートが微妙に斜行して搬送されている状態であっても、シート上のトナー像の位置をほぼ正確に解析できる。
本発明の定着装置は、以上のように、前記処理面上のトナー像の形成位置を示した位置情報を前記画像形成装置から入力し、前記トナー像には前記圧縮空気が当たり、前記処理面における前記トナー像の形成されていない領域に前記圧縮空気が当たらない部分が生じるように、前記位置情報に基づいて前記剥離装置の各ノズルのオンとオフとを切り替える制御装置とを含むことを特徴とする。それゆえ、シートの剥離効果を低下させずに、圧縮空気による加熱部材の冷却を抑制できるという効果を奏する。
以下では、まず、本発明の一実施形態の定着装置を備える画像形成装置について説明し、その後に本実施形態の定着装置について詳細に説明する。
(画像形成装置の構成)
図7は、本実施形態に係る定着装置を備えている画像形成装置200の内部構成を示す模式図であり、正面側から装置を映した図である。
図7は、本実施形態に係る定着装置を備えている画像形成装置200の内部構成を示す模式図であり、正面側から装置を映した図である。
画像形成装置200は、電子写真方式のプリンタであり、端末装置から伝達される画像データに応じてシートP(記録用紙,記録媒体)に多色または単色の画像を形成するものである。なお、画像形成装置200は複写機または複合機(MFP)に備えられるプリンタであってもよく、この場合、画像形成装置200は、スキャナによって読み取られた画像データを受信し、当該画像データに応じた画像を形成する機能も有することになる。また、画像形成装置200が、ファクシミリ機能を有する場合、ファクシミリ機能によって受信した画像データに応じた画像を形成することも可能である。
画像形成装置200においては、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)および黄(Y)の各色成分の画像データが取り扱われ、黒画像、シアン画像、マゼンタ画像、黄画像が形成され、各々の色成分の画像を重畳することによってカラー画像が形成されるようになっている。したがって、図7に示すように、画像形成装置200においては、各色成分の画像が形成されるように、現像装置2(2a,2b,2c,2d)、感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)、帯電器5(5a,5b,5c,5d)、クリーナユニット4(4a,4b,4c,4d)がそれぞれ4個ずつ設けられている。つまり、現像装置2と感光体ドラム3と帯電器5とクリーナユニット4とを1つずつ含む画像形成ユニットが4つ設けられていることになる。なお、上記a〜dの符号は、aが黒画像形成用の部材、bがシアン画像形成用の部材、cがマゼンタ画像形成用の部材、dが黄画像形成用の部材であることを示したものである。
また、画像形成装置200には、露光ユニット1、定着装置12、シート搬送路S、給紙トレイ10および排紙トレイ15が備えられている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるものである。帯電器5としては、図7に示す接触ローラ型の帯電器の他、接触ブラシ型の帯電器、或いは非接触チャージャー型の帯電器などが使用されることもある。
露光ユニット(露光部)1は、図7に示すようにレーザ照射部及び反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。露光ユニット1は、前述した画像データから生成された露光制御信号に基づき、帯電された感光体ドラム3を露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像(潜像)を形成する。なお、上記の露光制御信号は、後述する本体制御部50(図1参照)において生成されるものである。
また、露光ユニット1は、レーザスキャニングユニットに限定されるものではなく、LED(Light Emitting Diode)を主走査方向に沿って配列してなる露光ヘッドであってもよい。
現像装置(現像部)2は、感光体ドラム(感光体)3に形成された静電潜像をK,C,M,Yのいずれかのトナーにより現像することによって、感光体ドラム3にトナー像を生成するものである。現像装置2(2a,2b,2c,2d)は、トナーホッパー101(101a、101b、101c、101d)、トナー移送機構102(102a、102b、102c、102d)、現像槽111(111a、111b、111c、111d)を備えている。トナーホッパー(トナー収容層)101は、現像槽111よりも上方に配され、未使用トナー(粉体状のトナー)を貯蔵している。トナーホッパー101から現像槽111へトナー移送機構102を介してトナーが供給されるようになっている。
クリーナユニット4は、現像及び画像転写工程後に感光体ドラム3の表面に残留しているトナーを除去し、回収するものである。
感光体ドラム3の上方には中間転写ベルトユニット8が配置されている。中間転写ベルトユニット8は、中間転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73、及び中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
中間転写ローラ6、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73は、中間転写ベルト7を張架し、図7の矢印B方向に中間転写ベルト7を回転駆動させるものである。
中間転写ローラ6は、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構73における中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。中間転写ローラ6には感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアスが印加されている。
中間転写ベルト7は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。中間転写ベルト7上には、感光体ドラム3に形成された各色成分のトナー像が順次重ねて転写されることにより、カラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト7は、厚さが例えば100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
中間転写ローラ6は、直径が例えば8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとして形成され、表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われている。この導電性の弾性材により、中間転写ローラ6は中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状のもの(中間転写ローラ6)を使用しているが、これ以外にブラシなども用いることが可能である。
上述のように各感光体ドラム3上の静電潜像は各色成分に応じたトナーにより顕像化されてそれぞれトナー像となり、これらトナー像は中間転写ベルト7上に重ねて合わされ積層される。このように、積層されたトナー像は、中間転写ベルト7の回転によって、搬送されてきたシートPと中間転写ベルト7との接触位置に移動し、この位置に配置されている転写ローラ11によってシートP上に転写される。つまり、以上にて説明した中間転写ベルトユニット8および転写ローラ11は、感光体ドラム3に形成されているトナー像をシートPに転写する転写部として機能することになる。
なお、中間転写ベルト7と転写ローラ11とは所定ニップで互いに圧接されるとともに、転写ローラ11にはトナー像をシートPに転写させるための電圧が印加される。この電圧は、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧である。また、中間転写ベルト7と転写ローラ11との間のニップを定常的に得るために、転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方は金属等の硬質材料から形成され、他方は弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)から形成される。
中間転写ベルト7と感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、及び中間転写ベルト7からシートPへのトナー像の転写の際に転写されずに中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去され回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触するクリーニングブレード(クリーニング部材)が備えられている。中間転写ベルト7におけるクリーニングブレードに接触している部分は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ72にて支持されている。
給紙トレイ10は、画像形成に使用するシート(用紙)Pを蓄積しておくためのものであり、画像形成部及び露光ユニット1の下側に設けられている。一方、画像形成装置200の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートPをフェイスダウンで載置するためのものである。
また、画像形成装置200には、給紙トレイ10のシートP及び手差しトレイ20のシートPを転写位置や定着装置12を経由させて排紙トレイ15に案内するためのシート搬送路Sが設けられている。なお、上記の転写位置とは、トナー像がシートPに転写される位置である。
さらに、シート搬送路Sには、ピックアップローラ16(16a・16b)、レジストローラ対14、定着装置12、搬送ローラ対25(25a〜25h)が配置されている。
搬送ローラ対25は、シートPの搬送を促進・補助するための小型のローラ対であり、シート搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16aは、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10からシートPを1枚づつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。ピックアップローラ16bは、手差しトレイ20の近傍に備えられ、手差しトレイ20からシートPを1枚づつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。レジストローラ対14は、トナー像がシートPに転写される転写位置よりもシート搬送方向の上流側に位置し、搬送されているシートPを一旦保持し、中間転写ベルト7上のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートPを転写位置に搬送するものである。
定着装置12は、シートPが送られてくると、このシートPに転写されているトナー像を溶融・混合・圧接させ、シートに対して熱定着させる。なお、定着装置12については後に詳細に説明する。
定着装置12を通過したシートPは、複数の搬送ローラ対25によってシート搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態(多色トナー像を下側に向けた状態)にて、排紙トレイ15上に排出される。
つぎに、シート搬送路Sによるシート搬送動作について説明する。画像形成装置200には、上記のように、予めシートを収納する給紙トレイ10、及び少数枚の印字を行う場合等に使用される手差しトレイ20が配置されている。これら両者には各々ピックアップローラ16が配置され、これらピックアップローラ16はシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する。
片面印字の場合、給紙トレイ10から搬送されるシートPは、シート搬送路S中の搬送ローラ対25aによってレジストローラ対14まで搬送され、レジストローラ対14によりシートPの先端と中間転写ベルト7上の積層されたトナー像の先端とが整合するタイミングで転写位置に搬送される。転写位置ではシートPにトナー像が転写され、このトナー像は定着装置12にてシートPに定着される。その後、シートPは、搬送ローラ対25bを経て搬送ローラ対25c(排紙ローラ対)から排紙トレイ15上に排出される。また、手差しトレイ20から搬送されるシートPは、複数の搬送ローラ対25(25f,25e,25d)によってレジストローラ対14まで搬送される。それ以降は給紙トレイ10から供給されるシートと同様の経過を経て排紙トレイ15に排出される。
両面印字の場合、上記のようにして片面印字が終了し定着装置12を通過したシートは、後端が搬送ローラ対25cにてチャックされる。次に、シートは、搬送ローラ対25cが逆回転することによって搬送ローラ対25g,25hに導かれ、レジストローラ対14を経て裏面印字が行われた後に、排紙トレイ15に排出される。
(定着装置の構成)
つぎに、画像形成装置200に備えられている定着装置12の詳細について説明する。図1は、本実施の形態に係る定着装置12の概略構成を示す模式図であり、画像形成装置200の裏面側から映した図である。
つぎに、画像形成装置200に備えられている定着装置12の詳細について説明する。図1は、本実施の形態に係る定着装置12の概略構成を示す模式図であり、画像形成装置200の裏面側から映した図である。
図1に示すように、定着装置12は、加熱部材である加熱ローラ(加熱回転体)81と、加圧部材である加圧ローラ(加圧回転体)82とを備えている。
加熱ローラ(定着ローラ)81は、芯金と、芯金の外周面を覆う弾性層と、弾性層の外周面を覆う離型層とからなる3層構造のローラである。芯金には、例えば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属またはそれらの合金等が用いられる。弾性層にはシリコンゴム等が用いられる。離型層には、PFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)またはPTEF(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂が用いられる。加熱ローラ81の内部(芯金の内部)には、加熱ローラ81を加熱するためのヒータランプ(ハロゲンランプ)が2つ設けられている。
加圧ローラ82も、加熱ローラ81と同様、芯金と、芯金の外周面を覆う弾性層と、弾性層の外周面を覆う離型層とからなる3層構造のローラである。加圧ローラ82の各層の材質としては、加熱ローラ81の各層と同様のものを用いることができる。また、本実施形態では、加圧ローラ82の内部に1つのヒータランプが配置されている。
さらに、図1に示すように、加圧ローラ82は加熱ローラ81に圧接するように配置されており、加圧ローラ82と加熱ローラ81との間にはニップ部N(圧接部)が形成されている。
また、図示はしないが、定着装置12には、加熱ローラ81の表面温度を検出するサーミスタと、加圧ローラ82の表面温度を検出するサーミスタと、両ローラ81・82の温度制御を行なう温度制御部とが備えられている。温度制御部は、上記の各サーミスタの検出温度に基づいて、両ローラ81・82の内部のヒータランプをフィードバック制御する。これにより、両ローラ81・82の表面温度が目標値付近の値に調整されるようになっている。なお、加熱ローラ81にはサーミスタおよびヒータランプが必要であるが、加圧ローラ82にはヒータランプおよびサーミスタは特に必要なく、加圧ローラ82は加熱されない構成であってもよい。
図1に示すように、定着装置12にシートPが搬送されてくると、両ローラ81・82は当該シートPを挟んで回転する。つまり、シートPはニップ部Nを通過するように搬送される。このとき、シートPの両面のうち、未定着トナー像の形成されている側の面(以下「処理面」と称す)が加熱ローラ81に当接するようになっている。そして、シートPの処理面上のトナー像は、加熱且つ圧着され、融着するようになっている。これにより、シートPにトナー像が定着する。その後、ニップ部Nから排出されたシートPは、搬送ローラ対25bの方に向けて搬送される。
さらに、本実施形態の定着装置12は、圧縮空気を噴出(吐出)するエア剥離装置83と、エア剥離装置83を制御する制御装置84とを備えている。以下では、エア剥離装置83および制御装置84について詳細に説明する。
図1に示すように、エア剥離装置83は、ニップ部Nよりもシート搬送方向(シートPの搬送方向)の下流側に配置されている。そして、エア剥離装置83は、ニップ部NからシートPが排出されているとき、シートPと加熱ローラ81との間に向けて圧縮空気を噴出(噴射)する。これにより、シートPと加熱ローラ81との間に圧縮空気が送り込まれ、シートPおよび加熱ローラ81に圧縮空気が当たり、加熱ローラ81からシートPが剥離するようになっている。
図2は、図1に示すE方向側とは逆方向の側から映したエア剥離装置83を示す模式図である。なお、図1に示すE方向は、加熱ローラ81の軸に垂直、且つシート搬送方向に垂直であり、加熱ローラ81から加圧ローラ82へ向けた方向である。
図2に示すように、エア剥離装置83は、ノズル61〜65と、エアポンプ94と、配管95とを有する。
ノズル61〜65は、ニップ部Nに搬送されるシートPの先端の辺に平行な方向に沿って並列している。なお、本実施形態では、ノズルが5つ設けられていることになるが、複数であれば特に5つに限定されるものではない。また、各ノズル61〜65には配管95が接続されている。
さらに、ノズル61〜65には、各々、電磁弁が設けられている。具体的には、図2に示すように、ノズル61には電磁弁61aが設けられ、ノズル62には電磁弁62aが設けられ、ノズル63には電磁弁63aが設けられ、ノズル64には電磁弁64aが設けられ、ノズル65には電磁弁65aが設けられる。
エアポンプ94は、圧縮空気を配管95に送り込む装置である。また、配管95にはエアタンク97が設けられている。エアタンク97は、配管95内の圧縮空気が逆流しないようにトラップするためのものである。
制御装置84は、ノズル61〜65の電磁弁61a〜65aに対して制御信号を送ることによって、ノズル61〜65のオンとオフとを切り替えるようになっている。
ここで、ノズル61を例にして、ノズルのオンオフの切り替え動作を説明する。制御装置84から電磁弁61aに制御信号が送られて電磁弁61aが閉状態から開状態に変わることで、ノズル61がオフからオンに切り替わるようになっている。ノズル61がオンになると、配管95からノズル61に圧縮空気が送り込まれ、ノズル61から圧縮空気が噴出されるようになっている。これに対し、制御装置84から電磁弁61aに制御信号が送られて電磁弁61aが開状態から閉状態に変わることで、ノズル61がオンからオフに切り替わるようになっている。ノズル61がオフになると、配管95からノズル61への圧縮空気の供給が終了し、ノズル61からの圧縮空気の噴出が停止するようになっている。なお、以上の噴出動作はノズル62〜65についても同様である。
制御装置84は、図1の本体制御部(画像処理部)50から露光制御信号およびタイミング信号を入力し、入力した各信号に基づいてエア剥離装置83に含まれる各ノズルのオンとオフとの切り替えを制御するものである。以下では、最初に、本体制御部50、露光制御信号、タイミング信号について説明し、その後に制御装置84の処理内容について詳細に説明する。
画像形成装置200には、画像形成装置200に含まれる各部材を制御するための本体制御部50(図1参照)が設けられている。本体制御部50は、外部から入力した画像データから露光制御信号を生成し、この露光制御信号を露光ユニット1に送るようになっている。そして、露光ユニット1は、露光制御信号に基づいて駆動することにより、前記画像データに応じた潜像を感光体ドラム3に形成するようになっている。つまり、露光制御信号は感光体ドラム3に形成される潜像の位置を示した情報であるため、この露光制御信号を参照すれば、シートPに形成されるトナー像の各画素の位置を検知することが可能である。
また、本体制御部50は、レジストローラ対14の回転開始を示すタイミング信号を生成し、レジストローラ対14を制御する搬送制御装置に対して上記タイミング信号を送るようになっている。ここで、レジストローラ対14からニップ部Nまでの距離と、プロセス速度(搬送速度)と、搬送されているシートPのサイズとは既知値であるため、上記のタイミング信号を参照すれば、シートPがニップ部Nを通過する期間やシートPがニップ部Nから排出される期間を検知することが可能である。
そして、以上にて述べたように、本体制御部50は露光制御信号とタイミング信号とを制御装置84にも送るようになっている。
つぎに、制御装置84の処理内容について、処理例1〜処理例4の順に説明する。
(処理例1)
処理例1では、制御装置84は、シートPの処理面に形成されているトナー像の位置に応じて、圧縮空気を噴出させるノズルを選択する。以下では、図3に示すシートP1を処理する場合を例にして、制御装置84の処理内容を説明する。
処理例1では、制御装置84は、シートPの処理面に形成されているトナー像の位置に応じて、圧縮空気を噴出させるノズルを選択する。以下では、図3に示すシートP1を処理する場合を例にして、制御装置84の処理内容を説明する。
図3に示すように、シートP1の処理面には、ノズル62・65から噴出される圧縮空気が当たる範囲のうちの一部にトナー像Tが形成されている。また、シートP1の処理面のうち、ノズル61・63・64から噴出される圧縮空気が当たる範囲は、シート先端から後端に渡って、トナー像Tの形成されていない空白領域K(余白領域)になっている。
そして、トナー像Tに圧縮空気が当たりつつ、空白領域Kに圧縮空気の当たらない部分が生じるように、制御装置84は各ノズル61〜65を制御する。この制御についてより具体的に説明すると以下の通りである。
まず、制御装置84は、本体制御部50から送られてきた露光制御信号を参照して、シートP1におけるトナー像Tの位置の認識を行なう。そして、制御装置84は、上記の認識の結果に基づき、シートP1がニップ部Nを通過する期間内のうちの少なくとも一部期間において前記圧縮空気をトナー像Tに当てることの可能な位置にあるノズルを選択し、それ以外のノズルを非選択にする。図3の例の場合、ノズル62・65が選択され、ノズル61・63・64が非選択になる。
つぎに、制御装置84は、本体制御部50から送られてきたタイミング信号を参照して、シートP1がニップ部Nから排出される期間を把握する。そして、制御装置84は、シートP1がニップ部Nから排出される全ての期間において、選択したノズル62・65をオンにし、非選択のノズル61・63・64についてはオフ状態を維持する。つまり、図3のシートP1がニップ部Nから排出される間、選択されているノズル62・65のみが圧縮空気を噴出し、それ以外のノズル61・63・64は圧縮空気を噴出しない。
そして、図3のシートP1において、ノズル62・65から噴出される圧縮空気が当たる範囲の一部にはトナー像Tが形成されている。また、ノズル61・63・64から圧縮空気を仮に噴出した場合の圧縮空気の当たる範囲は空白領域Kになっている。よって、シートP1の処理面に形成されているトナー像Tに圧縮空気が当たり、空白領域Kの少なくとも一部に圧縮空気が当たらない部分が生じるように、各ノズル61〜65の動作が制御されることになる。これにより、トナー像Tには必ず圧縮空気を当てながら、圧縮空気のトータル噴出量の抑制を行なうことができる。
ここで、従来技術において、加熱ローラにシートが巻き付いてしまうのは、シート上の溶融トナーが加熱ローラに接触するためである。したがって、加熱ローラとシートとを剥離するためには、トナー像に圧縮空気を当てる必要であるが、空白領域Kの全体に圧縮空気を当てる必然性は無い。これに対し、以上にて説明した処理例1によれば、トナー像Tに必ず圧縮空気を当てながら、空白領域Kに圧縮空気の当たらない部分を生じさせることになるため、シートP1の剥離効果を低下させずに圧縮空気のトータル噴出量を抑制していることになる。よって、シートP1の剥離効果を維持しつつ、圧縮空気に起因する加熱ローラの冷却を抑制できるのである。
また、以上の処理例1は、搬送されているシートの先端の辺に沿って並列しているノズルのうち、トナー像の形成位置に応じて一部のノズルを駆動し、他のノズルを停止する形態である。それゆえ、以上の処理例1は、例えば、シートの幅方向(シートの先端の辺に平行な方向)の一端部から中央部までの間にトナー像Tが形成されている一方で、幅方向の他端部から中央部までの間は空白領域Kになっているようなシートに好適である。
(処理例2)
処理例2では、制御装置84は、エア剥離装置83に含まれる全てのノズル61〜65を一括してオフからオンに切り替え、ノズル61〜65を一括してオンからオフに切り替えるように設定されている。そして、制御装置84は、シートPの処理面に形成されているトナー像の位置に応じて、ノズル61〜65のオン期間を調整する。以下では、図4(a)および図4(b)に示すシートP2を処理する場合を例にして、制御装置84の処理内容を説明する。
処理例2では、制御装置84は、エア剥離装置83に含まれる全てのノズル61〜65を一括してオフからオンに切り替え、ノズル61〜65を一括してオンからオフに切り替えるように設定されている。そして、制御装置84は、シートPの処理面に形成されているトナー像の位置に応じて、ノズル61〜65のオン期間を調整する。以下では、図4(a)および図4(b)に示すシートP2を処理する場合を例にして、制御装置84の処理内容を説明する。
図4(a)に示すように、シートP2の処理面においては、シートの中央部から後端までの間にトナー像Tが形成されているものの、シートの中央部から先端までの間は空白領域Kになっている。それゆえ、図4(b)のように、シートP2の処理面のうち、中央部から後端までの領域に形成されているトナー像Tに圧縮空気を吹き付ければ、先端から中央部までの領域に圧縮空気を吹き付けなくても充分な剥離効果を得ることができる。
そこで、制御装置84は、トナー像Tに圧縮空気が当たりつつ、空白領域Kに圧縮空気の当たらない部分が生じるように、圧縮空気の噴出期間を調整する。この点についてより具体的に説明すると以下の通りである。
まず、上述したように、制御装置84に送られる露光制御信号を参照すれば、シートPに形成されるトナー像の各画素の位置を検知でき、制御装置84に送られるタイミング信号を参照すれば、シートP2がニップ部Nから排出される期間を把握できる。それゆえ、露光制御信号およびタイミング信号を参照すれば、シートP2の処理面に形成されている各トナー像Tがニップ部Nから排出される期間をも把握することが可能になる。
そこで、制御装置84は、入力する露光制御信号およびタイミング信号に基づき、シートP2の処理面に形成されているトナー像Tがニップ部Nから排出される期間(トナー像Tに圧縮空気を当てることの可能な期間)を把握する。つぎに、制御装置84は、シートP2がニップ部Nから排出される全期間のうち、トナー像Tがニップ部Nから排出される期間においてはノズル61〜65をオンにし、それ以外の期間においてはノズル61〜65をオフにする。
これにより、トナー像Tがニップ部Nから排出される期間において、ノズル61〜65は一斉に圧縮空気を噴出し、それ以外の期間において、ノズル61〜65は圧縮空気を噴出しない。つまり、エア剥離装置83から圧縮空気を噴出する期間は、当該圧縮空気がトナー像Tに当たる期間に制限されることになる。それゆえ、シートP2の処理面に形成されているトナー像Tに必ず圧縮空気を当てつつ、空白領域Kの少なくとも一部に圧縮空気が当たらない部分が生じるように、各ノズル61〜65の動作が制御されることになる。これにより、トナー像Tには必ず圧縮空気を当てながら、圧縮空気のトータル噴出量の抑制を行なうことができる。よって、剥離効果を維持しつつ、圧縮空気に起因する加熱ローラの冷却を抑制できる。
また、以上の処理例2は、圧縮空気の噴出期間を調整する形態である。それゆえ、以上の処理例2は、搬送されているシートの先端から中央部の間にトナー像Tが形成されている一方で中央部から後端までの間は空白領域Kになっているようなシートや、中央部から後端までの間にトナー像Tが形成されている一方で中央部から先端までの間は空白領域Kになっているようなシートに好適である。
(処理例3)
処理例3は、処理例1と処理例2とを組み合わせた形態に相当する。つまり、処理例3では、制御装置84は、シートPの処理面に形成されているトナー像Tの位置に応じて、圧縮空気を噴出させるノズルを選択し、且つ、選択したノズルのオン期間を調整する。以下では、図5に示すシートP3を処理する場合を例にして、制御装置84の処理内容を説明する。
処理例3は、処理例1と処理例2とを組み合わせた形態に相当する。つまり、処理例3では、制御装置84は、シートPの処理面に形成されているトナー像Tの位置に応じて、圧縮空気を噴出させるノズルを選択し、且つ、選択したノズルのオン期間を調整する。以下では、図5に示すシートP3を処理する場合を例にして、制御装置84の処理内容を説明する。
図5に示すように、シートP3の処理面には、ノズル61・62・64から噴出される圧縮空気が当たる範囲のうちの一部にトナー像Tが形成されている。なお、シートP3の処理面のうち、ノズル63・65から噴出される圧縮空気が当たる範囲は、シート先端から後端に渡って空白領域K(余白領域)になっている。
そして、制御装置84は、トナー像Tに圧縮空気が当たりつつ、空白領域Kに圧縮空気の当たらない部分が生じるように、各ノズル61〜65を制御する。この制御についてより具体的に説明すると以下の通りである。
まず、制御装置84は、本体制御部50から送られてきた露光制御信号を参照して、シートP3における各トナー像Tの位置の認識を行なう。そして、制御装置84は、上記の認識の結果に基づき、シートP3がニップ部Nから排出される期間内のうちの少なくとも一部期間において前記圧縮空気をトナー像Tに当てることの可能な位置にあるノズルを選択し、それ以外のノズルを非選択にする。図5の例の場合、ノズル61・62・64が選択され、ノズル63・65が非選択になる。
また、露光制御信号およびタイミング信号を参照すれば、シートP3の処理面に形成されている各トナー像Tの位置のみならず、各トナー像Tがニップ部Nから排出される期間(各トナー像Tに圧縮空気を当てることの可能な期間)を把握できる。そこで、制御装置84は、露光制御信号およびタイミング信号を参照し、選択したノズル毎に、圧縮空気をトナー像に当てることの可能な期間を特定する。図5の例の場合、制御装置84は、ノズル61に対して期間Qを特定し、ノズル62に対して期間Rを特定し、ノズル64に対して期間Wを特定するようになっている。
その後、制御装置84は、選択したノズル毎に、圧縮空気をトナー像Tに当てることの可能な期間に限ってオンにし、それ以外の期間についてはオフにする。より具体的に説明すると、シートP3がニップ部Nから排出される期間のうち、ノズル61については図5の期間Qに限って開状態にし、ノズル62については図5の期間Rに限って開状態にする。また、ノズル64については図5の期間Wに限って開状態にする。
さらに、制御装置84は、シートP3がニップ部Nから排出される期間において、非選択のノズル63・65についてはオフ状態を維持する。
これにより、図5のシートP3がニップ部Nから排出される間、選択されている各ノズル61・62・64は、圧縮空気をトナー像Tに当てることの可能な期間のみ、圧縮空気を噴出するようになっている。
それゆえ、シートP3の処理面に形成されているトナー像Tに必ず圧縮空気が当たりつつ、空白領域Kの少なくとも一部に圧縮空気が当たらない部分が生じるように、各ノズル61〜65の動作が制御されることになる。よって、剥離効果を維持しつつ、圧縮空気に起因する加熱ローラの冷却を抑制できる。
なお、以上にて説明した処理例3によれば、圧縮空気の噴出期間を調整しているという点で処理例2と共通する。しかし、処理例3によれば、ノズル毎に噴出期間を調整しているため、噴出期間の調整を行っているものの当該噴出期間がノズル間で共通である処理例2よりも、トータルの噴出量を一層抑制できる。
また、処理例3によれば、選択したノズルのみから圧縮空気を噴出させるという点で処理例1と共通する。しかし、処理例3では、選択されたノズルの圧縮空気の噴出期間は、トナー像がニップ部Nから排出される期間に応じて調整されるが、処理例1では、選択されたノズルはシートがニップ部Nを通過する全期間において圧縮空気を噴出するようになっている。それゆえ、処理例3によれば処理例1よりもトータルの噴出量を一層抑制できる。
(処理例4)
処理例4は、シートPの先端がニップ部Nから排出される時から所定期間が経過するまでの間、トナー像の位置に関係なく、全てのノズル61〜65をオンにし、前記所定期間後は、トナー像の位置に応じてノズル61〜65の動作を制御する形態である。以下では、図6に示すシートP3を処理する場合を例にして、処理例4を説明する。なお、図6のシートP3は図5のシートP3と同じである。
処理例4は、シートPの先端がニップ部Nから排出される時から所定期間が経過するまでの間、トナー像の位置に関係なく、全てのノズル61〜65をオンにし、前記所定期間後は、トナー像の位置に応じてノズル61〜65の動作を制御する形態である。以下では、図6に示すシートP3を処理する場合を例にして、処理例4を説明する。なお、図6のシートP3は図5のシートP3と同じである。
制御装置84は、シートP3がニップ部Nから排出される期間のうち、シートP3の先端と後端との間に位置する所定箇所がニップ部Nから排出される時よりも前の期間を第1期間とし、第1期間の後の期間を第2期間として設定する。なお、前記所定箇所は、前記搬送方向においてシートの先端から2mm〜5mmの箇所に設定されることが好ましい。
そして、制御装置84は、入力するタイミング信号を参照して上記の第1期間および第2期間を把握する。
その後、制御装置84は、第1期間において、全てのノズル61〜65をオンにする。これにより、第1期間においては、トナー像の形成位置に関係なく、シートP3の処理面のうちの先端領域に圧縮空気が当てられることになる。
第1期間が終了して第2期間になると、制御装置84は、処理例3にて説明した処理と同じ処理を行なう。つまり、制御装置84は、第2期間のうちの少なくとも一部期間において前記圧縮空気をトナー像Tに当てることの可能な位置にあるノズルを選択し、それ以外のノズルを非選択にする。図6の例の場合、ノズル61・62・64が選択され、ノズル63・65が非選択になる。そして、制御装置84は、選択したノズル毎に、圧縮空気をトナー像Tに当てることの可能な期間に限ってオンにし、それ以外の期間についてはオフにする。また、非選択のノズルについてはオフ状態を維持する。これにより、第2期間において、トナー像Tに圧縮空気が当たりつつ、空白領域Kに圧縮空気の当たらない部分が生じるように、圧縮空気のトータルの噴出量が抑制されることになる。
以上にて説明した処理例4によれば、シートP3の先端領域に対しては必ず圧縮空気が吹き付けられることになるため、セルフストリッピングに頼ることなく、シートP3の先端と加熱ローラ81とを剥離することが可能になる。
なお、以上の処理例4によれば、第2期間において、第3処理例にて説明した処理と同じ処理を行なうようになっているが、第3処理例の処理に限定されるものではない。第2期間において、第1処理例にて説明した処理と同じ処理を行なってもよいし、第2処理例にて説明した処理を同じ処理を行なってもよい。
(変形例)
本実施形態において、制御装置84は、上記の露光制御信号を参照して、シートPにおけるトナー像Tの位置の認識を行なう。しかしながら、トナー像Tの位置認識を行なうために参照する情報は露光制御信号に限定されるものではない。例えば、制御装置84は、露光制御信号に変換される前の画像データを本体制御部50から入力し、この画像データを参照して、シートPにおけるトナー像Tの位置の認識を行なうようになっていてもよい。これは、上記画像データは、シートP上に形成されるトナー像の各画素の座標値を示した情報を含むため、上記画像データを参照することで、シートP上のトナー像の位置を把握できるからである。なお、画像形成装置200によって形成されるトナー像が複写処理によるものである場合、上記の画像データはスキャナによって生成されるデータであり、画像形成装置200によって形成されるトナー像がプリント処理によるものである場合、上記の画像データは端末装置のアプリケーションによって生成されるデータ(例えばPDLデータ)である。
本実施形態において、制御装置84は、上記の露光制御信号を参照して、シートPにおけるトナー像Tの位置の認識を行なう。しかしながら、トナー像Tの位置認識を行なうために参照する情報は露光制御信号に限定されるものではない。例えば、制御装置84は、露光制御信号に変換される前の画像データを本体制御部50から入力し、この画像データを参照して、シートPにおけるトナー像Tの位置の認識を行なうようになっていてもよい。これは、上記画像データは、シートP上に形成されるトナー像の各画素の座標値を示した情報を含むため、上記画像データを参照することで、シートP上のトナー像の位置を把握できるからである。なお、画像形成装置200によって形成されるトナー像が複写処理によるものである場合、上記の画像データはスキャナによって生成されるデータであり、画像形成装置200によって形成されるトナー像がプリント処理によるものである場合、上記の画像データは端末装置のアプリケーションによって生成されるデータ(例えばPDLデータ)である。
また、図1に示すように、シートPの処理面を読み取って読取画像データを生成するリニアイメージセンサ98を設け、制御装置84は、上記読取画像データを参照して、シートPにおけるトナー像Tの位置の認識を行なうようになっていてもよい。この形態によれば、搬送中のシートP上のトナー像Tを読み取って得られる読取画像データからトナー像Tの位置を検出することになるため、シートPが微妙に斜行して搬送されている状態であっても、シートP上のトナー像の位置をほぼ正確に検出できる。なお、リニアイメージセンサ98は、図1に示されるように、定着装置12のニップ部Nよりもシート搬送方向の上流側、且つ、トナー像TがシートPに転写される転写位置の下流側に設けられる。転写位置は、シートPが中間転写ベルト7に接触する箇所、つまり中間転写ベルト駆動ローラ71と転写ローラ11との間にある(図7参照)。
本実施形態では、シートPを加熱するための加熱部材として加熱ローラ81が用いられているが、加熱部材はローラ状のものに限られるものではない。例えば、従来から知られている無端状の定着ベルト(エンドレスベルト)を加熱部材としてもよい。この定着ベルトは複数の支持ローラに架けられており、少なくとも1つの支持ローラが熱源を有することで上記定着ベルトが加熱されるようになっている。なお、定着ベルトとしては例えば特開2005−156826の図18に示されているものを用いることができる。
また、加熱部材を押圧するための加圧部材もローラ部材(加圧ローラ82)に限られるものではない。例えば、スポンジ状の加圧部材であってもよいし、従来から知られている無端状の加圧ベルト(エンドレスベルト)を加熱部材としてもよい。なお、加圧ベルトとしては、例えば特許文献1(特開2005-202043)の図11に示されるエンドレスベルトを用いることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、電子写真方式の複写機、複合機、プリンタ、ファクシミリに利用することができる。
1 露光ユニット(露光部)
2 現像装置(現像部)
3 感光体ドラム(感光体)
8 中間転写ベルトユニット(転写部)
11 転写ローラ(転写部)
12 定着装置
50 本体制御部(画像処理部)
61〜65 ノズル
81 加熱ローラ(加熱部材)
82 加圧ローラ(加圧部材)
83 エア剥離装置(剥離装置)
84 制御装置
98 リニアイメージセンサ(読取装置)
200 画像形成装置
N ニップ部(圧接部)
2 現像装置(現像部)
3 感光体ドラム(感光体)
8 中間転写ベルトユニット(転写部)
11 転写ローラ(転写部)
12 定着装置
50 本体制御部(画像処理部)
61〜65 ノズル
81 加熱ローラ(加熱部材)
82 加圧ローラ(加圧部材)
83 エア剥離装置(剥離装置)
84 制御装置
98 リニアイメージセンサ(読取装置)
200 画像形成装置
N ニップ部(圧接部)
Claims (10)
- シートにトナー像を形成する電子写真方式の画像形成装置に設けられ、
加熱部材と前記加熱部材に圧接する加圧部材とを有し、前記加熱部材と前記加圧部材との圧接部に前記シートを搬送することにより、前記シートにおける前記加熱部材に接触する側の処理面上のトナー像を熱溶融して当該処理面に定着させる定着装置において、
前記圧接部よりもシート搬送方向の下流側に配され、搬送されるシートの先端の辺に平行な方向に沿って並列する複数のノズルを有し、各ノズルから前記シートと前記加熱部材との間に向けて圧縮空気を噴出して前記シートを前記加熱部材から剥離する剥離装置と、
前記処理面上のトナー像の形成位置を示した位置情報を前記画像形成装置から入力し、前記トナー像には前記圧縮空気が当たり、前記処理面における前記トナー像の形成されていない領域に前記圧縮空気が当たらない部分が生じるように、前記位置情報に基づいて前記剥離装置の各ノズルのオンとオフとを切り替える制御装置とを含むことを特徴とする定着装置。 - 前記制御装置は、前記複数のノズルのうち、前記トナー像に前記圧縮空気を当てることができるノズルのみを選択し、選択したノズルをオンにすることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記制御装置は、選択したノズルから噴出される圧縮空気を前記トナー像に当てることができる期間において、当該ノズルをオンにすることを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- 前記制御装置は、
前記剥離装置に含まれる全てのノズルを一括してオンにするようになっており、
前記剥離装置から噴出される圧縮空気をトナー像に当てることができる期間において、前記剥離装置の各ノズルをオンにすることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記シートが前記圧接部から排出される期間のうち、前記シートの先端と後端との間に位置する所定箇所が前記圧接部から排出される時よりも前の期間を第1期間とし、前記第1期間の後の期間を第2期間とする場合、
前記制御装置は、
第1期間において、前記剥離装置に含まれる全てのノズルをオンにし、
第2期間において、前記トナー像には前記圧縮空気が当たり、前記処理面における前記トナー像の形成されていない領域に前記圧縮空気が当たらない部分が生じるように、前記位置情報に基づいて前記剥離装置の各ノズルのオンとオフとを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記加熱部材は、加熱ローラ或いは無端状の加熱ベルトであり、
前記加圧部材は、加圧ローラ或いは無端状の加圧ベルトであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の定着装置。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の定着装置を備え、画像データに基づいて前記シート上に前記トナー像を形成することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
- 前記制御装置は、前記画像データを前記位置情報として入力することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
- 感光体と、前記感光体を露光して前記感光体に潜像を形成する露光部と、前記潜像を現像してトナー像を生成する現像部と、前記感光体のトナー像を前記シートに転写する転写部と、前記画像データに基づいて露光制御信号を生成する画像処理部とを有し、
前記露光部は、前記露光制御信号に基づいて前記露光を行なうことによって、前記画像データに応じた潜像を生成するようになっており、
前記制御装置は、前記露光制御信号を前記位置情報として入力することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。 - 前記シートに対して前記トナー像が転写される転写位置よりも前記シート搬送方向の下流側、且つ、前記圧接部よりもシート搬送方向の上流側に設けられ、前記シートの前記処理面を読み取ることによって読取画像データを生成する読取装置を有し、
前記制御装置は、前記読取画像データを前記位置情報として入力することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
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Cited By (2)
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JP2014202899A (ja) * | 2013-04-04 | 2014-10-27 | コニカミノルタ株式会社 | 画像形成装置 |
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-
2009
- 2009-07-08 JP JP2009162123A patent/JP2011017866A/ja active Pending
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JP2016031429A (ja) * | 2014-07-28 | 2016-03-07 | コニカミノルタ株式会社 | シート搬送装置および画像形成装置 |
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