JP2011017336A - 大型エンジンのシリンダ用のピストン並びにこのピストンを有する潤滑装置及び潤滑方法 - Google Patents

大型エンジンのシリンダ用のピストン並びにこのピストンを有する潤滑装置及び潤滑方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低い潤滑割合でできるだけ効率よく単純に、ピストン又は大型エンジンのシリンダの潤滑を可能にする潤滑装置及び方法の提供。
【解決手段】潤滑剤を受けるための貯蔵空間5を有するピストン本体34を備える、大型エンジンのシリンダ用のピストン。ピストン本体34はピストン側壁16によって周囲を画定される。貯蔵空間5が、潤滑剤通路10を介してピストン側壁16に接続され、潤滑剤源2に着脱可能に接続されるように構成された送り込み部7が設けられ、送り込み部7が貯蔵空間5に開口し、潤滑剤通路10が潤滑剤収集要素14に開口する。さらに、潤滑装置及び潤滑方法が提案される。
【選択図】図1

Description

本発明は、それぞれのカテゴリの独立請求項の前文に記載された大型エンジンのシリンダ用のピストン並びにそのようなピストンを有する潤滑装置及び潤滑方法に係るものである。
大型エンジン、特に2ストローク若しくは4ストロークの内燃機関として構成され得る大型ディーゼル・エンジンの種類は、船舶用の駆動装置として、又は、静止運転でも、たとえば発電用の大型発電機の駆動装置に、多く使用される。この点において、大型エンジンは概して相当な時間にわたって作動し、そのため、運転上の安全性及び有効性についての要求が高くなる。したがって、特に、点検間隔が長いこと、摩耗の小さいこと、及び運転供給品の取り扱いが経済的であることなどは、主要な判定基準である。
運転状態では、作動表面として働き、通常はシリンダ・ライナの形態に構成されるシリンダの壁の表面に沿って、ピストンが滑動する。この点において、シリンダの潤滑又はピストンの潤滑が行われる。一方で、ピストンは、シリンダ内で、できるだけ容易に、すなわち障害なく滑動しなければならず、他方で、ピストンは、燃焼過程で放出されるエネルギーを機械的な仕事に確実に効率的に変換するように、シリンダ内の燃焼空間をできる限り封止しなければならない。
したがって、ピストンの良好な作動特性を達成するように、並びに、ピストン及びピストン・リングの作動表面の摩耗をできるだけ小さく保つように、通常、潤滑油が、大型ディーゼル・エンジンの運転時にシリンダに導入される。潤滑油は、さらに、活性な燃焼生成物の中和並びに腐食の防止に役立つ。これら多くの要求のために、非常に高品質で高価な物質が潤滑剤として多く用いられる。
したがって、できるだけ小さい潤滑割合で作動するように、エンジンの特に効率的で経済的な運転に関する要求がある。
実績のある方法は、いわゆる内部潤滑である。この方法では、潤滑剤、通常は潤滑油が、ピストンの内部を介して運搬され、次に、ピストン内部から、ピストン表面に設けられた1つ又は複数の潤滑位置を介して、ピストン又はシリンダ作動表面に塗布される。このような方法は、たとえば、特許文献1(EP−A−0903473)に開示される。この文献に示された解決策によると、潤滑剤は、クロス・ヘッドの動きによって作動される供給装置によってピストンに送られる。特許文献2(特開平2−9903号公報)には潤滑剤用の供給装置が提案され、この装置によって、潤滑剤がピストンへと送られ得る。そのために、最上部のピストン・リングに至る潤滑剤の導管がピストンに配置される。この潤滑剤の導管には、圧力蓄積チャンバが配置され、この中で、潤滑剤がばね作動式の圧力ピストンによって圧力を掛けられ得る。この圧力は、噴射圧力と一致する。ソレノイド・バルブが、圧力蓄積チャンバと最上部のピストン・リングの潤滑剤排出口との間に配置され、こうして、ソレノイド・バルブが、シリンダ空間内の圧力によって作動され得る。シリンダ空間内の圧力が、ソレノイド・バルブに作用するばねの力よりも高い場合、ソレノイド・バルブは、潤滑剤の導管内の接続通路を開き、圧力蓄積チャンバから最上部のピストン・リングへと潤滑剤が供給される。シリンダ空間内の圧力が下がると、接続通路が閉じ、潤滑が中断される。この解決策は、ピストンが上側の不感域の領域内に配置された時点において正確にピストンの潤滑が行われる利点を有し、これは、正確な潤滑、及び、その結果として、潤滑剤の消費を最適化できることを意味する。しかしながら、余分な潤滑剤がシリンダ空間内に留まり、したがって、潤滑剤が燃焼チャンバに入ると、燃焼室の汚染が依然として起こり得る。
欧州特許出願公開第0903473号明細書 特開平2−9903号公報
この従来技術を出発点として、本発明の目的は、大型エンジンのシリンダ用のピストン、並びに低い潤滑割合でできるだけ効率よく単純に、ピストン又は大型エンジンのシリンダの潤滑を可能にする潤滑装置及びその方法を提案することである。以下、大型エンジンは、クロスヘッド・エンジンとして理解されるべきであり、この用語は、とりわけ大型ディーゼル・エンジン又はガス・エンジンを含むべきである。
さらに、掃気圧力が掛けられるクランク・ケース内よりも大きい圧力が、ピストン・リング・パッケージのピストン・リング間に掛けられる。この圧力降下は、ピストンとピストン・リングとの間に存在する潤滑剤を、下側のピストン側、すなわち燃焼空間から離れたピストンの側のシリンダ空間へ噴出させる。こうして、潤滑剤の霧がシリンダ空間内で発生し、それがシリンダの中に部分的に吹きつけられ、結果としてピストンの潤滑に部分的に貢献する。しかしながら、潤滑剤の一部はシリンダ空間内に留まり、そこで燃焼され、蒸発するか又は煙として排気ダクトを介して引き出される。潤滑剤のこの部分は、こうして排出物質として失われる。このような排出物質は、一方では、ピストンの潤滑にはもはや利用できなくなる潤滑剤の損失となり、また、他方では、燃焼生成物が環境に不利な影響を有し得るため、環境に対する潜在的な危険を有する。
この目的を満たす本発明の主題は、独立請求項の特徴部によって特徴づけられる。
本発明によると、潤滑剤を受けるための貯蔵空間を有するピストン本体を備える大型エンジンのシリンダ用のピストンが提案される。ピストン本体は、ピストン側壁によって周囲を規定され、貯蔵空間が潤滑剤通路を介してピストン側壁に接続され、潤滑剤源に着脱可能に接続されるように構成された送り込み部が設けられ、送り込み部が貯蔵空間へ開口し、潤滑剤通路が潤滑剤収集要素へ開口し、潤滑剤収集要素が、リング形状の本体を有するピストン・リングとして形成される。
とりわけ、潤滑剤収集要素のリング形状の本体は、2つのリップによって規定された少なくとも1つの溝を備える。このリップが、作動表面と有利に接触し、それによって、潤滑剤が作動表面上へ分配され、また、作動表面から除去され得る。
潤滑剤用の貯蔵空間及び潤滑位置への供給通路内の閉鎖部材がこのピストンに設けられているので、潤滑は、装置のより大きい作用力がなくても、エンジンの作業サイクルに適応され得る。潤滑剤は、常に、ピストンの貯蔵空間内で利用可能であり、したがって、特に好ましいとき、及び作動サイクルに関して効率的であるとき、シリンダの作動表面に又はピストンの表面に正確に塗布され得る。作動表面に存在する潤滑剤は、潤滑剤収集要素によって収集され、潤滑剤収集要素の開口部を介して除去される。必要とされる潤滑剤の量又は潤滑割合も、この最適化によってかなり低減され得る。潤滑剤収集要素によって除去された潤滑剤は、潤滑剤管路を介して貯蔵空間に入り、こうして、さらなる潤滑に利用可能である。この代替として、潤滑剤通路に接続可能である潤滑剤除去装置が設けられ得る。
好ましい実施例では、潤滑剤を貯蔵空間から潤滑位置まで導き得るように、供給通路が、貯蔵空間からピストンの表面の潤滑位置まで延在し、供給通路内に閉鎖部材が備えられる。
特に、貯蔵空間から供給通路を介して潤滑位置まで潤滑剤を運搬するために、運搬装置がピストンに設けられ得る。この運搬装置は、供給通路及び潤滑位置を介する潤滑剤の排出を可能にするために、貯蔵空間の充填の後、ピストンの貯蔵空間内の圧力を上昇させる働きをする。
装置の観点から特に単純な具体例として、運転状態において、運搬装置が潤滑剤用の運搬ピストンを含み、運搬ピストンが、燃焼空間側のシリンダに圧力を掛けられ得るように構成され配置される。こうして、シリンダの燃焼空間内の圧力が、潤滑剤を潤滑位置へと運ぶために単純な方式で利用可能となる。
装置の観点から単純であるさらなる有利な具体例によると、運搬装置は、貯蔵空間から潤滑位置まで潤滑剤を運搬するばね式の運搬ピストンを含む。
好ましい具体例では、ピストンは、複数のピストン・リングを有し、潤滑位置が、ピストン軸線によって規定される軸線方向に2つのピストン・リングの間に配置される。潤滑剤はピストン・リングの間に導かれ、燃焼空間側、すなわち、ピストン・リングよりも上、又は通常の使用位置に対して潤滑剤収集要素よりも上には導かれないので、潤滑剤の不必要な燃焼、及びそれに関連する不利なコーキングが少なくともかなり低減される。
特に有利な具体例として、3つのピストン・リングが設けられ、閉鎖部材を備えた供給通路を介して貯蔵空間にそれぞれが接続される2つの潤滑位置が設けられ、2つの潤滑位置は、それぞれの場合に、ピストン軸線によって規定される軸線方向に隣り合うピストン・リングの間に配置される。この具体例では、ピストンの下方への動きに際して、潤滑剤は最も上のピストン・リング、すなわち燃焼空間の最も近くに配置されるピストン・リングを介して分配され、ピストンの上方への動きに際して、潤滑剤は最も下のピストン・リングを介して分配される。潤滑剤が最も上のピストン・リングよりも上、すなわち最も上のピストン・リングの燃焼空間側に導かれる、今日一般的に使用されている工程に対して、潤滑剤の剥離物が燃焼空間の中へ入ることが回避されるという利点がある。ピストン・リングによって燃焼空間の中へ移動された潤滑剤は、潤滑にはもはや利用できず、不必要なコーキングを多く発生させるだけである。
ピストン側壁は、第1端部においてピストン表面を囲む。すなわち、ピストン側壁はピストン表面の縁を示す。このピストン表面は燃焼空間に隣接し、潤滑剤収集要素は、燃焼空間から最も離れたピストン・リングの外側のピストン側壁に配置されることが好ましい。ピストンの圧縮行程において、すなわち燃焼空間の方向へのピストンの動きの際に、シリンダの作動表面上又はピストン側壁に存在する全ての潤滑剤が、こうして潤滑剤収集要素の中へ導かれ、該当する場合は貯蔵空間の方向に運ばれる。潤滑剤収集要素が、燃焼空間の方向に作動表面に沿って動いてしまうと、結果として、シリンダ空間の中へ延在する作動表面の部分には、実質的に潤滑剤がなくなる。こうして、シリンダ空間内の潤滑剤の沈着物が防止できる。
好ましい対策は、潤滑剤分配リングとして構成されるピストン・リングが設けられることである。この潤滑剤分配リングの主な目的は、シリンダの作動表面の外周方向に対して潤滑剤を分配することである。潤滑剤分配リングは、特に、主に軸線方向に、潤滑剤を分配する2つのピストン・リングの間に配置可能である。
閉鎖部材が、潤滑剤通路に設けられ得る。潤滑剤通路が潤滑剤の供給通路及び除去通路として使用されると、この構成は特に有利である。閉鎖部材は、特に、1〜5バール、好ましくは2〜5バール、特に好ましくは約4バールの開口圧力を有するように設定され得る。この場合、閉鎖部材は、潤滑剤を除去又は潤滑剤を供給するように持ち上げ装置によって開かれない限り、シリンダ空間内の圧力に対して閉鎖状態に留まる。
さらに、閉鎖部材は、供給通路のそれぞれに設けられ得る。
各供給通路及び潤滑剤通路の閉鎖部材は、好ましくは逆止め弁として構成される。逆止め弁を出口方向に開かせる開口圧力のために、潤滑時間は、作業サイクルに関して単純な方式で設定可能である。
さらなる好ましい具体例では、潤滑剤源と協働して貯蔵空間と各供給通路との間の流れの連絡を閉じるように構成される遮断装置が設けられる。こうして、貯蔵空間の充填の際の供給通路及び潤滑位置を介する潤滑剤の排出が確実に回避され得る。
本発明によれば、大型エンジンのシリンダ用の潤滑装置がさらに提案される。この潤滑装置は、本発明によるピストンと潤滑剤源とを含む。本発明によるピストンは、ピストン側壁がシリンダの作動表面の潤滑のために潤滑空間によって囲まれる。潤滑剤源は充填装置を有し、充填装置は、送り込み部に着脱可能に接続可能であり、充填装置が送り込み部に接続されたときにのみ、潤滑剤が潤滑剤源から貯蔵空間へと導かれ得るようにピストンと協働する。貯蔵空間は、潤滑剤が潤滑空間から貯蔵空間へと戻され得るように、潤滑剤収集要素に接続可能である。作動表面上への潤滑剤の排出及び作動表面からの潤滑剤の収集がこの手順から切り離された状態で、ピストンの貯蔵空間は、この対策によって必要に応じて潤滑剤で充填され得る。ピストンの貯蔵空間はこのようにして充填されるが、潤滑剤は作業サイクルに関して好都合で効率的なときにのみ作動表面に塗布される。さらに、潤滑剤収集要素から貯蔵空間まで導かれた潤滑剤は、送り込み部に結合可能である潤滑剤除去装置によって貯蔵空間から除去され得る。こうして、汚染された潤滑剤は、たとえば、貯蔵空間及び供給通路から除去され、対応する純粋な潤滑剤に交換され得る。
変形例として、送り込み部及び充填装置又は潤滑剤除去装置が、作動状態のピストンの動きの下死点において接続され、ピストンの上方への動きに際して切り離されるように、充填装置又は潤滑剤除去装置が構成される。
別の変形例は、送り込み部及び充填装置又は潤滑剤除去装置が、作動状態のピストンの動きの上死点において接続され、ピストンの下方への動きに際して切り離されるように、充填装置又は潤滑剤除去装置が構成される。
適切な変形例の選択は、ピストンの構成に依存する。
本発明によれば、シリンダ内で往復運動できるように構成されたピストンを有する大型エンジンのシリンダの潤滑方法がさらに提案される。この方法では、ピストンの送り込み部が、ピストンの動きに際して潤滑剤源の充填装置に接続され、潤滑剤が、潤滑剤源から送り込み部を介してピストンの貯蔵空間の中に導かれ、ピストンの送り込み部と充填装置との間の接続が、ピストンの動きによって切り離され、その後、潤滑剤が、貯蔵空間から供給通路を介してピストン側壁上の潤滑位置に移動される。
この方法によって、それぞれの場合において、所望の時間に、正しい量の潤滑剤を用いて正確にシリンダの作動表面又はピストンの潤滑を行うことが、単純な方式で可能となる。これによって、経済面で有利である特に効率的な潤滑が可能になる。さらに、全ての余剰な潤滑剤は、潤滑剤収集要素によって貯蔵空間へと戻され得る。シリンダ空間内に存在する空気の酸素と潤滑剤の酸化反応が起こり、それによって沈着物がシリンダ空間で発生し得る、すなわち、コーキングが発生し得るように、潤滑剤がシリンダ空間へと移動することを、こうして回避する。
本方法の特に単純であり複雑でない変形例の態様の下では、潤滑剤は、好ましくは、ピストンがその動きの上死点又は下死点に位置しているときにピストンの貯蔵空間へと導かれる。
本発明によるピストン若しくは本発明による潤滑装置を備えた、又は、本発明による方法を使用して作動される大型エンジンが、さらに、提案される。
本発明のさらに有利な対策及び好ましい具体例は、従属請求項に記載される。
本発明は、装置の態様及び技術的工程の態様の両方において、実施例及び図面を参照して、以下にさらに詳細に説明される。概略的な図面には、縮尺通りではなく部分的に断面で示される。
本発明によるピストン及び潤滑剤源の第1実施例の図。 充填装置の一実施例の図。 クランク角に従うシリンダの圧力を例示するグラフ。 潤滑剤の供給を例示するグラフ。 本発明によるピストン及び潤滑剤源の第2実施例の図。 aは開口状態の遮断装置の詳細図、bは閉鎖状態の遮断装置の詳細図。 第2実施例の図3と同様のグラフ。 潤滑剤の供給を例示するグラフ。 ピストン・リングの構成の変形例。 潤滑剤分配装置リングの側面図。 図10の潤滑剤分配リングの平面図。 本発明によるピストンの第3実施例の図。
図1は、大型エンジン、特に大型ディーゼル・エンジンの、本発明によるピストンの第1実施例を示す長さ方向の断面図であり、ピストンは符号1によって全体として示される。ピストン1とともに、潤滑剤源2の一実施例がさらに示され、本発明による潤滑装置1、2の一実施例を形成する。
大型ディーゼル・エンジンは、2ストローク又は4ストロークのエンジンとして構成され得る。以下に、ユニフロー掃気2ストローク大型ディーゼル・エンジンの場合について言及する。
ピストン1は、軸線方向を規定するピストン軸線Aを有し、既知の方式で配置される。すなわち、シリンダ・インサート又はライナとして構成され得る壁31を有するシリンダ3内で往復して動くことができる。ピストンは、実質的に、シリンダの穴の中で動く。内側に向いた壁31の表面は、運転状態においてピストン1がそれに沿って動く作動表面32を形成する。ピストン1は、図では頂部の端部が、燃焼過程の起こる燃焼空間4を規定し、そして、通常、全体としてピストン・リング・パッケージとも称される複数のピストン・リング、ここでは、3つのピストン11、12、13を有する。
大型ディーゼル・エンジンの作動中は、ピストン1の良好な作動特性を達成し、ピストン1のシリンダの壁、特に作動表面32、及びピストン・リング11、12、13の摩耗をできる限り小さく保つために、ピストン1、ピストン・リング・パッケージ及び作動表面32を潤滑する潤滑剤、たとえば潤滑油を作動表面32に塗布することが必要である。潤滑剤は、さらに、腐食性の強い燃焼生成物を中和し、また、腐食、たとえば硫黄腐食を回避する働きをする。潤滑油は、作動表面32上に潤滑油膜を形成する。潤滑被膜は図示されておらず、ピストン・リング11、12、13と常に接触している。
本発明によるピストン1は内部潤滑用に構成されている。すなわち、潤滑剤はピストン1の内部から作動表面32上へ又はピストン1の側壁面上へ塗布される。
潤滑剤のための貯蔵空間5が、ピストン1の内部に設けられ、空洞部又はタンクとして構成され得る。穴として構成される2つの供給通路6が、この貯蔵空間から、それぞれの場合において、ピストン1のピストン側壁16上の潤滑位置61まで延在する。
2つの供給通路6の数は、軸線方向に関してのみである。複数の供給通路6が、同じ軸線方向の高さのところに周囲方向に設けられ得る。供給通路の数は、潤滑の必要条件に依存する。
供給通路6にそれぞれの閉鎖部材62が設けられる。これは、ここでは、それぞれの場合において、圧力保持弁又は逆止め弁62として構成される。各逆止め弁62は、貯蔵空間5の方向に遮断する。すなわち、潤滑剤又はたとえば燃焼ガス若しくは掃気用空気といった他の流体が潤滑位置61から貯蔵空間5へと逆流するのを防ぐように構成される。以下ではp1によって示される弁の開口圧力よりも圧力差が大きくなるとすぐに、弁は、貯蔵空間5から潤滑位置61へと出口方向に開く。これは、貯蔵空間5に面する逆止め弁62の側の圧力が、潤滑位置61に面する側の圧力よりも値p1だけ高くなるとすぐに、貯蔵空間5からの流れの連絡が潤滑位置61の方向に開くことを意味する。圧力差が開口圧力p1の値よりも下がるとすぐに、流れの連絡は閉鎖される。
開口圧力p1は、2つの逆止め弁61に対して同じであってよいが、逆止め弁61のそれぞれが、異なる開口圧力p1を有することも可能である。
潤滑位置61は、2つの隣接するピストン・リング11、12、13の間にピストン軸線によって規定される軸線方向にそれぞれ配置される。すなわち、2つの潤滑位置61のうちの1つは、第1ピストン・リング11と第2ピストン・リング12との間に設けられ、第2の潤滑位置61は、第2ピストン・リング12と第3ピストン・リング13との間に設けられる。この点に関して、このピストン・リングは、燃焼空間4の最も近くに位置する第1ピストン・リング11を意味する。
さらに送り込み部7が設けられる。送り込み部7は、ここでは送り込み導管又は送り込み通路として構成され、図ではピストン1の下側から始まり貯蔵空間5の中へと開く。送り込み部7は、下記にさらに説明されるように、潤滑剤源2に着脱可能に接続するように構成される。圧力保持弁又は逆止め弁72として構成されるさらなる閉鎖部材72が、送り込み部7に設けられる。逆止め弁72の遮断機能が、貯蔵空間5から送り込み部7を介する潤滑剤の流出を防ぐ。反対方向では、掛けられた圧力の差がその開口圧力p2を超えるとすぐに逆止め弁72が開く。
潤滑剤源2は、エンジン筐体に対して固定された位置にあり、潤滑剤を備える貯蔵容器21と、送り込み部7と協働するように設けられた充填装置22と、貯蔵容器21から充填装置22へと潤滑剤を運ぶポンプ23とを含む。充填装置は、逆止め弁として構成され得る閉鎖部材24を有する。閉鎖部材24は、充填装置22からの潤滑剤の排出を防ぐ。
図によれば頂部である貯蔵空間5の端部には、貯蔵空間5から供給通路6を介して潤滑位置61まで潤滑剤を運搬するために運搬装置8が設けられる。この実施例では、運搬装置8は、膜81を有する膜ピストンとして構成される。ピストン1を介して延在し、第1ピストン・リング11の上方、すなわち第1ピストン・リングの燃焼空間側においてピストン1の表面に開く通路82が、図によると膜81の上方に隣接する。膜81の貯蔵空間5から離れた側が、この通路82を介して、燃焼空間4内の圧力を掛けられるか、又は、第1ピストン・リング11の上方のシリンダ内の圧力を掛けられる。膜ピストン8の貯蔵空間5に面する側は、貯蔵空間5内の潤滑剤の圧力を掛けられる。
本発明によるピストン1の基本的な動作は、以下の通りである。充填装置22を備えた潤滑剤源2は、ピストンの貯蔵空間5を充填する「充填ステーション」として働く。ピストン1の貯蔵空間5と潤滑剤源2とは、ピストン動きの下死点(又は上死点)において、送り込み部7及び充填装置22を介して周期的に接続され、それによって、ピストン1の貯蔵空間5がこの協働の間に潤滑剤で充填される。したがって、ピストン1の少なくとも1作業サイクルにおいて潤滑に十分な潤滑剤が利用可能である。
接続時に、又は、潤滑剤が潤滑剤源2から貯蔵空間5へ流れ出ることができるように送り込み部7と充填装置22とが互いに接続されている間に、潤滑剤源2からの潤滑剤の流出を防ぐ閉鎖部材24が開かれる。閉鎖部材24の開口は、単に機械的に起こり得るか、又は電気式、油圧式若しくは空気式の制御によって起こり得る。
貯蔵空間5は、潤滑剤通路10が潤滑剤収集要素14へ開いた状態で、潤滑剤通路10を介してピストン側壁16に接続される。潤滑剤収集要素14は、ピストン側壁のリング形の凹部19に配置される。
図1によれば、潤滑剤収集要素14は、好ましくは2つのリップ26、27によって規定された少なくとも1つの溝28を有するリング形状の本体を有するピストン・リングである。リップ26、27は、作動表面32と接触している。外周の溝28が、リップ同士の間に形成される。したがって、リップ26、27は、作動表面32に沿って滑動し、作動表面32と摩擦接触する潤滑剤収集要素14の作動表面対向部を形成する。潤滑剤収集要素14は、局所的に余剰な潤滑剤が収集され得るように、運転状態において、周囲方向に形成された溝28を介して潤滑剤を収集し、凹部19に貯蔵することができる。この収集された潤滑剤は、作動表面32にはもはや利用できないが、潤滑剤の増量が必要な位置において、必要に応じて、凹部からシリンダの作動表面に再度塗布され得る。
潤滑剤収集要素14は、このように、大型ディーゼル・エンジンの運転状態において潤滑剤の収集要素として働くだけではなく、作動表面から潤滑剤を除去することもできる。この機能においては、潤滑剤のかき取りリングと同様である。さらに、潤滑剤収集要素14は、潤滑剤分配要素としての機能をも有する。特に、本体29は、潤滑剤が潤滑剤源から潤滑剤収集要素の溝28に導かれ得る、又は逆に余剰な潤滑剤が作動表面32から除去され得る、開口部30を含むことができる。
潤滑剤収集要素は、クランク・シャフトを含むシリンダ空間20からの気体に対する封止機能を負うので、作動表面32と接触している。大型ディーゼル・エンジンでは、このシリンダ空間20は、概してターボ過給機(図示せず)を介して与えられる新鮮な空気を含む受け空間とも称される。こうして、新鮮な空気の圧力がシリンダ空間20内に掛けられ、ピストン1が下死点の領域に配置されたとき、前記新鮮な空気が、掃気用スリットを介して燃焼空間4に供給される。新鮮な空気は、通常は1〜5バールの範囲、好ましくは2〜5バール、特に、たとえば約4バールの過剰圧力の下にある。
潤滑剤収集要素を作動表面に向かって押圧するために、潤滑剤収集要素の凹部19と本体29との間にばね要素33が配置される。
以下に、充填装置22の一実施例が、図2を参照してさらに詳細に説明される。図2は、充填装置22及び閉鎖部材24の断面図を示す。充填装置22は、ポンプ23から来る供給通路222が開口する充填空間221を有する。逆止め弁223が供給通路222に設けられる。充填空間221は、さらに、閉鎖部材24の円錐体241が配置される、部分的に円錐形に延在する出口224を有する。円錐体241は、図2に示される閉鎖状態において出口224を閉じるように、出口224の円錐形部分の中へばね244によって押圧される。円錐体241は、穴243を介して円錐体241の外側の空間に接続される内側通路242を有する。
潤滑油又は潤滑剤は、ポンプ23によって供給通路222を介して充填装置22の充填空間221の中へ送られる。ポンプ23は、充填圧力p3で充填空間221に潤滑剤を導入する。
ここに説明される実施例では、ピストン1の下側の送り込み部7の開口部のところに、内穴を有する差込部73が設けられ、潤滑剤が差込部73を介して送り込み部7に流れ得る。差込部73は、充填装置22の出口に入り得るように構成される。
ディーゼル・エンジンの運転状態において、(図1及び図2に従って)ピストン1が下方へ動くと、図2の矢印Cによって示されるように、差込部73が充填装置22に向かって動く。ピストン1が下死点に近づくと、差込部73が出口に入り、結果として、ばね244の力に対抗して充填空間221へ円錐体241を付勢する。ここで円錐体241は開いた状態になる。潤滑剤は、穴243を介して内側通路242に入ることができ、送り込み部7を介してピストン1の貯蔵空間5に移動する。ピストン1の次の上方への動きに際して、円錐体241は、ばね244によって座の中へ再び押圧され、それによって出口224が閉じられる。さらなる潤滑剤は、もはや貯蔵空間5に流入できなくなり、逆止め弁72が、送り込み部7を介する潤滑剤の流出を防ぐ。逆止め弁62が、貯蔵空間5の充填の際に、潤滑剤が供給通路6を介して潤滑位置61に全く入らないことを確実にする。充填の後、潤滑剤は、逆止め弁62の開口圧力p1よりも低く、逆止め弁72の開口圧力より大きい充填圧力p3で貯蔵空間5に実質的に位置する。
ピストンが充填装置22から切り離された後、シリンダ3内の空気は、ピストンの上方への動きの際にピストン1の燃焼空間側に圧縮される。燃焼空間4内の、又は第1ピストン・リング11の燃焼空間側の圧力は、導管82を介して運搬装置8の膜81にも掛けられる。こうして、膜ピストン8は、貯蔵空間5内の圧力を上昇させる。逆止め弁62を介する圧力差が逆止め弁62の開口圧力p1よりも大きくなるほどに圧力が上昇すると、逆止め弁62が開き、潤滑剤が供給通路6を介して潤滑位置61へ、そこから作動表面32へと移動して、潤滑が開始する。ピストン1が、燃焼プロセスの起こる領域である上死点を通り過ぎてしまうと、当然ながらやはり出口弁(図示せず)が開くために、ピストン1の下方への動きに際して、燃焼空間4内の圧力が再び低下する。逆止め弁62に掛かる圧力差が弁の開口圧力p1よりも小さくなるほどに、通路82を介して膜81の上へやはり掛かっている、ピストン1の燃焼空間側への圧力が下がるとすぐに、潤滑剤が潤滑位置61にもはや移動できないように、これらの逆止め弁62が供給通路61を閉じ、潤滑が終了する。
膜ピストン8は、所定圧力よりも大きい圧力でできるだけ正確に反応するように設定される。これによって、必要とされる場合、又は作業サイクルに関して最も効率的である場合に、潤滑剤がシリンダ3内に正確に導入されることが可能となる。作動時に開口部のコーキングが起こらないように、通路82の開口部は十分に大きくなるように選択される。潤滑剤が第1ピストン・リング11の上方、すなわち第1ピストン・リングの燃焼側には噴射されないが、ピストン・リング11、12、13の間に噴射される点において、コーキングは、さらに効果的に回避される。こうして、安全な作動が確実になる。
所定圧力よりも大きい圧力で、できる限り正確に予め設定されたある量の潤滑剤をそのピストン経路にわたって貯蔵空間5から移動させ、供給通路6を介してピストン・リング通路の中へ潤滑剤を押すように、膜ピストン8は構成される。これによって、有利なことに、負荷に依存する潤滑が確実となる。
これは、図3及び図4を参照してさらに詳細に説明される。図3は、横軸に示されたクランク角KWによるシリンダ3内の圧力過程pを示すグラフである。クランク角0°及びクランク角360°では、ピストン1は下逆転点、すなわち貯蔵空間5の充填が起こるところにある。シリンダの限界圧力は、逆止め弁62での圧力降下が逆止め弁62の開口圧力p1とちょうど同じ大きさであるpsによって示される。したがって、第1ピストン・リング11の燃焼空間側の圧力を意味するシリンダ3内の圧力が限界圧力psよりも大きくなると、潤滑剤は、貯蔵空間5から供給通路6を介して潤滑位置61に運搬され、シリンダ3内の圧力が限界圧力psよりも小さいと、潤滑剤はもはや供給通路6を介して潤滑位置61へ移動することはできない。
図3の実線は、大型ディーゼル・エンジンの平均負荷範囲の圧力過程を示し、他方、破線は、より高い負荷での圧力過程を示す。図3に示すように、クランク角W1とW2との間の範囲ではシリンダ3内の圧力が限界圧力psよりも大きいので、潤滑剤は、このクランク角の間でのみ潤滑位置61に移動することができる。限界圧力psよりも上方かつ曲線よりも下方の領域は、潤滑剤量の負荷依存性を説明する。この負荷依存性は、平均有効圧力の計算と組み合わせることができる。より高い負荷(破線)では、逆止め弁62を閉じることによって潤滑が終了される閉鎖手順は、より後の(より高い)値のクランク角度の方へ変位される。
膜ピストン8の一定のストロークの作動を行う膜ピストン8の助けにより潤滑剤の供給が行われる可能性がある。クランク角W1において限界圧力psを超えた場合、シリンダ3内の圧力が値psよりも再び下がるまで、潤滑剤は一定の運搬速度で潤滑位置61に移動する。別の可能性は、クランク角W1とW2との間で時間ごとに運ばれる潤滑剤の量が、シリンダ内の圧力過程に従うように、膜ピストン8を比例ピストンとして構成することである。この目的のために、ピストンのストローク又はピストンが移動する経路がシリンダ3内の圧力に従うように、膜ピストン8が構成される。図4のグラフは、これらの2つの可能性を示す。
図4では、シリンダ3内の圧力過程は、図3と同様の方式でクランク角KWに依存する上側の図に示され、圧力過程は図4では1つの負荷に対してのみ示される。
下の2つの図は、クランク角KWに依存する潤滑剤の運搬量F1又はF2を示す。この点についての運搬量F1は、膜ピストン8の一定のストロークを用いる変形例に対応し、運搬量F2は、膜ピストン8のストロークがシリンダ3内の圧力過程に従う場合を示す。
このように、シリンダ3内へ導入される潤滑剤の量は、非常に正確に設定可能であり、潤滑の時間又は時間間隔も、非常に正確に制御可能である。この結果、潤滑剤の使用が非常に効率的になり、その結果、消費も非常に少なくなる。たとえば、0.6g/kWhの潤滑割合が実現可能である。
用途によっては、貯蔵空間5は各作業サイクルにおいて、すなわちピストン1が下死点に来るごとに充填されなくてもよいことがあり得る。この目的のために、たとえば、潤滑剤源2のポンプ23は、作動サイクル2回ごと又は3回ごと又は4回ごとなどのみに、貯蔵空間に潤滑剤を運ぶように制御可能である。また、センサを用いて貯蔵空間5の充填レベルを監視すること、及び、潤滑剤が貯蔵空間へと運搬されるように必要に応じてのみポンプ23を制御することが可能である。
膜ピストンの代わりに、貯蔵空間5の充填の後及び送り込み部7を充填装置22から分離した後、予め設定可能なクランク角又は時間で、貯蔵空間5内の圧力を上昇させるために、たとえば油圧式、空圧式、電気式又はこれらの組み合わせなどの他の運搬装置8も、当然ながら設けられ得、逆止め弁62の開口圧力p1を超え潤滑が開始するようにされる。代替として又はさらに、当然ながら、たとえば電気的に制御可能な弁によるなど、他の制御可能な閉鎖部材62によって、逆止め弁62を置き換えることも可能である。
他の位置及び/又は異なる数の潤滑位置61も、さらに可能である。したがって、特に、潤滑がまたピストン・リングを介して起こるように、たとえば、ピストン・リングの1つに少なくとも1つの潤滑位置を設けることが可能である。たとえば、そのようなピストン・リングは、潤滑剤分配リングとして構成可能である。
潤滑剤収集要素14が、各ピストン・リングの代わりに、燃焼空間4に最も近いピストン・リングを除いて、設けられ得る。
図5は、本発明によるピストン1並びに潤滑剤源2の第2実施例を示す。同じ又は同等の機能の部品が、図1と同じ符号を与えられている。以下では、第1実施例との主な違いに注目する。本発明によるピストン1の第1実施例と関連してなされる全ての説明は、類似物、又は第2実施例に対応する同じ方式にも該当する。
第2実施例では、貯蔵容器5は、ピストン1の内部の空洞部51に配置されるタンクとして構成される。貯蔵空間5は、その壁に、潤滑剤が貯蔵空間5から供給通路6へ移動できる2つの出口開口部52を有する。図によると貯蔵空間5の端部のばね83によって支持される運搬ピストン8が、貯蔵空間5内の運搬装置として設けられる。貯蔵空間5の充填手順に際して、運搬ピストン8が、ばね83の力に対抗して図の上方へ向かって動かされる。このようにして発生されたばね張力のために、運搬ピストン8は、充填手順の後に図の下方へ向かって動き、それによって、潤滑剤を、供給通路6及び潤滑位置61を介してピストン・リング・パッケージの中へ押す。第2実施例では、送り込み部7は貯蔵空間5と一体化され、逆止め弁72を有する。第2実施例では、当然ながら、送り込み部7を送り込み通路として又は通路若しくは穴として構成すること、及び/または、図2に示すように差込部73を設けることも可能である。
貯蔵空間5は、第2実施例では、軸線方向に動くことのできる空洞部51に配置され、燃焼空間4に面する空洞部51の端部において回復ばね9によって支持される。タンクとして構成される貯蔵空間5は、以下にさらに詳細に説明されるように、回復ばね9とともに、貯蔵空間5と、潤滑剤源2に協働する各供給通路6との間の流れの連絡を閉じる遮断装置として働く。
貯蔵空間5の充填の際には、運搬ピストン8は、ばね83の力に対抗して張力をかけられなければならない。これは、充填圧力p3が、運搬ピストンがそのばね荷重によって潤滑剤に掛けることのできる最大圧力と少なくとも同じ大きさでなければならないことを意味する。この最大圧力が、潤滑のために供給通路6の逆止め弁62を開くのに十分となるためには、この圧力が、逆止め弁62の開口圧力p1よりも大きくなければならない。供給通路6の閉鎖のための遮断装置のない状態では、潤滑剤の少なくとも一部が、供給通路6を直接介して潤滑位置61にすでに移動し、貯蔵空間5の充填に際してそこで排出される結果となり得る。遮断装置は、ここで図6を参照して説明されるように、これを防止する。
図6は、左側の図(a)では開位置にある遮断装置を示し、右側の図(b)では、充填手順の間にとられる閉位置にある遮断装置を示す。ピストン1がその下方への動きにおいて下死点に達すると、貯蔵空間5は、潤滑剤源2の持ち上げ装置25(図5を参照)によって、回復ばね9の力に対抗して軸線方向に図の上方へ向かって移動され、図6の右側の図(b)に示される位置をとる。この位置では、貯蔵空間5の壁が、供給通路6への入口を閉じ、排出開口部52がもはや供給通路6と一致しなくなり、それによって、潤滑剤が供給通路6に移動することができなくなる。
運搬ピストン8と貯蔵空間5とによって規定された補償空間45は、特に、圧縮可能な媒体を含むことができる。運搬ピストン8は、潤滑剤を含む貯蔵空間から流体密の方式で補償空間45を切り離す封止要素46がその周囲に設けられる。
持ち上げ装置25は、たとえば、充填装置22の閉鎖部材24が開く前に、貯蔵空間5が接して動く当接部として構成される。貯蔵空間5の充填は、ここでは、第1実施例に関連して説明されるのと同じやり方で起こる。この点に関して、運搬ピストン8は、貯蔵空間5内で張力をかけられる。すなわち、ばね83の力に対抗して図の上方へ向かって動かされる。充填の後、閉鎖部材は閉じられ、ピストン1が上方へ向かって動き、貯蔵空間5が持ち上げ装置25との接触を失う。こうして、貯蔵空間5は、回復ばね9のばね力によってピストン1に対して図の下方へ向かって動き、図6の左側の図(a)に示される位置をとる。この開位置では、ここで、潤滑剤が貯蔵空間5から出口開口部52を介して供給通路6へ、また潤滑位置61へと出ることができるように、出口開口部52が供給通路6と一致する。
第1実施例とは異なり、ピストン・リング・パッケージに潤滑剤を導入する異なる特徴によって、第2実施例が生じる。ここでは、シリンダ内の圧力が限界圧力psよりも小さい間、潤滑剤の導入が起こる。貯蔵空間5を充填した直後、ピストン1が下死点の近くにまだあるとき、作業サイクルに関して最も小さい圧力、すなわち実質的に掃気圧力が、潤滑位置61に、又は供給通路6内に存在する。こうして、逆止め弁62の圧力降下は、貯蔵空間5内で運搬ピストン8によって発生される圧力と、掃気圧力におおよそ一致するシリンダ側の逆止め弁62に掛かる圧力負荷との差によって実質的に決定される。この圧力差が逆止め弁62の開口圧力p1よりも大きい限り、潤滑剤は、貯蔵空間5から供給通路6及び潤滑位置61を介してピストン・リング・パッケージへと排出される。ピストン1の上方への動きが進むにつれて、シリンダ3の圧力が上昇し、シリンダ側の逆止め弁62に掛かる圧力も上昇する。これにより、逆止め弁62に掛かる圧力が低下する。シリンダ内の限界圧力psに達すると、逆止め弁62に掛かる圧力差は、その開口圧力よりも小さくなり、逆止め弁が供給通路6を閉じ、潤滑が終了する。ピストン1が、燃焼が起こる上死点を通り過ぎてしまうと、ピストンの下方に向かう動きが進むにつれて、シリンダ内の圧力はますます下がる。圧力psでの逆止め弁に掛かる圧力差が、逆止め弁62の開口圧力の値p1に達すると、潤滑が再開する。
図7は、図3と同様の図にこれを示し、シリンダ内の圧力pが、作業サイクル及びエンジンの負荷状態について、クランク角KWに対して示される。潤滑は、網掛け線を引いて示された領域において起こる。貯蔵空間5の充填手順の際には、遮断装置によって供給通路6が貯蔵空間5に対して閉じられているので、潤滑は、図7の2つの小さい垂直線が示すように、下死点すなわちクランク角0°及び360°の回りの領域では起こらない。
ここでは、潤滑は、主に、シリンダ3の作動表面32の下側領域において起こるので、第2実施例から潤滑剤の供給の別の可能性が生じる。潤滑剤の運搬量Fの変化した特徴もこれから生じる。これは、第2実施例についての図8に図4と同様の図で示す。
全ストロークにわたる又はピストン1の全作業サイクルにわたる潤滑剤の導入を達成するために、第1実施例と第2実施例を互いに組み合わせることが可能である。この目的のために、たとえば、2つの貯蔵空間5が、2つの潤滑剤源2として設けられ、貯蔵空間5の一方が、第1実施例について説明されるように充填及び排出され、他方の貯蔵空間5が、第2実施例について説明されるように充填及び排出される。
両実施例のさらなる変形例は、ピストンが上死点に位置するときに、貯蔵空間5の充填が同じ方式で同様に起こることである。
以下には、ピストン・リング・パッケージの構成の別の可能性が、作動表面32全体への潤滑剤の分配について説明される。図9、図10及び図11を参照して説明されるこれらの変形例は、第1実施例及び第2実施例の両方、又は以下に説明される図12による第3実施例に特に適する。しかしながら、それぞれの変形例は、これらの実施例に制限されず、大型ディーゼル・エンジンのシリンダの全てのピストンに適する。したがって、変形例は、本発明に従って構成されないピストンにも適する。
図9は、ピストン・リング11、12及び13を有するピストン・リング・パッケージの断面図である。供給通路6の描写は、図9では省かれており、好ましくは、潤滑位置61がそれぞれ、上述のように、2つの隣接するピストン・リングの間に配置されるように、供給通路6は配置される。
図9にいくぶん誇張された形で示されるように、第1ピストン・リング11及び第3ピストン・リング13は、それぞれボール状の形状又は非対称形状に構成される。第1ピストン・リング11は、この点について、燃焼空間4から離れた側が丸みのついた形に構成され、第3ピストン・リング13は、燃焼空間4に面する側が丸みをつけて構成される。
上方へのピストンの動きの際に最も上のピストン・リングによって潤滑剤が分配される従来の一般的な潤滑方法とは異なり、第1ピストン・リング11が、ピストン1の下方への動きの際に潤滑剤を分配する。これは、潤滑剤が燃焼空間4の中へかき入れられ、潤滑にとって損失となることはないという利点を有する。こうして、潤滑剤の消費量が低減できる。同時に、多量のコーキングに対処され、それによって、たとえば、「抗研磨リング」の使用が不要となり得る利点が生じる。
ピストンの下方への動きに際して、第3ピストン・リング13が、作動表面32に潤滑剤を分配する。
さらなる有利な対策は、他の2つのピストン・リング11又は13の間に配置される第2ピストン・リング12を潤滑剤分配リングとして構成することである。潤滑剤分配リングは、主に、作動表面32の周囲に潤滑剤を分配する働きをする。可能な実施例が、図10及び図11に示される。図10は、潤滑剤分配リングとして構成されるピストン・リング12の側面図を示し、図11はピストン・リング12の平面図を示す。ピストン・リングは、運転状態のシリンダ3の壁31に面する外側の側壁表面に、図10及び図11のそれぞれの場合に1つのみが示されている複数の斜めに延在する溝122を有する。
第2ピストン・リング12の圧力降下により、一方では、第1ピストン・リング11と第2ピストン・リング12との間のリング空間の圧力差、他方では、第2ピストン・リング12と第3ピストン・リング13との間のリング空間内の圧力差が生じ、そのために、溝122を介して、接線方向の成分を有する流れが強いられ、したがって、潤滑剤の周囲方向への分配を促進する。
潤滑剤分配リングの他の外形も当然ながら可能である。
図12は、本発明によるピストンの第3実施例を示す。
一部のみが示されているピストン1は、前述の実施例と同様に符号1を有する。さらに、潤滑剤除去装置40が概略的に示される。この潤滑剤除去装置は、第1又は第2の実施例と関連して説明されたように、任意選択で潤滑剤源2に置換可能である。前述の実施例との主な違いは、2つのそれぞれのピストン・リング11、12、13の間において供給通路を介して潤滑空間に潤滑剤を導く運搬装置8を、貯蔵空間5が含まないことである。潤滑空間は、ピストン側壁16とシリンダ3の壁31の作動表面32との間に延在する。
潤滑剤は、潤滑空間内の潤滑剤収集要素14によって分配され、潤滑剤収集要素14によって潤滑空間から除去され、潤滑剤通路10を介して貯蔵空間5に供給される。貯蔵空間5は、ピストン本体34に配置される、潤滑剤で満たされた貯蔵部である。一方で、少なくとも1つの潤滑剤通路10が、貯蔵空間5から潤滑剤収集要素14へと通じ、また、少なくとも1つの送り込み部7がシリンダ空間20へと通じる。閉鎖部材72は、貯蔵空間5に含まれる潤滑剤が望まれないやり方でシリンダ空間の中へ逃げ得るのを防ぐように送り込み部に配置される。閉鎖部材72は、特に逆止め弁として構成される。
潤滑剤源(図示せず)は、送り込み部7に接続可能であり、その動作は、図1及び図2に示される潤滑剤源に相当する。潤滑剤は、周期的に又は必要に応じて潤滑剤源によって貯蔵空間5に導かれ得る。貯蔵空間内の潤滑剤の状態の測定値を知らせる、たとえば潤滑剤の圧力を測る測定装置が、貯蔵空間に配置され得る。測定値が閾値よりも下がると、潤滑剤源が送り込み部7に接続される。この代替として、潤滑剤の量及び状態に関連するパラメータを知らせる測定装置も、潤滑空間に配置され得る。
潤滑空間への潤滑剤の導入は、潤滑空間内の圧力が、ここでは同様にpsとして示されるべき限界圧力よりも小さい限り、第2実施例に関連して説明されたものと同様の方式で起こる。最も小さい圧力、すなわち実質的にシリンダ空間20内の圧力、すなわち掃気圧力が、下死点の近くにおいて潤滑剤収集要素に掛けられる。潤滑剤の圧力は、シリンダ空間内の圧力、並びに潤滑剤収集要素14及び潤滑剤通路10にわたる圧力降下よりも大きい。したがって、潤滑剤は貯蔵空間5から潤滑空間へと流れる。この潤滑剤の流れは、潤滑空間内の圧力が、限界圧力psに達する、すなわち、貯蔵空間5内の圧力に潤滑剤収集要素14及び潤滑剤通路10にわたる圧力降下を足したものに等しくなるまでの間保持される。
潤滑剤収集要素は、限界圧力よりも下で潤滑剤分配要素としての機能を満たす。ここでピストンが上死点の方向にさらに動くと、潤滑空間内の上昇する内部圧力が、潤滑剤収集要素からの潤滑剤の放出を防ぐ。潤滑剤収集要素は、限界圧力psよりも上で収集要素として働く、すなわち、2つのリップ26、27が、潤滑空間内に存在する潤滑剤を取り込み、それを開口部30へ、潤滑剤通路10へ、そして貯蔵空間5へ導く。この対策によって、潤滑剤が燃焼空間4に導入されることが防止され、他方で、十分な潤滑剤が潤滑空間内に存在することが確実になる。
代替として、潤滑剤除去装置40は、送り込み部7に接続可能である。汚染された又は消費された潤滑剤は、潤滑剤除去装置によって潤滑剤回路から除去され得る。潤滑剤除去装置40は、閉鎖部材72を機械的に開く開口要素を含む。潤滑剤は、シリンダ空間20内の圧力よりも大きい圧力よりも小さいので、潤滑剤除去装置が大気圧で作動している状態で、潤滑剤が貯蔵空間5から流出し、また、潤滑剤通路10又は潤滑剤収集要素14の中に存在する全ての潤滑剤が流出する。流出速度を上昇させるためには、潤滑剤除去装置は、大気圧未満の圧力でも作動することができる。
さらに、潤滑剤は、送り込み部7を介する代わりに又はそれに加えて、さらなる流出通路(図示せず)を介して放出され得る。特に、貯蔵空間5が、リング形に作られるか、又は、ピストン本体の中へ延在し、複数の潤滑剤収集要素へと通じる複数の潤滑剤通路がそこから分岐するリング状の通路へと開口するとき、複数のこのような流出通路が、当然ながら、ピストン本体の様々な点に設けられる。
また、2つのそれぞれのピストン・リングの間に1つ又は複数の潤滑剤収集要素を設けることが可能である。潤滑剤収集要素の配置は、ピストン側壁16における、又は、関連する作動表面32における潤滑剤の必要条件に依存する。
潤滑剤収集要素は、ピストン側壁の周囲に沿って分散され、特に、互いに等間隔に配置され得る。

Claims (15)

  1. 潤滑剤を受けるための貯蔵空間(5)を有するピストン本体(34)を備えた、大型エンジンのシリンダ用のピストン(1)であって、
    前記ピストン本体(34)は、周囲がピストン側壁(16)によって規定され、
    前記貯蔵空間(5)が、潤滑剤通路(10)を介して前記ピストン側壁(16)に接続され、
    潤滑剤源(2)に着脱可能に接続されるように構成された送り込み部(7)が設けられ、前記送り込み部(7)が前記貯蔵空間(5)に開口する、ピストン(1)において、
    前記潤滑剤通路(10)が、潤滑剤収集要素(14)に開口し、前記潤滑剤収集要素(14)が、リング形状の本体を有するピストン・リングとして形成されることを特徴とするピストン。
  2. 前記リング形状の本体が、2つのリップ(26、27)によって規定された少なくとも1つの溝(28)を有する、請求項1に記載されたピストン。
  3. 前記リップ(26、27)が作動表面と接触している、請求項1に記載されたピストン。
  4. 潤滑剤を前記貯蔵空間(5)から潤滑位置(61)まで導き得るように、供給通路(6)が、前記貯蔵空間(5)から前記ピストン(1)の表面の前記潤滑位置(61)まで延在し、前記供給通路(6)内に閉鎖部材(62)が設けられる、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載されたピストン。
  5. 前記貯蔵空間(5)から前記供給通路(6)を介して前記潤滑位置(61)に前記潤滑剤を運搬するために運搬装置(8)が設けられ、前記運搬装置(8)が前記潤滑剤用の運搬ピストンを含み、該運搬ピストンが、燃焼空間側の前記シリンダ(3)に圧力を掛けられるように構成及び配置される、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載されたピストン。
  6. 複数のピストン・リング(11、12、13)が、前記ピストン側壁(16)に設けられ、前記潤滑位置(61)が、ピストン軸線(A)によって規定される軸線方向に2つのピストン・リングの間に配置される、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載されたピストン。
  7. 前記ピストン側壁(16)が、第1端部(17)に、燃焼空間(4)に隣接するピストン表面(18)を含み、前記潤滑剤収集要素(14)が、前記燃焼空間(4)から最も離れた前記ピストン・リング(13)の外側の前記ピストン側壁(16)に配置される、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載されたピストン。
  8. 潤滑剤分配リングとして構成されるピストン・リング(12)が設けられる、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載されたピストン。
  9. 閉鎖部材(35)が前記潤滑剤通路(10)に設けられ、該閉鎖部材(35)は、前記潤滑剤通路(10)内に逆止め弁として構成される、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載されたピストン。
  10. 前記潤滑剤源(2)と協働して、前記貯蔵空間(5)と各供給通路(6)との間の流れの連絡を閉じるように構成される遮断装置(5、9)を含む、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載されたピストン。
  11. 大型エンジンのシリンダ用の潤滑装置において、該潤滑装置が、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載されたピストン(1)と、潤滑剤源(2)とを含み、
    前記ピストン(1)は、潤滑空間(15)が、シリンダの作動表面の潤滑のためにピストン側壁を囲み、
    前記潤滑剤源(2)が充填装置(22)を有し、該充填装置(22)は、送り込み部(7)に着脱可能に接続可能であり、充填装置(22)が前記送り込み部(7)に接続されたときのみに潤滑剤が潤滑剤源(2)から貯蔵空間(5)に導かれ得るようにピストン(1)と協働し、
    前記貯蔵空間(5)は、潤滑剤が前記潤滑空間(15)から前記貯蔵空間(5)に戻され得るように、潤滑剤収集要素(14)に接続可能である、潤滑装置。
  12. シリンダ内で往復運動できるように構成されたピストンを有する大型エンジンのシリンダの潤滑方法において、
    前記ピストン(1)の送り込み部(7)が、前記ピストン(1)の運動中、潤滑剤源(2)の充填装置(22)に接続され、
    潤滑剤が、前記潤滑剤源(2)から前記送り込み部(7)を介して前記ピストン(1)の貯蔵空間(5)の中へ導かれ、
    前記ピストンの前記送り込み部(7)と前記充填装置(22)との間の接続が、前記ピストン(1)の運動によって切り離され、その後、前記潤滑剤が、前記貯蔵空間(5)から供給通路(6)を介してピストン側壁(16)上の潤滑位置(61)に移動される、潤滑方法。
  13. 前記ピストン(1)がその運動の上死点又は下死点に位置しているときに、前記潤滑剤が、前記ピストン(1)の前記貯蔵空間(5)に導かれる、請求項12に記載された潤滑方法。
  14. 前記潤滑剤が、潤滑剤除去装置(40)によって前記貯蔵空間から除去される、請求項12に記載された潤滑方法。
  15. 請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載されたピストンを有するか、又は、請求項11に記載された潤滑装置を有するか、又は、請求項12から請求項14までのいずれか一項に記載された方法を用いて作動される大型エンジン。
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