JP2011017281A - 作業車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低負荷(無負荷)時に、燃費が低くエンジン効率が高い領域でエンジンを稼動できるようにすることを課題とする。
【解決手段】低負荷のときの最大エンジン回転速度Nlimが高負荷のときの最大エンジン回転速度よりも低く設定される。高負荷のときのポンプ容量qが低負荷のときのポンプ容量qよりも低く設定される。これら最大エンジン回転速度およびポンプ容量qは、トルク線図上の最大トルク線Rを越えることなくトルク線図上の燃料消費率が低い領域でマッチングが行われるように、設定されている。そして、現在の作業機負荷PLに対応する設定最大エンジン回転速度によって、現在のアクセル操作量Saに対応するエンジン回転速度Nを制限しつつ、現在のアクセル操作量Saに対応するエンジン回転速度Nが得られ、現在の作業機負荷PLに対応するポンプ容量qが得られるようにエンジン調整手段およびポンプ調整手段が制御される。
【選択図】図3

Description

本発明は、フォークリフト等の作業車両の制御装置に関し、特にエンジンおよび油圧ポンプを制御する装置に関するものである。
作業車両としてのフォークリフトには、作業機としてのマストおよびフォークが設けられている。作業機操作レバーの操作に応じて作業機が駆動されマストがチルトされたりフォークがリフトされたりして、フォークに載せられた積荷の位置、姿勢を所望の位置、姿勢に変化させることができる。
フォークリフトは、フォーク上に積荷を載せている負荷時と積荷を載せていない無負荷時とで、作業機にかかる負荷の大きさの差が大きい。しかしながら、負荷の差が大きい場合であってもオペレータに操作感覚の違いを感じさせないこと、つまり負荷時と無負荷時で作業機の作動速度を同一にすることが、操作性を高める上で必要となる。
従来にあっては、フォークリフトは、エンジンによって固定容量型の油圧ポンプを駆動して油圧ポンプから作動油を作業機に供給して作業機を駆動する構成がとられていた。 この場合、負荷時と無負荷時で、固定容量型油圧ポンプの容量は同じである。このため負荷時と無負荷時とで、同一の流量の作動油を作業機に供給して同一の作動速度で作業機を駆動するには、負荷時と無負荷とでエンジン回転速度を同等にすることが必要となる(作動油供給流量=ポンプ容量×エンジン回転速度)。たとえばアクセルペダルの開度が同一(たとえばアクセルペダルが最大踏み込み操作量)であれば、負荷時と無負荷時でエンジンは同じ回転速度で回転する。
フォークリフトにおいて、作業機に作動油を供給する油圧ポンプに可変容量型を使用するという発明は、下記の特許文献1に記載されている。
特開2005-106124号公報
図2(a)は、エンジンのトルク線図を示しており、横軸にエンジン回転速度N(rVm;rev/min)をとり、縦軸にトルクT(N・m)をとっている。
図2(a)において、最大トルク線Rで規定される領域がエンジンが出し得る最大性能を示す。
負荷が大きくなるにつれて、エンジンの出力馬力とポンプ吸収馬力とが釣り合うマッチング点が高馬力側に移動する。
エンジンの出力の制御はシリンダ内へ噴射する燃料量を調整することで行われる。この調整は、エンジンの燃料噴射ポンプに付設したガバナを制御することで行なわれる。アクセルペダルの踏み込み量に応じて目標エンジン回転速度が定まる。ガバナは、目標エンジン回転速度が維持されるように、負荷に応じてエンジン回転数Nと燃料噴射量(トルクT)を調整する。ガバナは、目標回転速度と実際のエンジン回転速度との差がなくなるように燃料噴射量を増減する。
たとえば作業機が高負荷のときにアクセルペダルを全開にすると、図2(a)に示す最高速レギュレーションラインL1(エンジン回転速度NHI)上の定格点付近の高トルク点V1でマッチングする。高負荷のときの等馬力曲線は図2(a)上、VL1となる。
これに対して低負荷(無負荷)のときにアクセルペダルを全開にすると、高負荷時と同じく最高速レギュレーションラインL1(エンジン回転速度はNHIにほぼ等しい)上にあってマッチング点V1よりも低い低トルク点V2でマッチングする。低負荷のときの等馬力曲線は図2(a)上、VL2となる。
ここで、図2(a)のトルク線図上に、等燃費曲線を描くと破線Mで示すごとくなる。なお、本明細書において、燃費(燃料消費率)とは、1時間、エンジン出力1kW当たりの燃料の消費量のことをいい、エンジンの効率の一指標である。
図2(a)に示すように、等燃費曲線Mの谷となるM1で燃費が最小(エンジン効率最大)となり、燃費最小点M1から外側に向かうにつれて燃費が大きく(エンジン効率が低く)なる。
図2(a)から明かなように、低負荷時には、等燃費曲線M上の燃費最小点M1から遠ざかり、燃費が大きく、エンジン効率が低いマッチング点V2でエンジンが稼動することがわかる。
このように、従来にあっては、低負荷(無負荷)時には、燃費が悪くエンジン効率が悪い条件でエンジンを稼動させることとなっていた。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、従来と同様に負荷の大きさにかかわらずに作業機を同一の速度で駆動できるようにしながらも、低負荷(無負荷)時に、燃費が低くエンジン効率が高い領域でエンジンを稼動できるようにすることを課題とするものである。
そこで、第1発明では、
エンジンによって駆動され作業機に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプが備えられ、エンジン回転速度の軸とトルクの軸を持つエンジンのトルク線図上で、マッチングが行われるようにエンジンおよび可変容量型油圧ポンプを制御する作業車両の制御装置において、
エンジンの回転速度および出力トルクを調整するエンジン調整手段と、
可変容量型油圧ポンプの容量を調整するポンプ調整手段と、
作業機の負荷を検出する作業機負荷検出手段と、
アクセル操作手段と、
トルク線図上の最大トルク線を越えることなくトルク線図上の燃料消費率が低い領域でマッチングが行われるように、低負荷のときの最大エンジン回転速度が高負荷のときの最大エンジン回転速度よりも低く設定されるとともに、高負荷のときのポンプ容量が低負荷のときのポンプ容量よりも低く設定され、
アクセル操作手段のアクセル操作量と、作業機負荷検出手段の検出作業機負荷を入力し、現在の作業機負荷に対応する設定最大エンジン回転速度によって、現在のアクセル操作量に対応するエンジン回転速度を制限しつつ、現在のアクセル操作量に対応するエンジン回転速度が得られ、現在の作業機負荷に対応するポンプ容量が得られるようにエンジン調整手段およびポンプ調整手段を制御する制御手段と
が備えられたことを特徴とする。
第2発明は、第1発明において、
可変容量型油圧ポンプから作業機に供給される作動油の流量を制御する操作弁と、
操作弁の開口を操作する操作弁操作手段と
が備えられ、
制御手段では、
操作弁操作手段の操作弁操作量に対応して、操作弁操作量が小さくなるほど最大エンジン回転速度が小さくなるように最大エンジン回転速度が設定され、
制御手段は、
操作弁操作手段の操作弁操作量を入力し、現在の操作弁操作量に対応する設定最大エンジン回転速度によって、現在のアクセル操作量に対応するエンジン回転速度を制限しつつ、現在のアクセル操作量に対応するエンジン回転速度が得られるようにエンジン調整手段を制御するものであること
を特徴とする。
第3発明は、第2発明において、
最大エンジン回転速度およびポンプ容量は、負荷の大きさによらずに、ポンプ吐出流量が一定若しくは略一定若しくは高負荷時の方が低負荷時よりも低くなるように設定されていること
を特徴とする。
第1発明によれば、図3(a)、(b)に示すように、低負荷のときの最大エンジン回転速度Nlimが高負荷のときの最大エンジン回転速度Nlimよりも低く設定される。高負荷のときのポンプ容量qが低負荷のときのポンプ容量qよりも低く設定される。これら最大エンジン回転速度Nlimおよびポンプ容量qは、トルク線図上の最大トルク線Rを越えることなくトルク線図上の燃料消費率が低い領域でマッチングが行われるように、設定されている。そして、現在の作業機負荷PLに対応する設定最大エンジン回転速度Nlimによって、現在のアクセル操作量Saに対応するエンジン回転速度Nを制限しつつ、現在のアクセル操作量Saに対応するエンジン回転速度Nが得られ、現在の作業機負荷PLに対応するポンプ容量qが得られるようにエンジン調整手段およびポンプ調整手段が制御される。
このため、図2(b)に示すように、作業機負荷PLが低負荷のときには等馬力曲線VL2上において、従来のマッチング点V2から、エンジン回転速度Nが低く高トルクのマッチング点V3に移行する。これによりエンジンからみると低負荷時には従来よりも高トルク、低回転域で油圧ポンプを駆動することになる。よって低負荷時には、従来よりも等燃費曲線M上で燃費最小点M1に近づき、燃料消費率が低い領域でエンジンが稼動することになる。この結果、燃費が小さくなり、エンジン効率が高くなる。
このように本発明によれば、低負荷(無負荷)時に従来よりも燃費が低くエンジン効率が高い条件でエンジンを稼動させることができる。
一方、高負荷のときには、エンジン回転速度Nは従来と同様に高いままであり、ポンプ容量qは低負荷のときよりも低く設定される(図3(a)、(b))。このため、高負荷のときには等馬力曲線VL1上において、従来のマッチング点V1から、エンジン回転速度Nが低く高トルクの領域に移行することが抑制される。これによりマッチング点が最大トルク線Rを超えることが抑制され、高負荷時におけるエンストを防止することができる。
さらに、本発明では、低負荷のときの最大エンジン回転速度Nlimが高負荷のときの最大エンジン回転速度Nlimよりも低く設定されている。また高負荷のときのポンプ容量qが低負荷のときのポンプ容量qよりも低く設定されている。これにより高負荷時と低負荷時で可変容量型油圧ポンプの吐出流量Qが同等若しくは略同等となる(図3(a)、(b)において、Q=Nlim×qが高負荷時と低負荷時とで同一若しくは略同一となる)。
このため従来と同様に、負荷時と無負荷時とで作業機の作動速度を同一にすることができる。これにより負荷の差が大きい場合であってもオペレータに操作感覚の違いを感じさせないようにすることができ、従来と同様に高い操作性を維持することができる。
第2発明によれば、図4に示すように操作弁操作手段の操作弁操作量Stに対応して、操作弁操作量Stが小さくなるほど最大エンジン回転速度Nlimが小さくなるように最大エンジン回転速度Nlimが設定される。そして、現在の操作弁操作量Stに対応する設定最大エンジン回転速度Nlimによって、現在のアクセル操作量Saに対応するエンジン回転速度Nを制限しつつ、現在のアクセル操作量Saに対応するエンジン回転速度Nが得られるようにエンジン調整手段が制御される。なお、ポンプ容量qは、操作弁操作手段の操作弁操作量Stの大きさによらずに、負荷PLで定まる一定値となる(図5(b))。
このため、図5(a)に示すように、操作弁操作手段の操作弁操作量Stが大きくなるほど最大エンジン回転速度Nlimが徐々に上昇するが、図5(b)に示すようにポンプ容量qは操作弁操作量St如何にかかわらず一定値のままとなる。このため操作弁操作量Stを徐々に大きくしていくと、図2(b)のトルク線図上、LN1で示すごとく、ポンプ容量qが一定値を保持したままエンジン回転速度Nが徐々に増加することとなり、等燃費曲線M上、燃費最小点M1に近い、燃料消費率が低い領域を通ってマッチング点を移動させることができる。この結果、燃費が小さくなり、エンジン効率が高い領域で操作弁を操作することができる。
本発明によれば、油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれていない場合、油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれている場合のいずれの場合にもロードセンシング制御に合致した制御が行なわれる。
(油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれていない場合)
さて、一般的に、可変容量型油圧ポンプから作業機に供給される作動油の流量を、操作弁操作手段の操作により調整しようとする場合、操作弁操作手段の操作上の操作感覚を向上させるためにロードセンシング制御が行なわれる。
すなわち、作業機の負荷圧をPL、可変容量型油圧ポンプの吐出圧をPpとしたとき、つぎの公式が成立する。
Q=k・A√(PL−Pp)=k・A√(ΔP)
上記式において、Qは、作業機に供給される作動油の流量(l/min)、kは、定数、Aは、操作弁の開口量(開口面積)、ΔPは、負荷圧PLと吐出圧をPpとの差圧である。
ロードセンシング制御では、上記式において、負荷の大きさによらずに、ポンプ吐出流量Qが一定若しくは略一定となるように、つまり差圧ΔPが一定と若しくは略一定となるように可変容量型油圧ポンプの容量qを調整するという制御のことである。これにより負荷の大きさによって作業機の作動速度に違いが生じて操作感覚上違和感が生じるということがなくなる。
よって、油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれていない場合に、ロードセンシング制御と同等の制御を実現するには、上記式に示すように、差圧ΔPを一定とし、操作弁の開口量Aが同じであれば、流量Qを負荷圧PLの大きさによらずに一定にする関係が成立してればよい。また、操作弁の開口量Aの増加に比例して流量Qが増加するという、開口量Aと流量Qの関係が成立していればよい。
本発明では、図3(a)、(b)に示すように、負荷圧PLの大きさ如何にかかわらず、最大エンジン回転速度Nlim、ポンプ容量qの積Nlim×q、つまり流量Qが一定若しくは略一定に設定されている(第3発明)。また図5(a)、(b)に示すように、操作弁操作手段の操作量St、つまり操作弁の開口量Aの増加に比例して流量Q(=Nlim×q)が増加する(第3発明)。よって、ロードセンシング制御と同等の制御が実現されている。なお、操作性を更に向上させるために、高負荷時の方が低負荷時よりも若干流量Qを低く設定することが望ましい。これは一般的に無負荷または低い負荷のときには、早く作業機2を素操作することが望ましく、高負荷であるときはゆっくりと作業機2を操作することが望ましいからである。
(油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれている場合)
油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれている場合に、操作弁操作手段をハーフ操作すると、操作弁の開口が絞られて、絞り前後の差圧ΔPは、設定差圧よりも大きくなり、ロードセンシング制御により差圧ΔPが設定差圧一定になるように、つまり流量Qが一定になるように制御される。この結果、エンジン回転速度Nが大きくなると、ポンプ容量qが小さくなる。これは等燃費曲線M上、燃料消費率が高い領域でエンジンが稼動することを意味する。そこで、等燃費曲線M上、燃料消費率が低く燃費最小点M1により近い領域でエンジンが稼動するように、本発明の制御では、低負荷時にポンプ容量qが最大値qmaxとなるように(トルク最大となるように)、エンジン回転速度Nを定めるようにしている(図3(a)、(b))。こうしてロードセンシング制御が組み込まれた油圧システムにおいても、燃費が小さい、エンジン効率が高い領域で操作弁を操作することができる。
図1は、実施例の作業車両に搭載される装置の構成を示した図である。 図2(a)、(b)はトルク線図を示した図であり、図2(a)は、従来技術に対応する図で、図2(b)は、実施例と比較例に対応する図である。 図3(a)、(b)は、それぞれ負荷圧と最大エンジン回転速度との関係、負荷圧とポンプ容量との関係を示した図である。 図4は、操作弁操作量と最大エンジン回転速度との関係を負荷圧に応じて示した図である。 図5(a)、(b)は、それぞれ操作弁操作量と最大エンジン回転速度との関係、操作弁操作量とポンプ容量との関係を示した図である。 図6は、図5(a)、(b)に対応する図で、比較例を示した図である。
以下、図面を参照して本発明に係る作業車両の制御装置の実施の形態について説明する。
図1は、実施例の作業車両に搭載される装置の構成を示している。
作業車両1は、フォークリフトを想定している。作業車両1には、作業機2としてのマストおよびフォークが設けられている。
可変容量型油圧ポンプ3は、エンジン4によって駆動され、作業機2に作動油を供給する。具体的には、作業機2を駆動する油圧シリンダに作動油が供給される。
図2(b)は、図2(a)と同様に、エンジン4のトルク線図を示しており、横軸にエンジン回転速度N(rVm;rev/min)をとり、縦軸にトルクT(N・m)をとっている。図2(b)のトルク線図上に、等燃費曲線を描くと破線Mで示すごとくなる。
図2(b)において、負荷が大きくなるにつれて、エンジン4の出力馬力と可変容量型油圧ポンプ3の吸収馬力とが釣り合うマッチング点が高馬力側に移動する。最大トルク線Rで規定される領域がエンジンが出し得る最大性能を示す。
エンジン4の出力の制御はシリンダ内へ噴射する燃料量を調整することで行われる。この調整は、エンジン4に燃料を噴射する燃料噴射ポンプ5によって行われる。具体的には、燃料噴射ポンプ5に付設したガバナ5aを制御することで、燃料噴射量の調整が行なわれる。
アクセルペダル6は、運転席に設けられている。アクセルペダル6による踏み込み操作量であるアクセル操作量Saは、アクセル操作量センサ6aにて検出される。アクセル操作量センサ6aで検出されるアクセル操作量Saは、コントローラ7に入力される。
アクセルペダル6の踏み込み量に応じて目標エンジン回転速度が定まる。ガバナ5aは、目標エンジン回転速度が維持されるように、負荷に応じてエンジン回転数Nと燃料噴射量(トルクT)を調整する。ガバナ5aは、目標回転速度と実際のエンジン回転速度との差がなくなるように燃料噴射量を増減する。燃料噴射ポンプ5およびガバナ5aは、エンジン4の回転速度Nおよび出力トルクTを調整するエンジン調整手段を構成する。
コントローラ7は、燃料噴射ポンプ5およびガバナ5aに制御指令を出力する。
可変容量型油圧ポンプ3の容量q、つまりポンプ1回転当たりの吐出量(cc/rev)は、レギュレータ8によって調整される。レギュレータ8は、可変容量型油圧ポンプ3の容量qを調整するポンプ調整手段を構成する。
コントローラ7は、レギュレータ8に制御指令を出力する。
可変容量型油圧ポンプ3と作業機2との間の油路9には、操作弁10が設けられている。操作弁10は、可変容量型油圧ポンプ3から作業機2に供給される作動油の流量および作動油の方向を制御する。
操作弁10と作業機2との間の油路9には、負荷圧センサ12が設けられている。負荷圧センサ12では、作業機2の負荷圧PL、具体的には作業機油圧シリンダ内の油室内の作動油の圧力PLが検出される。負荷圧センサ12で検出される負荷圧PLは、コントローラ7に入力される。負荷圧センサ12は、作業機負荷検出手段を構成する。
操作弁9の開口は、作業機操作レバー13によって操作される。作業機操作レバー13は、運転席に設けられている。作業機操作レバー13の操作弁操作量Stが大きくなるほど、操作弁9の開口量Aが増加する。
作業機操作レバー13は、運転席に設けられている。作業機操作レバー13による操作弁操作量Stは、操作弁操作量センサ13aにて検出される。操作弁操作量センサ13aで検出される操作弁操作量Stは、コントローラ7に入力される。
コントローラ7には、図3、図4、図5に示す内容が記憶されている。
図3(a)は、負荷圧PLと最大エンジン回転速度Nlimとの関係を示している。図3(a)は、作業機操作レバー13がフルレバー位置まで操作されたとき、つまり操作弁操作量Stが最大ストロークとなったときの関係を代表して示している。
最大エンジン回転速度Nlimは、対応する負荷圧PLの値のときにエンジン4が出し得る回転速度の上限値(リミット値)のことであり、そのときのアクセル操作量Saに対応する回転速度はこの最大回転速度以下に制限される。最大エンジン回転速度Nlimは、負荷圧PLが無負荷に相当する圧力となっているとき所定の低回転速度Nminをとり、以後負荷圧PLの上昇に伴い徐々に増加して最大値NHi(ハイアイドル回転速度)をとる。そして負荷圧PLがリリーフ圧に達すると、最小値NLi(ローアイドル回転速度)をとる。
図3(b)は、負荷圧PLとポンプ容量qとの関係を示している。図3(b)は、作業機操作レバー13がフルレバー位置まで操作されたとき、つまり操作弁操作量Stが最大ストロークとなったときの関係を代表して示している。ポンプ容量qは、対応する負荷圧PLの値のときの可変容量型油圧ポンプ3の容量のことである。ポンプ容量qは、負荷圧PLが無負荷に相当する圧力となっているとき最大容量qMaxをとり、以後負荷圧PLの上昇に伴い徐々に減少して所定の低容量q0に達する。そして負荷圧PLがリリーフ圧に達すると、最小容量qMin、つまりほぼ0の値をとる。
このようにコントローラ7では、低負荷のときの最大エンジン回転速度Nlimが高負荷のときの最大エンジン回転速度Nlimよりも低くなるように設定されている。また高負荷のときのポンプ容量qが低負荷のときのポンプ容量qよりも低くなるように設定されている。
これら最大エンジン回転速度Nlimおよびポンプ容量qは、図2(b)に示すトルク線図上の最大トルク線Rを越えることなくトルク線図上の燃料消費率が低い領域、つまり等燃費曲線M上、燃費最小点M1に近い、燃料消費率が低い領域でマッチングが行われるように設定されている。さらに、最大エンジン回転速度Nlimおよびポンプ容量qは、高負荷時と低負荷時とで可変容量型油圧ポンプ3の吐出流量Qが同等若しくは略同等となるように、設定されている。すなわち図3(a)、(b)において、流量Q=Nlim×qが高負荷時と低負荷時とで同一若しくは略同一となるように最大エンジン回転速度Nlimおよびポンプ容量qが定められている。
コントローラ7は、現在の負荷圧PLに対応する設定最大エンジン回転速度Nlimによって、現在のアクセル操作量Saに対応するエンジン回転速度Nを制限しつつ、現在のアクセル操作量Saに対応するエンジン回転速度Nが得られ、現在の負荷圧PLに対応するポンプ容量qが得られるように燃料噴射ポンプ5およびガバナ5a並びにレギュレータ8を制御する。
また、コントローラ7には、図4に示すように、操作弁操作レバー13の操作弁操作量Stに対応して、最大エンジン回転速度Nlimが設定されている。すなわち、操作弁操作レバー13の操作弁操作量Stに対応して、操作弁操作量Stが小さくなるほど最大エンジン回転速度Nlimが小さくなるように最大エンジン回転速度Nlimが設定されている。ただし、その特性LSは、負荷圧PLの大きさによって変動する。負荷圧PLが小さくなるほど最大エンジン回転速度Nlimが小さくなり、特性LSの傾きが図4中で小さくなる。負荷圧PLに応じた特性LSの変化は、図3(a)に示される関係にしたがう。図3(a)は、作業機操作レバー13がフルレバー位置まで操作されたとき、つまり操作弁操作量Stが最大ストロークとなったときの関係を代表して示したものである。
負荷圧PLを固定したときの操作弁操作量Stと最大エンジン回転速度Nlimの関係を、図5(a)に示している。
一方、図5(b)に示すように、ポンプ容量qは、操作弁操作レバー13の操作弁操作量Stの大きさによらずに、負荷で定まる一定値のままとなる特性LPを呈する。ただし、負荷圧PLに応じた特性LPの変化は、図3(b)に示される関係にしたがう。図3(b)は、作業機操作レバー13がフルレバー位置まで操作されたとき、つまり操作弁操作量Stが最大ストロークとなったときの関係を代表して示したものである。
コントローラ7は、現在の操作弁操作量Stに対応する設定最大エンジン回転速度Nlimによって、現在のアクセル操作量Saに対応するエンジン回転速度Nを制限しつつ、現在のアクセル操作量Saに対応するエンジン回転速度Nが得られるように燃料噴射ポンプ5およびガバナ5aを制御する。
本実施例によれば、油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれていない場合、油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれている場合のいずれの場合にもロードセンシング制御に合致した制御が行なわれる。
(油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれていない場合)
可変容量型油圧ポンプ3から作業機2に供給される作動油の流量Qを、操作弁操作レバー13の操作により調整しようとする場合、操作弁操作レバー13の操作上の操作感覚を向上させるために一般的にロードセンシング制御が行なわれる。
すなわち、作業機の負荷圧をPL、可変容量型油圧ポンプの吐出圧をPpとしたとき、つぎの公式が成立する。
Q=k・A√(PL−Pp)=k・A√(ΔP)
上記式において、Qは、作業機に供給される作動油の流量(l/min)、kは、定数、Aは、操作弁の開口量(開口面積)、ΔPは、負荷圧PLと吐出圧をPpとの差圧である。
ロードセンシング制御では、上記式において、負荷の大きさによらずに、ポンプ吐出流量Qが一定若しくは略一定となるように、つまり差圧ΔPが一定と若しくは略一定となるように可変容量型油圧ポンプの容量qを調整するという制御のことである。これにより負荷の大きさによって作業機の作動速度に違いが生じて操作感覚上違和感が生じるということがなくなる。
よって、油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれていない場合に、ロードセンシング制御と同等の制御を実現するには、上記式に示すように、差圧ΔPを一定とし、操作弁の開口量Aが同じであれば、流量Qを負荷圧PLの大きさによらずに一定にする関係が成立してればよい。また、操作弁の開口量Aの増加に比例して流量Qが増加するという、開口量Aと流量Qの関係が成立していればよい。
本実施例では、図3(a)、(b)に示すように、負荷圧PLの大きさ如何にかかわらず、最大エンジン回転速度Nlim、ポンプ容量qの積Nlim×q、つまり流量Qが一定若しくは略一定に設定されている。また図5(a)、(b)に示すように、操作弁操作手段の操作量St、つまり操作弁の開口量Aの増加に比例して流量Q(=Nlim×q)が増加する。よって、ロードセンシング制御と同等の制御が実現されている。
(油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれている場合)
油圧システムにロードセンシング制御装置が組み込まれている場合に、操作弁操作手段をハーフ操作すると、操作弁の開口が絞られて、絞り前後の差圧ΔPは、設定差圧よりも大きくなり、ロードセンシング制御により差圧ΔPが設定差圧一定になるように、つまり流量Qが一定になるように制御される。この結果、エンジン回転速度Nが大きくなると、ポンプ容量qが小さくなる。これは等燃費曲線M上、燃料消費率が高い領域でエンジンが稼動することを意味する。そこで、等燃費曲線M上、燃料消費率が低く燃費最小点M1により近い領域でエンジンが稼動するように、本実施例の制御では、低負荷時にポンプ容量qが最大値qmaxとなるように(トルク最大となるように)、エンジン回転速度Nを定めるようにしている(図3(a)、(b))。こうしてロードセンシング制御が組み込まれた油圧システムにおいても、燃費が小さい、エンジン効率が高い領域で操作弁を操作することができる。
以下、コントローラ7で行われる処理について更に詳細に説明する。
コントローラ7には、負荷圧PLと操作弁操作量Stが入力される。そして、現在の負荷圧PLと現在の操作弁操作量Stに対応する最大エンジン回転速度Nlimおよびポンプ容量qが図3(a)、(b)、図4に示す関係に基づき求められる。
コントローラ7には、アクセル操作量Saが入力される。そして、アクセル操作量Saに対応する目標エンジン回転速度Nが求められる。
つぎに、最大エンジン回転速度Nlimと目標エンジン回転速度Nを対比し、いずれか小さい方を選択する。すなわち、最大エンジン回転速度Nlimによって制限された目標エンジン回転速度Nを算出する。
つぎにポンプ容量qを得るために必要な制御指令を生成してレギュレータ8に制御指令として出力する。また最大エンジン回転速度Nlimによって制限された目標エンジン回転速度Nを得るために必要な制御指令を生成して燃料噴射ポンプ5およびガバナ5aに出力する。
(低負荷(無負荷を含む)の場合)
たとえば、アクセルペダル6が最大に踏み込まれアクセル操作量Saが最大となっており、作業機操作レバー13がフルストロークまで操作され操作弁操作量Stが最大となっているときには、エンジン4は、現在の低負荷圧PLに応じて図3(a)に示す低エンジン回転速度Nminで回転する。同様に可変容量型油圧ポンプ3は、現在の負荷圧PLに応じて図3(b)に示す大容量qmaxで作動油を吐出する。
よってエンジン出力馬力とポンプ吸収馬力は、図2(b)に示すごとくトルク線図上でマッチングする。すなわち、図2(b)に示すように、負荷圧PLが低圧のときには等馬力曲線VL2上において、従来のマッチング点V2から、エンジン回転速度Nが低く(Nmin)高トルク(qmax)のマッチング点V3に移行する。これによりエンジン4からみると低負荷時には従来よりも高トルク、低回転域で可変容量型油圧ポンプ3を駆動することになる。よって低負荷時には、従来よりも等燃費曲線M上で燃費最小点M1に近づき、燃料消費率が低い領域でエンジン4が稼動することになる。この結果、燃費が小さくなり、エンジン効率が高くなる。
このように本実施例によれば、低負荷(無負荷)時に従来よりも燃費が低くエンジン効率が高い条件でエンジン4を稼動させることができる。
(高負荷の場合)
一方、高負荷のときには、エンジン回転速度Nは従来と同様に高い回転速度NHiのままであり、低負荷のときの値Nminよりも高い回転速度NHiで回転する。また、ポンプ容量qは、低負荷のときの値qmaxよりも低い値q0に設定され、その低容量q0で駆動される。このため、高負荷のときには等馬力曲線VL1上において、従来のマッチング点V1から、エンジン回転速度Nが低く高トルクの領域に移行することが抑制され、最大トルク線Rの範囲内の点でマッチングする。これによりマッチング点が最大トルク線Rを超えることが抑制され、高負荷時におけるエンストを防止することができる。
さらに、本実施例では、高負荷時と低負荷時とで可変容量型油圧ポンプ3の吐出流量Qが同等若しくは略同等となるように、最大エンジン回転速度Nlim、ポンプ容量qが定められている(図3(a)、(b)において、Q=Nlim×qが高負荷時と低負荷時とで同一若しくは略同一となっている)。よって、高負荷時と低負荷時とで流量Qを同一とするが、更に操作性を向上させるためには、高負荷時の方が低負荷時よりも若干流量Qを低く設定することが望ましい。これは一般的に無負荷または低い負荷のときには、早く作業機2を操作することが望ましく、高負荷であるときはゆっくりと作業機2を操作することが望ましいからである。
このため従来と同様に、負荷時と無負荷時で作業機2の作動速度を同一にすることができる。これにより負荷の差が大きい場合であってもオペレータに操作感覚の違いを感じさせないようにすることができ、従来と同様に高い操作性を維持することができる。
(作業機操作レバー13が中立位置から操作された場合)
作業機操作レバー13が中立位置からハーフ操作を経てフル操作される場合は、図4に示すごとく、その操作弁操作量Stの大きさに応じて、同図4に示す特性LSにしたがって最大エンジン回転速度Nlimが変化する。この結果、たとえば、アクセルペダル6が最大に踏み込まれアクセル操作量Saが最大となっているときには、エンジン4は、作業機操作レバー13の操作弁操作量Stが増加するに応じて図5(a)に示すごとく最大エンジン回転速度Nlimが上昇する。一方、可変容量型油圧ポンプ3は、作業機操作レバー13の操作弁操作量St如何にかかわらず図5(b)に示す特性LPにしたがい一定のポンプ容量qで作動油を吐出する。
このため作業機操作レバー13を中立位置から操作して操作弁操作量Stを徐々に大きくしていくと、図2(b)のトルク線図上、LN1で示すごとく、ポンプ容量qが一定値を保持したままエンジン回転数Nが徐々に増加することとなり、等燃費曲線M上、燃費最小点Mに近い、燃料消費率が低い領域を通ってマッチング点を移動させることができる。この結果、燃費が小さくなり、エンジン効率が高い領域で操作弁を操作することができる。
ここで、本実施例の作用効果と対比するために、比較例を図6に掲げる。図6は、本発明の制御なしで、ロードセンシング制御を行なった場合を示している。図6は、図5と同様にアクセルペダル6が最大に踏み込まれアクセル操作量Saが最大となっているときのエンジン回転速度N、ポンプ容量qを、操作弁操作量Stの変化に対応させて示したものである。
図6(a)に示すように、アクセルペダル6が最大に踏み込まれアクセル操作量Saが最大となっているときには、エンジン回転数Nは、操作弁操作量St如何にかかわらず一定値をとる。一方、操作弁操作量Stが小さいときには負荷圧PLが小さく差圧ΔPを一定値にするためにポンプ容量qは小さくなる。また操作弁操作量Stが大きいときには負荷圧PLが大きく差圧ΔPを一定値にするためにポンプ容量qは大きくなる。このため図6(b)に示すようにポンプ容量qは、操作弁操作レバー13の操作弁操作量Stが増加するに伴い、大きくなる特性を呈する。
このため比較例の場合、作業機操作レバー13を中立位置から操作して操作弁操作量Stを徐々に大きくしていくと、図2(b)のトルク線図上、LN2で示すごとく、エンジン回転数Nが一定値を保持したままポンプ容量qが徐々に増加することとなり、等燃費曲線M上、燃費最小点M1に遠ざかっている位置から徐々に燃費最小点M1が近づくこととなり、燃料消費率が高い領域を通ってマッチング点が移動することになる。この結果、本実施例と比べて燃費が大きくなりエンジン効率が低い領域で操作弁を操作することになる。
このように比較例との対比でもわかるように本実施例によれば、燃費が小さくなりエンジン効率が高い領域でエンジン4を稼動させることができる。
1 作業車両、2 作業機、3 可変容量型油圧ポンプ、4 エンジン、5 燃料噴射ポンプ、5a ガバナ、6 アクセルペダル、7 コントローラ、8 レギュレータ、10 操作弁、12 負荷圧センサ、13 作業機操作レバー

Claims (3)

  1. エンジンによって駆動され作業機に作動油を供給する可変容量型油圧ポンプが備えられ、エンジン回転速度の軸とトルクの軸を持つエンジンのトルク線図上で、マッチングが行われるようにエンジンおよび可変容量型油圧ポンプを制御する作業車両の制御装置において、
    エンジンの回転速度および出力トルクを調整するエンジン調整手段と、
    可変容量型油圧ポンプの容量を調整するポンプ調整手段と、
    作業機の負荷を検出する作業機負荷検出手段と、
    アクセル操作手段と、
    トルク線図上の最大トルク線を越えることなくトルク線図上の燃料消費率が低い領域でマッチングが行われるように、低負荷のときの最大エンジン回転速度が高負荷のときの最大エンジン回転速度よりも低く設定されるとともに、高負荷のときのポンプ容量が低負荷のときのポンプ容量よりも低く設定され、
    アクセル操作手段のアクセル操作量と、作業機負荷検出手段の検出作業機負荷を入力し、現在の作業機負荷に対応する設定最大エンジン回転速度によって、現在のアクセル操作量に対応するエンジン回転速度を制限しつつ、現在のアクセル操作量に対応するエンジン回転速度が得られ、現在の作業機負荷に対応するポンプ容量が得られるようにエンジン調整手段およびポンプ調整手段を制御する制御手段と
    が備えられたことを特徴とする作業車両の制御装置。
  2. 可変容量型油圧ポンプから作業機に供給される作動油の流量を制御する操作弁と、
    操作弁の開口を操作する操作弁操作手段と
    が備えられ、
    制御手段では、
    操作弁操作手段の操作弁操作量に対応して、操作弁操作量が小さくなるほど最大エンジン回転速度が小さくなるように最大エンジン回転速度が設定され、
    制御手段は、
    操作弁操作手段の操作弁操作量を入力し、現在の操作弁操作量に対応する設定最大エンジン回転速度によって、現在のアクセル操作量に対応するエンジン回転速度を制限しつつ、現在のアクセル操作量に対応するエンジン回転速度が得られるようにエンジン調整手段を制御するものであること
    を特徴とする請求項1記載の作業車両の制御装置。
  3. 最大エンジン回転速度およびポンプ容量は、負荷の大きさによらずに、ポンプ吐出流量が一定若しくは略一定若しくは高負荷時の方が低負荷時よりも低くなるように設定されていること
    を特徴とする請求項2記載の作業車両の制御装置。
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