本発明に係る画像処理装置は、例えば、2台以上のカメラによって測定対象物を測定し、得られた画像を処理して測定対象物上の注目点を通る各カメラの視線方程式を求めることによって測定対象物の形状を測定する3次元形状測定装置や、1台のカメラによって測定対象物を時系列に測定し、得られた画像を処理して、測定対象物の移動量を求めたり、予め登録された測定対象物の画像と測定した画像とを比較する装置などに適用される。
以下、本発明に係る画像処理装置が、2台のカメラ(ステレオカメラとも称する)を用いて測定対象物を測定し、得られたステレオ画像を処理して測定対象物の3次元形状を測定する3次元測定装置に適用される実施形態について図面を参照して説明する。なお、説明のために図面には適宜座標軸を記載している。
<3次元形状測定装置>
図1は、実施形態に係る画像処理装置3Aを用いた3次元形状測定装置1Aの概略構成を示す図である。
図1に示されるように、3次元形状測定装置1Aは、2眼のステレオカメラ2と、ステレオカメラ2に対してデータ伝送可能に接続する画像処理装置3Aとを備えている。
2眼のステレオカメラ2には、それぞれ撮像素子を有する2つの撮像系21、22が設けられている。撮像系21、22は、ほぼ同等の光学的特性と電気的特性を有しており、所定方向に沿って離隔配置され、カメラ正面の測定対象物OBを、同期されつつ同じタイミングで異なる視点から撮像するように構成されている。撮像系21、22によって同じタイミングで撮像される2画像は、いわゆるステレオ画像であり、データ線DLを介して画像処理装置3Aに送信される。
ここで、ステレオ画像を構成する2画像のうち、撮像系21によって撮像されて取得される画像を、適宜「基準画像」と称し、撮像系22によって撮影されて取得される画像を、適宜「参照画像」と称する。
また、撮像系21、22の焦点距離、主点位置、歪曲収差および基線長などのカメラパラメータは、予め校正されており、該カメラパラメータによって撮像系21、22の撮像素子に結像した測定対象物OBの像上の点と、撮像系の主点とを通るカメラ視線方程式が決定される。
画像処理装置3Aは、先ず、測定対象物OBに関する基準画像BITと参照画像RITとを階層的に繰り返し低解像度化することにより、基準画像BITと参照画像RITとのそれぞれについて、解像度の異なる複数の画像から構成される多重解像度画像を作成し、該多重解像度画像を用いて基準画像BIT上の注目点に対応する参照画像RIT上の対応点を探索する対応点探索処理を行う。
次に、画像処理装置3Aは、探索された注目点と対応点の座標情報と、撮像系21、22のカメラパラメータとを用いて、注目点と対応点に関するカメラ視線方程式を作成し、この方程式を連立させて解くことによって注目点に対応する測定対象物OBの点の3次元座標を求める3次元化処理を行う。画像処理装置3Aは、複数の注目点について、対応点探索処理と3次元化処理を行うことによって測定対象物OBの3次元形状を算出する。
ここで、3次元形状測定装置1Aにはステレオカメラが設けられているが、例えば、3個以上のカメラが設けられる場合には、3次元形状測定装置に入力される入力画像のうちの1の入力画像が基準画像、他の入力画像が参照画像として取得され、ステレオカメラ使用時と同様の処理が行われて測定対象物OBの3次元形状が求められる。
<画像処理装置3Aの機能説明>
図2は、実施形態に係る画像処理装置3Aの要部の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示されるように、画像処理装置3Aは、操作部4、表示部5、通信部6、入出力部7、記憶部9、画像取得部10、多重解像度画像作成部11、探索基準点設定部12、対応点探索部13、信頼度算出部14、信頼度判定部15および制御部16を備えており、これらの機能ブロックによって基準画像BITと参照画像RITに関する多重解像度画像作成、対応点探索および3次元化処理などを行う。
以下、画像処理装置3Aの操作部4から制御部16について説明する。
◎操作部4〜記憶部9:
操作部4は、例えば、キーボード、マウスおよび操作ボタンなどを備えて構成されており、制御部16への操作信号の入力や、画像処理装置3Aの各部に関する解像度変倍率RRと探索分解能SRなどの制御パラメータの設定などの用途に使用され、設定された制御パラメータは、制御部16によって、記憶部9に記憶される。
表示部5は、例えば液晶ディスプレイで構成されて動画などを表示可能であり、撮像されたステレオ画像や生成された3次元画像などの画像情報や、各種メッセージなどが表示部5に表示される。また、制御パラメータ設定用の情報も表示部5に表示される。
通信部6は、LANやインターネットに接続するためのインタフェースであり、例えばネットワークアダプタなどで構成される。
入出力部7は、例えばマルチメディアドライブを備えて構成され、光ディスクなどの記憶媒体8を受け付け、制御部16との間でデータの授受を行うものである。画像処理装置3Aが処理するステレオ画像は、ステレオカメラ2から直接入力されるだけでなく、通信部6や、入出力部7によって、記憶媒体8や、ネットワーク経由でも入力され得る。
記憶部9は、例えばハードディスク、ROMおよびRAMなどを備えて構成されており、画像処理装置3Aの各部が出力する情報、画像処理装置3Aの各部を制御するために設定された制御パラメータ、校正されたカメラパラメータおよび制御プログラムなどの恒久的な記憶と、各種情報の一時的な記憶とに使用される。
ここで、制御パラメータは、例えば、多重解像度画像の階層数T、解像度変倍率RR、基準ウィンドウと参照ウィンドウの水平と垂直方向のサイズであるウィンドウサイズWXとWY、対応点探索処理における分解能(「探索分解能」とも称する)SRおよびピクセル対応点探索処理の信頼度を判定するための閾値TH1などである。
なお、以下に説明する画像取得部10、多重解像度画像作成部11、探索基準点設定部12、対応点探索部13、信頼度算出部14、信頼度判定部15および制御部16は、CPUで所定のプログラムを実行することで実現しても良いし、専用のハードウェア回路を用いて実現しても良い。
◎画像取得部10:
画像取得部10は、基準カメラ21の撮影する画像と参照カメラ22が撮影する画像とを取得し、それぞれ基準画像BITおよび参照画像RITとして、記憶部9に記憶する。ここで、基準画像BITおよび参照画像RITは、例えば、複数の画素がマトリックス状に配列され、各画素の画素値が所定の階調数で表現されたデジタル画像データである。
◎多重解像度画像作成部11:
多重解像度画像作成部11は、基準画像BITおよび参照画像RITに多段階の低解像度化処理を施すことによって基準画像BITの多重解像度画像である多重解像度基準画像MBと、参照画像RITの多重解像度画像である多重解像度参照画像MRとを作成し、記憶部9に記憶する。
図3は、多重解像度基準画像MBを例示する図であり、図4は、多重解像度参照画像MRを例示する図である。多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRに関して、図3(a)、図4(a)は、それぞれの最上位の基準画像BIT、参照画像RITを、図3(b)、図4(b)は、それぞれ多重解像度基準画像MB、多重解像度参照画像MRの全体を、図3(c)、図4(c)は、それぞれ最下位の基準画像BI1、参照画像RI1を示している。
図3と図4に示されるように、多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRは、それぞれ、解像度が異なる複数の基準画像の集合体と解像度が異なる複数の参照画像の集合体であって、上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように階層的に形成されている。
多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRにおいて、最上位の基準画像BITと参照画像RIT画像は低解像度化されておらず、最下位の基準画像BI1と参照画像RI1画像は、最も解像度が低い画像である。また、多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRの階層数Tは等しく、同一階層の基準画像と参照画像の解像度は同じである。
なお、基準カメラ21が撮影した基準画像であり、多重解像度基準画像MBの最上位の画像でもある低解像度化されていない基準画像BITを「原基準画像」BITとも称し、参照カメラ22が撮影した参照画像であり、多重解像度参照画像MRの最上位の画像でもある低解像度化されていない参照画像RITを「原参照画像」RITとも称する。
また、多重解像度画像の注目する階層(「注目階層」とも称する)の画像に対して、より解像度の高い画像を「上位」(または、「上位階層」)の画像と称し、より解像度の低い画像を「下位」(または、「下位階層」)の画像と称する。さらに、注目階層の画像を低解像度化して1つ下位階層の画像を作成する際の低解像度化の比率を「解像度変倍率」とも称する。
解像度変倍率は、多重解像度画像の隣合う2つの階層の画像のうち、上位階層の画像の水平方向の画素数に対する下位階層の画像の水平方向の画素数の比率として与えられ、また、該上位階層の画像の垂直方向の画素数に対する該下位階層の画像の垂直方向の画素数の比率としても与えられる。通常、これら2種類の比率は同じ値に設定される。
多重解像度画像は、例えば、記憶部9に予め設定保存された解像度変倍率RRおよび階層数Tに従って、多重解像度画像の階層数が階層数Tになるまで解像度変倍率RRによる低解像度化を繰り返すことや、最下層の画像の画素数が所定値以下になるまで解像度変倍率RRによる低解像度化を繰り返すことなどによって作成される。
具体的には、多重解像度画像作成部11は、先ず、多重解像度画像の階層数T、解像度変倍率RRおよび最下層の基準画像BI1、参照画像RI1の画素数などの多重解像度画像作成に関係する制御パラメータと、基準画像BIT、参照画像RITを記憶部9から取得し、基準画像BIT、参照画像RITを、それぞれ注目階層の基準画像(「注目基準画像」とも称する)BIm、注目階層の参照画像(「注目参照画像」とも称する)RImとして設定する(ステップS2)。
注目階層の設定が終了すると、多重解像度画像作成部11は、基準画像BIm、参照画像RITの水平方向、垂直方向の画素数に解像度変倍率RRを乗じて、注目階層の1つ下位階層の基準画像BI(m−1)、参照画像RI(m−1)の水平方向、垂直方向の画素数を求め、基準画像BI(m−1)、参照画像RI(m−1)の記憶領域を記憶部9に確保する(ステップS10)。
記憶領域の確保が終了すると、多重解像度画像作成部11は、基準画像BI(m−1)の1つの画素の画素値を、この画素に対応する基準画像BImの各画素の画素値を平均することなどによって求め、この画素に対応する記憶領域に記憶する画素値の設定処理を行い、この画素値の設定処理を基準画像BI(m−1)、参照画像RI(m−1)の全ての画素について行うことによって、基準画像BI(m−1)、参照画像RI(m−1)の画像を作成し、基準画像BI(m−1)、参照画像RI(m−1)を注目階層の新たな基準画像BIm、参照画像RImに設定する(ステップS20)。
以下、ステップS10とステップS20を、画像数が階層数Tになるまで繰り返すことや、最下層の基準画像BI1、参照画像RI1の画素数が所定値以下になるまで繰り返すことによって、上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように、画像取得部10によって取得された基準画像BITと参照画像RITとが階層的に低解像度化されて、解像度の異なる複数の階層的な基準画像と参照画像、すなわち多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRが作成され、多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRは、記憶部9に記憶される。
○解像度変倍率RRについて:
図5は、解像度変倍率RRが対応点探索処理に与える影響例を説明する図である。
図5に示される画像RImは、注目階層の参照画像であり、画像RI(m+1)は、注目階層の1つ上位階層の参照画像である。ここで、図5に示される格子で区切られた各領域は、参照画像RImと参照画像RI(m+1)の個々の画素(「ピクセル」とも称する)を示している。
また、参照画像RI(m+1)から参照画像RImを作成する際の解像度変倍率RRは1/4である。参照画像RIm上の画素CPmTは注目階層の基準画像上に設定された基準点に対する正しい対応点を示し、画素CPmFは誤った対応点を示す。
参照画像RI(m+1)上の画素K(m+1)Tは、正しい対応点CPmTに基づいて設定された正しい探索基準点を示し、画素K(m+1)Fは、は誤った対応点CPmFに基づいて設定された誤った探索基準点を示す。
図5に示されるように、正しい対応点CPmTと誤った対応点CPmFとのずれは、画素の対角線方向にわずか1画素であるが、探索基準点K(m+1)TとK(m+1)Fとの画素の対角線方向のずれは、解像度変倍率の逆数倍の4画素に拡大する。すなわち、下位階層における対応点探索の誤りは、上位階層での探索基準点の探索において、さらに拡大されることになる。
参照画像RI(m+1)上の対応点は参照画像RI(m+1)に設定された探索基準点に基づく探索範囲において探索されるので、誤った探索基準点K(m+1)Fを用いて参照画像RI(m+1)上の対応点を探索しても、下位階層の画像RImでの対応点探索の誤りを補正できずに、誤った探索が行われる可能性が増大する。
つまり、解像度変倍率RRが小さい場合には、下位階層の画像(低解像度の画像)における対応点探索の小さな誤りが、上位階層の画像(高解像度の画像)における対応点探索の大きな誤りに結びついて対応点探索の精度低下を招き易い。
解像度変倍率RRの設定手法は、例えば、表示部5に表示される、2/3、1/2、1/3または1/4(解像度変倍率RRを1より大きな実数(典型的には、有理数)rを用いて1/rで表現すると、rは、3/2、2、3または4)などの適切な範囲の候補中から操作部4を用いて選択する手法などが採用されるが、操作部4からの入力などによって候補値以外の1より小さい解像度変倍率を設定する手法を採用してもよい。設定された解像度変倍率RRは、記憶部9に記憶される。
また、多重解像度画像作成部11が専用のハードウェア回路である場合には、解像度変倍率RRの設定は、例えば、複数の異なる解像度変倍率RRにそれぞれ対応した複数の多重解像度画像作成部11の中から、ディップスイッチの切り替えなどによって、所望の解像度変倍率RRに対応した多重解像度画像作成部11を選択する手法などによって設定してもよい。
多重解像度画像においては、より下位の階層の画像であればあるほど画像中の各画素の「情報量減少」が生ずるため、対応点探索の誤りが発生しやすい。また、探索基準点に基づく探索範囲の画素数が多重解像度画像の階層にかかわらず一定である場合には、より下位の階層の画像であればあるほど探索基準点に基づく探索範囲には、より広い視野域で撮像された測定対象物OBおよび背景の画像が含まれるので、いわゆる「遠近競合」が発生して対応点探索の誤りが発生しやすい。
同様に、上位階層の画像を低解像度化して下位階層の画像を作成する際の解像度変倍率RRが小さければ小さいほど、下位階層の画像において、より「情報量減少」が生ずるとともに、「遠近競合」が発生して対応点探索の誤りが発生しやすい。
従って、下位階層における対応点探索の誤りが上位階層における対応点探索の誤りを増幅させる前述の悪影響を抑制するために、図6に示す参照画像の多重解像度画像の例にように、多重解像度画像の作成において複数の解像度変倍率RRを用いて、上位階層側の画像には小さな解像度変倍率を適用し、下位階層側の画像には大きな解像度変倍率を適用してもよい。図6の例では、上位階層側の解像度変倍率を1/4に設定し、下位階層側の解像度変倍率を1/2に設定することによって、前述の悪影響の抑制を行っている。
◎探索基準点設定部12:
探索基準点設定部12は、制御パラメータによって決定される多重解像度基準画像MBと、多重解像度参照画像MRの各階層間の画素の対応関係に基づいて、多重解像度基準画像MB中と多重解像度参照画像MR中の、制御部9によって指定される注目階層のそれぞれの画像上に、対応点探索部13が行う対応点探索処理の基準となる注目点と探索基準点とを画素サイズと等しい分解能(「ピクセル分解能」とも称する)で設定する。ここで、探索基準点を設定する処理を「探索基準点設定処理」とも称する。
○注目点について:
図7は、多重解像度基準画像MBにおける注目点の設定例を示す図である。図7に示されるNmは、多重解像度基準画像MB中の注目階層の基準画像BIm上における注目点であり、N(m+1)は、該注目階層の1つ上位階層の基準画像BI(m+1)における注目点であって、注目点Nmに対応している。注目点Nmは、基準画像BI(m+1)と基準画像BIm間の画素の対応関係と、注目点N(m+1)の座標とに基づいて探索基準点設定部12によって設定される。この設定処理が、上位階層側から下位階層側へ向けて次々と繰り返されることによって最上位の基準画像BITから最下位の基準画像BI1まで各階層の基準画像における注目点が設定される。
ここで、多重解像度基準画像MBの最上位の基準画像BITにおける注目点は、例えば、操作部4のマウスによる表示部5に表示された基準画像BIT上の特徴点の手動指定、基準画像BITにエッジ検出処理を施して自動抽出したエッジ位置に基づく自動指定などの手法によって設定される。
また、下位の注目階層における注目点を、例えば、操作部4のマウスで手動指定し、該注目階層と1つ上位の階層間の画素の対応関係に基づいて、上位階層における注目点を設定する処理を、下位階層から上位階層へ向けて順次行うことによって各階層の基準画像上の注目点を設定する手法を採用しても良い。
なお、多重解像度基準画像MBにおける注目点の設定は、必ずしも探索基準点設定部12によって行われる必要はなく、例えば、多重解像度画像作成部11が、多重解像度基準画像MBの作成と、各階層の基準画像上の注目点の設定とを行っても良い。
○探索基準点について:
図8は、多重解像度参照画像MRにおける探索基準点の設定例を示す図である。
図8に示されるCSmは、多重解像度参照画像MR中の注目階層の参照画像RIm上において画素サイズよりも細かいサイズを持ったサブピクセルを画像表現単位とする分解能(「サブピクセル分解能」とも称する)で探索されたサブピクセル対応点であり、K(m+1)は、該注目階層の1つ上位階層の参照画像RI(m+1)における探索基準点であって、サブピクセル対応点CSmに対応している。探索基準点K(m+1)は、参照画像RImと参照画像RI(m+1)間の画素の対応関係と、サブピクセル対応点CSmの座標とに基づいて設定される。
以上の探索基準点設定処理により、探索基準点設定部12は、注目階層の基準画像上の注目点に対応する対応点を注目階層の参照画像上で探索する探索処理において、該探索処理の基準となる探索基準点を注目階層の参照画像上に設定する。
なお、具体的な探索基準点設定処理については、後述の「サブピクセル対応点と1つ上位階層の探索基準点との対応関係」の欄において説明する。
◎対応点探索部13:
対応点探索部13は、ピクセル探索部13aとサブピクセル探索部13bとを有している。
○ピクセル探索部13a:
ピクセル探索部13aは、ピクセル分解能で対応点を探索する探索処理(「ピクセル対応点探索処理」とも称する)を行うことによって、多重解像度基準画像MB中の注目階層の基準画像上に設定された注目点に対応する対応点を、多重解像度参照画像MR中の注目階層の参照画像上で探索する。ここで、ピクセル分解能で探索される対応点は、「ピクセル対応点」とも称される。
なお、ピクセル対応点探索処理は、注目点と探索基準点に基づいて、注目階層の基準画像上と参照画像上にそれぞれ探索用のウィンドウ(それぞれ、「基準ウィンドウ」、「参照ウィンドウ」とも称する)を設定し、基準ウィンドウ内と参照ウィンドウ内の画像間の相関値を求めることによって行われる。また、基準ウィンドウと参照ウィンドウのサイズは、記憶部9から取得される制御パラメータであるウィンドウサイズWX、WYによって決定される。
○サブピクセル探索部13b:
サブピクセル探索部13bは、ピクセル探索部13aが探索したピクセル対応点とその近傍点に関する情報と、記憶部9から取得される探索分解能SRとに基づいて、サブピクセル分解能で対応点を探索する探索処理(「サブピクセル対応点探索処理」とも称する)を行うことによって、注目点に対応する対応点を、注目階層の参照画像上で探索する。ここで、サブピクセル分解能で探索される対応点は、「サブピクセル対応点」とも称される。
ピクセル探索部13aとサブピクセル探索部13bが協働することにより、対応点探索部13は、ピクセル対応点探索処理と、サブピクセル対応点探索処理とを行い、該注目階層の基準画像に設定された注目点に対応する多重解像度参照画像MR中の該注目階層の参照画像上の対応点を、サブピクセル分解能で探索する。
○探索分解能SR:
探索分解能SRは、例えば、表示部5に表示される1/2、1/3などの定数の探索分解能の候補群から操作部4によって選択する手法、表示部5に表示される乗算用の係数の候補群から操作部4によって選択した係数を記憶部9に記憶された解像度変倍率RRに乗算する手法または所望の探索分解能を操作部4から入力設定する手法などによって予め設定されて、記憶部9に記憶されている。
ここで、本発明に係る探索分解能SRの単位は「画素サイズ」(「画素長」とも称し、また、単に「画素」と称することもある。)であるが、本発明に係る記載においては、探索分解能SRの単位の記載は、適宜省略する。
また、探索分解能の値が「大きい」ことを、探索分解能が「粗い」とも称し、逆に探索分解能の値が「小さい」ことを、探索分解能が「細かい」とも称する。
探索分解能SRは、RR2<SR<1の範囲に制限されており、この範囲に入らない探索分解能SRが設定される場合は、制御部16によって表示部5への警告メッセージ表示などの警告が行われて探索分解能SRの再入力が促される。
また、対応点探索部13が専用のハードウェア回路である場合には、探索分解能SRの設定は、例えば、複数の異なる探索分解能SRにそれぞれ対応した複数の対応点探索部13の中から、ディップスイッチの切り替えなどによって、所望の探索分解能SRに対応した対応点探索部13を選択する手法などによって設定してもよい。
○探索分解能SRの設定範囲について:
サブピクセル分解能で対応点探索を行うために、探索分解能SRは、ピクセル分解能に相当する1より細かい値である必要がある。また、探索分解能SRが、解像度変倍率RRの2乗と等しいか、またはより細かい値であれば、注目階層の参照画像RIm上で探索されるサブピクセル対応点CSmの領域は、参照画像RImの2階層上位の参照画像RI(m+2)の画素サイズ以下の大きさとなるので、1つ上位の参照画像RI(m+1)を有効に活用することができなくなる。このため、探索分解能SRの設定範囲は、RR2<SR<1の範囲に制限されている。
すなわち、上記範囲の探索分解能SRを用いることによって、対応点を求めるサブピクセル分解能を、注目階層の参照画像の画素サイズより細かく、かつ、注目階層の2つ上位の階層の参照画像の画素サイズより粗く設定することができるので、多重解像度画像の各階層の画像を無駄なく使用して、各階層毎に逐次対応点を求めていく多重解像度戦略による対応点探索処理を効率的に行うことができる。
◎信頼度算出部14と信頼度判定部15:
信頼度算出部14と信頼度判定部15は、協働してピクセル対応点探索処理の信頼度を判定する機能ブロックである。信頼度算出部14は、ピクセル対応点に関する基準ウィンドウと参照ウィンドウとの画像間の相関値に基づいてピクセル対応点探索処理の信頼度を算出する信頼度算出処理を行い、信頼度判定部15は、該信頼度を所定の閾値TH1と比較して該信頼度が閾値TH1以上であればピクセル対応点探索処理の信頼度が高いと判定し、そうでなければピクセル対応点探索処理の信頼度が低いと判定する信頼度判定処理を行う。
信頼度判定処理の結果、ピクセル対応点探索処理の信頼度が高いと判定された場合にのみサブピクセル探索部13bがサブピクセル対応点探索処理を行うようにすることによって、無駄なサブピクセル対応点探索処理の実施を防止することができる。
本実施形態においては、信頼度算出部14と信頼度判定部15とは、独立した機能ブロックであるが、例えば対応点探索部13が信頼度算出部14の機能を兼用し、後述する制御部16が信頼度算出部14の機能を兼用してもよい。
また、例えば、ピクセル対応点探索処理の信頼度が十分高いことが予め確かめられている場合などでは、信頼度算出処理と信頼度判定処理は省いてもよく、また信頼度算出部14と信頼度判定部15を画像処理装置3Aの構成要素から省いてもよい。
◎制御部16:
制御部16は、画像処理装置3Aの各部を統括的に制御することによって、対応点探索処理や3次元データ作成などの情報処理を実現する。
対応点探索処理においては、制御部16は、対応点探索処理の対象となる多重解像度基準画像MBおよび多重解像度参照画像MR中の注目階層を、下位の階層から上位の階層に向けて探索基準点設定部12と対応点探索部13に対して逐次設定しつつ、対応点探索処理が下位の階層から上位の階層に向けて階層的に繰り返し実行されるように探索基準点設定部12と対応点探索部13とを制御する。
以上に説明された構成によって、画像処理装置3Aは、多重解像度戦略に基づく対応点探索処理を行う。対応点探索処理はサブピクセル分解能で行われ、探索された注目階層の参照画像RIm上のサブピクセル対応点に基づいて、1つ上位の階層の参照画像RI(m+1)上の探索基準点が設定されるので、対応点がサブピクセル分解能で探索されない場合に比べて、より狭い範囲に信頼度の高い探索基準点を設定することが可能となる。その結果、サブピクセル分解能で探索されない場合に比べて、階層数をより減らした多重解像度画像や、範囲をより狭くした基準ウィンドウと参照ウィンドウを採用することができる。従って、対応点探索に係る処理コストを抑制しつつ、高精度に対応点探索を行うことが可能となる。
<画像処理装置3Aの動作説明>
次に、画像処理装置3Aのピクセル対応点探索処理、信頼度判定処理、サブピクセル対応点探索処理、注目階層の1つ上位階層の探索基準点設定処理などについてさらに詳しく説明し、その後、画像処理装置3Aが行う多重解像度画像を用いた対応点探索処理の全体処理フローを説明する。
◎ピクセル対応点探索処理:
図9は、ピクセル探索部13aが行うピクセル対応点探索処理の概要を説明する図である。図9の注目点Nmと探索基準点Kmは、それぞれ探索基準点設定部12によって、多重解像度基準画像MB中に設定された注目階層の基準画像BIm上と、多重解像度参照画像MR中の該注目階層の参照画像RIm上とに設定された注目点と探索基準点である。
ピクセル探索部13aは、記憶部9に格納されたウィンドウサイズWX、WYに基づいて、注目点Nmに対して基準ウィンドウWBmを、探索基準点Kmに対して参照ウィンドウWRmをそれぞれ設定し、基準ウィンドウWBm内の画像と参照ウィンドウWRm内の画像との相関を求めることによって、注目点Nmに対応するピクセル対応点CPmを求める。
なお、基準ウィンドウWBmと参照ウィンドウWRmそれぞれの水平方向(X方向)画素数は同じであり、それぞれの垂直方向(Y方向)画素数もまた同じである。
○基準ウィンドウと参照ウィンドウ:
図10は、参照画像WRmに設定された探索基準点Kmに対する参照ウィンドウWRmの設定例を示す図である。
図10(a)に例示される参照ウィンドウWRmは、水平方向画素数と垂直方向画素数がともに奇数であり、探索基準点Kmの座標は、参照ウィンドウWRmの重心Wgと一致する。
図10(b)に例示される参照ウィンドウWRmは、水平方向画素数と垂直方向画素数とがともに偶数であり、探索基準点Kmの座標は、参照ウィンドウWRmの重心Wgに対して−X方向、−Y方向に1画素ずれている。
図10(a)、(b)に示される例の他に、基準ウィンドウWBm、参照ウィンドウWRmの水平方向画素数と垂直方向画素数は、奇数と偶数(順不同)の組でもよい。
ここで、基準ウィンドウWBmと参照ウィンドウWRmの画像間の相関を求める手法としては、例えばSAD法(差分絶対値和法)などのように周波数分解を行わない手法と、POC法(位相限定相関法)などのように周波数分解を行う手法とがあり、周波数分解を行う手法を用いる場合には、高速フーリエ変換(FFT)を用いて必要な演算回数を抑制し、処理の高速化を図る観点から、水平方向画素数と垂直方向画素数とを2のべき乗で表される画素数とすることが望ましい。
次に、SAD法とPOC法を例として、基準ウィンドウWBmと参照ウィンドウWRmの画像間の相関を求める手法について説明する。
○SAD法:
図11は、SAD法を用いたピクセル対応点探索処理手順を示す図である。
図11に示される注目階層の基準画像BIm上にはX座標がh2である注目点Nmが設定されており、注目点Nmに対して基準ウィンドウWBmが設定されている。基準ウィンドウWBmのX方向の両端のX座標は、h1とh3である。また、該注目階層の参照画像RIm上には、注目点Nmに対応するピクセル対応点CPmが示されている。
ここでは、SAD法を用いてピクセル対応点CPmを求める例について説明する。
参照画像RIm上には、X座標がxsである探索基準点KmsからX座標がxeである探索基準点Kmeまで、X座標がxs≦x≦xeの範囲で1画素ごとに複数の探索基準点が設定されており、これら複数の探索基準点の代表として両端の探索基準点Kms、Kmeのみが記載されている。
また、該複数の探索基準点には、それぞれ基準ウィンドウWBmと、同サイズの複数の参照ウィンドウとが設定されており、該複数の参照ウィンドウの代表として両端の参照ウィンドウWRms、WRmeのみが記載されている。
ここで、図11においては説明を簡単にするため、注目点Nmと複数の探索基準点Kms〜KmeのY座標は同じであり、従って、基準ウィンドウWBmと、参照ウィンドウWRms〜WRmeのY方向の座標のずれ量は無いように設定されている。また、注目点Nmと、求められるべきピクセル対応点CPmのY座標も一致するように設定されている。
次に、参照ウィンドウWRms〜WRmeの各参照ウィンドウ内の各画像と、基準ウィンドウWBm内の画像との相関値を演算する。基準ウィンドウと参照ウィンドウのX方向、Y方向の座標のずれ量(「対応ずれ量」とも称する)をそれぞれxd、ydとする。図11の例では、xdの範囲はxs−h2〜xe−h2であり、ydは0である。
基準ウィンドウWBm内の各画素(xi,yj)の画素値をImg1(xi,yj)、X方向、Y方向の対応ずれ量がxd、ydである参照ウィンドウWRm内の各画素(xi+xd,yj+yd)の画素値をImg2(xi+xd,yj+yd)とすると、(1)式、(2)式を用いた演算によって基準ウィンドウWBm内の画像と参照ウィンドウWRm内の画像の相関値CORpが算出される。
参照ウィンドウがWRmsからWRmeにわたって走査されるように、X方向の対応ずれ量xdをxs−h2〜xe−h2の範囲で変更しつつ、(1)式および(2)式によって各対応ずれ量xdに対する相関値CORpが算出されると、図11に示すグラフG1のように参照画像RImのX座標と相関値CORpとの関係が明らかになる。
図11の例では、座標xMにおいて、グラフG1における相関値CORpの最大値が与えられているので、探索基準点のX座標がxMと一致する参照ウィンドウが、相関値CORpの最大値を与える参照ウィンドウであり、該参照ウィンドウの探索基準点と、注目点Nmに対応するピクセル対応点CPmとは一致する。
図12はSAD法における参照ウィンドウWRmの走査態様を例示する図であり、注目階層の参照画像RImの全域に参照ウィンドウWRmを走査させている。SAD法はPOC法に比べて演算量が少なく高速な処理が可能であるので、画素数が多い参照画像RImにSAD法による対応点探索処理を適用し、図12に示される全域走査を行っても処理時間が短くなる。
従ってSAD法を用いる場合には、周波数分解を行う手法を用いる場合に比べて多重解像度画像の階層数を減らすことができる。また、対応点に近い探索基準点を求めることなく、画像の全域にわたって参照ウィンドウの走査を行って対応点探索をしても、周波数分解を行う手法を用いる場合に比べて短時間で探索処理を行うことができるので、探索基準点を求める処理コストを削減することが可能となる。
○POC法:
図13は、POC法を用いたピクセル対応点探索処理手順を示す図である。
POC法は、周波数分解を使用した相関法であって、かつ、振幅成分を抑制した相関法である。同様の相関法として、DCT符号限定相関法(参考論文:「画像信号処理と画像パターン認識の融合−DCT符号限定相関とその応用」貴塚仁志)などが知られている。これらの相関法は、パターンの周波数分解信号から、振幅成分を抑制した位相成分のみの信号を用いて類似度演算を行うため、画像を取得するためのステレオカメラ2における撮影条件の差(ここでは、撮像系21、22における撮影条件の差)や、ノイズなどの影響を受けにくく、ロバストな対応点検索が可能である。
また、SAD法が、1組の基準ウィンドウと参照ウィンドウに対して1つの相関値(CORp値)のみを出力するため、相関値が最も高い参照ウィンドウ、すなわち、相関値が最も高い対応ずれ量を特定するためには複数の参照ウィンドウにわたって、参照ウィンドウの走査を行う必要があるのに対して、POC法などの周波数分解を使用した相関法は、1組の基準ウィンドウと参照ウィンドウの画像に対して、画像間の相関値とともに、相関値が最も高くなる画像間の対応ずれ量が求められるので、ピクセル対応点が該参照ウィンドウ内に存在する場合には、参照ウィンドウの走査を行う必要がない。
このため、多重解像度画像にPOC法を用いる対応点探索法によれば、画素数の最も少ない多重解像度画像の最下位の基準画像と参照画像の画像全域をそれぞれ当初の基準ウィンドウと参照ウィンドウに設定して正しい対応点を探索した後、該対応点に基づいて1つ上位階層に参照ウィンドウを設定して該参照ウィンドウを走査することなく該階層における正しい対応点を求める探索処理を全ての階層にわたって繰り返すことが可能となる。従って、POC法を用いる対応点探索法は、多重解像度画像を対象とする対応点探索処理に好適な手法となる。
以下に、ある注目階層における基準画像BImに対する基準ウィンドウWBm内の画像と、該注目階層の参照画像RImに対する参照ウィンドウWRm内の画像とを対応点探索処理の対象として対応点を探索する場合を例に、POC法の基本原理を説明する。
基準ウィンドウWBm内の画像領域と、参照ウィンドウWRm内の画像領域とは、次の(3)式、(4)式のように表されるものとする。
ここで、(3)式のf(n1,n2)および(4)式のg(n1,n2)は、基準ウィンドウWBm内の画像領域および参照ウィンドウWRm内の画素の画素値を示している。また、N1およびN2は、例えばN1=2M1+1、N2=2M2+1と設定されている。
次に、基準ウィンドウWBm、参照ウィンドウWRm内の各画像領域に対し、(5)式、(6)式で示す演算式を用いて、図13に示される2次元のフーリエ変換処理T1a、T1bが行われる。
なお、(5)式、(6)式の下部ただし書におけるWの添字Pには、N1、N2が代入され、またkの添字sには、1、2が代入される。ここで、周波数分解の処理は必ずしもフーリエ変換である必要はなく、離散コサイン変換、離散サイン変換、ウェーブレット変換又はアダマール変換の何れかを含んでいても良い。
このようなフーリエ変換処理T1a、T1bが施された各画像領域に対しては、(7)式で示す演算式を用いて、画像の振幅成分を除去するための規格化処理T2a、T2bが行われる。
規格化処理T2a、T2bが完了すると、(8)式で示す演算式を用いた合成処理(クロス・パワースペクトル算出処理)T3が行われる。
合成処理T3が完了すると、(9)式で示す演算式を用いた2次元の逆フーリエ変換処理T4が行われる。これにより、基準ウィンドウWBmと参照ウィンドウWRm内の各画像間の相関演算が実施されることとなり、その結果(POC値)が出力される。
以上の処理により、基準ウィンドウWBm内の画像と参照ウィンドウWRm内の画像との相関を示す演算結果(POC値)が得られ、例えば、図14で示すような結果(POC値)が得られる。
図14は、POC値の例を示す図である。図14においては、ウィンドウ(N1×N2)内で相関が高い箇所のPOC値が大きくなっており、POC値のピークSを与える座標が、基準ウィンドウWBm内の画像と参照ウィンドウWRm内の画像との相関が最も高くなる対応ずれ量を示す。この対応ずれ量に基づいて、基準ウィンドウWBm内の注目点Nmに対応した参照ウィンドウWRm内のピクセル対応点Cpmが求められる。
なお、相関値、すなわち信頼度であるPOC値のピークSの値が、後述する信頼度判定処理によって十分大きくないと判定された場合には、参照ウィンドウWBmを、例えば、ウィンドウサイズの半分ずらすなどして参照ウィンドウWBmの再設定を行って再度POC法を用いた対応点探索処理を行う。
以上のように、POC法を用いた対応点探索処理によれば、画像の振幅成分が除去され、画像の位相成分のみで相関演算が行われるため、輝度変動やノイズの影響が抑制されて対応点が精度良く検出される。
◎信頼度判定処理:
次に、信頼度算出部14と信頼度判定部15が行うピクセル対応点探索の信頼度判定処理の効果について説明する。
図15は、信頼度が低いピクセル対応点に基づくサブピクセル対応点探索の例を示す図であり、参照画像RIm上のCPmTは、注目階層の基準画像上に設定された基準点に対する正しいピクセル対応点を示し、CPmFは、誤ったピクセル対応点を示し、また、AX、AYは、それぞれピクセル対応点CPmFの水平方向、垂直方向の画素長であり、参照画像RImにおけるピクセル対応点CPmFの存在範囲を示している。
ここで、正しいサブピクセル対応点CSmTは正しいピクセル対応点CPmT内に存在するが、サブピクセル対応点はピクセル対応点の領域内において探索されるため、仮に、ピクセル対応点探索処理において誤ったピクセル対応点CPmFが探索されてしまうと、サブピクセル対応点も、例えば、サブピクセル対応点CSmFのように誤って探索されてしまう。
このように誤ったサブピクセル対応点の探索が行われる無駄を防止するためには、サブピクセル対応点探索処理に先立ってピクセル対応点探索処理の信頼度判定を行うことが有効である。
すなわち、ピクセル対応点探索処理の信頼度判定を行うことによって、ピクセル対応点の信頼度が低い場合には、サブピクセル対応点探索処理を行なわず、ピクセル対応点の信頼度の低さに起因するサブピクセル対応点探索処理の失敗を防止することができるので、対応点探索に係る処理コストを抑制することができる。
また、この場合には、例えば、注目階層の1つ下位階層のサブピクセル対応点CS(m−1)に基づいて、注目階層の1つ上位階層の探索基準点K(m+1)を決定し、ピクセル対応点CP(m+1)を探索するとすれば、サブピクセル対応点CS(m−1)の領域長は、注目階層の画素長のSR/RR倍であるので、探索分解能SRが解像度変倍率RRと同程度以下の細かい値であれば、ピクセル対応点CPmに基づいて探索する場合と同程度以下の細かい探索分解能でサブピクセル対応点CS(m−1)に基づいてピクセル対応点CP(m+1)を探索できることとなる。
ここで、例えば、SAD法におけるCORp値や、POC法におけるPOC値は、基準ウィンドウ内の画像と参照ウィンドウ内の画像との相関の高さを示しており、ピクセル対応点探索処理で求められたピクセル対応点に対するCORp値やPOC値をそのまま、信頼度算出部14が求めるピクセル対応点探索の信頼度として用いることができる。つまり、例えば、POC値などに正規化処理などを施さずに、そのまま信頼度とする場合には、対応点探索部13に信頼度算出部14の機能を兼ねさせることもできる。また、ピクセル対応点CPmを与えるCORp値やPOC値などに対して、信頼度算出部14が正規化処理を施すことなどによって信頼度としてもよい。
◎サブピクセル対応点探索処理:
図16と図17は、サブピクセル探索部13bによって行われるサブピクセル対応点探索処理の例を示しており、図16は、いわゆる等角フィッティングによってサブピクセル対応点探索処理を行う例の説明図である。ここで、サブピクセル対応点探索処理のサブピクセル分解能としては、記憶部9に記憶された探索分解能SRが採用される。
図16に示されるRP2は、ピクセル対応点探索処理によって探索されたピクセル対応点に対応しており、また、RP1とRP3は、ピクセル対応点を挟んで水平方向(X方向)に隣り合う隣接画素に対応している。ここでRP1、RP2およびRP3は、それぞれの座標X2−1、X2およびX2+1に対する、それぞれのピクセル対応点探索処理の信頼度R1、R2およびR3をグラフ上に描画することによって表されている。ここでは、R2が信頼度算出部15が求める信頼度となる。また、仮サブピクセル対応点RStは、サブピクセル対応点RS1を得るために求められる仮のサブピクセル対応点を示しており、その座標はXSt、信頼度はRSである。
基準ウィンドウ内の画像と参照ウィンドウ内の画像とに対応関係がある場合は、基準ウィンドウ内の画像と参照ウィンドウ内の画像との相関は、画像間の自己相関となるので、例えば図16(a)に示されるように、R1>R3の場合には、仮サブピクセル対応点RS1は、図16(a)上の点RP2と点RP3とを結ぶ直線L2と、点RP1を通って直線L2の傾きの反対符号の傾きを持つ直線L1との交点となる。したがって、座標XStは(10)式によって与えられる。
同様にして、図16(b)に示されるように、R1≦R3の場合には、座標XStは(11)式によって与えられる。
また、仮サブピクセル対応点RStの垂直方向の座標YStについても、ピクセル対応点RP2と垂直方向に隣り合う画素の座標およびピクセル対応点探索処理の信頼度とを用いて、座標XStと同様にして算出できる。
ここで、サブピクセル対応点RS1は、例えば、注目階層の画像の画素面積と、探索分解能SRとによって定められるサブピクセル対応点の領域面積によって画像領域が均等に区分された図17(b)などに例示される各領域の中で、算出されたサブピクセル対応点RStの座標が含まれる領域を探索する手法などによって求められる。
これらの設定方法によって、解像度変倍率RRに対して、RR2<SR<1の範囲に設定される探索分解能SRに対応して、サブピクセル対応点の領域を設定することができる。なお、最上位の参照画像RITについては、更に上位の階層が存在しないので、最上位の参照画像RITにおけるサブピクセル対応点RS1として、仮サブピクセル対応点RStを採用してもよい。
なお、図16の例では、自己相関の性質を利用して等角フィッティングを用いるサブピクセル対応点探索処理を行ったが、例えば、2次関数近似などによる他のフィッティング手法や、補間を用いる手法などによってサブピクセル対応点探索処理を行ってもよい。
次に、図17は、注目階層の参照画像RIm上において座標が(X,Y)で与えられるピクセル対応点(X,Y)と、その4近傍の画素のピクセル対応点探索の信頼度の大小関係に基づいて、参照画像RIm上のサブピクセル対応点の座標を求める手法例を示している。
図17(a)には、ピクセル対応点(X,Y)とその4近傍の画素(X−1,Y)、(X+1,Y)、(X,Y−1)および(X,Y+1)が示される。ここで、該ピクセル対応点および、該4近傍の画素のピクセル対応点探索の信頼度は、それぞれR(X,Y)、R(X−1,Y)、R(X+1,Y)、R(X,Y−1)およびR(X,Y+1)で与えられる。
先ず、サブピクセル対応点を画素サイズの1/3の探索分解能で求める手法例を説明する。
図17(b)は、画素サイズの1/3の探索分解能でサブピクセル対応点を探索する場合において、該サブピクセル対応点が取り得る9つの座標を示す図である。
図17(a)に示されるピクセル対応点を中心とする水平方向の3つの画素(X−1,Y)、(X,Y)および(X+1,Y)のそれぞれのピクセル対応点探索の信頼度R(X−1,Y)、R(X,Y)およびR(X+1,Y)に対して、(12)式が成立するならば、サブピクセル対応点の水平座標XSは、図17(a)に示される3つの水平座標のうちでXであり、(12)式が成立せず、かつ(13)式が成立する場合はX+1/3であり、(12)式が成立せず、かつ(13)式も成立しない場合はX−1/3であるとすることによって、水平座標XSを画素サイズの1/3の探索分解能で定めることができる。ここで、TH2は、記憶装置9に記憶された所定の閾値である。
同様にして、ピクセル対応点を中心とする垂直方向の3つの画素(X,Y−1)、(X,Y)および(X,Y+1)のそれぞれのピクセル対応点探索の信頼度R(X,Y−1)、R(X,Y)およびR(X,Y+1)に対して、(14)式が成立するならば、サブピクセル対応点の垂直座標YSは、図17(a)に示される3つの垂直座標のうちでYであり、(14)式が成立せず、かつ(15)式が成立する場合はY+1/3であり、(14)式が成立せず、かつ(15)式も成立しない場合はY−1/3であるとすることによって、垂直座標YSを画素サイズの1/3の探索分解能で定めることができる。
次に、サブピクセル対応点を画素サイズの1/2の探索分解能で求める手法例を説明する。
図17(c)は、画素サイズの1/2の探索分解能でサブピクセル対応点を探索する場合において、該サブピクセル対応点が取り得る4つの座標を示す図である。
先ず、図17(a)に示されるピクセル対応点を挟む水平方向の2つの画素(X−1,Y)および(X+1,Y)のそれぞれのピクセル対応点探索の信頼度R(X−1,Y)およびR(X+1,Y)に対して、(16)式が成立する場合は、サブピクセル対応点の水平座標XSは、図17(c)に示される2つの水平座標のうちでX−1/4であり、(16)式が成立しない場合は、X+1/4であるとすることによって、水平座標XSを画素サイズの1/2の探索分解能で定めることができる。
同様にして、図17(a)に示されるピクセル対応点を挟む水平方向の2つの画素(X,Y−1)および(X,Y+1)のそれぞれのピクセル対応点探索の信頼度R(X,Y−1)およびR(X,Y+1)に対して、(17)式が成立する場合は、サブピクセル対応点の垂直座標YSはY−1/4であり、(17)式が成立しない場合はY+1/4であるとすることによって、垂直座標YSを画素サイズの1/2の探索分解能で定めることができる。
また、上述した画素サイズの1/2、1/3のサブピクセル分解能でサブピクセル対応点を求める手法例によれば、フィッティングや補間などによってサブピクセル対応点の座標を直接算出することなく、ピクセル対応点の近傍画素の信頼度の大小関係の比較のみによってサブピクセル対応点の座標を決めることができるので、サブピクセル対応点探索処理のコストを低減できる。
◎サブピクセル対応点と1つ上位階層の探索基準点との対応関係:
図18は、注目階層のサブピクセル対応点と1つ上位階層の探索基準点との対応関係を説明する図である。
また、図18(a)は、注目階層の参照画像RImにおいて、画素サイズの1/2の探索分解能でサブピクセル対応点(XS,YS)が求められた状態を示している。ここで、参照画像RImの水平方向、垂直方向の画素数は、それぞれXn、Yn、左上隅の画素の座標は(1,1)、参照画像RImの左上隅の座標は(0.5,0.5)である。また、AX、AYは、それぞれ水平方向、垂直方向の画素長を示している。
なお、本実施形態の説明においては、画素や対応点の座標は、画素や対応点の領域の重心(中心)によって与えられるものとする。
図18(b)は、サブピクセル対応点(XS,YS)に基づいて、該注目階層の1つ上位階層の参照画像RI(m+1)において、探索基準点(XK,YK)が設定された状態を示している。ここで、参照画像RI(m+1)の水平方向、垂直方向の画素数は、それぞれXm、Ym、左上隅の画素の座標は(1,1)、参照画像RI(m+1)の左上隅の座標は(0.5,0.5)である。また、AX'、AY'は、それぞれ水平方向、垂直方向の画素長を示している。
参照画像RImの左上隅とサブピクセル対応点(XS,YS)との水平方向長さLXSは、(18)式によって表され、水平方向長さLYSは、(19)式によって表される。
参照画像RI(m+1)から参照画像RImを作成する際の解像度変倍率がRRに設定されている場合には、参照画像RImと参照画像RI(m+1)とを対応づけるために、参照画像RImの縮尺は1/RR倍に拡大される必要がある。このため、(19)式下のただし書きに示す式によって画素長AXおよびAYと画素長AX'およびAY'との関係が与えられる。
参照画像RI(m+1)上に設定される探索基準点(XK,YK)の座標は、参照画像RI(m+1)のピクセル分解能で表される。従って、参照画像RI(m+1)の水平座標XKは、参照画像RI(m+1)上に投影された水平方向長さLXSを画素長AX'で除した後、小数点以下を切り捨てることによって、(20)式で与えられる。
同様にして、水平座標YKは、(21)式で与えられる。
◎探索基準点の設定例について:
次に、注目階層の参照画像RIm上のサブピクセル対応点CSmに対する、該注目階層の1つ上位階層の参照画像RI(m+1)上の探索基準点K(m+1)の設定例を説明する。
A.解像度変倍率の値と探索分解能の値とが等しい場合:
図19は、解像度変倍率RRと探索分解能SRがともに等しく1/2である場合のサブピクセル対応点CSmに対する探索基準点K(m+1)の設定例を示す図である。
図19(a)には、参照画像RImにおいて探索分解能SRが1/2で探索されたサブピクセル対応点CSmが示され、図19(b)は、参照画像RImの2倍の解像度を有する参照画像RI(m+1)を示し、図19(c)には、参照画像RI(m+1)に設定された探索基準点K(m+1)が示されている。
ここで、図19上と後述する図20〜図23上の探索基準点K(m+1)の座標は、例えば、サブピクセル対応点CSmの座標を(20)式、(21)式に代入することなどによって算出される。
図19に示されるように、解像度変倍率RRと探索分解能SRとが等しい場合には、サブピクセル対応点CSmの領域と、探索基準点K(m+1)の画素領域とが一致する。すなわち、注目階層の1つ上位の階層の参照画像RI(m+1)における探索基準点K(m+1)の画素サイズと同じサイズの探索分解能で注目階層の参照画像RImにおける対応点CSmを探索できる。従って、多重解像度画像の階層構成に対して、好適な処理コストで効率的に多重解像度戦略に基づく対応点探索を行うことができる。
また、この場合には、探索基準点K(m+1)の設定を省いて、サブピクセル対応点CSmの座標情報に基づいて参照画像RI(m+1)の参照ウィンドウW(m+1)を設定してもよい。
B.解像度変倍率の値よりも探索分解能の値が小さい場合:
図20は、解像度変倍率RRが1/2であり、探索分解能SRが1/3である場合のサブピクセル対応点CSmに対する探索基準点K(m+1)の設定例を示す図である。
図20(a)には、参照画像RImにおいて探索分解能SRが1/3で探索されたサブピクセル対応点CSmが示され、図20(b)は、参照画像RImの2倍の解像度を有する参照画像RI(m+1)を示し、図20(c)は、1/SR倍に拡大された参照画像RImを参照画像RI(m+1)に重ね、サブピクセル対応点CSmを参照画像RI(m+1)上に投影した図であり、図20(d)には、参照画像RI(m+1)に設定された探索基準点K(m+1)が示されている。
また、図21は、図20に示すサブピクセル対応点CSmの設定による効果を説明する図であり、サブピクセル対応点CSmは、図20(c)と同じく参照画像RI(m+1)上に投影されている。ここで、ピクセル対応点CP(m+1)TとCP(m+1)Fは、図20(d)の探索基準点K(m+1)に基づいて設定される参照ウィンドウ内でピクセル対応点として探索され得る参照画像RI(m+1)上の2つの画素を例示している。
サブピクセル対応点CSmに、より近いピクセル対応点の方が信頼度が高いと推定されるので、図21においては、CP(m+1)Tが正しく探索されたピクセル対応点であり、CP(m+1)Fが、誤って探索されたピクセル対応点であると推定される。
すなわち、解像度変倍率RRよりも探索分解能SRが細かい場合には、図21に示されるように、注目階層の1つ上位の階層の参照画像の画素サイズよりも細かい探索分解能で注目階層の参照画像における対応点を探索できるので、注目階層の参照画像で探索された対応点に基づいて注目階層の1つ上位の階層の参照画像上で探索される対応点の信頼度を検証することが可能となり、対応点探索の信頼度を高めることができる。
C.解像度変倍率の値よりも探索分解能の値が大きい場合:
図22は、解像度変倍率RRが1/3であり、探索分解能SRが1/2である場合のサブピクセル対応点CSmに対する探索基準点K(m+1)の設定例を示す図である。
図22(a)には、参照画像RImにおいて探索分解能SRが1/2で探索されたサブピクセル対応点CSmが示され、図22(b)は、参照画像RImの3倍の解像度を有する参照画像RI(m+1)を示し、図22(c)は、1/SR倍に拡大された参照画像RImを参照画像RI(m+1)に重ね、サブピクセル対応点CSmを参照画像RI(m+1)上に投影した図であり、図22(d)には、参照画像RI(m+1)に設定された探索基準点K(m+1)が示されている。
また、図23は、図22に示すサブピクセル対応点CSmの設定による効果を説明する図である。
図23(a)は、図22(c)に示されるサブピクセル対応点CSmを、図22(d)に示される探索基準点K(m+1)上に投影した例を示しており、矢印VKは、探索基準点K(m+1)の座標からサブピクセル対応点CSmの座標へ向かう方向に設定された矢印である。
また、図23(b)は、サブピクセル対応点探索処理を行わない場合における参照画像RIm上のピクセル対応点CPmを、参照画像RImの1つ上位階層の、探索基準点K(m+1)が設定された参照画像RI(m+1)上に、投影した例を示している。
図23(b)に示されるように、サブピクセル対応点探索処理を行わない場合においては、探索基準点K(m+1)とピクセル対応点CPmのそれぞれの座標が一致している。従って、探索されたピクセル対応点の信頼度が低いために探索基準点K(m+1)の位置を修正する必要が生じた場合であっても、ピクセル対応点CPmの座標や領域情報などに基づいて該修正の方向を推定できない。
これに対して、サブピクセル対応点探索処理を行う場合は、図23(a)に示されるように、探索基準点K(m+1)とサブピクセル対応点CSmのそれぞれの座標がずれているので、探索基準点K(m+1)の位置を修正する場合に、例えば、探索基準点K(m+1)に対して矢印VKが示す方向の最近傍画素を新たな探索基準点K(m+1)とする方法などによって、探索基準点K(m+1)の再設定の方向等をサブピクセル対応点CSmに基づいて推定することができる。
すなわち、注目階層の1つ上位の階層の参照画像における探索基準点の画素サイズよりも粗い探索分解能で探索された注目階層の参照画像における対応点を用いることによって、サブピクセル分解能で対応点を探索しない場合に比べて高い精度で、注目階層の1つ上位の階層の参照画像における探索基準点の位置を推定することができるので、対応点探索に係る処理コストを抑制しつつ、高精度な対応点探索を行うことができる。
◎全体処理フロー:
次に、画像処理装置3Aが行う多重解像度画像を用いた対応点探索処理の全体処理フローを説明する。
図24、図25は実施形態に係る画像処理装置3Aが行う多重解像度画像を用いた対応点探索処理の手順の概要を示すフローチャートである。
先ず、画像取得部10は、基準カメラ21の撮影する画像と参照カメラ22が撮影する画像とを、それぞれ基準画像BITおよび参照画像RITとして取得し、記憶部9に記憶する(ステップS30)。
画像の取得が終了すると、多重解像度画像作成部11は、記憶部9から多重解像度画像の階層数T、解像度変倍率RRなどの多重解像度画像作成に関係する制御パラメータと、基準画像BIT、参照画像RITを取得し、該制御パラメータを用いて基準画像BITと参照画像RITに多段階の低解像度化処理を施して多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRを作成し、記憶部9に記憶する(ステップS40)。
多重解像度画像の作成が終了すると、制御部16は、注目階層が未設定であれば、多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRのそれぞれの最下位の基準画像BI1と参照画像RI1を注目階層の基準画像BImと参照画像RImとして新規に設定し、既存の基準画像BImと参照画像RImがあれば、基準画像BImと参照画像RImの1つ上位階層の基準画像BI(m+1)と参照画像RI(m+1)を、それぞれ新たな注目階層の基準画像BImと参照画像RImとして再設定し、該設定情報を探索基準点設定部12、対応点探索部13に送信する(ステップS50)。
注目階層の設定が終了すると、探索基準点設定部12は、記憶部9から多重解像度画像作成に関係する制御パラメータを取得するとともに、注目階層の基準画像BIm、参照画像RImを取得する。ここで、最上位の基準画像RIT上の注目点は、操作部4などによって基準画像RIT上の特徴点上などに予め設定されており、探索基準点設定部12は、最上位の基準画像RIT上の注目点と、制御パラメータによって決定される多重解像度基準画像MBの基準画像間における画素の対応関係とに基づいて、基準画像BIm上に注目点Nmを設定し、結果を記憶部9に記憶する(ステップS60)。
注目点の設定が終了すると、探索基準点設定部12は、記憶部9から参照画像RImを取得し、対応点探索処理のための探索基準点Kmを参照画像RIm上に設定し、結果を記憶部9に記憶する(ステップS70)。
図25は、ステップS70の処理の概要を示すフローチャートである。以下で、図25のフローチャートを用いてステップS70の処理手順を説明する。
探索基準点設定部12は、先ず、制御部16によって設定された注目階層情報に基づいて参照画像RImを取得し、参照画像RImが最下位の参照画像RI1であるかどうかを確認する(ステップS710)。
ステップS710の確認の結果、参照画像RImが最下位の参照画像RI1であるならば、探索基準点設定部12は参照画像RIm上に予め設定された所定の画素(X0,Y0)を探索基準点Kmとして設定して(ステップS720)、再び図24のフローチャートに戻る。ここで、所定の画素(X0,Y0)は、例えば、参照画像RImの全域を参照ウィンドウに設定し得る所定の探索基準点である。
ステップS710の確認の結果、参照画像RImが最下位の参照画像RI1でないならば、探索基準点設定部12は、注目階層の1つ下位階層の参照画像RI(m−1)において、サブピクセル対応点CS(m−1)が求められているかどうかを確認する(ステップS730)。
ステップS730の確認の結果、サブピクセル対応点CS(m−1)が求められているならば、探索基準点設定部12は、サブピクセル対応点CS(m−1)と(20)式および(21)式によって、参照画像RIm上に探索基準点Kmを設定し(ステップS740)、再び図24のフローチャートに戻る。
ステップS730の確認の結果、サブピクセル対応点CS(m−1)が求められていないならば、探索基準点設定部12は、参照画像RI(m−1)上で求められたピクセル対応点CP(m−1)と(20)式および(21)式によって、探索基準点Kmを設定し(ステップS750)、再び図24のフローチャートに戻る。
図24のフローチャートでは、ステップS80から処理が再開され、対応点探索部13は、記憶部9から注目階層の基準画像BIm、参照画像RIm、注目点Nmおよび探索基準点Km、ならびに、ウィンドウサイズWX、WYおよび探索分解能SRなどの探索処理パラメータを取得し、ピクセル探索部13aは、探索処理パラメータに基づいて基準画像BIm上、参照画像RIm上に基準ウィンドウWBm、参照ウィンドウWRmをそれぞれ設定する(ステップS80)。
次に、ピクセル探索部13aは、基準ウィンドウWBm内の画像と参照ウィンドウWRm内の画像との相関を求めるピクセル対応点探索処理を行って、基準画像BIm上の注目点Nmに対応する、参照画像RIm上のピクセル対応点CPmを探索するとともに、ピクセル対応点CPmの情報と、ピクセル対応点CPmを求める過程で算出される基準ウィンドウと参照ウィンドウの画像間の相関値を信頼度算出部14に送信する(ステップS90)。
次に、信頼度算出部14は、取得した相関値に基づいてピクセル対応点CPmの信頼度を求め(ステップS100)、信頼度判定部15は、信頼度が記憶部9に記憶された所定の閾値TH1以上かどうかを調べる信頼度判定処理を行い、結果を対応点探索部13に送信する(ステップS110)。信頼度判定処理の結果、ピクセル対応点CPmの信頼度が所定の閾値TH1未満である場合は、制御部16は、対応点探索処理を終了する。
信頼度判定処理の結果、ピクセル対応点CPmの信頼度が所定の閾値TH1以上であるならば、対応点探索部13のサブピクセル探索部13bは、探索処理パラメータに基づいてピクセル対応点CPmとその近傍画素それぞれの座標および信頼度を用いるサブピクセル対応点探索処理を行い、参照画像RIm上のサブピクセル対応点CSmを求める(ステップS120)。
サブピクセル対応点探索処理が終了した場合には、制御部16は、全階層について対応点探索処理が終了したかどうかを調べて、全階層の探索処理が終了している場合には、対応点探索処理を終了し、全階層の探索処理が終了していない場合には、処理をステップS50に戻す(ステップS130)。
以上の対応点探索処理の全体処理フローによって、多重解像度戦略に基づく対応点探索処理が下位階層から上位階層に向けて行われ、最終的に、最上位の基準画像BIT上の注目点に対応する、参照画像RIT上の対応点が求められる。
<変形例>
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
◎例えば、信頼度算出部14と信頼度判定部15とが協働してピクセル対応点探索処理の信頼度判定およびサブピクセル対応点探索処理の信頼度判定の少なくとも一方を行い、これらの信頼度判定処理の結果、注目階層におけるピクセル対応点探索処理およびサブピクセル対応点探索処理の少なくとも一方の信頼度が低いと判定された場合には、例えば、注目階層の画像と、注目階層の1つ上位階層の画像との中間的な解像度を有する画像を用いることによって、信頼度が低いと判定された注目階層における対応点に基づいた対応点探索を続行しても良い。以下、具体例について説明する。
<変形例に係る画像処理装置の対応点探索について>
探索範囲を定める対応点の探索においては、探索範囲内に正しい対応点が存在しなければ、たとえ画素の情報量が多く、かつ、対応点の探索範囲における遠近競合が少ないとしても、対応点の探索は失敗する。
また、既述のように、多重解像度画像においては、より下位の階層の画像であればあるほど、また、多重解像度画像作成時の解像度変倍率が小さければ小さいほど、画像中の各画素の「情報量減少」が生ずるとともに、いわゆる「遠近競合」が探索範囲内で発生しやすくなるため、対応点探索の誤りが発生しやすくなる。
ここで、対応点の探索が失敗した注目階層の探索結果に基づいて、注目階層の1つ上位階層における対応点の探索を続行して、該上位階層における対応点の探索を成功させ得る
手法としては、例えば、上位階層における探索範囲の画素数を増やして探索範囲を拡大することにより、上位階層における画素の情報量を維持したまま、探索範囲内に対応点が存在する確率を高める手法が考えられる。
しかし、この手法では、上位階層における元の探索範囲よりも新たな探索範囲の画角が広くなるため遠近競合が発生しやすく、処理時間も増加する。また、対応点探索部が、例えば、ハードウエア回路によって構成されている場合には、探索範囲の画素数を増やすことは、一般的に、容易ではない。
そこで、変形例においては、注目階層よりも解像度が高く、かつ、注目階層の1つ上位階層の画像よりも解像度が低くなるように、原基準画像および原参照画像がそれぞれ低解像度化された基準画像(「補助基準画像」とも称する)および参照画像(「補助参照画像」とも称する)を設けて、多重解像度基準画像および多重解像度参照画像のそれぞれの階層構造における注目階層と、注目階層の1つ上位の階層との間の階層(「中間階層」とも称する)に位置づける設定を行い、この中間階層において、対応点の探索が失敗した注目階層の探索結果に基づいて、補助参照画像に探索基準点を設定して他の階層と同じ画素数の探索範囲を設け、中間階層における対応点を探索する。
探索の結果、中間階層における探索の信頼度が高い場合には、中間階層で探索された対応点に基づいて注目階層の1つ上位階層での対応点探索を行うとともに、さらに上位の階層における探索処理を逐次行う。
変形例によれば、注目階層の1つ上位階層よりも中間階層の探索範囲の画角を広げることによって、中間階層において、探索範囲内に正しい対応点が存在する確率を、注目階層の1つ上位階層よりも高めることができるとともに、注目階層よりも画素の情報量が多く、かつ、遠近競合が発生しにくい状態で対応点の探索を行うことができるので、中間階層における対応点の探索が成功する確率を高めることができ、従って、多重解像度戦略に基づく対応点の探索が成功する確率を高めることができる。
<画像処理装置3Bの機能>
図2は、変形例に係る画像処理装置3Bの機能ブロックを説明する図である。
図2に示されるように、画像処理装置3Bの構成要素は、多重解像度画像作成部11B、探索基準点設定部12B、信頼度算出部14B、信頼度判定部15Bおよび制御部16Bを除き、同じく図2に示される画像処理装置3Aの構成要素と同じ構成要素を有する。
ここでは、画像処理装置3Bの多重解像度画像作成部11B、探索基準点設定部12B、信頼度算出部14B、信頼度判定部15Bおよび制御部16Bの機能について、画像処理装置3Aにおける各対応する構成要素の機能との差異を説明する。
◎多重解像度画像作成部11B:
多重解像度画像作成部11Bは、多重解像度画像作成部11と異なる機能として、作成された多重解像度基準画像MBおよび多重解像度参照画像MRの、最下層の画像を除く各階層の画像について、解像度変倍率RR’に基づいて1段階の低解像度化を施すことによって、多重解像度基準画像MB’および多重解像度参照画像MR’を作成し、記憶部9に記憶する機能などを有する。
ここで、解像度変倍率RR’には解像度変倍率RRよりも大きい値が設定される。例えば、解像度変倍率RRが1/4である場合には、解像度変倍率RR’には、例えば、1/3または1/2などの値が設定される。
従って、多重解像度基準画像MB’および多重解像度参照画像MR’の各階層の画像の解像度は、該各階層の画像の作成時の低解像度化の対象となった多重解像度基準画像MBおよび多重解像度参照画像MRの各階層の画像よりも解像度が低く、かつ、該低解像度化の対象となった各画像の1つ下位階層の画像よりも解像度が高くなる。
多重解像度基準画像MB’および多重解像度参照画像MR’の画像は、多重解像度基準画像MBの注目基準画像BIm上の注目点に対応する多重解像度参照画像MRの注目参照画像RIm上の対応点を探索する探索処理が失敗した場合に、失敗した探索結果に基づいて補助基準画像の注目点に対応する補助参照画像の対応点を探索する処理を成功させるために用いられる。
また、上記例のように、多重解像度基準画像MB’および多重解像度参照画像MR’を予め作成しておく手法の他に、例えば、対応点の探索処理が失敗するごとに、失敗が発生した注目階層の1つ上位階層の画像に、解像度変倍率RR’に基づいて1段階の低解像度化を施すことによって、中間階層の補助基準画像および補助参照画像の組を作成する手法などを採用してもよい。
なお、これらの手法によって作成される中間階層の画像は、原基準画像BITおよび原参照画像RITが、中間階層に対応する注目階層よりも解像度が高く、かつ、該注目階層の1つ上位階層の画像よりも解像度が低くなるように低解像度化された基準画像(補助基準画像)および参照画像(補助参照画像)となる。
◎探索基準点設定部12B:
探索基準点設定部12Bは、探索基準点設定部12と異なる機能として、多重解像度基準画像MBおよび多重解像度参照画像MRの注目階層において、対応点の探索処理が失敗した場合、すなわち、ピクセル対応点探索処理の信頼度が低い、または、サブピクセル対応点探索処理の信頼度が低いと判定された場合に、探索されたピクセル対応点、または該ピクセル対応点に基づいて探索されたサブピクセル対応点に基づいて、該注目階層に対応する補助参照画像上に探索基準点を設定する機能などを有する。
◎信頼度算出部14Bと信頼度判定部15B:
信頼度算出部14Bと信頼度判定部15Bは、協働してピクセル対応点探索処理およびサブピクセル対応点探索処理の少なくとも一方の信頼度を判定する機能ブロックである。
具体的には、信頼度算出部14Bは、ピクセル対応点探索処理の信頼度を表す第1の信頼度を算出する第1の信頼度算出処理、およびサブピクセル対応点探索処理の信頼度を表す第2の信頼度を算出する第2の信頼度算出処理の少なくとも一方の処理を行う。
また、信頼度判定部15Bは、第1の信頼度を所定の閾値TH3と比較して、第1の信頼度が閾値TH3以上であればピクセル対応点探索処理の信頼度が高いと判定し、そうでなければピクセル対応点探索処理の信頼度が低いと判定する第1の信頼度判定処理、および第2の信頼度を所定の閾値TH4と比較して、第2の信頼度が閾値TH4以上であればサブピクセル対応点探索処理の信頼度が高いと判定し、そうでなければサブピクセル対応点探索処理の信頼度が低いと判定する第2の信頼度判定処理の少なくとも一方を行う。ここで閾値TH3は、画像処理装置3Aの信頼度判定部15に係る閾値TH1に相当する閾値であり、閾値TH3と閾値TH4とは、異なる値であってもよいし、同一の値であってもよい。
本実施形態においては、信頼度算出部14Bと信頼度判定部15Bとは、独立した機能ブロックであるが、例えば、対応点探索部13が信頼度算出部14Bの機能を兼用し、後述する制御部16Bが信頼度算出部14Bの機能を兼用してもよい。
○第2の信頼度の算出処理:
図26は、信頼度算出部14Bが行う、サブピクセル対応点探索処理の信頼度(第2の信頼度)を求める第2の信頼度算出処理の例を説明する図である。
図26に示される例では、2次関数を用いたフィッティングによってサブピクセル対応点探索処理の信頼度が求められている。RP2は、ピクセル探索部13aが行うピクセル対応点探索処理によって探索されたピクセル対応点であり、また、RP1とRP3は、ピクセル対応点を挟んで水平方向(X方向)に隣り合う隣接画素である。隣接画素RP1、ピクセル対応点RP2および隣接画素RP3のそれぞれに対応する、X座標X2−1、X2およびX2+1ならびにピクセル対応点探索処理の信頼度R1、R2およびR3は、対応点探索部13から信頼度算出部14Bに供給されている。なお、信頼度R2は信頼度算出部15Bが求める第1の信頼度に相当する。
また、関数f1は、図26に示される隣接画素RP1、ピクセル対応点RP2および隣接画素RP3に対してフィッティングされた2次関数であり、隣接画素およびピクセル対応点の画素座標と、信頼度との関係を示す関数である。関数f1は、(22)式で示される2次関数に、3点RP1、RP2およびRP3のそれぞれのX座標と信頼度を代入して、各係数a、bおよび定数項cを求めることによって決定される。
この例では3点に基づいて関数f1を決定しているため、a、bおよびcの値は一意的に決定されるが、4点以上を用いる場合には、最小2乗法によって、a、bおよびcの値を求めればよい。
関数f1が決定されると、その頂点を求めることによって、仮サブピクセル対応点RStのX座標XStおよび信頼度RSが求められる。なお、図16の例と同様にの等角フィッティングを用いてX座標XStおよび信頼度RSを求めてもよい。
ここで、仮サブピクセル対応点RStの座標と、仮サブピクセル対応点RStに基づいて求められるサブピクセル対応点RS1の座標との差は、仮サブピクセル対応点RStの座標とピクセル対応点RP2の座標との差に比べて、通常、小さいので、信頼度RSをサブピクセル対応点RS1の信頼度として採用することができる。また、サブピクセル探索部13bで探索されたサブピクセル対応点RS1の座標を、求められた関数f1に代入することによってサブピクセル対応点RS1に対する信頼度を算出してもよい。
また、関数f1をピクセル対応点RP2と多数の隣接画素に対して、最小2乗法などによって近似的に求める場合には、求められた関数f1とピクセル対応点RP2および各隣接画素とのずれ量に基づいてサブピクセル対応点RS1に対する信頼度を求めてもよい。
また、関数f1に基づいて求められたサブピクセル対応点RS1に対する信頼度に対して、必要に応じて正規化処理などを施したものを、サブピクセル対応点RS1に対する信頼度として採用しても良い。
以上に説明した各種手法によって、信頼度算出部14Bは、サブピクセル対応点に対する信頼度、すなわち、サブピクセル対応点探索処理についての信頼度(第2の信頼度)を求める第2の信頼度算出処理を行う。
◎制御部16B:
制御部16Bは、画像処理装置3Aの制御部16と異なる機能として、多重解像度基準画像MBおよび多重解像度参照画像MRの注目階層において対応点探索が失敗した場合、すなわち該注目階層におけるピクセル対応点探索処理の信頼度(第1の信頼度)およびサブピクセル対応点探索処理の信頼度(第2の信頼度)の少なくとも一方が低いと判定された場合に、該注目階層に対応する補助参照画像上に探索基準点を設定するように、探索基準点設定部12Bを制御する機能と、該補助基準画像および該補助参照画像を、多重解像度基準画像MBおよび多重解像度参照画像MRのそれぞれの階層構造において、該注目階層と該注目階層の1つ上位階層の間の階層(中間階層)に位置づける設定をするとともに、この中間階層を新たな注目階層として設定する機能と、この新たな注目階層に設定された中間階層から上位の階層に向けて注目階層を逐次設定しつつ、この中間階層から上位の階層に向けて多重解像度戦略に基づく対応点の探索処理が行われるように探索基準点設定部12Bおよび対応点探索部13を制御する機能などを有する。
<画像処理装置3Bの動作>
以下、画像処理装置3Bの動作の一例について図を用いて説明する。
図27は、画像処理装置3Bの全体処理フローの例を説明する図である。なお、図27に示される各ステップの内容は、ステップS102〜ステップS128を除いて図24に示される各ステップと同じであるので、同一内容の処理を行うステップについては、図24と同一のステップ番号を付して、動作の説明を省略する。
図27のステップS30〜ステップS90の処理の結果、対応点探索部13のピクセル探索部13aによるピクセル対応点探索処理が行われ、基準ウィンドウWBm内の画像と参照ウィンドウWRm内の画像との相関値(信頼度)が複数の対応ずれ量に対して、POC法またはSAD法などを用いて求められるとともに、最も相関の高い相関値を与える対応ずれ量に対応した画素が、基準画像BIm上の注目点Nmに対応する、参照画像RIm上のピクセル対応点CPmとして探索される(ステップS90)。また、ピクセル対応点CPmおよびその近傍画素についての各座標情報および各相関値は、サブピクセル探索部13bおよび信頼度算出部14Bへと供給される。
信頼度算出部14Bは、供給されたピクセル対応点CPmに対応する相関値に、必要に応じて正規化などの処理を施してピクセル対応点探索処理の信頼度を表す第1の信頼度として取得する第1の信頼度算出処理を行い(ステップS102)、取得した第1の信頼度を信頼度判定部15Bへと供給する。
次に、対応点探索部13のサブピクセル探索部13bは、探索処理パラメータに基づいてピクセル対応点CPmとその近傍画素それぞれの座標および相関値(信頼度)を用いるサブピクセル対応点探索処理を行い、参照画像RIm上のサブピクセル対応点CSmを探索する(ステップS118)。
また、信頼度算出部14Bは、ピクセル対応点CPmおよびその近傍画素についての各座標情報および各相関値に基づいて、サブピクセル対応点CSmについての相関値(信頼度)を求め、必要に応じて正規化などの処理を施してサブピクセル対応点探索処理の信頼度を表す第2の信頼度として取得する第2の信頼度算出処理を行い(ステップS121)、取得した第2の信頼度を信頼度判定部15Bへと供給する。
なお、図27の処理フローは、ピクセル対応点CPmおよびサブピクセル対応点CSmの両方が探索されるとともに、信頼度算出部14Bによって第1の信頼度および第2の信頼度の両方が求められる例を示しているが、信頼度算出部14Bは、第1の信頼度または第2の信頼度を求めてもよい。
次に、信頼度判定部15Bは、信頼度算出部14Bから供給された第1の信頼度および第2の信頼度と、記憶部9に記憶された所定の閾値TH3およびTH4とを用いて、第1の信頼度が閾値TH3以上かどうかを調べる第1の信頼度判定処理および第2の信頼度が閾値TH4以上かどうかを調べる第2の信頼度判定処理を行って、第1の信頼度が閾値TH3未満、または、第2の信頼度が閾値TH4未満であるか否かを判定し、判定結果を対応点探索部13に供給する(ステップS122)。なお、信頼度判定部15Bは、第1の信頼度判定処理および第2の信頼度判定処理の少なくとも一方を行えばよい。
対応点探索部13に供給された該判定結果は、制御部16Bへと供給され、ピクセル対応点CPmに係る第1の信頼度が所定の閾値TH3未満である場合、または、サブピクセル対応点CSmに係る第2の信頼度が所定の閾値TH4未満である場合には、処理はステップS123に移され、そうでない場合には、処理はステップS130へ移される。
ステップS123においては、現状の注目階層が、補助基準画像および補助参照画像、すなわち、中間階層であるか否かが制御部16Bによって判定される。判定の結果、注目階層が中間階層であった場合には、中間階層の補助基準画像と補助参照画像とを用いた対応点探索がすでに実施されており、前回の注目階層での対応点探索の失敗に続いて、今回の中間階層での対応点探索も失敗したことになるので、制御部16Bは対応点探索処理を終了する。
また、注目階層が、多重解像度基準画像MBおよび多重解像度参照画像MRのそれぞれの階層構造の最上位の階層である場合には、注目階層に対応する補助基準画像および補助参照画像は存在しないので、制御部16Bは対応点探索処理を終了する。
ステップS123における判定の結果、現状の注目階層が、中間階層および最上位の階層の何れでもなかった場合には、多重解像度画像作成部11Bは、制御部16Bからの制御に従い、注目階層の1つ上位階層の基準画像および参照画像を記憶部9に記憶された解像度変倍率RR’に基づいてそれぞれ低解像度することによって、注目階層に対応する補助基準画像および補助参照画像を作成する(ステップS124)。
なお、既述したように、注目階層に対応する補助基準画像および補助参照画像は、例えば、ステップS40の終了後に、ステップS40で作成された多重解像度基準画像MBおよび多重解像度参照画像MRの、最下層の画像を除く各階層の画像について、解像度変倍率RR’に基づいて1段階の低解像度化を施すことによって、多重解像度基準画像MB’および多重解像度参照画像MR’を予め作成して記憶部9に記憶しておき、ステップS124においては、注目階層に対応する補助基準画像および補助参照画像を、多重解像度基準画像MB’および多重解像度参照画像MR’の中から選択するようにしてもよい。
補助基準画像および補助参照画像が作成されると、探索基準点設定部12Bは、制御部16Bからの制御に従い、ステップS90においてピクセル対応点探索されたピクセル対応点CPm、またはステップS118において探索されたサブピクセル対応点CSmに基づいて、注目階層に対応する補助参照画像上に探索基準点を設定する(ステップS126)。
なお、ステップ102が終了した時点で、信頼度判定部15Bにおいて、第1の信頼度が閾値TH3以上か否かを判定して、第1の信頼度が閾値TH3以上の場合には処理をステップS118へ移し、第1の信頼度が閾値TH3未満の場合には処理をステップS123へと移すとともに、ステップS124の処理の後、ステップS126において、ピクセル対応点に基づいて補助参照画像に探索基準点を設定するようにしてもよい。
補助参照画像上の探索基準点の設定が完了すると、制御部16Bは、補助基準画像および補助参照画像を、多重解像度基準画像MBおよび多重解像度参照画像MRのそれぞれの階層構造において、注目階層と注目階層の1つ上位階層の間の中間階層に位置づけて、この中間階層を新たな注目階層として設定した後、ステップS80に処理を移す(ステップS118)。
また、ステップS130において、制御部16Bは、全階層について対応点探索処理が終了したかどうかを調べ、全階層の探索処理が終了している場合には、対応点探索処理を終了し、全階層の探索処理が終了していない場合には、処理をステップS50に戻す。
以上の動作によって、変形例に係る画像処理装置3Bは、注目階層における対応点の探索が失敗した場合であっても、探索が失敗した注目階層の探索結果に基づいて、注目階層に対応する中間階層での対応点の探索を行うことによって、多重解像度戦略に基づく対応点の探索が成功する確率を高めることができる。