JP2011012569A - 内燃機関ノッキング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関のノッキング制御において過遅角状態となった場合に迅速に点火時期を回復する。
【解決手段】ノック強度が大きい場合をカウントする第1カウンタCkrと更に形状相関が高い場合をカウントする第2カウンタCksとの比(Ckr/Cks)、あるいはCks=0ではCkrの値により、過遅角状態にあると検出された時には(S152でYES)、進角量Aθには通常状態時(S154)よりも拡大された値を設定している(S156)。このため点火時期の遅角と進角との間のバランスが進角側に変位され、点火時期フィードバック制御の進角処理では迅速に進角側に戻るようになる。したがって過遅角状態に陥ったとしても、迅速に過遅角状態から抜け出して点火時期を回復することができる。このことにより内燃機関の出力低下・燃費悪化を早期に解消することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関におけるノック判定にてノッキングが発生していると判定された場合には点火時期を遅角し、ノッキングが発生していないと判定された場合には点火時期を進角することにより点火時期の調節処理を行うノッキング制御装置に関する。
内燃機関の点火時期をノッキング限界に制御することでノッキングを防止しかつ内燃機関の出力と燃費とを向上させるノッキング制御装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1では、ノイズによりノッキングが発生したものとする誤判定が生じて点火時期が過遅角されるのを防止するために、ノイズレベルが過大である場合に点火遅角を停止して点火進角を実行している。このことにより過遅角状態に陥るのを防止して内燃機関の出力低下と燃費悪化とを防止している。
このように特許文献1では、過大なノイズレベルでは常に進角させる手法を採用しているため、実際にはノッキングが生じているにも関わらずノイズレベルが高い場合には進角させることになる。したがって特許文献1では、点火時期の進角処理と遅角処理とのバランスを適切にするために、高ノイズレベル時に進角させる場合の進角量を、遅角処理とのバランスを考慮した進角量となるように補正している。
特開平11−13612号公報(第5−7頁、図5,9)
しかし、特許文献1のごとく過遅角状態に陥ることを防止していても、何らかの原因で過遅角状態に陥ることがある。例えば、ノイズの状態によっては、ノイズレベルが過大でなくてもノッキング発生として誤判定されることがある。このような誤判定が継続した場合には遅角が進行して過遅角状態に陥る。このように既に過遅角状態に陥った後にノック判定が正常に戻った場合には、迅速に過遅角状態から抜け出すことが内燃機関の出力低下・燃費悪化の早期解消の観点から必要な処理となる。
しかし前記特許文献1の手法では、このような既に過遅角状態となっている場合については対策されておらず、過遅角状態から迅速に抜け出すことは困難である。このため内燃機関の出力低下・燃費悪化を早期に解消することは困難である。
本発明は、過遅角状態となった場合に迅速に点火時期を回復することを目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用・効果について記載する。
請求項1に記載の内燃機関ノッキング制御装置は、内燃機関に設けたノックセンサにより検出される振動状態に基づいてノック判定し、このノック判定にてノッキングが発生していると判定された場合には点火時期を遅角し、ノッキングが発生していないと判定された場合には点火時期を進角することにより点火時期の調節処理を行うノッキング制御装置であって、点火時期が過遅角状態にあるか否かを検出する過遅角検出手段と、前記過遅角検出手段にて過遅角状態であると検出されている場合に前記点火時期の遅角と進角との間のバランスを進角側に変位させる進角側バランス変位手段とを備えたことを特徴とする。
このように過遅角検出手段にて過遅角状態にあると検出された時には、進角側バランス変位手段が、ノック判定に伴う点火時期の調節処理において、その点火時期の遅角と進角との間のバランスを進角側に変位させている。
したがって過遅角状態では、点火時期を遅角する場合に比較して点火時期を進角する場合は急速な変化をさせることができる。
このことにより発明が解決しようとする課題の項にて述べたごとく、誤判定により遅角が進行して過遅角状態に陥ったとしても、判定が正常に戻ると、過遅角状態から迅速に抜け出して点火時期を回復することができる。このことにより内燃機関の出力低下・燃費悪化を早期に解消することができる。
請求項2に記載の内燃機関ノッキング制御装置では、請求項1に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記過遅角検出手段は、前記ノック判定にてノイズの検出頻度が所定頻度より高い場合に、過遅角状態であると検出することを特徴とする。
過遅角状態では、ノッキングは発生しにくくなり、ノックセンサにより検出される振動状態にはノイズが検出される頻度が高まる。したがってこのようなノイズの検出頻度の高まりにより、過遅角状態であると判定することができる。
請求項3に記載の内燃機関ノッキング制御装置では、請求項2に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記ノック判定は、前記ノックセンサにより検出される振動強度とノック判定閾値との比較、及び前記ノックセンサにより検出される振動強度波形とノッキング波形との比較に基づいて行われると共に、前記過遅角検出手段は、前記振動強度が前記ノック判定閾値を越えているが、前記振動強度波形が前記ノッキング波形に近似していない場合をノイズとして、このノイズの検出頻度が所定頻度より高い場合に、過遅角状態であると検出することを特徴とする。
このようにノックセンサにより検出される振動状態として、振動強度と振動強度波形とを検出して、振動強度とノック判定閾値との比較、及び振動強度波形とノッキング波形との比較に基づいてノック判定を行うことができる。このようなノック判定を実行している場合、ノイズは上述したごとくに定義することができる。そして、このノイズの頻度が所定頻度より高い場合に過遅角状態であると検出することができる。
したがってノイズであるにも関わらず、振動強度波形がノッキング波形に近似する状態が頻発して遅角が進行し、このことにより過遅角状態に陥ったとしても、このような特別なノイズが消滅して正常な判定状態に戻った直後には過遅角状態であることが検出される。このため前記バランスは進角側に変位することから、迅速に過遅角状態から抜け出して点火時期を回復することができる。このことにより内燃機関の出力低下・燃費悪化を早期に解消することができる。
請求項4に記載の内燃機関ノッキング制御装置では、請求項3に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記過遅角検出手段は、前記振動強度が前記ノック判定閾値を越えている点火回数Aが、この点火回数A内において前記振動強度波形が前記ノッキング波形に近似している点火回数Bに対する大きさの程度をノイズの検出頻度としていることを特徴とする。
ノック判定がノイズにより誤判定が頻発して過遅角状態となっても、このような誤判定の頻発が終了すれば、前記点火回数Bに比較して前記点火回数Aは十分に大きくなり、ノック判定にてノイズの検出頻度が所定頻度より高い状態となる。このことにより前記バランスは進角側に変位して迅速に過遅角状態から抜け出して点火時期を回復することができる。
請求項5に記載の内燃機関ノッキング制御装置では、請求項4に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記過遅角検出手段は、前記点火回数Aと前記点火回数Bとの比を算出することによりノイズの検出頻度を算出することを特徴とする。
前記点火回数Aと前記点火回数Bとの比を算出して点火回数Aの大きさの程度を判定しても良い。
請求項6に記載の内燃機関ノッキング制御装置では、請求項4に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記過遅角検出手段は、前記点火回数Aと前記点火回数Bとの差を算出することによりノイズの検出頻度を算出することを特徴とする。
前記点火回数Aと前記点火回数Bとの差を算出して点火回数Aの大きさの程度を判定しても良い。
請求項7に記載の内燃機関ノッキング制御装置では、請求項3〜6のいずれか一項に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記ノック判定閾値は、所定回数の点火が実行される毎にこの所定回数でのノッキングの発生頻度に応じて更新されている値であることを特徴とする。
このようにノック判定閾値は更新されているが、このような更新時にノイズによりその値が小さい値に誤設定される場合があり、このような誤設定により点火時期の誤遅角が生じるが、前述したごとくの処理により、迅速に過遅角状態から抜け出して点火時期を回復することができる。
請求項8に記載の内燃機関ノッキング制御装置は、内燃機関に設けたノックセンサにより検出される振動強度とノック判定閾値との比較、及び前記ノックセンサにより検出される振動強度波形とノッキング波形との比較に基づいてノック判定し、このノック判定にてノッキングが発生していると判定された場合には点火時期を遅角し、ノッキングが発生していないと判定された場合には点火時期を進角することにより点火時期の調節処理を行うノッキング制御装置であって、前記ノック判定閾値は、所定回数の点火が実行される毎にこの所定回数でのノッキングの発生頻度に応じて更新されていると共に、前記ノック判定閾値が基準値より小さくされている場合に過遅角状態であるとして、前記点火時期の遅角と進角との間のバランスを進角側に変位させる進角側バランス変位手段とを備えたことを特徴とする。
このようにノック判定閾値の値により過遅角状態を判定しても良い。この判定に基づいて進角側バランス変位手段が前記バランスを進角側に変位させることにより、迅速に過遅角状態から抜け出して点火時期を回復することができる。このことにより内燃機関の出力低下・燃費悪化を早期に解消することができる。
請求項9に記載の内燃機関ノッキング制御装置では、請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記進角側バランス変位手段は、過遅角状態での前記進角に際して、通常状態時での前記進角よりも大きい進角量を設定することにより、前記バランスを進角側に変位させることを特徴とする。
前記バランスの進角側への変位は、上述のごとく進角時において進角量を大きくすることにより可能となる。
請求項10に記載の内燃機関ノッキング制御装置では、請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記進角側バランス変位手段は、過遅角状態時での前記遅角に際して、通常状態時での前記遅角よりも小さい遅角量を設定することにより、前記バランスを進角側に変位させることを特徴とする。
前記バランスの進角側への変位は、上述のごとく遅角時において遅角量を小さくすることにより可能となる。
請求項11に記載の内燃機関ノッキング制御装置では、請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記進角側バランス変位手段は、過遅角状態での前記進角に際して通常状態時での前記進角よりも大きい進角量を設定し、かつ過遅角状態時での前記遅角に際して通常状態時での前記遅角よりも小さい遅角量を設定することにより、前記バランスを進角側に変位させることを特徴とする。
前記バランスの進角側への変位は、上述のごとく進角量を大きくし、かつ遅角量を小さくすることによって可能となる。
請求項12に記載の内燃機関ノッキング制御装置では、請求項1〜11のいずれか一項に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記進角側バランス変位手段は、所定回数の点火が実行される毎に、前記バランスを通常状態時でのバランスに戻すことを特徴とする。
このことにより急速な進角が長期に継続することがなく必要以上の進角を防止できる。
実施の形態1のノッキング制御処理のフローチャート。 実施の形態1の点火時期フィードバック制御処理のフローチャート。 上記点火時期フィードバック制御処理の一部の詳細を示すフローチャート。 実施の形態1の進角量設定処理のフローチャート。 実施の形態1の内燃機関制御系のブロック図。 (a)〜(c)実施の形態1にてノック振動強度波形解析を説明するためのグラフ。 (a),(b)実施の形態1の進角量マップの構成を示すグラフ。 実施の形態2の進角量設定処理のフローチャート。 実施の形態3の進角量設定処理のフローチャート。 実施の形態3のノック判定閾値J(i)更新処理のフローチャート。 実施の形態3においてノック強度N頻度分布に基づいて中央値VM,標準偏差σ,ノック判定レベルVKDを設定するためのグラフ。 実施の形態4の遅角量設定処理のフローチャート。 実施の形態5の進遅角量設定処理のフローチャート。
[実施の形態1]
図1〜4は、本発明の内燃機関ノッキング制御装置として実行されるノッキング制御処理、点火時期フィードバック制御処理、及び進角量設定処理のフローチャートである。図5のブロック図に示すごとく、内燃機関2を制御している電子制御ユニット(以下、ECUと称する)4が内燃機関ノッキング制御装置に相当し、このECU4により上記図1〜4の処理が実行される。
図5に示した内燃機関2は車両駆動用に車両に搭載されたポート噴射火花点火式の直列4気筒ガソリンエンジンである。図5では#1〜#4気筒の内の1気筒のみ示している。尚、6気筒や8気筒などのその他の気筒数の内燃機関、あるいはV型内燃機関であっても良い。
内燃機関2の各燃焼室6には、サージタンク8a及び分岐管8bを含む吸気通路8を介して空気が供給され、気筒毎に設けられた燃料噴射弁10から、吸気ポート8cの吸気流中に燃料が噴射されることで混合気を形成する。この混合気が内燃機関2の各燃焼室6内に供給される。
尚、燃料噴射弁10は、内燃機関2の各燃焼室6内に直接燃料を噴射するように配置した直噴型としても良い。
そして、このことにより燃焼室6内に形成された混合気に点火タイミングにて点火プラグ12のスパークによる点火が行われることにより混合気が燃焼し、ピストン14が押し下げられて出力軸であるクランクシャフト16を回転させる。そして燃焼後の混合気は排気として燃焼室6から排気ポート18aに排出され、排気浄化触媒やマフラーを有する排気通路18を介して外部へ排出される。
ここで吸気ポート8cにて開閉弁動作する吸気バルブ20と、排気ポート18aにて開閉弁動作する排気バルブ22とは共に一定のバルブ作用角(あるいは最大バルブリフト量)にて駆動される。尚、吸気バルブ20については、バルブタイミング可変機構を設けてバルブ作用角(あるいは最大バルブリフト量)を可変としたり、開閉弁タイミングを進遅角できるものであっても良い。排気バルブ22についても開閉弁タイミングを進遅角できるものであっても良い。
吸気通路8から各気筒の燃焼室6に分配される吸入空気量は、ECU4が、アクセルペダル24の踏み込み量であるアクセル操作量ACCPに応じてスロットルバルブ26の開度を制御することにより調節される。尚、吸気バルブ20のバルブ作用角(あるいは最大バルブリフト量)を可変としている場合には、すなわち可変動弁機構を採用している場合には、吸気バルブ20のバルブ作用角(あるいは最大バルブリフト量)の調節により、各気筒の燃焼室6に分配される吸入空気量が調節される。この場合にはスロットルバルブ26は、通常、全開に制御されて内燃機関2が運転されている。
ECU4は、上述したごとく内燃機関2の燃料噴射量、噴射時期、吸入空気量以外に、点火時期制御、その他の処理を実行している。これらの処理のためにECU4は、機関回転数センサ28、冷却水温センサ30、スロットル開度センサ32、吸入空気量センサ34、アクセル操作量センサ36、カムポジションセンサ38、ノックセンサ40などによる検出信号を入力している。
機関回転数センサ28はクランクシャフト16の回転に対応した内燃機関回転数NEを、冷却水温センサ30は内燃機関温度としての冷却水温度THWを、スロットル開度センサ32はスロットルバルブ開度TAを、吸入空気量センサ34は吸入空気量GAを、アクセル操作量センサ36はアクセル操作量ACCPを検出している。更にカムポジションセンサ38は吸気バルブ20を駆動する吸気カムのカム角を、ノックセンサ40は内燃機関2のシリンダブロックに取り付けられ、各気筒の燃焼行程時に生じる振動をノック信号(ここでは電圧信号:V)として検出している。
ECU4は、これらの信号、記憶しているデータ、演算結果などに基づいて各種制御を実行する。すなわち点火プラグ12による点火時期、燃料噴射弁10の開弁制御による燃料噴射量や噴射時期、前述したスロットルバルブ26の開度調節(可変動弁機構を採用している場合には吸気バルブ20のバルブ作用角あるいは最大バルブリフト量調節、開閉弁タイミング)などの制御を実行する。
次にECU4が実行する図1のノッキング制御処理、図2,3の点火時期フィードバック制御処理、及び図4の進角量設定処理について説明する。
各処理(図1〜4)は一定のクランク角周期にて繰り返し実行される処理である。尚、個々の処理内容に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
ノッキング制御処理(図1)が開始されると、まず冷却水温度THWが60℃以上となっているか否かが判定される(S102)。ここで始動後において冷却水温度THWが60℃未満の状態であれば(S102でNO)、処理は点火時期フィードバック制御処理(S116:図2)へ移行する。
点火時期フィードバック制御処理(図2)においては、まずノック強度N及び相関係数Kが更新されたか否かが判定される(S130)。現在、THW<60℃であるためにノック強度N及び相関係数Kの更新はなされていない状態であるので(S130でNO)、直ちに点火時期設定がなされる(S142)。ここでは前回の内燃機関運転時においてECU4に記憶されている点火時期学習値などに基づいて現在の冷却水温度THWなどに対応した点火時期が設定される。そしてこの点火時期に基づいて点火制御が実行されることになる。以後、ノック強度N及び相関係数Kの更新がなされていない状態が継続している限り、上述した処理が継続する。
内燃機関2の運転継続により冷却水温度THWが上昇して、THW≧60℃となれば(S102でYES)、機関回転数センサ28及びカムポジションセンサ38の検出結果に基づいて、4気筒の内のいずれかの気筒が、燃焼行程における一定のクランク角範囲にあるか否かが判定される(S104)。ここでは燃焼行程の0°〜90°CA(°CAはクランク角を表す)の範囲内か否かが判定される。いずれの気筒においても燃焼行程の0°〜90°CA外であれば(S104でNO)、点火時期フィードバック制御処理(S116:図2)へ移行する。そして、いまだノック強度N及び相関係数Kの更新がなされていない状態が継続している場合には前述した処理が継続する。
いずれかの気筒(「#n気筒」で表す)が燃焼行程の0°〜90°CA内となれば(S104でYES)、次に#n気筒の燃焼時にノックセンサ40にて検出される振動から所定周波数帯での振動強度を検出する(S106)。この所定周波数帯はノッキングによる振動周波数が含まれる周波数帯である。
そして0°〜90°CAの範囲において5°CA毎に分けたクランク角幅領域毎に振動強度を積算する(S108)。
次に、今回のクランク角が、#n気筒における燃焼行程の90°CAであるか否かが判定される(S110)。未だ90°CAに達していなければ(S110でNO)、点火時期フィードバック制御処理(S116:図2)へ移行する。そして、いまだノック強度N及び相関係数Kの更新がなされていない状態が継続している場合には前述した処理が継続する。
以後、0°から90°CAの範囲にて90°CA未満の状態である限り、上述したステップS106,S108の処理が繰り返され、現在の燃焼行程での振動強度検出により所定周波数帯の5°CA毎に積算データが得られる。
そして90°CAに達した時には今回燃焼行程にある#n気筒において、クランク角を横軸とし、5°CA毎積算振動強度Ndを縦軸とする図6の(a)に例示するごとくの振動強度データが得られる。
そして#n気筒における燃焼行程の90°CAとなれば(S110でYES)、次にノック強度Nが算出される(S112)。ここではノック強度Nは、図6の(a)に示した5°CA毎積算振動強度Ndを0°CA〜90°CAまでを総計した値(総積算値)として算出する。尚、5°CA毎積算振動強度の蓄積データの内で最大の値(ピーク値)をノック強度Nとしても良い。あるいは上記5°CA毎積算振動強度の蓄積データの最大値をノッキングが発生していない状態における内燃機関2の振動強度を表す値で除算した値をノック強度Nとしても良い。これ以外の手法にてノック強度Nを表しても良い。
次に振動波形解析によるノック振動強度波形モデルとの相関係数Kを算出する(S114)。ノック振動強度波形モデルは図6の(b)に示すごとくであり、内燃機関2にノッキングが発生した場合の振動波形のモデルとして予め作成されている。
このノック振動強度波形モデルはノッキングにより発生した5°CA毎積算振動強度のピーク値以降の振動に対応し、かつ0〜1の範囲の値に変換された無次元数とされている。したがって図6の(a)に示した値についても、そのピーク以降をピーク値にて除算することにより無次元数に変換して正規化する。このことにより図6の(c)に示すごとくノック振動強度波形モデルと比較でき、相関係数Kを算出できる。
例えば、正規化後の振動強度波形とノック振動強度波形モデルとの5°CA毎の偏差の絶対値をΔS(I)(Iは自然数)とし、ノック振動強度波形モデルにおける5°CA毎積算振動強度をクランク角で積分した値(ノック振動強度波形モデルの面積)をSとおくと、相関係数Kは、K=(S−ΣΔS(I))/Sという式により算出される。ここで、ΣΔS(I)は、0°CAから90°CAまでの前記ΔS(I)の総和である。
このように求められる相関係数Kは、振動強度波形の形状がノック振動強度波形モデルの形状に近いほど、「1」に近い値として算出される。振動強度波形にノッキング以外の要因による振動の波形が含まれた場合には、相関係数Kは小さくなり、「0」に近づく。
このようにしてノック強度Nと相関係数Kとが算出されると、次に点火時期フィードバック制御処理(S116:図2)へ移行する。
点火時期フィードバック制御処理(図2)について説明する。まず前述したごとくのノック強度N及び相関係数Kの算出により、ノック強度N及び相関係数Kが更新されたか否かが判定される(S130)。
更新されていなければ(S130でNO)、前述したごとく点火時期設定(S142)に移行するが、今回は、更新されたので(S130でYES)、更新されたノック強度Nと相関係数Kとに基づいてノック判定が実行される(S132)。
このノック判定(S132)は、図3の部分フローチャートに示すごとく実行される。
まず条件1が満足されているか否かが判定される(S132−1)。
条件1:ノック強度N≧ノック判定閾値J(i)
この条件1におけるノック判定閾値J(i)は、所定点火回数経過毎に、ノック強度Nとその発生頻度に応じて、各気筒において内燃機関運転状態の領域毎に補正によって更新されている値であり、強度的にノッキング発生の有無を判定するための判定値である。ここで(i)は領域を表し、内燃機関2の負荷と内燃機関回転数NEとにより区分されている領域である。尚、負荷は内燃機関2の1回転当たりに燃焼室6に吸入される空気量であり、吸入空気量GAと内燃機関回転数NEとから求められる値である。
前記条件1が満足されない場合には(S132−1でNO)、ノッキング無としてステップS134の処理に移行する。
前記条件1が満足されている場合には(S132−1でYES)、次に第1カウンタCkrがインクリメントされる(S132−2)。
そして次に条件2が満足されているか否かが判定される(S132−3)。
条件2:相関係数K≧相関判定値K1
この条件2における相関判定値K1は、内燃機関2の機種に対応して予め設定されている相関判定用基準値であり、例えば「0.6」に設定されている。
前記条件2が満足されない場合には(S132−3でNO)、ノッキング無としてステップS134の処理に移行する。
前記条件2が満足されている場合には(S132−3でYES)、次に第2カウンタCksがインクリメントされる(S132−4)。
そしてノッキング有としてステップS136の処理に移行する。
すなわち前記条件1,2のいずれかあるいは両方が満足されていなければ(S132で「ノッキング無」判定)、点火時期をフィードバック制御するためのフィードバック補正値に進角処理(S134)がなされることになる。ここでフィードバック補正値が進角値により表されており、進角量Aθにてフィードバック補正値が増加されることになる。この進角量Aθについては後述するごとく進角量設定処理(図4)にて設定される値である。
前記条件1,2の両方が満足されている場合は(S132で「ノッキング有」判定)、点火時期を補正するためのフィードバック補正値に遅角処理(S136)がなされることになる。すなわち遅角量Dθ分、フィードバック補正値が減少される。この遅角量Dθは固定値である。
ステップS134又はステップS136にてフィードバック補正値が算出されると、点火時期学習条件が成立しているか否かが判定される(S138)。成立していれば(S138でYES)、点火時期学習値の学習、すなわち点火時期学習値更新がなされる(S140)。
そしてステップS140の後、あるいはステップS138にてNOと判定された後に、点火時期設定処理(S142)がなされることになる。
進角量設定処理(図4)について説明する。本処理が開始されると、まず所定点火回数経過前か否かが判定される(S150)。尚、ここでは所定点火回数としては前述したノック判定閾値J(i)の更新が行われる所定点火回数と同じに設定されており、200回が設定されている。
すなわちステップS150では所定点火回数が経過する毎にNOと判定されるが、この間の期間においてはYESと判定されることになる。
ここで所定点火回数経過前であれば(S150でYES)、前記カウンタCkr(この値は請求項の点火回数Aに相当),Cks(この値は請求項の点火回数Bに相当)について、第2カウンタCks>0である場合には式1が、第2カウンタCks=0である場合には式2が満足されているか否かが判定される。
[式1] Ckr/Cks > Kbl
[式2] Ckr > Nbl
ここで第1カウンタCkrは図3に示したごとくノック強度Nがノック判定閾値J(i)以上である回数をカウントしており、第2カウンタCksはノック強度Nがノック判定閾値J(i)以上で、かつ相関係数Kが相関判定値K1以上である回数をカウントしている。
したがって前記式1は、第1カウンタCkrの値と第2カウンタCksの値との比を算出して、この比が基準値Kblを越えているか否かを判定していることになる。
通常状態時はCkr/Cks(請求項のノイズの検出頻度に対応する値)は1に近い値であり、過遅角状態時にはCkr/Cksの値は1より可成り大きく、例えば2以上の値となる。したがって基準値Kblを通常状態と過遅角状態との境界を示す値に設定しておく。例えば、Kbl=3〜5に設定しておく。
このことにより式1を満足しない場合には過遅角状態でなく、式1を満足すると過遅角状態であると判定できる。
尚、式2は第2カウンタCks=0である場合には比が計算できないので、第1カウンタCkrのみ基準値Nblを越えているか否かにより判定している。例えば、基準値Nblは5以上の値に設定する。この場合には第1カウンタCkrの値自体が請求項のノイズの検出頻度に対応する値となる。
ここで前記式1,2のいずれにも該当しない場合には(S152でNO)、進角量Aθとして通常の設定処理が行われる(S154)。例えば、図7の(a)に示すごとくの一次元マップにより、内燃機関回転数NEに応じて進角量Aθが設定される。この場合の進角量Aθは前述した遅角量Dθ(固定値)に対応して設定されているものであり、通常状態時に遅角量Dθの値に対して適切な点火時期にてバランスするように設定されている。
前記式1,2のいずれかに該当する場合には(S152でYES)、進角量Aθとして拡大した設定処理が行われる(S156)。例えば、図7の(b)に示すごとく(a)に比較して2倍の値となる一次元マップにより、内燃機関回転数NEに応じて進角量Aθが設定される。この場合の進角量Aθは前述した遅角量Dθ(固定値)に対応して設定される値よりも、進角の程度が大きい。
このため点火時期フィードバック制御処理(図2)のステップS132にてノッキング無と判定された場合になされるフィードバック補正値進角処理(S134)では、大きく進角側に進むようにフィードバック補正値が設定される。このため通常状態時に比較して、点火時期の遅角と進角との間のバランスは進角側に変位させられ、進角処理時(S134)には点火時期を通常状態時よりも迅速に進角側に移動させることになる。
所定点火回数経過時となれば(S150でNO)、すなわち所定点火回数(ここでは200点火)経過した場合には、2つのカウンタCkr,Cksの値をクリアし(S158)、進角量Aθに対しては通常の設定処理に戻る(S154)。
したがって前記式1,2のいずれかに該当していたとしても、200点火目には進角量Aθには通常の設定処理が行われる(S154)。このため、図7の(a)に示すごとくの一次元マップにより、内燃機関回転数NEに応じて進角量Aθが設定されるので、進角量Aθは点火時期フィードバック制御処理(図2)のステップS134では、前述した遅角量Dθの値に対して適切にバランスするようになり、通常状態時において適切となる点火時期が設定できるようになる。
上述した構成において請求項との関係は、ECU4が内燃機関ノッキング制御装置に相当する。ステップS132−2、ステップS132−4、ステップS152が過遅角検出手段としての処理に、ステップS150,S154,S156が進角側バランス変位手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(1)第1カウンタCkrと第2カウンタCksとの比較、ここでは比(Ckr/Cks)により、第2カウンタCks=0では第1カウンタCkrの値により、過遅角状態にあると検出された時には(S152でYES)、進角量Aθに通常状態時よりも拡大された値を設定している(S156)。このことにより点火時期の遅角と進角との間のバランスを進角側に変位させているので、点火時期フィードバック制御処理(図2)の進角処理(S134)では迅速に進角側に戻るようになる。
したがってノイズの誤判定により遅角が進行して過遅角状態に陥ったとしても、このような誤判定が終了した後は、迅速に過遅角状態から抜け出して点火時期を回復することができる。このことにより内燃機関2の出力低下・燃費悪化を早期に解消することができる。
(2)ノックセンサ40により検出される振動状態としてノック強度Nと相関係数Kとを算出し、これらの値に基づいてノック判定(S132)を行っている。このようなノック判定を実行している場合、ノック強度Nがノック判定閾値J(i)以上であるが、振動強度波形がノッキング波形に近似していない場合(相関係数K<K1)をノイズとして定義することができ、このノイズの検出頻度が所定頻度より高い場合に過遅角状態であると検出することができる。
このようなノック判定にて、実際にはノイズであるにも関わらず振動強度波形がノッキング波形に近似する状態が頻発したりして遅角が進行し、このことにより過遅角状態に陥る場合がある。このように過遅角状態に陥った場合、前記特別なノイズが消滅して正常な判定状態に戻った直後には、ノック判定閾値J(i)による判定によりノイズとの判定が頻発することから、過遅角状態であることが検出される(S152でYES)。このことから進角量Aθの拡大設定処理(S156)が実行されて進遅角のバランスは進角側に変位される。
このため迅速に過遅角状態から抜け出して点火時期を回復することができる。このことにより内燃機関2の出力低下・燃費悪化を早期に解消することができる。
(3)所定回数の点火、ここでは200点火毎に、前記式1,2のいずれかに該当していたとしても、200点火目には進角量Aθとして通常の設定処理が行われる(S154)。すなわち前記バランスを200点火毎に初期状態に戻している。このことにより急速な進角が長期に継続することがなく、必要以上に進角することを防止できる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、進角量設定処理としては図4の代わりに図8に示すごとくの処理を実行している。他の構成は前記実施の形態1と同じである。
図8の進角量設定処理ではステップS250,S254,S256,S258は、図4にて説明したステップS150,S154,S156,S158と同じである。ステップS252では式3が判定され、この式3が満足されている場合に(S252でYES)、進角量Aθ拡大設定処理(S256)を実行し、式3が満足されていない場合には(S252でNO)、進角量Aθ通常設定処理(S254)を実行している。
[式3] Ckr−Cks > Mbl
すなわち前記式3は第1カウンタCkrと第2カウンタCksとの差を算出して、この差を基準値Mblと比較してノイズの検出頻度の大きさを判定している。ここで基準値Mblは通常状態時と過遅角状態時との境界を示す値に設定してある。
上述した構成において請求項との関係は、ステップS132−2、ステップS132−4、ステップS252が過遅角検出手段としての処理に、ステップS250,S254,S256が進角側バランス変位手段としての処理に相当する。
このような構成によっても前記実施の形態1の効果を生じる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、進角量設定処理としては図4の代わりに図9に示すごとくの処理を実行している。ノック判定閾値J(i)更新処理は図10に示すごとくに実行している。更に図3に示した処理にて、ステップS132−2,S132−4は実行していない。他の構成は前記実施の形態1と同じである。
図9の進角量設定処理ではステップS350,S354,S356は、図4にて説明したステップS150,S154,S156と同じである。ステップS158に相当する処理は不要なので図9には存在しない。
図9のステップS352では式4が判定され、この式4が満足されている場合に(S352でYES)、進角量Aθ拡大設定処理(S356)を実行し、式4が満足されていない場合には(S352でNO)、進角量Aθ通常設定処理(S354)を実行している。
[式4] J(i)< Jbl
すなわち前記式4は、前述したカウンタCkr,Cksを用いるのではなく、現在のノック判定閾値J(i)の大きさを判定している。前述したごとくの原因にてノイズがノッキングとしてカウントされている状態が継続した場合には、ノック判定閾値J(i)更新処理(図10)によりノック判定閾値J(i)が過小となる。このことから前記式4によりノイズの検出頻度の大きさを判定できる。ここで基準値Jblは通常状態時と過遅角状態時との境界を示す基準値として設定してある。
ノック判定閾値J(i)更新処理(図10)について説明する。この処理は各燃焼行程の90°CA後のタイミングで繰り返し実行される処理である。
ノック判定閾値J(i)更新処理(図10)が開始されると、まず前述したノッキング制御処理(図1)にて算出されているノック強度Nがノック判定レベルVKD以上か否かが判定される(S362)。
ここでノック判定レベルVKDは、図11に示すごとく、ノック強度Nの履歴から作成されているノック強度Nの頻度分布に基づいて算出されるものである。
図11では縦軸が頻度、横軸がノック強度Nの対数値を表している。実際には、このような頻度分布の中央値VMと標準偏差σとが、ノック強度Nが算出される毎に式5,6のごとく近似的に繰り返し算出されている。
[式5] VM ← VM + (N−VM)/x
[式6] σ ← σ + (N−σ)/y
ここで前記式5,6において「←」の右辺のVM,σは前回値であり、左辺のVM,σは今回値である。x,yは加重平均の重み付けのための正の値であり、ノック強度Nの変化に対して或る程度の遅れが生じる処理、いわゆる「なまし処理」がなされている。
この式5,6がECU4により点火周期毎に別途実行されて、中央値VMと標準偏差σとがノック強度Nの値に応じて繰り返し算出されている。
ここでは、例えばノック判定レベルVKDは、「VM+3・σ」の値に設定されている。尚、ノッキング制御システムの設計に応じて、これ以外の値、例えば図11に示すごとく「VM+2・σ」〜「VM+5・σ」の範囲のいずれかにノック判定レベルVKDを設定しても良い。
このように設定されているノック判定レベルVKDに対して、N≧VKDであった場合には(S362でYES)、ノックカウント値KCがインクリメントされる(S364)。そしてステップS366の判定に移る。
尚、N<VKDであった場合には(S362でNO)、直ちにステップS366の判定に移る。
ステップS366では、ノック判定閾値J(i)の更新が可能な状態にあるか否かが判定される。ここでは前記実施の形態1にて説明したごとく、前回、ノック判定閾値J(i)を更新した後に、所定点火回数(ここでは200点火)が経過している場合に更新可能状態にあると判定する。
更新可能状態でなければ(S366でNO)、このまま本処理を出る。
更新可能状態であれば(S366でYES)、次にノックカウント値KCが、所定値KCX以上か否かを判定する(S368)。ここで所定値KCXは、ノック判定閾値J(i)を増加するか減少するかの境界を判定する値であり、ノッキング制御システムの設計に応じて設定されている値である。
ここでKC≧KCXであれば(S368でYES)、式7に示すごとくノック判定閾値J(i)を所定値JA分減少する処理が実行される(S370)。
[式7] JX ← J(i) − JA
このことにより前記点火時期フィードバック制御処理(図2)のステップS132にてノッキング有とするノック判定頻度(実際はその前提のステップS132−1でYESと判定される頻度)を上げることにより、点火時期遅角処理(S136)の実行回数を増加して、点火時期を遅角側に移動させノッキング抑制を強めることになる。
KC<KCXであれば(S368でNO)、式8に示すごとくノック判定閾値J(i)を所定値JB分増加する処理が実行される(S372)。
[式8] JX ← J(i) + JB
このことにより前記点火時期フィードバック制御処理(図2)のステップS132にてノッキング無とするノック判定頻度(ステップS132−1でNOと判定される頻度)を上げることにより、点火時期進角処理(S134)の実行回数を増加させて、点火時期を進角側に移動させノッキング抑制を弱めることになる。
上述した所定値JA,JBについてはノッキング制御システムの設計に応じて設定されている値である。
ステップS370又はステップS372の処理が終了すると、前記式7又は前記式8にて算出されたノック判定閾値JXに対して、適切な範囲から逸脱しないようにガード処理を実行し、新たなノック判定閾値J(i)として設定する(S374)。
ガード処理(S374)が終了すると、ノックカウント値KCがクリアされ(S376)、一旦処理を出る。
以後、制御周期毎に上述した処理が行われることで、ノック判定閾値J(i)の更新がノッキングの発生状況に応じてなされることになる。すなわちノック判定閾値J(i)の学習がなされることになる。
ノック判定閾値J(i)が上述したごとく構成されているため、ノイズがノッキングとしてカウントされる状態が継続すると、ノックカウント値KCが過大となり、ステップS370が継続してノック判定閾値J(i)は過小となる。このためノック判定閾値J(i)が基準値Jblより小さいことにより(S352でYES)、過遅角状態であることが判明するので、進角量Aθ拡大設定処理(S356)を実行することにより、ノック判定閾値J(i)が正常な範囲となるまで、急速に点火時期を進角側に戻すことができる。
上述した構成において請求項との関係は、ステップS350,S352,S354,S356が進角側バランス変位手段としての処理に相当する。
このような構成によっても前記実施の形態1の効果を生じる。
[実施の形態4]
本実施の形態では、進角量設定処理(図4)の代わりに図12に示すごとくの遅角量設定処理を実行している。他の構成は前記実施の形態1と同じである。
図12の遅角量設定処理ではステップS450,S452,S458は、図4にて説明したステップS150,S152,S158と同じである。
過遅角状態ではない場合(S452でNO)には、ステップS454にて遅角量Dθに通常設定処理が行われ、過遅角状態の場合(S452でYES)にはステップS456にて遅角量Dθの縮小設定処理が行われる点が前記実施の形態1と異なる。
ここで遅角量Dθの縮小設定処理(S456)は、前記実施の形態1にて説明した進角量Aθの拡大設定処理(S156)とは逆の処理である。すなわち、通常状態時の遅角量Dθよりも絶対値として小さい値を遅角量Dθに設定している。
このことにより点火時期フィードバック制御処理(図2)のノック判定(S132)にてノッキング有と判定された場合に実行されるフィードバック補正値遅角処理(S136)では、点火時期が遅角側へ移動するのを抑制することができる。このため過遅角状態時にはステップS456の処理により点火時期が遅角側へ移動するのを抑制され、この結果、バランスが進角側に偏ることになり、誤遅角状態からの復帰時に急速な進角側への戻しが生じることになる。
上述した構成において請求項との関係は、ステップS132−2、ステップS132−4、ステップS452が過遅角検出手段としての処理に、ステップS450,S454,S456が進角側バランス変位手段としての処理に相当する。
このような構成によっても前記実施の形態1の効果を生じる。
[実施の形態5]
本実施の形態では、進角量設定処理(図4)の代わりに図13に示すごとくの進遅角量設定処理を実行している。他の構成は前記実施の形態1と同じである。
図13の進遅角量設定処理ではステップS550,S552,S554,S558,S562は、図4にて説明したステップS150,S152,S154,S156,S158と同じである。
過遅角状態ではない場合(S552でNO)にはステップS554にて進角量Aθに通常設定処理が行われ、ステップS556にて遅角量Dθに通常設定処理が行われる。そして過遅角状態の場合(S552でYES)にはステップS558にて進角量Aθの拡大設定処理が行われ、ステップS560にて遅角量Dθの縮小設定処理が行われる点が前記実施の形態1と異なる。
ここで進角量Aθの拡大設定処理(S558)及び遅角量Dθの縮小設定処理(S560)は前記実施の形態1,4にて説明したごとくである。このため過遅角状態時にはステップS558とステップS560の処理により点火時期が進角側へ移動するのが促進され、かつ遅角側へ移動するのを抑制されて、バランスが進角側に偏ることになり、誤遅角状態からの復帰時に急速な進角側への戻しが生じることになる。
上述した構成において請求項との関係は、ステップS132−2、ステップS132−4、ステップS552が過遅角検出手段としての処理に、ステップS550,S554,S556,S558,S560が進角側バランス変位手段としての処理に相当する。
このような構成によっても前記実施の形態1の効果を生じる。
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態3に示したノック判定閾値J(i)更新処理(図10)は、他の実施の形態にても、このように実行することによりノック判定閾値J(i)を更新するようにしても良い。
・進角量設定処理(図4,8,9)、遅角量設定処理(図12)、進遅角量設定処理(図13)では、所定点火回数経過時、具体的には200点火毎に、拡大していた進角量Aθ、あるいは縮小していた遅角量Dθを、通常設定に戻している。このように所定点火回数毎に通常設定に戻さなくても、各過遅角判定処理(S152,S252,S352,S452,S552)のNOとの判定のみで、通常設定に戻すようにしても良い。尚、この場合でも所定点火回数毎にカウンタCkr,Cksはクリアする。
・上述のごとく進角量設定処理(図4,8,9)、遅角量設定処理(図12)、進遅角量設定処理(図13)ではノック判定閾値J(i)更新のための所定点火回数(図10:S366)と同じ200点火を所定点火回数としたが、これより少ない点火回数、例えば100点火毎に進角量Aθあるいは遅角量Dθを通常設定に戻すようにしても良い。
2…内燃機関、4…ECU、6…燃焼室、8…吸気通路、8a…サージタンク、8b…分岐管、8c…吸気ポート、10…燃料噴射弁、12…点火プラグ、14…ピストン、16…クランクシャフト、18…排気通路、18a…排気ポート、20…吸気バルブ、22…排気バルブ、24…アクセルペダル、26…スロットルバルブ、28…機関回転数センサ、30…冷却水温センサ、32…スロットル開度センサ、34…吸入空気量センサ、36…アクセル操作量センサ、38…カムポジションセンサ、40…ノックセンサ。

Claims (12)

  1. 内燃機関に設けたノックセンサにより検出される振動状態に基づいてノック判定し、このノック判定にてノッキングが発生していると判定された場合には点火時期を遅角し、ノッキングが発生していないと判定された場合には点火時期を進角することにより点火時期の調節処理を行うノッキング制御装置であって、
    点火時期が過遅角状態にあるか否かを検出する過遅角検出手段と、
    前記過遅角検出手段にて過遅角状態であると検出されている場合に前記点火時期の遅角と進角との間のバランスを進角側に変位させる進角側バランス変位手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記過遅角検出手段は、前記ノック判定にてノイズの検出頻度が所定頻度より高い場合に、過遅角状態であると検出することを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記ノック判定は、前記ノックセンサにより検出される振動強度とノック判定閾値との比較、及び前記ノックセンサにより検出される振動強度波形とノッキング波形との比較に基づいて行われると共に、
    前記過遅角検出手段は、前記振動強度が前記ノック判定閾値を越えているが、前記振動強度波形が前記ノッキング波形に近似していない場合をノイズとして、このノイズの検出頻度が所定頻度より高い場合に、過遅角状態であると検出することを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記過遅角検出手段は、前記振動強度が前記ノック判定閾値を越えている点火回数Aが、この点火回数A内において前記振動強度波形が前記ノッキング波形に近似している点火回数Bに対する大きさの程度をノイズの検出頻度としていることを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記過遅角検出手段は、前記点火回数Aと前記点火回数Bとの比を算出することによりノイズの検出頻度を算出することを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  6. 請求項4に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記過遅角検出手段は、前記点火回数Aと前記点火回数Bとの差を算出することによりノイズの検出頻度を算出することを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  7. 請求項3〜6のいずれか一項に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記ノック判定閾値は、所定回数の点火が実行される毎にこの所定回数でのノッキングの発生頻度に応じて更新されている値であることを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  8. 内燃機関に設けたノックセンサにより検出される振動強度とノック判定閾値との比較、及び前記ノックセンサにより検出される振動強度波形とノッキング波形との比較に基づいてノック判定し、このノック判定にてノッキングが発生していると判定された場合には点火時期を遅角し、ノッキングが発生していないと判定された場合には点火時期を進角することにより点火時期の調節処理を行うノッキング制御装置であって、
    前記ノック判定閾値は、所定回数の点火が実行される毎にこの所定回数でのノッキングの発生頻度に応じて更新されていると共に、
    前記ノック判定閾値が基準値より小さくされている場合に過遅角状態であるとして、前記点火時期の遅角と進角との間のバランスを進角側に変位させる進角側バランス変位手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記進角側バランス変位手段は、過遅角状態での前記進角に際して、通常状態時での前記進角よりも大きい進角量を設定することにより、前記バランスを進角側に変位させることを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記進角側バランス変位手段は、過遅角状態時での前記遅角に際して、通常状態時での前記遅角よりも小さい遅角量を設定することにより、前記バランスを進角側に変位させることを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記進角側バランス変位手段は、過遅角状態での前記進角に際して通常状態時での前記進角よりも大きい進角量を設定し、かつ過遅角状態時での前記遅角に際して通常状態時での前記遅角よりも小さい遅角量を設定することにより、前記バランスを進角側に変位させることを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の内燃機関ノッキング制御装置において、前記進角側バランス変位手段は、所定回数の点火が実行される毎に、前記バランスを通常状態時でのバランスに戻すことを特徴とする内燃機関ノッキング制御装置。
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