JP2011012503A - 自立式土留壁の構築方法及び地盤の開削時における土留構造 - Google Patents
自立式土留壁の構築方法及び地盤の開削時における土留構造 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】複数の鋼矢板を地中に建て込んで土留壁を形成する工程と、前記土留壁の開削側に、該土留壁と略直交且つ該土留壁が受ける土圧を伝達するように鋼材を建て込み、複数の切梁壁を形成する工程と、開削した地盤に捨てコンクリートを打設する工程と、前記切梁壁を撤去する工程と、を少なくとも含み、前記土留壁と一対の切梁壁とで平面視π型形状を呈するように構成する。地盤の開削時には切梁壁でもって土留壁の自立性を補完し、開削後には切梁壁を撤去して最終的に土留壁本体のみで自立させる。
【選択図】図1
Description
特許文献1に記載の発明では、山留壁の背面側に直交するように鋼矢板を打設して控え壁を構築するものとしている。
特許文献2に記載の発明では、土留壁の前面側に主控壁と補助控壁を噛み合い式に結合させて構築し、土留壁本体を自立させている。
特許文献3に記載の発明では、土留壁の前面側に形成した柱列状の地盤改良体を控え壁として土留壁本体を自立させている。
(1)特許文献1に記載の構造では、地山側に控え壁を設置するだけの十分なスペースがあることを前提とすることから、地山側に十分なスペースが得られない場合、例えば都市部における高層建築物の地下構造物を構築するための開削現場などでは、前記構造を採用することはできない。
(2)特許文献2及び3に記載の構造では、先の特許文献1に記載の問題を解消することはできるものの、あくまで土留壁本体と控え壁とで安定性を確保するものであり、土留壁本体のみで自立性を確保することはできない。
(3)特許文献2及び3に記載の構造では、控え壁はそのまま地中に残置(埋め殺し)することを前提とするものであるため、控え壁の設置分だけ施工コストが増大する。
(1)地盤の開削時には切梁壁が土留壁から伝達した土圧に対抗することができ、土留壁を高剛性の構造体とする必要がない。
(2)地盤の開削後は土留壁本体のみで自立性を確保することができる。
(3)切梁壁は最終的に撤去されるため、駆体の構築時に該切梁壁が干渉しない。
(4)撤去した切梁壁は再利用が可能であり、施工コストの低廉化に寄与する。
(5)腹起を設けることにより、土留壁を構築する鋼矢板の回転を抑止することができるため、土留壁の撓みを防止することができるほか、土留壁の一箇所に集中した偏土圧が発生した際にも、腹起を介して土圧が伝搬するため、偏土圧の分散効果が得られる。また、切梁壁への土圧伝達もより確実に行うことができる。
(6)火打ち材を設けることにより、腹起の支間長が切梁壁間より短くなるため、腹起のサイズダウンを図ることができる。
図1は、本願発明における、地盤の開削時における土留構造の一例を示す概略斜視図であり、図2は該土留構造の概略側面図であり、図3は図2の概略平面図である。
本願発明の土留構造は、地山に設置される土留壁1と土留壁から略垂直且つ間隔を設けて配される一対の切梁壁2と、を少なくとも具備する。
その他の部材として、切梁壁2に取りつける拘束部材3と、土留壁に取りつける腹起4と、を適宜備える。
そして、本願の土留構造を呈する土留構造体A1を連続的に形成して土留壁を構築するものである。
土留壁1は、地山に複数の鋼矢板(シートパイル)を連続的に地中に建て込んで形成する周知の土留壁であるため、詳細な説明を省略する。
切梁壁2は、鋼矢板やH鋼などの複数の鋼材を、夫々連続するように地中に打設することによって形成され、前記土留壁1の長手方向と略直交する方向且つ該長手方向に向かって所定の間隔を設けて設置され、いわゆる切梁の機能を有するる壁材である。
その他、適宜採用することが可能な、その他の部材について説明する。
本願発明では、切梁壁2を構成する各鋼材の頭部を連結する拘束部材3を設けることもできる。
拘束部材3には長手状の溝形鋼やH鋼などの周知の部材を用いる。
そして、拘束部材3と前記切梁壁2とを、クランプ等の公知の拘束具(図示せず)にて連結することにより、該切梁壁2を構成する複数の鋼材を一体化させることができる。
本願発明では、土留壁1に腹起4を設けておくこともできる。
腹起4には、長手状のH鋼など周知の部材を用いるものとし、前記土留壁1を構成する鋼材に該腹起4を周知の方法で設置する。
そして、腹起4と前記切梁壁2とを周知の支持金具5で連結し、裏込め等を行うことで、土留壁1が受ける土圧を切梁壁2へと伝達することができる。
本願発明では、切梁壁2と腹起4間に火打ち材(図示せず)を設けることもできる。当該火打ち材により腹起4の支間長が切梁壁2間より短くなるため、腹起4のサイズダウンを図ることができる。
本実施例の施工条件は以下の通りである。
地山に複数の鋼矢板が連結するように該鋼矢板を連続的に打設して、長手状の土留壁1を構築する(図4(a))。
土留壁1の開削側地盤Cにおいて、土留壁1近傍から該土留壁1と略直交する方向に向かって鋼材(鋼矢板、H鋼など)を連続的に打設して切梁壁2を構築する(図4(b))。なお、切梁壁2を構成する各鋼材の頭部を両側面から溝形鋼等の拘束部材3で連結しておいてもよい。
切梁壁2は腹起4(図示せず)を介して土留壁1と連結するか、或いは腹起を介さずに周知の方法で直接土留壁1に連結する。
開削側Cを所定の深さ開削する(図4(c))。
開削途中から後述する捨てコンクリート6の打設までの間に、土留壁1が受ける土圧は前記切梁壁2に伝搬して分散されるとともに、隣り合う一対の切梁壁2と土留壁1とで構成される平面視π型形状に含まれるコ字型の形状を呈してなる剛構造によって該土圧に対抗することとなる。
開削地盤に捨てコンクリート6を打設し、該捨てコンクリート6の硬化後に拘束部材3並びに切梁壁2を構成する鋼材を適宜順番に撤去する(図4(d))。
捨てコンクリート6の硬化後に切梁壁2を撤去するには、打設前に前記切梁壁2と捨てコンクリートとの間を周知の部材で縁切りしておけばよい。
硬化後の捨てコンクリートは土留壁1から伝搬される土圧に抵抗するため、前記切梁壁2が撤去された後も土留壁1の自立性を確保することができる(図4(e))。
また、従来の切梁工法と比較して、切梁の材料費の節減及び施工日数の短縮が可能となるほか、掘削時に棚杭が障害となるなどの問題も生じないため、掘削効率が向上し、経済性の高い自立式土留壁の構築方法及び土留構造を提供することができる。
2 切梁壁
3 拘束部材
4 腹起
5 支持金具
6 捨てコンクリート
A 土留構造体
B 地山側
C 開削側
Claims (6)
- 自立式土留壁の構築工法であって、
複数の鋼矢板を地中に建て込んで土留壁を形成する工程と、
前記土留壁の開削側に、該土留壁と略直交且つ該土留壁が受ける土圧を伝達するように鋼材を建て込み、複数の切梁壁を形成する工程と、
開削した地盤に捨てコンクリートを打設する工程と、
前記切梁壁を撤去する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする、
自立式土留壁の構築工法。 - 前記切梁壁が、夫々連結した複数の鋼矢板であることを特徴とする、請求項1に記載の自立式土留壁。
- 前記切梁壁が、夫々連結した複数のH鋼であることを特徴とする、請求項1に記載の自立式土留壁。
- 前記土留壁に腹起を架設したことを特徴とする、請求項1に記載の自立式土留壁。
- 前記切梁壁と腹起間に、火打ち材を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の自立式土留壁。
- 地盤の開削時における土留壁の土留構造であって、
複数の鋼矢板を地中に建て込んで形成した土留壁と、
前記土留壁の開削側において、該土留壁と略直交し且つ所定の間隔を設けて該土留壁に連結配置され、撤去可能な一対の切梁壁と、を具備し、
前記土留壁と一対の切梁壁とで平面視π型形状を呈することを特徴とする、
地盤の開削時における土留壁の土留構造。
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