JP2011012126A - 印刷用粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】劈開が生じるのを抑制し得るスキン層を設けてなる、シート物性に優れると共に、印刷用コート層や粘着剤層との密着性に優れる印刷用粘着シートを提供する。
【解決手段】二軸延伸処理された基材シートの一方の面に印刷用コート層を有し、他方の面に粘着剤層を有する印刷用粘着シートであって、該基材シートが、ポリプロピレン層からなるコア層の少なくとも片面に、下記の方法で測定される面配向係数が0.0120〜0.0132の範囲にあるスキン層を有する印刷用粘着シートである。
<面配向係数の測定方法>
JIS K 7105に基づき、アッベ屈折計にてMD方向、TD方向、ZD方向の屈折率MDn、TDn、ZDnをそれぞれ測定する。その結果を用い、以下の式によって面配向係数(fn)を算出する。
fn=(MDn+TDn)/2−ZDn
【選択図】図1

Description

本発明は印刷用粘着シートに関し、さらに詳しくは、二軸延伸処理された基材シートの一方の面に、印刷インキとの密着性を良好にするための印刷用コート層を有し、他方の面に粘着剤層を有する印刷用粘着シートであって、該基材シートとして、上記の印刷用コート層や粘着剤層との密着性を向上させるために、ポリプロピレン層からなるコア層の少なくとも片面に、特定のスキン層を設けてなる、シート物性に優れる印刷用粘着シートに関するものである。
各種の印刷に用いられる印刷用粘着シートに、基材としてプラスチックシートが使用されてきている。一般的に、印刷用粘着シートの基材がプラスチックシートである場合には、インキとの密着性を良好にするため、基材シートの表面に印刷用コート層が設けられている。近年、印刷業界においては、フレキソ印刷の需要が増えてきている。また、フレキソ印刷のインキはUV(紫外線硬化型)インキが主流である。ところが、フレキソ印刷では通常のオフセット印刷等に比べてインキの盛り量が多いため、UVインキを用いてフレキソ印刷を施すと粘着シート基材との密着性が低く、インキの硬化収縮により、インキの脱落が生じる、という問題があった。したがって、UVインキを用いてフレキソ印刷を行う場合にもUVインキの硬化に伴う収縮に追従でき、かつUVインキとの密着性に優れた印刷用粘着シートが求められていた。
一方、ポリプロピレン系樹脂の延伸シートは、食品包装、衣料品包装、医薬品包装、雑貨包装などの包装用をはじめ、建材用としての化粧板、合板、金属板などのラミネート用や各種化粧板の成形時の離型材用として、あるいはブックカバー、化粧箱、食品ケースなどに用いられている。
このポリプロピレン系樹脂の延伸シートの中で、二軸延伸ポリプロピレンシートは耐熱性、引張強さ、耐衝撃強さ、気体透過性及び腰の強さなどに優れる特徴を有している。しかしながら、この二軸延伸ポリプロピレンシートにおいては、延伸によって立体規則性が高くなるに伴い、結晶性や配向性が著しく高くなるために、剛性などのシート物性は良好となるものの、延伸時の応力が高くなって、延伸切れが生じるなどの成形上の問題が生じる。
このような性状を有するポリプロピレン系樹脂の延伸シートを、印刷用粘着シートの基材シートとして用いる場合、耐熱性や機械特性に優れる印刷用粘着シートが得られるものの、立体規則性が高くなるに伴い、前記の延伸切れの問題や、曲面追従性が悪くなるという問題が生じる。また、ポリプロピレン系樹脂の延伸シートは、一般に印刷インキや粘着剤層との密着性に劣るという問題があり、これらの問題の解決が要求される。
前述したポリプロピレン系樹脂の延伸シートの代わりに、種々の基材を用いた印刷用粘着シートが提案されている。例えば、基材上に弾性体層を設けた印刷用フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、ポリエチレン、ポリプロピレン又はプロピレン共重合体のいずれかからなるコア層の両表面に、エチレン−酢酸ビニルなどの熱可塑性樹脂からなるスキン層を設け、かつその一方の面に粘着剤層を設けてなる印刷用粘着ラベルが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−264265号公報 特許第2859140号公報
前記の特許文献1は、UVインキの硬化収縮に追従でき、基材とUVインキの密着性が得られる印刷用粘着シートは記載しているが、基材フィルムの延伸切れの問題や、曲面などの三次元追従性についてはなんら言及されていない。
また、前記の特許文献2に記載の印刷用粘着ラベルにおいては、本発明者らの研究によれば、例えば前記のスキン層上に印刷インキとの密着性を高めるために、印刷用コート層を設け、UVインキを用いてフレキソ印刷を行い、印刷密着試験を行った場合、スキン層と印刷用コート層との密着性は十分得られるものの、該スキン層で破壊(以下、劈開という)が生じることが分かった。
本発明は、このような状況下になされたもので、前記の劈開が生じるのを抑制し得るスキン層を設けてなる、シート物性に優れると共に、印刷用コート層や粘着剤層との密着性に優れる印刷用粘着シートを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、二軸延伸処理された基材シートの一方の面に印刷用コート層を有し、他方の面に粘着剤層を有する印刷用粘着シートにおいて、該基材シートとして、ポリプロピレン層からなるコア層の少なくとも片面に、所定の方法で測定される面配向係数が特定の範囲にあるスキン層を設けることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)二軸延伸処理された基材シートの一方の面に印刷用コート層を有し、他方の面に粘着剤層を有する印刷用粘着シートであって、該基材シートが、ポリプロピレン層からなるコア層の少なくとも片面に、下記の方法で測定される面配向係数が0.0120〜0.0132の範囲にあるスキン層を有することを特徴とする印刷用粘着シート、
<面配向係数の測定方法>
JIS K 7105に基づき、アッベ屈折計にてMD(長手)方向、TD(幅)方向、ZD(深さ)方向の屈折率MDn、TDn、ZDnをそれぞれ測定する。その結果を用い、以下の式によって面配向係数(fn)を算出する。
fn=(MDn+TDn)/2−ZDn
(2)印刷用コート層の形成に用いる結着樹脂のガラス転移温度が30〜95℃の範囲であることを特徴とする上記(1)項に記載の印刷用粘着シート、
(3)コア層を構成するポリプロピレンがホモポリプロピレンであることを特徴とする上記(1)又は(2)項に記載の印刷用粘着シート、及び
(4)スキン層が厚さ0.5〜2.0μmであり、かつエチレン単位含有量0.5〜5質量%のプロピレン−エチレン共重合体層であることを特徴とする上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の印刷用粘着シート、
を提供するものである。
本発明によれば、二軸延伸処理された基材シートの一方の面に、印刷インキとの密着性を良好にするための印刷用コート層を有し、他方の面に粘着剤層を有する印刷用粘着シートであって、該基材シートとして、上記の印刷用コート層や粘着剤層との密着性を向上させるために、ポリプロピレン層からなるコア層の少なくとも片面に、特定のスキン層を設けてなる、シート物性に優れる印刷用粘着シートを提供することができる。
本発明の印刷用粘着シートの1例の断面模式図である。 本発明の印刷用粘着シートの異なる例の断面模式図である。
本発明の印刷用粘着シートは、二軸延伸処理された基材シートの一方の面に印刷用コート層を有し、他方の面に粘着剤層を有する印刷用粘着シートであって、該基材シートが、ポリプロピレン層からなるコア層の少なくとも片面に、後述の方法で測定される面配向係数が0.0120〜0.0132の範囲にあるスキン層を有することを特徴とする。
[基材シート]
本発明の印刷用粘着シートにおける基材シートは、ポリプロピレン層からなるコア層の少なくとも片面、好ましくは両面に、特定の性状を有するスキン層が設けられた積層シートの二軸延伸処理物である。
(ポリプロピレン層)
当該二軸延伸処理基材シートにおけるポリプロピレン層からなるコア層は、シート物性の観点から結晶性のホモポリプロピレン層であることが好ましい。
この結晶性のホモポリプロピレン層を構成するホモポリプロピレンは、冷キシレン可溶分を測定することにより、立体規則性を評価することができる。
<冷キシレン可溶分の測定方法>
ポリプロピレンフィルム試料0.5gを沸騰キシレン100mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させた後のろ過液に溶解しているポリプロピレン系成分を液体クロマトグラフ法にて定量する(X(g))。
試料0.5gの精量値(X0(g))を用いて以下の式で求める。
冷キシレン可溶分(質量%)=(X/X0)×100
この冷キシレン可溶分が多いほど、立体規則性に劣ることを示す。
本発明においては、ホモポリプロピレンとして、シート物性、延伸性及び印刷用粘着シートの三次元追従性などのバランスの観点から、該冷キシレン可溶分が2.2〜3.3質量%の範囲にあるものが好ましい。
また、当該ホモポリプロピレンとしては、シート物性の観点から、メルトインデックスM1(温度230℃、荷重21.18N)が1.3〜3.5g/10分の範囲にあるものが好ましい。
このような結晶性ホモポリプロピレンは、チーグラー・ナッタ型触媒、あるいはメタロセン系触媒などを用いて、プロピレンを単独重合することにより、得ることができる。
本発明においては、ホモポリプロピレン層の厚さは、コア層としての機能を充分に発揮するには30〜90μmの範囲が好ましく、40〜75μmの範囲がより好ましい。
当該ポリプロピレン層には、本発明の目的が損なわれない範囲で、酸化防止剤等の安定剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤、滑り剤等を含有することができる。安定剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ホスファイト系化合物、あるいはトコフェロール類、ラクトン類が例示される。さらに塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等が例示される。また、帯電防止剤としては、アルキルメチルジベタイン、アルキルアミンジエタノール及び/又はアルキルアミンエタノールエステル及び/又はアルキルアミンジエタノールジエステル、滑り剤としては、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等脂肪族アミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、脂肪族モノグリセライド、脂肪族ジグリセライド等が例示される。
(スキン層)
本発明における二軸延伸処理基材シートにおいては、前述したポリプロピレン層からなるコア層の少なくとも片面、好ましくは両面にスキン層が設けられる。このスキン層は、その上に設けられる粘着剤層や金属蒸着層、あるいは印刷用コート層と、前記ポリプロピレン層からなるコア層との密着性を向上させるために設けられる層であり、その厚さは、通常0.3〜3.0μm程度、好ましくは、0.5〜2.0μmである。
当該スキン層は、下記の方法で測定される面配向係数が0.0120〜0.0132の範囲にあることを要する。
<面配向係数の測定方法>
JIS K 7105に基づき、アッベ屈折計にてMD(長手)方向、TD(幅)方向、ZD(深さ)方向の屈折率MDn、TDn、ZDnをそれぞれ測定する。その結果を用い、以下の式によって面配向係数(fn)を算出する。
fn=(MDn+TDn)/2−ZDn
上記面配向係数が0.0120未満では、基材シート表面が粗面化し、又は、基材シートのヘイズが上がり、基材シートが白濁する恐れがある。一方0.0132を超えると、その上に印刷用コート層を設け、この印刷用コート層の密着試験を行った場合、該スキン層で劈開が生じる。
当該スキン層の配向係数は、下記のスキン層として好ましく用いられるプロピレン−エチレン共重合体におけるエチレン単位の含有量及び後述の延伸処理温度などによって当該スキン層の立体規則性を制御することで、調整することができる。
本発明においては、当該スキン層は、エチレン単位含有量が0.5〜5質量%の範囲にあるプロピレン−エチレン共重合体層であることが、当該スキン層の劈開防止の観点から、好適である。上記プロピレン−エチレン共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいが、当該スキン層の劈開防止の観点から、ブロック共重合体が好ましい。
当該スキン層には、プロピレン−エチレン共重合体の安定性を付与するために、公知の熱安定剤、酸化防止剤、塩素捕獲剤等を含有させることができる。これらは前述のポリプロピレン層で説明したとおりである。
また、当該スキン層には、ブロッキング防止剤を含有させることができる。このブロッキング防止剤としては、例えば酸化珪素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの無機粒子、架橋ポリメチルメタクリレート、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレンなどの架橋樹脂粒子などを挙げることができる。これらのブロッキング防止剤の平均粒径は、1.0〜6.0μmが好ましい。またその含有量は300〜5,000質量ppm程度が好ましく、800〜3,000質量ppmがより好ましい。
(基材シートの製造)
ポリプロピレン層からなるコア層の両面にスキン層が設けられた積層シートを例に挙げて、本発明における基材シートの製造方法について説明するが、もちろん当該製造方法に限定されるものではない。
押出機I、II、IIIの3台の押出機とそれぞれの押出機から押し出された樹脂組成物を合流して、3層の樹脂シートを成形する合流装置からなる押出設備を用いて、押出機Iからスキン層2を構成する樹脂組成物2、押出機IIからコア層1を構成する樹脂組成物1、押出機IIIからスキン層3を構成する樹脂組成物3をそれぞれ溶融押出し、スキン層2/コア層1/スキン層3からなる溶融シートを口金より押出し、15〜60℃程度の冷却ドラム上に空気圧で押しつけながら冷却し、さらに15〜70℃程度の水槽に導いて十分に冷却固化し、冷却シートを得る。
続いて該冷却シートを金属ロールに接触させながら130〜160℃程度に加熱後、周速差のあるロール間で3〜6倍程度に長手方向に延伸し一軸配向シートを得る。次いで該一軸配向シートをクリップで把持して熱風オーブン中に導入して、150〜180℃程度に予熱した後、幅方向に7〜12倍程度延伸し、引き続き幅方向に0〜10%程度のリラックスを許しながら熱固定を行う。
本発明においては、当該スキン層の劈開を防止する観点から、基材シートの二軸延伸処理において、長手方向に135〜145℃にて4.4〜5.2倍延伸後、幅方向に166〜178℃にて8〜10倍延伸することが好適である。
このようにして長手方向並びに幅方向に延伸処理されて得られた二軸配向シートは、その上に設けられる後述の印刷用コート層や、反対面に設けられる粘着剤層との密着性を向上させる目的で、所望により、片面あるいは両面に表面処理を施すことができる。得られた基材シートは、クリップで把持したクリップエッジをトリミングした後に該二軸配向シートの両面に表面処理を施した上で巻き取られる。
この表面処理方法としては、例えばサンドブラスト法や溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などが挙げられ、表面処理の好ましい手段としては窒素ガスと二酸化炭素ガスの混合気体でその雰囲気空気を置換した上でコロナ放電処理を施す方法である。
このようにして、コア層1の両面にそれぞれスキン層2及びスキン層3が設けられた樹脂積層シートの二軸延伸処理物であって、表面処理されたスキン層2及びスキン層3を有する基材シートを得ることができる。
[印刷用コート層]
本発明の印刷用粘着シートにおいては、前記のようにして得られた二軸延伸処理された基材シートの一方の面に、印刷適性を付与する印刷用コート層が設けられる。
当該印刷用コート層は、フレキソ印刷のインキとして用いられるUV(紫外線硬化型)インキや、通常の酸化重合型インキとの密着性を向上させるために、さらには熱転写印字性をも向上させるために設けられる層である。
この印刷用コート層を構成する材料としては、基材シートとの密着性がよく、かつ印刷インキの密着性が良好な印刷用コート層を形成しうるものであればよく、特に制限されず、様々なものを用いることができる。このような材料としては、例えばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、架橋化ポリエステルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、活性エネルギー線硬化型化合物の硬化樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオール系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、アセテート誘導体、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ラテックス樹脂、デンプン、ゼラチン、植物タンパク、カゼイン、アラビアゴム、アルブミンなどの有機結着剤、所望により粗面化形成剤、具体的にはシリカ、ジルコニア、クレー、タルク、カオリン、ケイソウ土、アルミナ、チタニア、ゼオライト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、ガラスなどの無機粉末、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン/メラミン/ホルムアルデヒド縮合物、イオン交換樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン系樹脂などの有機粉末を含有するものを挙げることができる。これらの印刷用コート層形成材料は、基材シートを構成する樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。なお、粘着シートが透明性を要求される場合には、この印刷用コート層も透明性を有する。
基材シート上に、前記材料をコーティングする方法としては特に制限はなく、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などを用いることができる。
当該印刷用コート層に用いる結着樹脂としては、ガラス転移温度(以下、「Tg」ということがある)が30〜95℃の範囲にあるものを用いることが好ましい。このTgが30℃未満では、得られる印刷用粘着シートは耐ブロッキング性に劣り、一方Tgが95℃を超えると、印刷用粘着シートの印刷性が低下する傾向がある。該Tgの好ましい範囲は40〜85℃である。
さらに、当該印刷用コート層の厚さは、40〜450nm程度である。この厚さが40nm未満では印刷性が低下し、一方450nmを超えると耐ブロッキング性が低下する傾向がある。好ましい厚さは60〜350nmである。
[印刷用粘着シートの作製]
本発明の印刷用粘着シートにおいては、基材シートの一方の面に、前記の印刷用コート層を設けてなるものであって、この印刷用コート層を形成するには、まず印刷用コート層形成用塗工液を調製する。
(印刷用コート層形成用塗工液)
当該印刷用コート層を形成するための印刷用コート層形成用塗工液としては、適当な溶媒中に前述した印刷用コート層を構成する材料と必要に応じて用いられる光重合開始剤及び各種添加剤、例えば有機又は無機の顔料、着色剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、分散剤、架橋剤、レベリング剤、粗面化形成剤などを溶解又は分散させてなる塗工液を用いることができる。
<溶媒>
当該印刷用コート層形成用塗工液に用いられる溶媒としては特に制限はなく、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルなどのようなエステル系溶媒、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶媒、トルエン、キシレンなどのような芳香族炭化水素系溶媒等を挙げることができる。
印刷用コート層形成用塗工液における固形分濃度としては、塗工可能な濃度であればよく、特に制限はないが、通常1〜10質量%程度、好ましくは2〜5質量%である。
(印刷用コート層の形成)
まず、前記のようにして調製された印刷用コート層形成用塗工液を、例えばグラビアロール方式、エアナイフ方式、ワイヤーバーコーティング方式などにより、基材シートの一方の面に、乾燥膜厚が40〜450nm程度になるように塗工し、乾燥させて印刷用コート層を形成する。
本発明の印刷用粘着シートにおいては、基材シートの前記印刷用コート層が設けられている側の反対面に、直接粘着剤層を設けてもよいし、あるいは金属蒸着層を設け、この金属蒸着層を介して粘着剤層を設けてもよい。
(金属蒸着層)
この金属蒸着層は、印刷層に隠蔽効果など付与するために設けられる層である。
蒸着される金属種としては金属蒸気化ないしはクラスターイオン化して、真空中をとばすことができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、クロム、錫、鉄、金、銀等が例示され、さらにこれらの2元又はそれ以上を混合あるいは積層して蒸着することができる。また、これらの金属種はスキン層表面に金属層を形成する際に、あるいは金属層が形成された後に、その一部又は全てが酸化されていてもよい。
この金属蒸着層の厚さに特に制限はないが、通常10〜80nm程度である。金属種としては、耐久性及び経済性の観点から、アルミニウムが好適である。
(粘着剤層)
本発明の印刷用粘着シートにおいては、基材シートの前記印刷用コート層が設けられている側の反対面に、直接又は金属蒸着層を介して設けられる粘着剤層に用いられる粘着剤としては、特に制限はなく、従来印刷用粘着シートの粘着剤層に慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤及びポリエステル系粘着剤などを用いることができる。これらの粘着剤は、エマルション型、溶剤型、無溶剤型のいずれであってもよい。粘着剤層の厚さは、通常1〜300μm、好ましくは5〜100μm程度である。
前記各種の粘着剤の中では、耐候性などの面から、アクリル系粘着剤が好ましい。
このアクリル系粘着剤を用いて形成された粘着剤層は、重量平均分子量30万〜200万程度、好ましくは50万〜150万のアクリル系樹脂を含み、かつ架橋処理されたアクリル系粘着剤からなる層であることが好適である。重量平均分子量が上記範囲にあれば、粘着力及び保持力のバランスがとれた印刷用粘着シートが得られる。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
前記アクリル系粘着剤に含まれるアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が用いられる。この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、活性水素をもつ官能基を有する単量体と、所望により用いられる他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。
ここで、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方官能基を有する単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどのヒドロキシル基含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、所望により用いられる他の単量体の例としては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのN,N−ジアルキル置換アクリルアミド類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該アクリル系粘着剤において、樹脂成分として用いられる(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、その共重合形態については特に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
本発明においては、この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該アクリル系粘着剤としては、架橋処理されたものが好ましく、この架橋処理に用いられる架橋剤としては特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物が好ましく用いられる。
本発明においては、この架橋剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、架橋剤の種類にもよるが、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体100質量部に対し、通常0.01〜20質量部、好ましくは、0.1〜10質量部の範囲で選定される。
また、このアクリル系粘着剤には、所望により粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、シランカップリング剤、充填剤などを添加することができる。
本発明の印刷用粘着シートにおいては、粘着剤層は、基材シートの印刷用コート層を有する面とは反対側の面に直接粘着剤層用塗布液を塗布することにより設けてもよいし、剥離材の剥離処理が施された面に粘着剤層を形成して、この粘着剤層を基材の印刷用コート層とは反対側の面に貼りあわせることにより、剥離材付き粘着剤層を形成してもよい。粘着剤層を形成する方法としては特に制限なく種々の方法を用いることができ、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーターなどが挙げられる。
この粘着剤層面には、通常使用に供するまでの間、該粘着剤層を保護するために、剥離材を仮貼着しておくことが行われる。
剥離材としては、表面が剥離性を有するものであれば、特に限定されることはなく、いずれのものも使用することができ、例えば紙基材やフィルム基材の表面に剥離層が設けられたものなどが好ましく挙げられる。紙基材としては、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙、クレーコート紙、樹脂コート紙、グラシン紙、上質紙等の各種紙材などが使用できる。また、フィルム基材では、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレートなどの各種樹脂フィルムが挙げられる。また、フィルム基材や紙基材に填料などの充填剤を添加したフィルムや合成紙などが使用できる。この基材の粘着剤層との接合面に、必要により剥離処理が施されたものを用いることができる。
剥離処理としては、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等の剥離剤よりなる剥離剤層の形成が挙げられる。剥離材の厚さは、特に制限されず、適宜選定すればよい。
なお、本発明の印刷用粘着シートにおいては、該粘着剤層は、スキン層の表面全面に塗布してもよく、細い線状、格子状、散点状に塗布してもよく、粘着剤が塗布されていない小円部が多数形成された面状などに設けることも可能であり、この層の形態は、用途によって自由に選択することができる。
このようにして作製された本発明の印刷用粘着シートは、UV(紫外線硬化型)タイプや酸化重合タイプなどの銘柄の異なるインキの密着性及び印刷性に優れ、さらに、熱転写印字性にも優れるなどの特徴を有している。特に、フレキソ印刷のインキとして用いられるUV(紫外線硬化型)インキとの密着性及び印刷性に優れるという特徴を有している。
図1及び図2は、それぞれ本発明の印刷用粘着シートの異なる例の断面模式図であり、図1で示される印刷用粘着シート10は、コア層1の両面にスキン層2及びスキン層3を有し、さらにスキン層2上に印刷用コート層4が設けられると共に、スキン層3上に粘着剤層5が設けられた構造を有している。
一方、図2で示される印刷用粘着シート20は、コア層1の両面にスキン層2及びスキン層3を有し、さらにスキン層2上に印刷用コート層4が設けられると共に、スキン層3上にアルミニウム蒸着層6及び粘着剤層5が順に設けられた構造を有している。
前記の図1で示される印刷用粘着シート10及び図2で示される印刷用粘着シート20における印刷用コート層4上には、それぞれ例えばUV(紫外線硬化型)インキを用いたフレキソ印刷層を施すことができる。また、粘着剤層5上には、通常剥離材(図示せず)が貼付されている。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、下記の方法に従って測定した。
(1)各層の厚み
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B 7509、測定子5mmφ平型)を用いて測定した。
(2)ポリプロピレン層の冷キシレン可溶分
<冷キシレン可溶分の測定方法>
ポリプロピレン層を削りだし、約0.5gのポリプロピレンを試料として、沸騰キシレン100mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させた後のろ過液に溶解しているポリプロピレン系成分を液体クロマトグラフ法にて定量する(X(g))。
試料の精量値(X0(g))を用いて以下の式で求めた。
冷キシレン可溶分(質量%)=(X/X0)×100
(3)スキン層に用いる樹脂のエチレン単位含有量
高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)の第256頁“(i)ランダム共重合体”の項に記載の方法に従って、IRスペクトル法で決定した。
(4)メルトインデックスM1の測定方法
JIS K 7210(1999)に示されるポリプロピレン試験方法(230℃、21.18N)、ポリエチレン試験方法(190℃、21.18N)に準じて測定した。
(5)スキン層の面配向係数
<面配向係数の測定方法>
JIS K 7105に基づき、アッベ屈折計にてMD(長手)方向、TD(幅)方向、ZD(深さ)方向の屈折率MDn、TDn、ZDnをそれぞれ測定する。その結果を用い、以下の式によって面配向係数(fn)を算出する。
fn=(MDn+TDn)/2−ZDn
(6)印刷用粘着シートの性能
(イ)UV硬化型インキの印刷性
(a)UVシール印刷密着性
印刷用粘着シートの印刷用コート層面に、UVインキ[T&K TOKA(株)製、商品名「BEST CURE UV161墨S」]を用いて、印刷機[(株)明製作所製、商品名「RIテスター」]にて印刷を施し、UV照射(高圧水銀ランプ)を行って画像を得た。
(b)UVフレキソ印刷密着性
印刷用粘着シートに、UVインキ[T&K TOKA(株)製、商品名「フレキソ白HT−2」]を用いてフレキソ印刷機[マーカンディー社製、商品名「MA−2200」印刷速度20m/min]でフレキソ印刷を施し、UV照射(メタルハライドランプ3kW)を行い、印刷画像を得た。フレキソ印刷機のアニロックスローラーのセルは亀甲型#200で、セル容量は16cm3/m2である。
次に、JIS K 5600−5−6に準拠し、各印刷済の粘着シートの印刷層に1mm各の碁盤目を10×10マス作製し、セロハンテープ[ニチバン社製:CT24]を貼着し、該テープを剥がした際、100マスの内、剥離したマス目の数を調べた。
(ロ)スキン層の劈開の有無
UVフレキソ印刷密着性評価において、セロハンテープ[ニチバン社製:CT24]を貼着し、該テープを剥がした際、スキン層の破壊(劈開)の有無を目視にて確認した。
○:劈開せず。
△:部分的に劈開するが、許容できるレベル。
×:全面的に劈開する。
(ハ)耐ブロッキング性
印刷用コート層を形成した基材シートを23℃、50%RH環境下で1週間放置後、該基材シートの印刷用コート層面と、印刷用コート層が形成されていない面とを各5枚重ね合わせたのち、ガラス板にて挟んだ。次に、60℃、95%RH環境下又は、70℃、30%RH環境下に80g/cm2の荷重を加えて7日間放置した。その後23℃、50%RH環境下に24時間放置した後、重ね合わせたフィルムを剥がし、印刷用コート面との接着性を、下記判定基準で求めた。
○:印刷用コート層が形成されていない面との接着が全くない。
×:印刷用コート層が形成されていない面と印刷用コート層面が接着し、両者を手で剥がすことが不可能であるか、あるいは両者を手で剥がすことが可能であるが、剥がした後の印刷用コート層表面に変化が見られる。
(ニ)基材シートのヘイズ
JIS K 7105(1981)に基づき、スガ試験機株式会社製 ヘイズメーターを用いて測定した5点のデータの平均値を基材シートのヘイズとした。基材シートのヘイズは、基材シートの透明性の観点から3.0%以下であることが望ましい。基材シートの白濁は目視に確認した。
○:白濁せず。
△:白濁は見られるが許容できるレベル。
×:白濁する。
(ホ)印刷用コート層の形成に用いる結着樹脂のガラス転移温度(Tg)
印刷用コート層の形成に用いる結着樹脂を離型フィルム(OPP)に乾燥厚みが30μmになるように塗布し、120℃の熱風乾燥機で1時間乾燥させ、次いで、5mm×30mmの短冊状の測定サンプル片を切り取った。得られた測定用サンプル片を、動的粘弾性測定装置[ティー・エイ・インスツルメント社製、製品名「Q−800」]を用いて、周波数:11Hz、昇温速度:3℃/分で貯蔵弾性率(E')の温度依存性データを測定した。
次いで、JIS K 7121に基づき、得られた温度依存性データから、中間ガラス転移温度を求めた。
下記の実施例1〜6及び比較例1、2において、スキン層2及びスキン層3として用いる樹脂b1、樹脂b2及び樹脂b3は、プロピレン−エチレン共重合体を重合する際に、第一段目のリアクターにエチレンモノマーを導入し重合せしめ、ポリプロピレン中に分散させて得られた樹脂であり、それぞれエチレン単位含有量は、1質量%、2質量%及び4質量%である。また、樹脂b1、樹脂b2及び樹脂b3には、それぞれアンチブロッキング剤として[水澤化学工業(株)製、「シルトンJC−20」](シリカ粒子)を1000質量ppm添加されている。また、コア層として用いる樹脂aは、エチレン単位含有量0質量%、メルトインデックスMIは2.1g/10分、冷キシレン可溶分は、2.8質量%のポリプロピレン樹脂である。
実施例1
(1)二軸延伸処理された基材シートの作製
基材シートの層構成としては、3層のポリプロピレン系樹脂層からなる積層シートを製膜して特性評価を行う。
コア層1としては樹脂a、スキン層2及びスキン層3としては、それぞれ樹脂b1を準備した。
これらの樹脂は、それぞれ単軸押出機3台を用いて溶融押出し、スキン層2/コア層1/スキン層3からなる三層積層シートとして口金より押し出す。該口金より吐出した溶融シートは25℃の冷却ドラム上に空気圧で押しつけながら冷却し、さらに25℃の水槽に導いて十分に冷却固化し、冷却シートを得る。続いて該冷却シートを金属ロールに接触させながら140℃に加熱後、周速差のあるロール間で4.8倍に長手方向に延伸し一軸配向シートを得る。次いで該一軸配向シートをクリップで把持して熱風オーブン中に導入して、175℃に予熱した後に幅方向に9.0倍延伸し、二軸配向積層シートを得た。
次いで、この二軸配向積層シートの両表面を、窒素と二酸化炭素の混合気体(二酸化炭素の体積比10%)雰囲気下で、60℃のシート温度で23W/m2/minのコロナ放電処理することにより、二軸延伸処理された基材シートを作製した。この基材シートにおけるコア層の厚さは、48μm、スキン層2、3の厚さは、それぞれ1μm、1μmであり、総厚みは50μmであった。
(2)印刷用コート層の形成
上記(1)で得た基材シートの一方の面に、印刷用コート層として、アクリル樹脂[大日精化(株)製、商品名「VM−D」Tg66℃]100質量部(固形分27.5質量%)、イソシアネート系架橋剤[日本ポリウレタン(株)社製、商品名「コロネートL」]3質量部及びトルエン900質量部、メチルエチルケトン900質量部、シクロヘキサノン90質量部からなる塗布液をバーコーティングにより塗布し、90℃にて1分間乾燥させ、印刷用コート層を形成した。印刷用コート層の乾燥後の厚さを分光エリプソメーター[J.A.Woollan社製、商品名「M−2000」]にて測定したところ、200nmであった。
(3)印刷用粘着シートの作製
上記(2)で得た基材シートの印刷用コート層が設けられていない側の面に、坩堝式蒸着機にて金属アルミニウムを膜厚が50nmになるように蒸着した。一方、ポリエチレンラミネート紙をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離材[リンテック社製、商品名「SP−8LK」]の剥離処理面に、アクリル系粘着剤[リンテック社製、商品名「PAT1E」]を塗布乾燥して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次いで、前記粘着剤付き剥離材を該粘着剤層がアルミニウム蒸着層に対面するように貼付し、該粘着剤層を転写することにより、図2に示す構成の印刷用粘着シートを作製した。
この印刷用粘着シートの性能評価結果を第1表に示す。なお、該性能評価は上記(3)の粘着剤層が設けられていない段階で行った。(以下、同様)
実施例2、3、5、6
実施例1(1)の基材シートの作製において、スキン層2を構成する樹脂をb2、幅方向延伸温度を第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、印刷用粘着シートを作製し、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
実施例4
実施例1(1)の基材シートの作製において、スキン層2を構成する樹脂をb3、幅方向延伸温度を第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、印刷用粘着シートを作製し、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1(1)のにおける基材シートの作製において、幅方向の延伸温度を第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、印刷用粘着シートを作製し、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1(1)の基材シートの作製において、スキン層2を構成する樹脂をb2、幅方向延伸温度を第1表に示すように変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、印刷用粘着シートを作製し、性能評価を行った。結果を第1表に示す。
Figure 2011012126
第1表より、実施例1〜6では実施例5以外は、印刷性評価においてスキン層で劈開が生じず、実施例6は白濁が見られるが、許容できるレベルであり、印刷性も良好な印刷用粘着シートであることが分かる。実施例5は部分的に劈開が生じたが、許容できるレベルであり、性能については他の実施例のものと同様であり、印刷性も良好な印刷用粘着シートであることが分かる。
一方、比較例1のように、スキン層の面配向係数が低すぎると、印刷性評価においてスキン層で劈開は生じないが、基材シートのヘイズが高く、基材シートが白濁し、印刷用粘着シートとしての外観が悪く、印刷性能が劣っていることが分かる。
比較例2のように、スキン層の面配向係数が高すぎると、UVフレキソ印刷密着性が悪く、印刷性評価においてスキン層で劈開が生じることが分かる。
本発明の印刷用粘着シートは、ポリプロピレン層からなるコア層の少なくとも片面に、劈開が生じるのを抑制し得るスキン層を設けてなるものであって、印刷用コート層や粘着剤層との密着に優れ、かつブロッキング性が良好である。また、前記印刷用コート層はフレキソ印刷のインキとして用いられるUV(紫外線硬化型)インキとの密着性を向上させることができる。
1 コア層
2、3 スキン層
4 印刷用コート層
5 粘着剤層
6 アルミニウム蒸着層
10、20 印刷用粘着シート

Claims (4)

  1. 二軸延伸処理された基材シートの一方の面に印刷用コート層を有し、他方の面に粘着剤層を有する印刷用粘着シートであって、該基材シートが、ポリプロピレン層からなるコア層の少なくとも片面に、下記の方法で測定される面配向係数が0.0120〜0.0132の範囲にあるスキン層を有することを特徴とする印刷用粘着シート。
    <面配向係数の測定方法>
    JIS K 7105に基づき、アッベ屈折計にてMD(長手)方向、TD(幅)方向、ZD(深さ)方向の屈折率MDn、TDn、ZDnをそれぞれ測定する。その結果を用い、以下の式によって面配向係数(fn)を算出する。
    fn=(MDn+TDn)/2−ZDn
  2. 印刷用コート層の形成に用いる結着樹脂のガラス転移温度が30〜95℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用粘着シート。
  3. コア層を構成するポリプロピレンがホモポリプロピレンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用粘着シート。
  4. スキン層が厚さ0.5〜2.0μmであり、かつエチレン単位含有量0.5〜5質量%のプロピレン−エチレン共重合体層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用粘着シート。
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