JP2011012093A - 樹脂複合材及びこれを用いた梁構造部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を主材とする樹脂複合材に関し、制振性、強度に優れ、毒性や環境への負荷が小さい樹脂複合材を提供する。
【解決手段】炭素繊維強化プラスチック中に磁性材を分散させて着磁加工してなることを特徴とする樹脂複合材を提案する。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維強化プラスチック(以下「CFRP」とも称する)を主材とする樹脂複合材、特に梁構造部材等として好適に使用することができる樹脂複合材に関する。
従来からロボットや搬送装置には、軽量で強度を十分有する産業用梁構造部材が使用されており、この種の産業用梁構造部材として、炭素繊維を含有する炭素繊維強化プラスチックを多層構造に積層してなる産業用梁構造部材が知られている(例えば特許文献1参照。)。
この種の産業用梁構造部材、特にロボットや搬送装置などに用いられる産業用梁構造部材には優れた制振性が要求される。すなわち、ロボットや搬送装置などに用いられる産業用梁構造部材の制振性が高くなければ、例えば工場に設置したロボットを用いた場合のリードタイムの短縮化を図れないし、また、搬送装置が停止した時に、搬送装置に取り付けられたセンサの位置検出などを応答良く行うことができないなどの問題が生じるからである。
中でも、宇宙ロケットや人工衛星などの構造部材としてこのような産業用梁構造部材を使用した場合、宇宙空間では周囲に空気がないために振動が収まらないので、特に制振性が高いことは必要不可欠である。また、自動車、新幹線などの高速で移動する移動構造物についても同様に、軽量で且つ高剛性を備えていることに加えて十分な制振性が必要とされる。
ところで、CFRPを使った産業用梁構造部材は、軽量で且つ強度の点でも非常に優れている反面、その剛性が高いが故に制振性が不充分であるという課題を抱えていた。すなわち、一旦振動が生じると振動がなかなか収まらず、例えばこれをロボットに利用すると、リードタイムの短縮化が困難になり、又、これを搬送装置に利用すると、応答性のよいセンサ計測を行うことができないなどの課題を抱えていた。また、制振性が低いために、このような産業用梁構造部材を精密機器の構造体に使用すると、精密機械の精度が低下するという課題もあった。
そこで、このようなCFRPの課題を解決した制振構造体として、特許文献2及び3には、炭素繊維に樹脂を含浸させたシート(プリプレグ)を積層し、各層間に粘弾性のプラスチックフィルム又は圧電セラミックスのパウダーを介在させた構造を有するものが開示されている。粘弾性プラスチックフィルム又は圧電セラミックスのパウダーをこのようにプリプレグの各層間に介在させることで、振動が起こったときにこのプラスチックフィルム自体の有する粘弾性によってその部分にずれが生じて振動を効率的に吸収することができるようになる。
特開2000−216215号公報(2−4頁、図1) 特開2003−118038号公報 特開2005−150510号公報
特許文献2及び3に開示されているように、制振性を高めるために、プリプレグ間に従来の粘弾性プラスチックフィルムを介在させたのみでは、接着性が不足して強度が低下する傾向があった。また、プリプレグ間に圧電セラミックスパウダーを介在させた場合には、毒性や環境への負荷が大きくて実用性の点で問題であった。
そこで本発明は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を主材とする樹脂複合材に関し、制振性に優れており、しかも強度に優れ、さらには毒性や環境への負荷が小さくて実用性に富んだ樹脂複合材を提供せんとするものである。
かかる課題に鑑みて、本発明は、炭素繊維強化プラスチック中に磁性材を分散させて着磁加工してなることを特徴とする樹脂複合材を提案するものである。
このような樹脂複合材であれば、制振性に優れており、しかも強度に優れ、毒性や環境への負荷も小さくて実用性に富んだ樹脂複合材であるから、梁構造部材等として好適に使用することができる。
以下、本発明の実施形態の一例について説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本樹脂複合材>
本実施形態に係る樹脂複合材(以下「本樹脂複合材」という)は、炭素繊維強化プラスチック(「CFRP」という)中に磁性材を分散させて着磁加工してなることを特徴とする樹脂複合材である。
ここで、「複合材」とは、材質の異なる材料を組み合わせて一体化したものであり、「樹脂複合材」とは、その一種類が樹脂である複合材の意味である。
(CFRP)
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、強化繊維と、マトリックス樹脂(以下「CFRPのプラスチック」ともいう)とからなる樹脂複合材であればよい。炭素繊維とプラスチックとが複合一体化してなるものであれば、その複合化手段は任意であり、現在公知のものを採用することができる。
例えば炭素繊維とプラスチックとを複合化する方法として、細かく切断した繊維をプラスチック中に均一に混入させる方法や、繊維に方向性を持たせたままプラスチックに浸潤させる方法などを挙げることができる。但し、これに限定されるものではない。
より具体的には、プラスチック中に炭素繊維を含浸させた薄いシート状の含浸体からなるプリプレグを作製しておき、このプリプレグを積層して加熱溶融一体化しなる構成の樹脂複合材を挙げることができる。
炭素繊維としては、例えばポリアクリロニトリル系炭素繊維(PAN系)、レーヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、あるいはポリビニルアルコール系炭素繊維等の前駆体繊維を使用することができる。中でも、アクリルニトリル重合体あるいはその共重合体から得られるポリアクリロニトリル系炭素繊維(「PAN系炭素繊維」)およびピッチ系炭素繊維が好ましい。
他方、マトリックス樹脂としては、エポキシ、不飽和ポリエステル、フェノール、ビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、メラミン、マレイミド、ポリイミド等の重合・硬化型やポリオレフィン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポミアミドイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂のうちの一種類、或いはこれらのうちの二種類以上の混合樹脂を挙げることができる。
以上の中でも、ピッチ系炭素繊維と、エポキシ樹脂とからなる炭素繊維強化プラスチックが、剛性、耐熱性、加工性などの面で好適である。
(磁性材)
磁性材としては、例えば異方性フェライト磁性粉、等方性フェライト磁性粉、異方性希土類磁性粉(例えばSmFeN系)、等方性希土類磁性粉(例えばNeFeB系)、その他公知の磁性材を単独または2種類以上を混合して使用することができる。
中でも、MO・nFe23(nは自然数)で代表される化学式を持つ異方性フェライト磁性粉を使用するのが最も好ましい。
なお、MO・nFe23における式中のMとしては、Sr、Ba及び鉛などのうちの1種または2種以上の組み合わせを適宜選択することができる。
また、要求される制振性に応じた磁束密度により、等方性希土類磁性粉と異方性フェライト磁性粉との混合磁性粉を使用することもできる。
この際、等方性希土類磁性粉と異方性フェライト磁性粉との混合割合は、要求される磁束密度により適宜決めればよい。目安としては、等方性希土類磁性粉と異方性フェライト磁性粉との重量割合が2:8〜8:2であるのが適切である。等方性希土類磁性粉の割合が20%以上であれば、等方性希土類磁性粉を混合した効果を十分得ることができ、また、80%以下であれば、高磁気特性を得ることができ、しかも比較的安価に入手することができる。
磁性材の粒径・含有量に関しては、特に制限するものではない。組成との兼ね合いにもよるが、制振性への寄与で決めるのが好ましく、例えば粒径10μm以下の磁性材を、CFRP中に0.1〜60重量%の割合で含有するのが好ましい。
磁性材の粒径が10μm以下であれば、炭素繊維中への拡散が良好で、磁性材が均一に分散させることができるため、局在化して強度を損ねるようなことがない。
また、磁性材の含有量が0.1重量%以上であれば、制振性を有意に高めることができる一方、60重量%以下であれば、強度の低下や過度の磁力を帯びることなく、目的以外の金属箇所への密着による搬送効率の低下を招くことがない点で好ましい。かかる観点から、磁性材の含有量は0.5〜50重量%であるのがより一層好ましい。
(磁性材を分散させる手段)
磁性材をCFRP中に分散させる手段としては、例えばCFRPを構成する樹脂中に磁性材を混練して分散させてプリプレグを作製する方法、CFRPを構成するのに用いる複数のプリプレグ間に磁性粉を均一に振り撒きプリプレグの加熱溶融一体化の過程でCFRPのプラスチック中に分散させる方法、磁性材の溶液ないし分散液を、CFRPを構成するプリプレグ上にコーティングして乾燥させ、プリプレグの加熱溶融一体化の過程でCFRPのプラスチックに磁性材を分散させる方法、磁性材をバインダー樹脂に溶解乃至分散させてなる溶液ないし分散液を、CFRPを構成するプリプレグ上にコーティングして乾燥させ、プリプレグの加熱溶融一体化の過程で、CFRPのプラスチックと樹脂バインダーとの接着を促すと共にCFRPのプラスチックに磁性材を分散させる方法、その他の方法を採用することができる。
上記方法において、磁性材を樹脂バインダーに予め分散させて溶液乃至分散液を調製しておき、これをコーティングして乾燥させ、プリプレグの加熱溶融一体化の過程でCFRPのプラスチックと樹脂バインダーの接着もしくは/及びCFRPのプラスチックに分散を促すこともできる。
磁性粉を分散させる樹脂バインダーとしては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化樹脂、コーティング用樹脂など、加工様式や組成面など、特に制約なく使用することができる。
具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン(PO)系樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、共重合アクリル等のアクリル系樹脂、ポリウレタン(PU)系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド(PA)系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル三元共重合体(EPE)等のフッ素系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂などを挙げることができる。
磁性粉を分散させる樹脂バインダーは、CFRPのプラスチックと同じ種類の樹脂であってもよいし、また、異なる種類の樹脂であってもよい。
同じ種類の樹脂であればCFRPと容易に一体化するため、加工性、接着性の面からCFRPのプラスチックと共通の樹脂をバインダーとして用いるのが好ましい。
(着磁加工)
本樹脂複合材は、着磁加工されてなることを特徴とする。
磁性材を分散させた後に着磁加工すれば、後述する実施例で確かめられているように、高い制振性を得ることができる。この作用機序は十分に明らかでないが、着磁加工によって磁性材の磁気の向きを揃えることで、振動によりCFRPが変形して、配向した磁気のモーメントのバランスが不安定化した際に、元に戻ろうとする作用が働くためではないかと推察される。
着磁加工は、磁界中に樹脂複合材を曝すことにより行うことができる。特に効果的に磁化させるために磁界の大きさ・方向、CFRPのプラスチックの加熱温度、速度を制御するのが好ましい。
磁界の大きさは、添加される磁性材の組成・量等との兼ね合いにもよるが、2×10A/m〜2×10A/m程度の磁場を印加しながら、溶融樹脂磁石の磁性粒子を配向着磁するのが加工時間や装置の規模・コストの面等で好ましい。
磁化させるための磁界の方向は、本樹脂複合材が撓んだ時に磁性の方向が乱れるような方向、例えば長手方向或いは厚み方向とするのが好ましい。
着磁加工は、磁性材が動き易い状態で行うのが好ましい。
例えばCFRPを構成する樹脂が、軟化点が室温以下であるか、或いは熱硬化性樹脂(通常は室温で軟化している)の場合は、磁性材が動きやすい温度、例えば室温にて磁界中に曝して磁化配向させ、その後加熱するか、若しくは光照射等によって硬化させて、硬化進行により磁化配向を固定し保持するようにするのが好ましい。
また、例えばCFRPを構成する樹脂が、軟化点が室温より高い熱可塑性樹脂である場合は、磁性材が動きやすい軟化温度以上に加熱して磁界中に曝して磁化配向させ、その後冷却するか、若しくは光照射等によって硬化させて、硬化進行により前記の磁化配向を固定し保持するようにするのが好ましい。
なお、予めCFRPを例えばシート状に成形しておき、このCFRPシート体表面に磁性材を分散させ、その後他のCFRPシート体を重ねて、この状態で磁界中に曝して磁化配向させ、その後、例えば加熱などによってCFRPシート体間を溶融一体化した後冷却して、硬化進行により前記の磁化配向を固定し保持することも可能である。
このような着磁加工は、バッチ加工で行っても、バッチを拡張した連続加工で行っても構わない。
着磁加工されたか否かは、磁性材の向きが揃っているか否か(配向性)を調べることにより、容易に判断することができる。
(形態)
本樹脂複合材は、シート状、板状、パイプ状(丸パイプ状、角パイプ状)、中実棒状、ハニカム状など、用途に応じて任意の形状に成形して提供することができる。
この際の成形方法の一例として、例えば型に繊維骨材を敷き、硬化剤を混合した樹脂を脱泡しながら多重積層してゆくハンドレイアップ法やスプレーアップ法のほか、あらかじめ骨材と樹脂を混合したシート状のものを金型で圧縮成型するSMCプレス法、インジェクション成形の様に繊維を敷き詰めた合わせ型に樹脂を注入するRTM法、繊維とマトリクス(接着剤)を予め馴染ませてある部材(プリプレグなど)を大型の窯(オートクレーブ)で焼き固める方法などを挙げることができる。
(梁構造部材)
本樹脂複合材は、制振性に優れているばかりか、強度に優れ、さらには毒性や環境への負荷の小さくて実用性に富んでいるため、梁構造部材、例えばロボットや搬送装置に使用する制振性産業用梁構造部材として好適に用いることができる。例えば、スマートコンポジット(異種材料の組合せ)を可能としながら制振性に優れたロボットアームを作製することができる。
なお、ロボットは、タスク上の工程中、ハンドリングを24時間中何サイクルも行うものであるから、本樹脂複合材からなる制振性産業用梁構造部材をロボットのアームに適用することで、サイクル時間の短縮化を計り、生産能力を向上させることができる。
次に、本樹脂複合材の利用例として、本樹脂複合材からなる制振性産業用梁構造部材(以下「本制振性産業用梁構造部材」という)の応用例について説明する。
本制振性産業用梁構造部材は、直交座標系ロボットの両持ち梁構造の支持フレームに適用することができる。この際、ロボットの各支持フレームの何れか又は全てに、本制振性産業用梁構造部材を使用することが可能である。この適用により、ロボットハンドの停止後、支持フレームの振動を素早く制振させることができるので、ロボットハンドの動作速度を高めてリードタイムの短縮化を図ることができる。
また、片持ち梁構造の直交座標系ロボットの支持フレームに本制振性産業用梁構造部材を適用しても、同様の制振効果によりリードタイムの短縮化を図ることができる。
以上のように、片持ち、両持ちの支持構造を有する直交構造式機械に本制振性産業用梁構造部材を使用した場合、振動低減効果によって構造体の位置精度の向上及びリード及びタスクタイム短縮による生産能力の向上に貢献するとともに、制振システムに対するメンテナンスフリーを実現できるようになる。
本制振性産業用梁構造部材は、回転式多関節型ロボットの支持部に用いることもできる。例えば片持ちハンドタイプのロボットにおいて、回転支柱部と片持ちハンド部とに本制振性産業用梁構造部材を使用することで、ロボットが停止した後にハンド等の慣性重量で振動が生じても、振動を素早く抑えることができる。すなわち、多軸回転移動を行う装置上での振動低減効果により、構造体の位置精度の向上及びリードタイム及びタスクタイムを短縮し、生産能力の向上に貢献するとともに、制振システムに対するメンテナンスフリーを実現することができる。
このように回転運動や直線運動を行う機械上で振動低減による効果により、構造体の位置精度の向上及びリードタイム及びタスクタイムの短縮による生産能力の向上を図ることができる。
なお、制振性産業用梁構造部材の断面形状は丸パイプ状又は角パイプ状であってもよく、断面の大きさが徐々に変化するようなものであってもよい。なお、支持部は、板状部材又はハニカム板でも構わない。
ロボットの片持ちハンド部に本制振性産業用梁構造部材を用いることもできる。これによって、制振効果による位置精度の向上を図ることができる。すなわち、片持式の搬送または計測用構造においても、前述した機械との組合せによる制振を伴った移動を可能とし、又は制振を伴った単独での固定も可能とすることができる。そして、振動低減による効果により構造体の位置精度の向上及びリードタイム及びタスクタイムの短縮による生産能力の向上に貢献するとともに、制振システムに対するメンテナンスフリーを可能とすることができる。また、搬送用ではワークに対して、計測用では取付機器が振動から受けるダメージを軽減することができる。
本制振性産業用梁構造部材をローラ式搬送装置のローラに適用することもできる。このように本制振性産業用梁構造部材をローラ式搬送装置のローラに適用することで、ローラの回転に伴う振動を素早く抑えることができるので、産業用機械において搬送物の振動制止に基づく工程短縮によって搬送能力が向上し、搬送物が振動から受けるダメージを軽減することができる。
なお、この場合の制振性産業用梁構造部材の断面形状は丸パイプであるのが好ましい。
その他、本制振性産業用梁構造部材は、産業用機械全般に適用可能である。そして、PAN系、ピッチ系及びこれらの複合したカーボン繊維強化スマートコンポジット化による制振構造システムを達成することができ、その適用範囲は稼動部への適用、固定部への適用の如何を問わない。
本制振性産業用梁構造部材は、軽量、高剛性に加えて、優れた制振性を有しているばかりか、本制振性産業用梁構造部材自体が制振性を有していることで、メンテナンスフリーとすることができる。すなわち、一旦制振性産業用梁構造部材を作れば、その後に特別な制振構造の構成要素を加える必要がない。具体的には、制振性を保つためにダンパーや防振ゴムを特別に加える必要がない。そして、このようなすぐれた制振性を有していることで、本制振性産業用梁構造部材を、例えばロボットの構造部材として使用したときにはリードタイムの短縮に貢献する。すなわち、製造サイクルの短縮をはかることができ、ロボットや自動機、搬送装置に適用した場合の効果を大きくすることができる。
[用語の説明]
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。まず、実施例、及び、比較例における物性値の測定・評価方法を以下に示す。
[物性値の測定・評価方法]
<制振性>
幅10mm、長さ270mmのサンプルを切り出し、片端固定(片持ち梁)方式で片側50mmを固定して、JIS G 0602に準拠して減衰による振幅の半減時間を測定した。
制振性の評価は、室温で液状のエポキシ樹脂とピッチ系炭素繊維からなるCFRP(比較例1)の半減時間(947ms)を基準とし、当該基準値と対比して次のように評価した。
なお、比較例1の半減時間(947ms)は、実用的に好ましいとは評価できない値であった。
○:基準する振幅の半減時間(947ms)の60%未満
△:同60%以上80%未満
×:同80%以上
<接着性>
JIS K 7078に準拠して、層間せん断強度(ILSS)を測定した。
接着性の評価は、室温で液状のエポキシ樹脂とピッチ系炭素繊維からなるCFRP(比較例1)における層間せん断強度の値(71MPa)を基準とし、当該基準値と対比して次のように評価した。
なお、比較例1の層間せん断強度の値(71MPa)は、実用的に好ましいと評価できる値であった。
○:基準とする層間せん断強度の値(71MPa)の80%以上
△:同60%以上80%未満
×:同60%未満
<環境負荷性>
環境負荷性の評価は、次のように鉛の有無によって判定を行った。ちなみに、比較例1は○との評価であった。
○:鉛が入っていない。
×:鉛が入っている。
(比較例1)
室温で液状のエポキシ樹脂中に、ピッチ系炭素繊維(三菱樹脂製ダイアリードK63712)を含浸させてなる厚さ0.3mmプリプレグ(FAW:340g/m,RC:35%,CPT=0.3mm)を6枚準備し、プリプレグ6枚を積層して樹脂複合材とした。
この樹脂複合材を120℃にて熱プレスすることにより、加熱溶融一体化並びにCFRPのプラスチック(エポキシ樹脂)の硬化を行い、厚さ1.8mmのCFRP板(サンプル)を得た。
このようにして得られた樹脂複合材としてのCFRP板について、制振性、接着性、環境負荷性を上記要領で評価し、結果を表1に示した。
(実施例1)
室温で液状のエポキシ樹脂中に、ピッチ系炭素繊維(三菱樹脂製ダイアリードK63712)を含浸させてなる厚さ0.3mmプリプレグ(FAW:340g/m,RC:35%,CPT=0.3mm)を6枚準備し、上から1枚目と2枚目、5枚目と6枚目のプリプレグ間に磁性材が挟まるように、SrO・6Fe23の粒径2μmの磁性材を、2枚目と6枚目のプリプレグ上に14g/m2の割合で均等に振り撒き、これら6枚のプリプレグを積層して樹脂複合材とした。
この樹脂複合材を、室温で7.8×10A/mの磁場中に曝して磁性材を配向着磁した(磁界の方向:長手方向)。
そして、着磁させた樹脂複合材を120℃にて熱プレスすることによって、加熱溶融一体化並びにCFRPのプラスチック(エポキシ樹脂)の硬化と磁性材のCFRPのプラスチックへの分散並びに磁化方向の固定を行い、磁性材が炭素繊維強化プラスチック中に分散してなる樹脂複合材として厚さ1.8mmのCFRP板(サンプル)を得た。
得られた樹脂複合材(CFRP板)について、比較例1と同様に制振性、接着性、環境負荷性を評価し、結果を表1に示した。
(比較例2)
比較例1と同様のプリプレグを6枚と、両表面を大気下でプラズマ表面処理した厚さ0.05mmのポリイミドフィルム1枚とを準備し、上から3枚目と4枚目のプリプレグ間にポリイミドフィルムを挟んでプリプレグ6枚を積層して樹脂複合材とした。
この樹脂複合材を120℃にて熱プレスすることにより、加熱溶融一体化並びにCFRPのプラスチック(エポキシ樹脂)の硬化、並びにプリプレグとポリイミド間の接着促進を行い、樹脂複合材として厚さ1.8mmのCFRP板(サンプル)を得た。
得られた樹脂複合材(CFRP板)について、比較例1と同様に制振性、接着性、環境負荷性を評価し、結果を表1に示した。
(比較例3)
比較例1と同様にプリプレグを6枚準備し、上から1枚目と2枚目、5枚目と6枚目のプリプレグ間にPZT粒子が挟まるように、粒径1μmのPZT粒子を、2枚目と6枚目のプリプレグ上に14g/m2の割合で均等に振り撒き、これら6枚のプリプレグを積層して樹脂複合材とした。
この樹脂複合材を120℃にて熱プレスすることによって、加熱溶融一体化並びにCFRPのプラスチック(エポキシ樹脂)の硬化とPZT粒子のCFRPのプラスチックへの分散を行い、樹脂複合材として厚さ1.8mmのCFRP板(サンプル)を得た。
得られた樹脂複合材(CFRP板)について、比較例1と同様に制振性、接着性、環境負荷性を評価し、結果を表1に示した。
Figure 2011012093
この結果、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)中に磁性材を分散させて着磁加工することにより、従来、制振性を高める手段として提案されていた、CFRP中にPZT粒子を分散させる手段と比較して、環境負荷性の面でも優れていることは勿論、樹脂複合材の制振性をより一層高めることができることが分かった。

Claims (3)

  1. 炭素繊維強化プラスチック中に磁性材を分散させて着磁加工してなることを特徴とする樹脂複合材。
  2. 前記磁性材は、少なくとも異方性フェライト磁性粉を含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂複合材。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂複合材を用いてなる梁構造部材。
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JP2015134917A (ja) * 2014-01-06 2015-07-27 財團法人工業技術研究院Industrial Technology Research Institute プリプレグおよびその製造方法
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CN114633493A (zh) * 2022-01-21 2022-06-17 南京航空航天大学 一种新型磁引导层间颗粒增强复合材料及其制备方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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