JP2011012094A - 樹脂複合材及びこれを用いた梁構造部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を主材とする樹脂複合材に関し、制振性に優れ、毒性や環境への負荷が小さい樹脂複合材を提供する。
【解決手段】炭素繊維強化プラスチック中に、平均粒径1μm未満のナノフィラーを分散させてなることを特徴とする樹脂複合材を提案する。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維強化プラスチック(以下「CFRP」とも称する)を主材とする樹脂複合材、特に梁構造部材等として好適に使用することができる樹脂複合材に関する。
従来からロボットや搬送装置には、軽量で強度を十分有する産業用梁構造部材が使用されており、この種の産業用梁構造部材として、炭素繊維を含有する炭素繊維強化プラスチックを多層構造に積層してなる産業用梁構造部材が知られている(例えば特許文献1参照。)。
この種の産業用梁構造部材、特にロボットや搬送装置などに用いられる産業用梁構造部材には優れた制振性が要求される。すなわち、ロボットや搬送装置などに用いられる産業用梁構造部材の制振性が高くなければ、例えば工場に設置したロボットを用いた場合のリードタイムの短縮化を図れないし、また、搬送装置が停止した時に、搬送装置に取り付けられたセンサの位置検出などを応答良く行うことができないなどの問題が生じるからである。
中でも、宇宙ロケットや人工衛星などの構造部材としてこのような産業用梁構造部材を使用した場合、宇宙空間では周囲に空気がないために振動が収まらないので、特に制振性が高いことは必要不可欠である。また、自動車、新幹線などの高速で移動する移動構造物についても同様に、軽量で且つ高剛性を備えていることに加えて十分な制振性が必要とされている。
ところで、CFRPを使った産業用梁構造部材は、軽量で且つ強度の点でも非常に優れている反面、その剛性が高いが故に制振性が不充分であるという課題を抱えていた。すなわち、一旦振動が生じると振動がなかなか収まらず、例えばこれをロボットに利用すると、リードタイムの短縮化が困難になり、又、これを搬送装置に利用すると、応答性のよいセンサ計測を行うことができないなどの課題を抱えていた。また、制振性が低いために、このような産業用梁構造部材を精密機器の構造体に使用すると、精密機械の精度が低下するという課題もあった。
そこで、このようなCFRPの課題を解決した制振構造体として、特許文献2及び3には、炭素繊維に樹脂を含浸させたシート(プリプレグ)を積層し、各層間に粘弾性のプラスチックフィルム又は圧電セラミックスのパウダーを介在させた構造を有するものが開示されている。粘弾性プラスチックフィルム又は圧電セラミックスのパウダーをこのようにプリプレグの各層間に介在させることで、振動が起こったときにこのプラスチックフィルム自体の有する粘弾性によってその部分にずれが生じて振動を効率的に吸収することができるようになる。
特開2000−216215号公報(2−4頁、図1) 特開2003−118038号公報 特開2005−150510号公報
特許文献2及び3に開示されているように、プリプレグ間に圧電セラミックスパウダーを介在させた場合には、毒性や環境への負荷が大きくて実用性の点で問題であった。
そこで本発明は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を主材とする樹脂複合材に関し、制振性に優れており、しかも毒性や環境への負荷が小さくて実用性に富んだ樹脂複合材を提供せんとするものである。
かかる課題に鑑みて、本発明は、炭素繊維強化プラスチック中に、平均粒径1μm未満のナノフィラーを分散させてなることを特徴とする樹脂複合材を提案するものである。
このような樹脂複合材であれば、制振性に優れており、しかも毒性や環境への負荷も小さくて実用性に富んだ樹脂複合材であるから、梁構造部材等として好適に使用することができる。
以下、本発明の実施形態の一例について説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本樹脂複合材>
本実施形態に係る樹脂複合材(以下「本樹脂複合材」という)は、炭素繊維強化プラスチック(「CFRP」という)中に、平均粒径1μm未満のナノフィラーを分散させてなることを特徴とする樹脂複合材である。
ここで、「複合材」とは、材質の異なる材料を組み合わせて一体化したものであり、「樹脂複合材」とは、その一種類が樹脂である複合材の意味である。
(CFRP)
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、強化繊維と、マトリックス樹脂(以下「CFRPのプラスチック」ともいう)とからなる樹脂複合材であればよい。炭素繊維とプラスチックとが複合一体化してなるものであれば、その複合化手段は任意であり、現在公知のものを採用することができる。
例えば炭素繊維とプラスチックとを複合化する方法として、細かく切断した繊維をプラスチック中に均一に混入させる方法や、繊維に方向性を持たせたままプラスチックに浸潤させる方法などを挙げることができる。但し、これに限定されるものではない。
より具体的には、プラスチック中に炭素繊維を含浸させた薄いシート状の含浸体からなるプリプレグを作製しておき、このプリプレグを積層して加熱溶融一体化しなる構成の樹脂複合材を挙げることができる。
炭素繊維としては、例えばポリアクリロニトリル系炭素繊維(PAN系)、レーヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、あるいはポリビニルアルコール系炭素繊維等の前駆体繊維を使用することができる。中でも、アクリルニトリル重合体あるいはその共重合体から得られるポリアクリロニトリル系炭素繊維(「PAN系炭素繊維」)およびピッチ系炭素繊維が好ましい。
他方、マトリックス樹脂としては、エポキシ、不飽和ポリエステル、フェノール、ビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、メラミン、マレイミド、ポリイミド等の重合・硬化型やポリオレフィン、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポミアミドイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂のうちの一種類、或いはこれらのうちの二種類以上の混合樹脂を挙げることができる。
以上の中でも、ピッチ系炭素繊維と、エポキシ樹脂とからなる炭素繊維強化プラスチックが、剛性、耐熱性、加工性などの面で好適である。
(ナノフィラー)
本発明において「ナノフィラー」とは、平均粒径が1μm未満の粒子粉末を意味し、平均粒径が1μm未満であるか否かは透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)による観察で判断することができる。
ナノフィラーとしては、毒性の強いもの、反応性の高いもの、凝集が強く実質分散し難いものを除いて、有機・無機に限らず使用することができる。具体的には、金属(金、銀、銀スズ合金など)、金属酸化物(シリカ、酸化亜鉛、酸化スズなど)、セラミック(窒化アルミニウム、炭化ケイ素、チタン酸バリウムなど)、カーボン(カーボンブラック、黒鉛、ダイヤモンド、炭素繊維、カーボンナノチューブなど)、有機繊維(セルロース、ポリアミド、リグニンなど)など、特に制限なく使用することができ、これらのうちの1種又は2種類以上を混合して使用することができる。
但し、アナターゼ型酸化チタン、石綿、鉛等は好ましくない。
ナノフィラーの形態は、例えば不定形状、球状、繊維状、板状、多孔質状など、特に制限なく使用することができる。
また、ナノフィラーの添加量は、組成との兼ね合いにもよるが、制振性への寄与を考慮すると、0.1〜10vol%であるのが好ましい。0.1vol%以上であれば、制振性を有意に高めることができ、10vol%以下であれば、分散加工性が損なわれることもない。
ナノフィラーをCFRP中へ分散させて複合化する手段としては、例えばCFRPのプラスチックにナノフィラーを分散させて、薄い含浸体としてのプリプレグを作製し、このようにして作製したプリプレグを積層して加熱溶融一体化することにより、ナノフィラーが分散・複合化したCFRPを作製することができる。又、プリプレグ表面にナノフィラーを均一に振り撒き、プリプレグを積層して加熱溶融一体化することにより、ナノフィラーが分散・複合化したCFRPを作製することができる。又、ナノフィラーを溶媒に溶解してなるナノフィラー溶液或いはナノフィラーを溶媒に分散してなるナノフィラー分散液を、プリプレグ表面にコーティングして乾燥させ、プリプレグを積層して加熱溶融一体化することにより、ナノフィラーが分散・複合化したCFRPを作製することができる。又、ナノフィラーを樹脂バインダーに溶解してなるナノフィラー溶液或いはナノフィラーを樹脂バインダーに分散してなるナノフィラー分散液を、プリプレグ表面にコーティングして乾燥させ、プリプレグを積層して加熱溶融一体化することにより、CFRPのプラスチックと樹脂バインダーの接着とCFRPのプラスチックへのナノフィラーの分散とを促しつつ、ナノフィラーが分散・複合化したCFRPを作製することができる。
上記のようにナノフィラーをCFRPのプラスチックへ分散させる際、使用する装置としては、一般に知られているミキサー、ロール、押出機などの分散加工装置を使用することができる。この際、CFRPのプラスチックの粘度、ナノフィラーの添加量等に応じて好ましい装置、及びその設定条件を選択するのが好ましい。中でも、ナノフィラーは凝集しやすいため、高剪断力の作用する装置がより好ましく、具体的には、例えばボールミル、同方向2軸押出機などを好ましい例として挙げることができる。
一方、ナノフィラーの溶液ないし分散液への分散加工も、同様に一般に知られているミキサーを使用すればよく、樹脂バインダーや分散剤等の粘度、ナノフィラーの添加量等に応じて好ましい装置、及びその設定条件を選択するのが好ましい。中でも、ボールミルを好ましい例として挙げることができる。
上記のナノフィラー溶液又はナノフィラー分散液を形成する樹脂バインダーとしては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化樹脂、コーティング用樹脂など特に制限なく使用することができる。例えばエチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン(PO)系樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、共重合アクリル等のアクリル系樹脂、ポリウレタン(PU)系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド(PA)系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル三元共重合体(EPE)等のフッ素系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂などを主成分とする樹脂バインダーを使用することができる。
なお、ナノフィラーを分散させる樹脂バインダーは、CFRPのプラスチックと同じ種類の樹脂であってもよいし、また、異なる種類の樹脂であってもよい。同じ種類の樹脂であればCFRPと容易に一体化するため、加工性、接着性の面からCFRPのプラスチックと共通の樹脂をバインダーとして用いるのが好ましい。
(分散ないし凝集径が4μm以上の割合)
本樹脂複合材においては、CFRPのプラスチックと複合化した際のナノフィラーの分散ないし凝集径が4μm以上の割合が20vol%以上であるのが好ましい。
この際、ナノフィラーの分散ないし凝集径が4μm以上の割合が20vol%とは、本樹脂複合材の断面をSEMで観察した際に、分散状態にあるナノフィラーの単独径、又は凝集状態にあるナノフィラーの凝集径が4μm以上である部分が、該断面の20%以上を占めることを意味している。すなわち、ナノフィラーの分散が不十分で凝集している状態を有している方が制振性の点で好ましいと言える。詳細な機構は推察の域を出ないが、分散状態が多く、制振性のための緩和のモードが多く取れ、全てのフィラーがナノ分散に近くて緩和が単一のモードの系より効果的に寄与するものと考えられる。
なお、CFRPのプラスチックと複合化した際の分散ないし凝集径と割合については、CFRP中のナノフィラー加工部位から断面のSEM写真を位置の偏りのないよう任意に5点選び、その相間の面積比率の画像解析の平均値による指標により判断することができる。
この制御には、組成からくる相溶性、つまりは材料の選択が効果的に作用するが、ナノフィラーの粒径、添加量などによっても調整でき、さらに分散剤添加やナノフィラーへの予めの表面処理等による第3成分による改質も可能である。
(形態)
本樹脂複合材は、シート状、板状、パイプ状(丸パイプ状、角パイプ状)、中実棒状、ハニカム状など、用途に応じて任意の形状に成形して提供することができる。
この際の成形方法の一例として、例えば型に繊維骨材を敷き、硬化剤を混合した樹脂を脱泡しながら多重積層してゆくハンドレイアップ法やスプレーアップ法のほか、あらかじめ骨材と樹脂を混合したシート状のものを金型で圧縮成型するSMCプレス法、インジェクション成形の様に繊維を敷き詰めた合わせ型に樹脂を注入するRTM法、繊維とマトリクス(接着剤)を予め馴染ませてある部材(プリプレグなど)を大型の窯(オートクレーブ)で焼き固める方法などを挙げることができる。
(梁構造部材)
本樹脂複合材は、制振性に優れているばかりか、強度に優れ、さらには毒性や環境への負荷の小さくて実用性に富んでいるため、梁構造部材、例えばロボットや搬送装置に使用する制振性産業用梁構造部材として好適に用いることができる。例えば、スマートコンポジット(異種材料の組合せ)を可能としながら制振性に優れたロボットアームを作製することができる。
なお、ロボットは、タスク上の工程中、ハンドリングを24時間中何サイクルも行うものであるから、本樹脂複合材からなる制振性産業用梁構造部材をロボットのアームに適用することで、サイクル時間の短縮化を計り、生産能力を向上させることができる。
次に、本樹脂複合材の利用例として、本樹脂複合材からなる制振性産業用梁構造部材(以下「本制振性産業用梁構造部材」という)の応用例について説明する。
本制振性産業用梁構造部材は、直交座標系ロボットの両持ち梁構造の支持フレームに適用することができる。この際、ロボットの各支持フレームの何れか又は全てに、本制振性産業用梁構造部材を使用することが可能である。この適用により、ロボットハンドの停止後、支持フレームの振動を素早く制振させることができるので、ロボットハンドの動作速度を高めてリードタイムの短縮化を図ることができる。
また、片持ち梁構造の直交座標系ロボットの支持フレームに本制振性産業用梁構造部材を適用しても、同様の制振効果によりリードタイムの短縮化を図ることができる。
以上のように、片持ち、両持ちの支持構造を有する直交構造式機械に本制振性産業用梁構造部材を使用した場合、振動低減効果によって構造体の位置精度の向上及びリード及びタスクタイム短縮による生産能力の向上に貢献するとともに、制振システムに対するメンテナンスフリーを実現できるようになる。
本制振性産業用梁構造部材は、回転式多関節型ロボットの支持部に用いることもできる。例えば片持ちハンドタイプのロボットにおいて、回転支柱部と片持ちハンド部とに本制振性産業用梁構造部材を使用することで、ロボットが停止した後にハンド等の慣性重量で振動が生じても、振動を素早く抑えることができる。すなわち、多軸回転移動を行う装置上での振動低減効果により、構造体の位置精度の向上及びリードタイム及びタスクタイムを短縮し、生産能力の向上に貢献するとともに、制振システムに対するメンテナンスフリーを実現することができる。
このように回転運動や直線運動を行う機械上で振動低減による効果により、構造体の位置精度の向上及びリードタイム及びタスクタイムの短縮による生産能力の向上を図ることができる。
なお、制振性産業用梁構造部材の断面形状は丸パイプ状又は角パイプ状であってもよく、断面の大きさが徐々に変化するようなものであってもよい。なお、支持部は、板状部材又はハニカム板でも構わない。
ロボットの片持ちハンド部に本制振性産業用梁構造部材を用いることもできる。これによって、制振効果による位置精度の向上を図ることができる。すなわち、片持式の搬送または計測用構造においても、前述した機械との組合せによる制振を伴った移動を可能とし、又は制振を伴った単独での固定も可能とすることができる。そして、振動低減による効果により構造体の位置精度の向上及びリードタイム及びタスクタイムの短縮による生産能力の向上に貢献するとともに、制振システムに対するメンテナンスフリーを可能とすることができる。また、搬送用ではワークに対して、計測用では取付機器が振動から受けるダメージを軽減することができる。
本制振性産業用梁構造部材をローラ式搬送装置のローラに適用することもできる。このように本制振性産業用梁構造部材をローラ式搬送装置のローラに適用することで、ローラの回転に伴う振動を素早く抑えることができるので、産業用機械において搬送物の振動制止に基づく工程短縮によって搬送能力が向上し、搬送物が振動から受けるダメージを軽減することができる。
なお、この場合の制振性産業用梁構造部材の断面形状は丸パイプであるのが好ましい。
その他、本制振性産業用梁構造部材は、産業用機械全般に適用可能である。そして、PAN系、ピッチ系及びこれらの複合したカーボン繊維強化スマートコンポジット化による制振構造システムを達成することができ、その適用範囲は稼動部への適用、固定部への適用の如何を問わない。
本制振性産業用梁構造部材は、軽量、高剛性に加えて、優れた制振性を有しているばかりか、本制振性産業用梁構造部材自体が制振性を有していることで、メンテナンスフリーとすることができる。すなわち、一旦制振性産業用梁構造部材を作れば、その後に特別な制振構造の構成要素を加える必要がない。具体的には、制振性を保つためにダンパーや防振ゴムを特別に加える必要がない。そして、このようなすぐれた制振性を有していることで、本制振性産業用梁構造部材を、例えばロボットの構造部材として使用したときにはリードタイムの短縮に貢献する。すなわち、製造サイクルの短縮をはかることができ、ロボットや自動機、搬送装置に適用した場合の効果を大きくすることができる。
[用語の説明]
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。まず、実施例、及び、比較例における物性値の測定・評価方法を以下に示す。
[物性値の測定・評価方法]
<制振性>
幅10mm、長さ270mmのサンプルを切り出し、片端固定(片持ち梁)方式で片側50mmを固定して、JIS G 0602に準拠して減衰による振幅の半減時間を測定した。
制振性の評価は、室温で液状のエポキシ樹脂とピッチ系炭素繊維からなるCFRP(比較例1)の半減時間(947ms)を基準とし、当該基準値と対比して次のように評価した。
なお、比較例1の半減時間(947ms)は、実用的に好ましいとは評価できない値であった。
○:基準する振幅の半減時間(947ms)の60%未満
△:同60%以上80%未満
×:同80%以上
<環境負荷性>
環境負荷性の評価は、次のように鉛の有無によって判定を行った。ちなみに、比較例1は○との評価であった。
○:鉛が入っていない。
×:鉛が入っている。
(比較例1)
室温で液状のエポキシ樹脂中に、ピッチ系炭素繊維(三菱樹脂製ダイアリードK63712)を含浸させてなる厚さ0.3mmプリプレグ(FAW:340g/m,RC:35%,CPT=0.3mm)を6枚準備し、プリプレグ6枚を積層して樹脂複合材とした。
この樹脂複合材を120℃にて熱プレスすることにより、加熱溶融一体化並びにCFRPのプラスチック(エポキシ樹脂)の硬化を行い、厚さ1.8mmのCFRP板(サンプル)を得た。
このようにして得られた樹脂複合材としてのCFRP板について、制振性、環境負荷性を上記要領で評価し、結果を表1に示した。
(実施例1)
平均粒径14nmのナノフィラーであるシリカ(球状)を水に分散させたナノフィラーエマルジョンと、室温で液状のエポキシ樹脂中に、ピッチ系炭素繊維(三菱樹脂製ダイアリードK63712)を含浸させてなる厚さ0.3mmプリプレグ(FAW:340g/m,RC:35%,CPT=0.3mm)6枚と、を準備した。
各プリプレグの片面に、ロールコーターを用いてナノフィラーエマルジョンをコーティングし、加熱乾燥してナノフィラーが4g/m2積層してなるプリプレグを得た。
このようにナノフィラーが積層されたプリプレグ6枚を、ナノフィラー層とプリプレグが交互になるよう揃えて積層し樹脂複合材を得た。
この樹脂複合材を120℃にて熱プレスすることにより、加熱溶融一体化、並びにCFRPのプラスチック(エポキシ樹脂)の硬化とナノフィラーのCFRPのプラスチックへの分散を行い、炭素繊維強化プラスチック中にナノフィラーが5重量%の割合で分散してなる樹脂複合材として、厚さ1.8mmのCFRP板(サンプル、ナノフィラーの含有量1.9vol%)を得た。
得られた樹脂複合材(CFRP板)について、比較例1と同様に制振性、環境負荷性を評価し、結果を表1に示した。
得られた樹脂複合材について、断面SEM写真により、分散ないし凝集径が4μm以上の割合を評価したところ20vol%であった。
この際、分散ないし凝集径と割合については、CFRP中のナノフィラー加工部位から断面のSEM写真を位置の偏りのないよう任意に5点選び、その相間の面積比率の画像解析の平均値による指標により判断した(以降の実施例・比較例においても同様)。
ナノフィラーの平均粒径は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope; TEM)による断面観察において、任意の50個の一次粒子を選択して画像解析によりそれぞれの粒径を測定し、これら50個の平均値から求めた値である(以降の実施例・比較例においても同様)。
(実施例2)
粒径50nmのナノフィラーであるカーボンブラック(球状)と、室温で液状のエポキシ樹脂中に、ピッチ系炭素繊維(三菱樹脂製ダイアリードK63712)を含浸させてなる厚さ0.3mmプリプレグ(FAW:340g/m,RC:35%,CPT=0.3mm)6枚とを準備した。
各プリプレグの片面上に5g/m2となるように前記カーボンブラックを均等に振り撒き、ナノフィラーが片面に粘着積層してなるプリプレグを得た。
このようにナノフィラーが片面に粘着積層されたプリプレグ6枚を用いて、以後実施例1同様に作製して厚さ1.8mmのCFRP板(サンプル、ナノフィラーの含有量1.9vol%)を得た。
得られた樹脂複合材(CFRP板)について、比較例1と同様に制振性、環境負荷性を評価し、結果を表1に示した。
また、得られた樹脂複合材について、断面SEM写真により、分散ないし凝集径が4μm以上の割合を評価したところ60vol%であった。
(実施例3)
直径50nmの多層形態のカーボンナノチューブを準備し、これを室温で液状のエポキシ樹脂に5重量%添加し、プラネタリーミキサーにより混合分散した後、押出によりCFRPのプラスチックフィルムを、離型加工ポリエステルフィルム上に加工した後、ピッチ系炭素繊維の薄い束と積層して、加熱圧着により一体化ならびに転写して、厚さ0.3mm、プラスチックと炭素繊維の重量比が1のプリプレグを得た。
このようにして得られたプリプレグ6枚を用いて、以後実施例1同様に作製して厚さ1.8mmのCFRP板(サンプル、ナノフィラーの含有量1.9vol%vol%)を得た。
得られた樹脂複合材(CFRP板)について、比較例1と同様に制振性、環境負荷性を評価し、結果を表1に示した。
また、得られた樹脂複合材について、断面SEM写真により、分散ないし凝集径が4μm以上の割合を評価したところ60vol%であった。
(実施例4)
直径100nmのナノフィラーであるコップ形状積層形態のカーボンナノチューブを準備し、これを室温で液状のエポキシ樹脂に5重量%添加し、ビーズミルにより混合分散した後、押出によりCFRPのプラスチックフィルムを、離型加工ポリエステルフィルム上に加工した後、ピッチ系炭素繊維の薄い束と積層して、加熱圧着により一体化ならびに転写して、厚さ0.3mm、プラスチックと炭素繊維の重量比が1のプリプレグを得た。
このようにして得られたプリプレグ6枚を用いて、以後実施例1同様に作製して厚さ1.8mmのCFRP板(サンプル、ナノフィラーの含有量1.9vol%)を得た。
得られた樹脂複合材(CFRP板)について、比較例1と同様に制振性、環境負荷性を評価し、結果を表1に示した。
また、得られた樹脂複合材について、断面SEM写真により、分散ないし凝集径が4μm以上の割合を評価したところ4vol%であった。
(比較例2)
粒径3μmの黒鉛を、室温で液状のエポキシ樹脂に30重量%添加し、プラネタリーミキサーにより混合分散した後、押出によりCFRPのプラスチックフィルムを、離型加工ポリエステルフィルム上に加工した後、ピッチ系炭素繊維の薄い束と積層して、加熱圧着により一体化ならびに転写して、厚さ0.3mm、プラスチックと炭素繊維の重量比が1のプリプレグを得た。
このようにして得られたプリプレグ6枚を用いて、以後実施例1同様に作製して厚さ1.8mmのCFRP板(サンプル、ナノフィラーの含有量12vol%を得た。
得られた樹脂複合材(CFRP板)について、比較例1と同様に制振性、環境負荷性を評価し、結果を表1に示した。
また、得られた樹脂複合材について、断面SEM写真により、分散ないし凝集径が4μm以上の割合を評価したところ80vol%であった。
Figure 2011012094
表1より、実施例1−4と比較例1−2とを比べると、平均粒径1μm未満のナノフィラーを炭素繊維強化プラスチック中に分散させることにより、特に制振性を有効に高めることができることが分かった。なお、比較例2では、平均粒径3μmのナノフィラーを分散させているが、制振性を有効に高めることはできていない。
さらに実施例1−4の中でも、分散ないし凝集径が4μm以上の割合を20vol%以上とすることで、制振性をより一層高めることはできることが判明した。

Claims (3)

  1. 炭素繊維強化プラスチック中に、平均粒径1μm未満のナノフィラーを分散させてなることを特徴とする樹脂複合材。
  2. 前記ナノフィラーの4μm以上の分散ないし凝集径の割合が20vol%以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂複合材。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂複合材を用いてなる梁構造部材。
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