JP2011011965A - 水素酸素発生装置およびこれを用いた燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水素酸素発生装置5は、超酸化カリウムで構成される酸素発生用材料15に水を反応させて水酸化カリウムおよび酸素を発生させる酸素発生容器9と、両性金属19に、酸素発生容器9で生成された水酸化カリウムの水溶液17を反応させて水素を発生させる水素発生容器11と、が備えられている。
【選択図】図1
Description
また、たとえば、水中航走体等の水中や大気圏外など空気が存在しないか少ない環境で用いられるものとして、所定物質の化学反応により酸素を得るもの(たとえば、特許文献5参照)が提案されている。
さらに、酸素を高圧タンクに貯蔵し放出させることも考えられる。
これは、高圧タンクに酸素を貯蔵する場合も同様である。
液体水素または液体酸素を貯蔵する場合には、温度を極低温に保つ必要があり、安全上、運搬や取り扱いが難しくなるという問題がある。
特許文献2に示される水素吸蔵合金のタンクでは合金重量が重いことが問題であり、吸蔵率が高く軽くできる合金は現時点では耐久性が乏しく使用に耐えない。
また、改質工程に熱量が必要となるので、起動停止時の昇温、降温操作およびその際の触媒劣化防止処理等が必要になる等の問題がある。
しかし、水素化マグネシウムの加水分解によって発生する水酸化マグネシウムは溶解度が低いのでヘドロ状となる。そのため、反応が進むに連れて水素化マグネシウムと水との混合が難しくなり、大型化が困難であるという問題がある。
また、過塩素酸リチウムの分解反応では、抑制されているとは言え、酸素の他に不純ガスとして燃料電池のシステム性能に影響を及ぼしたり、酸素を導く金属配管類を腐食させたりする等の不具合を生じさせる塩素ガスが発生するという問題がある。
すなわち、本発明の第1態様は、アルカリ金属の過酸化物あるいは超酸化物に水を反応させてアルカリ金属の水酸化物および酸素を発生させる酸素発生部と、両性金属に、該酸素発生部で生成されたアルカリ金属の水酸化物の水溶液を反応させて水素を発生させる水素発生部と、が備えられている水素酸素発生装置である。
このとき、水は反応を確実に進めるためにアルカリ金属の過酸化物あるいは超酸化物の量に対応する理論当量より多く供給することが望ましい。余剰な水を供給した場合は、生成されるアルカリ金属の水酸化物はその余分な水に容易に溶解してアルカリ金属の水酸化物の水溶液が形成される。
このアルカリ金属の水酸化物の水溶液を水素発生部に供給する。水素発生部では、アルカリ金属の水酸化物の水溶液と両性金属とが反応し、水素が発生する。
このように、酸素発生部で形成されたアルカリ金属の水酸化物の水溶液を、水素発生部での水素発生反応に用いているので、水素の発生および酸素の発生は相互に関連して行うことができる。アルカリ金属の酸化物あるいは超酸化物の量に対応する理論当量より多く供給された水分は、水溶液を形成し、その後水素発生時の反応に直接利用される。そのため、水素の発生および酸素の発生が独立して行われるものに比べて必要な水分量を削減することができる。
このように、全体でも、簡単な構成で水素酸素発生装置を形成できる。
したがって、所要の物質量の削減と、簡単な構成とによって水素酸素発生装置の小型化を図ることができる。
なお、アルカリ金属の過酸化物あるいは超酸化物および両性金属は、反応後に溶解性が高いことから、粉体、粒体等であってもペレット状であっても、またブロック状であっても良く、装置の形態に合わせて選定できるという利点もある。
また、上記態様では、前記アルカリ金属の過酸化物あるいは超酸化物は、超酸化カリウムであることが好ましい。
発電反応によって生成された生成水が、酸素発生部および水素発生部の反応に用いられるので、水の保有量を削減することができる。これにより、水素酸素発生装置の一層の小型化を図れるので、燃料電池システムの小型化を図ることができる。
水素酸素発生装置によって水素および酸素が生成されるので、たとえば、水中航走体等の水中や大気圏外など空気が存在しないか少ない環境で燃料電池システムを用いることができる。
この水素酸素発生装置を用いた燃料電池システムでは、燃料電池本体における発電反応によって生成される生成水が水素酸素発生装置の酸素発生部に供給されるので、水の保有量を削減することができ、燃料電池システムの小型化を図ることができる。
図1は、本実施形態にかかる燃料電池の要部の概略構成を示すブロック図である。
燃料電池としては、固体高分子形燃料電池(PEFC)が好適であるが、その形式は問わない。
燃料スタック3には、固体電解質膜の両面に酸素極および水素極が圧着された膜/電極接合体7が備えられている。
一方、イオン化にて生成した電子は水素極から図示しない外部負荷を流れ、酸素極に移動することで電力を供給する。
酸素極に供給された酸素は、酸素極に移動した電子によってイオン化される。イオン化された酸素イオンと、固体電解質膜中を移動して酸素極に到達した水素イオンとが反応し、水(生成水)が生成される。
酸素発生容器9は、酸素発生用材料(アルカリ金属の過酸化物または超酸化物)15と水とを反応させて酸素を発生する。
酸素発生用材料15としては、超酸化カリウム(KO2)が用いられている。超酸化カリウムは、粉末(粉体)であり、酸素発生容器9に所要量貯蔵しておくようにしても良いし、別途貯蔵し、酸素発生容器9に必要量だけ供給するようにしても良い。
酸素発生用材料15としては、いずれも粉末である過酸化リチウム(Li2O2)、過酸化ナトリウム(Na2O2)、過酸化カリウム(K2O2)、超酸化ナトリウム(NaO2)を用いてもよい。総重量に対する発生酸素量を考慮すると超酸化カリウムはほどほど率がよく、また物質の反応性から考えて安全性も確保できるので、好適である。
酸素発生容器9では、酸素発生用材料15と水とが混合されることによって次式に示されるように酸素発生用材料15が加水分解され、水酸化カリウム(K(OH))と酸素を生成する。
4KO2+2H2O→4K(OH)+3O2
また、後述する水素発生容器11での反応で用いる水(この場合も余分な量を見込むのが好ましい。)を確保する必要がある。
以上を勘案して水貯蔵容器13から酸素発生容器9へ供給される水の量は決定される。
この水酸化カリウムの水溶液は、酸素発生容器9から水素発生容器11に供給されるようにされている。
生成された酸素は、燃料電池スタック3の酸素極へ供給されるようにされている。
両性金属19としては、アルミニウム(Al)が用いられている。アルミニウムは、粉体とされていても良いし、ブロック状でも良い。両性金属19は水素発生容器11に所要量貯蔵しておくようにしても良いし、別途貯蔵し、水素発生容器11に必要量だけ供給するようにしても良い。
両性金属19としては、亜鉛(Zn)、すず(Sn)、鉛(Pb)を用いてもよい。
4Al+4K(OH)+12H2O→4K[Al(OH)4]+6H2
テトラヒドロキソアルミン酸カリウムは、溶解度が高いので、十分な水が存在すれば完全な液体とすることができる。このためヘドロ状となってアルミニウムの周囲を覆うことがなくなるので、水酸化カリウムとアルミニウムとが混合されるのを妨げる可能性を低くすることができる。
燃料電池スタック3における電気化学反応によって生成された水は、水貯蔵容器13に供給されるように構成されている。
したがって、燃料電池スタック3からの水は、水貯蔵容器13から酸素発生容器9に供給されることになるので、この水は超酸化カリウムの加水分解および水素発生容器11における反応に用いられる。
また、図1に示されるように燃料電池スタック3で生成する水を一時的に貯める水貯蔵容器13とは別に初期に水を保有する水貯蔵容器14を用意してもよい。
超酸化カリウム等の酸素発生用材料15は固体であるので、酸素発生容器9では固体に水を供給することによって所定の反応を起こすことができる。両性金属19は固体であるので、水素発生容器11では固体に水酸化カリウムの水溶液を供給することによって所定の反応を起こすことができる。
したがって、所要の物質量の削減と、簡単な構成とによって水素酸素発生装置5の小型化を図ることができる。
これにより、水素酸素発生装置5の一層の小型化を図れるので、燃料電池1の小型化を図ることができる。
水素酸素発生装置5によって必要な水素および酸素が供給されるので、たとえば、水中航走体等の水中や大気圏外など空気が存在しないか少ない環境で燃料電池1を用いることができる。
3 燃料電池スタック
5 水素酸素発生装置
9 酸素発生容器
11 水素発生容器
13 水貯蔵容器
14 水貯蔵容器
15 酸素発生用材料
17 水溶液
19 両性金属
Claims (4)
- アルカリ金属の過酸化物あるいは超酸化物に水を反応させてアルカリ金属の水酸化物および酸素を発生させる酸素発生部と、
両性金属に、該酸素発生部で生成されたアルカリ金属の水酸化物の水溶液を反応させて水素を発生させる水素発生部と、
が備えられていることを特徴とする水素酸素発生装置。 - 前記アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムの少なくとも1つであることを特徴する請求項1に記載の水素酸素発生装置。
- 前記アルカリ金属の過酸化物あるいは超酸化物は、超酸化カリウムであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水素酸素発生装置。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の水素酸素発生装置と、
前記酸素発生部で生成された酸素および前記水素発生部で生成された水素が供給されることによって発電が行われる燃料電池本体と、が備えられ、
該燃料電池本体で生成される生成水が前記酸素発生部に供給されることを特徴とする燃料電池システム。
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