JP2011011868A - エレベーターの運転装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】地震によって停電が発生した場合でも、復電時に生じ得るエレベーターの2次的な被害の拡大を防止できるようにする。
【解決手段】地震の発生を検出する地震感知器6と、地震感知器6によって地震の発生が検出された場合に、地震時管制運転を制御する制御盤5と、制御盤5に電力を供給する電源8と、制御盤5及び電源8間に設けられた切り放し装置9と、停電時に動作するバッテリーとを備える。そして、地震感知器6によって地震の発生が検出され、且つ、停電が発生した場合に、バッテリーからの電力供給によって切り放し装置9を制御することにより、制御盤5を電源8から切り放す。
【選択図】図1

Description

この発明は、地震によって停電が発生した場合に、エレベーターを適切に制御することができるエレベーターの運転装置に関するものである。
エレベーターでは、地震発生後の安全確保を目的として、所定の条件下、地震時管制運転を行うことが規約化されている。
なお、上記規約は、地震が発生した際に、地震の規模に応じた管制運転を行うことをその要旨としている。具体的に、地震時管制運転機能を備えたエレベーターでは、複数規模の地震(例えば、特低(ガル)の地震、低(ガル)の地震、高(ガル)の地震)を感知できる地震感知器が備えられており、この地震感知器によって地震の発生が感知されると、地震規模に応じた所定の内容で地震時管制運転を行い、エレベーターの安全を確保している。
このような地震時管制運転機能を備えたエレベーターの従来技術として、例えば、地震感知器に対するリセット指令の出力回数をカウントすることにより、地震感知器自体の故障の有無を判定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−165679号公報
比較的大きな地震が発生した場合、エレベーターでは、地震の揺れによって機器やケーブル等に電気的な故障(例えば、制御回路の地絡等)が発生することがある。特に、近年では、エレベーターにおいて専用の機械室が設置されない機械室レス化が進み、種々の機器が昇降路内に設置されている。このため、地震による上記故障の発生リスクが大幅に増加している。
一方、発生した地震の規模が大きいと、その地震の揺れに起因して停電が発生することがある。特許文献1に記載のものを含め従来のエレベーターでは、地震によって停電が発生し、その後復電すると、地震発生時に地震感知器が検出した地震情報に基づいて、運転の可否を判断していた。
しかし、上記復電は、エレベーターの制御機能を持たない電源設備側によって行われるものであるため、地震後の復電においては、各種機器及びケーブル類の電気的な状態とは無関係にエレベーター側に電源が供給されてしまう。このため、地震によってエレベーター側に何らかの電気的な故障が発生していた場合には、復電時或いは復電後に、被害が拡大してしまう恐れがあった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、地震によって停電が発生した場合に、復電時に生じ得る2次的な被害の拡大を防止し、エレベーターの信頼性を大幅に向上させることができるエレベーターの運転装置を提供することである。
この発明に係るエレベーターの運転装置は、地震の発生を検出する地震検出手段と、地震検出手段によって地震の発生が検出された場合に、所定の地震時管制運転を制御する制御盤と、制御盤に電力を供給する常用電源と、制御盤及び常用電源間に設けられた切り放し装置と、停電時に動作する非常用電源と、地震検出手段によって地震の発生が検出され、且つ、停電が発生した場合に、非常用電源からの電力供給によって切り放し装置を制御することにより、制御盤を常用電源から切り放す動作制御手段と、を備えたものである。
この発明によれば、地震によって停電が発生した場合に、復電時に生じ得る2次的な被害の拡大を防止することができ、エレベーターの信頼性を大幅に向上させることができるようになる。
この発明の実施の形態1におけるエレベーターの運転装置を示す構成図である。 図1に示す運転装置の要部の具体的な回路構成を示す図である。 この発明の実施の形態1におけるエレベーターの運転装置の動作を示すフローチャートである。
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベーターの運転装置を示す構成図、図2は図1に示す運転装置の要部の具体的な回路構成を示す図である。
図1及び図2において、1はエレベーター昇降路内を昇降するかご、2は昇降路内をかご1とは互いに逆方向に昇降するつり合いおもり、3はかご1とつり合いおもり2とを昇降路内で釣瓶式に懸架する主ロープ、4は主ロープ3を介してかご1(及び、つり合いおもり2)を駆動する巻上機、5はかご1に装備された機器や上記巻上機4の制御等、エレベーター全体の運行制御を司る制御盤である。なお、巻上機4は、昇降路の頂部やエレベーター専用の機械室等に設置されている。
また、6は地震の発生を検出するための地震感知器(地震検出手段)、7は停電時の運転制御機能を司る停電時運転装置、8は制御盤5に電力を供給する常用電源からなる電源、9は電源8を有する電源設備側と制御盤5を有するエレベーター側との間に設けられた切り放し装置である。
地震感知器6は、例えば、コンピューター制御によって地震感知を行う電子回路式のものからなり、地震の発生を検出すると、地震の規模(例えば、建物の揺れや加速度等の大きさ)に応じた検出信号を、制御盤5及び停電時運転装置7に対して出力する。
即ち、図1に示すエレベーターには地震時管制運転機能が備えられおり、制御盤5は、地震感知器6から地震情報(上記検出信号)を受信すると、その地震規模に応じた所定の地震時管制運転を実施する。具体的に、制御盤5は、地震感知器6から地震情報が入力された場合に、地震規模が所定の大きさ以下であれば、機器類の故障等は発生していないとして、その後も通常運転を継続する。また、制御盤5は、地震規模が上記所定の大きさを超えている場合は、かご1を最寄り階まで走行させた後、機器の故障の発生等を想定して、その後の運転を停止する。
停電時運転装置7は、停電発生時のエレベーターの運転(停電時運転)を制御する機能を有している。停電時運転装置7は、その内部に、少なくとも停電時に動作するバッテリー10(非常用電源)が備えられており、停電の発生、即ち、電源8からの電力供給が遮断されたことを検出すると、電力供給元をバッテリー10に切り替えて停電時運転を制御する。また、停電時運転装置7は、地震による停電が発生した場合は、復電時或いは復電後に生じ得る2次的な被害の拡大を防止するため、切り放し装置9の動作を伴う所定の停電時運転を制御する。
上記機能を実現するため、停電時運転装置7には、例えば、図2に示すように、上記バッテリー10の他に、制御装置11、測定用回路12a乃至12d、接点13a乃至13d(開閉装置)、接点14が備えられている。
なお、図2に示す15a乃至15dは制御盤5内に設けられた内部回路、16は制御盤5内に設けられた電源回路である。15a乃至15dとして示す上記内部回路の一部は、制御盤5内の外部回路であっても良い。また、以下の説明においては、測定用回路12a乃至12dを各構成に区別する必要がなければ、単に測定用回路12と表記する。同様に、接点13a乃至13dを接点13と、内部回路15a乃至15dを内部回路15と表記する。
測定用回路12は、その要部が抵抗から構成されており、制御盤5内の各内部回路15に対応して1つずつ設けられている。即ち、測定用回路12aは内部回路15aに、測定用回路12bは内部回路15bに、測定用回路12cは内部回路15cに、測定用回路12dは内部回路15dにそれぞれ接続されている。
接点13は、内部回路15の絶縁抵抗値を測定する際に使用されるものであり、制御装置11を間に挟んでバッテリー10と各測定用回路12との間に設けられている。即ち、接点13aは、制御装置11を介してバッテリー10と測定用回路12aとの間に、同様に、接点13bはバッテリー10と測定用回路12bとの間に、接点13cはバッテリー10と測定用回路12cとの間に、接点13dはバッテリー10と測定用回路12dとの間にそれぞれ接続されている。
また、制御装置11は、各種停電時運転の制御を行う停電時運転手段17と、地震による停電発生時に、各内部回路15の絶縁状態を判定するための動作制御手段18及び絶縁抵抗測定手段19とを備えている。
停電時運転手段17は、停電検出手段(図示せず)から停電発生の旨の情報(以下、「停電情報」という)が入力されることにより、バッテリー10を電源として停電時運転を開始する。通常の停電時運転時、即ち、停電が地震によるものではない場合、停電時運転手段17は、停電情報を受信すると、停電時運転用の接点14を閉成することにより、バッテリー10からの電力を電源回路16に供給し、エレベーターに所定の動作を行わせる。一方、停電時運転手段17は、地震による停電が発生すると、上記通常の停電時運転とは異なる所定の停電時運転を実施する。
また、上記動作制御手段18は、切り放し装置9の動作を制御する機能を有している。具体的に、動作制御手段18は、地震による停電が発生すると、切り放し装置9を動作させることにより、制御盤5を電源8から切り放す。
上記絶縁抵抗測定手段19は、制御盤5内の各内部回路15の絶縁抵抗値を測定する機能を有している。具体的に、絶縁抵抗測定手段19は、地震による停電が発生すると、上記接点13を閉成することにより、バッテリー10からの電力を各測定用回路12に供給し、各内部回路15の絶縁抵抗値を測定する。
また、上記切り放し装置9は、電源8によるエレベーター側(制御盤5等)への給電の可否を設定するためのものである。即ち、切り放し装置9が所定の接続状態に設定されている場合は、電源8から制御盤5に対して正常に電源供給が行われる。一方、切り放し装置9が所定の切り放し状態に設定されている場合は、制御盤5が電源8から切り放され、電源8から制御盤5に対する給電は遮断される。
次に、図3も参照して、上記構成を有する運転装置の具体的な動作について説明する。図3はこの発明の実施の形態1におけるエレベーターの運転装置の動作を示すフローチャートである。
地震及び停電が発生していない通常運転時、切り放し装置9は接続状態に保持され、電源8から制御盤5に対して正常に給電が行われる。また、エレベーターでは、地震感知器6により、地震が発生したか否かの判定を常時行っている(S101)。
地震感知器6によって地震の発生が検出されると(S101のYes)、地震感知器6から制御盤5及び停電時運転装置7に対して地震情報が送信される。制御盤5では、受信した地震情報に基づき、地震時管制運転の実施の可否を判断する。即ち、発生した地震がエレベーターを動作させても可能な規模であれば(S102のYes)、その地震の規模に応じた地震時管制運転を実施する(S103)。
一方、発生した地震が所定のレベルを超える場合(S102のNo)は、エレベーターに何らかの故障が発生している可能性があり、エレベーターを動作させることができない。かかる場合、停電検出手段によって停電の発生が検出されると(S104のYes)、停電時運転装置7は、地震感知器6からの地震情報と停電検出手段からの停電情報とに基づいて、所定の停電時運転を開始する。
具体的に、停電時運転装置7は、バッテリー10から供給される電力により、各内部回路15の絶縁状態を判定する処理を行う。
即ち、停電時運転装置7は、先ず、動作制御手段18によって切り放し装置9を動作させることにより、制御盤5を電源8から切り放し、この切り放し状態を保持する(S105)。なお、電源8から制御盤5に対する電力供給は、上記停電の発生によって、この時既に停止されている。
制御盤5から電源8を切り放した後、停電時運転装置7は、バッテリー10を電源とする絶縁抵抗測定用の回路を生成することにより、各内部回路15の絶縁抵抗値の測定を行う(S106)。具体的に、停電時運転装置7は、絶縁抵抗測定手段19によって接点13を閉成することにより、各測定用回路12内部の抵抗回路に発生する電圧値を検出し、取得した各電圧値に基づいて各内部回路15の絶縁抵抗値を演算する。
各内部回路15の絶縁抵抗値を取得した後、停電時運転装置7は、その取得した上記絶縁抵抗値と所定の基準値との比較を行い(S107)、各内部回路15の絶縁状態が正常であるか否かを判断する。そして、S106において測定した絶縁抵抗値が上記基準値以下(絶縁状態が正常)であれば、動作制御手段18によって切り放し装置9を接続状態に戻し、電源8と制御盤5との切り放し状態を解除する(S108)。一方、S106において測定した絶縁抵抗値が上記基準値を超える(絶縁状態が異常な)場合は、電源8と制御盤5との切り放し状態を保持させ、入力回路の遮断状態を継続させる(S109)。
なお、図2に示すように、測定用回路12が制御盤5内の各内部回路15に対応して複数備えられている場合には、例えば、S106において測定した全ての絶縁抵抗値が上記基準値以下の場合に、電源8と制御盤5との切り放し状態を解除する。また、少なくとも1つの絶縁抵抗値が上記基準値を超える場合に、電源8と制御盤5との切り放し状態を保持して、入力回路の遮断状態を継続させる。
そして、上記地震による停電の発生後に復電すると、エレベーター側の電気的な状態とは無関係に、電源8からの電力供給が開始される。なお、S107において内部回路15に絶縁異常が検出されていれば、切り放し装置9が切り放し状態に保持されているため、復電しても、電源8から制御盤5に対する電力供給は停止されたままとなる。一方、S107において内部回路15に絶縁異常が検出されなければ、切り放し装置9が接続状態に切り替えられているため、上記復電によって電源8からの電力が制御盤5に対して供給される。
なお、図3に示す動作においては、復電を検出した後、即ち、電源8から制御盤5に対して電力供給が可能になった後に、各内部回路15の絶縁状態の判定を行っても良い。
この発明の実施の形態1によれば、地震による停電が発生し、この地震によって機器故障や配線上の地絡等が生じた場合であっても、簡易的且つ安価な回路によって上記異常を速やかに検出することができ、復電時に生じ得る2次的な被害の拡大を確実に防止することができる。そして、かかる機能により、安全性及び信頼性の高いエレベーターの提供が可能となる。
1 かご
2 つり合いおもり
3 主ロープ
4 巻上機
5 制御盤
6 地震感知器
7 停電時運転装置
8 電源
9 切り放し装置
10 バッテリー
11 制御装置、
12a〜12d 測定用回路
13a〜13d、14 接点
15a〜15d 内部回路
16 電源回路
17 停電時運転手段
18 動作制御手段
19 絶縁抵抗測定手段

Claims (6)

  1. 地震の発生を検出する地震検出手段と、
    前記地震検出手段によって地震の発生が検出された場合に、所定の地震時管制運転を制御する制御盤と、
    前記制御盤に電力を供給する常用電源と、
    前記制御盤及び前記常用電源間に設けられた切り放し装置と、
    停電時に動作する非常用電源と、
    前記地震検出手段によって地震の発生が検出され、且つ、停電が発生した場合に、前記非常用電源からの電力供給によって前記切り放し装置を制御することにより、前記制御盤を前記常用電源から切り放す動作制御手段と、
    を備えたことを特徴とするエレベーターの運転装置。
  2. 前記動作制御手段によって前記制御盤が前記常用電源から切り放された後、前記非常用電源からの電力供給によって、前記制御盤の内部回路の絶縁状態を判定する判定手段と、
    を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベーターの運転装置。
  3. 前記判定手段は、前記常用電源からの前記制御盤に対する電力供給が可能になった後に、前記制御盤の前記内部回路の絶縁状態を判定することを特徴とする請求項2に記載のエレベーターの運転装置。
  4. 前記判定手段は、
    前記制御盤の前記内部回路に接続された測定用回路と、
    前記測定用回路及び前記非常用電源間に設けられた開閉装置と、
    前記非常用電源からの電力供給によって前記開閉装置を制御することにより、前記非常用電源からの電力を前記測定用回路に供給して、前記内部回路の絶縁抵抗値を測定する絶縁抵抗測定手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のエレベーターの運転装置。
  5. 前記判定手段は、前記絶縁抵抗測定手段によって測定された前記内部回路の絶縁抵抗値が所定の基準値以下の場合に、前記常用電源と前記制御盤との切り放し状態を解除させ、前記内部回路の絶縁抵抗値が前記基準値を超える場合に、前記常用電源と前記制御盤との切り放し状態を保持させることを特徴とする請求項4に記載のエレベーターの運転装置。
  6. 前記測定用回路及び前記開閉装置は、前記制御盤の各内部回路に対応してそれぞれ複数設けられ、
    前記判定手段は、前記絶縁抵抗測定手段によって測定された全ての前記内部回路の絶縁抵抗値が所定の基準値以下の場合に、前記常用電源と前記制御盤との切り放し状態を解除させ、少なくとも1つの前記内部回路の絶縁抵抗値が前記基準値を超える場合に、前記常用電源と前記制御盤との切り放し状態を保持させることを特徴とする請求項4に記載のエレベーターの運転装置。
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